「――姫様、本日の拷問は“不眠”です」
午後に牢屋を訪れたトーチャーに告げられ、一瞬ポカンとしてしまう。
「急に普通の拷問が来たな」
つい言ってしまうと、床に突き刺さっている聖剣エクスがいつものようにツッコんだ。
「馬鹿め! 姫様は王女にして国王軍第三騎士団騎士団長! そのような拷問――」
「あ、そのくだりは聞き飽きたのでいらないです」
「聞き飽っ!?」
トーチャーにバッサリと切り捨てられ、ツッコミ役の見せ場を取り上げられたエクスが黙り込む。
最高位拷問官は拗ねる聖剣に構わず、拷問の説明を始めた。
「ここに7組の布団を敷き、どうしても眠気に抗えなくなったら王国の秘密を話していただきます」
「7組? なんでそんなに?」
「姫様、私、陽鬼と陰鬼、クロル、ジャイアント、バニラの7人分です」
指を折って数えるメンツにわくわくしかない。
「それって――」
トーチャーが悪戯っぽく微笑んだ。
「はい、魔王様に許可をいただく形式上“不眠の拷問”という申請にしてありますが、今夜の拷問は女子会――パジャマパーティーです」
「女子会、女子会かぁ……急に言われると困っちゃうなぁ♪」
床に寝転がり、ニヤけてしまう口元を抑えられない。
「姫様、そんなに嬉しそうにソワソワしていては、王女の威厳が――いや、もう無いに等しいか」
「エクス!?」
「しかし、いくら女子会と銘打っても、拷問は拷問なのです。奴らきっと、気の緩んだ姫様から王国の秘密を聞き出そうとしてくるでしょう。お気を付けください――と言っても、どうせ姫様は今回も屈しまくるのでしょうが。暗雲立ち込める魔王城をバックに、『姫様は話した』って出ちゃうんでしょうとも」
相棒の聖剣がまるで何か別のものが見えているように決めつけるので、信用を回復すべく不敵に微笑んでみせる。
「安心しろ、エクス」
「全く安心できません」
「確かに今までの私は、美味しいもの可愛いものに“何度か”屈してしまっていたが」
「毎回ですよ」
「不眠なら徹夜ゲームで――じゃない、行軍で慣れている。この私が屈する道理はない!」
「はあ……」
エクスが全く信用していない雰囲気を醸し出す一方で、私は軽く溜め息を吐く。
「それにしても、マオマオちゃんが不参加なのは残念だな~」
「子供ですからね。遅くまで起きていられないでしょうし、そもそも魔王――保護者が許可しないでしょう」
不意に、大切な事に気付いてハッとした。
「大変だ、エクス! パジャマパーティーなのに、パジャマがない!」
「きっとあの拷問官が用意しますよ」
「そうか、そうだな。トーチャーならきっと、可愛いやつを用意してくれるな!」
“女子会”という事で、エクスは今晩、魔王城の武器庫で預かってもらう事になっている。
それがエクスには不満らしく、さっきからやたら辛辣だ。
「でも本当はエクスだって結構楽しみでしょ? 武器職人のギルガが磨いてくれるんだから」
「え! そうなのですか!?」
「さっきトーチャーが言ってたよね?」
「聞いていませんでした」
どうやらツッコミをバッサリと切り捨てられた事で拗ねていて、話を聞いていなかったらしい。
機嫌の直ったエクスは、預かりにきたギルガにご機嫌に抱えられていった。
「わあぁ~♡ お布団ふっかふか~♡」
みんなで温泉に入った後に牢屋に戻ると、床には隙間なくお布団が並べられていて、思わずダイブしてしまう。
「あー! 姫ちゃん、ズルい! あたしも!」
「わ、私も……!」
陽ちゃんと陰ちゃんが隣の布団に同時に寝っ転がると、それを見たみんなが顔を見合わせ、笑顔で倣った。
「えーい♡」
「わわっ!?」
ママ師匠のダイブの勢いで、布団とみんなの身体がフワッと浮き上がって落ちる。
皆がお布団でごろごろする中、バニラちゃんだけがもじもじとネグリジェの端を握り締めていた。
