「女王の後継ぎは我らにとっても死活問題。やり方が荒い気がするけど、これも世のためサキュバスのため…。えいやっ」
サキュバスは魔法を唱えるとつい先程まで自慰に耽っていた男を呼び出してサキュバスの女王の寝床の上に落とした。驚いた女王は体を起こすと目の前には一物を丸出しにした男がいるもので悲鳴をあげた。
当然いい雰囲気になどなるはずもなく男はズボンを着せた上で魔法の拘束具で拘束され、魔法で召喚したサキュバスは亀甲縛りにされた。不機嫌極まるサキュバスの女王は王座に座ってサキュバスに殺意に目を向ける。
「ミナス。何か遺言はあるか」
「ひえーっ!お許しを女王、元老院から催促が来ておりますれば!早く後継ぎの顔を見せろと仰せです!!」
それを聞いて周囲のサキュバスは胃が痛くなった。元老院の面子は女王の身を引いた権力者達でありその座を譲っていてもその影響力は侮れない。また新人いびりをする事もしばしぱあり、当代女王が元老院に反抗的なためそれを理由にしてはちくちくと嫌味を言いに来たりするのだ。
と言うより元老院は敢えて反抗的なサキュバスを推薦したものと思われる。権力者として身を引いた元老院がストレートに干渉できるのは女王と女王の政治回りだからだ。国政は裏からどうにでも操り様があるのでおちょくり甲斐がある女王を選ぶ事がしばしばある。(女王は推薦を無視して後継を選べるが元老院の半数以上の承認を得られなければ後継にはできない)
しかし当代女王の反骨精神は逞しく元老院でも手を焼いていた。対立してる問題の1つが後継ぎ問題。本来のしきたりでは女王が子供を産んで実子も含めた城内のサキュバスから後継ぎに相応しい人物を選び身を引いて元老院入りする流れになっている。ところが女王は性と性行為を蛇蝎の如く嫌っているので制度そのものから変えようとしている。
「それが何だと言うのだ。まあいい。貴様の処分は後だ。さて、表を上げよ」
「はあ…。俺巻き込まれただけなんで帰ってもいいですか?」
女王は眉間にシワを寄せて鞭を取り上げ男を引っ叩いた。
「いでえっ!」
「喋っていいとは言ってない。言葉に気を付けろ、私は大変虫の居所が悪い。ついうっかりお前の首を刎ねてしまうかもしれん。分かったな?」
男は黙った。
「分かったら返事!」
スパァン!また鞭を叩かれた。
「滅茶苦茶だなこの人…」
「サキュバスの女王と元老院は大体あんな感じ。やってられんよね」
ミナスがケタケタ笑った。2人に鞭が飛んで来る。
「さて、お前は確かにミナスに連れて来られただけの被害者だ。しかし女王の寝室に侵入し、あろう事かその…なんだ。あれ。あれを見せたから。うん。処罰せんといかんだろ」
「女王、おちんちんぐらい言ってくださいよ。他のサキュバスにゃあれじゃ伝わりません」
ミナスが呆れて言うので女王の鞭がまた飛んで来た。
「男は百叩きの刑、ミナスは市中引き摺り回し打ち首獄門の上に島流しだ」
「ひえーっ!…打ち首獄門の上に島流しはちょっと無理ありません?」
口答えをしたとしてまた鞭で叩かれている。辺りのサキュバスは何故か市中引き摺り回しコールをしている。男が耳を澄ませると何やらキャッチハート号が見られるだの、女王の運転テクニックが見られるだの、早く処刑しようだのときゃいきゃいとはしゃいでいる。女王は床を鞭で叩い周囲を黙らせた。
「物騒だなあ。なんてったって市中引き摺りまわしでこんなに盛り上がるんだ」
「娯楽の少ない魔界じゃ処刑もエンタメなのよん♪」
また2人して鞭で叩かれた。女王の指示で庭に連れて行かれ早速と処刑の準備が始まる。どうやらミナスから順番らしく男は隣でその準備をただ眺めていた。ミナスは頭をフル回転させて何とか処刑を食い止めるための一手を考える。
女王は退屈そうに断頭台やらバイクやらが運ばれてくるのを頬杖突いて待つ。
「…ところで女王、任期はいつまででしたっけ」
「これから死に行くお前には関係ないだろうが…冥途の土産に教えてやる。20年はあるぞ」
勝ち誇ったような顔で言うが側近のサキュバスは少し目を泳がせた。ミナスはすぐに健康診断結果を見せる様に言う。女王は渋ったがどうやらこれは囚人の身であっても知る権利があるらしく側近はミナスに見せざるを得ず持って来た。ミナスはそれを女王に見せる様に言う。彼女は首を傾げながら見るとギョッとした。
