「はぁああああああ~~~~~~~~~!!」
喜多川さんが、頭からバスタオルを被って、身体を丸くして、身もだえている。
「あああああーーーーーー!」
くぐもった叫び声が聞こえる。
ボクと喜多川さんが、一緒にイってしばらく抱き合って余韻に浸っていると、突然飛び起きた喜多川さんが、目にも止まらない速さで何枚か敷いてあったバスタオルを抜き取ってベッドの隅で丸くなったのだった。
ボクもとりあえずバスタオルを腰に巻いて、彼女の側に座って、丸まった背中を見ている。
「ごめんなさいーーー! こんなつもりではーーー!」
かなり『中の人』っぽい声で謝ってくる。
勢いというかなんというか、エッチしちゃったことを謝られてしまっているなら、ボクも心苦しくなってしまう。
……などと、思うところもある。
でも、それはそれとして、喜多川さんはバスタオルで頭を覆ってはいるけど、お尻がまる出しで、なんというかその様子が可愛いくて、ちょっと頬が緩んでしまう。
だからというワケではないけど、ボクはそれほど深刻な気分じゃなかった。
「ボクは気持ちよかったです」
なので、つい本音を言ってしまう。
「喜多川さんと触れ合えてよかったです」
だから、ボクは間違ってることだと思いたくないから、謝りたくない。
きっぱりと言い切る。
とはいえ、「でも、エッチしちゃったのは、やりすぎだったかも……」なんて言い訳を漏らす。
すると喜多川さんは、ごろんとボクのほうに向きなおった。
バスタオルは被ったままだけど、無防備にGカップおっぱいを曝け出してる。
さらに喜多川さんはバスタオルを少しずらしたので、ボクと目線が合う。
表情の全部が見えないのだけど、なんだか困ったような悲しそうな感じがした。
「喜多川さんはどうでしたか?」
ボクは思い切って問いかける。
喜多川さんは一瞬おどろいた感じになって、目を伏せる。
いろいろ考えて、彼女はバスタオルをさらに下ろして顔を出した。
「私も、気持ちよかった……です」
頬を紅潮させて伏し目がちに答える様子が可愛くて、抱き着きたい衝動に駆られる。
なんとか衝動を抑えようとしていると、再び彼女はボクに目を向ける。
「途中から、なんというか、自分が喜多川さんなのか分からなくなるくらい夢中になってしまって。醜態をさらしちゃったのが申し訳なくって」
ボクはめいっぱい首を横に振る。
「それは嘘ですね」
ボクは言い切る。
喜多川さんは、ぽかんとした表情になる。
「喜多川さんは、自分がどれくらい喜多川さんか分かってるはずです。そんな喜多川さんが、醜態なワケないじゃないですか」
無意識に『喜多川海夢』の仕草をトレースしてしまう彼女を知っているから、ボクははっきりと言えた。
そっくりとまでは言えないけど、少なくとも彼女の中にある『喜多川海夢』を忠実に再現していたのは、たぶん間違いない。
喜多川さんは、ボクの言葉を咀嚼していたみたいで、ぽかんとした表情がゆっくりとほころんでいく。
「そうですね。今のって今日イチの誉め言葉です」
そう言って喜多川さんの中の人は笑ってくれた。
コース時間もせまっていたので、喜多川さんにはシャワーを浴びてもらいつつ、ボクはバスタオルやらを適当にまとめる。
さすがに喜多川さんのカバンを開けるわけにはいかないので、まとめた荷物をカバンの近くに集める。
そうこうしていると、着替えた喜多川さんが戻ってきて、「ありがとうございます。すごい助かります」とか丁寧にお礼してくれて、手早く荷物を片付ける。
部屋のドアを開けて、喜多川さんは「今日はありがとうございました」と丁寧に頭を下げる。
「いえ、こちらこそ……」ありがとう、と言おうとしたところで、喜多川さんがちょっと照れた風にボクを見つめているのに気づく。
ボクが言葉を止めると、おもむろに彼女は口を開く。
「また、今度は違うキャラでお会いしたいかな、なんて」
「ええ?! 他のキャラも!? てっきり喜多川さんだけだと……!」
「もちろん! 喜多川さんが1番に決まってるじゃないですか!」
ボクはちょっと混乱する。
そりゃ、彼女のクオリティの高さを知れば、他のコスも見てみたい気はする。
なんて考えていると、彼女はド真面目な表情で、
「わたし、1番好きなキャラ、50人いますから!」
と、最後まで喜多川さんだった。