戦災孤児となった私は今日も弟を養うために拳を振るう。穴の開いたボロ小屋に吊された、たった一つのカンテラの下で。
 装備は闇夜の様に黒いグローブとブーツ、そして殆ど紐の様なお情け程度のパンツのみ。当然、胸元を隠す物は無い。リング下に犇めく鼻の下を伸ばした男達を前に、私は乳を振り乱しながら自分と同じ様にあられもない格好をした対戦相手を殴り潰す。それが男であれ女であれ、老人であれ子供であれ……。
 私と同じ戦災孤児に夫を失った未亡人、片腕を失い除隊された兵士から裸の女を殴りたいと大金をはたいた変態おやじ。千差万別の対戦相手達をリングに沈めた私はいつしかこう呼ばれていた、『鋼の女帝』……と。
 他人が私をどう呼ぶかはどうでもよかった。大切な、ただ一人残った家族のためなら、私は『鋼の女帝』にでもなろうと思ったから。
 さて、今日殴り倒す相手は一体どんな人間だろうか……

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筋骨隆々の女ボクサーが弟におっぱいブローで完全勝利する話

「シュッ!」

 

 薄ぼんやりと焚かれた小さなカンテラの下で、光沢が人目を引く漆黒のグローブが疾駆した。直後、ぐちゃりという異音と共に人面を殴り潰した感触が固めた拳を通して右腕を伝ってくる。

 一秒、二秒……そして、十秒。右拳を直撃させた対戦相手の両腕がだらんと垂れ下がり、ファイティングポーズを取る気配を見せないのを確かめて、振り抜いた腕を引く。にちゃっという粘音が鳴り、グローブと対戦相手の顔面だったものの間に赤黒い体液の橋が架けられた。

 私が拳を戻しファイティングポーズを取ると、顔の潰れた対戦相手は鼻血と唾液で編まれた糸に引っ張られたマリオネットの様にぐらりと体勢を崩し、ドシャァン!というけたたましい音を上げながら四角いリングへと沈んだのだった。

 ぐっしょりと汗を吸った薄布のパンティに包まれたお尻を天井に突き上げて、うつ伏せのままピクッ……ピクッ……と全身を痙攣させるブロンドヘアの少女。

 今更顧みるものでもないが、試合前に見た自信ありげな表情を思い出しながら、私はそんな彼女の顔面を破壊したばかりの右腕を突き上げる。

 カンカンカンッ!!と打ち鳴らされたゴングの音と、オオオオオッ!!という野蛮な歓声に晒されながら、私は誰にも気付かれることなく自分の胸の先に目をやった。

 先の対戦相手が繰り出したスナッピーなジャブ。その引っ掻く様な連撃によって散々に弄ばれた乳輪が、一般的に見ても大ぶりな私の乳房の先でぷっくりと膨らんでいたのだった。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

 “人魔大戦”と呼ばれる人間と魔族の生存を賭けた戦争が“勇者の末裔”を名乗る男の手によって終わりを告げること既に数十年。だが、生き残った人間達は未だその長く凄惨な争いの傷痕から脱することが出来ずにいた。

 魔族こそ滅びたものの、後に残された傷だらけの国土では十分な作物を実らせることなど夢のまた夢で、そこに何とか戦争を生き延びた帰還兵達が加われば、とても全ての人間が満足に暮らすことなど出来る訳もなかった。

 結局、生き残った人間達は、今度は一欠片のパンを争い殺し合うことになり、大陸の至る所で力の無い子供達が住処を失い溢れる事になる。

 私もそんな人魔戦争の後遺症で行く宛を失った戦災孤児の一人でしかなかったのだが、運の良いことに一人の男に拾われることになる。

 その男のでっぷりとした体形や脂ぎった顔つきから、およその行く末(性欲の捌け口)は想像することが出来たが背に腹は代えられない。ことが私一人の話で済むならば尊厳を優先することもあったかもしれないが、私には守るモノがあった。

 そんな決心と共に男の“所有物”となった私だったが、意外なことに男が求めたのは私の顔でも身体でもなく“勇者の末裔”という肩書の方だった。

 “勇者の末裔”。この言葉が持つ意味は果てしなく重く、同時に呆れるほどに軽かった。

 先の人魔大戦の折に魔王を打倒した男までもが名乗ったこれは文字通り人魔大戦以前の勇者の血を引く人間であることを意味している。そう聞けば、実に大層な血統にも思えるのだが、その価値が薄れるくらいその言葉の該当者は多かった。

 聞けば、人魔大戦以前に現れた最初の勇者は極めて好色かつ性豪で、ひとたび戦に出れば勝利と同時に殺した数よりも多くの女を連れ帰り交わったという。その逸話の真偽は定かではないが、場所によっては街一つの住民全員が“勇者の末裔”であることもざらだったりする。

 ただ、そんな形骸化した肩書も人魔大戦が深刻化するにつれ、自然と迷信混じりに珍重される様になり、最大の敵である魔王を“勇者の末裔”が仕留めてからは再び、畏敬混じりに語られることになるのだった。

 そして、そんな肩書に含まれる女が見せ物小屋に上がるとなれば、たとえ末端も末端であろうとも多くの客が関心を寄せるだろう……と、初めて連れてこられたボロ小屋で、私を買った男は滔々とそんな話を語ったのだった。

 そんな男の話に、私は即座に飛びついた。

 無論、男の言葉を端から信じた訳ではなかったが、少なくとも当初の想定(男の情婦)より悪くなる訳ではない。或いは運が良ければ、こんな世情の中でもそれ相応に金を稼ぐことに成功した人間の元に見受けされることもあるかもしれないという期待も持っていた……が、私はこの時大きな勘違いをしていた。

 男が言う『見せ物』とは金持ちや成金への顔見世ではなく、正真正銘文字通りの『見せ物』だったのだ。

男の小屋に通うことを承諾した初日からいきなり小屋裏に作られた簡素な鍛錬場でグローブを嵌められ、私は訳も分からぬままに監督官の指示でボクサーになるためのトレーニングを積んでいく事になる。

 

そして、これが本当の意味での私の人生の転機になるのだった。

 

 見世物小屋で試合に出るためのトレーニングを始めて数日、私の身体は日を追うごとに筋肉質になっていき、一月も経つ頃には見違える様な肉体を手にしていたのだった。どうやら、単なる迷信や御伽噺としか思っていなかった“勇者”の血が私は存外濃かったらしく、同じ頃に男から買われたボクサーの中では明らかに頭一つ抜けた見た目をしていた。正直、一度も祈ったことすらないご先祖様(初代勇者)に柄にもなく感謝なんてものをしたりもした。

 そうこうするうちに迎えたデビュー戦、私は似たような年恰好の女の子と生まれて初めての殴り合いを経験することになる。

 試合前は小屋の正装(トップレス)に若干の羞恥を覚えたものの、ゴングが鳴れば後はもう嵐の様な時間だった。

 今思えば、ボクシングとは名ばかりの素人喧嘩に毛が生えた程度の試合だったが、それでも筋肉量に物を言わせて、私はデビュー戦をKO勝利で飾ることになる。主人がご祝儀分をと色を付けてくれたファイトマネーを抱いて帰宅した私は生まれて初めての“お祝い”というものをしながら、次もまたリングに上がる決心をする。これが、私のボクサー人生の最初の一ページだった。

 もっとも、こういった場所(見せ物小屋)なので組まれるカードの質はかなりまちまちで、同じ女性でも明らかに歴戦の風格を感じさせるベテランの前に突然放り出されてサンドバッグにされる日もあれば、逆にデビューし立ての少女を主の命令で失禁するまで甚振ったこともある。興業の頭数が足りない日には男性相手に試合をさせられることすら珍しくもない。もちろん“勇者の末裔”とはいえ、流石に大人の男性相手では体格という私のアドバンテージが一つ消えることになるのだが、積み重ねたトレーニングの日々もあって、私は男性相手でも悪くない勝率を誇っていた。

