砂丘の起伏が地平線まで続く無限の波のように広がっていた。乾いた空気が喉を刺し、視界が歪むほどの熱気が肌を焼き尽くす。
「なんだこれは……」
思わず呟いた。足元の地面は乾いた褐色から細かな金色の粒子へと変わり、靴の裏に砂利を踏むような感触が響く。一歩進めば踝まで埋まり、砂が崩れる音が奇妙に大きく聞こえた。
森とは違う。木々の密集した陰鬱な緑はどこにもない。ただ茫漠とした黄土色の海原が広がるばかり。風が吹くたびに細かな砂塵が舞い上がり、目に入りそうな痛みに反射的に瞼を閉じた。
「水……」
喉の奥がひりつく。森では樹液を啜ったり露を集めて凌いでいたが、ここではそんな贅沢は許されない。太田が革袋の水筒を懐かしそうに撫でていた。
「ここにもケモノガミがいるっていうの?」
六花が素早く砂の粒を手のひらに掬い取り、指の間から零れ落ちる様子を眺めている。その横顔には珍しく真剣な眼差しがあった。
「いや……いるかどうかはわからない」
ムジナが普段の無機質な声で答えたが、その声には微かな困惑の色が混じっていた。紫色の髪が陽炎に揺れる砂の海に溶け込みそうになる。
「でもこの土地の"何か"が反応してる」
彼女が前方を指さす。地平線上に蜃気楼のような歪みが漂っていた。それとも別の何かが蠢いているのか——判別できない。
アヤノは黙って周囲を見回している。太陽の光が彼女の短髪を黄金色に縁取っていた。
「森は生命が息づく音があちこちから聞こえたのに……」
ぽつりと漏らした彼女の声が虚ろに響く。確かにそうだ。鳥のさえずりも虫の羽音もない。ただ微風が砂をさらう音だけが絶え間なく続いている。
「進むしかないか」
太田が慎重に言葉を選ぶように口を開いた。革靴の中にもう砂が入り始めているらしい。彼は苦々しげに舌打ちした。
「ここで立ち止まっていても仕方ないですし……」
水筒を大切そうに胸元に戻す動作には焦燥感が滲んでいる。日没までに安全な地点を見つけなければ深刻な事態になるだろう。
砂丘の起伏が地平線まで続く無限の波のように広がっていた。乾いた空気が喉を刺し、視界が歪むほどの熱気が肌を焼き尽くす。
「なんだこれは……」
思わず呟いた。足元の地面は乾いた褐色から細かな金色の粒子へと変わり、靴の裏に砂利を踏むような感触が響く。一歩進めば踝まで埋まり、砂が崩れる音が奇妙に大きく聞こえた。
「ここにもケモノガミがいるっていうの?」
六花が素早く砂の粒を手のひらに掬い取り、指の間から零れ落ちる様子を眺めている。その横顔には珍しく真剣な眼差しがあった。
「いや……いるかどうかはわからない」
ムジナが普段の無機質な声で答えたが、その声には微かな困惑の色が混じっていた。紫色の髪が陽炎に揺れる砂の海に溶け込みそうになる。
「でもこの土地の"何か"が反応してる」
彼女が前方を指さす。地平線上に蜃気楼のような歪みが漂っていた。それとも別の何かが蠢いているのか——判別できない。
アヤノは黙って周囲を見回している。太陽の光が彼女の短髪を黄金色に縁取っていた。
「森は生命が息づく音があちこちから聞こえたのに……」
ぽつりと漏らした彼女の声が虚ろに響く。確かにそうだ。鳥のさえずりも虫の羽音もない。ただ微風が砂をさらう音だけが絶え間なく続いている。
「進むしかないか」
太田が慎重に言葉を選ぶように口を開いた。革靴の中にもう砂が入り始めているらしい。彼は苦々しげに舌打ちした。
「ここで立ち止まっていても仕方ないですし……」
水筒を大切そうに胸元に戻す動作には焦燥感が滲んでいる。日没までに安全な地点を見つけなければ深刻な事態になるだろう。