ところが、突然現れた謎の女に「あなたをもとの場所へ帰してあげる」と告げられて……
ホラーです。エロのボリュームもそこそこあります。
俺は
うっすらと
木々の向こうに、
俺の学校の制服――クラスメイトだ。ひとりひとり、見分けもついた。
小学生のときから知っているあいつもいる。野球部のレギュラーになったあいつもいる。いつもみんなを笑わせるお調子者のあいつも、背の高い陰キャのあいつも、メイクの派手なあいつらのグループも。
……誰も俺に気づいていない。
俺は手を上げて、声をかけようとした。
でも、なんとなくできないまま手を下ろした。
みんな下を向いて、
――思い出した。
そうだ。修学旅行だったんだ。
でもどうしてこんなところを歩いているんだ?
それに、なぜみんな向こうへ歩いていくんだ?
やっぱり声をかけよう……そう思ったとき、別のほうから俺を呼ぶ声がした。
「〇〇くぅーん」
朝比奈の声だ。
肩までの
よかった。朝比奈だけはいつもの朝比奈だ。
俺は少しほっとした。
なあ、なんでみんな向こうへ歩いてるんだ? ――そう聞こうと思ったが、やめた。
自分の進む方向がわからないなんて、ダサすぎる。
けど、朝比奈のほうから聞いてきた。
「〇〇くん、どうしてみんなとちがうほうに歩いてるの?」
「えっと、それは……だって、こっちでしょ?」
俺自身、理由はわからないけど、ただ、さっきからずっと……
向こうではない……そんな気がしてるんだ。
「えぇー? なんでぇ?」
朝比奈はおかしそうに笑った。
小さく肩をすくめるのが、笑うときのクセだ。
「みんなと一緒にいこ? ね?」
ちょっと
「う、うん……でも……」
まだためらっていると、朝比奈は俺の
「ねぇー、いこーよー」
そういって、俺のシャツの
この瞬間、俺はいまの状況も過去も未来もすべてどーでもよくなった。
何が起こったとしても、今日が俺の人生最良の日になったことは間違いなかった。
――朝比奈は可愛い。
よく笑うし、笑顔が可愛い。しぐさが可愛い。それでいてわざとらしさがない。
頭の回転が速くて、誰と会話しても
成績が中の上くらいなのも
スタイルもいい。
一度だけ、何人かのグループでプールに行ったとき、水着姿を見たことがある。
三角ビキニの真ん中の
「わたし……」
そういって、朝比奈は俺の腕をぎゅっと抱きしめた。
「〇〇くんと、一緒に、いきたいな」
当たってる。
やわらかい胸が。
あのとき見た、まぶしい谷間が――
――でもその瞬間、確信した。
(これは……
朝比奈がこんなことをするはずがない。いうはずがない。
情けないけど、自信をもって断言できた。
黙っていると、朝比奈は
「ね、〇〇くん……あのね、わたしのこと……好き……なんでしょ?」
……なんで、知ってるんだ?
(いや、待てよ)
実はこの修学旅行で、俺は朝比奈に告白するつもりだった。
もちろん暴発して爆死する気はさらさらない。
だから、朝比奈と仲のいい女子グループに、前もってそれとなくほのめかしておいたんだ。
そのときの反応からすると、まったく
(あいつらから
心の中で舌打ちをした。
俺がいつまでも返事をしないでいたからか、朝比奈は
「〇〇くん……わたしの下着、見たい?」
「えっ……」
「今日、ね? ……可愛い下着、
朝比奈の両手が……少しずつ……たくし上げる……スカートの、
もじもじとうつむきながら、朝比奈はこうもいう。
「……胸、も、ね? 胸も……さわって、いいよ?
……〇〇くんに、さわって……ほしいの……」
――嘘だ。
絶対、嘘だ。嘘に決まってる。
……でもそれが何だ?
クラスメイトたちは通り過ぎたようだった。
周りには誰もいない。
朝比奈が手を背中に回した。
ぽんっ、と音がして、制服の胸が小さくふくらむ。
上に飛び出した軽いふくらみは、朝比奈のブラ。
下に沈んだ重いふくらみは、朝比奈の生おっぱい。
「いいのか……さ、触るぞ……」
俺は制服の中に手を入れ、まだ上乳にかぶさっているブラの下に指先をもぐり込ませた。
やさしく。やさしくだ。
「……やわらかいな……おっぱい……」
「おっぱい、って……いわないで……」
「ご、ごめん」
「……ううん……もっと……ぇ、えっちな触り方、しても……いいよ……もっと、やらしく……も、
「でも……痛くないか?」
「だ、だいじょぶ……〇〇くんに……揉んっ、で、ほしいの……///」
「わ、わかった」
お言葉に甘えて、少しだけ力を込める。
――むにゅっ
(やわらか……!)
