※この作品はR-18です。

勇者パーティの性事情   作:ケンタ〜

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ひとさがし

 ずいぶんと長い滞在だった。実際に長い滞在だったのだけれども……。

 当初は一泊だけの予定が、結局僕らは三泊もしてしまった。

 慰安宿の代金がそれなりにお手頃でよかった。それでも駆け出しの勇者パーティにはかなりの出費だったけど…………。

 

 僕を介抱してくれたあのムキムキの冒険者さんもそういえば三日滞在していたとかなんとか。あの時は驚いていたけど結局僕も全然人のことを言えないらしい。

 

 でも、それだけ滞在していた恩恵もあった。

 みんな、ものすごくすっきりしていた。

 慰安宿に入る前とは全く見違えるようだった。ものすごいことになっていた性欲がすっきり出た感じがする。

 

 これでしばらくは大丈夫なはずだ。

 

 と言うことで、僕たちはようやく冒険者としての活動ができるようになった。

 

 魔王討伐の目的地に向けて進みながら、依頼を受けていく。

 それが冒険者としてのやり方だ。

 というわけで、僕らは冒険者ギルドへと来ていた。

 

「んー、にぎわってるね」

 

 ギルド支部の建物に入ると、ランジュが周りを見渡しながら言った。

 かなりの人がいる。

 ギルド支部ではいつもの光景だった。フロントでは、受付で係員と話している人、端の談話スペースで腰をおちつけて会話をしている人、掲示板で話をしている人、など、それら人々でおおにぎわいだ。

 

「魔王討伐の勅命が下ってから最近はずっとこうだね」

「最近、ですか?」

 

 そう疑問を呈すのはアンナだった。

 

 いつもの修道衣姿(前の慰安宿の街の教会で、新しいものを見繕ってもらったもの)で、ランジュの横で首をかしげる。

 

「魔王討伐の勅命が下ったのは、もう十年も前の事ですが」

「…………」

 

 ランジュがアンナの目をじっとみる。

 

「す、すみません。わたし、何か間違えましたか?」

 

 どうしたんだろう、ランジュ。

 なんかものすごく不機嫌そうな目立った。

 ややあってから、ランジュは口を開いた。

 

「……年寄りで悪かったね」

「「あっ……」」

 

 僕とアンナの声が重なった。

 

 しまった。そうだった。

 彼女はエルフだった……。僕らと時間間隔がだいぶ違う。

 十年……。そういえば、彼女の年齢はもう七十近いと聞いたことがある。僕らの一生くらいを生きている彼女に追っては、その期間はとても短いのだろう。

 

「そっ、そうですよね、十年は最近ですよね!」

「う、うんうん、うっかりしてたよ僕も」

 

 アンナと僕の慌てて取り繕う声が重なった。

 

「………」

 

 ランジュの眉間にぎゅっと皺が寄る。

 まずい。

 

 ランジュはおもむろに顔を伏せて。

 ぼそっ、と呟いた。

 

「人この子にはこの気持ちがわかんないよ……」

「ご、ごめん……」

「すみません……」

 

 ほんとにすいません……。

 

 悪気はない、悪気は。というか今の時代、別種族と接することなんてほどんどないし……。

 長命種なんて僕も出会ったのはランジュが初めてだ。

 彼女の長く大きな耳が、その心情を表すかのように、ずーんと下へと垂れる。

 

「ほら、とりあえず依頼でも見ようか……」

 

 ものすごく低い声で、ランジュは奥の掲示板を指さした。

 

「う、うん、行こうか」

「そっ、そうですねっ……!」

 

 全員、慌てて取り繕うように奥へと向かう。

 

「あのランジュ、ほんとにごめん」

「いいって。こういう時男は普通に黙ってた方がいいんだよ。それにわたしもう慣れてるし」

「う、うん……」

 

 一転、いつもの無気力そうなランジュだった。

 彼女もすこしの意地悪の気分だったのかもしれない。

 

 とりあえず、掲示板の内容を見ることにした。

 

