犬猿の仲の剣士と魔術士、うっかり一線を越えたら体の相性抜群だった【書籍化決定】 作:猫屋敷てん
ララエル・マグノリアはクソガキであった。
であった、と過去形なのは、ここ暫くの激動の時を過ごしたことでその性格がかなり改善していたからだ。
全てを見下し、世界は己の思うがままと傲慢だったころのララエルは存在しない。
幾度となく死の危険を感じたことで、その傲慢はすっかり消え失せていた。
他者というものを意識するようになり、人に優しくなった。
レミエッタのサポートもあり、多くの者に囲まれるようになった。
飛び級でレミエッタの学年までやってきたため皆よりも年下で、そんなララエルが素直さを獲得すればとても可愛がられるものだ。
ララエルは初めて、心が満たされたような感じがした。
「ララ。学園での生活はどうですか?」
「姉様。もちろん、楽しい」
「ならよかったです」
そして一番変わったことといえば、姉であるレミエッタとの関係改善だろう。
今までララエルは見下し、レミエッタは避けていたが、先日の一件から姉妹仲は改善していた。
共に竜と戦ったことが大きな切っ掛けと言えるだろう。
「姉様は……大丈夫?」
「私は……大丈夫ですよ」
ララエルの問いかけに、そう穏やかに笑うレミエッタ。
最近のララエルの悩みは、この姉についてだった。
「でも、忙しそうだし」
「そうですね。先日まで少し辛かったですが、今は大丈夫です」
「そう……かな」
レミエッタは、ここ最近とても忙しそうだった。
失墜している魔術士の地位をどうにかしようとしているのは、ララエルも理解している。
そしてその先にあるレミエッタの目的も、何となくわかっていた。
レミエッタは、剣士と魔術士の関係改善を目指しているのだろう。
だけどそれは茨の道だ。無理だと断言できるほど苦難しかない。そんな道を歩もうとしているレミエッタが、見てられないのだ。
「姉様は……ううん。何でもない」
何で、そこまでするんですか。そう口にでかけていたが、ララエルはすんでのところで口を閉じた。
それは何となくわかっている。しかし今は聞くべきではない。
成長したララエルは、そういう空気を読むことができていた。
「お休みなさい。姉様、ゆっくり休んでね」
「ええ。ララも」
微笑むレミエッタに見送られ、ララエルは隣にある自分の部屋へ戻った。
何もできない不甲斐ない自分が嫌になった。
◇
その日の夜、ララエルはふと起きてしまった。
いつも朝までぐっすりなのに、珍しいことだ。
なぜか中々寝付くことができず、しょうがないのでベッドから起き上がる。
水でも飲むか、そう思った瞬間だ。
――ギィィィ。
そんな扉が軋むような音が聞こえてきた。
「……?」
コップを手に取っていたララエルは、その音にふと首を傾げる。
音は隣のレミエッタの部屋から聞こえてきた。多分外に出たのだろう。
だけど不思議だ。こんな真夜中に外に出る用事なんて一体なんだ。
「……姉様」
ララエルは、少し迷いつつレミエッタを追うことにした。
尾行が褒められたことではないとわかっているが、それでも気になるのが人間の性だ。
レミエッタは透明化の魔術を用いて、学園を歩いていた。
魔術の腕ならレミエッタを凌ぐララエルだから、完璧に姉を捕捉できる。そのまま尾行を続けること十分程度、レミエッタが訪れたのは男子寮だった。
「なんで、男子寮なんかに?」
こんな真夜中に男子寮を訪れる理由は何だろうか。再度首を傾げながら、ララエルはレミエッタの後を追う。
レミエッタは寮の窓から侵入し、最上階まで迷うことなく駆け足だ。
そして最上階にある部屋に入り――結界が構築された。
その扉には、入居者の名前が書いてある。その名はラインベル――
「……エルビン・ラインベルの部屋」
その名を見た瞬間、思わずララエルは身震いした。
脳裏を過るのはララエルが改心した切っ掛けでもあるエルビンとの決闘。初めて死を知ったララエルは、あれ以来エルビンが苦手だ。
そんなエルビンの部屋に、レミエッタは入っていった。
ララエルの中であった一つの仮説が、決定的となった瞬間である。
「姉様は、やっぱり……好きなんだ」
それは先ほど口にしなかった言葉だ。
なぜレミエッタはあそこまで頑張るのか。それは恋をしているからだろう。好きな人のために頑張るという感覚がララエルはわからないが、恋が人を大きく変えることは何となく知っている。
「っ……」
複雑な気持ちだ。手放しで喜べる相手ではない。
だけど多分、良い人なのは間違いないのだろう。
「…………」
だけどララエルの脳裏を過るのは、あの恐ろしいエルビンの姿だ。
この部屋の中で、レミエッタは何をしているのか。もしあの恐ろしいエルビンと二人きりであるならば――
「少しだけ、少しだけだから」
正義感と好奇心。いろんな感情が入り交じった中で、ララエルはそっと扉を開けた。
鍵が掛かっていようと、結界が張ってあろうと、天才と謳われたララエルにとってはないようなものだ。
扉を開ければ、廊下がララエルを出迎えた。多分奥にある扉の向こうにレミエッタはいるのだろう。
足を踏み出すたびに、聞き慣れない音が耳に届いた。
ピチャピチャという水音と、人の息づかい。
ララエルはそっと扉の隙間から中を覗いて――
「っ――」
抱き合ってキスをする二人の姿に、思わず声が出そうになった。
レミエッタはベッドに腰掛けたエルビンの膝に乗り、恍惚とした表情で深いキスをしていた。
男女の仲など縁遠いものだったララエルにとって、その光景はあまりにも衝撃的だ。
