因習が残る集落を訪れた私と、そこで出会った母娘(おやこ)との関係。 作:如月 悠
オリジナル:現代/ノンジャンル
タグ:R-18 ガールズラブ 残酷な描写 ふたなり 因習村 薬物 躾け かわいそうはかわいい
※ノクターンノベルズさんにも投稿しています。
個人的には、なかなかエグいものが出来上がった気がします!
私がその集落の事を知ったのは、通っている大学の、民俗学のゼミでのことだった。
民俗学というにふさわしく、古くから伝わる迷信やら何やら、そんなテーマで教授を囲んでディベートをしている、その場。
何処かミステリアスな女性の教授が突然に、私達をぐるりと見渡しながら、そういえば、と呟いて。
令和になった今もなお、因習が残る集落があるらしい。
と、ツンとした表情のままに語り始めたのが、印象に残っている。
なんでもその集落は、おふつり様、という土着信仰が残る集落だということらしい。
そんな、ディベートの最中にちらりと教授が漏らした、ただの世間話のようなそれ。
しかし私はどうにも、その話の詳細が気になって。
気が付けばゼミの後、教授に詳しい話をねだってしまっていた。
「それで、その、おふつり様、っていうのは……。」
「ああ、どうやら、お二人様、が訛ったものらしい。」
「はぁ……。」
「そのおふつり様というのは、半陰陽……、今で言う、ふたなり、のことみたいでね。」
「はぁ……、はぁ?」
「男性器も女性器もある人を指して、一人でも二人、お二人様、と変化していったんじゃないかと、私は考えている。」
「ええと……、じゃぁ、そのおふつり様信仰っていうのは……。」
「その集落では昔から、半陰陽が神のように崇められていてね。」
「はぁ……。」
「おふつり様との間に子をなすことで、恵みや繁栄がもたらされると、信じられているんだ。」
「へぇ……。まぁ、何と言うか、良くある話のような。」
信仰する存在と子を為した伝説というのは、往々によくある話で。
けれど教授は、私のそんな感想を聞いて、ふん、と鼻を鳴らす。
「まあ、それが、昔話ならね。」
「はぁ……、えっ?」
「言っただろう? 今もなお、因習が残っているって。」
「えっと……。」
「おふつり様、つまり、君のような、ふたなりの人が訪れれば、良い思いが出来ると思うよ。」
「うわぁ……。って、ちょっとセクハラじみてません……?」
最後の、ちょっとセクハラっぽい締めはいかがなものかと思うけれど。
自分の体の特徴と関わりがある様な風習が今も残っているともなれば、少しだけ興味が湧いてしまう。
それに、そもそも、こんな薄暗いゼミ室に通うという選択を取れるほどには、民俗学という分野に元々興味もあった訳で。
だから、そう、決して、私もふたなりだからという理由では断じてないけれど、ちょっとだけ、フィールドワークに訪れてみても良いかな、などと考えてしまう。
「興味があるという顔をしているね。」
「うえぇ!? いや、ソンナコトは……?」
「特におすすめなのは、新年の大祭の時期らしい。」
「はぁ……。」
「ただ、その大祭の時には、その集落を知る人達が全国から集まるらしくてね。」
「えっ……。」
「慣れないうちは、宿を取るのも難しいと聞くよ。」
「はぁ……。」
そこまでを語って肩をすくめた教授は、部屋の窓を開けて、窓枠に肘を置くように身を乗り出して。
そうして、当たり前のように煙草に火をつけて、大気汚染に精を出し始める。
電子タバコが流行っている今、紙巻のたばこを吸う姿は少しずつ、珍しくなっているけれど。
教授曰く、火を着けないたばこは、吸った気がしないらしい。
煙を一生懸命に窓の外に吐き出している辺り、一定の配慮はしているようだけれど。
そもそも大学構内は、全面禁煙です。
「そうだ、その集落にフィールドワークに行く気なら、レポートをよろしく。」
「えっ。」
「単位、欲しいだろう?」
「ま、まぁ……。」
「それと……、あまり、深入りしすぎないようにね。」
「え、はい……。」
そんな事を思っていれば、教授は思い出したかのように、そんな事を呟いて。
どうやら私がその集落を訪れることは、すっかりと決定事項のようだった。
ちらり、とこちらを振り返った教授の目が、諦めたかのように曇っていたように見えたのは、きっと気のせいだったのだろう。
どちらにしろ、教授が再び窓の外に身を乗り出して、大気汚染に精を出し始めた今は、確かめようのない事だった。
──────
つまり、冬がダメなら、夏で良いじゃん。
そんな短絡的な思考の元、大学が夏休みに入ったばかりの7月も終わりかけの今日、私はのどかな道に、愛車を走らせている。
大学の有る地元の埼玉県から、北の方へ車を走らせること、かなり。
地図やら標識が間違っていないのならば、私はとうとう、その集落へたどり着いてしまったようだった。
とはいえ、辺りの景色は田んぼが広がるだけの、穏やかなもので。
それだけを見れば、怪しげな因習が残る集落だなんて、とてもじゃないが信じられない。
とにかく、この集落の何某かの情報が、必要なところ。
そう思っていれば、やがて道の先に見えてくる、田んぼの中にぽつんと見える1軒の建物。
距離が近づいてみれば、それがどうやら、小さな個人商店だということが分かる。
宿の場所とかも聞きたいし、少しだけ寄って行こう。
そう思った私は、これまた小さな駐車場に、中古のビートルを駐車させる。
「……、やってる、よね?」
やがて車を降りた私は、いかにも昭和レトロなお店の雰囲気に気圧されて、ぽつり、と呟いてしまっていた。
お店の前でふと見上げてみれば、出入り口の上にかかる、あちこちに錆の浮いた、薄汚れた看板がかかっていて。
そこに、消えかけのペンキで書かれていたのは、『山田商店』というお店の名前。
少なくとも、慣れ親しんだコンビニの名前には、心当たりなんてない。
郵便物を受け付けていると主張する赤いのぼり旗や、店先に無造作に積まれた野菜と値札のおかげで、何かのお店だということはかろうじて読み取れる。
そうして、お店に繋がるドアは、黒い四角のプラスチックハンドルが付いた、今時珍しいタイプの全面ガラスドア。
こくり、と少しだけ緊張しながら押し開ければ、ちりん、とドアベルの音が鳴り響く。
「……いらっしゃい。」
薄暗い店内にビクつきながら、お邪魔します、などと声をかけてみれば、じとり、と店番の老婆から視線を送られる。
その視線は明らかに、よそ者に対する警戒心を丸出しでいて。
私は、こちらを窺うそんな視線に耐えながら、お店の中を物色していく。
とりあえず、長時間の運転に疲れたから、甘いものが欲しい。
そんな事を考えながら、備え付けの冷蔵庫からペットボトルの飲料を取り出して、その辺に陳列してあった飴と一緒に、ことり、とレジ台の上に載せてみる。
「……380円。」
「あ、はい……。」
そのまま数秒を待てば、予想をしていた通りにぶっきらぼうな声色で、商品の値段を告げられる。
なんとも失礼な話だが、どうやら日本円は使えるらしい。
残念ながら、現金払いオンリーだけど。
私は財布を開けて小銭を摘まみ上げながら、それを皮切りに情報収集を試みてみる。
「あの……、旅行で来たんですけど、この辺りに宿とか、ありませんか?」
「……ふん。こんな何もない田舎に、若い娘が一人で珍しいねぇ。」
未だに警戒はされているものの、こちらの老婆はどうやら、会話には応じてくれるらしい。
そのことにほっとしながらも、中々に冷たい反応に、少しだけくじけそうになってしまう。
