ミレニアムの学生寮。
ゲームや漫画が散乱するその部屋で、才羽モモイは鏡の前に立っていた。
「ふふっ、ふーん、ふふん♪」
金髪のセミロングに、特徴的に猫耳型ヘッドフォン。
背中側から見える機械的で、同じく猫っぽい尻尾もいつも通り。
普段と違うのはその服装。彼女がよく着回しているミレニアム指定の制服ではなく、濃紺のワンピースに純白のエプロンを重ねたエプロンドレス――学生に見慣れないメイド服を着こなしていた。
体を左右に振り、跳ねるスカートを抑え、着付けを確認していく。
皺なく、着崩れなく、完璧な着こなしに満面の笑みを浮かべた。
「ふっふっふっ、メイドverも随分様になってきたんじゃない?」
と、誰に言うでもなく、誇らしげに胸を張る。
これまでの学園生活で、メイド服を着る機会は恵まれなかったが。
とある勘違いから袖を通すようになり、その件が終わった後も、用向きがなくともこうして、偶に気ままに着るようになった。
最初は着替えるだけで苦労をしていたが、何度も袖を通せば慣れるというもの。
鏡の前でそれらしく振舞えば、本物のメイドに見えなくもない。
気分が良くなったモモイはスカートを摘まんでひとお辞儀。
いつか何かのゲームで見た、淑女らしい挨拶のカーテシーだ。
「お帰りなさいませ、ご主人様、なんちゃって」
「――なにやってるの、お姉ちゃん?」
「ひゃああ!!」
唐突に声を掛けられ、驚きに声を上げてしまう。
すぐに声の方へと振り返ろうとするが、それよりも早く背中側から手が伸びる。
拘束するように腕を回し、優しく抱き着かれてしまい、身動きが取れなくなってしまう。
……まあ、振り向かずとも相手が誰かはすぐに分かっていた。
「こらっ、ミドリ! すぐに抱き着くなっ」
「いいでしょ、別に。減るものじゃないし……」
「よくないよ⁉ ほら、離れて!」
「もうちょっと」
鏡に映る、もう一人のメイド服の少女。
モモイと同じ金髪に瓜二つの容姿、抱きすくめる背格好もほぼ同じ。
特徴的なヘッドホンと尻尾もお揃いで、唯一違うのはイメージカラーだけ。
モモイがピンク色の装飾を好むように、彼女はライトグリーンの色を身に着ける。
彼女の名前は才羽ミドリ、モモイの双子の妹である。
「お姉ちゃん、鏡の前で何してたの?」
「え? あー、いや、……この服にも慣れてきたし、立派なメイドさんに見えるなって」
「立派なメイドさん? ふーん」
「な、なによ」
「ううん。ただ、こんなにエッチな人が立派なのかなって、ね」
耳元で囁かれた言葉にドキリと胸が鳴る。
ミドリはその意味深な言葉を証明するように、姉の下腹部を撫でた。
「――やっぱり、今日も下着、つけてないんだ」
スカートの布越しからでも分かる、ある筈の下着の凹凸がない。
お腹のラインを沿うように滑らせた指は何の引っ掛かりも覚えず、するりとモモイの股下へと到達する。言い当てられ、証拠に触れられたモモイは羞恥からか言葉を発さず――その反応に何を思ったのか、ミドリは指を股下の隙間へと入れ込んだ。
「んっ⁉♡」
布越しとはいえ、敏感な部分に触れられ、思わず声が漏れる。
普段の元気いっぱいなモモイからは考えられない、艶やかな少女の声。
「……ミドリ、ちょっと離して」
流石に抵抗しようとミドリの腕を掴み、離すように促した。彼女もそれ以上をする気がないのか、あっさりとスカートから手を離し、抱き着いた体勢もほどいていく。
――あれ、今日は素直だ。
その控えめな態度を不思議に思いつつ、ゆっくりと背筋を伸ばす。
微かにスイッチが入りかけた体を冷ますために。
「最近、ずっとつけてないよね」
「……んー、だって、その、つけてると」
「うん」