後3年となっている。人間感覚では遠い未来の様だが悪魔の時間間隔で言えば数か月と言われた様なものだ。女王は健康診断で自分の年齢を確認してサキュバスと話をしている。そう、女王の計算が間違っていたわけではない。一般的なサキュバスの能力からすれば計算通り後20年はあるはずなのである。
魔界通信機を使って健康診断をした医者を呼び出した。
『はい、何がご用で女王様』
「おのれ藪医者め、健康診断に適当な事を書いたな!!何だ任期が後3年って!」
『おやおやおや、今まで目を通しておられなかったのですか。任期が始まってからずぅーっと書いておりましたのに』
「見る訳ないだろ!どこからどう見ても私は健康そのものじゃないか!!」
『再検査の通知まで送ってたんですけども…』
「ええっ!?」
急に動揺し始めた女王に医者からどこが悪いのか順を追って説明している。女王の生活は極めて規則正しく生活習慣も整っている方だがどういう訳かそれは人間を基準とした場合の話だった。その生活はサキュバスにとっては生活習慣病をコンプリートする勢いの不摂生でこれまで特に目立った症状が出なかった方が不思議なほど体はボロボロなのだと言う。
女王の生活は朝6時に起床し、夜21時30分には床に就いて22時には熟睡する様にして8時間以上の睡眠時間を確保している。サキュバスは夜行性なのでこれは常に昼夜が逆転してる状態にあるので本来の生活リズムに反していて体調に良くない。次に食事。摂取カロリーを計算しながら一日に2食、炭水化物の量は控えめで肉はタンパク質豊富な物と野菜で食物繊維も摂取しつつ果物も食べて微量栄養素もカバーしている。なのだが、サキュバスの主食は人間の精力なので人間で言えばお菓子とジュースのみ摂取している様なものだ。
運動や勉強は良いのだが生活習慣の基盤がサキュバスとしての健康を大きく損なっており治癒脳裏は衰え、ホルモンバランスが取れてないため苛立ちやすく、栄養が偏っているため血管はボロボロ、血液はドロドロ、生活習慣病による合併症上まで起きていた。
「あわわわわ、あわわわわわわ…。そそそそんな馬鹿な、ネットでは確かにサキュバスでもセックスに頼らない健康法があるって…」
『プラトニックってサイトですよね。あそこ私の友達も書いてる記事があるのであまり悪く言いたくないんですけど、アクセス稼ぎや補助金目当てに大仰な肩書きをぶら下げたいい大人が大げさに書いてるデタラメ記事も少なくないので話半ばに信じる方がいいですよ。若くて多感な年頃のサキュバスをカモにされてるんです』
女王は頭を抱えた。静かに魔界通信機を切る。
「女王様、しきたりのせいで実子がいなければ後継ぎを選べません。もうすぐ元老院から元女王の方がお戻りになる事になりますが…?」
ミナスはわざとらしく涙をこぼしてみせる。
「だまらっしゃい!」
女王は鞭でミナスをぴしゃりと叩く。女王は内心焦っていた。この国の制度を変えるには2つの議院で賛成を半数以上勝ち取り魔界議会で可決されなければならない。念入りな根回しを続けているが最低5年、多くて10年かかる。本来なら余裕のはずだったがここに来て窮地に立たされた。
後継ぎの指定は女王の責務の1つである。他2つは既に達成しているが女王としては1つでも達成できなければ不履行の烙印が押され元老院入りができない。また女王になる権利も奪われるので頑張って次期女王の顔色を窺おうが元老院の推薦を集めようが2期目はない。そしてトドメに女王時代の横暴が過ぎれば過ぎるほど一般サキュバスに戻った後が悲惨な事になる。
また、一度元老院入りした女王は次期の女王さえ指名すれば(実子を作る責務も免除される)3つの責務を果たさずとも元老院入りの資格を奪われる事はないので、次期の女王指名までの100年間は好き放題できる。これもあって元老院から女王が戻って来る事態をどのサキュバスも避けたいのである。
「見てくださいこいつを。私が地上で厳選に厳選した個体です。…処刑の前にお試しになられては??」
