※この作品はR-18です。

語り奴婢夜話──千一夜奇談   作:ドン・ドナシアン

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 語り奴婢サラは、広間の中心で膝を折り、股を開いた姿で皇帝と対面していた。
 背後で縛られた両腕──。膝を折り、股を大きく開かされた脚。
 儀礼衣の薄布は、乳房と腹、そして淫紋が刻まれた股間を隠しきれず、ほとんど裸体と変わらぬありさまだ。

 淫具──銀の小玉が連なった股帯は、緩やかに振動していた。
 ひとたび声を出せば、震えが深くなる。
 語りを始める前から、疼きが走り。股間から恥ずかしい愛液が垂れ続けている。
 熱く……むず痒い──。
 淫紋が淫靡な熱を作り、羞恥の疼きが身体を内から焦がしてくる。

 声に出すたび、股間が濡れてゆく。
 その無様な姿を目の前の男が蔑みの視線で眺め、水鏡により妹のリュシエンヌに見られている。
 だが、やめることは死を意味する。
 妹のドニアの死だ──。

 語らねばならぬ。
 淫らに、熱を孕んで。悦びと羞恥を声に染めて……。
 語るサラが話だけで身悶えをする物語を……。

「──あるところに、リーナという名の女商人がおりました……」

「ふっ──よい響きだ。淫紋が熱を帯びているのが見える。語り奴婢、お前の股はすでに咲いておるな。語るだけで濡れるとは、誇り高き巫女の成れの果てにふさわしい……。続けよ。妹が息をしているうちにな」

 皇帝の意地の悪い言葉に歯噛みをしたくなるのを耐える。
 サラの声はかすかに震えていた。
 その震えが、ただの緊張によるものでないことを、彼女自身がいちばん知っていた。
 語りのために息を整えるたび、わずかに力のこもる股間とお尻の穴に、淫具が押し当てられ震える。
 吐息とともに、震えが股間から背筋を駆けのぼる。
 脈打つように熱くなる淫紋が、神経の奥を蝕むように疼きを募らせた。

「……砂漠の南を越えて西へと、男たちを部下として使い、金と香と香油を積んだ隊商を率いる、誇り高くも才に恵まれた女でございます……」

 震える声を必死に抑え、滑らかに語リ始める。
 だが、淫紋の熱は嘘を許さない。言葉の節に現れる微かな喘ぎ。
 皇帝は黙して杯を傾けているが、その視線が肌の上にぬめるように感じられた。
 ──サラの姿は、水鏡を通じて、妹にまで晒されている。

「……気性も烈しく、苛烈であるが故に、性欲も強いものでありました。リーナは、専ら、それを専用の下女を虐げることで解消しておりました」

「ふふ……女が女を嬲る話か。さぞ語りやすかろう。お前も同じ性癖だったのだろう? 神殿で隠していただけでな」

 サラの喉がごくりと鳴る。羞恥が、恐怖よりも深く、彼女を侵していた。淫紋が一層熱を帯びたように感じる。
 巫女として神殿に生きた身が、いま、こうして淫らに震え、語り、濡れてゆく──。

「……けれど、その心の昂ぶりは、ある聖域での過ちを招いたのでございます……」

「なるほど……。面白そうだな。しかし、忘れるな。お前が悦びに震えず、語りが陳腐であれば──妹は鏡の前で嬲られ、晒されるだけだ」

 語るたびに、淫紋が悦びを強いた。
 その責めに打ち震えながらも、サラは語ることを止めなかった。
 いや、止めることなど、許されはしなかった。





第1話  女商人と地母神の物語
  1夜 女商人と地母神


 オアシスの泉を望む砂丘の斜面に、絹布の天幕が張られていた。

 

 隊商の旅の途中、数日ぶりに水と安らぎを得た一行は、夜営の支度に取りかかっている。その天幕の奥で、女主人である女商人のリーナは欲望の発露を始めていた。

 

「ほら、お前たち、舌を休ませるんじゃないよ。さもないと、全身に鞭痕を付けるだけじゃなく、その裸で縛られた格好のまま、男どもの天幕に放り捨てるからね」

 

