「さて、どこから話そうかのぅ」
食事が作り終えると共に、ババモンは落ち着いた口調と共にゆっくりと語り出す。
「七大魔王の事についてはどうかな?おそらくは、これからの出来事に深く関わるから」
「そうじゃなぁ、七大魔王についてじゃな」
それと共に、ババモンから語られたのは、普段は相互不干渉の立場を取っている七体のケモノガミ。
しかし、一体一体でも世界を滅ぼす力を持つケモノガミという事。
「けれど、今、その七大魔王は争っているのじゃ」
「争っている?」
その言葉に対して、俺は疑問に思う。
「あぁ、七大魔王達は、最近になって君達のような人間を求めているのじゃ」
「私達のような人間?」
ババモンの言葉に俺達は首を傾げた。
「七大魔王は、各々が七つの大罪のように、それぞれの感情を強くする為に、人間を求めているのじゃ」
ババモンは重々しく頷いた。
「その通りじゃ。七大魔王はそれぞれ異なる感情──七つの大罪の象徴となる感情を糧としている。そしてそれを育むためには"純粋な感情を持つ人間"が必要なのじゃ」
その言葉に六花が身を震わせる。
「まさか……僕らも?」
「そうじゃ。特に子供は新鮮な感情を持っておる。だからこそこの世界に拉致されてきたのじゃろう」
太田が青ざめた顔で問いかける。
「じゃあ今まで出会ったケモノガミどもは?」
「あれは魔王たちの配下よ。感情を吸収するために獲物を狩る役割を担っておる。つまりお前たちの命は魔王にとって格好の餌食ということじゃ」
沈黙が広がった。俺たちの置かれた状況が想像以上に深刻だと理解できる。ふとアヤノを見ると彼女は俯いて拳を握りしめていた。その顔色は蒼白で唇が僅かに震えている。
「大丈夫か?」
声をかけると彼女は微かに頷いた。
「ムジナという娘のことじゃが」
ババモンが言葉を選ぶように話しだした。
「あの者はすでに七大魔王のうち『怠惰』を司る魔王の器となっておる」
「器って」
「魔王の力を完全に引き出すための依り代ということじゃ。他の魔王達の器になる者達から力を奪い合うのが目的じゃろう」
「そう言えば、あの時、色欲や憤怒って、言っていたけど」
その言葉と共に、視線は俺達に。
「器と言っても、本人達が自覚していない可能性がある。最も、君達が魔王に選ばれたかは分からないが」
「自覚していない?なら」
「うむ」
ババモンは頷く。
「いずれにしても魔王に選ばれたからといって必ずしも悪だとは限らん。だが問題は……」
「その力を制御できなければ自分自身すら飲み込まれてしまう?」
俺の推察に対し老婆は哀しそうに微笑む。
「そうじゃ」
彼女の目に映るのは過去の過ちか未来への警告か。
「・・・」
こちらを見つめている視線に気づかず。