「…ほう。こいつが私の相手に務まると。そう言いたいのだな」
女王はそう言って魔法具を解くと男の前に立った。
「抜け」
「えっ」
男は言っている意味が分からず困惑した。少ししてここで射精しろと言っているのだと気付いた。戸惑いつつ股間に手を伸ばそうとするが…。
「よせ!謁見の間での猥褻行為、いかがわしい行為、淫らな行為は王政への侮辱で極刑だ!」
ミナスが叫んだ。すぐに鞭で叩かれる。男はそれを聞いて手を止めた。
「…どうした。女王直々の命令だぞ」
ニヤニヤと悪辣な笑みを浮かべながら女王が言う。男はゾッとした。命令に従えば侮辱罪で死刑。背いても反逆罪で死刑。要するに「死ね」と言っているのだ。詰みである。ミナスも必死に頭を回転させるが彼がルールに背かず合法的にこの場を切り抜ける方法が思い浮かばない。
「ほお。そうか。私に魅力がないと。そう言いたいのだな?」
サキュバスに対して魅力がないと言うのはアイデンティティを傷つける最大の侮辱である。罪を上乗せにして痛めつけて殺そうとしている。
「ミナス、どうやらお前の見当違いだったらしいなあ。そうまでして私を侮辱したかったか」
「お慈悲^〜!」
ミナスが青ざめた。どうやら今日の処刑メニューより恐ろしい刑罰があるようだ。男はキッと覚悟を決めた顔をする。女王は男の方を振り返ると爪を伸ばして迫る。
「さてと、お前をどうしてやろうかなぁ」
「見抜きした」
「は?」
男の発言を聞いて女王は聞き返す。辺りはシンと静まり返った。見抜きとは本来オンラインゲーム等で相手のユーザーのアバターやキャラなどを見て自慰に耽る行為である。本来は黙っていれば分からない事だが相手にわざと許可を得て相手に羞恥心を植え付けるなどの目的もあるらしい。男はとにかく命令通りに女王をオカズに抜いたと言いたいらしい。手も触れずに。
しかし、この状況でその意味を正しく理解したのは女王以外のサキュバスだけだった。そして彼が嘘をついている事を理解したのも女王以外のサキュバスだけだった。要するに単なるはったりなのである。
「えっ…」
女王は戸惑った。流行語故に「抜く」までは知っているが「見抜き」の意味が分からない。おそらく射精したと言いたい事は理解したがネットスラングは大変複雑でちょっとした言葉の綾で違う意味合いになる事もある。故に断定ができない。
「あーあ。下着がぐっしょりだよ。早く着替えたいな」
男は女王の反応を見てより自信を持って付け加える。女王の目が泳ぐ。
「でっ…」
女王の側近が「でたらめを言うな」と言おうとしたが隣のサキュバスが口を手で塞いで止めた。女王は助けを求める様に視線を送ったが口を防がれたサキュバスはハッとして黙った。
女王以外のサキュバスは男の射精の有無を匂いで判別できる。しかし女王は性行為の経験がないのでその匂いが分からない。女王に男が嘘をついている事を証明するには男のズボンを脱がせて下着を見せなければならない。謁見の間でこれを行えば猥褻行為に当てはまり極刑になる。指摘できないのである。
匂いで判別できないので女王が男が嘘をついている事を指摘するにはズボンを脱がせて射精の有無を確認しなくてはならない。側近や配下に命令すれば非のない同胞を徒に殺したと禍根を残す事になる。自ら進んで男のズボンを脱がせば何の問題もなく証明できるのだが、性行為を嫌悪する女王にはとてもできない。ましてや大勢のサキュバスの前で、謁見の間で。
男は下ネタを言えない事やサキュバスとの会話から女王の性への嫌悪に気が付いた。サキュバスは本来鼻が効くなどは知らない。しかし彼女であれば触れて見て確認するなど不可能だと信じたのだ。
「あっ…ああっ……!」
元々これはミナスの言っていた様な能力の有無を確認するためのほんの遊び心によるテストだった。しかしここで男が射精していない事を確認する事ができないため彼が射精した事を認めざるを得ない。彼が自身の相手としての適性能力があると認めざるを得ない。
女王はゆっくりと男の元へ向かう。こんな奴に抱かれるぐらいなら。男の前で屈み震える手でファスナーに手をやる。はったりに決まってる。スライダーを掴む。
そこでピタリと手を止めた。
もし、もし射精していたら?