どうやら、まあ、大方の予想通り、この集落のコミュニティはかなり、閉鎖的で。
おそらくは、得体の知れない相手の目的を聞き出そうとでもしているのだろう。
よそ者の私をさっさと追い出してしまいたいという様子が、その口調からはあけすけだった。
「まぁ、ちょっと……、この辺りの噂を聞いて。」
「噂ぁ……?」
そこで私は、フィールドワークの好きな教授に聞いた、とあるテクニックを使ってみることにした。
それは、噂を聞いた、といかにも意味深に、匂わせて見せること。
そうすれば後は相手が勝手に、私の事情を想像して、さらには欲しい情報を補完してくれると、あのミステリアスな教授は得意げに語っていた。
半信半疑ではあったけれど、そんな言葉選びをした後の老婆の反応は、いかにもだった。
「あんた、まさか……、おふつり様かい?」
「まぁ、その……、一応。」
「あら、あらあらあら、まぁまぁまぁ!」
そうして、老婆の口から途端に出てくる、おふつり様という、キーワード。
教授から事前に聞いていた通り、この集落で『おふつり様』というのは、私達の良く知る、ふたなりのこと。
幸いなのかどうかは分からないけれど、自分もその、おふつり様、であるわけで。
だから老婆の言葉に頷いてやれば、その瞬間に、私に向けられていたその態度は気持ち悪い程に、クルリと変わる。
「ありがたや……。良くいらっしゃったねぇ。おふつり様ならいつでも歓迎だよ。」
「はぁ……。」
「あたしゃもうお相手できないけれど、これでも若い娘は沢山いるからねぇ。」
「それはどうも……。それで、宿って。」
「あぁ、宿、宿ねぇ……。篠田さんとこが良いかねぇ、電話してあげるよ。」
とにかく、フィールドワークの拠点となる宿が欲しい。
私は、態度の変わった老婆の言葉を適当に受け流しながら、宿を探していることを告げてみる。
そうすれば老婆は、レジの横に置いてあるレトロな黒電話の受話器を持ち上げて。
そうしてかけ慣れているのか、メモすら見ずに、じこじこ、とダイヤルを回し始める。
微かに漏れ聞こえる微かなコール音のあと、その篠田さんと思われる若々しい女性の声が聞こえて。
どうやら、二人の間ではすでに、この集落で民宿を営んでいる篠田さんの家に、私が宿泊することが決定しているようだった。
「篠田さんとこね、この道真っ直ぐ行って、曲がったとこだから。」
「はぁ……。分かりました。」
やがて、ちん、と受話器を置く音と共に、えらく上機嫌な老婆が、にこにこと話しかけてくる。
しかして、その道案内は兎にも角にも、田舎のおおらかさを感じるというか、何と言うか。
地図すらも示さずに、まっすぐ進んで曲がったところとは、それだけの説明で本当にたどり着けるのか、不安になる。
「ご丁寧に、ありがとうございました。」
「んや、んや。またおいでくださいな。」
けれど、これ以上詳しく聞いても、イマイチ変わらないような気がしてしまう。
そんな直感もあって、私は老婆とのコミュニケーションを早々に終わらせる。
ご機嫌な老婆に見送られる私は、再び、ちりん、とドアベルを鳴らして店の外に出て。
そうして、駐車場に向かうその途中で、ひたり、と足を止めてしまっていた。
私の視線の先には、中古で買った、愛車のビートル。
そのフロントバンパーの前、そこにはいつの間に現れたのか、少女が一人、しゃがみ込んで唸っていた。
「んんぅ~? 川越? どこ?」
「えっと……。」
「あ! これ、お姉さんの車?」
「そう、だけど……。」
その少女は、私の視線に気付いたのか、ぱっと立ち上がって、こちらに向けて、懐っこい笑顔を向けてくる。
彼女のいでたちは、学校帰りなのか、半袖のセーラー服に紺色のプリーツスカート。
スカートの丈は膝より下で、都会の女の子に独特な、あの擦れた感じは、どこにもない。
見た所、中学生か、高校生か。
いかにも夏らしく、その肌は健康的に日に焼けていて。
暑さをしのぐためか、髪を高い位置でポニーテールに結んでいる。
「ねえねぇ、お姉さん、都会の人?」
「え?」
「だってほら、これ、川越って、この辺りで見ないから。」
「うーん……。ここよりは、都会かもね。」
そんな彼女は、懐っこい笑顔のまま、ととと、と軽やかに、私のそばまで寄ってくる。
近づいてみれば、髪を結んでいるせいで強調されたうなじには、汗の珠が浮いていて。
そうして、彼女から微かに漂う、鼻の奥に染みるような、塩素の匂い。
注意深く見れば、その髪も何処かしっとりと、濡れていて。
もしかすると、夏休みの今、部活か何かで学校のプールにでも入ってきたのかもしれない。
「おー、やっぱり都会の車って、ぴっかぴかだなぁ……。」
「中古だけどね。」
「ほあー、これで? この辺じゃ、さびさびでおんぼろの軽トラックしか見ないよ。それに、なんか、かっこいいし。」
「まあ、一応、外車だし……。」
「外車って?」
「外国の車ってこと。」
「すごい、すごいっ!」
まあとりあえず、私の住まいが都会かどうかは、専門家の判断にゆだねることとして。
それから、さっきの老婆と比べて警戒心を微塵も感じない少女と、世間話。
何でも彼女は中学3年で、通学路の途中にあった見慣れない車に興味を持って、観察していたとのことだった。
都会への憧れでもあるのか、集落の外から来た私に、ひたすらに懐っこくて。
先ほど見せられた老婆の警戒した様子を見せつけられた反動か、何だかほっとしてしまう。
そうして談笑をしていれば、少女はスポーツタオルを肩掛けのカバンから引っ張り出して、汗の浮いた首筋を拭いだす。
その様子を見ている内に、ふと思い出してしまう、夏の気温。
標高が高めとは言え、夏真っ盛りの今、日差しに焼かれていればじっとりと汗ばむほどで。
私は何ともなしに、先ほど買ったばかりのスポーツドリンクの蓋を、ぱきり、と捻り開けていた。
「……、飲む?」
「いいの!?」
飲み口を唇に当てて、一口、二口。
喉を鳴らして胃の中に冷えた液体を送り込めば、思い出したかのように汗が噴き出してくる。
そうして、爽やかさと不快感を同時に味わっていれば、こちらをじっと窺うような視線に、気付いてしまう。
懐っこい少女の視線を無視しても良いけれど、それは少し、酷だろうか。
そう思ってそっとペットボトルを差し出せば、たちまちに彼女の顔に浮かぶ、花が咲くような笑顔。
しかし、遠慮がないというか、やっぱり警戒心がないというか。
彼女は、先ほどまで私が口をつけていたことなんて関係ないとばかりに、唇に飲み口を押し当てて、こくこく、と喉を鳴らしていく。
「そうだ、篠田さんの家って知ってる?」
「え……?」
「その民宿に泊まる予定なんだけど、詳しい場所が分からなくて。」
「なぁんだ、お客さん!」
「ウチは、この道をまっすぐ行って、曲がったとこだよ!」
「あー……。」
そういえば、とこれからお世話になる民宿の話を振ってみれば。
どうやら奇遇にも、目の前の少女は、私がこれからお世話になる民宿の、関係者だったらしい。
改めて、
しかして、店内の老婆と同じ道案内に、私は思わず頭を抱えてしまいそうになる。
きっと、この村の事を良く知るであろう人間が、二人も、真っ直ぐ行って曲がったところ、などと言うからには、きっとその通りなんだろう。
けれど、現代っ子の私としては、そういうふんわりとした道案内だけでは少し不安で。
「千夏ちゃん、お家に帰るとこだよね?」
「ん? うん。」
「車、乗ってく?」
「いいの!?」
声をかけてみれば、千夏ちゃんはよほどに喉が渇いていたのか、ペットボトルの中身を飲み切ってしまったところのようで。