 リーナは、天幕の中央に胡坐をかいて座っていた。

 上半身は薄絹を巻いただけのまま。下半身にはないもまとってない。濡れた肌は灼熱の空気に晒されている。

 銅色の肌は汗に濡れ、香の煙と媚薬の香りに混ざって甘く匂っている。

 

 足元には、二人の下女が全裸で緊縛されて這いつくばっていた。

 ひとりは黒髪の娘で、もうひとりは金髪の若い娘。

 いずれも旅に仕えさせていた奴婢女で、いまはリーナの遊興のために、両腕を後手に紐で縛って、口を使わせている。

 

「……そう。もっと舌を這わせて……。あ、ああ……。そこだよ。歯を立てないで……。ふふ、いい子だね……。あああ、ああ、じょ、上手だよ……」

 

 リーナの声には愉悦が滲んでいた。

 ふたりの下女のうち、ひとりはリーナの胡座の股に顔を突っ込むようにしてリーナの陰部を舐め、もうひとりは、左右の乳房をかわるがわる舐め続けている。

 快感が拡大する。

 大きな愉悦の波がリーナを包む。

 

「あ、あああ、い、いいよ、お前たち──」

 

 リーナは、片手で黒髪の娘の後頭部を押さえつけ、もう一方の手では金髪の乳首を軽く抓りあげた。

 

「あっ、ひんっ」

 

 乳首を捻った側の下女が、一瞬、口を離して、痛みに身体を跳ねあげる。

 だが、慌てて奉仕に戻る。

 リーナは、意地悪く、さらに力を入れて乳首を指で握る。

 

「んぐうっ、ぐっ、ぐううっ」

 

 下女が苦悶の声をあげ、激痛に身体を震わせる。でも、奉仕はやめない。リーナの気性の激しさを十分に知っているからだ。

 その苦しむ姿を見て、リーナの興奮は最高潮となった。

 金の指輪がきらめき、焼けた肌に甘く残酷な痕を刻んでいく。

 

「ほらほら、お前はもっと、舌を使うんだよ──。ほら──」

 

 そして、今度は股間を舐めている黒髪の頭を強く股間に押しつける。

 しかも、息ができないように顔を股間に押しつけ、顔を離すことができないように両腿で顔を固定した。

 

「んっ、んんっ」

 

 息ができなくなった黒髪が暴れだす。

 だが、許さない。

 リーナは笑い声をあげる。

 

「ははは、窒息で死にたくなければ、死に物狂いで舐めな──。ああっ。そうそう……。あっ、ああっ、そ、そうだ。そうだよ──。あああっ」

 

 黒髪の娘は、濡れそぼるリーナの股間に舌を這わせ、懸命に媚びるように吸いあげた。

 金髪の娘は喘ぎ声を抑えながらも、リーナの乳房に頬を擦り寄せ、媚態を見せていた。

 ふたりとも必死だ。

 特に呼吸を許してない黒髪は、文字通り死に物狂いで舌と唇を動かしている。

 リーナは微笑みながら、次第に鋭さを増す快感を覚えていた。

 それは肉欲そのものよりも、支配と服従が生む征服感によるものだった。

 

「こんなに濡らされて……。あああ、お前たちのせいだ──。誰のせいか、わかってる? ねぇ、お前のせいで、あたし、こんなに……」

 

 唇を歪め、嗜虐的な笑みを浮かべると、リーナはふたりの髪をまとめて引き寄せた。

 陶酔するように腰を揺らし、両脚を広げ、息を吐き出す──。

 そして、込みあがる愉悦のまま、快楽の頂点を極めた。

 

「あああっ、いいよおおっ、ふわああああっ」

 

 身体を突っ張らせて、胡座の内腿をがくがくと震わせた。

 次いで、興奮のまま、ふたりを解放して跪かせて上を向かせる。

 

「ほら、ふたりががりで飲みな。こぼすんじゃないよ」

 

 その場に立ちあがり、リーナはふたりの髪を掴んで引き寄せ、強引に股間に押しつけると、ふたりの顔をめがけて放尿した。

 

「ふふっ……神もご覧あれだね。快感を極めて、お前たちの顔に小便をかける。まるで、獣にでもなったようないい気持ちさ。お前たちは家畜。あたしはその飼い主。神すら凌ぐ存在だよ」

