※この作品はR-18です。

ゼルダの伝説/蘇る絵物語   作:物書きエリス

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物語の始まりは日常の些細な出来事や、小さなトラブルだったりする。
そして、この物語も例外ではなかった。
少年の好奇心はやがて世界を巻き込んでいくことになる。




黒霧街のコロシアム編/0話

〜30年前〜

 

アデット火山の火口から上がる白い煙を俺は麓の事務所の窓から眺めていた。

この事務所は親戚のデンダが経営している。

デンダ採掘商会、それがこの会社の名前だ。

デンダは職人肌の親方で、アデット火山の採掘を管理している。

活火山の採掘なので、熱気が凄いって話だ。

しかし俺達ゴロン族にとっては丁度いい環境だ。

おっと、ゴロン族ってのは他の種族からはやや太り気味の体型に見えるらしい。岩のような背中、褐色の肌、そして頑丈な体を持つのが俺達だ。

岩石が主食だが、なんでもいいって訳じゃねぇ。特に特上ロース岩や特別な鉱物なんかがいいんだよ。

数年前取引先に居たんだが、ハイリア人の1人がそこいらで拾った様な石を土産だと抜かしやがった!だから俺はこういってやったのさ。

「おめぇ草が主食なんだろ?俺もそこいらでムシった草、土産に持ってくから喜んで食うよなぁ?おぉ?」そいつは何も言い返せなかったよ。

イオナ島の広大な鉱山は、良質な鉱石や俺達の主食となるロース岩の埋蔵量が他の地域と比べて桁違いにある。

ゴロン族の俺達は、先祖代々ここで採掘を行ってきた。今もツルハシや爆破採掘の音、トロッコが滑走する音が麓にも響いてくる。良い仕事をしている音だ。この島は俺達の故郷であり誇りだ。

俺の名はダンバダ。鍛治工房を経営していて、今日はデンダと昨日の崩落の影響と今後の採掘や納品について話し合いに来たのだが、…どうやら忙しい様だ。事務所の石質の椅子に座って待たされている。今回も息子を連れてきたのだが、また居なくなってやがる。

さて、うちのイタズラ坊主はまた坑道に行ったのか…、落盤があったばかりだから近づくなって言ったのに…。ヤレヤレ後でケツを叩きつけてやらねぇとな!

まぁ、アイツらもいるし心配する事はねぇだろうがな…。ガキとはいえ俺の息子だ、何とかするだろ。こういうの親バカって言うんだろうな…。

俺は持参した岩塩味のブロックコーンのオヤツを1粒ずつポリポリと噛み砕きながら待つことにする。

 

 

〜アデット火山中腹第4坑道

 

俺は親父の工房でハンマーを握るより、こうやって坑道に来るのが好きだ。冒険してるみたいでワクワクする!

デンダ親方の鉱山で昨日坑道の奥で落盤があったって親父が言ってたんだ。『危ねぇから近づくんじゃねぇぞ』って言ってたけど、俺には関係ねえ。だって、なんか面白そうな予感がするんだから!

 

「おいダル坊!またウロついてんのか?親方にバレたらシバかれるぞ?」坑道の入り口で、休憩中のでっかいゴロン族の職人、ゴルゾが笑いながら叫ぶ。岩みたいな顔にヒビみたいな笑みが浮かぶ。「チビ助、落盤があったばかりだから危ねえから戻れ!」って、別の職人、ダグがを一輪車で岩を運びながらそう言ってくる。

俺、チビって呼ばれるの嫌いなんだけど、大人のデカい奴らにゃ敵わねえ。けど、好奇心がウズウズしてんだ。落盤の奥、なんかスゴいもんがある気がする!

 

道中デンダ親方を見かけたけど皆と話し合っていた。その隙に、俺はこっそり坑道の奥にはいりこんだ。

一定間隔で壁に掛けてあるランタンも途中から無惨に転がっている。そこから先は真っ暗だった。転がっていた物の中から無事なランタン見つけ、手に持って火を灯した。

暗闇の中ランタンを片手にレールの上を進んでいく。瓦礫も奥に進むにつれ増えていった。進んでいくうちに広い空間に出た。地面は瓦礫まみれで足場が悪い。

気ままに壁際に沿って探索していた。

ふと瓦礫まみれ壁の一部に変な模様が見えた。岩に彫られた絵だ。頑張って覗けば僅かながら絵らしき物も見えるが瓦礫が邪魔だった。「やべぇ!何かすげえ物見つけたかも…!」思わず声が出ちまった。俺は石を退けて行ったが、直ぐに断念した。岩が多すぎるし、デカイのも多い。子供の俺じゃ無理だ…。

来る前にゴルゾの「シバかれるぞ?」って言葉を思い出して身震いしたが、そんなのにビビる俺じゃない。俺は親方たちを呼びに行った。怒られるだろうけど仕方がない、俺ひとりじゃあんな大量のデカイ岩退かすなんて無理だ。

 

 

「……イタズラ坊主、懲りてなかった様だな…危ねぇから来んなってあれ程言ったのによぉ…」

俺を見るやいなや、デンダ親方は頬をヒクヒクさせながら、指をボキボキと鳴らしながら近づいてきた。周りの職人達もヤレヤレといった感じだ。

「ちょっと待って!親方!落盤した先に変な壁画みたいなやつ見つけたんだ!親方なら何か知ってるんじゃねぇか?!」

俺は慌てて、さっき見つけた壁画について尋ねた。

「ん?…ヤレヤレ、言い訳するとはいい度胸だ、ケツを出せ」

デンダ親方は手に息を吐きつけながら、こっちを睨んできた。

俺は叩かれる前に親方の手を掴んで

「おしおきは後で受けるから、良いから着いてきて!」

親方は本気の俺の言葉に少しの沈黙の後ため息をついた。「…分かった、おしおきは後にしといてやる。おい!ゴルゾ!ダグ!コランダ!3人は着いてこい!残りの奴は復旧作業に戻れ!」