そのことに少しだけ、バツが悪そうにしている所だった。
丁度いいし、その分くらいは働いてもらおうか。
格安の道案内を雇うことを思いついて誘ってみれば、彼女は一も二も無く頷いてくれる。
そうして助手席に納まった彼女は、利きの悪いクーラーの風に感動しながら、けらけらと笑って。
一方の私は、旅の同行者が出来たことに、何やら安堵してしまっていた。
ちなみに、私の目的地であるところの彼女の家は、本当に真っすぐ行って、曲がったところだった。
────
「これはこれは、遠い所から、良くいらっしゃいました。」
「あ、どうも……。」
「お部屋の方、もう用意できていますから。まずはゆっくり、くつろいでくださいな。」
「急だったのに、すみません。」
「いえいえ、何のおもてなしもせずに帰したら、罰当たります。」
「はぁ……。」
千夏ちゃんのお母さんである女将さんは、何と言うか若々しい、おっとりとした美人だった。
勝手な想像になってしまうけれど、年のころはきっと、30代の半ばほど。
千夏ちゃんくらいの年頃のこどもがいるとすれば、かなり、若い気がする。
こちらを、じ、と見つめながら、うっすらと唇に弧を作る様は、いやに妖艶で。
思わず気圧されて、こくり、と喉を鳴らしてしまう。
「お姉さん、荷物、持つね!」
「あっ……、千夏ちゃん、ありがとう。」
「こら、千夏。失礼が無いようにしなきゃだめよ?」
そうして、女将さんに見とれてしまっていた私に助け舟を出してくれたのは、意外なことに千夏ちゃんだった。
彼女は、私の足元に置いていた荷物を、ひょい、と持ち上げて。
持ち前の明るさを存分に発揮しながら、民宿の奥へと進んでいく。
もちろん女将さんは、そんな千夏ちゃんの事を咎めるけれど、その表情は、仕方ない、とばかりに柔らかくて。
その時の女将さんは完全に、母親の顔だった。
「あの、女将さん……。」
「あらあら、そんな他人行儀な……。
「う、えっと……。それじゃぁ、冬莉さん、しばらくお世話になります。」
「ふふ……♥」
私は、妖しく笑う冬莉さんに見送られながら玄関を通り抜けて、荷物を誘拐した千夏ちゃんを追いかけていく。
その民宿の外観は古くとも、きちんとお手入れがされていて。
通された部屋も、隅々まで掃除が行き届いていて、その心遣いが伝わってくる。
千夏ちゃんが退出した後は、ちゃぶ台の上の茶菓子とお茶で、ほっと一息。
たまに帰る実家のような居心地の良さに、思わず、深くため息をついてしまう。
ふぁ、と小さく欠伸をしながら時計を見れば、おおよそ午後4時といったところ。
そういえば、小さいけれど露天風呂もあるとか、言っていたっけ。
ぐるり、と辺りを見渡せば、そのためにあると言わんばかりに、浴衣も用意してあって。
それはもう、風呂を楽しまないという道理は、無いだろう。
「はぁ、良いお湯だった……♥」
「あ、お姉さん!」
そうして私は、その小さな露天風呂を楽しんで。
のんびりとお部屋に戻れば、学校指定と思われるあずき色のジャージを着た千夏ちゃんが、布団を敷いてくれている所だった。
家業の手伝いを真面目に行う千夏ちゃんにほっこりとしていれば、入れ替わるようにやってくるのは、冬莉さん。
どうやらそろそろ、夕食の時間となるらしい。
彼女は、何度か往復しながら、夕食の支度を整えていく。
どうやら、今日のお客は、私一人だけのようで、食事の間は冬莉さん自らが、ずっとお世話をしてくれるとのことだった。
「へぇ、学生さんなんですかぁ。」
「まあ、はい……。民俗学を専攻していて、この集落にもその、研究の一環で……。」
「難しい事をおべんきょされているのですねぇ。」
「いえ、そんなことは……。」
私の目の前、ちゃぶ台の上には、ぐつぐつ、と勢いよく煮え立つ、浅い鉄の鍋。
冬莉さんは、私と取り留めも無い会話を続けながら、時折、菜箸で鍋の中をつついて。
そうして丁度良く煮え上がった具材を、取り皿に分けて差し出してくれる。
それを受け取れば、ほわり、と感じる湯気の暖かさと、お出汁と味噌の優しい香り。
しっかりと火の通ったお肉は、豚肉か何かだろうか。
「おととい、近くの猟師さんとこで、大きなシシが獲れましてね。」
「はぁ……。」
「おすそ分けでもらったんですが、千夏と二人だと食べきれなくって。」
お鍋の具は、私の良く知る野菜に、山で採れたという山菜とキノコに、なんと、イノシシのお肉。
初めて味わうそれに、恐る恐ると箸を付けてみれば、豚肉とも少し違うその美味しさにたちまち、止まらなくなってしまう。
口にする前は、夏に鍋か、とも思っていたけれど、標高が高めだからなのか、夜は涼しい程に気温が下がって。
それも相まって、気付けばその鍋をすっかりと、堪能してしまっていた。
ついでに捕捉するなれば、〆はうどんで、デザートは良く冷えた水ようかんだった。
「それにしても、おふつり様には申し訳ない事に、時期がよろしくないんです。」
「時期……?」
「えぇ、年明けの大祭が終わって、ちょうど半年程ですから……。」
「その大祭って、どんなものなんですか?」
「あら、何処からお話しをしましょうかねぇ……?」
「じゃぁ良ければ、まずはおふつり様の信仰から……。」
食事の後、お茶を淹れてもらいながらまったりとしていれば、とうとう冬莉さんから、核心をついた話題が巡ってくる。
今の今まで、ただ小旅行を楽しんでいただけの私は、ふと、教授に言われたレポートの事を思い出して。
だから何となく、この村の風習とやらについて、質問してしまっていた。
そこから、ぽつりぽつり、と冬莉さんが話してくれた内容を整理すると。
昔々、女ばかりの集落であったこの村に、一人の人間が迷い込んだのが全ての始まりだったのだという。
誰彼も予想するであろう通り、その迷い込んだ人間こそが、おふつり様。
半陰陽である彼女(?)は、村の娘たちと恋に落ち、次々と子を為したという。
もともと、何故か産まれる子が女ばかりで、村の人口も先細るばかりだと思っていた所にその朗報があれば、当然におふつり様は感謝されて、敬われる。
その後、おふつり様は忽然と姿を消してしまったらしいけれど。
それが信仰にまで至るというのも、信仰の対象が居なくなってしまうというのも、やはり、民俗学的には、良くあることだと言わざるを得ない。
「そんなとこですかねぇ?」
「はぁ……。そんな伝説があったんですね……。」
「あぁ、いえ……。」
「……?」
「日頃から口にするものが悪いのか、ここいらでは、今も女しか産まれませんので。」
「……え?」
「だから、年明けの大祭で、おふつり様をお迎えするんです。」
そうして、冬莉さんの言葉で、その大祭の全容が、明らかになる。
それは、何と言うか、衝撃的すぎる内容だった。
1月1日、元旦の、午前零時。
日を跨いだその瞬間から始まるその大祭で巫女としてお勤めを果たすのは、15歳から19歳の、村の娘たち。
年頃であれば例外なくかき集められた娘たちは、集落の奥にある大きな社に送られて、見目麗しい緋袴姿に飾られて。
そうして、そんな彼女たちを待ち受けるのは、大勢の、おふつり様。
その素性は、この集落の噂を聞き付けた者や、過去の参加者から紹介を受けた者など、様々で、その人数は巫女達よりも、はるかに多い。
俗っぽくお布施と言う名目で参加費を納めたおふつり様たちは、優しく、優しく、巫女たちを社に招き入れて。
油断した巫女達を押し倒して、犯して、犯して、奉仕させて、犯して、薬を盛って、犯して、犯して。
そうして、大祭が終わる1月の末まで、入れ替わり立ち替わり、巫女たちを汚し続けて。