これ、永遠に揉んでいたいやつだ……
「…………っ、ん…………ぅ……」
朝比奈は小さく身をよじった。
――むにゅっ、むにゅっ
――むにゅむにゅむにゅ、むにゅむにゅっ
調子に乗って揉みまくっていたら、指先がぷくっとしたところに触れた。
「ひゃっ♡」
朝比奈が声を上げた。
「ごめっ、い、痛かった?」
「痛くないけど、痛くないけど……恥ずかしいよぅ……声……出ちゃった……」
「ごめん。でも……声、すごく可愛かった」
「やだもぉー///
……〇〇くんが変なとこ触るからだよ? 〇〇くんの、えっち」
「ごめん……でも」
「でも、なに」
「いや、何でもない……」
ほんの一瞬、先っちょをかすめただけなのに。
朝比奈の乳首がムクムクと起き上がるのを感じた。
「……キス、しないの?」
朝比奈が赤い頬をぷくぅとふくらませた。
「あっ……
うん……ごめん……」
ちょっと、おっぱいにかまけすぎていたらしい。
「ねぇ、チュッてやつじゃないよ?」
「えっ」
「トロトロになるやつだよ?
〇〇くんのべろとわたしのべろ、
赤ちゃんの指しゃぶりみたいに、くちびるを吸い合って……、
えっちすぎて恥ずかしいのに、止められない……そういうやつだよ?」
朝比奈は
こんな表情、するのかよ……
俺はかがみ込んで、朝比奈の腰を抱きしめる。
細い。
朝比奈は俺の首に手を回して、体をぐっぐっと押しつけてくる。
つぶれるおっぱいと、硬い乳首をはっきり感じた。
俺のちんぽはとっくに
これはもう、何が起こっても絶対最後までいく展開だ。
(朝比奈、処女じゃないのかな……)
もしそうなら、比べられるのいやだな……
そいつが俺よりデカかったら……
そいつのほうが上手だったら……
仮にそうだとしても、いま邪魔するやつは誰もいない。
――ちゅばっ
――ちゅばっ
リクエストどおりのトロトロキスを続けながら、俺は朝比奈のパンツに手をすべり込ませた。
陰毛……薄い……のかな?
俺がやわらかい感触を楽しんでいると、朝比奈の顔が離れた。
「もっと、下……」
「う、うん。わかってる」
朝比奈が俺のベルトをはずし、制服のズボンがするっと脱げた。
その手が、トランクスの中へもぐり込む。
俺のちんぽを
「痛くない?」
「全然。……でもあんまり速くしたら……出ちゃいそう」
「だめぇ! がまんして!」
朝比奈はうるんだ
ちんぽの感触と俺の反応を確かめている。
俺たちは見つめ合って、手コキと手マンを続ける。
おまんこの入口はすでにかなり濡れていた。
陰毛がしっとりしてたのは気のせいじゃなかったのか。
タテスジをなぞって指を動かしていたら、ほんのわずかに、ぴゅっ、ぴゅっ……と汁があふれ出た。
「……あっ♡ ……っ……ぅく、は♡ んんぅ……んっんっ、あ……ああぁ……」
朝比奈は目をきゅっとつぶっている。
手も止まり、太ももがぷるぷる震え、腰は俺の
何とか指をもぐり込ませ、曲げ伸ばしして中で動かした。
「ひっ……だめ゙・ぇえっ……ぁぐ……うっ……んんああ♡、んやぁ♡、ああぁあぁあッ♡♡、はぁあぁぁああぁあんぁひやぁあ♡♡♡」
指に当たる水流。
――ちょろろろろ……
愛液がとめどなくあふれ、地面へと吸い込まれていった。
朝比奈は中腰で木に手をついた。
背中越しに俺をふり返る。
「ハァ、ハァ、ハァ……
ね、ねぇ、〇〇くん♡ もう、がまんできないよぉ♡
じらしちゃイヤ♡ いじわるしないでぇ♡ ねぇおねがい♡ おねがい♡ おねがい♡」
俺に向けたおしりをえっちくくねくねさせている。
「い……いいの? ……ほんとうに……」
「だってぇ♡ 〇〇くんがこんなにしちゃったんだよぉ♡
このままじゃわたし、おかしくなっちゃうよぉ♡ ねぇはやく♡ はやく♡ はやくってばぁ♡」
――朝比奈を……犯す?
背後から? 立ったまま?
けだもののように?