 

 リーナは込みあがった感情のまま、吠えるように叫んだ。

 

 そのときだった。

 カツッ──。

 

 天幕の外から、乾いた音がひとつ響いたと思った。

 

「誰だい──?」

 

 絶対にこの天幕には近づかないように、男衆たちには厳命している。

 それでも、ときどき、酒に酔った馬鹿が言いつけを破ることがある。

 それだと思った。

 下女を突き放して、横に置いてある剣をとる。

 女とはいえ、リーナは剣の達人だ。そうでなければ、女ひとりで、大勢の男の部下を抱えて隊商など率いてられない。

 

 しかし、その直後、空気が変わる。いや、「空気」が逆に止まったかのようだった。

 火の回る香炉も、揺れる布のはためきも、すべての動きが一瞬にして凍りついた。

 

「うわっ、なんだい──」

 

 リーナが振り返るより早く、なにかが背後から手を伸ばしてきた。

 直感的に、人間ではないと思った。

 もっと、途轍もない存在──。

 柔らかく、甘く、だがどこか底知れぬ「力」を持ったなにか──。

 

「なっ──あ、ああっ……ああああっ」

 

 声を上げた瞬間、身体が宙に浮く。

 見えぬ手に脚を掴まれ、現れた空間の裂け目のようなものの奥へと引きずり込まれていく。

 

「な、なんだ、助けて──。助けておくれ──」

 

 下女たちは動けず、ただリーナの姿を見上げるばかりだ。

 その下女たちの姿も、天幕の景色も消える。

 

 そして、気がつくと、まったく見知らぬ場所にいた。

 空もなく、地面もなく、ただ、リーナだけが存在するだけの場所。

 光はないが、暗くはない。影もなくが、闇もない。

 明らかに、尋常ではない場所だと悟れる。

 すると、突然に目の前に、身の丈も幅も、リーナの倍ほどもある裸身の女が出現した。

 その女から巨大な腕が伸びて、リーナの両足首を掴んでいる。さらに、もう二本の腕が出現して、腕も掴まれた。

 

「うわあっ、ばかなっ……っ、誰が……だれか、あたしを助けて──」

 

「黙れ──。この愚か者め──」

 

 巨大な女が叫ぶ。

 必死に抗うも、力は利かず、腕も脚も意のままに広げられていく。

 汗が舞い、時間が歪むような静寂の中で、ひとつの声が響いた。

 

「──この泉は、女たちの命と生を守るためにある。それを獣となって、小便で汚した愚か者よ。お前の誇り高き性も、女であることも、ここに潰えてゆくがよい」

 

 声の主は、甘く、冷たく、そして女のものだった。

 けれど、その奥に響くのは、山が怒り、大地が呻くような、古の胎動だった。

 

「な、なんのことだよ──」

 

 四肢を四本の手で掴まれて引き延ばされながら、リーナは叫んだ。

 だが、そういえば、さっき興奮して、そんなようなことを口走ったことを思い出した。

 

「我は、この泉を守る地母神よ。お前のような愚か者は許さん──」

 

 ……これは、地母神?

 まさか──。

 リーナは、唖然とした。

 つまりは、土地神ということだ。

 もしかしたら、聖域かなにかだったのかもしれない。

 

「い、いや、違う。あれは……。そ、その、言葉のあやってやつで……。地母神様を汚すつもりは……」

 

「黙れえええ──」

 

 地母神の腕が伸び、リーナの四肢を拘束したまま、宙に引き伸ばしていく。背筋が反り、肌が張りつめる。

 

「や、やめ──、あたしは、誰にでも股を開くような女じゃ──っ」

 

「黙れ。お前の誇りも、理性も、いまここに潰えようとしているのだ」

 

 声と同時に、見たことのない異形の「男根」が地母神の股間から現れた。

 けっして人間のものではない。

 生々しく脈打ち、しかし光を反射せず、まるで闇そのものが形を成しているかのような質感──。

 

「なっ……ば、ばかな、そんな、神が……女神が、そんな……っ」

 

 叫んでも、抗っても、なにも変わらなかった。

 その闇の如き巨根が、リーナの股間に触れる。ひやりとした感触が、汗に濡れた肌を這い──。

 