 特に、この見世物小屋で“タイトルマッチ”と呼ばれる一戦。実力の認められた男女のボクサーが拳を交わし、女が勝てば場末の見せ物小屋どころか近隣で正業につく大人ですら稼ぐのに苦労するような巨額のファイトマネーを、男が勝てば殴り倒した女ボクサーを心行くまで嬲り尽くすという変則ルール。要するに殴り合いに負けた女ボクサーをレイプして憂さを晴らさせるというこの小屋の名物での私は火事場の馬鹿時からが働くのか未だ無敗で、こんな胸を丸出しにて殴り合う様な仕事をしているにもかかわらず未だ処女を守り通していた。

 

「ふぅ……」

 

そんな昔のことを思い出しながら会場を出た私は見せ物小屋の男にグローブを外させると、試合をするボクサーに用意されたテントの端に座り、自分の股へと手を伸ばした。

 

「んっ……」

 

たっぷりと水気を吸ったショートタイツを指でまさぐると、ツンと鼻を突く臭いと共にジュワ……と私の汗を滲ませた。同時に、仄かに混ざる汗のそれとは違う甘い匂いに、私はためらうことなく布越しのままに自分のおまんこへと指を突っ込んだのだった。

 

ジュ、ジュブブッ……

 

「お゛ぅほぉ゛♥」

 

挿入の瞬間、一瞬で絶頂する火照った身体。だが、この程度では到底足りる訳もない。

 

「はぁ……はぁ……ぬぅっ……はぁ♥♥♥」

 

ぐしゅっ、ぐちゅっ!ぐちゅちゅっ!じゅぷ!!!

 

乱暴に股間をまさぐる都度に、止め処なく溢れる汗と愛液。自分の股間を中心にムワァッ……と湯気が立つのも構わず、私は無我夢中で膣を掻き混ぜ快楽を貪る行為に耽っていく。

 

「はぁっ♥はぁっ♥ん……ん♥」

 

殴り合いの昂ぶりと、執拗に繰り出された乳首へのジャブによって与えられた耐えがたい疼きに、私は自分の乳房を持ち上げて躊躇なくその先端へとむしゃぶりつく。

 我ながら浅ましく膨らんだ乳輪は汗の味でほんのりとしょっぱく、固くなった乳首はコリコリとした食感をしていた。

 

「んふっ♥ んじゅっ♥ んふぅ♥♥♥」

 

ちゅぱっ!ジュブッ!ジュブッ!ぢゅっ!!!

 

 乳首から伝わるざらりとした舌先の刺激と、股座から響く脳天にまで突き抜ける様な快感。その上下から押し寄せてくる快楽を貪りながら、私は誰の目を憚ることもなく自慰に没頭する。もとより、裸を晒し晒されで殴り合う見世物ボクサー。その程度の羞恥心はとうに捨て去っていた。

 

「んじゅっ!?♥♥」

 

と、無心で貪っていた乳首の先を不意に私の犬歯が掠めた。その瞬間、鋭い刺激が背筋からアナルまで走って、甘く全身を包み込むようだった快感が突然鮮烈に体中を駆け巡った。

 

「ん゛ぉ、ん゛んんんんんんんんんんんんっ!!!!♥♥♥♥」

 

ブシュッ!!プジョロロロロロロロロロロロロロロロ!!!!

 

同時に、堪えていた堰(・)を失って噴水の様に噴き出る透明な潮。狭いテントで虹の様に掛かったアーチに、遠巻きにしていた新人ボクサーが目を丸くしたのがチラッと見えたが、そんなこともどうでも良かった。

 

「ふぅ……ふぅ……んじゅっ!!じゅじゅっ!!!」

 

全身を襲った絶頂が波の様に引くと、私はまだ全身に残る甘い疼きを吸い出す様に再び自分の乳首を力任せにしゃぶる。

 鍛え上げた肉体に宿る体力のせいなのか、はたまた持って生まれた性なのか、私は自分でも驚くくらい性欲が強かった。特に、試合で燃えた日には昂ぶりを沈めるまで全力でオナニーをくり返さなければいけないくらいに……。

 

「んっ♥んふっ♥んぉおおおお!!!♥♥♥」

 

ブシュ、プシャァ!!!!!!!

 

固いちんぽを思い浮かべながら、私は一心不乱に膣をほじり続けたのだった。

 

 

 

 

「ただいま、ルルン(・・・)」

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「おっと」

 

 私が帰宅すると、部屋の真ん中に置かれたテーブルの前でうとうとと舟を漕いでいたルルンがパァッと明るい笑顔を作ってタタタッと私の元に駆け寄って来る。そして、そのままポスッと腰元に抱き着いてきたところを受け止めると、柔らかなその癖毛にそっと手を這わせた。そうして、少しの間掌に伝わる感触を楽しんだ後、しゃがんみこんでその円らな瞳に目を合わせる。

 

「……今日も良い子にしていたか?」

 

「うん!」

 

私の言葉に元気いっぱいに頷く大切な弟。そう、これこそが私の宝物で、何よりも大切な愛しい愛しい弟のルルンだ。

 私はこのルルンを守るため、裸でリングに上がるのだ。今日も明日も明後日も……。

 

「そうか。じゃあ、そんないい子にしていたルルンにお姉ちゃんからのお土産だ」

 

「わぁ!」

 

差し出したクッキーに目を輝かせるルルンを見ながら、私はこの幸せが永遠に続けばいいと思った。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

「来たか」

 

 数日後、いつもの通りに見せ物小屋を訪れた私は小屋の主人に差し出された紙片を手に取る。

 彩鮮やかな金糸に飾られた、明らかに場違いな上質紙。細かく繊細な文字で何事かが書き連ねられているが、学の無い私には達筆過ぎて読むことは出来ない。中には試合に関する細かな注意事項や取り決めが明示されているとのことだが、そこまで調べたこともなかった。ただ一つ分かっているのはだ、

 

(タイトルマッチ(敗者レイプ試合)か……)

 

次の試合だけは絶対に負けられないということだ。

 小屋の人間から渡されたペンで四苦八苦しながら、主人に教えられた私の名(アリア)を意味する線を書き込む。正直、これだけは未だ苦手だ。以前あまりにも面倒になって、小屋の主人になぜこんな回りくどいことをするのかと尋ねたことがあったが

 

―こういう様式美は大事だからな―

 

ということらしい。まあ、実際に“タイトルマッチ”が近付けば女ボクサーは否が応でも大金と自身がレイプする姿を意識させられるし、その後の時間が白熱した試合を生み出すのもまた事実だ。

 私もその例外ではなく、名前を書き込むと改めて自身の身体が見せ物小屋における“商品”であることを理解させられる。

 

「よし」

 

私が返した契約書を検めて、小屋の主人が頷く。これで私は次戦に敗れればレイプされる。だが、恐怖はない。既に幾度となく潜り抜けてきた死線。

 

―お姉ちゃん!―

 

「ルルン……」

 

大切な弟を守るため、その先にある金貨に手を伸ばすため、私は自分の身体をベットするのだから。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

「赤コーナー! 当クラブタイトルマッチ十二度の防衛を記録する絶対王者!! 『鋼の女帝』、アリアアアアアアアアア!! フレイムハァトオオオオオオオ!!!」

 

 いつも以上に見物客が犇めく見せ物小屋に響いた呼びあげを合図に、リングまで続く花道へと足を踏み入れる。

 

「お、来たぜ『鋼の女帝』!」

 

「ちょっとごついけど、やっぱ美人だよなあ!」

 

「っくぅ、どんだけあんだよあの乳!」

 

「……」

 

周囲から飛び交う歓声に反応することはしない。これは私の意志というよりも見せ物小屋からの指示だった。

 自分で言うのも何だが、私はあまり愛嬌のある顔つきではない。だが、一般に言うところの美人ではあるらしく、新人時代に裸の変態を一方的に叩きのめしたところ、それが妙に受けたのだ。以降、私は非道こそしないものの、数多立ち塞がる対戦相手を情け容赦なく破壊するヒール役としての役割を振られることが多くなる。正直、悪役という言い方に思うところが無いではないが、可愛らしく立ち振る舞って顧客を集める同僚達みたいなファンサービスはまず無理なので、有難いのも事実だった。

 こうして作り上げられた『鋼の女帝』というあだ名に従い、努めて表情を変えることなく端道を渡り切る。途中、鼻の下を伸ばした酔っ払いの手が伸びてきて私の身体に触れることもあったが、この程度はファンサービスの範疇だ。

 

「……」

 

見せ物小屋の手下が広げたロープを潜りリングインをすると、一段と周囲からの歓声が大きくなる。そんな観客の声援に応えるため、予め甘く結んでいたブラに手を掛けて胸元を抑える薄布を一気に毟り取る。

 

ぶるんっっ!!!!!!!