「バニラちゃん?」
「私は誇り高き名家、ペシュッツ本家の娘! 生まれて初めてのお友達とのお泊りだからって浮かれて、そんなはしたない真似できないわ!」
素直になれずつい強がってしまうところのあるバニラちゃんに幼少の自分を重ね、放っておけずに手を差し出す。
「バニラちゃん、今夜は女子会という名の拷問なのだから、拷問官のバニラちゃんが捕虜の私に懐柔する為に親しい態度を取る事は全然おかしな事じゃないよ。それに私は、友達としてバニラちゃんともっと仲良くなりたいな」
「ひ、姫しゃまぁぁ♡」
私の胸に飛び込んできた泣き笑いのバニラちゃんをみんなが優しく見守ると、トーチャーが両手を打った。
「――では、パジャマパーティーを始めましょうか♪」
トーチャーの手作り焼き菓子から拷問官のみんなが持ち寄った大量のポテチやチョコや駄菓子などを囲み、トランプや魔人生ゲームなどに興じる。
ちなみに私のパジャマはエクスが予想した通りトーチャーが用意してくれていて、裾にフリルのついたツーピースだった。
「次はこれやろ! これ!」
陽ちゃんが階段状の台座の上の玉座に座る魔王のおもちゃを取り上げる。
「魔王様危機一髪……?」
――この魔王の人形、代理のひとだ……
本物の魔王は随分用心深い性格らしいと思いながら「どうやるの?」と聞くと、陰ちゃんが教えてくれた。
「こ、この台座のところにある穴に、この聖剣のパーツを順番に刺していくんだよ」
「魔王様が玉座から外れて、飛び上がらせたひとが勝ち!」
「へえ、よく出来てるね~……え?」
感心しかけて、引っかかる。
「いいの? おもちゃとはいえ魔王を倒す事になっちゃわない? 怒られない?」
「大丈夫ですよ。魔王様は懐の深い御方ですから。企画を持ってきた玩具メーカーの人にも笑って“面白い!”と許可を出しておられました」
「へえ~」
ここにエクスがいたらツッコんでいたところだろうが、あいにく不在の為――というかこの場にツッコミ役が不在の為、話題はそのまま放置でゲームは始まる。
「……っは~~マジで姫ちゃん、鬼強!」
「ふっふっふっ、クロルちゃん、聖剣を扱わせて私に敵う者などいないんだよ!」
「本当に姫ちゃん強いね~。10連勝?」
「違うよ、ママ師匠。12連勝だよ!」
得意気に言いながら、飛んでいった魔王代理のひとの人形を拾い上げ、玉座に取り付ける。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろ時計が11時を差そうかというのに監獄に笑い声が響く。
陽ちゃんも陰ちゃんもクロルちゃんも、ママ師匠もバニラちゃんもみんな笑顔で、お菓子をつまみ、おしゃべりは尽きない。ただ、トーチャーだけは時折別の事に気を取られているようだった。
「……トーチャー、もしかして具合悪いのか?」
「えっ?」
「なんかさっきからお腹の辺りを気にしてるし、顔も少し赤いみたいだから……」
「……姫様に隠し事はできませんね」
トーチャーは苦笑しながら上のパジャマの裾をめくる。そのお腹には赤黒い、タコのようなものが巻き付いていて、腕のような長い器官が何本もうねうねと動いている。
「最近飼い始めた、触手なのですが……」
「触手!? 触手って飼えるものなのか!?」
「知り合いのブリーダーから譲ってもらったんです。とっても大人しくて、いい子なんですよ。ただ、ちょっと……」
「なんだ?」
「どうやら急に発情期に入ってしまったようで――」
「触手に発情期があるの!?」
みんなも興味津々でトーチャーを囲む。
「あたし、触手って初めて見たかも」
「わ、私も」
「きゃ~♡ 可愛い~♡」
「こ、怖くなんてないんだからね!」