女王の脳裏に嫌な予感が過ぎった。考えれば仲間のサキュバスは精子の臭いが分かると言う。実はこの場で本当に男が射精してるのを気付いてないのは自分だけなのでは?
臭いで…射精の有無を判別できなければ…未経験なのがバレてしまう。大勢の面前で…。
「……………」
女王は心を無にして臭いを嗅ぐ真似をする。
「ふ、ふむ。言葉に偽り無しか。してお前、名前は?」
「四五六(しごろ)…」
「私はセイオリーだ」
彼女はできるだけ平生を保ちながら四五六に手を差し伸べる。彼がその手を握ると彼女はそのまま寝室へ連れて行く。ミナスはケタケタ笑いながらその後姿を見送った。
「ごゆっくり~」
長い廊下を歩きながらセイオリーは考える。制度を変えるに後3年ではとても足りない。生活習慣を改める必要がある。そうなればやはり性行為を避ける事はできない。後継ぎにせよ任期にせよもう時間がない。やるしかない。セイオリーは覚悟を決めた。
女王の寝室に着くとセイオリーはベッドに座った。彼女は目を逸らしながら元気なく言う。
「その…すまん。大変いい面のだがその…こういうはやり方が分からん。だから好きにしてくれ」
そう言って彼女は硬く目を瞑った。
「いや…その、俺を家に帰してくれないか?」
セイオリーは目を細めて四五六を見る。
「なんだ。やっぱり射精したって言うのは嘘だったんじゃないか…。私じゃ興奮しないんだろう?」
あの時の様に高圧的な態度を取って即座に死刑にしない辺りこの国にも一事不再理の原則に似た物でもあるのかもしれない。四五六はそんな事を考えていたがこれまでの話を振り返ると彼女も不憫な立場にある気がして何とか言い繕えないか考えた。
「えっと…違うんだ。ほら、男って一度射精すると疲れてそう何度もイケなくて、勃起しないんだよ」
セイオリーは無言で四五六の方を指差すと下腹部に紋章が浮かんですぐに勃起した。所謂淫紋だった。
「ほら、これで一晩中できるぞ」
四五六は頭を抱えた。こんなに勇気を出して誘っていると言うのに四五六は性行為ができない理由を考えるものでセイオリーも内心傷ついた。
「下手に気遣われる方が傷つくんだよ。いっそ潔く私に魅力がないと言ってくれ」
そう言ってベッドに寝転がった。彼女は疲れた目でベッドの天蓋を眺める。四五六は彼女のすぐ近くに座る。
「じゃあ正直に言う。…俺、純愛厨なんだ。そりゃ性欲はあるけど…段階を踏まないでいきなりセックスって言うのは何か違うと思う」
それを聞いたセイオリーが驚いて四五六の方を見た。
「そ、そうなんだ。いや…てっきり人間って年がら年中腰を振る事しか考えない獣だと思ってた。好みとか好みじゃないとかそれだけの問題じゃないんだな…」
「ははは…」
四五六は苦笑いした。セイオリーは微笑んだ。
「でも良かった。私もその…純愛厨?だと思う。好きでもない人と体を重ねて何が愛だよって思うんだ。サキュバスがこんな事言っちゃおかしいかな」
「いや」
それを聞いて益々ご機嫌そうにセイオリーが笑った。彼女は四五六を見つめながら自分の隣尾ポンポンと叩いた。どうやら隣に寝ろと言いたいらしい。四五六はセイオリーの隣に寝る。一緒に天蓋を眺めた。ここから見える天蓋はゆっくり動く星座が描かれている。とても綺麗だった。
「四五六は恋人はいるのか?」
「いない。これからもできないだろうな」
「寂しい事言うなよ。立場的に優位に立っても権利を振り回す事はなかった。私から見てもお前はいい奴だしきっといい恋人ができるよ」
「…友達にも言われたよ。お前はいい奴だって。でもいい奴って言われる人は大体受動的、消極的で必要に迫られなければここぞと言う時に自ら進んでチャンスに向かって進んでいけない小心者なんだ。だからチャンスを掴めない。今後も逃し続ける。だから生涯独り身なんだ」
そうでなきゃ1人寂しく自慰に耽ってるもんか。と言いたかったがそこは口をつぐんだ。女王はニヤニヤと笑いながら四五六の方を向く。