そうして大祭が終われば、それぞれの生活に帰っていく。
「そんな大祭からちょうど半年ともなれば、参加した巫女達はみぃんな、孕んでおりますから。」
「……。」
「だから今は時期が悪くて、おふつり様のお情けをいただく為の胎が、空いてないんです。」
冬莉さんの口から明かされる、思ったよりも事情の重い、闇深な集落の風習。
けれどそれは、何故か女しか産まれないというこの集落が存続するためには、必要な、神事で。
私は、そんな話を聞いて悍ましさを感じるとともに、心のどこかで少しだけ、安堵していた。
だって私がこの集落で、おふつり様、として歓待を受けるとなれば当然、先ほど聞いた内容の通り、巫女があてがわれるということで。
自分自身、健全なふたなりで、多少性欲が強めなのは自覚していて。
だから、据え膳を用意されでもしたら、断り切れないという自信がある。
それなら、話を聞いた限りでは、ほとんど犯罪ともいえる風習の当事者となるよりは、自分に宛がわれるはずの巫女が妊娠中でお相手できません、となった方が、多分、誰も傷つかない結末という奴で。
……だから、だけど、この際、別に孕んでいるかどうかなんて、肉穴がふさがる訳でもないし、些事なのではないだろうか。
「っ……!?」
「あ、そうだ……!」
ぱん、とまるで柏手のように響いた音に私は、はっと意識を取り戻す。
旅の疲れか分からないけれど、私は一瞬、居眠りでもしてしまっていたらしい。
夢の中で、ひどく、とんでもない事を考えていた気もするけれど、きっと、気のせいに違いない。
私は、軽く頭を振りながら、ちらり、と隣の冬莉さんの様子を窺ってみる。
そうすれば彼女は、良い事を思いついたとばかりに、にんまりと、微笑んで見せてくれて。
「おふつり様、15になったばかりの千夏を、使っていただけませんか?」
「は……?」
次の瞬間に飛び出した、何気ない様子の冬莉さんの言葉に、ガツンと頭を殴られた気分になる。
そういえば、そうだった。
中学3年のあの子は、運のいい事に、先日誕生日を迎えて、15歳になったばかりだという。
そうして、15歳から19歳の娘であれば、おふつり様の巫女として勤めることに、何も問題はないわけで。
それならわざわざ、冬の大祭までの間、寝かせておく必要もない。
なるほど、それなら、理にかなっていると思う。
「っ、っ……!?」
「千夏ーっ、ちょっとこっち来なさーいっ。」
私が再び、はっと意識を取り戻したのは、廊下に出た冬莉さんが、大声で千夏ちゃんを呼び出した瞬間だった。
先ほどから、変に体がポカポカして、頭がふわふわとして……。
もしかして本当に、旅の疲れで風邪でもひいたんじゃないだろうか。
そんな事を考えていれば、冬莉さんは再び私の隣に座りこんで。
そうして、懐から何か、陶器で出来た小さい容器を取り出して、ことり、とちゃぶ台の上に置く。
「あの……、それは……?」
「あぁ、これですか……?」
捻り開けた容器の中身は、何やら白い、軟膏のような物体だった。
冬莉さんはその軟膏のような物体を小さな匙で掬って、その中身のほとんどを小皿の上に盛って。
そうして、用意していた日本酒を垂らして掻き混ぜ、薄めるように伸ばしていく。
「あ、の……。」
「こうしないと、うまく溶けませんから。」
やがて、多少の滑らかさを見せるようになったそれを、冬莉さんは手慣れた様子で、空いたグラスに、どろり、と掻き落として。
そうして、まだ手付かずだったオレンジジュースを、だくだくと注ぎ込む。
さらには、コップの8分目辺りまで注ぎこんだそれを、かちゃかちゃ、と掻き混ぜて。
そうすれば、コップの底に見えていた、どろり、としたあの物体が、オレンジジュースに溶けて、徐々に消えて。
「これ、大祭の時、巫女に盛るお薬です。」
「は、え……?」
「おふつり様のおちんぽ、みぃんな立派ですから、初めての時辛いでしょう?」
「あの、あの……っ?」
「酒に酔ったみたいに頭蕩かして、痛み鈍らせて、身体を火照らせる、そういう、わるぅい薬です。」
「は、ふ……っ。」
「料理の隠し味に使ったんは、私も初めてですけど。」
冬莉さんは、コップのジュースをかき混ぜる手を止めないままに、にっこりと微笑んで見せる。
私はその言葉に思わず、自分が平らげた料理の跡に視線を送ってしまっていた。
冬莉さんが言うには、その薬は、判断能力さえをも奪うような、麻薬の類。
ホントか嘘かは分からないけれど、それは私の平らげた料理にさえ盛られていて。
さっきから、どくどく、と、自分の鼓動がうるさい気がして、仕方がない。
「なん、で……。」
「なんでって……。おふつり様、何もしないで帰る気だったでしょう?」
「それ、は……。」
「片棒担いでもらわんと、有りもせん事言いふらされそうで、不安で、不安で……♥」
「おかーさん、呼んだぁ?」
「千夏、お客さんが、お相手して欲しいって。」
「そうなの? お姉さん、なあに?」
「あ……。」
元気よく部屋に入ってきた千夏ちゃんが、にこにこと懐っこい様子で、私の正面に、ぺたり、と座り込む。
それと同時に、ことり、と。
まるで何かを主張するかのように、私の手元に先ほどのオレンジジュースが置かれてしまう。
先ほどまで見ていたから分かる、いけないお薬のたっぷり混ぜ込まれた、オレンジジュース。
もちろん、そんな薬が本物であるかとか、そういうことは、私は知らない。
けれど、それを千夏ちゃんに飲ませるかどうかの選択が、私に委ねられているということで。
「おふつり様、千夏はどちらにしろ、次の大祭の巫女になるんですよ。」
「っ……。」
「私はこれでも、娘のことが可愛いんです。」
「それなら、なんで……。」
「見知らぬ大勢に手籠めにされるのと、多少とも懐いてるあなたに手籠めにされるのと……。」
「う、う……。」
「一体どちらが、千夏にとって、マシでしょうね?」
逡巡していれば、まるで私を諭すように、身を寄せた冬莉さんが耳元で囁いてくる。
そう、そうだ。
15歳になった千夏ちゃんはもう、次の大祭に巫女として、参加しなくてはならなくて。
そうして私の手の届かないところで、そんな最悪な形で、孕まされてしまう。
その相手は、少女の身体が目的のおふつり様達で、そんな悪事をやり慣れた集団。
集団的な心理が働けばタガも外れて、きっと優しくなんかしてもらえない。
その点、相手が私一人であるのなら。
きっと、まだ、私の頭も冷静だし、一人でゆったりとその身体を愉しめる分、優しくしてあげられるはず。
それに何より、ここで孕んでしまえば、次の大祭で巫女になることさえも、無くなって、だから、千夏ちゃんには良いことずくめで。
だから、だから、つまり、この集落の悪しき因習から、千夏ちゃんを守れるのは、私だけで。
「千夏ちゃん……。」
「なあに、お姉さん?」
「……、……飲む?」
「え、良いの!?」
だから私は、逡巡の末、手元に置かれたそのグラスを、そっと、千夏ちゃんの方に押し出してしまっていた。
そんな私のお誘いに、千夏ちゃんは純真な笑顔を浮かべるや否や、嬉しそうにそのグラスを持ち上げて。
喉が渇いていたのか、もはや止める間もなく、ごく、ごく、とその中身を飲み干してしまう。
私は、ただひたすら、ジュースを煽る千夏ちゃんのその、喉をじっと見つめて。
そうしてしばらく、ことり、と置かれた、空のグラス。
これで私はもう、この村の因習の片棒を担いだ、共犯者。
グラスの底に残った、ほんのわずかな薬の溶け残りが、まるで私のことを責めているようだった。