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」

 

途端、最後の一線を越えて公開される私のバストを前に、観衆は更に一段と熱気を帯びる。

 自分で言うのも何だが、私は人よりも胸がでかい。元々大柄なのもあったが、ボクサーとして体を鍛えていてもなおこのサイズになるあたり、素の乳房が大きいのだろう。まあ、試合の中ではいい的になってしまうせいで、よく対戦相手から狙われてしまうのだが、こうして小屋に金を落とすファンを獲得するのには役にも立つ。

 私のバストを見るために高い金を払って最前列を確保したファンへのサービスとして、剥ぎ取ったブラジャーを後ろの席の観客に見せ付ける様に掲げてからリング間際の席へと投げ込む。一瞬宙を舞った薄布がファサリとリングアウトすると、手を伸ばした数人の観客がどたばたと争うように取っ組み合った。

 その光景を横目に、私は赤く塗られたコーナーへと身体を預ける。今日の対戦相手は一体どんな男だろうか?包み込む布地を失って、深呼吸の度にたふんっと揺れる乳房の先が興奮と緊張でムクリと固くなるを感じながら、私は青コーナーから現れるボクサーを待った。

 

 

「今宵、女帝の拳に沈む憐れな生け贄は誰か!? 否! 絶対女帝を、今日こそこいつが打ち破るのだ!! 青コーナー、『天才少年』!! ルゥルゥゥン!! フレイムハァトオオオオオオオ!!!」

 

 

「え?」

 

そして鳴り響いた呼び出しの声に、私は我が耳を疑ったのだった。

 ルルンというのは私の弟の名前だ。そして、フレイムハートというのは私とルルンの家名だ。没落以前に勃興すらしていない、何なら“勇者の末裔”が一律名乗る姓。だから、呼び出しの直後、私は同姓同名の別人かと思った。だが、歓声上がるボロ小屋の中、花道の奥から現れた癖毛の少年は紛うことなき私の宝物、最愛の弟であるルルンで間違い無かった。

 

「頑張れよルルン!」

 

「お前なら女帝を倒せるぜ!!」

 

「えへへ♥」

 

観客から飛ぶ声もどこか優しく、両脇から節くれだった手に荒っぽく頭を撫でられたルルンは擽ったそうにはにかんでいた。だが、リング間際に来てその目を丸くしたことで、同姓同名かつ他人の空似という最後の可能性も掻き消えた。

 

「お姉……ちゃん?」

 

「ルルン……」

 

リング前で呆然と立ち尽くすルルンを前に、私も最早その名前を呟くことしかできなかった。

 ロープを挟んで対峙する私とルルンに、小屋の人間の一人が痺れを切らしたのか「早く入れ!」とルルンの細い腕を引っ張った。

 

「いたっ!?」

 

「乱っ!?」

 

咄嗟にその男に乱暴を止める様にと言いそうになるが、すんでのところでその言葉を飲み込んだ。もし私がこの場で今まで作り上げてきた『鋼の女帝』のイメージをかなぐり捨てれば、試合の後で確実に小屋の主人から叱責が飛んでくるだろう。もちろん、それだけで怯むつもりはないが、私に興行的価値が無いと判断されれば次の試合をすることが出来なくなる可能性があった。そうなれば、待っているのは身の破滅だ。例え苦しくても、今は耐えるしかなかった。だから、

 

(我慢して……我慢してくれ、ルルン!)

 

少しでも気を抜けば一瞬で叫び出しそうになる口元を引き結んで、努めて冷酷に小さなルルンを見下す。青コーナーに立ったルルンの身長はまだ私の胸ほどもなく、緊張のせいか薄っすらと両目には涙が浮かんでいた。と、見ればルルンの奥にある関係者席で、このカードを組んだであろう張本人が素知らぬ顔でゆったりと葉巻の煙をくゆらせていた。

 

(クソ主め!!)

 

そんなこの状況の現況を唾棄しながら、私は何とか済ませる方法を考える。一応、まだ精通もしていないような年端も行かない男の子と試合をしたことはある。その時はパフォーマンスとして衆目に晒した睾丸を拳で殴り潰して見せたりもした。だが、ルルン相手にそんなことをするわけにはいかない。かといって、生温い試合をしてしまえば次戦どころかこの試合のファイトマネーすら危うくなりかねない。結局、私に取れる選択肢など殆ど存在しないのだ。

 私は無い頭を必死に回転させて知恵を振り絞る。だが、無常にも試合前の進行は恙なく完了して、私とルルンはとうとうリング中央に呼び出されてしまったのだった。

 

「「……」」

 

四角いリングの中、改めて私とルルンは間近で対峙する。正直、どこかで間違いであってくれと願っていたものの、現実は虚しく私の目の前に立っているのは大切な弟本人で間違いなかった。

 

「わぁ……」

 

近くで向き合ったことで、私が見世物ボクシングを始めたのを機に、このことを悟られないよう自然と見せることの少なくなったバストを前に、ルルンが両目を丸くしてコクリと唾を飲んだのが分かった。

 女にしては大柄な私とまだ成熟していない小柄なルルンの身長差は大きく、自然とルルンが私の胸の谷間越しに私の方を見上げてくる姿勢になる。そうして、おっぱいの間越しに視線を交わし合う私達姉弟だったが、私の内心はそれどころではなかった。

 降って湧いたこの状況。どうしても知られたくなかった弟に胸を曝しての見世物ボクシングをしているというショッキングな事実を悟らせてしまい、あまつさえその弟とリングの中で殴り合うという契約まで結んでしまっているのだ。どうする?どうする?????

 

(このまま殴り合うことなく降参を宣言する……いや、ダメだ。そんなことをすれば試合はぶち壊しで、次回の興行どころか即刻罰金を請求されかねない)

 

結局思い付いた最後の案も端から穴だらけの出来損ないで、結論が出ないまま思考が堂々巡りをしている私を前に、無情にもレフェリーの「ファイッ!」という号令と共にカーン!とゴングの音が鳴り響いたのだった。

 

「!!」

 

湧き立つ観客の中、私は殆ど破れかぶれでルルンとの距離を詰めたのだった。

 

「シュッ!!」

 

全身の気合を込めて放つ、必殺のジョルトストレート。体重とダッシュの力が乗れば、頭一つ大きな男性ボクサーすらノックアウト出来る一撃。だが、この技であれば小屋の人間は納得するだろうし、ルルンも余計なダメージを負わずに済むはずだ。

 

(少し痛いが、我慢してくれ!)