デンダ親方は大声で指示を出し、皆返事をして動き出した。

 

 

「あそこ見てくれよ!何かあるだろ!」

俺が指差すと親方も瓦礫に埋もれたそちらに目を細めながら、

「……何処だ?……ぁ〜?…おっ!これか!確かに…こりゃ何かあるな…。よしテメェら!ここいらの岩をどかすぞ!」

親方と職人たちは、速いペースで岩をどかし始めた。大人達の力はスゲえ。でっかい岩が見る見るうちに片付いていき、壁画の全貌が見えてきた。所々崩れているが、炎の龍、剣を持った人、中心に3つの三角形の模様などが見て取れた。その壁面の1箇所に赤い宝石がキラッと光ってる。でっかいルビーみたいだ。

「コイツはたまげたな…」とゴルゾが呟いた。

思っていたより大きな壁画であったので皆遺跡に見とれている。

親方は少しだけ見とれていたが、直ぐに冷静さを取り戻し「コランダ!直ぐに復旧作業をしてる奴らに遺跡みたいな物を見つけたらストップして俺の指示を待てと伝えろ!」

コランダは「了解です親方」と言って体を丸めて、すごいスピードで転がって行った。

「ゴルゾ!おめぇは街の鑑定士を連れて来い!」

ゴルゾも「あいよ、了解だ親方」と言って体を丸めて、すごいスピードで転がって行った。

2人が転がって行き、3人だけになった。

親方は今までの雰囲気とは違う様子でダグに話しかける。

「ダグ、おめぇはコイツをどう思う?」

「おや?俺は行かなくて良いんですかぃ?」

肩をすくめながらダグは言うが

「茶化すな馬鹿。」

と笑いながら親方はダグの肩を叩く。

ダグも笑っていたが直ぐに雰囲気が変わり、

「そうだな、随分と古い遺跡だな。刻まれてる模様も多分文字なんだろうけどさっぱりだ、考古学に精通してる人を呼んだ方が良いだろう。もしくは、普通の鑑定士に頼むよりまずは長老に相談するなりしといた方が良くないか?」………

 

2人は昔からの親友らしい。ありがたい事に隙だらけだ。話し込んでる隙に俺は壁にはめ込まれた宝石に不思議と引き寄せられていった。

何か特別な物かもしれない、何かが起こるかもしれないという期待を胸に。

宝石を取った途端、一瞬体が熱くなるような感覚を覚えた。一瞬の感覚だったので何かの間違えかもしれないとも思った。

 

その時、坑道がまた揺れて岩が崩れてきた。「危ねえ!」ダグが俺に倒れて来た岩を殴り壊した。

「危ねぇな…おいチビ助、怪我ねぇか?」心配そうにダグが聞いてきた。

「うん、大丈夫」と強気に返したが、心臓はバクバクと音を立てていた。潰されたかもしれないと言う恐怖がじわじわと湧いてきたが、ビビって大人達に笑われるのは嫌だって気持ちでかき消した。

今、倒れて来た岩があった所に人が入れそうなポッカリと穴が空いていた。

「ほう、新しい穴が出てきやがったか」と親方はそう言いながらランタンでそちらを照らす。

ランタンで照らされ、一瞬その穴の奥のほうで何か動いたように見えた。

気のせいかな?って思っていたらランタンに反射して、複数の赤い目が光る。ギャアァァァァァ!!と獣の咆哮の様な叫び声が坑道に響き渡る。

「モリブリンが出やがった!!」そう親方は咄嗟に叫んだ。

ナイフ持った醜悪な顔をした魔物達が、穴から次々と出て来て叫びながら襲ってきた!「ボウズ、逃げろ!」親方が拳で1匹を壁に叩き付ける。多数のモリブリンは親方達に気を取られている。だけど端にいた1匹と目が合った。ニヤリと笑った気がした。その1匹はそろりと身をかがめて親方達から距離を取り始めている。その間もアイツはずっとこっちを見ている。

『ヤバイ!』そんな言葉しか思い浮かばなかった。それを察したのかアイツも素早くこちらに駆け寄ってくる。

慌てて走ろうとしたが、不安定な足場に足を取られ転けてしまった。その衝撃で、手から宝石が宙を舞った。全てがゆっくりに感じた。走って近づいてくる足音がすぐ近くまで来ているのを感じた。恐怖でパニックになった頭は宝石が落ちる軌道を見る事しか出来なかった。

宝石が落ちた次の瞬間、宝石から赤い炎が舞い上がり、坑道が真っ赤に燃え広がる。親方たちは異変に気付き咄嗟に身を丸めた。炎に包まれたモリブリン達は炎に焼かれ、のたうち回り動かなくなっていった。「な、なんだこれ!?」ダグが目を見開く。親方も「…どっか、ガスに引火したのか…?!」って唖然としてる。しかし、親方も坑道でのガス爆発の恐ろしさを知っているからこそ、この不可解な現象に首を傾げている。

 

震える手で俺は宝石を拾い上げた。ほんのりと温かい。心臓がドクドクしてる。曾祖父さんの昔話で言っていた記憶がふと蘇る。

まさかこれは、炎の………

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