「邪魔、だから。その、引っかかるの」
「ふふふっ、そうだよね。私もお姉ちゃんと一緒、邪魔だからいつも履いてないんだ。ね、お姉ちゃんの見せて?」
「……はぁ。ほら、見せるだけだからね」
ミドリのおねだりに背中を向け、スカートをたくし上げた。
才羽姉妹の服装には尻尾の装飾がついている。
猫のようにしなやかで、SFチックなデティールも感じるミレニアム製のアクセサリー。
普段、制服のときはスカートの上から付けているように見えるが、メイド服を着ているときには、スカートの下から伸びていた。
周囲の人間は、腰にベルトでも巻いていると考える。
だって、もし尻尾が体から生えてるなら、つける場所は限られるから。
「……いつ見てもエッチだね」
スカートをめくり、露わになったモモイのお尻。
小さく丸みを帯びた、形のいいお尻の割れ目に、尻尾の根元がついていた。
「うう、見られるのはやっぱり恥ずかしいよっ」
恥ずかし気に体を揺らすモモイ。
その動作に合わせ、お尻についた尻尾も本物の猫のように揺れていた。
露出したお尻と尾を揺らす姿はとても淫靡で、異性にとっては目の毒でしかない。
例え同性だったとしても、血の繋がった妹だったとしても。
誘っているようにしか見えないモモイの姿に、ミドリは少し呼吸を早めながら、ゆっくりと近づいていく。再び、モモイの腰へと手を回し、揺れる尾を包み込んで、少し抜くように力を込めてみれば「ぅう」と小さく我慢するような声が漏れた。
「ミ、ミドリっ。まだ、待って……♡」
「待つって、いつまで?」
「まだ♡ 慣れて、ない、の♡」
「……ダメだよ、こんなにエッチだもん」
モモイの反応を楽しむように。
尻尾を握る手に力を込めては弱め、力を込めては弱める――その動作を繰り返す。
同時にお腹から股の方へと手を伸ばし、濡れ始めた陰部に指をひっかけた。
排泄しそうな感覚と、愛撫する快楽を混ぜ込んでいく。
こうして、姉の女性器に指を入れるのは初めてじゃない――当然、弱点も知っている。
最初は我慢していたモモイも次第に「んっ♡♡ メだっ、て♡♡♡」とエッチな声を漏らし始めた。
尻尾の根元はまだ全然引き抜かれていない。
浅い部分を上下して、抜けないように弱く弄っているだけ。
魚を餌で誘うように、ヌプ♡ヌプッ♡と薄い感覚だけを伝える。
それでも、これだけ敏感に感じ取れるのは、お尻の穴が開発されてきた証拠だ。
――甘く悶えるモモイの姿に嗜虐心が煽られる。
「……お姉ちゃん、イキたい?」
「だっ、ダメ!♡」
「ふふ、きかなーい」
モモイの静止は届かない。
ミドリは離れかける姉を強く抱しめて。
陰部に突っ込んだ指を乱暴に弾き――力いっぱいに尻尾を引き抜いた。
「まっ♡♡ ぁ゛おっ♡♡♡」
抜き放たれた快感で腰が浮く。
スカートの中で愛液が吹き出し、ミドリの手を汚していく。
焦らされたものとは違う、鋭い快感が一気にモモイの体を駆け抜けていく。
不意の快感に足が震えて、立ってられないと目の前の鏡にもたれかかった。
「イクほど気持ちよかったんだ。お尻の穴もひくひくして、ずっと気持ちいのかな?」
スタンドミラーに両手を預け、お尻をつきだすような姿勢で。
全身に浸る絶頂の余韻を逃がそうと、じっと何かに耐えるように呼吸を繰り返す。
パクパク♡と閉じきれないアナルから、挿入の為に詰められていたローションの液体が漏れ出し、射精された穴のように垂れ流し続けていた。
もうちょっと弄ろうかな、と。
嗜虐心から伸ばしかけた指をそっと引っ込める。
必死に肩を揺らし、呼吸を整え始めた姉が睨んでいたからだ。
「……どうしたの、そんな恨めしそうに」
「ミドリが乱暴に抜くからじゃん!」