「私は昔、飼っていた事があるわ~♡ まだ小さいのねぇ、よしよし♡ トーチャーさん、この子、種類は何なの~?」
「ブリーダーさんは、“ビヤク種”と言っていましたが、あまり詳しくなくて」
「あら~、“クッコロ種”とか“ナエドコ種”とかじゃないなら安心ね~」
みんなに優しく撫でられ、気をよくしたらしい触手がくねくねと腕を伸ばす。
私のところにも伸びてきた触手に指先で触れると、優しく巻き付いてきた。
おお、なんか可愛いじゃないか。
触手と聞いてびっくりしたけど、わんちゃんや猫にゃんと変わらないフレンドリーさと可愛さがある。
――そうだよね。見た目だけで判断したり、種族だけで決めつけたりするのはよくないよね
囚われの身になってから知った真実に、うんうん、とひとり頷いていると、クロルちゃんが触手の先っぽと握手しながら「最高位拷問官、この子、名前はなんていうんですか?」とトーチャーに訊ねた。
「ビヤク種と聞いたので、“ビャッくん”と呼んでいます。なんの捻りもなくてちょっと恥ずかしいですが……」
名前が判明した途端にみんなして「ビャッくん~♡」と甘い声で触手を撫でる。
陽ちゃんが手を上げた。
「触手って飼うのに気を付けなきゃいけない事とかあるんですか?」
「私が聞いているのは、“大量の水に濡らさない”、“深夜にカロリーの高い餌を与えない”、“日光に当て過ぎない”の3つですね」
「それってグレム――」
言いかけた私の口を、ママ師匠が手で押さえる。
「姫ちゃん、世の中には言わなくてもいい事って、あるんだよ~」
コクコクと頷く私の横で、陰ちゃんがトーチャーを見上げた。
「さ、最高位拷問官、触手の発情期って何か特別な事があるんですか?」
「いえ、温かいものに好んで絡みついてくるだけです。ただ……」
「ただ?」
「より体温の高い部分を求めて触手を伸ばしてくるので――」
トーチャーが言いかけた時、お菓子に手を伸ばそうとしてバランスを崩した陽ちゃんの腕が、バニラちゃんが持っていたグラスに当たってしまった。
「ああ!? ごめん――」
ジュースが、トーチャーに向かって放物線を描く。
咄嗟に触手をかばったトーチャーにパシャッとジュースがかかり、パジャマに染みて広がっていった。
「すすすすすみません、最高位拷問官!」
「バニラちゃんは悪くないんです! あたしがぶつかっちゃったから! 本当にすみません!」
あわわわわっとなっている二人に、トーチャーは「大丈夫ですよ」と微笑む。
ママ師匠が、トーチャーの腕を取った。
「トーチャーさん、温泉で流してきちゃいましょ~。二人でゆっくりお話ししたいなあって思っていたのよ~」
「そうですね、たまにはそれもいいですね。パジャマをコインランドリーの洗濯乾燥機にかけている間に、夜中の温泉を楽しみましょうか。クロル、ビャッくんをお願いできますか?」
喜んで触手を受け取ったクロルちゃんのお腹に、ビャッくんが巻き付いた。
トーチャーとママ師匠がタオルを抱え、連れ立って出ていくと、“やっちゃったあ”と陽ちゃんとバニラちゃんが大きな溜め息を吐く。
落ち込む空気を変える為、殊更に明るい声で提案してみた。
「ねえねえ、今度みんなで買い物に行かない?」
「買い物?」
「これを口実に、トーチャーに新しいパジャマをプレゼントしてあげようよ!」
パァッと二人が顔を輝かせる。
「それいい!」
「し、仕方がないなぁ、そんなに言うなら一緒に行ってあげてもいいけど……」
「わ、私も一緒に行きたいかも……」
「クロルちゃんも行くでしょ?」
「モチのロンの助でしょ☆」
互いのスケジュールを突き合わせて調整して日取りが決まり、『みんなでお買い物♪』と携帯に入力する。
――後でママ師匠も誘おう♡
「じゃあ気分を変えて、トランプでもしよっか」
「あ、七並べやりたーい」