そう考えると、震えが止まらないほど興奮した。
何より、朝比奈がそれを求めてるんだ……。
俺は朝比奈のパンツを下ろした。
指で押し広げる。愛液があふれている。
「い、
「ねぇはやくきて♡
いっしょにきもちくなろ♡ 〇〇くんもいっぱいいっぱいきもちくなろぉよぅ、ね♡」
――ぬっぷるん
俺のちんぽはつるるとすべるように吸い込まれた。
「あ! あ! ……
〇〇くんの、おちんぽ♡♡ わたしの……おまんこに♡♡……」
「……き、気持ち、いい、か……?」
「あああん♡ きもちぃ♡♡ きもちいぃよ♡♡
〇〇くんのおちんぽ♡ 熱くて……っ♡ 硬くて……♡ すっご……♡♡
ねぇうごいて♡ うごいて♡
〇〇くんのおちんぽ♡♡ ちょうだい♡♡ ちょうだい♡♡ いっぱいいっぱいちょうだいっ♡♡」
「わ、わかった」
俺は朝比奈の腰をつかんで、ゆっくりと押し進んだ。
「ひゃああぁあああんん♡♡♡
〇〇くんのっ……おちんぽ♡♡♡ わたしの……中でっ……うごいてるよっ……うごいてるうぅ♡♡♡」
(や、やばっ)
あわてて腰を止める。
「ご、ごめん……気持ち、よすぎて……俺、すぐイっちゃうかも……」
「いいよ♡♡ いいよ♡♡
〇〇くんがきもちょくなったらわたしもきもちぃの♡♡
きもちくなったら出して♡♡ 出してね♡♡ わたしの中にいっぱい出して♡♡♡」
「だ、だめだよ、に、妊娠したら……」
「やあん♡ やだやだやだよぅ♡
中に出してくれなきゃやだぁ♡♡
わたしのこと、こんなにしちゃって、中に出さないとかありえないよぉぉ♡♡♡」
わかった朝比奈。
ここまでいわれたら、俺だって
――ぬぷちゅる ぬぷちゅる
「あん♡♡ あん♡♡ あん♡♡ あん♡♡」
――ぬぷちゅる ぬぷちゅる ぬぷちゅる ぬぷちゅぬぷちゅぬぷちゅぬぷちゅ……
「あん♡♡ 〇〇くん♡♡ 〇〇くん♡♡ 〇〇くん♡♡ 〇〇くん♡♡〇〇くん♡♡〇〇くん♡♡〇〇くん♡♡
何度も俺の名前を呼ぶ朝比奈。
俺も……朝比奈の名前を呼んだら、喜ぶかな……?
ちょっと恥ずかしいけど……呼びながらイッたら、気持ちいいかな……
「ぁ、あさ……」
そのとき突然、背後から声がした。
「いますぐその子から離れなさい!!」
びっくりした
――ぴゅぴゅっ
ふり返ると……、
声の主は、黒い服を着た女だった。
――
ちょこんと頭に乗っかった、小さな帽子。そして、ヴェール。
すべてが、黒。
……
(……そうだ、朝比奈はっ?)
朝比奈は喪服の女をにらみつけていた。
――あの朝比奈とは思えない、鬼のような
しばらくにらみ合ったあと、朝比奈はパンツを上げて逃げ出した。
「あ……おい!」
声をかけたが、すごいスピードであっという間に見えなくなってしまった。
……朝比奈の姿が
「
怒っているというより、悲しんでいるみたいだった。
「
「だっ……誰だよ、あんた」
思わずザコいヤカラみたいな口調になったが、ズボンを上げながらだったのでかなりダサかったと思う。
「それは、いえないの。わたしの名前を教えることはできないわ」
女は目を
「でも、あなたを必ずもとの場所へ帰してあげる」
「もとの場所?
ここは……どこなんだ」
「……………………」
何もかもわかってるようなくせに、何もかも秘密、か。
「わたしについていらっしゃい」
ただそういって、喪服の女は手をさし出した。
「…………」
なんでこの女についていかなきゃいけないんだ?
もちろんそう思ったが……。
小さいころ、家族でキャンプしたことがある。
そのときに知ったんだけど、夜の森って想像以上に
鳥や虫、動物の鳴き声。
木や草が風にざわめく音。
そういう、生命の立てる音が、ここではいっさいなかった。
そのかわり、どこかから別の物音がする。
何の音か、いつから聞こえてるのかもわからないけど……。
それに、このままここにいたら、足もとから立ちのぼる冷気に体力を
何より……。
喪服の女が
まだ半信半疑ではあったけど、俺はうなずいて、女の手をとった。
どこか安心できるような温かさだった。
「あわてたり、走ったりしてはだめよ。
何かが見えても、大声を出したり物音を立てたりしないで。落ち着いて静かにさえしていたら、危険なことはないわ。
いいわね?」
俺はもう一度うなずいた。
それを見て、女の表情が少し、やわらかくなった。
笑顔ではなかったけど、やさしそうな目だ……そう思った。
でもそれは一瞬で、すぐに真剣な顔に戻った。
そして、落ち着いた大人の声で、いった。
「必ず、あなたをもとの場所へ帰してあげる」
喪服の女に手を引かれながら、森の中を速足で歩いた。
空気はじっとりと
立ちのぼる
でも喪服の女のおかげで、地面のでこぼこや木の根に足を取られることもなかった。
正体のわからない物音は、相変わらず続いている。
というか、途切れることがなかった。
低く、一本調子で
気のせいか……そう、たぶん気のせいだと思うが。
何度か、
浮いているような、飛んでいるような……ぼんやりとした影のような、何かが。
人影……も、見たような気がする。
いや、そもそも人影なんだろうか。
身長がそれくらいで、てっぺんが頭みたいにふくらんでいるからそう思っただけかもしれない。
顔のあたりは、ほとんど見えなかった。ただ、何だかぐるぐるした
俺はふと、クラスメイトたちのことを思い出した。
あいつらは……朝比奈は、どこへいってしまったんだろう……
……そうだ。
この女は、俺がせっかく朝比奈とセックスできたのに、それを邪魔したんじゃないか。
大丈夫なのか?