「なんだ、グイグイ来る積極的なタイプが好みなのか」
「…そうだな。手を引っ張ってくれる人がいいかも」
そう言うとセイオリーは四五六の手をぎゅっと握った。四五六は驚いてセイオリーの方を向いた。
「どいつもこいつも肉欲ばかりで嫌いだ。でもお前は違う。他者の精神に触れ合い向き合う純粋さがある。…お前に興味が出て来た。気に入らなければフッてくれて構わない、私と付き合ってくれないか?」
四五六は少し考えた。今の彼女こそは大変大人しいが日頃は非常に気性が荒く悪魔の名に違わぬ残虐さがある。先程までは単なる被害者に過ぎない自分を百叩きの刑にするだの、遊び半分で死刑にしようとした。仮に交際したとしても気分で殺されないと言う保障はどこにもない。断るのが普通だろう。
だからこれは気の迷いかもしれない。後悔するかもしれない。四五六は彼女ほ本心に触れてそれでもいいと思った。
「お願いします」
そうして2人はその日から交際を始めた。
初めはお互いに純粋な恋愛を楽しんだ。
やがて好きな人との付き合いの中で、セイオリーは愛情の中に性欲が芽吹いたのを感じた。
…そうして、1年が経った。
四五六は押し倒されていた。彼をの両手首を押さえつけて上に乗っているのはセイオリー。彼女は大変興奮しており熱い吐息を漏らして舌なめずりした。下着から染みた愛液が垂れ落ち四五六のズボンのファスナーの上には小さな水溜まりができていた。
交際して1年。ここまで行為がなかった事を長いと取るか短いと取るかは人の価値観それぞれではあるが、会ってその場で性行為を始めるサキュバスで例えるとお風呂を沸かして1週間後に入る様な気の長さだった。サキュバスとして珍しくも肉体関係を持つ恋愛過程を望んでいたが半年を過ぎたあたりからお預けを食らってる様でもどかしく思っていた。
更に四五六は普通に自慰行為をするため鼻の良いセイオリーからしても精子の匂いはすぐに理解できる様になり、それが余計に彼女の性欲を内に溜める原因になってしまった。
それまで自身の心の準備が出来ている事を遠巻きに何度も何度も告げ、時にはシチュエーションや服装まで凝って誘った事もあった。しかし四五六は焦らすばかりで性交に踏み入る事はしなかった。ついにセイオリーの我慢の限界が来たのだ。
「せ…セイオリー…?」
「許せ四五六…。お前の事は大切なパートナーだと思ってる。だが、だが…もう我慢の限界だ。頼む…」
辛うじて残った理性の1枚で性交の許可を求めるセイオリー。恋人として始めた関係を裏切りたくないと言う切実な願いだった。
「…その、ずっと求められてるのは分かってた。でもこういうのってどんな風に初めていいのかとか、エスコートしていいのかとか分からなかった。判断を先延ばしにしてる間に君を苦しめてしまった」
セイオリーはただ息を荒くしながら黙っている。
「遠慮はいらない。君の性欲の限りを尽くして俺をブチ犯してくれ」
それを聞いて微笑んだセイオリーは四五六のファスナーを降ろして一物を取り出した。下着をズラしてそれを自らの局部にあてがい、ゆっくりと腰を下ろした。ズ、ズズズニュウウッ。鋭い快感の電撃が四五六の脳髄を駆け上がる。挿入した、ただそれだけの事で既に射精しそうになる。グッと下腹部に力を込めて我慢する。
セイオリーは腰を下ろしたまま目を瞑る。四五六は次のピストンが来ない事に安心はしたが彼女が何をやっているのかは分からない。
「あああ…これが四五六のカタチ…」
恍惚とした表情でそう呟くと自身の下腹部の辺りを撫でる。
「四五六、その体で覚えてくれ。これが私の膣内だ」
そう言うと彼女は腰を上げた。一刺しで射精まで導かれる名器が次の一撃を入れんと持ち上げる様はまさにギロチンの刃。亀頭が抜けるか抜けないかの高さまで来たところでストンと落ちて来た。