「いいね、やろうやろう」
どれを出そうかと手持ちのカードを選んでいたクロルちゃんが、急にビクッとした。
「クロルちゃん、どうしたの?」
「あ、ううん。なんでもない」
「そう?」
慌てて手を振るその顔は赤く、目も潤んでいて、その後も時折身体をビクつかせる。
熱でもあるんじゃ……と心配していると、少ししてからクロルちゃんがトランプを置いた。
「ごめん、みんな――ちょっと、トイレ……」
涙目でふらつきながら、席を立つ。
――フラフラとなんとかトイレまで辿り着くと、扉を閉めた瞬間に我慢していた声を上げた。
「んあ♡ あんッ♡ ダメ、ダメ! 奥ダメなのっ♡ ダメだってばあっ♡」
股間を押さえて悶え、脚がガクガクと痙攣する。
「ひっ♡ ああ♡ ああぁぁあぁぁッ♡」
クタリ、と力が抜けてその場にぺたりと崩れ落ちると、ぞもぞとパジャマのズボンから触手が這い出して来た――…。
「……クロルちゃん、戻ってこないね」
クロルちゃんの隣だった私が代役としてカードを出していたが、もう3巡目なのに彼女は戻ってこない。
「あれ? ビャッくん……?」
陽ちゃんが、いつの間にかお布団の上にいた触手に気付いて抱き上げる。
ビャッくんはご機嫌に陽ちゃんのパジャマの中に滑り込んでいった。
「あはは……くすぐったい♡」
パジャマの上から触手を撫でながらトランプを楽しんでいたが、少しすると陽ちゃんの様子がおかしくなる。
「ん……♡」
軽く息を乱し、顔が赤い。
やがてゲームの終わったタイミングで、陽ちゃんが“ちょっと温泉の脱衣所に行ってくる”と言い出した。
「忘れ物しちゃったみたいで……」
「私も、ついていこうか?」
陰ちゃんの言葉に慌てて両手を振る。
「平気、平気! 陰ちゃんは楽しんでて!」
――牢屋を出て角を曲がった途端、耐え切れずに床に座り込んだ。
「はあぁぁ♡」
パジャマをたくし上げると、乳首に吸い付くように触手が覆っている。
さっき見た時は気付かなかったが触手の腕はただの丸い形状じゃなくって、先がパカッと割れて小さなイボイボのびっしりとついた内側が乳首に吸い付きながらゾリゾリと刺激し、初めての感覚に腰が抜けてしまっていた。
しかも最初に乳首に被さった時、何か胸の中に温かいものを広がる感覚がして身体が熱くなり、心臓がバクバクと鳴って、触手が巻き付く感触にあそこまでジンジンと疼き出す。
「もう、悪戯っ子だなあ……」
分かっている。ビャッくんに悪気はないのだ。ただ、今は発情期なだけで――。
「こ、こら、そんなところ……」
脚の間に触手を伸ばしたビャッくんがスルリと下着の間に入り込み、膣を奥へと進んでいく。
「んんうぅぅぅっ♡」
脈打つように蠢く触手が子宮口に吸い付き、別の腕がクリをイボイボで擦る。
――気持ちいいとこ、全部……!!
「イクっ♡ イク♡ イクうぅッ♡♡♡」
プシャアッと熱いものが噴き出し、ビャッくんがそれを浴びて震えるのを見たのを最後に、あたしは気を失った――。
「やっぱり私、陽ちゃんについていくね。夜遅いからやっぱりちょっと心配だし」
「陰ちゃん?」
「城の中だから心配ないとは思うけど……」
「私も一緒に行こうか?」
「大丈夫、大丈夫! 姫ちゃんとバニラちゃんはここで待ってて」
携帯だけポケットに入れて、牢屋を出る。
角を曲がったところで何かに躓きそうになり、それが陽ちゃんだと気付いて慌てて助け起こした。
「よ、陽ちゃん!? どうしたの、陽ちゃん!?」
意識はないが、なんだか幸せそうな顔をしているのでとりあえずホッとする。
とにかく、こんなところに放っておけないと牢屋のお布団に寝かせる為に陽ちゃんを抱きかかえようとした時、パジャマからビャッくんが出てきた。
――あれ? こんなに大きかったっけ……?