 掲示板には多くの依頼内容が張り出されている……。本当に、それにはいろいろある。

 周辺の生態系調査、商人の隣町までの馬車の護衛、近隣の森林伐採の手伝い、などなど……。

 

「目立ったものはないね」

 

 一足先にざっとそれを見たランジュがそう言った。

 

「もう? 読むのが早いね」

「何年やってると思ってるの?」

 

 あっ。

 ランジュの眉の角度が、また少し危険な方向に曲がった。

 

 これは謝ったほうが……いや、さっきランジュが言ってたし、ここは黙ったほうがいいか。

 

「…………」

「なんか言ってよ」

「言うんだ……」

「冗談だよ」

「冗談なんだ……」

「まあ、それは置いといて」

 

 置いとくんだ。

 

「ここはいいか。上に行こう」

「うん、そうだね」

「あ、ここ二階もあるんですね」

 

 アンナが上を見上げてそう言う。

 

 吹き抜けになっている二階のスペースが、ここから見える。

 そこにも多くの冒険者の姿がある。

 一目見て分かる。かなり、鍛え上げられた体をした人ばかりだ。

 すべてのギルド支部ではないが、高難易度の依頼内容とそうでないものとを分けているギルド支部は多くある。

 見たところ、一階のこの掲示板には、僕らの求めるレベルの依頼はない。ならば、あとは二階に行くだけだ。

 

 端の方にある、二階に向かう階段をみんなで上がる。

 すると一階ほどではないが、それなりに広いスペースになっていた。

 一階には民間人の姿もあった。でも、ここに居るのはどれも冒険者たちだけだ。

 一階の受付では民間人の依頼受付もしているけれども、ここでは別だ。本格的に、冒険者だけに向けた空間になっている。

 

 まず、一面の壁にはびしっと依頼内容を掲示する紙でいっぱいになった掲示板があった。数えるのも億劫だけど、全部で百以上はあるだろう。これ全部が今受注待ちの依頼内容だ。

 左の方は二階の受付があって、そこにギルドの受付嬢さんが待機している。

 さらに右の奥の方には、多くの机といすが用意されていた。

 

 どちらかと言うと、ここは情報交換の場だ。

 わざわざ二階のスペースを用意するというのは、ただ依頼内容を区別化したいというだけではない。冒険者自身の棲み分けが必要だから、そうしているのだ。

 高位の冒険者でなければできない会話、聞かれたくない会話もあるらしい。

 だから、このように棲み分けをしているギルドがあるのだという……。

 

「って、ランジュ言ってたよね」

「うん」

 

 そっけないなあ……。

 ランジュは、今度は二階の掲示板を眺めていた。

 

 なんか今回は結構じっくり見ている。数で言えば下のものより少し多いくらいだけど……。

 

「ほら、メルアも良い感じの探して。ぼっとしてないで」

「あ、うん……」

 

 あんまり僕文字読めないんだけどな……。

 う、難しい単語が多い……。

 

 ちらり、とアンナの方を見る。

 

 彼女は身をかがめて、下の方の依頼を見ていた。

 

 ……かわいい。横顔が……ドキッとしてしまう。

 ていうか、やっぱりおっぱい大きい……。

 修道着ぴっちりしすぎる。おっぱいがめっちゃ強調されてる……。

 う、せめてしゃがんでほしいな……。かがむだけだと、腰とおしりが……。

 

 いや、やめろメルア。おちつけ。

 

 ふう。慰安宿ですっきりしたおかげでおさまりが早い。あぶないあぶない。

 

 アンナの方は育ちがいいから、僕みたいに以来の内容を読むのにあまり苦労はしていないみたい。

 ランジュは言わずもがな年の……いや、経験のおかげなのだろう。危ないところだった。思考を読まれてたらまた睨まれるところだった。

 

 うーん、なんでこんなに難しい文章にしてるんだろう。文字がよめない冒険者も多いはずなんだけどな……。

 いや、正確に言えば、文字が読めないというか、単語の意味がわからないっていうんだろうか。

 いつも僕たちが話している言葉の話し方と、書いてある文章の言葉遣いの中身が全然違う。

 ふるめかしくて、ちょっと理解に悩むような内容だ。教養がないと読めない……そんなかんじ。

 

『昔は同じだったよ?』とかランジュが言うんだけど、じゃあなんで今も同じじゃないんだ?

