「死ねるかっ」
俺の絶叫と重なるようにグラウモンの皮膚が剥がれ落ち始めた。肉が裂け骨格が膨張し鋼鉄の装甲が形成されていく過程は地獄の誕生を見ているようだった。
メガログラウモン。
鋼鉄の巨躯から発せられる咆哮が大地を震わせる。その両腕には巨大なブレードが装備され背中のバーニアが轟音を立てて点火した。
「ガアァァッ!」
咆哮と共にメガログラウモンの巨体が炎を噴きながら加速する。目標は一点──マッドレオモンの本体だ。
八岐の大蛇が一斉に牙を剥き襲いかかる。鋭利な鱗が月光を反射し数十本の刃となって降り注ぐ。
だがメガログラウモンは止まらない。左右のブレードが唸りを上げ蛇たちを次々と薙ぎ払っていく。
ズブリ──肉を断つ音。
ベキョッ──骨が砕ける音。
ゴシュッ──粘液が弾ける音。
地面に落ちた蛇の胴体からは紫色の体液が噴き出し腐臭を撒き散らす。メガログラウモンは血飛沫を浴びても速度を緩めず一直線に突進する。
「いけ……!」
俺の祈りと共に戦車のような質量がレオモンへ激突した。衝撃波が周囲の木々をなぎ倒し地面が蜘蛛の巣状に割れる。
「グオォォ!」
マッドレオモンの絶叫が森を震わせる。その巨体が宙を舞い背中から岩壁へ叩きつけられた。岩盤が粉々に砕け散り砂塵が舞い上がる。
しかし敵もまた建材だ。瓦礫の中から血塗れのレオモンが姿を現す。
「まだだ……」
俺は息を呑む。
メガログラウモンもまた構える。
眼前にいるレオモンの殺気は未だに見える。
「「アトミックブラスター!」」」
俺とメガログラウモン。
まるで意思が重なるように、胸部アーマーの砲身から強力な光線を放つ。その威力は凄まじく周囲の地面を抉り取り、マッドレオモンの巨体を容赦なく貫通していく。衝撃波が木々を揺らし、空気が震える音が耳を劈く。
「グアァァッ!」
悲鳴を上げるマッドレオモンの体表から焼け焦げた皮膚が剥がれ落ちていく。次第にその傷口からは煙が上がり始める。
燃え盛る炎が敵の全身を包み込み、その体躯は見る間に崩壊していく。
「……終わったか?」
安堵の溜息と共に力が抜けそうになる。
「おい、大丈夫か?」
「あっあぁ、なんとか、けれど」
その最中で気づいた事が一つ。
先程まで、死闘を行っていた事もあって、気づかなかった。
メガログラウモンが戦っている時、まるで俺達の意識が重なったように戦った事。
それは、本来ならばあり得ない事だろう
けれど、確かに現実になっていた。
「氷室、今のは」
「・・・分からない。だが、どうやら、僕達の想像以上の出来事が起きているのだろう」