 

拳を固めて、祈る様に右手を突き出す。これがクリーンヒットすれば私とルルンの体重差で、まず試合は決着だ。だが、

 

「えっ?」

 

私が放った渾身の右ストレートが小さなルルンの顎先を捉えようとしたその瞬間、目の前にいたはずのルルンの身体が煙の様に掻き消えてしまったのだった。

 ヒュンッと風鳴りだけを上げて空を切る私の右手。出来の悪い夢の様な状況に呆然としたその瞬間、

 

 

「えいっ!!」

 

「ぐぶぅ!?!?!?」

 

 

聞き慣れた愛らしい掛け声と同時にズドンッ!と天地が揺れて、私の腹筋に巨大な砲弾かと思う様な重い一撃が突き刺さったのだった。

 

「お゛……ご……」

 

不快な圧迫感に息をすることも出来ず、自慢だった最強の盾(腹直筋)を抱えながら私はどさりとその場で膝を突いた。

 

「お゛、おぉ……」

 

マウスピースがボトリ零れ落ちてリングの床で汚れるけれど、そんなことを気にしている余裕もない。

 

「スリー! フォー!」

 

「はぁ、はぁ……」

 

立たなければ。何としても立たなければ。ルルンを守るんだ、

 

「んっ……、むぐっ……」

 

目の前に転がっていたマウスピースを何とか口に押し込み、ロープを使ってやっとのことで立ち上がると、自分のコーナーに下がったルルンが心配そうに私の方を見詰めていた。

 

「エーイト!ナイーン!」

 

「シッ!」

 

九個目のカウントをするレフェリーに何とかファイティングポーズを取ると、観客がドッと沸いたのが分かった。対峙するレフェリーも少し伺うような目をしたけれど、興行を優先したのかそれ以上何かを言うことはなく「ファイッ!」と試合続行を告げた。

 

(速い!?)

 

レフェリーの声を合図に、再び拳を持ち上げたルルンがリングを蹴る。すると、その輪郭が一瞬で尾を引き、掻き消える様に視界から姿を消してしまったのだった。もちろん、距離を取って旋回すれば追いかけることは出来る。だが、これが距離を詰めた近接戦となった瞬間……

 

「!?」

 

起こりうる、それも極めて高い可能性に私は思わず身を強張らせた。例え大人の男性ボクサー相手でも簡単には貫けない自慢の筋肉は一瞬で私を守る鋼の鎧へと変貌するだが、

 

「えーい!!!」

 

「かはっ!?」

 

再びルルンの掛け声が響いた瞬間、ズドンッ!という音と共にルルンのジョルトパンチが私の腹筋を貫いて内臓を押し潰したのだった。

 

「お゛おぉ……」

 

再び訪れる不快感。まだ、最初のダメージも抜けきらない中でぶち込まれた一撃に、私の身体は今度こそ腰砕けになる。鍛え上げた筋肉も、男性ボクサーにも見劣りしない体格も、どちらもルルンのパンチの前には無力だった。

 

「ぉお……」

 

「わぷっ!?」

 

全身が崩れ落ちそうになったところで、そのまま倒れるはずだった体が不意に閊え、同時に胸の下から聞き慣れた男の子の声が響いた。

 

「? あ……」

 

それは私の大切な大切な宝物ルルンの声で、私が前のめりになった拍子に頭におっぱいが乗ってしまったのか、胸の谷間の奥から心配そうにこっちを見上げてきているのが分かった。

 

「んんっ!」

 

殆ど本能的に寄り掛かったルルンに抱き着く。技術も戦略も無い、本当にただ倒れないためだけの無様なクリンチ。周りからは私がこの小屋に来て初めて見せる惨めな姿に、色めき立つような歓声とブーイングが上がった。だが、たとえ無様で惨めでも、僅かな勝利の可能性を手繰り寄せるために、ルルンの身体を放す訳にはいかない。

 

「ハァ……ハァ……」

 

(こんなの、お姉ちゃんの姿じゃないな……)

 

自嘲混じりに必死にルルンの小さな身体を搔き抱く。薄いルルンの胸板に必死で自分のおっぱいを押し付けて歪めながらも私は自分を何とか奮い立たせる。

 

(私は……ルルンのお姉ちゃんなんだぞ!)

 

「はわっ!? はわわっ!?」

 

「?」

 

両腕に力を込めた瞬間、胸の中で妙な声が響いた。見れば、僅かに顔を赤らめたルルンがさっきの闘志はどこへやったのか、どぎまぎした様に視線を彷徨わせていた。

 

「んっ!」

 

呆気に取られる私を他所に、ルルンが両腕を突き出す様にして私を突き飛ばす。突然のルルンの行動に混乱していると、その視線がちらちらと私の胸の方に向かっているのが分かった。

 

「??」

 

いつにないルルンの反応に首を傾げていると、カーンという1ラウンドの終わりを告げるゴングが鳴り響いたのだった。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

「ハッ、ハッ……ハァ……ハァ……」

 

(なんとか、なんとか逃げ切った……)

 

 コーナーに戻った私は小屋の人間が差し出した椅子に墜落する様にどっかりと腰を落とした。腹に溜まったダメージを少しでも逃がそうと呼吸を整えるが、ルルンのパンチはあまりにも重くそうそう簡単には回復できなさそうだ。本来ならばチャンピオンが立つべき赤で染められたコーナー。だが、その明暗は誰の目にも明らかだった。

 

「んっ、ハァ……」

 

対角線上に座るルルンはまだ緊張した面持ちながらも疲れた様子は見られない。むしろカンテラに薄っすらと浮かぶ汗はようやく準備運動が整ったとでもいった具合だ。

 

(強い……)

 

私がこれまで戦ったどの男よりも、どのボクサーよりも。だが、

 

(私は、私はルルンのお姉ちゃんなんだ……)

 

俯きながら、そう自分に言い聞かせて身体を叱咤する。と、そこでふとあることに気が付いた。

 下に落とした視線の先、そこでぶらぶらと揺れている私の乳房。元々発育が良く胸も大きかった私にとっては既に何のことはない見慣れた光景だったが、先のラウンドの終わり間際にルルンが妙な反応を見せていた。

 

「……」

 

視線を上げると、丁度ルルンも私の方を見ていたのか心配そうな視線と目が重なる。だが、その目が一瞬下に降りると、すぐに顔を赤らめて顔を背けてしまう。相変わらず、抱きしめたくなる可愛さだったが、その反応は……

 

「んっ……♥」

 

もしかしてと思い、私は椅子の上で身動ぎする様にして体を揺する。当然、身体に引っ張られてゆさっ……ゆさっ……と揺れる私のバスト。

 

「!?」

 

果たして、顔を横に向けながらもチラチラとこっちを伺っていたルルンの視線の前でおっぱいを揺らした瞬間、ルルンは更に湯気が噴き出しそうなほど顔を赤くしてギュッと固く目を閉じてしまう。けれど、そうやって顔を背けてもこの反応の事実は変わらない。よく見てみれば、その小さな両脚の奥、股下を覆うトランクスの前には三角形のテントも出来上がっていた。それが意味することは……

 

「……」

 

レフェリーから休憩時間の終了を告げられ、ルルンと私は立ち上がる。会場の熱気は既に最高潮で、これまで絶対王者として君臨し続けていた私がついにその座から陥落するのかという期待が込められていた。それは同時に、長年守り続けていた私が貞操を散らされることへの期待でもあるだろう。実際、悔しいことではあるがここまでの試合、私とルルンでは明らかにルルンの方に分があった。だが、

 

(試してみるか……)

 

ラウンド終わり間際に気が付いたルルンの弱点。そこを突けばまだ勝利の目は残っているかもしれない。私は分厚いグローブに覆われた自分の右手を見詰めながら固く拳を握った。これから繰り出す戦法はとてもチャンピオンの戦いとは言えない無様で不格好なものだったが、真っ当なボクシングでは歯が立たないと分からされた私には一筋残った光明なのだった。

 

「ファイッ!!!」

 

「ッ!!」

 

カーン!とゴングが打ち鳴らされた瞬間、私はルルンに向かって突進する。まるで第1ラウンドの焼き直しだが、先のラウンドとは違い眼前で構えるルルンの姿はよく見えている。

 

「フッ!!!」

 

固く、綺麗な構え。基本を守った丁寧なフォームで私を待ち構えるルルンの前で、私は顔面に構えていた両腕のブロックを大きく開いた。

 

「!?」

 

私の不意討ちに目を見開くルルン。両腕で持ち上げていたおっぱいがダプンッと落ちて、丁度ルルンの目の前で揺れたのが分かる。そうして出来た一瞬の隙に、私は先のラウンドの終わり間際と同様に全力でルルンに抱き着いたのだった。

 

「おいおい、またクリンチかよ!!!」

 

「恥ずかしくねえのか『鋼の女帝』!!!」

 