「あら、千夏。良い飲みっぷりね。」
「だって、お家にいるときは大体、水かお茶だから……。」
「あらあら、そんなこと言われたら、お母さんが千夏を苛めているみたいじゃない。」
「え、えっ……!? 違うよ、お姉さん、違うからねっ?」
罪悪感に苛まれる私の内心とは裏腹に、目の前で繰り広げられるのは、母と娘の和やかな、日常とでも呼べる雰囲気。
私はそれを、奪って、穢そうとしている、異物であると、無理矢理にも自覚させられてしまう。
そのことに多少の居心地の悪さを感じるけれど、それよりもあの薬は、一体、いつ、効果を表すのだろうか。
それが気になった私は、じ、と千夏ちゃんの様子を見つめて。
そうして、その予兆に、気付いてしまった。
「あ、あれぇ……?」
「千夏、どうしたん?」
「なんかぁ、へん……。」
「あらあら、立てる? お布団行こうね。」
「ん……。」
ぱっちりと開いていた瞳が、とろり、と伏し目がちに蕩けて。
呼吸すらも、は、は、と息を荒げるように乱れて。
そうしてその全身が、もじもじ、と揺れるように、微かに捩れて。
一度、症状が現れ始めれば、後はもう劇的だった。
冬莉さんがすぐ隣で支えなければ倒れてしまいそうなほどに、ゆらり、くらり、と頭が揺れて。
もはやどこを見ているかも、分からないような、そんな有様。
冬莉さんは、そんな千夏ちゃんに肩を貸すように立たせて、そうして、続きの和室に敷かれた布団に、横たえさせて。
そうしてただにっこりとしながら、私に向かってゆっくりと手招きをする。
私は、ぼんやりとした頭で、灯りに寄せられる羽虫のように、ただふらふらとにじり寄って。
そうして、今や、母親に縦の膝枕をされるように寝転がる千夏ちゃんを、血走った目で見下ろしていた。
「全く、色気のない娘で申し訳ありません、おふつり様。」
「あ、いえ……。元気なのが可愛くて、好きです……。」
「あらあら、良かったねぇ千夏。おふつり様に褒めていただいたよ。」
「ん、ぁ……、おね、しゃん……?♥」
学校指定のあずき色のジャージは、確かに、色気がないと言えば、そうなのだろうと思う。
けれど、そんな自分を飾ろうともしないところが、何だか純真で、きゅん、と心に来るものがある。
それを正直に伝えてみれば、冬莉さんは何処かうっとりと、膝の上の自分の娘の頭を撫でて。
その感触に安心してしまっているのか、千夏ちゃんはさらにふにゃふにゃと、蕩けるばかり。
「さ、そろそろ、おふつり様の方も、我慢できませんってお顔をしてるから……。」
「あ……。」
薄暗い、布団だけが敷かれた畳のお部屋。
そのお部屋に、ぢぃ……、と何かを引っ掻くような音が、静かに響く。
それは、千夏ちゃんが着ている前開きのジャージのファスナーを、冬莉さんがゆっくりと下ろす音。
その途端に私の鼻は、どこか甘い花にも似た香りを、捉えてしまう。
この香りは、一体、何だろうか。
そんな事を疑問に思っていれば、冬莉さんはとうとう、ファスナーを下ろしきって、そうして、ジャージの前を大きく左右に開いて見せる。
その瞬間に目に入るのは、健康的に日に焼けていた手足とは対照的な、白い腹。
おそらく水着に隠れて、日差しを免れていたのであろうそれは、蛍光灯の明かりを受けて、ぬらり、とてかる程に汗にまみれていて。
僅かに視線を上にずらせば、慎ましいサイズのお胸を隠す、ねずみ色のスポーツブラ。
お薬のせいで、余程身体が火照っているのか、肌に触れる所々が、色濃く汗染みになっていて。
そうして、なにより、その身体からまるで、湯気が立つように、むわり、と広がる甘い匂い。
頭の奥が、くらり、と揺れてしまいそうなほどに、官能的に濃いそれが、目の前の少女の体臭なのだと、本能的に悟ってしまう。
「……美味しそうでしょう?♥」
「っ、は……っ、んく……♥」
「あのお薬を盛られた巫女は、こうして、あまぁい匂いをぷんぷんさせるようになるんです♥」
頭の奥が、くらり、と揺れてしまいそうなほどに官能的なそれは、じくじく、と正常な判断を奪っていく。
「さ、おふつり様。千夏の穿きもの、脱がしていただけますか?」
「ぁ……、はい……。」
千夏ちゃんは、薬のせいか本当に、全身汗だくになっているらしい。
ジャージのウエストに引っ掛けるように指を入れれば、しっとりと汗に濡れた肌の感触が良く分かる。
それを楽しむように、ジャージの下に指を深くこじ入れれば、さらにもう一枚下の、下着の感触。
私は、指をさらに下着のウエストにまで捻じ込んで、そうして、千夏ちゃんの下半身を覆う衣服を、一気にずるり、と引き下ろす。
きっと、学校指定の水着の跡なのだろうか、足先は健康的に焼けているのに、太腿の半ばまでは生白い肌で。
そのコントラストさえ、ぞくり、と私の情欲を掻き立ててくる。
「はぁ、はぁ……っ♥」
「生娘ですから、綺麗でしょう?」
私は、露わになった千夏ちゃんの下半身を、じっくりと、眺めてしまっていた。
肌が汗にまみれて不快なのか、千夏ちゃんは右足を軽く開いていて。
そのせいで、本来は隠さなければいけない脚の付け根まで、丸見えだった。
ふにふにと柔らかそうな、大陰唇。
ほんの僅かにはみ出した、小陰唇。
大陰唇の割れ目のすぐ上には、僅かな陰毛が茂っていて。
正直に言えば、10代の後半になったばかりの女の子のそこを、こうしてまじまじと、いやらしい目で見るなんてこと、初めてで。
「それではおふつり様、まずは、準備をさせていただきますねぇ……?」
「じゅん、び……?」
「はい、おふつり様の立派なおちんぽ、すぐに捻じ込めるように、ほぐしますから。」
言うが早いか、冬莉さんは、くったりとだらしなく伸びる千夏ちゃんの両足に手を伸ばして。
そうして、太腿の中ほどに手を添えるや否や、左右に割り開く。
そうすれば千夏ちゃんは、ひっくり返ったカエルのように、がに股に足を開かされて。
千夏ちゃんはもう完全に、薬が効いて朦朧としているのか、そんな恥ずかしい恰好にされても、されるまま。
「私も、初めて巫女になった時は、おふつり様にこうして、よしよしって、可愛がられたんです。」
「ん゛……♥ ううぅ……っ♥」
「ぁ……。」
冬莉さんは、当時の事を思い出してでもいるのか、どこかうっとりとした様子で、千夏ちゃんの足の間に右手を伸ばして。
そうして、その柔らかそうな、千夏ちゃんの大陰唇のお肉に指を触れさせて、くにくに、とほぐし始める。
薬のせいで敏感にもなっているのか、千夏ちゃんは途端に、小さく声を上げて。
眉根を寄せながら、ゆるり、と腰をくねらせて。
「おふつり様の中には、薬も盛らんで巫女に無体をする方もいらっしゃるから、私は運が良かったんでしょうねぇ?」
「う、あっ……♥ ん、んっ♥♥ おかぁ、さ……っっ♥♥ んぅっ♥♥」
「は……、はっ……♥♥」
冬莉さんはまるで、本当に何でもないように、ぽつり、ぽつり、と言葉を漏らして。
そうしながらも、その右手は、千夏ちゃんのおまんこを、愛撫し続けている。
今は丁度、千夏ちゃんの陰核の辺りに、中指と薬指とを添えて、ぐり、ぐり、とゆっくり、円を描くように、その柔肉を捏ねていて。
そうして冬莉さんに右手が蠢く度に、はふ、はふ、と千夏ちゃんは心地よさそうに、息を荒げて。
母親の手指で、明らかに、感じている。
「おふつり様、こっちも、見てやってくださいな。」
「あ、あっ……♥♥」
「ふぅ、ふっ……、ふーっっ……♥♥」
冬莉さんは私に話しかけながら、その左手でゆったりと、千夏ちゃんの白い腹を撫で上げて。