本当に、信用していいんだろうか……?
そう思ったとき、喪服の女が立ち止まり、俺をふり返った。
最初は、疑う気持ちを感づかれたのかと思った。
だが、女が見ているのは俺ではなく……俺の背後だった。
そのせいで、気配に気づいた。
――――すぐ後ろに、何かが…………誰かが、いる。
誰なんだ。
恐くはあったけど、確かめたい気持ちのほうが強かった。
(………………)
ふり返りかけたとき、突然、小鳥の鳴き声のような、
――キュルルルルルルルルル!!
それは喪服の女ののどから聞こえるようだった。とても人間の出せる声とは思えなかったけど。
声がすると、すぐに気配は消えた。
……俺は小さく息をついた。
気がつくと、体中がじっとりと汗ばんでいた。
喪服の女は黙って小さくうなずき、何事もなかったように俺の手を引いて、また歩き出した。
小一時間ほど歩いただろうか。
「ここまできたら、少しゆっくりできるわ」
俺たちの前には石段があった。
見上げるほど高くて、
上のほうは白くかすんでいるが、さっきより遠くまで見える……?
「
あの低い物音も小さくなっていた。
「たいへんだったでしょう。よくがんばったわね」
喪服の女は、相変わらず笑顔じゃなかったけど、やさしいまなざしで俺を見つめていた。
予想もしなかったことをいわれて、ちょっとびっくりした。
年上の、きれいなお姉さん(まあ、実際そうだけど)にほめられたようで、なんだかくすぐったい。
気恥ずかしさをごまかすように、俺は聞いた。
「……ここが……『もとの場所』?」
まったく見覚えのない風景だ。
喪服の女も首を横にふった。
「ちがうわ。でもこの先に進めば戻れるの。
あなたはこの石段を登って、わたしを待っていてちょうだい」
「えっ……俺ひとりで、ですか」
「ええ。わたしはこれから、そのための準備をしなくてはいけないから」
「すぐ……いや、どれくらいで戻ってくるんですか」
「一、二時間くらいかしら」
そういって、女はまた真剣な表情になった。
「わたしがいない間、守ってほしいことがあるの」
「なんですか」
「まず、この場所からあまり離れないこと。
下はここまで。上は……そうね、
境内、ってことは、ここはお寺か神社なのか。
まあわざわざどこかへいく必要もないし、問題ないだろう。
「それと、わたしが戻ってくるまでは、ひとこともしゃべらないで。
声を出してはだめ――――
いいわね?」
俺はうなずいた。
喪服の女はまだ心配そうに俺を見ていたが、念を押すように「……約束よ?」といった。
「わかった。あなたが戻ってくるまで、絶対にしゃべらない。約束するよ」
喪服の女が
それで初めて気づいた。
森の中で、俺はずっとあの人の手をにぎり続けていたんだ。
高い石段(二百までは数えたが、それでもまだ半分以下だったと思う)を登りきると、上には
(……ってことは、神社か)
本堂――いや、神社だから……
ここで待つのか……。
でも、さんざん歩き続けて階段も登ったあと一、二時間も立ってるのは、ちょっとだるい。
(あの人が戻ってきたときに、見える場所がいいだろうな)
そう思って、本殿に上がる短い階段に腰を下ろした。
しばらく座っていたが、体を休めると今度は物音が気になり出した。
物音というか、声……
獣の声ならまだしも安心できる。獣とわかるなら。
けれどその「声」は、ときどき
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■…………
俺は本殿の中で待つことにした。
――戸を開くと、中には
初めて見たけど、神社の中ってこんなもんなのか?