「つまんねーぞ!!!!」

 

途端、外野から怒号混じりの野次が飛ぶ。もちろん、私だって思うところはある。たとえ見せ物小屋の戦いとはいえ、チャンピオンという肩書は少なからず私のプライドでもあった。だが、ルルンは違う。そんなことを言っていてはとても勝てないような強敵だったのだ。

 

「んっ♥ ふっ♥」

 

「は、はわわっ!?」

 

抱き寄せたルルンの顔を包み込みんで、私は必死にルルンに自らのおっぱいを押し付ける。まるで、色気で相手を油断させて勝ち星を漁る前座の女ボクサーの様に、武骨で色気も無い身体を使って必死にルルンに色仕掛けをする。

 

「ふぅ……♥ ふぅ……♥」

 

 ズリズリと肌を擦り合わせながら、小さなルルンの身体を堪能していると次第に試合とは別の“熱”が身体に灯り、全身がぽうっと火照る様な感覚に陥りだす。

 

(いかんな、乳首が勃(た)ってきてしまった……)

 

ルルンの顔を挟み込んだおっぱいの先が次第にぷっくりと膨らみ始め、晒される空気を敏感に捉えて甘い快感を送りだした。

 

「んんんっ!!」

 

胸の谷間では顔を赤くしたルルンが一生懸命に私の拘束から逃れようとしていたが、それも徐々に大人しくなる。

 

(今だっ!)

 

そして、それこそが私の狙いだった。

 

「シュッ!!!!!」

 

「ぐふぉっ!?!?!?!?」

 

ズドンッッ!!!!!という音がリング内に響き渡り、体を楔の様に折り曲げるルルン。密接してからのおっぱいクリンチで動きを止め、完全に油断を誘ってからの渾身のボディブロー。目論んでいた作戦が完璧に嵌り、ルルンの脚が僅かに宙を泳ぐ。

 

(決まった!)

 

「おぶぅ……ぇ…っ…」

 

こぽりと音を立てて、口からマウスピースを吐き出すルルン。ピクッ……ピクッ……と小さな体を震わせるその姿に、私は勝利を確信した。たとえ天才であろうともまだ子供の体形でしかないルルンと、身長差も倍近くある無骨な筋肉女である私。その体重差は明白で、一発でもクリーンヒットしさえすればこうなることもまた明らかだった。

 柔らかいルルンのおなかに刺さった右腕をズポッと引き抜くと、ルルンの鼻から「ぷひゅっ」という音が漏れた。そして私が身を引くと、支えるものを失ったルルンの体がぺしゃりとリングの中央に崩れ落ちたのだった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

そんなルルンの姿から顔を背け、私は観客達へのアピールのために右腕を突き上げる。途端に浴びせられる歓声と怒声。やんややんやとしたそれが口々に私を称賛し、詰り、下品な野次を浴びせかけてくる。

 

(そうだ……)

 

とても見るに堪えないその光景。

 

(こんな所に、ルルンが来ちゃいけないんだ……)

 

そんな光景を前に、私は胸の中でそう呟いたのだった。が、

 

「いいぞ!!!」

 

「『女帝』に目にもの見せてやれ!!!」

 

「ぶちのめせ!!!」

 

(ん?)

 

浴びせられる怒声の毛色が不意に変わったのを感じた。同時に聞こえた言葉に、私はまさかと思って後ろを振り返った。

 

「ハァ……ハァ……」

 

果たしてそこにいたのは生まれたての小鹿の様にぷるぷると全身を震わせながらも床にグローブを突いて何とか立ち上がろうとするルルンの姿だった。

 

「っ!?」

 

そのあまりにも痛々しい姿に、私は一瞬罪悪感で胸を貫かれる様な感覚に陥った。そして、次に浮かんだのはこのまま続行なのか?という恐怖だった。

 

(頼む、立つな……立たないでくれ!)

 

その痛ましい光景に、私は思わず祈る様にそう思った。試合はもう決まっている。形にもなっている。ファイトマネーは問題ないはずだ。なら、後はこのまま何もせずゴングで問題無いんだ!

 

「エイッ! ナインッ!」

 

「んっ!」

 

だが、私のそんな願いも虚しく、レフェリーのカウント前に立ちあがったルルンはナインの声を合図にギュッと拳を掲げてファイティングポーズを取る。夥しい量の汗が浮かんでいたものの、その目に宿る闘志はまだ欠片も失われていなかった。

 

「ファイッ!」

 

「くっ」

 

レフェリーの声を合図に、私はまた走り出す。例え状況がどうであれ、まずはルルンを捉えなければ始まらないのは変わりないのだ。だが、

 

「ふっ! シュッ! んっ! っ!」

 

私が突進した瞬間、先程とは違い軽やかなステップを踏んだルルンは掻い潜る様にして私の腕の範囲から逃れてしまう。

 

「く、おおおおおおおおおおお!!!」

 

疾(はし)るルルンを追いかけ、私は両腕を振り回す。だが、風の様に素早く羽の様に軽やかなルルンのフットワークは鈍重な私のそれを遥かに凌駕していて、とても捉えられる気配がなかった。

 

「んっ!」

 

「ぐっ!?」

 

更に、いつの間にか私のパンチのスピードに慣れてきたのか、次第に踏み込んでは軽く私のボディを殴りつけていくようになる。初めは様子を見る様なジャブ。だが、それは徐々に重くなっていき、私は堪らず手を止めてルルンから距離を取った。

 

「ぶ、ぅ……ふ、ぅ……」

 

再び荒くなった息を整えながら、オーソドックススタイルに構えるルルンを視界に捉える。幸い、身長や体格に差があるおかげで一撃必殺となる顔面へのパンチは飛んできていない。私は自分のデカい身体に感謝をしながら再び足りない頭をフル回転させる。

 ルルンが私のハンドスピードに慣れ始めた以上、最早猶予は殆ど残されていない。試合が完全に支配されるまでに私は何とかルルンの不意を打つ必要があった。

 幸い、見せ物小屋のリングではルールなどあって無きがごとしだ。無論、無意味な反則行為は減点対象だが、観客が沸くのであれば多少のおいた(・・・)は黙認される。つまり、露骨な反則であるとも、客を味方につけられれば勝ちなのだ。

 この小屋のルールと先のルルンの反応から、私は自らが取れる手立てを思案する。正直、あまり気乗りはしなかったが、贅沢を言っている余裕はなかった。

 

(せめて一発、もう一発……)

 

どんなに無様で不格好でも、ルルンをリングに沈められる一撃。

 

「ふぅ……」

 

腹を決めて、グローブを構える。私が対峙した中で最も強く最も愛おしい相手に、私は私じゃない私を見せる決心を付けたのだった。

 

「シッ!!!」

 

三度、ダッシュをする。地面を蹴って、突貫をした私の背中には数多くの罵声が飛んでいただろうが、それも最早他所のこと。グンッとルルンとの会敵距離へと間合いを詰めた私は更にそのままルルンのリーチの内へと飛び込んだ。だが、直前の二回と、今回の突貫は違う。

 

「えっ?」

 

ルルンとの距離がリング半分を超えた所で、私はそれまで一直線だった重心を横に振り、固めた頭を左右交互へと振り回す。まるで∞の軌道を描く様なムービングに、一瞬虚を突かれたのか、戸惑うようなルルンの声が聞こえた。

 恐らく、ルルンのみならず、観客も初めて目にしたであろうピーカブースタイル。リーチと筋肉をという分かりやすい私の長所をこれでもかと殺す最悪のスタイルが、奇策とはいえ取られるとは思ってもいなかったのだろう。だが、私は止まらない。自分の体重が十分に乗ったところで、渾身の力で右拳をルルンに向けて振り抜いたのだった。

 

「シッ!!!」

 

パンチが空を切る。慣れないスタイルな上に、体格にも合っていないのだから当然だ。

 

「ふっ!!!」

 

織り込み済みの空振りに怯むことなく、私は振り切った勢いに乗って今度は左のパンチを繰り出す。テクニックも何も無い、ただ力任せみたいな不格好なブローは、当然ルルンに回避されてしまう。