そうして、慣れた母親が子にするような、少し荒い手つきで、千夏ちゃんの胸を覆う、ねずみ色のスポーツブラを、たくし上げる。
そうすれば、その下からまろび出てしまうのは、私の片手で作ったお椀に、すっぽりと納まってしまいそうな、慎ましいサイズのお胸。
柔らかそうで、けれど張りが残って、少しだけ硬そうで。
一目で明らかに、熟れてないと分かる、そのおっぱい。
冬莉さんは、発達しきっていないその乳首を、さりさり、と爪の先で擽るように引っ掻いていて。
そうすれば、堪え切れないようにもじもじとくねる、千夏ちゃんの腰の動き。
その様子を食い入るように見つめている私の目はきっと、相当に血走っているに違いない。
「おふつり様ったら、そんな情熱的に千夏のこと見て……。」
「うぁ、ぁ……、や、やぁっ……♥」
「千夏、よかったねぇ……? もっと奥も、見てもらおうねぇ?♥」
「や、やだ、っ……♥ ん、うっ、うっっ……♥♥♥」
千夏ちゃんは、私の血走った視線に気付いてしまったのか、小さく、いやいや、をするように首を振って。
けれど、長年の間巫女に盛られ続けていたこの薬の効果は、驚くほどに強いものらしい。
結局千夏ちゃんに出来た抵抗なんて、それだけで。
だらしなく、くったりと弛緩した身体は、がに股に開いた足を閉じることもできないようで。
だから、冬莉さんの言う、もっと奥。
千夏ちゃんのおまんこに添えられた右手が、くぱり、と千夏ちゃんのその割れ目を、大きく開いて。
その、濃い桃色のお肉を、ひくひく、と蠢く肉穴を、とぷり、と溢れる蜜を湛えた膣穴を、しっかりと私に見せつけて。
「ほら、千夏。そろそろイくとこ、見てもらおうね。」
「や、あっ♥♥ あ、ああぁっっ♥♥ んんぅぁあぁあっっっ♥♥♥♥♥」
冬莉さんの右手は、器用に千夏ちゃんのおまんこを広げながら、ぴん、と明らかに興奮して硬くなったクリトリスを、ぐりぐり、と少し乱暴にこね回して。
そうすれば、散々に薬で昂らされた千夏ちゃんの身体は、そんな愛撫に耐えられるわけもない。
千夏ちゃんは可愛らしく喘ぎながら、かくん、かくん、と腰を跳ねさせて。
誰が見たって、彼女は、達していた。
娘が、母親に、マンズリされてイかされる。
そんな、普通ならあり得ない倒錯的なシチュエーションに、若干の薬が残る私の頭も、ぐつぐつ、と煮えたぎって。
「ほら、千夏。しっかり見ないと。」
「はぁ、はぁっ……♥ え……?あっ……。」
「やっぱり、おふつり様のちんぽ、立派だねぇ?♥」
「や、やだ……、やだ、や、だ……。」
千夏ちゃんの身体はもう、準備なんてとっくにできているに、違いない。
そう判断した私は、浴衣の腰帯をもどかしく思いながら解いて。
そうして、前合わせをくつろげながら、千夏ちゃんの足の間に陣取ってしまう。
さらには、ごちそうを前にして、待て、のできない犬のように息を荒げながら、穿いていたボクサーショーツを、ずるり、と引き下ろす。
そうすれば、ぶるり、と零れ落ちたちんぽに感じる、二つの視線。
熱っぽく私のちんぽに視線を送る冬莉さんは、そっと、千夏ちゃんの頭を両手で支えて、彼女の視線を無理矢理に、私のちんぽに向けていて。
そうして、薬で蕩けながらも、自分の運命を悟ってしまった千夏ちゃんは、明らかに怯えた顔で、私のちんぽに釘付けになっていた。
「さ、おふつり様、千夏のこと、孕ませてくださいな?♥」
「や、だ……、やだ、やだ、やだやだやだやだ……っ。」
「こぉら、千夏? わがままを言わないの。♥」
私を拒否しようとしたのか、母親か誰かに助けを求めようとしたのか。
薬で自由の利かない体で必死に伸ばした、千夏ちゃんのその両手は、優しく、優しく、冬莉さんに絡めとられて。
そうして、おいたが出来ないように、しっかりと布団に、押し付けられる。
そうすれば、私の目の前に用意されるのは、薬ですっかりと蕩けた、抵抗もできない若い娘の、無防備な肢体だけ。
これから繰り広げられるのは、私と千夏ちゃんの、不同意性交。
いや、でも、本当に不同意なのだろうか。
だって、千夏ちゃんの保護者である冬莉さんとは、同意が取れている訳で。
だから、もう、良く分からないけど、とにかく千夏ちゃんと、ヤりたくて、仕方ない。
私は、右手で自分のちんぽを支えながら、千夏ちゃんの股座ににじり寄って。
そうして……。
「う、い゛っっっ……!! んぅ、うぁあぁあっっ!?」
「んくっ……♥♥ んおっっ♥♥ ちんぽ蕩けそう……♥♥」
「あらあら……♥ 千夏、良かったね、良かったねぇ?♥」
ひく、ひく、と微かに震える膣穴に、ちんぽの先を押し付けた後はもう、あっという間だった。
一刻も早く、ちんぽで気持ち良くなりたかった私は、千夏ちゃんの初めてを味わうこともせずに、腰を押し出して。
そうすれば、冬莉さんの手で、ほかほかに暖められて、とろとろの蜜で蕩けた千夏ちゃんの膣穴は、私のちんぽをすぐに受け入れてくれる。
始めて受け入れるそのちんぽの大きさに、みちり、と軽い抵抗はあったものの、無理矢理に腰を振れば、その膣穴はすぐにこなれて。
「んん゛ぉっっ!?♥♥ あ、ひ?♥♥ んん゛ぅうぅっっ!?♥♥♥」
「はっ、はっ♥ はっっ♥♥♥」
「おふつり様ったら、すっかりと千夏に夢中ですねぇ?♥」
ふたなりの人が風俗に行くと、嬢の人に嫌がられるとか。
そんな冗談をよく聞くくらいには、ふたなりのちんぽは、大きいらしい。
だから私のちんぽも、まあ、多分、大きい方なんだろうと思う。
だって、過去に居た恋人もエッチの時には、あまりいい顔をしなかったし。
何より、適当に買ってきたコンドームが、みちみちに食い込んで、痛いくらいにきつかったし。
そんなちんぽを今、私は、まだこどもと言っても良いような年頃の千夏ちゃんに捻じ込んで、彼女の母親である冬莉さんに見守られながら、がむしゃらに腰を振っている。
明らかに奥の壁に届いているのに、ちんぽを根元まで呑み込ませるために、どすどす、と突き上げて。
そうして、きつく締め付ける癖にやわやわとろとろの膣肉で、根元から先っぽまでちんぽを扱くために、長いストロークでピストンを繰り返して。
そうして、そんな乱暴を働いているのに、私の耳に届く千夏ちゃんの声は、困惑交じりの、喘ぎ声。
捻じ込んだ直後こそ、破瓜の痛みに呻くような声を上げていたものの。
幾度かピストンを繰り返せばその声は、甘く、裏返って。
「あ、お゛っっ♥♥ んんぅっ♥♥ う゛、ん゛ん゛んぅぅぅぅっっっ♥♥♥♥」
「千夏ったら、お母さんの指より、おふつり様のちんぽの方が、気持ち良いんだねぇ?♥」
そうして、千夏ちゃんは追い詰められるように、もう何度目とも分からない絶頂を迎えてしまう。
エッチが初めての少女が、強姦されるような勢いでちんぽを捻じ込まれて、何度目かも分からない膣中イきを強要される。
そんな事が起こり得るのは、明らかに、あの怪しいお薬の所為。
それなのに、そんなお薬を、有ろうことか娘に盛ったその犯人は。
まるで、娘の成長を悦ぶような慈愛の目で、にっこりと、その様子を見下ろしていて。
悪意なんてそこには無いと理解してしまうからこそ、この集落の、信仰の、風習の悍ましさが浮き彫りになって、ぞくぞく、と背筋が粟立って。
「あ、だめ、イくっっ♥♥♥ ん、ぉっっ♥♥ ぉ、おっっ♥♥♥♥」
ぐびゅっっ♥♥ びゅりゅるっっっ♥♥ びゅーーーーっっっ♥♥♥♥
びゅぐ、どぷっ、ぶぢゅびゅっっ♥♥ どく、ぶびゅっっ♥♥♥
どぷ、びゅぐっっ♥♥♥ びゅ、びゅりゅっっ♥♥♥
むしろ、自分の方が、この集落にとって異物なのだと。
それを感じた途端、心のどこかで必死にせき止めていたそれが、溢れてしまった。