俺は最初、後ろが恐くて壁を背に座った。
でも、火から離れると真っ暗で、闇の中から何かが出てきそうだった。
結局は火のそばに腰を落ち着けた。
物音――声――は、まだ聞こえたけれど、外よりは小さかった。
気配を感じて、目を覚ました。
火のそばで気がゆるんで、疲れが出たのか、うとうとしていたらしい。
ちょうど喪服の女が入ってきて、戸を後ろ手に閉めているところだった。
そんなに長い間うたた寝していたのか。
「遅くなっちゃってごめんなさいね。待ったでしょう」
彼女はにっこり笑った。
着ているのは――形は同じだが喪服ではなく、反転したように真っ白な服だ。
なんだかウェディングドレスみたいに見えた。
これも準備とやらのひとつなんだろうか……?
「わたしも、火に当たらせてもらっていいかしら?」
てっきり向かい側に座るのかと思ったら、彼女は俺のすぐそばに腰を下ろした。
ほとんど身をすり寄せるようにして。
「すっかり体が冷えちゃったの……。
ほら、わたしの手、冷たいでしょう?」
そういって、俺の手を両手で包み込む。
レースの手袋に
心のどこかで、おかしい、と思った。
何かが間違っている。
でも、どこがおかしいのかわからない。
「ね……ひとりで怖かった?」
ささやくようにたずねられ、俺は首を横に振った。
「……さびしかった?」
息がかかるほど彼女が近くて、どう答えればいいかわからず、あいまいにうなずいた。
「わたしも……さびしかった……」
つややかなくちびるが、小さく笑みの形を作り、ゆっくりと近づいてくる……。
そして、重なる。
思っていたより、ぷくっとやわらかくて……濡れている。
重ねただけで終わらず、こすりつけ、小さく開いて、
――むちゅ、ちゅぱ、ちゅぷ……ちゅんむ……
舌が、入ってくる。
大胆に、
俺も応える。
むさぼるように、絡め合う。
キスしながら、彼女は背中のファスナーを下ろし、ブラのホックをはずした。
キスしながら、俺はやわらかいおっぱいに手を当て、やさしく揉みしだいた。
おっぱいが俺の手に合わせて形を変えると、炎の作る濃い影もゆがんだ。
彼女はスカートをまくり上げて、
スカートの影で見えないが、まだ
パンツ越しの割れ目を、ちんぽで感じる。
腰だけを動かして、俺の
「まだ名前を教えていなかったわね。
わたしの名前は■■■」
(……名前?)
何で、いま?
たしかに、ここまできておたがい名前も知らないのは変だけど、かといって自己紹介のタイミングでもないんじゃ……?
――彼女は腰を浮かせ、パンツをずらし、俺のちんぽをにぎって、続けた。
「……イくときはわたしの名前を呼びなさい」
――俺の上で、ゆっくりと、腰が沈んでいく。
「わたしの名前を呼びながら
いいわね……?」
――完全に、
「んふっ……♡
ほら、入ってるの、わかるかしら?
わたしの
俺はうなずいた。
彼女が俺の上で、腰を前後にすべらせ始めた。
「ふふ、うふふ……どぉ? ……ね、どぉ?
……ほら♡ ……ほら♡ ほら♡
気持ちいいわね? 気持ちいいでしょう? ん? ん?」
炎がゆらめくたびに影が揺れ、彼女の表情を隠しているが、うっすらとほほえむ口もとだけは見える。
俺は彼女の太ももを
「っふ、……ハァ、ハァ、ハァ……
……ぁ♡……ぁ♡……あ♡ ……あ♡ あ、あ♡
あなた、おちんぽ、すごいわね♡……すごいわよ♡……
あっ♡ あっ♡ 熱……くてっ♡ 硬い……わ♡……」
背をくねらせるようにのけぞったかと思うと、彼女は前のめりに倒れ込んだ。
俺はおっぱいをわしづかみにして受け止める。
前後の動きが上下に変わった。
薄暗い部屋に、腰を打ちつける音が響く。
パン! パン! パン! パン! パン!
思わず、やわらかいおっぱいをにぎりしめてしまう。
ほどかれた長い黒髪が
「ふッ、ふッ、ふッ、ふッ、ふッ、ふッ、…………」
荒い息とともに、動きがさらに激しくなる。
パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン!!
パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン!!
「ほらっ♡ ほらほらぁ♡ イきそうでしょ♡ イきそうなんでしょ♡ イっちゃいそうよね♡
ふふっ♡ うふ♡ ……いいの♡ いいのよぉ♡♡ イきなさい♡♡ いっぱい気持ちよくなって、イッちゃいなさい♡♡
ほらほら♡♡ いっぱい、いっぱぁい♡♡♡ わたしの
(!・!・!……っ)
――ドピュッ!!!