さっきみんなで見た時より一回り大きく感じる。
気のせいかな、と首を捻っていると、ビャッくんは私のパジャマの中に潜り込んできた。
「ひゃわっ!?」
お腹に抱きついてきたビャッくんが、もぞもぞと腕を伸ばして胸をまさぐる。
慌ててボタンを外すと、触手の先がクパァッと開き、イボイボになった内側の中心に細い棘が立っていた。
「え? え?」
戸惑ううちに触手が乳首に被さり、スッと棘が刺さる感触がした。
痛みはなかったが、棘の先から温かいものが注入され、途端にクラリと地面が揺れる。
――身体が熱い……!
息が乱れ、立っていられずにしゃがみ込む。
「あ、やだ――♡」
これ、きっと媚薬だ―― !
そう気付いた時、ビャッくんの別の触手の先が開いた。
さっきのようにイボイボではなく、長くて細い触手が蠢いている。
――な、何? それをどうするの……?
下半身に滑り込んだ触手が、おしっこの穴へ入っていく。
「う、嘘!? 嘘、嘘、嘘、嘘!」
細長い触手が容赦なく尿道を進んで膀胱まで達し、蠕動を始めた。
――こんな――こんなの嘘! おしっこの穴が気持ちいいなんて……!
しかも管になっているらしく、膀胱の中身を吸い出されている感触がする。
「は♡ ……やっ♡ こんなのダメなのに♡ イケナイのに♡」
――気持ちいいぃぃッ!!
ガクンッと仰け反り、カクカクと腰を振って絶頂し、そのまま私は気を失ってしまった――。
「……そういえば、クロルちゃんはどうしちゃったんだろ? 全然戻ってこないけど……」
「まさか、トイレで気分が悪くなっちゃったとか?」
バニラちゃんと顔を見合わせ、二人でトイレに確認しに行く事にする。
ノックをして返事がないので、「扉、開けるよ~」と断ってからそっと開いた扉の隙間から覗くと、クロルちゃんがトイレの蓋に突っ伏しているのが見えた。
「クロルちゃん!?」
慌ててバニラちゃんとトイレに入り、クロルちゃんをお布団まで運ぶ。
眠っているだけのようにも見えるけど、トイレであんな恰好で寝ちゃうなんて普通じゃない。
――いや、クロルちゃんも魔族なのだから、人間の尺度で図るのは間違っているのかも?