 

「う~ん…………」

「あ、これいいね」

「え、なに?」

 

 ぜんっぜん読めなかったけど、ランジュが見つけたらしい。

 

「人探しの捜索以来だね。いいねぇ、こういうのって報酬高くつくんだよ」

 

 なんかちょっと悪い顔をしていた。

 いがいとお金にがめついんだろうか、このエルフさん……。

 

「なんですか?」

 

 アンナもそれを覗き込む。

 

「人探し、ですか? いいですね。でも、あんまり冒険者っぽくないような……」

「うん。でも職業柄、いい仕事でしょ、アンナには?」

「それはそうですが……。でもやったことないですよ?」

「いいの、こういうのは。一回経験しといたほうがいいもんなんだよ、ほんとに」

「そう、ですか? でしたら……」

「あの、二人とも、それ、なんて書いてあるの?」

 

 二人とも盛り上がっているようだけど、自分は目を凝らしても、頑張ってもその依頼内容が読めない。

 なんとか人名っぽいものはつかめるんだけど……それにしても全体は無理だ。

 というか、この人名、なんだ? なんてよむんだ、これ?

 

「うん、じゃあ読み上げるよ。

 


 

 依頼内容:ラブリア・ネライザの捜索依頼

 報酬:モルフォス金貨十七枚

 

 十六歳の少女。漆黒の黒髪。茶色に焼けた艶のある肌。頭部に装飾品を身に着けている。

 近辺の森の中で行方を喪失。

 


 

「と、いうことです」

「ありがとう。って、十六歳の少女? 大丈夫かな……」

「うん、だから捜索依頼を受けようって」

 

 ランジュはにやりと笑って見せた。

 

「いい依頼だよ、これは。成功するとは言えないけど、うまくいけば確実に伝手が作れる」

「つて……? どういうことなの?」

「見てよ」

 

 ランジュは、依頼の紙の『ラブリア・ネライザ』の『ネライザ』の部分を指さした。

 

「苗字がある。それに、モルフォス金貨十七枚……。国境近くのここら辺の地域では、最高級の金貨だ。どこかの豪族かお貴族様、さもなければ金のある商人の依頼か……。それに、依頼人の名前も何もない。裏に、何かあるんだよ。どういうことかわかる?」

「えっと……。裏があるって、危なそうだけど」

「違う。何か言えない事情があるんだよ。何か早急な用事か事情か……ともかく、この依頼からは、『何も言えないですけど、お願いします、今すぐ助けてください』っていう匂いが漂ってる。つまりそれは、これが成功すれば、大きな感謝を得られるってこと」

「感謝……? なんか含みがあるような」

「でも、勇者パーティとしてはこれ以上ないおあつらえ向きの依頼内容だとも思わない、メルア?」

 

 ランジュが、得意げな目つきで僕を見あげてくる。

 

「……なんか裏があるように聞こえてならないんだけど……」

 

 するとアンナが横から話しかけてきた。

 

「人の命がかかっていることに、あんまり損得勘定は……」

「まあ、言っちゃえばそうだけどね」

 

 ふう、とランジュはため息をついて見せる。

 

「でも、それを抜きにしても、受けて損はない話だ。人助けができる。対価がもらえる。もしかしたら、それ以上も。それだけの話だよ。結果は、受けるか受けないか。それに、依頼とはそういうものでしょ。大きな報酬を設定して、より早く助けてもらおうとする。ギルドの仕組みはそんなもんでしょ」

「まあ、言われてみれば……」

 

 ぐうの音も出ない。

 それで生計を立てている身としては……特に。

 