俺はイってしまった。
ずっと、何かがおかしいという
……すると、突然。
「どうして名前を呼ばないの!!」
喪服の女――いや、白い服の女に
「いったでしょう、名前を! 名前を呼びなさいって! いったでしょう!!」
思わず
女は、鬼のような形相だった。
……あのときの朝比奈と、同じ顔つきだ。
だが、一瞬で女は笑顔に変わった。
「もう一回、しましょうね……もっともっと気持ちよくしてあげるわよ……
でも、いいかしら? 今度は、ちゃんとわたしの名前を呼ぶのよ、わかったわね……」
ぞっとするような猫なで声に続いて、女は
だが、あの表情を見たいまでは、もう
俺はいったいどうすればいいんだ……
――ガラララッ!!
音を立てて引き戸が開いた。
「そこで何をしているのッ!!」
喪服の女だった。
「やめなさい!
その人から、離れなさい!」
最初は俺にいっているんだとばかり思っていたが、喪服の女は白い服の女をにらみつけていた。
白い服の女も喪服の女を見上げた。
鏡写しのように
……白い服の女が、ふたたび鬼のような形相に変わるまでは。
――オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ
どんな獣とも違う、広いトンネルの中を吹き抜ける風のような唸り声で、白が黒を
しかし、声はだんだん弱まり、白い女の形がうねるように
――さあああああっ
かすかな音を残して、消えた。
床には灰色の砂のようなものが山を作っていた。
まるで、古くなった骨を、粉々にしたような……。
俺はしばらく
最初に会ったときからずっと、恥ずかしいところばっか見られてるな……
ニセモノと気づかなかったのもそうだし。
「ごめん……てっきり、あなただと思って、それで……」
(それでヤッちゃったってことは……つまり彼女とヤりたい気持ちがあったと……いやあのときは流れなので誤解……でもそう思われても当然……事実ヤッちゃったわけだし……しかも本人の目の前で……)
が、彼女は俺をとがめたりせず、むしろなぐさめるようにいった。
「……しかたないわ。
わたしのいったとおり、声は出さなかったんでしょう?」
俺はうなずいた。
「……しかたないけれど、ただ……
別人だと気づいてもらえなかったのは……ちょっとだけ残念ね」
彼女はさびしそうに、そうつぶやいた。
(もしかして……)
俺は彼女と、どこかで会ったことが……ある?
誰、なんだろう……?
なぜか、胸の奥が少し、痛かった。
神社を通り抜けると、出口にも鳥居が立っていて、その先はまた登り階段だった。
果てしなく続く階段を、手をつないだまま、無言でひたすら登る。
近寄る影はなかったけれど、木々の陰に気配は感じた。
こちらを
例の、低い声のような響きも続いていた。
やっと階段を登りきると、一気に視界が
(海……?)
違う。大きな
湖の周りは森に囲まれているらしいが、遠いのと
かすかに水平線が見えた。
森の中は抜けたはずなのに、薄暗い。
喪服の女は何もいわず、湖に向かって歩き始めた。
――カラカラ……
――コロ、コロ……
硬い、軽い音。
足もとを見ると、人骨だった。
見渡すかぎりの地面が、骨で
一歩一歩、骨を
――ビョオオオォ……ビョオオオォ……
その風が運んできたのか、例の響きがはっきりと聞こえるようになった。
間違いなく、人の声だ。
大勢の人間が、一斉に同じことを呪文のように
……そうか。
これは、
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■
■■■■■■■ ■■■■■■■ ■■■■■■■
「ここは……死後の世界、なんだね」
俺がつぶやくと、彼女は湖面を見つめたままうなずいた。
「
そうよ、ここは死者の場所」
彼女はふり向いて、俺の首に手を回した。
あっと思う間もなく、そのくちびるが俺のくちびるに押しつけられていた。
「ん?! ……っむ、ぅ……」
舌が入ってきた。
が、すぐにくちびるは離れた。
口の中に何かを残して。
思わず、それを飲み込んでしまう。
「だいじょうぶよ。毒じゃないから」
目を白黒させる俺に、彼女は小さくほほえみ、すぐにまた真剣な表情になった。
「……これから、あなたを
「まずは、服を脱いでちょうだい」
「……えっ」
そういう彼女も、俺の前で服を脱ぎ始める。
帽子を取り、ヴェールをはずし、手袋を脱ぐ。
俺はあわてて視線をそらした。
「あなたはもう、いくつも
ストッキング……
ブラ……
パンツ……
ていねいにたたまれた黒い下着が、骨の上で順々に重なっていく。
横目に、俺も急いで服を脱いだ。
「こっちを向いて」
そういわれて、彼女を見た。
……きれいな体だ。
ところどころ
ほっそりと、すらっとしていて、腰がくびれている。
目のやり場に困った。