「でも、気持ちよかったでしょ?」
「それはっ、わ、でも、ダメでしょ!」
図星を付かれたせいか言葉に詰まる。
正直、ひとりでするより気持ちが良かった。
それでも、まだまだ不慣れな姉に対し、妹の横暴は許せないと頬を膨らませる。
「それにしても大きくなったね」
「な、なにが」
「ほら、この尻尾のプラグ。最初は小さいサイズかったのに、こんなに大きくなっちゃって」
ミドリがずっと持ったままの姉の元尻尾。
先端についた銀色のプラグはローション塗れで、部屋の光を反射していた。
サイズはそれなりで、少なくともメイド服を着始めた最近だけの成果じゃない。
もっとずっと前から、モモイがそれをつけていた成果であり――証明だった。
「最初はふたりとも小さいサイズだったね。それがこんなに大きく……お姉ちゃんは変態の素質があったんだよ」
「そ、それはミドリが付けって言ったから!」
「そうだね……、お姉ちゃんは言う通りにしただけ……」
モモイの言葉を受け、持っていたプラグを床に置く。
そして、自身のスカートをたくし上げ、隠されたお尻を露出させた。
やけに色気のある所作にモモイの視線が吸い寄せられ、好奇心と興奮に染まった瞳が、何も隠されていない妹の臀部へと釘付けになる。
その熱視線に少し胸を高鳴らせながら、自分の尻尾を握りしめる。
「ん、ぁ♡゛いっ♡ んふっ♡」
堪えるような喘ぎ声。
引き抜かれた尻尾の根はプラグではなく、球体の形をしていた。
それはまだ、アナルの中の何かと連結しており、ミドリの手は止まらない。
ふたつ、みっつとサイズの異なる球体――ビーズがひねり出される。
合計10連結のアナルビーズが引き抜かれ、それを姉の前に掲げてみせた。
「じゃあ、次はこっちも挿れてみよっか♡」
情欲に濡れた顔で。
今もなお、呼吸を荒げながら。
淫靡に笑うミドリから、モモイは目が離せなかった。
◆
きっかけはよく聞く家族あるあるだったりする。
「ミドリ、この前のゲーム借して……って、あれ?」
とある休日の昼下がり。
ゲームを借りる為に妹の部屋を訪れたモモイ。
しかし、肝心のミドリの姿がどこにもなく、どうやら外出中だったらしい。
どうしようか? と一瞬だけ悩んで、すぐに「姉妹だし」と軽いノリで突入した。
「いつも部屋綺麗だなぁ。あれ、ゲームの棚って、どこだっけ?」
目的のゲームを探しながら、キョロキョロと。
部屋は綺麗に整理整頓されており、家具や小物はシンプルだが可愛らしいものが多く、それらの色味が落ち着いた緑色ばかりなのは彼女らしさか。適当に欲しいものを買いあさっては床に放置している、どこかの姉とはえらい違いだった。
ゲームがありそうな場所を物色し、引き出しを開けてはしめていく。
部屋の主には申し訳ないが、探索ゲームの宝探しみたいで少しワクワクしていた。
「ここには何があるかな♪ レア度の高いアイテム出ろっ――て、なにこれ?」
クローゼットの奥にあった二段の収納。
何かを隠してますといった雰囲気に少し躊躇いはしても、抑えきれない好奇心にあっさりと負け、収納の引き出しを開けてしまう。その中にあったのは数冊の冊子と、モモイが見たことない機械類だった。
小さく丸っこい装置、コードのないスイッチ、棒状の機械など。
モモイにとって用途の分からないものばかり。
次に綺麗に積まれた冊子を手に取り、パラパラと開いてみる。
「なになに、女の子のおしっ⁉」
それは成人向けの漫画雑誌だった。
特集なのか、男性が女性を玩具で攻めている内容がたくさん載っており、さっきの機械類もプレイの一環として登場していた。
そういった方面に疎く、免疫がないモモイはすぐに雑誌を閉じた。
「…………」