 

「ふんっ!!!」

 

だが、それでも止まらない。右のパンチを振り抜いて、全身に乗るスピードを更に一段加速させる。

 

「シッ……シッ! フッ! ふんっ!! ぬんっ!!!」

 

徐々に速くなるテンポ。このリングでも稀に使う者がいるデンプシーロール。それを私が突然繰り出したという事実に、初めは戸惑っていた観客達も徐々に歓声を上げて、次第に沸き立つようになっていく。だが、このデンプシーロールには一つ大きな弱点がある。それは、いくらテンポが早くとも、レールに敷かれた列車の様に同じ軌道をくり返していては直ぐにモーションが盗まれてしまうということ。ましてそれが、普段はオーソドックスな構えを旨とする体格の合っていない私のものであればなおのこと。

 

「んっ、んっ、んっ、んっ!」

 

対峙したルルンは小さく私の動きに合わせたリズムを取る様になり、五発も軌道を見せれば完璧に私の動きを把握してしまう。だが、それでいい(・・・・・・・・)。

 私が繰り返しフックを放ったことで、テンポを読み切ったルルンが姿勢を変える。次のデンプシーロールのタイミングで、カウンターで切って捨てることにしたのかもしれない。

 

(いくぞ!!)

 

そんなルルンのパンチが待ち構える殺し間に、私は全力で飛び込む。当然の様に飛んでくるルルンのグローブ。私の腕を掻い潜って放たれた完璧なタイミングのカウンターだったが、私はそこで振り抜いたのとは反対の腕を離したのだった。

 

 

瞬間、ばるんっと躍動する私の乳房。

 

 

普段の試合、私は常に自分のおっぱいと格闘しながらの戦いをしている。というのもこの無駄にデカいバストは一々ボクシングの動きの邪魔になるからだ。その上、無駄に目立つことで場を盛り上げるために狙ってくる輩も多いと来ている。だから、自然と大ぶりなフックを撃つ時は自分のバストを抑えながらパンチを放つ癖がついた。

 この試合でも当然フックの折には腕で作ったブラで胸を抑えながらパンチをしていた。これによりコンパクトに纏ったフォームを手に入れていたのに、ここで私はおっぱいを解放した。なぜか?それは、このおっぱいこそが作戦の肝だからだ。

 私のおっぱいはデカい。人一倍、何なら子供のルルンなら頭よりも大きいくらいかもしれない。そんなおっぱいで顔面を殴られればどうなるだろうか?たとえ拳の様に固くはなくとも、その質量だけで相手の意識を刈り取るには十分だ。普段であれば決して飛んでは来ない間抜けな一撃。だが、デンプシーロールへのカウンターを合わせたばかりのルルンにとっては不可視の一撃、完璧なカウンターへのカウンターへと、成り上がる。これが、私の、

 

(おっぱい、ブローだ!!!)

 

ど、ぷんっ!!

 

そんな音と共に、私のおっぱいがルルンの顔面を殴りつけた。

 

「ぶふぅ!?!?」

 

「もう……いっぱぁつ!!!」

 

頭のサイズを超えるおっぱいに頭を揺らされるルルン。だが、何とか踏みとどまったその側頭部に、今度は反対側からおっぱいブローをお見舞いする。

 

ドシャァン!!!

 

「んぶぅ!?!?!?」

 

荷馬車同士が正面衝突したような音と共にルルンの体が吹っ飛ぶ。

 薄暗いカンテラの下、プッと吐き出された白いマウスピースが宙を舞った。

 そして、グシャァ!とリングに墜落するルルン。

 

「あ…あぶ…っ……」

 

時折ピクッ……ピクッ……と身体を痙攣させるが、立ち上がる様な気配はない。

 

「エーイト! ナーイン!」

 

続くレフェリーのカウントダウン。そして、

 

「テンッ!!」

 

最後のカウントが下され、私の勝利が確定する。

 

「勝者、『鋼の女帝』アリア・フレイムハアアアアアトオオオ!!!!!」

 

「ハァ……ハァッ……んっ」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

未だかつてないダメージに苦しみながらも何とか右腕を掲げると、小屋全体が割れんばかりの大歓声に私は包まれたのだった。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

―試合が終わり、リングを降りようとしたところでそれ(・・)に気が付いた―

 

 初めは、私が歓声を浴びる間も起きようとしなかったルルンが心配だった。もとよりこんな見せ物小屋では真っ当な手当などというものはまず期待できない。だから、会場を出る前にちょっとだけルルンの安否を確かめようと思っただけだったのだ。

 

「っ!?」

 

だが、そんなつもりでチラッと向けた私の視線に飛び込んできたのは、両手足を投げ出して仰向けになるルルンの中心で、高々と天井に向かった大きな大きな三角テントだった。

 私達女ボクサーに支給されるものとは違う、ゆったりとしたごく普通のトランクス。そのトランクスの中で何か大きな物がビンッとその布地を押し上げて、大きなテントを作っているのだった。

 

「……」

 

その予期しない光景に、私はいつの間にかふらふらとルルンの方へと歩み寄っていた。周りから何か声が聞こえた気がしたが、そんな声は全て右から左に通り過ぎてしまう。ただ、見下した先に出来たルルンのテント、私はそれから目が離せなくなっていた。

 コクリと唾を飲んだ音がどこか遠くで聞こえた気がした。

 

「……」

 

 隆起したテントの先端に触れてみると、ぷにっと柔らかな感触が一瞬で驚くほどに固い芯がグローブ越しにも分かるくらい熱を持っていた。その不思議な感触に思わずルルンのテントの先をグローブで撫でていると、それまでも十分に大きかったはずのテントが次第にパンパンに帆を張っていく。そして、いつの間にかトランクスにジワッと滲んでいた小さな染み。

 

「おっと、おねしょか?」

 

あれだけ私と真っ向から殴り合ったのに、子供らしい失敗をするルルンに微笑ましいものを覚えながら、私は「仕方ないな」とルルンのトランクスをずり下す。主催である主人は気にしないだろうが、手下の人間にも迷惑はかけられない。だから、これは本当にそう、姉として仕方のないことなのだ。

 

「なっ!?」

 

果たして、そこに現れた光景に私は息を呑んだ。

 ぷっくりと膨らんだ赤黒い亀頭、ドクドクと脈打つ陰茎に走った太い血管、ほかほかと湯気の立つ陰嚢、そして、ツンと鼻の奥を突く酸っぱさを感じさせる臭い。

 今まで数多くの男のボクサーと殴り合い、その中の何人もが私を犯すことを夢想して勃起させたそれを幾度となくトランクス越しに目の当たりにしてきた私だったが、その全てのボクサーのちんぽよりも、ルルンのおちんちんは立派だった。それも、まだ毛も生えていない子供ちんちんなのにだ。

 

「ハッ……ハッ……」

 

時折ピクンと跳ねるルルンのちんぽを前に、私は次第に自分の胸が早鐘を打つのを感じた。弟のちんぽから目が離せない、離したいとも思えない。

 

「ん……ちゅっ」

 

そうして、固まっていた私はとうとう勃起したルルンのおちんちんの先端を咥えてしまっていたのだった。

 途端、ジュワッと口の中に広がるルルンの先走り液。

 

(美味い……)

 

少しえぐく、汗が混ざっているせいかややしょっぱいその味に、私は一瞬で夢中になっていた。

 

「んっ、ぢゅぽっ!♥ぐぽっ、ぶぽっ!♥ぐっぼ!ぢゅっぼ!♥♥」

 

初めはただ吸い付くように、けれど、次第に歯止めが利かなくなり私は知らず知らずのうちに喉の奥までルルンのちんぽを飲み込んでいた。

 

に”ぢゅぢゅっっっ♥♥♥ずぢゅり”ゅっっっ♥♥♥にゅぶぶっっっ♥♥♥ずり”ゅん”っっっ♥♥♥ぬ”り”ゅり”ゅっっっ♥♥♥ばぢゅん”っっっ♥♥♥

 

「ん”む”ふっっっ♥♥♥♥ぢゅぷっっっ♥♥♥♥れろれろれろれろっっっっ♥♥♥♥ぢゅぽっっっ♥♥♥ぶぽぉっっっ♥♥♥ずろ”ろ”ぉぉ~~~~~~っっっっ♥♥♥♥」

 

次第に激しくなるフェラ。だが、そんなことに構っていられなかった。初めて口にしたおちんぽ、それも大好きな大好きな弟の生ちんぽに夢中にならずにいられる訳が無かった。

 

「あ……うぁ……」

 

時折ピクッと反応を見せるルルン。その姿を見て、私は更に力を込めてルルンのちんぽをしゃぶり立てた。そして、

 

「っ!?」

 

どびゅるるるるるるるるっっっっ!!!! ぶびゅびゅびゅっっっっ!!!! びゅる”う”う”ぅぅ──────────っっっっ!!!!