そうか、そうだな。
それになんだか幸せそうな顔をしているし、心配ないか。
自分を納得させながらクロルちゃんにお布団を掛けてあげていると、「ひ、姫様ぁ……」とバニラちゃんに呼ばれて振り返る。
バニラちゃんが震える手でネグリジェの裾を握り締めてめくって見せた。
「え、ビャッくん!?」
さっきより大きくなったビャッくんがバニラちゃんの股間に貼り付いて、触手をくねらせている。
「な、なんか変です、この子。取って――取ってください、姫様……っ」
「う、うん」
バニラちゃんをお布団に寝かせてネグリジェをお腹までたくし上げ、ビャッくんを掴んで引っ張ってみたがビクともしない。
トーチャーのペットなので怪我はさせられないから、力加減が難しい。
――そうだ、バニラちゃんの身体にガッチリ回している触手を緩めれば――
周りを見回して、みんなでつまんでいたお菓子に目を留める。
触手を一本ずつ優しく身体から剥がして一口チョコを握らせていくと、半分ほど剥がしたところでもう一度ビャッくんをしっかり持つ。
「バニラちゃん、いくよ」
「お願いします、姫様」
ゆっくりと持ち上げると、一緒に下着も下りてきた。
「ま、待って!」
バニラちゃんが脱げそうな下着を押さえる――と、ビャッくんが下着の隙間から触手を伸ばしてスルリと入り込んでしまう。
「あ……」
なんだか前衛的なコスチュームみたいになってしまった。
チョコを掴んでいたはずの触手も、もう離さないぞと言わんばかりにしっかりとバニラちゃんに巻き付いている。
「……しょうがないね。トーチャーが戻ってくるまでこのままで――」
言いかけると、バニラちゃんが「ああっ!?」と身体を震わせた。
「どうしたの!?」
「変なところに何か刺さって――や!? んんんっ!」
バニラちゃんの顔が紅潮し、とろんと目が虚ろになる。
「……あは♡ 姫様、これ――凄く気持ちいぃ♡ あぁ♡ 私、姫様の前なのに♡ 姫様に見られているのに、イッちゃう♡ イッちゃうぅぅッ♡♡♡」
「な、何!? 行くってどこに!? どこに行っちゃうの!?」
腰をガクガク上下に震わせ、口から唾液をこぼしながら、恍惚の表情でバニラちゃんが気絶してしまった。
ズルン、とビャッくんがバニラちゃんから離れると、ちらりと見えた陰核が真っ赤に腫れ上がっている。
――え? え? あの大きさは魔族だから? それとも個人差の範疇なのか?
他人の性器を初めて見てしまい、戸惑いながらバニラちゃんのネグリジェと下着を直してお布団に寝かせた。
トーチャーとママ師匠は温泉、陽ちゃんと陰ちゃんも行ってしまい、クロルちゃんとバニラちゃんは眠ってしまっている。エクスもいない。
――あれ、今、私、ひとりなんだ……
ふと気配を感じて振り返ると、ビャッくんが這い寄ってきた。
「……ビャッくん?」
改めて見ると、やっぱりさっきより大きいし触手も太くなっている。
急に気付いてしまった。
みんな、ビャッくんが抱きつくとおかしくなっていた、という事実に。
「ま、まさかね」
声に出してみたが不安は消せず、後ずさる私にビャッくんが飛びついてきた。
思いがけない衝撃にお布団に倒れ込むと、触手がくねくねと蠢きながら両手首に巻き付いて、固定されてしまう。
目の前の触手の先がクパァッと花のように開き、内側にびっしりと並ぶイボイボと中心に棘があるのが見えた。ツ、と棘から雫が滴って顔に落ちると、蜜のような甘い香りがする。
――さっきバニラちゃんが言ってた“刺さった”って、この棘の事!?
ビャッくんは私のパジャマの下に入り込もうとしたが、大きくなったせいで入る事ができず、ボタンを引きちぎった。
露わになった乳房に触手を巻き付け、ギュッと寄せた乳首に棘付きイボイボ触手を近づける。
「待って……いや……」
乳房に覆いかぶさる瞬間、棘が乳首に真っ直ぐに刺し込まれていくのが見えた。ククッと刺さっていく感触はあるのに不思議と痛みはない。
――そうか、おっぱいが出る穴に刺さってるのか……
理解すると同時に乳首の奥が熱くなり、鼓動と呼吸が速くなった。
「な、なんだ……?」
全身の感覚が敏感になっていくのが分かる。
触手の締め付けと、肌に擦りつけられる感触が気持ちいい。
ゾリゾリと乳首をイボイボが擦り、まるで誰かに吸われながらザラザラの舌で舐め回されているみたいだ。
――乳首って、こんなに気持ちいいのか……!?
「ダ、ダメ、ビャッくん♡ そんなに刺激しちゃ――っ♡」
ジンジンと乳首が高まるにつられるように、あそこがキュンキュンと痛いくらいに疼きだす。
ビャッくんが触手を伸ばして脚に絡みつき、グイッとパジャマごと下着を下ろした。
――噓……噓だよね、ビャッくん!?