「で、どう? これを受けるのに異論ある?」

「まあ、ない、かな。人助けするのはいいことだし」

「はい、わたしも」

「じゃあ、決まりだね。この依頼を受けよう。きっと高くついてくるよ、この依頼は」

 

×

 

「と言うわけで、依頼の許可が出ました」

 

 そう言うのは、ランジュ。冒険者ギルド二階の、談話スペースにて。

 みんなが机に座っている中で、彼女は席を立っていた。

 そして、机に一枚の紙を置く。

 

「依頼受注完了。あとは、人探しをするだけだね」

「といっても、どうやってですか?」

 

 アンナが尋ねる。

 

「わたしとライゼンがいれば、簡単に探せるよ。まずはライゼンを呼び戻さないとだね」

 

 さっきから居ないライゼンは、そもそもギルドについて来てない。

 街に入る前に『鍛錬しなきゃ』とか言って森の中に入って行ってしまったのだ。

 いつものことだから誰も気にしていないけど。

 

「でもライゼンってどこにいるかわかるの?」

「ライゼンには魔力があるからね。魔力探知で見つけられるよ。まずは行こうか」

 

×

 

 街の入り口付近にて。

 

 街から先はすぐに森だ。この街も魔王討伐の勅命が出てから発展した町。そういうところはだいたいこんな感じで、森の中に囲まれている。

 と言うよりも、森のある場所を開拓して街をつくった、と言うところか。

 

 確か『ディーティコス大森林』という大陸じゅうを覆う大森林を横断するように街道が作られているとか。それを中継地点とするように人々が集まって、どんどんと街が作られて行っているという。

 

 だからこの街の四方八方は森だ。というか昔っからの有名な平原以外は、この地域は全部森と言っていい。

 人々の開拓はまだまだこれからの場所で、古くの年に比べれば、まだまだ自然が近い。

 

「確かに、これくらいなら迷子とかたくさん出そうだね……」

 

 鬱蒼と生い茂っている。

 ここから森を見れば、もうすでに、数十メートルの向こうもわからない。

 まだ昼なのにしかも暗い。大自然、と言う感じだ。

 

「ライゼンさんは、すごいですね……」

 

 アンナが感嘆するように言う。

 

「わたしなんて一瞬で迷っちゃいそうなのに、ひとっとびで軽く森の中に入っちゃうんですから……」

「わたしはたぶんあいつは猿に育てられたんだと思うよ」

 

 結構辛辣だなあ、あれ以来……。

 

「じゃあ、さがすよ」

 

 そういうと、ランジュの手に、どこからともなく魔法杖が現れた。

 魔法だ……いつ見ても不思議だ。

 

「んっ」

 

 そして、それを目の前に構える。

 

「『魔力探知』………」

 

 それから、ランジュは目をつむった。

 集中しているのだろう。

 

「?」

 

 ぴくっ、と体が勝手に反応してしまった。

 何か変なものを感じた。

 なんか、むずむずするような……。

 

「あ、居た」

 

 ランジュがぱっと目を開く。

 

 それと同時、むずむずするような感覚がなくなった。

 

「え、もういたの?」

「うん。わかりやすいね。ほんとに修行してるみたい。あっちだ。行こうか」

「すごいな……」

「さすが魔法使いはすごいですね」

 

 歩いて行くランジュの背を追いかけながら、アンナは言った。

 

「魔力探知……僧侶のわたしには未知の魔法です」

 

 がささっ、と草をかき分けて、森の中へと入ってく。

 ランジュが先で、アンナが真ん中、僕がしんがりだ。

 

 草も何もかも、生えっぱなしだった。もちろんそれ前提の格好(長靴と長ズボン)をしているから大丈夫だけど。

 それにしても、一気に暗くなった。真昼のはずだというのに、日照量が一気に下がった感じだ。

 

「魔力探知は別にそう難しいものじゃないよ。それに魔法ですらない。ただの魔力操作の応用だ」

「そうなんですか……わたしでもできるようになりますか?」

「うーん……人によるけど、難しいと思うよ。アンナは僧侶の魔法前提で常に魔力を運用しているから、単純な魔力操作はたぶん下手でしょ?」

「うっ……はい、そうです」

「だからそう言うのはわたしに任せて。パーティって言うのはそういうふうにできてるんだから」

「はい、頼もしいです!」

 

 僕は魔法の事にはからっきしだ。

 ていうか僧侶の魔法と魔法使いの魔法って別だったんだ。しらなかった。

 

「きゃっ!」

 

 アンナの叫び声――――

 

「あぶないっ!」

 

 ガシッ!