そうして、抵抗もむなしく、私は、年端も行かない少女の、けれど、子を孕むことが出来る年頃の女に胎に、だぷだぷ、と精液を、欲望を、注ぎ込んで。
「はぁ、はぁっ♥♥♥」
「良かったねぇ、千夏♥ たぁんと、中に出してもらったねぇ?♥」
「う、うぅ……♥♥」
私は、射精の余韻までをしっかりと、少女の膣の中で余すところなく味わって。
そうしてから腰を引けば、ぬぽん、とちんぽが引き抜かれた後に残る、ぽっかりと口を開いたままの、少女の膣穴。
やがてその穴からは、私がたっぷりと吐き出した精液が、どろり、と逆流して。
それを見た冬莉さんは、薬のせいでぐったりとしたままの娘の頭を、まるで祝福するかのように、なで、なで、と優しく撫でる。
まさに、異様な光景だった。
「さ、おふつり様? この娘が孕むまで、お願いしますね?♥」
「は、は……。 あはは……♥」
私の目の前には、とろり、と表情を蕩けさせながら、股座から凌辱の証を逆流させる、少女。
そうして、娘の妊娠を心から望んでいるという目で、千夏ちゃんに優しく視線を送る母。
そうして、一度では足りないと、痛いくらいに勃起し続けたままの、自分のちんぽ。
私は、自らが置かれたその異常な状況について行くことが出来ずに、とうとう正気を、手放してしまったのだった。
────
それからの私は、その集落での時間を、淫蕩に耽る様に過ごしていく。
朝から、晩まで、少しでも催せば、千夏ちゃんの若々しい肢体を楽しんで。
腹が減れば、冬莉さんの用意したご飯を、腹いっぱいにかきこんで。
そうして再び、怯えた目をした千夏ちゃんに覆いかぶさって、自分本位に精を吐き出していく。
普段着で、制服で、水着姿で、緋袴姿で。
毎日、日替わりを楽しむように衣装を代えさせて。
ある日は薬をたっぷりと飲ませて、膣肉に塗り込んで、その頭を、とろり、と蕩け狂わせて。
またある日は薬を抜いて、千夏ちゃんのその、怯えて逃げて強張る、生の反応を楽しんで。
射精のし過ぎでちんぽの元気がなくなれば、私が休んでいる間、千夏ちゃんにずっとしゃぶらせて、奉仕させて。
そうして、そんな堕落しきった日々を過ごす私が、唐突に正気を取り戻したのは、涼しい日がちらほらと訪れるようになった、秋のことだった。
「おねえさん♥ んぢゅ、る……♥ ぢゅぷ♥♥ おねえさぁん……♥♥」
「あ、あ……? あれ……?」
内腿に感じる、髪の毛がチクチクと刺激するくすぐったさ。
そうしてちんぽに感じる、何か生暖かいものが、吸引しながら這い回る様な、気持ち良さ。
ふと見下ろせば、まだこどもと言っても過言でない年頃の少女が、私のちんぽにしゃぶりついている。
その正体が、千夏ちゃんだということに気付いたその瞬間、今日までの間に過ごしていた淫蕩に塗れた生活の記憶が、脳裏にまざまざと蘇ってくるようで。
「ぢゅぅぅ……、っぷぁっ♥♥ おねぇさん、ご褒美、ください……♥♥」
「え、あ……、うん……。」
どうやら今は、先ほどまで交わっていたその、後始末の途中だったらしい。
所謂、お掃除フェラという奴を済ませた千夏ちゃんは、とろり、と嬉しそうに蕩けた表情で、私にご褒美を求めてくる。
ご褒美、ご褒美になる物、何があったっけ。
そう考えてしまうあたり、私はまだ全く、素面ではないのかもしれない。
「お姉さん、ご褒美、はやくぅ……♥」
「あ、えっと……。」
しびれを切らせ始めているのか、千夏ちゃんは、早く早く、と私に甘えて見せてくる。
けれど、でも、そんな事を言われても。
正気を取り戻してしまって、狼狽えている私の指先に、こつん、とふれる、小さな何か。
ちらり、とそこに目をやれば、それは、小さな陶器の器。
私達がこうなってしまった原因の、冬莉さんが私達に盛った、あの薬の容器だった。
「ぅぁぁ、お姉さん、いじわるだぁ……♥♥ あむ、れりゅ、ぢゅる……♥♥」
「あらあら、二人とも、面白いことしてるんねぇ?♥」
その器を見て、これだ、と思ってしまうあたり、どうやら私は正気に戻ったようでいて、けれど、やはり、そうではないようだった。
私は気が付けば、千夏ちゃんの丁寧なお掃除で硬さを取り戻しかけていたちんぽに、こってりとした軟膏のようなお薬を塗りたくってしまっていて。
そうして、私のその様子を見た千夏ちゃんは、嬉しそうにその表情を歪ませて。
そうして、再び私の股座に顔を寄せて、ぢゅりゅぢゅる、とちんぽをしゃぶり始めてしまう。
その途端に頭のてっぺんまで突き抜けていく、生暖かい快感に、私はたっぷりと幸せの溜息をついて。
そうして、お盆の上に色々な物を乗せて部屋に入ってきた冬莉さんと、目が合ってしまっていた。
「ほら、千夏、そんな生ぬるいご奉仕じゃ、だめでしょう?♥」
「んぐ、ぐぎゅっっ♥♥ んぶぇ、んぐっ♥♥ うううぅっっ♥♥」
「は、んんぉっ♥ それ、やば……っっ♥♥♥」
近くのちゃぶ台の上にお盆を置いた冬莉さんは、絡み合う私達の傍に、すとん、と膝をついて。
何をするのかと見守っていれば、その両手を千夏ちゃんの後頭部に、そっと乗せる。
そうして次の瞬間、体重を掛けるように、千夏ちゃんの頭を私の股座に押し込んで。
そうすればまるで、ぐぽん、と音を立てそうな勢いで、私のちんぽが全部、千夏ちゃんに文字通り飲み込まれて。
ちんぽの先が、みちり、と喉肉で、締め付けられて、気持ちいい。
「おふつり様も、いけませんよ? この年頃の娘は生意気なんですから、もっと心を鬼にして、躾けないと。」
「んぎゅ、んぶっっ♥♥ ぶふっっ、え、ぎゅっっ♥♥ んぢゅ、るっっ♥♥♥」
冬莉さんはどこか呆れたように私の事をたしなめながら、気付けばしっかりと千夏ちゃんの頭を両手で掴んで。
そうして、千夏ちゃんの口と舌と喉とをオナホのように動かして、私のちんぽを、ぐぽ、ぢゅぽ、と扱き始める。
それに便乗するように、千夏ちゃんはきちんと、私のちんぽを吸って、舌を擦りつけて、今までの教えを守るかのように、奉仕して。
「はぁ、ううぅ、もう、出ちゃう……っ♥♥」
「んぐ♥♥ ぢゅ、ぢゅりゅっっ♥♥ ぢゅぷ、んんぎゅ……♥♥」
「あら、千夏に飲ませますか?♥ それとも、顔を汚しますか?♥」
「んぅ、飲んでっ、飲め、飲めっっ♥♥♥」
「あらあら、それじゃぁ、こうですねぇ?♥」
「んぐぎゅっっ!?♥♥ んぅ、ぇぎゅっっ♥♥ んぶ、ぶぎゅっっっ♥♥♥」
冬莉さんは、千夏ちゃんの頭をしっかりと、私の股座に押し付けて。
そうしてそのまま、ぐりぐり、と、左右に、上下に、円を描くように、捏ねるように揺さぶって。
そうすれば、千夏ちゃんの喉奥にまで届いている私のちんぽは、その喉肉をあちこちに擦れて、その締め付けを無理矢理に抉じ拡げて。
その度に、千夏ちゃんから漏れるくぐもった音が、辺りに響く。
私は、そんな心地よい音を耳で楽しみながら、快感に身を委ねて。
びゅぐ♥、びゅりゅる♥、とちんぽを震わせながら、その喉に精液を注ぎ込んでいく。
「んぎゅ♥ んく、く……♥♥ ぷぁっっ♥♥♥」
「千夏。 飲めたら、大きく口開けて、舌出して、見てもらわないと。」
「ん、ん……♥♥ んぁ、れぇ……♥♥」
「よしよし、千夏ちゃん、偉いね。♥」
そうして、射精の快感が遠ざかって、余韻をも楽しんだ後、しばし。
やっと冬莉さんの手から解放された千夏ちゃんはそのお口から、喉まで届いていたちんぽを、ずるぅり、と引き抜いて。
そうして、母親に言われるままに、しっかりと精飲した証拠を、私に見せつける。
そんな可愛い様子を見せてくれたなら、私の方も、しっかりと彼女を褒めてあげないといけない。