「ひっ──、あ、あ、あああっ──」

 

 突如、全身を震えが駆け巡った。

 挿入ではない。ただ、先端で陰唇を撫でただけ。

 けれど、まるでそこから「神力」が注ぎ込まれたように、リーナの身体が内側から火照っていく。

 

「あ、あたしの身体が……勝手に……っ」

 

 熱い。熱い。熱い。

 陰唇が開き、愛液が垂れる。身体が疼く。理性が霧散していく。

 

「見よ。これは悦びではない。これは汝の誇りの崩壊だ」

 

 女神の声は静かだった。だが、その言葉はリーナの神経の奥にずしりと響く。

 

「いやっ、いやだ……誰にも、負けないって、決めたのに……っ」

 

 だが次の瞬間、地母神の腰が前へと動き──。

 巨根が容赦なくリーナの内部を貫いた。

 

「ああああああああああっっっ」

 

 悲鳴とも喘ぎともつかぬ声が口から漏れる。

 ただの挿入ではなかった。

 まるで、精神までもが貫かれたような衝撃──。全身がひとつの性感帯と化す。視界が霞み、身体が痙攣し、口が勝手に開き、喘ぎの声を漏らす。

 

「お前は、淫らなる女よ。されどいま、神に征服され、悦びを学びなおすのだ」

 

 ずぶり、ずぶりと、容赦なく腰が打ちつけられる。

 

「やっ……やめっ、あたしは……あたしは、こんな、っ、こと、で……っ」

 

 けれど、声とは裏腹に、身体はすでに絶頂の寸前にいた。

 子宮の奥にまで届くような激しい律動と、神性に満ちた震え。

 リーナの身体は、否応なく悦びを受け入れていた。

 

 そして──。

 

「あ、あああっ、あっ、だめっ、いやっ、あああああああっっっ」

 

 リーナは絶頂を迎えた。

 それは、これまでの人生で感じたことのない、圧倒的な悦楽と羞恥と敗北の交差した瞬間だった。

 

 だが、一度の絶頂では終わらない。

 地母神に貫かれるたびに、次の絶頂が訪れる。

 前の絶頂の余韻に入る前に、次の絶頂に襲われ、また、さらにそこに新たな絶頂が重なる。

 

「ひがあああ、んぎゃあああ、だめええええ──」

 

 リーナは叫び続けた。

 

「獣のような吠え声よ。そのまま、獣になるがいい──」

 

 神がリーナを貫きながら吠える。

 しかし、その言葉の内容も頭に入ってこない。

 リーナの身体は貫かれ続け、果てしない絶頂が襲い続ける。

 

「お前は、悦びを知った。淫らに悦び、女として生きる悦楽を学んだ。──だが、まだ終わらぬ」

 

 地母神は、さらに身体を重ねた。

 再び、波がやってくる──リーナの身体と精神を、幾重にも突き崩す快楽の奔流が──。

 

「う、うそ……こんな、何度も……っ、いやっ……あああっ、やめて、お願い……っ」

 

 リーナは、何度目かの絶頂の波に打ちひしがれていた。

 脚は震え、腕は痙攣し、口は声にならない喘ぎを漏らす。

 身体は完全に開かれ、神に征服され尽くしている。

 けれど──まだ終わらない。

 

「これが、お前に与えられる“種”だ」

 

 地母神が静かに言い放った瞬間、リーナの身体に異変が起きた。

 巨大な神の肉が脈動し、次の瞬間、灼熱の奔流がリーナの奥へと叩きつけられる。

 

「あ──っ、あああっ、なに、なにこれっ──」

 

 下腹に、なにかが流し込まれる。

 それは、単なる体液ではなかった。意思を持つかのような熱と衝動。

 神性を帯びた精が、女としての器を内側から蹂躙していく。

 

 そして──。

 

「見よ」

 

 リーナの下腹部、子宮の位置にあたるあたりが、ぼうっと紅く発光しはじめた。

 炎のように揺らめく光が、皮膚の奥に焼き付くようにして、淫紋が刻まれてゆく。

 

