疲労困憊の一行の様子から始めよう。特にメガログラウモンから人間サイズに戻った主人公の消耗感を強調したい。激戦後の虚脱感と生存本能の昂ぶりが入り混じった状態だ。
夜の帳が下りた遺跡の広場は不気味な静寂に包まれていた。岩肌に寄りかかり息を整える俺の身体は鉛のように重い。
進化したメガログラウモンから解放された途端、全身に倦怠感が襲ってきた。皮膚の下を鉄錆の味が広がるような感覚だ。
ティアーユが焚火を起こす間、氷室は黙々と周囲の警戒を続けている。その無表情な横顔には疲労の色が濃い。普段は冷静沈着な彼の目が今は血走っている。当然だ。蛇の頭部を一体ずつ潰していったマッドレオモンとの死闘は精神的にも肉体的にも拷問に等しかった。
モニタモンたちは戦闘中ずっと樹上に避難していたが、いまや炭火に当たって身を寄せ合っている。彼らの丸い目には恐怖と尊敬が混在していた。特に俺を見る目には畏怖の念が宿っている。
「大丈夫ですか?」
ふと顔を上げるとティアーユが傍らに立っていた。
彼女の黒縁眼鏡の奥で瞳が揺れている。スーツ越しにも分かる豊かな胸の起伏が呼吸に合わせて上下していた。
「ええ……なんとか」
声がかすれる。喉がカラカラだ。水筒を手渡されると一気に飲み干した。冷たい水が喉を滑り落ちる感覚が気持ちいい。
「メガログラウモン……凄いわね」
ティアーユが呟く。その声には感嘆と好奇心が交錯している。
「あんなの見た事ないわ。何よりも、その力に」
焚火の灯りに照らされた彼女の頬が紅潮しているのに気づく。知的好奇心が抑えきれないといった表情だ。
「先生……」
呼びかけに応じたティアーユの首筋に火影が踊っている。鎖骨のラインが艶めかしい。
「あなたのケモノガミ使いとしての素養は特別なものがある」
彼女が一歩近づく。香水の香りが鼻腔を刺激する。アルコール消毒液と柑橘系の混ざった独特の匂いだ。
「私……もっと知りたいの」
囁きと共に体温が肌を撫でる。スーツの滑らかな布地越しに柔らかい乳房の輪郭が感じ取れた。その弾力が肘に触れる感触は麻薬的だった。
「何を……知りたいんですか」
問いかける自分の声が震えている。
「あなたの中にある"ケモノガミ"との接続ポイントよ」
ティアーユの指先がそっと俺の鎖骨を撫でる。医師のような手つきなのに娼婦のような大胆さだ。
「人間とケモノガミの融合境界……それがどこなのか確かめたいの」
眼鏡のレンズに炎の揺らめきが映り込んでいる。瞳孔が拡大しているのが見て取れる。
「お願い……少しだけ触れさせて」
熱い吐息が耳朶をかすめる。
俺は身動きできなかった。疲労と未知への恐怖と……そして圧倒的な興味が入り混じる感覚に囚われていた。
ティアーユの長い指がシャツのボタンにかかる。
一つ、二つと外されていくたびに肌が冷気に晒される。胸板に触れた彼女の掌は驚くほど冷たい。学者らしい繊細なタッチが逆に官能を刺激する。
「ここね……」
ティアーユの囁きと同時に胸の中央──以前感じた熱源に触れた。
ビリッと電流が走る。
痛みと快感の狭間で意識が白む。
「私の知識を満たすように」