唇が触れた瞬間、氷のような冷たさを感じた。
「っ……!?」
驚きで目を見開いたがムジナは表情ひとつ変えずただ押し付けてくる。最初は柔らかく啄むようなキスだったが次第に深く侵入してきた。
ねっとりとした舌先が俺の上顎をなぞる。湿った音が洞窟の湿った空気に溶け込む。冷たいのに熱く感じるのは錯覚か。生ぬるい粘膜が絡みつくたび背筋が震える。
「ん……っ」
抵抗しようと歯を食いしばってもムジナの舌は器用に隙間をすり抜けてきた。甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。唾液が糸を引く感覚に羞恥心が湧く。でも拒絶できない。
舌の裏側が俺の喉奥を撫でる。ざらついた表面と滑らかな裏側が交互に擦れる感触。脳が痺れるような陶酔感が下半身を這い上がってくる。
「ふ……ぅ……」
息継ぎのタイミングすら奪われる。酸欠で頭がぼうっとする中、ムジナの舌が歯茎を丹念になぞった。まるで内部から侵食する蛇のようだ。
やがて離れた唇から銀色の糸が垂れた。ムジナは何事もなかったかのように微笑む。
「やっぱり変な人だね」
冷たく濡れた彼女の舌先がまだ唇に残っている気がした。体温の違いに戸惑いながら、俺は唾を飲み込んだ。
戸惑う暇もなくムジナの手がズボンの上から押し付けられてきた。冷たい指が布地越しに俺のものを確かめるように撫でる。
「本当にここにあるんだ」
初めて見るおもちゃをいじる子どものような無邪気さでムジナが呟いた。細い指が股間の隆起をゆっくりとなぞり上げる。先端まで辿り着くと今度は下降する。その単調な往復運動が却って刺激的だった。
「っ……やめ……」
制止しようとしたが声がかすれる。腰が反射的に引けたが洞窟の壁が阻んだ。
「どうして固くなってるの?」
不思議そうな表情を浮かべながらムジナはベルトを外し始めた。革紐が床に落ちる音が妙に響く。チャックが降りて露わになった部分を彼女は迷いなく握った。生身の熱を感じたのか一瞬だけ動きを止める。
「あつい」
短い感想と共に再び手指が蠢き始める。親指と人差し指が輪になって上下する。他の指は袋の部分を柔らかく揉み込んでくる。技巧らしいものはないが純粋な好奇心だけが伝わってくる。それが却って羞恥心を煽った。
「く……う…」
歯を食いしばっても喘ぎが漏れる。皮膚に残った唾液の冷たさと性器の熱さの落差が奇妙な快感を生んでいた。ムジナの指先が裏筋を掠めるたび腰が跳ねる。
「こうやって触られるのが気持ちいいの?」
尋ねながらもリズムを変えず一定の速度を保つ。まるで実験記録をつけている科学者のような冷静さだ。しかしその瞳の奥に宿る微かな興奮の色が俺の理性を炙っていく。
根元から先端まで丁寧に摩り上げる指使いに合わせて脈動が激しくなる。先走りの液体が彼女の掌を濡らし始めると動きが滑らかになった。粘っこい水音が狭い空間に反響する。
「もっと硬くなった」
無機質な報告調で言いながらも力加減を調節してくる。皮が捲れる感触と締め付ける圧力が絶妙に混じり合っていた。時折爪先が雁首を引っ掻き新しい刺激を生む。
「おかしいよ……こんなに……」
否定したいのに身体は正直すぎる。先端から滲む透明な液が彼女の指紋をつけていく。視覚的羞恥と直接的な快感が混ざり合い思考が混沌とする。
「ねえ教えて」
唐突に問いかけられても意味を掴めない。混乱する俺を見てムジナが唇の端を上げた。その表情には初めて見せる嗜虐的な愉悦が浮かんでいる。
「どこが一番気持ちいいの?」
問い詰めながらも手淫は続行される。指の腹が敏感な亀頭部分を重点的に擦り始めた。潤滑剤になった体液が糸を引きながら跳ねるたびに小さな喘ぎ声が漏れた。
ムジナの腰がゆっくりと沈み始めた。俺のペニスは既に十分すぎるほど勃起していて、彼女の入口に触れただけで電流が走るような快感に襲われる。
「っ」
息を詰まらせて見上げると、ムジナは相変わらず虚ろな目で俺を見下ろしていた。表情からは一切の感情が読めないのに、その腰つきは熟練した娼婦のようだった。膣口が亀頭を捉え、ゆっくりと吸い込まれていく。粘膜同士が擦れ合う感触に背筋が粟立つ。
「すごい……硬い」
呟きながらムジナはさらに深く沈み込む。狭くて熱い肉壁がペニス全体を包み込み、無数のヒダがねっとりと絡みついてきた。根元まで完全に埋没すると、彼女は一度動きを止めた。結合部から溢れる体液が俺の下腹部を濡らす。
「全部入ってる」
そう言って小さく笑った。冷たい指が俺の胸板をなぞり、鳥肌が立つ。彼女の腰がほんの少しだけ前後に揺れた。緩慢で慎重な動きだったが、そのせいで膣内の凹凸がダイレクトに伝わってくる。ざらつく襞がカリ首を撫で上げ、次の瞬間には根元を締め付ける肉壁の圧迫感に変わる。
「こうすると気持ちいい?」
問いながらムジナはさらに動きを加速させたわけではない。むしろ逆だ。ぎりぎりまで腰を持ち上げた後、再び時間をかけて沈み込む。浅い抽送を何度も繰り返され、まるで膣肉全体で舐めしゃぶられているような錯覚に陥る。
「う……く…っ」
快感があまりに執拗で逃げ場がない。奥歯を噛みしめても声が漏れてしまう。ムジナのリズムに合わせて洞窟の水面が揺れ、微かな水音が反響する。
「まだ……出さないでね?」
彼女は完全に主導権を握っていた。長い紫の髪が汗で額に張り付きながらも表情は変わらない。その無機質な美しさと貪欲に絡みつく蜜壺とのギャップが狂気的だった。
突然ムジナの動きが止まった。腰がぴったりと密着し、内部が収縮する。不意打ちの締め付けに射精感がこみ上げる。
「っ……待っ―」
抗議する間もなく彼女が小刻みに腰を震わせ始めた。奥の方で細かい襞がうごめき、精液を搾り取るような蠕動が始まる。
「や……あっ……」
我慢できなかった。尿道を駆け上がる熱い塊。どくん、どくんと脈打つたびにムジナの身体が跳ねる。射精のリズムに合わせて彼女の内部が絞り上げてくる。
「ああっ……熱い……」
絶頂を迎えたムジナの声は僅かに上ずっていた。結合部から白濁液が溢れ出し、腿を伝い落ちる。彼女は俺の上で小刻みに震えながらも顔を上げた。
その口元に微かな笑みが浮かんでいた。それは快楽というより、獲物を捕らえた捕食者の表情だった。