 まるで獣の脚のような螺旋文──。

 その中心に、地母神の象徴である雌と雄の両性を組み合わせた古の印──。

 それが、リーナの身体に、否応なく“刻み”として焼きつけられた。

 

「ひっ──、な、なに、これ……っ、消えないっ、熱い、熱いのに……身体が悦びを、感じて……っ」

 

 涙が、頬を伝う。

 悔しさと、混乱と、悦びと──あまりにも多くの感情が、同時に胸に押し寄せてくる。

 

「その印が、お前の罪だ」

 

 地母神は、断罪の声で言った。

 

「一年のあいだに、再びこの泉に戻り、わたしに赦しを乞わねばならぬ。さもなくば──お前の身は、獣の姿へと堕ちる。肉欲と発情だけに生きる牝獣そのものになる」

 

「なっ……ば、ばかな、そんな……っ」

 

 身体を起こそうにも、脚はがくがくと震え、立ち上がることもままならない。

 淫紋は、熱を持ち続け、脈打ち、微細な疼きを下腹に刻み込んでいる。

 

「……女であることに驕り、性を奢ったお前にふさわしい罰だ」

 

 そう言い放つと、地母神の姿は、音もなく霧散していった。

 

 次の瞬間──リーナの身体は、夜の天幕の中央に、元のように戻されていた。

 香炉が燻り、布が揺れ、下女たちが縛られたまま、怯えた目でリーナを見つめている。

 

 すべてが、まるで“夢”であったかのように。

 ──けれど、夢ではなかった。

 

 リーナの下腹には、確かに淫紋が刻まれていた。牡獣の脚が絡みつくような蔓状の線が、陰唇から下腹を這い、臍下に封印のような円環を成していた──その中央には、雌雄を象る神の印が燻るように浮かんでいる

 その印は、脈打ち、疼き、時おり、熱を放つ。

 羞恥と悦びとともに……。

 

 一年後に、獣になる……。

 あの地母神の言葉がリーナの頭で繰り返していた。







 ──こうして、女商人リーナは悦楽と羞恥に打ちのめされ、淫紋と呪いをその身に刻まれました。

 リーナは、なんとか呪術を解こうと、高名な魔術師や、呪術師に頼りますが、どうしてもそれは果たせませんでした。
 そして、彼らもまた、リーナに獣化の呪術がかかっているのは間違いないと告げたのです。

 一年後、財産を処分して、彼女は、再び泉へと戻ることになります。
 その道すがら、通りがかりの老人たちに、自らの淫辱を語るのですが──その老人たちもまた、人ならぬ“呪いの織り手”にして、彼女の運命を新たに染めていくのです……。



「……これが、“第一夜”でございます」

 声を震わせ、サラは頭を垂れた。
 だが、その沈黙を破ったのは、低く喉を鳴らすような皇帝の笑いだった。

「ふ……まるで、お前自身の物語のようだな。淫紋を刻まれ、悦びに喘ぎ、そして、獣へと堕ちる……。語るそばから濡れてゆく股が、それを証明している」

 サラは息を呑んだ。だが、否定の言葉は喉の奥に絡みつき、口を開けぬまま、ただ俯いていた。

「だが、面白い奇談ではあった。獣と化す淫紋を刻まれた女商人の行く末は、明日の夜に聞いてやる。妹、ドニアの処刑は一日延期する」

「ありがとう……ございます」

 サラはほっとして、頭をさげる。
 まだ、脚を閉じることは許されてない。
 膝を曲げて、股を開いた格好のまま。

「妹には温かい美食と身体を洗う湯をたっぷりと届けてやろう。その代わりに、お前の股の淫具はそのままだ。排便のときは外してやるが、それ以外は、その疼く身体のままでいよ。勝手に果てることも許さん。檻に戻ってよいぞ」

「畏まりてございます……」

 サラは、やっと許されて脚を閉じて立ちあがる。両腕はまだ縛られたまま。
 檻はこの部屋の隅にある。大きな獣用の檻……。

 そして、身体に渦巻く熱い疼きは、狂ったようにサラを追い詰めていた……。
 脚には力が入らない。愛液は膝を通り越して、足首にまで達している。
 なんとか踏ん張り、サラは与えられてる小さな檻の中に、身体を潜らせた。
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