逃避したい中田の話。

pixivにも出しています。

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終末の痕

 グレートリセットの後。

 ジマーである中田は、狼狽えていた。

 

「こんなはずじゃ……」

「あはははははは!」

「久礼野(くれの)……」

「いやぁ、悪りい悪りい。かわいそ」

 

 ネットで知り合った友人、久礼野は、中田を同情的な目で見つめる。

 

「もういいじゃん。全部忘れようよ」

 

 久礼野は、友人の手を取った。

 

「僕は……」

「オレが忘れさせてあげる」

 

 甘く優しく囁く声。

 

「…………」

 

 久礼野に抱き締められ、中田はその身を任せることにした。

 ふたりは、ベッドにもつれ込む。

 

◆◆◆

 

「オレは、お前のこと好きだよ」

 

 甘ったるい久礼野の声。

 

「ひっ♡ うあっ♡」

「早くオレのこと好きになってね」

 

 何度も体を繋いでいるが、ふたりは恋人ではない。

 

「……可愛いね」

「かっ……かわいくないっ……」

「あはは。ここはキュウキュウしてるけど?」

 

 中田の下腹部を撫でる久礼野。

 

「やめっ♡ 押すなっ」

「ごめんごめん」

「んうっ♡」

 

 久礼野がキスをして、舌を絡ませる。中田は、口内を執拗に愛撫され、理性がドロドロと溶けていく。

 

「はっ♡ 久礼野……」

「堪んないなぁ、その顔」

 

 久礼野は、口端を吊り上げ、抽挿を激しくした。

 

「あっ♡ も、イく♡」

「いいよぉ」

「んっ♡ 久礼野♡」

 

 左手で指を絡ませ、久礼野はナカを突き続ける。

 

「は、あ♡ もうダメ♡」

「うんうん。ダメになってもオレがいるよ」

「ひっ♡」

 

 中田は、びくりと震え、足を反らして射精した。腹に白濁液が広がる。

 

「はは。オレもイきそ」

「やめ♡ イってる♡ イってるからぁ♡」

「はいはい」

 

 久礼野は、構わず深く挿入し、ナカに精液を放った。

 

「この征服感、何度味わってもいいねぇ」

「あつ……」

「ねぇ、オレのこと好き?」

「僕は、久礼野を逃避に使ってるだけだ……」

「ふぅん」

 

 ずる、と性器を引き抜き、濡れそぼった後孔から一気に奥に挿れる久礼野。

 

「ひいっ♡ 久礼野、やめ……」

「オレのこと好きだよね?」

「ひ、あっ♡」

「なぁ、答えろよ」

「あっ♡ すきっ♡ すきだから♡」

 

 久礼野は、その言葉を聞いて、けらけら笑った。

 

「もっと♡ きもちよくして♡」

「仕方ない奴」

 

 久礼野が深くキスすると、中田も積極的に舌を絡ませてくる。

 

「はぁっ、久礼野っ♡」

「愛してるよ、ずうっと」

 

 久礼野の腰に、中田の脚が絡んだ。

 このふたりの関係は、滅亡しきれなかった世界みたいに続いていく。

 

◆◆◆

 

 中田がベッドの上で目を覚ますと、久礼野に抱き締められていた。

 

「久礼野……」

 

 名前を呼ぶが、彼は起きない。

 

「……好きだよ」

 

 久礼野が眠っている時は、素直に言えるのに。

 眠っている男からは、煙草の香りがする。

 ジャージ姿でベランダに出て、いつもフィリップモリスを吸っている久礼野。

 

「…………」

 

 まさか、ネットで知り合った人間とこんなことになるとは思わなかった。

 久礼野は、どうしてこんな人間を好きなのだろう?

 

「う、ん…………」

 

 久礼野が目覚めた。

 

「おはよー」

「久礼野」

「なあに?」

「……僕には、久礼野しかいないんだ」

 

 もう、自分には久礼野しかいない。

 そんな現実を生きている。

 

「うん」

 

 久礼野の両腕に力が入った。

 

「ありがとう、久礼野」

「どーいたしまして」

 

 久礼野は、中田の頬を撫でる。

 その手にすがるように、中田は手を重ねた。

 

「好き」

「ほんとに?」

「本当だよ」

「嬉しいなぁ」

 

 中田の首に両腕を回す久礼野。

 

「絶対、離してやらないっ」

 

 久礼野は、目を細めて笑った。

 そっと久礼野の体に腕を回し、その体温に安心する自分がいて。中田は、久礼野への依存を強くした。

 それが愛情なのかどうかは、分からないままでいる。


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