 

ドバドパッと口腔内を襲う生臭い粘液。タパタパタパッと喉や頬を打った熱いそれがルルンのザーメンだと気付いたのは、大量に溢れ出た精液に窒息させられそうになってからのことだった。

 

「ん”っっぼお”お”ぉぉぉっっっっ!!!??? ♥♥♥♥お”ぼっっっ♥♥♥♥ん”も”お”お”ぉぉぉっっっ♥♥♥♥──ぢゅるるるるるっっっ♥♥♥♥ごきゅごきゅごきゅっっっっ♥♥♥♥ごきゅぅんっっっっ♥♥♥♥」

 

口の中を一杯に満たすザーメンを何とか飲み下して、喉に絡む体液を少しずつ嚥下していく。

 

「ん”ふぅ~~~~っっっ♥♥♥♥む”っ♥ふう”ぅ~~~~っっっっ♥♥♥♥ん”む”っっっ♥♥♥ぢゅぽっっっ♥♥♥♥ぢゅぽぽっっっ♥♥♥♥ずろ”お”ぉぉ~~~~っっっ♥♥♥♥」

 

「あ、あれ? お姉……ちゃん?」

 

最後に竿に纏わり付いたこびり付きザーメンを残らずしゃぶり取ったところで、私に犯されていたルルンが薄っすらと目を開けたのだった。

 

「──ちゅぽっ♥ ふぅ……おはようルルン♥」

 

「あ、うん、おはよう……あれ?」

 

「ふふっ♥ 何があったのか忘れてしまったのか? ここは見せ物小屋のリングで、ルルンは私にK.Oされたんだぞ♪」

 

「あ、そうだった。確か、お姉ちゃんのおっぱいに……」

 

私の言葉に、意識が途切れる直前のことを思い出したのか、記憶を反芻する素振りを見せるが、私のおっぱいのことになってカァッと顔を赤らめるルルン。

 

「恥ずかしがり屋だな、ルルンは♥ そんなんじゃ、次の試合も私が勝ってしまうぞ?」

 

そう言って、これ見よがしにおっぱいを揺らしてやると、可愛いルルンは耳まで真っ赤にして「あぅ……」と俯いてしまったのだった。

 

「……しょうがないな」

 

そんなルルンを見ているうちに、私はある思い付き(・・・・)をする。

 

「お姉ちゃん?」

 

「恥ずかしがり屋さんなルルンがおっぱいを克服できるよう、お姉ちゃんが一肌脱いでやろう♥」

 

「え? え?」

 

混乱するルルンのお腹に跨りながら、少し前屈みになるようにして胸を突き出すと、重力に引っ張られた長めのおっぱいがルルンの目の前でぶらんと揺れた。

 

「パンチングボールは分かるだろ?」

 

「う、うん」

 

「なら、それと同じだ。ルルン、私のおっぱいをいっぱい殴ってみろ♥」

 

そう言いながら、私が見せ付ける様にふりふりと身体を揺すると下に伸びたおっぱいの表面がたゆんっと大きく波打ったのだった。

 

「ほらほら、どうした?♥」

 

「ぅ……」

 

「ほら、パンチだ。ジャブやストレート、アッパーも打ち放題だぞ?♥」

 

「うぅ……」

 

「そうやって恥ずかしがってちゃ、やっぱり次も私の勝利だな♥♥」

 

「!」

 

ルルンを奮い立たせるため、敢えて挑発的な言葉を選びながらおっぱいを揺らしているとキュッと眉を絞ったルルンが目一杯視線を尖らせて私の乳房を見上げてきた。

 

「ぼくは負けない!」

 

「そうか♥」

 

「お姉ちゃんより強くなって、ぼくがお姉ちゃんを守るんだ!!!」

 

バチンッという破裂するような音と共に私のおっぱいが跳ね上がる。突き上げられた右腕、それが乳首の先からおっぱいを殴りつけ、一撃で天井まで乳首をカチ上げたのだった。

 

「!? ”ほお”お”お”お”ぉぉぉぉ~~~~~~~~っっっっ!!!!???? ♥♥♥♥

 

右バストの先端から齎された鋭い痛みと快感に、私は一瞬で絶頂してしまいそうになる。だが、

 

「だあっ!!!」

 

「ふお”お”お”お”ぉぉぉぉっっっっ!!!!???? ♥♥♥♥」

 

まだ右のおっぱいが宙を舞うなかで、今度は左のおっぱいを殴りつけられる。やはり一撃で宙を向く私のおっぱい。試合で顎に貰うことはなかったが、強烈なルルンのアッパーに跳ね上げられた痛みは、間違いなくそのパンチが一撃で相手をリングに沈める破壊力を帯びていることを物語っていた。

 

 ばぢゅっっっっ!!!! ぼぢゅん”っっっっ!!!! どぢゅっっっっ!!!! ぼぢゅっっっっ!!!! ずぢゅっっっっ!!!! ばぢゅん”っっっっ!!!! どぢゅう”っっっっ!!!! ばぢゅん”っっっっ!!!!

 

「ん”ほお”お”ぉぉっっっっ!!!!???? ♥♥♥♥ぐほっっっっ♥♥♥♥ほごお”お”ぉぉっっっっ♥♥♥♥お”ぎょっっっっ♥♥♥♥ほお”お”ぉぉ~~~~っっっっ♥♥♥♥」

 

落ちては跳ね上げられ、カチ上げられてはどぷんと墜落するおっぱい。次第に赤い痣が出来ていくが、それでも気にせず私はルルンにおっぱいを差し出した。だが、

 

(足りない!)

 

私の中で、何かがそう叫んだ。

 確かにルルンのパンチは気持ちいい。一撃一撃をおっぱいに見舞われるだけで、甘イキしてしまうくらいには。だが、それでも私に訪れるのは漣の様なエクスタシーだけで、全身を駆け抜ける様なマジイキを得られないでいた。

 

(何か、何か……!)

 

ルルンのサンドバッグ役を務めながらも何とかならないとかと視線を彷徨わせる。そして、そこでそれ(・・)を見つける。私のおっぱいを殴り上げるたびに、ブルンブルンと震える巨大なペニス。その先端から銀色の糸を迸らせながら荒れ狂うおちんぽに、私は一切躊躇うことなく手を伸ばしていたのだった。

 

「お姉ちゃ」

 

「サンドバッグ料も貰わないといけないからな!」

 

スパーリングパートナーにも対価は支払われる。だから、これは当然。当然の権利だ。

 そう自分に言い聞かせながら、私はいつの間にか汗だけでなく股間から溢れ出る愛液でぐっしょりとなったショートタイツの股下を無理矢理ずらすと、赤く充血したルルンのおちんぽの先に自分のおまんこを宛がった。

 

「ルルン!」

 

「お姉ちゃん」

 

「ルルン……愛しているぞ♥♥」

 

「あ、ぼ、ぼくm「ほお”ぉっっっ♥♥♥♥ん”ぅお”お”お”ぉぉ~~~~~~っっっっ♥♥♥♥」んいぃぃぃ!?!?」

 

ずりゅりゅっぐ”ゅう”う”う”ぅぅぅっっっっ!!!!