別の棘付きイボイボ触手が、期待するように顔を出しているクリトリスに棘を差す。
「いやぁぁああぁぁ!!」
チクッとした瞬間に温かいものが流し込まれ、クリがドク、ドク、と脈打って膨れ上がっていった。乳首と同じように棘を刺されたまま触手に包まれて、はち切れそうに勃起したクリにイボイボが撫でつけられる。
「んううぅ! ―――ぐううぅぅッ♡」
一瞬でイってしまった。
それなのにビャッくんは止まらずに刺激し続ける。
「もうイッた! イッたの! 止めて! 止め――っ!!?」
別の触手の先が開き、中から細い触手がうにょうにょと蠢いているのが見えた。
「や……何?」
クリトリスを包む触手の向こうにいったその触手は、小さな穴を探り当ててスルスルと細い触手を差し込んでいく。
「え? 嘘、だよね……? おしっこの穴に入って――?」
細い触手には細かい毛がびっしりと生えていて、尿道をサワサワと擦りながら奥へと入っていき、やがて突き当りまでくるとこじ開けるように膀胱に入り込んで蠕動運動を始めた。
――何……? まさか、おしっこ飲んでるの?
膀胱の中身を吸い出される感触にブルルッと震えると、イボイボ触手のクリへの刺激が強くなる。
「いやぁっ! ――そんなに強くしないでぇっ!」
棘の先から流し込まれる媚薬で敏感になったクリトリスをぞりぞりと擦られ、耐え切れずにシーツを掴んで絶頂してしまった。
プシ、プシッと小さく液体が噴き出す。
尿道に入り込んだ触手のせいで弧は描かなかったが、たぶん潮を吹いてしまった。
ビャッくんはその潮さえ飲み干し、もうないのかと確かめるように膀胱の内側を蠢く。
涙目でビャッくんを見下ろすと、更に大きくなった気がする。
ふとトーチャーの言葉をフラッシュバックした。
“大量の水に濡らさない――”
――そうか、水をあげ過ぎると大きくなるのか……
絶頂直後で頭の中が真っ白なのに、妙に冷静に3つの約束を思い出す。
それに“深夜にカロリーの高い餌を与えない”という約束も、チョコをあげて破ってしまった。
だからこんなに発情しているのかもしれない。だとすればこれは、私の責任だ。
――仕方がない、トーチャーたちが戻ってくるまでの我慢だ――
身体中を這い回る触手の一番太いのが、お尻の穴に当たる。
「え? ダダダダメ! お尻はダメ! そこは入れるところじゃ――」
動かせない手脚をバタつかせて、なんとか必死にガードすると、別の触手が顔の前に来て口に捻じ込まれた。
「んんッ!?」
太いのが喉奥にまで入り込み、何かが噴き出すのを感じる。
――甘い匂い……
それがさっき顔にかかった、棘の先から出たやつと同じものだと気付いた時、媚薬を飲まされたのだと理解した。
乳首とクリトリスに直接注入された上、口からも飲まされ、次第に身体が自分のものではなくなっていくようにとろけて、ビャッくんとの境目がなくなり、まるでひとつに混ざり合っていくような感覚にゾクゾクする。
それは今まで感じた事がないほど強烈な快楽だった。
「ビャッくん、もっとぉ! もっとちょうだい! ビャッくんの太いので犯してっ♡ 全部の穴を犯してぇ!!」
まるで言葉を理解しているかのように、ビャッくんの触手が膣口へとあてがわれ、一気に奥まで貫く。
「んああぁぁぁッ♡ 気持ちいいぃ!!」
ゴツン、ゴツン、と子宮口に当たる度に甘イキし、痙攣が止まらない。
私の興奮が伝わったように、触手の先から細い触手が這い出て、子宮口をこじ開けて入り込んだ。
「あああ♡ そんなところ、イケナイ場所なのに♡ 入っちゃダメなのに♡ でもビャッくんならいいの♡ ぐちゃぐちゃに掻き回して♡ ビャッくんの濃いの、出して♡ 奥でビューッて出してぇッ♡」
弾けるように媚薬を子宮に直接流し込まれ、気が狂いそうなほど気持ちがいい。
さっきからずっと身体がふわふわとして絶頂から下りてこられず、目の奥がチカチカしたまま痙攣が止まらない。
魔族との争いの事も、自分が姫である事も、何もかもがどうでもよくなる。
――みんな触手を飼えば、ハッピーになれるのでは……?