 転ぶ直前で、彼女の体を後ろから支えた。

 

 よかった。

 いつものフォーメーションを自然にとっておいて正解だった。

 アンナは回復役なので、非戦闘員だ。だから、何かあってもすぐに守れるように、彼女をはさむように陣形を組んでいる。

 ともかく、転ぶ前に支えられてよかった。ここでは足元もおぼつかないから……。

 

「アンナ、大丈――――」

 

 ぐにゅっ

 

 あれっ? なにこれ、柔らか――――

 いや、結構な弾力、手を包み込んで……。

 

「っ、ゆうしゃ、さま……」

「あっ……」

 

 むにゅっ

 

 これ、アンナの……。

 

 ぐにゅにゅっ!

 

 びくっ、と手が震えてしまった。

 

「ひぅっ」

「あっ、ごめっ……」

 

 ものすごく、大きい。

 そういえば、ちゃんと触るの初めてだったような。

 以前は、はさんでもらっただけで、ちゃんとしてなかったし。

 ていうか、こんなに、柔らか……。

 そしてアンナ、結構、体重量感ある……。

 

「あの、ゆうしゃ、さま……はなれて、もらえると……」

「――――はっ!? ごめんっ!?」

 

 ぼーっとしてた!

 謝りながら、ずっと彼女の胸を触っていた……。

 ものすごいことをしてしまった。

 

 とっさに彼女から離れた。

 

「ご、ごめん! 変なところ触っちゃって……」

 

 離れると、アンナの背は、丸く縮こまってしまっていた。

 自分の体を守るように、アンナは自分の腕を抱いている。

 

「い、いえ……わたしの、不注意、なので。助けてくれて、ありがとうございま、す」

 

 アンナは小さく首を横に振る。

 

「う、うん……ごめん」

「はい、なので……いき、ましょう」

「う、うん……」

 

 しばらく、沈黙が流れる。

 いきなり、心臓が高鳴り始めた。

 

 まずい。けっこう、ドキドキしてしまっている。

 

 アンナのおっぱいを、いきなり揉んでしまった……。

 

「――――はい二人、こんなところで興奮しないでくださーい!」

「「ッ!!」」

 

 びっ、くりした!

 

 ランジュが手を叩き、大声で呼び掛けてきた。

 

 彼女の方を見ると、大きなため息をついた。

 

「はあ……ふたりとも、場と節度はわきまえてよ。森の中だよ。警戒怠らないで。いい?」

「はっ、はい……!」

「ご、ごめんなさい!」

「セックスしたいなら後でね。野生動物でもそれくらいはわきまえてるよ」

 

 ランジュはくるりと踵を返して、また歩き始めた。

 

 あ、危なかった……。また変な気分になるところだった。

 

「っ……」

 

 というか、ちょっと立ってしまっている。

 あの慰安宿の街を離れてから、三日くらいか……。

 いちおう、あれから、何回か抜いてはいるけど……。

 

 まずい、一回立ったら、収まりが……。

 ダメだ。こんなところでは。

 

 目が、勝手に動く。

 

 アンナの後ろ姿……。

 

 ぴっちりと張り付く修道服。

 それに強調されて……大きなおしり、大きな腰、それに乗る細くて華奢な腰……。

 後ろからでも見えてしまう、暴力的な、胸……彼女の背から飛び出して、ここからでも見える……。

 そして、か弱く小さな肩……。

 小さいのに、とても大きい……。アンナの、体は……。

 

 こんなところで、僕は興奮を……。

 

 とっても、やわらかかった……。

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