俺が半
「手を出して。……両手を」
彼女は手に持っていた白い
「これをわたしの首から下に
俺は、ローションみたいなそれを、彼女の体にすり込んだ。
いままで気づかなかったが、俺のほうが背が高い。
何だか意外だった。
手の下でおっぱいがぷるぷる震え、つるつるすべる。
文字どおり命がかかっていて、俺も真剣ではあるんだが、あまりにぬるぬるすぎて集中できない。
彼女もまじめくさった顔で俺の体に塗っているけど……乳首は立ってる。おたがい立ってる。
おなか、腰回り…………股間…………
後ろ向きになって、うなじ、
もちろん、彼女のほうでも俺の体に触るわけで。
ビンビンに
前かがみのおっぱいが揺れるし。
――塗り終えたときは、軽く息が上がっていた。
彼女の白い肌も、
上げていた髪をほどき、俺の手をとる。
「さあ……いきましょう」
俺と彼女は手をつないで湖に入った。
水は冷たかった。
いつの間にか
俺たちが進むと、小さな波がかすかに水面を乱すが、すぐ消える。
岸が見えなくなるまで歩いても、深さは太ももくらいだった。
周囲を見渡しても、湖以外何も見えない。
俺たちは、そこに打ち込まれた二本の
彼女は俺の前に立ち、俺の目をのぞき込んだ。
「ここで、わたしを抱いて」
「えっ……ど、どうして」
「死からいちばん遠い行為だから、よ」
――
水の底にも人骨が
そのことは足の裏の感触で気づいていたけど……
「!!」
すべての
遠くからも。
近くからも。
四方八方から俺たちを取り囲むように。
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水温が、急激に下がった。まるで氷のようだ。
さっきまで晴れていた
そして、その
「しっかりして! しっかりしなさい!」
呼びかける声で、ようやくわれに返った。
彼女が心配そうな顔で俺の
――けれど、俺のちんぽはすっかり
「………………っ」
「?!」
いきなり彼女が俺の胸に飛び込んできた。
熱い……?
いや、俺の体が冷え切っているんだ。
俺はガタガタ震えていた。
抱きしめられているうちに、だんだん体温が戻り、震えも収まってきた。
だが、やわらかい体を押しつけられても、ちんぽはピクリとも反応しない。
「……このままじゃ、あなたのほうが冷えてしまうよ」
俺は彼女の肩をつかみ、体から引き離した。
「でも……
ダメ……なの? どうしても?」
「……そう、みたいだね……」
男として、これほど情けないことはなかった。
――ちゃぽん
彼女が俺の前にひざまずいた。
冷たい水に、胸のあたりまで浸かって。
「ダメだよ、あなたのほうが冷えてしまうって」
止めるのも聞かず、彼女は俺のちんぽをくわえた。
彼女の口の中で、舌が亀頭に絡みつく。
感触はある。
けれど……それだけだった。
彼女はあきらめなかった。
俺のフニャチンを支え、
一生
俺の視線に気づいた彼女と、目が合った。
安心させるためか、喜ばせようとしているのか、目だけで笑顔を作ったが、それは泣き笑いにも見えた。
(どうして、こんなに必死になってくれるんだ……
……俺を、「もとの場所」に帰すために……?
ただ、それだけのために?)
こんなにも……
こんなにも……
そう思うと、抱きしめたくなった。
彼女の想いに応えたい。
このひとに……
――彼女と、ひとつに、なりたい…………
「…………もう、大丈夫」
俺がいうのと、彼女の口が離れるのと、同時だった。
ちんぽはすでに、血管を浮かせ、勝ちどきを上げる腕のようにそそり立っていた。
キスをしながら、おまんこに指を入れる。
少し動かすだけで愛液があふれ出た。
くちびるを離すと、彼女が目を開いた。
相変わらずまじめくさった表情だが、
聞くならたぶん、いましかない。そう思った。
「俺は……あなたを知ってる、気が……する。
でも、いつどこで会ったのかがまったく思い出せないんだ。
あなたは……誰なの?」
彼女は目を伏せ、少しためらって、答えた。
「それはいえないわ。……教えられないの」
最初に会ったときと同じ答だ。
彼女は続けた。
「名前を呼ぶことは、部屋の扉を開けるようなもの。
開けっぱなしの扉があれば、勝手に入ってくる者は必ずいるわ。
それは、入る許可を与えたのと同じことなのよ」
さらに続ける。
「セックスは、『死』からいちばん遠い行為……
死者がいちばん嫌う行為。
でもそれは、『死』にいちばん近い行為でもあるわ。
――死者は、その
すべての死者がそうだというわけではないけれど……そういう死者もいるのよ」
話し終えると、彼女はもう一度俺にキスをした。
俺たちは立ったまま向かい合った。
――水深から考えて、正常位、騎乗位、バックは無理だ。
ふたりのどちらかが、頭まで沈んでしまう。
つかまるものがないから、立ちバックも除外。