キスについては知っているが、愛し合う男女がするあれほど濃厚なキスは知らない。ララエルが知るのは、映画で演者がやるおままごとみたいなキスだけだ。
「エル、ん♡ ちゅぅ♡ れろ、えろ♡ 好き、好き♡ です♡」
「レミ。レミ」
唾液まみれの舌が絡まり合い、部屋中に水音が響いている。
それは子供が見て良いキスではない。ララエルの中にあった常識が、ガラガラと崩れるほどのキスである。
「姉様……」
そんなキスを、ララエルは呆然と、そして興奮をその目に宿しながら見つめていた。
大きな胸はうるさいほどに高鳴って、初めての感覚が全身を襲っている。ララエルはその光景から目を離せなかった。
「ん……♡ なんか、とってもおっきくなってます」
「大きくなるに決まってるだろ」
「今日はお口でしてあげます」
「マジか」
たっぷりキスをした二人は、次へと移っていく。エルビンの前に跪いたレミエッタは、ズボンのジッパーを下ろして勃起したちんぽを露出させた。
「っ……あれが」
初めて見る男性器に、ララエルは目を見開く。
あれを体の中にいれると子供ができるという知識は知っているが、あんな大きいものが果たして入るのだろうか。
「んぅ、いただきます♡。……ちゅっ♡ れろ、えろ♡」
そう思った次の瞬間、レミエッタは亀頭にキスをすると、ゆっくりとちんぽを咥え始めた。
それにさらなる衝撃を受けるのはララエルである。
「っ……姉様。な、なんで、口なんかで?」
口に入れたところで、子供ができないのはさすがのララエルでも知っている。
あれは排泄をする器官であるのも知っているし、なぜ口で咥えるのだろう。
そして――なぜ、あんなに美味しそうなのだろう。
レミエッタは恍惚とした表情を浮かべながら、ちんぽを喉の奥まで咥え始めた。
「じゅぶ♡ じゅぼっ♡ じゅぶぶぶ♡」
「くっ、レミ。それヤバッ」
「んふ♡ じゅぽっ♡ じゅぽっ♡ じゅぷぉぉ♡♡」
あんなに気高く優秀で優しい姉が、ちんぽを喉の奥まで咥えて下品な顔を晒している。
だがあれほど下品にちんぽを咥えているのに、なぜ幸せそうなのだろう。
ララエルはわからない。ただ興奮が、その身を支配していた。
「あっ……なに、これ」
気付けばララエルは、股ぐらから蜜を垂らしていた。ショーツでは受け止められないほどの愛液が分泌されていて、初めてのことにララエルは戸惑う。
この姉にしてこの妹ありと行った所か、ララエルもまた濡れやすかった。
クロッチ部分からそっと指を入れれば、抵抗はありつつもララエルの指はおまんこに飲み込まれた。
「ろーれふか?」
「ヤバすぎるっ」
「んふ♡」
二人の行為を見つめながら、クチュクチュとララエルは指を動かす。
そこからは、本能だ。
オナニーの知識なんてほとんどない。だけどそれがとても気持ちよい行為だから、本能のままに指を動かす。
姉の痴態をオカズにしながら、ララエルは夢中でオナニーに耽った。
「っ――はぁ、はぁ♡」
息を荒げて、クチュクチュと中をかき回したり、クリトリスを擦ったり。
ララエルは快楽に身を任せていた。
レミエッタ達が二人の世界にいなければ、間違いなく気付かれていただろう。
「っ、出すぞレミ」
「ん、ぷ♡ じゅぅぅぅ♡」
エルビンがレミエッタの頭を掴み、その口の中で射精しようとした頃、ララエルも絶頂が近づいていた。
初めての感覚に戸惑いながら、本能がこれを求めて突き進んでいる。
「あっ♡ イッ、く……」
エルビンが射精して、レミエッタがそれを口で受け止めて、ララエルは初めてイった。
頭がおかしくなるぐらいの快楽で床に崩れ落ち、ガクガクと体を震わす。
「はぁ、はぁ……」
初めてだから、だけではないだろう。この背徳感が、ララエルの快楽を何倍にもするのだ。
暫く立ち上がることができなかった。ボーッと二人を見つめて、絶え間なく愛液を垂らすおまんこをなぞる。
「あ、……帰ら、ないと」
そしてふとスッキリして冷静になると、自分が今なにをしてしまったのか理解した。
秘すべき二人の行為をのぞき見して、それをオカズにオナニーなど許されることではないだろう。ララエルは悪い子だ。
懸念していたエルビンに酷いことをされていたわけでもないし、ここは早く帰るべきだ。
「ねえエル……」
「ああ。いれるぞ」
扉の向こうでは、二人の行為がさらにエスカレートしようとしている。それを見たいという思いはあったが、駄目なことだと立ち上がった。
魔術を駆使して、ララエルがいた痕跡を完全に消す。
床に出来た水溜まりを消すのは苦労したが、その魔術の腕でどうにかした。
そして静かにその場を立ち去って、男子寮を出て暫くしたところでほっと息をついた。
「姉様。幸せそうだったな」
多分すっごく気持ちよくて、すっごく幸せなのだろう。
だからあんなに頑張れるのだ。
レミエッタのモチベーションがわかって、ララエルはどこか納得できた。
「恋か……」
そしてララエルも、また考える。
人を変えてしまう恋というのは、どういうものなのだろう。今までまったく興味がなかったが、少し考えてしまう。
「……寝よう」
だけど良い相手がいない以上考えてもしかたがない。いずれララエルもすることになるだろう恋も、まだ幼い彼女は知らなかった。
これにて本作は一旦終了です。ご愛読ありがとうございました。
またFANBOXにて本編では書けないような番外編も書いているので、良ければチェックしてみてください。
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