私はそんな当たり前に従って、千夏ちゃんの頭を優しく何度も撫でてあげて。
そうして、ちゃぶ台の上に置かれていた、小さな箱の存在に気付く。
「冬莉さん、これは……?」
「そろそろ千夏も、おふつり様とまぐわい始めて、二月くらいが経ちますから……。」
「え……?」
「千夏、お手洗いでこれ、試してきなさい。」
「お母さん、これ、なあに?」
「これにお小水かけるとね、孕んでいるかどうかが分かるんよ。」
冬莉さんは、てきぱき、とその桃色の紙箱を開けて、そうして、その中身を千夏ちゃんにそっと手渡す。
細長いプラスチックのそれは、その片方の端と本体の真ん中辺りに、いくつかの小窓が開いていて。
私自身が手に取ったことはなかったものの、存在を知るそれは、妊娠検査薬だった。
「おふつり様、楽しみですねぇ?」
「あ、えっ……? は、はい。」
「そんな緊張せんでも、ダメだったら、孕むまですればいいんです。」
「は、はぁ……。」
「それに孕まなくても、新年には大祭がありますから。」
「っ……。」
そう、そうだった。
私が、今、千夏ちゃんを孕ませることが出来なければ、彼女は巫女として、大祭に参加しなければならなくて。
そうして、大祭が開催されるひと月の間、大勢のおふつり様に、汚される。
この頃の千夏ちゃんはすっかり、お薬がなくとも私に懐いてくれていて。
そうして、私のちんぽにすっかりと、屈服してしまっていて。
それが、その、吊り橋効果だとかストックホルムだとか、その他いろいろが入り混じったものだとしても。
千夏ちゃんが私に好意を持ってくれているわけだから。
だから、一人の純真な少女の人生を完全に私が壊したという罪悪感と達成感に、ゾクゾクするような高揚感を抱いている。
そうして私の胸の内には、みっともない程に、千夏は私のモノだという、どす黒い独占欲が、こびりついて離れなくなっていて。
だから、千夏ちゃんを孕ませないままに、自分の家になんて帰りたくない。
「お母さん、これ……。」
「お帰り、千夏。どれどれ……。」
やがて、お手洗いから戻った千夏ちゃんは、トイレットペーパーで包んだそれを、冬莉さんにそっと差し出して。
それを受け取った冬莉さんは、まじまじと、箱の中身の説明書と、妊娠検査薬とを見比べて。
やがて結論が出たのか、手の中のそれを脇に置いた冬莉さんは、深々と、私に対して三つ指をついて頭を下げてくる。
「おふつり様、本当にありがとうございます……。」
「それじゃぁ……。」
「はい、千夏は、おふつり様の子を、孕んでおります。」
「……っ♥」
それは、正常な判断を失ってしまった私達にとっては、とても、幸せな報せだった。
思わず千夏ちゃんの方に視線をやれば、彼女は何処か優しく緩んだ表情で、自らのへその下を撫でていて。
「赤ちゃん……♥ ここにお姉さんと私の赤ちゃん、居るんだ……♥」
そんな事を呟きながら、にっこりと、幸せそうに微笑んでいる。
私はそんな千夏ちゃんの傍に寄って、その身体を、ぎゅぅ、と抱きしめる。
そうすれば、彼女ははにかみながら、私の体に腕を回して、抱擁を受け入れてくれる。
腕の中にすっぽりと納まる千夏ちゃんは、とても暖かくて。
まるで、私達の幸せが確約されたかのような、そんな瞬間。
けれど、私達のそんな時間は、冬莉さんの言葉で中断されてしまう。
「おふつり様、これで、千夏は冬の大祭をやりすごせます。」
本来、おふつり様と巫女とは、一期一会。
一人のおふつり様が、集落の娘を孕ませ続ければ血が濃くなりすぎてしまうから、そこにずっと留まることは、許されない。
つまり、おふつり様としてのお役目を果たした私は、用済みで。
あまり長々とこの集落にとどまっていれば、妙な目を向けられてしまう。
だから、冬莉さんは私のことを、追い出しにかかる訳だけれど。
けれどそれは、冬莉さんとの新たな契約の、始まりでもあった。
「でも、来年、子を産んだ後はまた、千夏は巫女として大祭に参加しなければなりません。」
「あ……。」
「だから、おふつり様。次の夏もうちに来て、千夏を孕ませてもらえませんか?」
つまり、来年の夏、千夏ちゃんの胎が空いた時。
たまたま、この集落を訪れていたおふつり様である私が、たまたま、篠田家の民宿に滞在して。
そうしてたまたま、巫女としておふつり様に奉仕した千夏ちゃんを孕ませるのは、自然なこと。
ふと気付いてしまったそれは、母親である冬莉さんが、集落の風習から、かろうじて娘を守ろうとする、選択だった。
「それに、良ければ、冬の大祭の時期にも、いらしてください。」
「え……。」
「別にお祭りに参加しなくとも、うちで腹の膨れた千夏と過ごしていただければ、それだけで良いですから。」
しばらく集落を出ることが許されない年頃である千夏ちゃんが、寂しくないように。
にこにことしながら冬莉さんが私に提案するその姿は、きっと、母親としての千夏ちゃんへの、気遣いなのだろう。
そうしてそれは、集落の信仰と風習に逆らえない冬莉さんが選んだ、戦い方で。
それを悟った私は、それらの提案に二つ返事で頷いて。
次は冬に来ることを千夏ちゃんと約束して、帰路に就くのだった。
────
「そうして、君と千夏ちゃんの遠距離恋愛が始まったと、そういうことかい?」
「いや、まぁ、はい……。」
「はぁ……、あまり深入りしないようにと警告したつもりだったのだけれど……。」
「それは、その、あんな薬を盛られたら、不可抗力というか……?」
「まあ、変な正義感を振りかざさなかったところは、褒めてあげるよ。」
「ありがとうございます……?」
私は、地元に帰ったその足で、大学に顔を出して。
そうして、私を唆した教授に、レポート代わりの報告を行っていた。
気が付けば、教授の深入りするなという警告なんて、どこへやら。
妙な薬を盛られたのが原因とは言え、足の先から頭のてっぺんまで、あの集落の事情に、深入りしきってしまっていた。
けれど私は、結局その集落の抱える闇深い風習と、真っ向から対峙することは避けていて。
冬莉さんがせめて娘を守ろうとしたその策略に乗ったことでさえ、正しかったのかどうかなんて、今も分からない。
「で、その話が本当なら、これから5年間の間、毎年君は千夏ちゃんを孕ませて、5児の親となる訳だけれど……。」
「そりゃ、全員引き取りますよ。二十歳になれば千夏ちゃんも、集落を出られるみたいですし。」
「まあ、君の人生だから、君の選択を尊重するけれど……。君たち二人のこども達をあの集落から連れ出すのは、骨が折れるだろうね。」
「なんとか、します……。」
「まあ、その時になったら、伝手はあるし、協力するよ。」
「っ! ありがとうございます!」
「とにかく今は、レポートを提出すること。じゃないと、さぼっていた分の単位、上げないよ?」
「えぇ……。」
それだけを言い終えた教授は、あの日と同じように窓を開けて、身を乗り出しながら紙巻のたばこに火を着ける。
とにかく、教授に唆されたのが原因とは言え、大変なことに巻き込まれたもんだと思う。
けれど、私の胸の中には、そんな事に対する後悔なんて、微塵も無くて。
微かにこちらに届くたばこの匂いを感じながら、冬には千夏ちゃんと会えるという、その事実にただ、思いを馳せるのだった。
創作の中でだけ言える事ですが、本来なら娘を一番に守るはずの母親が、その娘を生贄にするお膳立てを積極的にしていく様子って、なんだかおぞましくて、素敵です。
ハーメルンさんでの投稿は初めてでごわす……。
お手柔らかにお願いします……!