できなくもないが、彼女がちょっとつらいだろう。
駅弁系は……残念だけど、俺に支えるだけの腕力がない。
だから対面立位、一択だ。
立ち位置を調整するのに意外と苦労した。
なんとか場所を決めて、先端を彼女の入口にあてがう。
こすりつけ、ちょっとだけ前に踏み出した。
「じゃあ……
「ええ、いいわ。…………きて…………」
なめらかな感触。
彼女は俺を歓迎している。そう思った。
ただ、おたがいの脚が邪魔をして、根もとまでは入らない。
すぐ抜けそうで、ゆっくりとしか動けなかった。
気持ちいい? ……そう聞く前に、彼女が小さくうなずいた。
まあ、女性はスローセックスのほうが気持ちいいって話もあるし、ね。
いっとき遠ざかっていた読経の声が、また強くなった。
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彼女は俺の肩に手をかけ、俺は彼女の腰をつかむ。
動くたびに、俺たちの周りに同心円状の波が立つ。
けれど、それを打ち消すように、読経の声が水面を震わせた。
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「…………っ、………………っ、………………ふッ…………」
とぎれとぎれの
声を出すのを我慢してるんだろうか。
冷たい何かに触られる感覚。
(……体温を奪われちゃダメだ)
俺は彼女の太ももを抱え上げた。
これで多少は奥まで突くことができるはず。
俺たちは体を密着させて、固く抱きしめ合った。
耳をくすぐる、荒い息。
もう、読経の声はまったく気にならなかった。
奥は、
そこに到達するたびに、
――不意に、まったく不意に、頭に浮かんだことを俺は思わず口にしていた。
「『
でも、じゃあ、あなたは……あなたはどうなるの?」
答はない。
「ここに……残るの?
残るってことだよね?」
彼女はただぎゅっと俺にしがみつくだけだった。
「あなたも……あなたも一緒にいこう。
俺と一緒に、『もとの場所』へ帰ろう。
だって、あなたもそこからきたんでしょ?」
肩の上で、彼女が小さく首を横にふる。
それが質問に対する否定なのか、快感をこらえる動作なのか、それとも回答自体の拒否なのかは……わからなかった。
空が明るくなっていく。
雲が晴れるように……
「……………………あっ♡……………………」
思わず漏れた、彼女の声。
いつもの落ち着いて大人っぽい声からかけ離れた、小鳥のように可愛らしい、よがり声。
彼女の
俺を離したくない、そう告げるように……
(俺も、離したくない――――)
ずっとこうしていたい。
でも……
もう、
――目を覚ましたのは、病院のベッドだった。
修学旅行のバスが、事故に
連日ニュースになるほどの大事故だったらしい。
クラスで生き残ったのは、俺ひとり。
小学生のときから知っているあいつも亡くなった。野球部のレギュラーになったあいつも亡くなった。いつもみんなを笑わせるお調子者のあいつも、背の高い陰キャのあいつも、メイクの派手なあいつらのグループも。
そして……朝比奈も。
――退院して自宅に帰ると、
母親がしみじみとつぶやいた。
「サクラが、あんたを守ってくれたのかもね……」
サクラは飼っていた文鳥だ。
事故の日に、急に騒いで鳥かごの中を飛び回ったかと思うと、ぱったり倒れたのだという。
そういわれれば、
イヌが飼い主を主人と思い、ネコが飼い主を家来と見なすように、小鳥にとって飼い主は恋人なんだそうだ。
サクラは俺によくなついて、肩の上に止まっては、頬に身をすり寄せた。
いつも耳もとでさえずっていた。
俺に声を聴かせたかったのかもしれない……恋の歌を。
――ここで、一見関係なさそうな話をするんだが。
その後しばらくして、俺には彼女ができた。
年上で、大人びていて、長い黒髪で、ほっそりしてる。
そう。
「喪服の女」にそっくりなんだ。
落ち着いて、物静かで、
人目のある場所でも、さりげなく俺にくっつきたがる。
露出の多い服は着ないけど、ロングスカートでもスリットが深かったり、ゆったりした服で(俺に見せるように)前かがみになったりする。
もういつでもえっちOKというか、積極的に誘惑されているのが俺にもわかる。
でも、まだしていない。
好きなんだけど。大好きなんだけど。
彼女が不満に感じてるのもうすうす気づいてるけど……どうしても一歩、踏み込めないでいる。
……俺には自信がないんだ。
見分ける自信が。
彼女が「喪服の女」なのか、それとも「白い服の女」なのかを――――――。
※本文中で「本殿」となっている建物は、配置的には「拝殿」ですが、現実の神社ではないのと、平均的な高校生である主人公がその単語を知らなかった、ということで……いや「本殿」も知らんだろうとは思いますけど。