 

私の愛の告白にルルンが頷いたのを見て、私は躊躇なくルルンの童貞を奪う。

 

「ルルンちんぽ、ぶっとぉっ♥♥♥♥な”っがぁ~~っっっ♥♥♥♥」

 

胎の奥、自慢の腹筋の中を駆け抜けたルルンのおちんちんは、一撃で私のおまんこの最奥に到達し、その先に子宮口へとコンタクトする。初めて受け入れた男のちんぽ。それも、最愛の弟のという充足感に私は今までに感じたことの無い多幸感と快感に包まれた。

 

「ふぅ……ふぅ……よし、それじゃあトレーニングを続けるぞ♥」

 

「ふぁ……!?」

 

そして、抜けてしまうギリギリいっぱいまでお尻を持ち上げると、再びルルンの股間に私のデカケツ打ち付ける。

 

どぢゅう”ぅっっっっ!!!!

 

「んいいぃぃぃいいぃぃい!?!?」

 

「ほらほらっ! どう、したルルン!? さっきから手が止まっているぞ♥♥♥♥」

 

本気の愛液でぐしょぐしょに濡れた膣肉で弟のちんぽをしごきながら、快感に見悶えるルルンを挑発する。私のお尻の動きにあわせて暴れるおっぱいにルルンは拳を突き出すが、とてもヘロヘロのパンチでは捉えることなどできそうになかった。

 

ばぢぃんっっっっ!!!!ばちゅんっっっっっ!!!!だぷんっっっっ!!!!!

 

「あはぁっ! はぁっ! あうっ! うぅっ!!!」

 

「いいぞ、ルルン♥♥ そうだ、その調子だ!♥♥♥♥」

 

それでも、天性の当て感なのか或いは“勇者の末裔”の力なのか、次第に私のおっぱいに拳を突き立て始めるルルン。再び弟のサンドバッグになれる快感に胸を躍らせながら私は一層力を込めてルルンのちんぽへと尻を打ち付けた。が、

 

「ほ? う゛お゛っほごおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?♥♥♥♥」

 

調子に乗ってルルンのおちんちんを犯していたところ、不意に深く挿入(はい)った。ちんぽが私の奥底にあるポルチオを貫いた。

 

ブッッッシュウウウゥゥゥッッッッ♥♥♥ビュプププププッッッ!!!! ブリ”ュウ”ウ”ゥゥゥッッッ♥♥♥

 

一瞬で噴き出る夥しい量の愛液。それが噴水となって私を殴るルルンをびしょ濡れにしてしまう。しかも、

 

「ああああああああああああっ!!!!」

 

ジュ、ドンッッッッ!!!!!!!!

 

タイミングの悪いことに、ルルンの放った渾身のストレートが私のおっぱいを掠め、おちんちんが突き刺さったせいで緩んだ腹直筋を直撃してしまう。

 

「ほぎょ、っほおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?♥♥♥♥♥」

 

この予期せぬ挟み撃ちに子宮を内に外に潰された私は一瞬でかつてない絶頂に呑み込まれてしまう。

 

「ひああああああああああああ!?!?!?!?」

 

同時に、ぎゅうっっと収縮する私の膣壁。その肉襞に揉まれていたルルンのおちんちんまでもが限界を迎えてしまう。

 

 

──ぼびゅり”ゅり”ゅり”ゅり”ゅり”ゅり”ゅり”ゅり”ゅっっっっ!!!! どびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅっっっっ!!!! ぼびゅう”ぅっっっっ!!!! ぶびゅる”る”る”る”る”る”る”る”っっっっ!!!! ごびゅう”う”ぅぅ──────────っっっっ!!!!

 

「ん”も”お”お”お”お”ぉぉぉぉ~~~~~~っっっっ!!!! ♥♥♥♥ぶも”っっっ♥♥♥♥イ”っっっ♥イっでしまう♥女王おまんこイ”ぎゅう”う”う”う”ぅぅぅうぅ~~~~~~っっっっ!!!! ♥♥♥♥」

 

 

まるでマグマの噴火の様に噴き出たルルンの射精。炸裂したボディストレートの勢いが加わって仰向けに吹っ飛んだ私のおまんこではその全てを受け入れることができず、そのままぢゅぽんっ!と音を立ててちんぽが抜けたラヴィアにザーメン射撃をお見舞いされてしまう。

 まるでルルンの射精によっそうされたかの様な有様でリングに吹っ飛ばされたところで、閉じられたタイツの奥から白い湯気と共にプシャァァ!!とアンモニアの臭いが立ち昇る。

 

「あ゛へっ♥あへぇぇ♥♥♥」

 

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

「いいぞ女王!!! 弟食いの変態女ぁ!!!!!」

 

どちらが勝者なのかも分からない無様極まる姿で、痙攣する私を前に愉悦と侮蔑の混じった口ぎたない歓声が惜しみなく浴びせられたのだった。

 

 

 

 

     ■

 

 

 

 

 あれから、少し時間が経った。一度冬を迎えたこの国では、毎年少なくない餓死者が出る。だが、それでもこの見世物小屋の熱気は変わることはない。変わらず集まる鼻の下を伸ばした汚いエロおやじ達のスケベ根性に支えられ、今日も生きるための金を稼ぐ。

 

「赤コーナー! ついに二十度の防衛を達成したこの女を止めるやつは現れるのか!? 絶対王者!! 『鋼の肉便姫』、アリアアアアアアアアア!! フレイムハァトオオオオオオオ!!!」

 

「ん」

 

一方、私はといえばあの試合以降、少し売り出し方が変わった。

 試合自体は悪くなかったが、女ボクサーとして勝利したにも関わらずリング上で弟を犯したその姿から、『肉便姫』という新たな綽名を頂戴したのだ。正直、言いたいことは色々とあるのだが、如何せん衝動的に対戦相手だった弟を蹂躙した身としては致し方ないところでもある。

 こうして、ややエロ売りが先行する様に鳴った私は、例の試合以降分かりやすく好色な目をした男達とのカードが増えていた。まあ、私をレイプしようと襲い掛かって来た素人に毛が生えた程度のボクサーは余すことなく返り討ちにしてやったが。

 

(さて、今日の対戦相手は……)

 

「挫折を知り、己を知った天才は凡人へとなり下がるのか!? そんなことはありえない! 天才は挫折を知って更に強くなったのだ!! 今日こそ自分がこの世の王となる!!! 青コーナー、『天才少年』!! ルゥルゥゥン!! フレイムハァトオオオオオオオ!!!」

 

「!」

 

呼び出しの言葉に花道を見ると、暗い入り口の奥に見慣れた少年の姿が浮かぶ。毎日顔を合わせていても分かるくらい、少しだけ大人になったルルンが真剣な面持ちでリングへと歩いてくる。その凛々しい表情に私は自らの女がズクンと疼くのを感じた。

 

「おっと!? 『鋼の肉便姫』が花道の前に立ったあ!?」

 

「ルルン……」

 

煽る様な呼び出しの声を無視してルルンを呼ぶと、少し緊張した面持ちのルルンも「お姉ちゃん……」と呟いた。

 

「見てくれ! このぐしょ濡れメス豚肉便姫おまんこを!! お前のパンチにKOされて、ルルンちんぽに服従して妊娠メス豚肉便姫おまんこに成り下がりたがっている淫売まんこを固く勃起したおちんぽで滅茶苦茶にずぼずぼして永遠にルルン専用便所なのだと刻み込んでくれえええええええええええ!!!!!♥♥♥♥♥♥」

 

そのルルンの前でショートタイツにグローブを突っ込んだ私は衝動のまま一瞬でぐしょ濡れになったおまんこをクリトリスごと滅茶苦茶に掻き毟る。

 

「お゛ぐぉっっほおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!♥♥♥♥♥♥」

 

そして迎えた最初の絶頂にルルンを濡らしながら、私はこの後に繰り広げられるであろう最高の饗宴に思いを馳せて思わず乳首を固く勃起させたのだった。

 

 

 

 

 


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