が、モモイも思春期。
性に対する好奇心も当然にあり、素敵な男性との将来を夢見る乙女である。
性的知識に疎くとも疼くものは疼くし、股ズレで感じた快感を追い求めて、浅く触れたこともあった。頂に届かずとも快楽を知り、好奇心を募らせたモモイにとって、妹の秘密の宝箱には抗えない魔力があった。
「ちょっとだけ、だから」
引き出しの中、一番小さな玩具に手を伸ばす。
スイッチ付きのコードがあるおもちゃ、ローターと呼ばれるソレ。
雑誌を開いたまま制服のスカートを上げて、パンツの上から慎重に押し当てる。
興奮で熱くなる顔を無視してスイッチを押す。
「……んっ、気持ちいよりもくすぐったい?」
振動からの感触は少し鈍かった。
布越しというのもあるが、当てている場所が悪かった。
弄った経験が少ないモモイは自分の性感帯がよくわからない。
それでも何とか快感を得ようとローターを動かし、自分の気持ちいを探していく。
「もっと強く、かな。クリ? 感じる場所ってここかな、少し下を、ん♡」
つたない手つきでローターを抑える。
開いたままの雑誌を参考に、少し位置を変えてみる。
興奮からか、ぬれ始めていて、パンツにシミが滲みだす。
期待感が高まったモモイは、もう片方の手で広げていく。
位置を下へずらすと気持ちがよく、押し当てすぎると感触が違った。力加減を強めると弱めるで調整してみて、やっぱり感じづらいとパンツを下げた。脱ぐのも面倒だと片足にパンツをひっかけたまま、濡れるそこにローターを押し当てる。……さっきよりも強い快感が下半身に広がり、反射で足先が跳ねる、思わず「んぅぁ♡」と喘ぐような声が漏れ、雑誌に映る少女みたいだと共感と鼓動が早くなり、さっきよりも慎重に押し当てて、どんどん奥の気持ちい場所へと進めていく、快感が強まるにつれて口から出る声も大きくなり、もっとと快感を求めるように中へとずらしていって――
「――お、お姉ちゃん?」
「へっ? ミドッ、゛お♡」
部屋の入口にミドリが立っていた。
オナニーに夢中で気付かず、妹に痴態を見られてしまう。
すぐに誤魔化そうとしたが――タイミングが悪かった。中へ挿れかけたローターが驚いた拍子に押し込まれ、今まで掠めていたモモイのGスポットに直撃する。
下手な愛撫で焦らされ、高まった快感が一気に弾けてしまい。
ミドリの前で初めて、イッてしまった。
「そっか、見ちゃったんだ」
――散らかった部屋。
――隠していた同人誌やアダルトグッズが散乱し。
――気持ちよさと罪悪感で、顔をぐちゃぐちゃにした姉の姿。
それらを見て、ミドリは事態を把握する。
家族に秘密を見られてしまった羞恥心と危機感はすぐに消えた。
今はこの高鳴りに身を任せたかった。
「……ミ、ミドリ、ごめ」
「ダメだよ、お姉ちゃん。慣れてないんでしょ? だったら、こうやって最初は濡らして、優しく押し当てないと」
謝ろうとするモモイに寄り添い、床に落ちたローターを手に取る。
姉の愛液に濡れたソレを舐めて、教えるように濡らしていく。
「汚いよ」とモモイは心配そうするが「美味しいよ」と返してあげた。
すると、モモイは恥ずかしそうに顔を赤らめ、「もう!」といつもの調子で怒ってくる。
「ん、そこ♡ もっと♡ んひぃ♡」
片手でローターを押し当て、もう片方の手で胸を撫でていく。
いきなり胸を揉まれて、驚きはしても身を任せる彼女は跳ねのけない。
ただ、受ける快楽に興味津々で、そこはゲームに熱中している時と似ていた。
「ねえ、お姉ちゃん。もっと気持ちいことをしてみない?」
今のお姉ちゃんなら、一緒に楽しんでくれるかもしれない。
モモイは喘ぐばかりで返事をしなかったが、最後まで断ることもしなかった。