モニタモンと名乗るケモノガミは四角い画面型の頭部を持ち、左右から伸びるアンテナが小刻みに震えていた。
「あんたらも迷い込んだ連中だろ? よかった~俺らだけじゃホント限界でさぁ」
安堵した表情を見せる一方で背後に隠れている仲間が怯えた様子で身を寄せ合っている。
氷室は即座に警戒態勢を整えながら尋ねる。
「その『あんたら』って言うけどまだ仲間がいるのか?」
「ああ! 女性のパートナーがいるんだ。その人の指示でこの周辺のデータ集めてるんだけど……」
モニタモンは言い淀みながら周囲を見回した。その視線の先には茂みの奥深くへ続く獣道があるようだった。
「ちょっと前から凶暴なケモノガミが増えた気がするんだよ。今までこんなことなかったのに急にさ」
その情報が興味深い。ケモノガミたちの中でさえ異変を感じ取っているということは相当な規模なのかもしれない。
「その女性と会うことは可能か?」
氷室が問いかけるとモニタモンは少し考え込む仕草を見せた後小さく頷いた。
「もちろん。彼女には報告しないといけないこともあるしね。それに君たちが協力してくれるならありがたい」
「わかりました。行きましょう」
迷いなく答えるとモニタモンは嬉しそうな声で案内役を買って出た。
移動を開始してすぐ違和感を覚えたのは気温だ。通常であれば森の奥へ進むほど湿度や温度が高まるものだがここでは逆だった。地面から立ち昇る蒸気と空気に溶け込む微弱な電子信号のようなものが肌にまとわりつく感覚があった。
「……ここって普通の森じゃないな?」
小さく呟くと氷室が無言で頷いた。その目は鋭く前方を見据えている。
進むにつれて景色は変化していく。木々の幹には無数の配線コードらしきものが巻き付き空中には青白いホログラムのような光点が浮かび始める。まるで仮想空間と現実世界が融合したような不気味さだった。
「もうすぐだよー」
モニタモンが先導する先には開けた広場があり中央には石碑のような物体があった。
「こちらです」
モニタモンの先導で辿り着いたのは巨石に囲まれた広場だった。そこには漆黒のスーツを纏った女性が佇んでいた。ロングヘアの金髪で外国人だろうか。
「あっモニタモンさん!お疲れ様ってふぎゃぁ!」
彼女はそのまま、こけてしまう。
そして、こけてしまった勢いと共に、俺の上に。
「ふがぁ?!」
柔らかな乳房が俺の上に重なる。
その光景を見ていた氷室は。
「ふむ、これが世に言うラッキースケベという訳か、なかなかに興味深いな」