ビュッビュッビュルルルルウーツ!!!耐え切れなかった。たった2回で逝った。情けない事この上なかった四五六だったがもはや抗えない快感だった。彼女の膣内で壊れた蛇口の様に精液が噴き出し続ける。
「~~~~~~~~~~っ♡♡♡」
どんな失意の眼差しを向けられる物かと恐れていた四五六だったが彼の目に飛び込んで来たのは声にもならない声で快感に耐えるセイオリーだった。
「あっ…あっ…あぐぅぅぅぅうううううっ♡♡♡♡」
彼女は耐え切れず四五六の上に倒れ込む。大きくふわふわな胸が上に乗っかり、ピンと立った乳首が良く見えた。彼女は四五六の両肩を掴んで快感に耐えている。
「あ゛あ゛~~~っっ♡」
しばらく半ば悲鳴の様な声を上げていた。肩で息をしながら虚ろな目をしている。
「はあ…はあ…。んぎゅっ♡はあんっ♡シゴロぉ、ちょっと待ってってえ…」
四五六は何もしていない。ただ射精の度に更に搾り取ろうと膣が締まるのでそれに伴って何度も何度も射精してしまうだけだった。四五六は長らく射精の余韻の様な物が続くだけだったが、セイオリーはその微量の射精の度に絶頂している様だった。
やっと射精が収まると膣が搾り取る動きもやめる。しばらく繋がったまま抱き合っていた。
「そうか…。これがセックスか。好きでない相手と無暗に行為に及ぶ事への嫌悪感は今でも変わりないが、サキュバスも人間もこうした行為に耽るのも納得だ。こんなに、こんなに気持ちいいとは…」
穏やかな顔でそう呟くセイオリー。そんな彼女に興奮して四五六の一物はまた彼女の中で膨らむ。
「んっ。…おいおい、さっきイッたばかりだろう。元気だな」
セイオリーは四五六を抱きながら隣にゴロンと寝転んだ。その拍子に膣から一物が抜ける。
「大変情けないがさっきのアレで腰を抜かしてしまった。好きにしてくれて構わんから、心行くまで腰を振ってくれ。私もお前の事をもっと感じたい」
「ありがとう、セイオリー」
四五六は正常位でセイオリーに挿入する。一度射精した事や今度は自分のペースで動ける事もあり多少は射精しない様に動く事ができた。パチン、パチン、パチンと音が室内に水音が響く。
「ああっ♡あぁ…、んっ♡シゴロぉ…シゴロぉ…♡♡」
甘える様な声で喘ぐセイオリー。四五六の一物の長さは平均的な方だが如何せんセイオリーはサキュバスの中でも体格の大きい方だ。射精時に絶頂した事といい快感を得る基準の様な物が違う様で四五六の行為は初体験ともあり拙い物だったがセイオリーは充分な満足感が得られている様だった。
「んん…んん…♡あぁ…♡気持ちいい、ずっと、ずっとお前と繋がっていたい…」
「セイオリー、セイオリー…。もう…」
自分のペースで動こうと押し寄せる快楽には抗えない。あっという間に射精前まで上り詰めて来る。
「出してくれ。私の中、お前で満たしてくれ…」
パンッパンッパンッ…。ビュルルルルウーッ!ビュ、ピュ…。
「ふあっ♡んっ…んっ…♡シゴロ…」
今度は四五六がセイオリーに被さる様に抱き着いた。彼女も抱き返す。性器で繋がったまま大きな安らぎを得る。
「四五六…もうお前をずっと放さない。愛してる」
「俺もだ。ずっとお前の傍に置いてくれ。愛してる」
愛の言葉を囁き合ってキスをした。すると四五六の一物がまた膨らむ。
「ま、まだ勃つのか!ふ、ふふ。面白い。受けて立つぞ」
ミナスの見立ては確かだった様で四五六は絶倫だった。その日の夜の寝室からはいつまでも嬌声と水音が響いたと言う。
その後、セイオリーの任期は大幅に伸びた。後継ぎも残して我が子を女王に指名し、元老院の承認を得て責務を果たしたためセイオリーも無事に元老院入りできた。入念な根回しの甲斐もありいくつも古くなった制度を見直しては改定した。
サキュバスからしてみれば食料ぐらいにしか思われていない人間を恋人として常に傍らに置いたため周囲は首を傾げたが2人はいつまでも幸せに暮らしたと言う。
これがサキュバスの間で後世まで伝わるえっちが嫌いな女王のお話である。