眼前の女性のパートナーであるケモノガミであるキュウビモンが走り出す。
俺達との距離はそれなりにあり、周囲の木々を伝いながら、迫る。
そして。
「鬼火玉!」
キュウビモンの、その尻尾から放たれた蒼い炎が俺達に襲い掛かる。
それに最初に気づいたギルモンが前に出て、口を開くと。
「ファイヤーボール!」
ギルモンが前に出ると、その口から放った炎で、キュウビモンの鬼火玉を相殺する。
「この木々じゃ」
以前の戦いとは違い、ギルモンがグラウモンになっても、その巨体が反対に邪魔になる。
周囲の木々が
炎で燃えないように気をつけながら、動かなければならない。
そのためにグラウモンでは不利になると判断してギルモンは変化していない。
「グラウモンが有利じゃなくなるなんて」
そして俺はそのまま六花とアヤノを護るようにして、ギルモンの指示を出す。
「グラウモン、そのまま前へ出て」
グラウモンが前に出る。
それは当然、木々を破壊しながらである。
しかしグラウモンが前に出たとしても。
「木が邪魔でキュウビモンに届かない」
森の地形がこちらに不利であった。
「だったら、ここは!ルガモン!」
「ルガモン進化!ルガルモン!」
アヤノが前に出ると共に、ルガモンは雄叫びと共に、走り出し、その姿を巨大な狼、ルガルモンへと進化させる。
ルガルモンは、そのままキュウビモンを追いかける。
「速い!でも、グラウモンよりかはまだ森でも動ける」
グラウモンよりは小さい姿だが、それでも十分な大きさでありながら、森の中でも速度を落とさずに走ることが出来る。
ルガルモンは疾走する。
まるで森の化身とも言うべき俊敏さで障害物を次々と乗り越えていく。その背中には狩猟本能が滾っているように見えた。だが敵のキュウビモンは更に速い。
「くそっ追いつかねぇ!」
ルガルモンが吠える。尾を翻しながら左右へ蛇行する姿はまさに野生の狐。巨木を蹴って宙に舞ったかと思うと瞬く間に別の樹冠へと姿を消す。
「ギルモン!援護射撃だ!」
指示を受けてギルモンが口を大きく開く。灼熱の吐息が喉の奥で唸り声を上げる。
「ファイヤーボール連射!」
次々と放たれる火球が木々を薙ぎ払う。硝煙と焦げた樹脂の匂いが辺りに充満する中で狙いは正確だった。しかし命中率は芳しくない。キュウビモンは予測不可能な動きで弾幕を掻い潜る。時には枝から枝へ跳躍し、時には回転しながら地面すれすれを駆け抜ける。その動きは人間の目では追いきれなかった。
「あいつ……遊んでやがる」
ギルモンが悔しげに唸った。巨大な爪が地面を掻き毟る。巨体ゆえに木々の隙間を縫うような機動が難しい。しかも重量級ゆえに停止距離が長い。結果として攻撃機会を失いつつあった。
この場所は、完全にキュウビモンのテリトリー。
ここから勝利するには、どうすれば。
そう考えていた時。
「アイスエイジ!」「ディストラクショングレネード」
「っ」
聞こえた声。
それと共にキュウビモンに襲い掛かったのは氷の槍とミサイル。
これは一体。
「何か騒ぎがあったと思えば、これは一体どういう状況だい?」
「分からないけど、ここで他の人も」
そうして見ると、そこには2人の人影が。