そう、だからこれは、私が人間と魔族の架け橋になる為の実践なんだ。
「ビャッくん、お尻――お尻にもちょうだい♡ まだ空いている穴があるよ♡」
触手が容赦なくアナルに捻じ込まれていき、ズボズボと抽送する。
――私、本当に全部の穴を触手に犯されちゃってる……ッ!!
再び喉奥まで触手に塞がれて呼吸もままならない中、媚薬を絶え間なく飲まされ注入され、乳首もクリトリスも尿道も膀胱も、膣も子宮もアナルも腸も内側から犯され、汚される事に悦び、快楽に溺れる。
「イぐッ! ひぐぅ! いぎッ――ひぎゅうぅぅ♡♡♡」
今夜一番の大きな快楽の波が押し寄せ、全ての神経が焼き切れてしまいそうな強烈な絶頂に私の気は遠くなっていった――…。
翌朝目が覚めると、みんなが心配そうに私を覗き込んでいた。
「あれ……? おはよう、みんな」
「姫様、お身体は大丈夫ですか?」
トーチャーが心配そうに布団から抱き起してくれる。
「え? ……ああ、昨日はみんなで夜中まではしゃいじゃったからな。楽しかったあ~」
「そ、そうですか」
みんなが顔を見合わせると、陽ちゃんが言いづらそうに聞く。
「姫ちゃん、昨日の夜の事、覚えてないの?」
「もちろん覚えてるよ! すっごく楽しかった! ……あれ、そういえばビャッくんは?」
皆が一斉にビクッとした。
「どしたの?」
「いえ! なんでも……」
「解散の前にもう一度、なでなでしたいなあ♡」
何か言いかけたトーチャーを押さえたママ師匠が首を振ってから、こちらへ笑顔を向けた。
「あの子ねえ、今は日光浴中なのよ~」
「日光浴? あまり日に当てたらよくないんじゃないの?」
「ちょっと昨日の夜、水分を取り過ぎて大きくなっちゃったのよ~。だから戻す為に適度な日光浴が必要なの~」
「ふーん、そうなんだ……。あ、じゃあトーチャー、またビャッくん連れてきてよ! 出張の時とか私が預かってもいいよ!」
「え、ええっと――考えておきます……」
なんだかトーチャーらしくなく歯切れが悪い。
それにみんなの様子もちょっとおかしく、なぜかモジモジしている。
私の方は、朝から少し身体が火照る感じがするが、妙にスッキリしていて気分もいい。
――そういえば、凄くエッチな夢を見たような――…
ハッと気付いた。
「そ、そうか……これが今日の拷問なんだな!?」
「急にどうしたの、姫ちゃん!?」
「可愛いビャッくんを見せつけておいて、お預け! もう一度会いたいなら秘密を話せ、と! そういう事だな!?」
「いえ、違います! 違いますよ、姫様!?」
「仕方がない、今日のところは屈してやろう。実は城の地下には――」
『――姫様は今日も話した』
何気に、みんなで遊ぶゲームを考えるのが楽しかったです マオウサマ (*´ω`*) キキイッパツ トカ
触手、いいですよね~。夢(妄想)が広がります。
ちなみに『ビヤク種』は女性の性処理用に品種改良された媚薬を注入してくるだけの無害な種で、『クッコロ種』や『ナエドコ種』のような凌辱は行いません。あくまで”懐いた相手にじゃれているだけ”という設定です。