アベル×リョウ、リョウ×アベル、両方あります♡
アベルの依頼を受け、ルンの街を目指して山を越えてきた僕たちは、今夜の野営地を適度に岩の転がる平地に決めた。
ここなら岩が目隠しにも風よけにもなる。
火を熾して、途中狩ったレッサーボアの肉を焼くのをアベルに任せ、僕は目をつけていた岩を見下ろした。
「うん、ちょうどいいですね」
張り出すようになった大きな岩に隠れるように寄り添うその岩は、大岩から滴り落ちる雨滴を長い年月受け止めてきたせいで抉れ、いい感じに人が横たわれそうな窪みになっている。
――ちょっと浅いですが、たっぷり湯を張れば湯船にできそうです
今夜の野営地にここを選んだ、最大の理由がこれだった。
山を越えるまで強力な魔物の脅威にさらされて風呂どころか水浴びもままならなかった為、身体を拭くだけではそろそろ限界だったのだ。
窪みの中の小石や枯れ葉を取り除き、ウォータージェットで土埃なども綺麗に吹き飛ばす。
――後はお湯を入れるだけですね
まずまずの仕上がりに満足して頷くと、アベルが声を掛けてきた。
「おーい、リョウ。そろそろ肉が焼けるぞー」
「すぐに行きます!」
「……どうしたんだ、リョウ」
「何がです?」
「いや、さっきからずっとニヤニヤしているから、何を企んでいるんだろうと」
「失礼ですよ。僕がいつ、何かを企みました?」
「俺をベヒモスにけしかけようとしたり、リョウは割と無茶を言うだろ?」
「いえいえ、アベルを信頼しているからこその発言に決まっているではありませんか」
「どうだか」
軽口を叩き合いながらの食事も終わり、周囲の警戒に軽く見回りに行くアベルに「呼ぶまでは絶対に覗かないでくださいね」と念を押して、さっきの岩へ向かう。
やがて湯船岩に溢れるギリギリまで湯を張って用意ができると、戻ってきていたアベルに声を掛けた。
「アベル! ちょっと来てもらえますか」
「どうした、リョウ?」
呼ばれて来たアベルは、岩を覗き込んで目を見開く。
「え!? 風呂? こんなところに!? まさかリョウが作ったのか?」
何かやっているとは思っていたが、と呟きながら、アベルがお湯に手を入れる。
「湯加減も完璧じゃないか!」
これまでの魔法の練習と日本人の飽くなき入浴欲の賜物である。
アベルの称賛に気を良くした僕は、一番風呂を譲った。
「ようやく山を越えたのです。見張りは僕がしているので、どうぞさっぱりしてください」
「いいのか? でもリョウが作ったのだから俺が先に入るのは……」
最初は遠慮したアベルも温かな湯気と清潔な湯の匂いに抗えず、強く勧めるともう断らなかった。
「はあぁぁぁ~」
大岩の傍で見張りの為に座り込んでいると、思わず漏れたアベルの声が聞こえてきた。
――分かります。お湯に浸かると出ちゃいますよね
危険な地域を抜けるまで、ずっと緊張を強いられてきたのだ。このくらいのご褒美があってもいいだろう。
「アベルー、岩風呂はどうですか」
「最高だ……金を払ってもいいくらいだ」
「ほうほう、つまり道案内の報酬に入浴代を上乗せしてくれる、と」
「そこまでは言っていない! ……いや、でもそれだけの価値はあるか……」
払うと言い出しそうなアベルに、逆にこっちが慌ててしまう。
「冗談ですよ!?」
「分かっているさ。そのくらいこの風呂が気持ちいいって事だ」
「喜んでもらえて何よりです」
――そういえば、こういう時の為にいい物を持っていましたね……
不意に、使う機会がなくて荷物の奥に入れっぱなしだった物の存在を思い出した。
荷物を取ってくると目当ての物を手に、湯船岩に回り込む。
岩のふちに両腕を掛けて風呂を満喫しているアベルは、しっかりと筋肉がついて引き締まったいい身体つきをしていた。男の僕が見てもつい見惚れてしまう。
「アベル、これを使ってください」
「これは?」
「魔物の脂と灰から作った石鹸です。これで身体を洗ってください」
「そんなものまで!?」
「そうだ。髪、洗ってあげますよ」
「いや、リョウにそこまでさせる訳には……」
「遠慮しないで。お金は取りませんから」
苦笑するアベルの頭にお湯を掛け、石鹸を手に取って泡立てる。
ハーブを混ぜてあるので、いい香りの立つ泡をアベルの頭に乗せてワシワシと洗う。
「お客さん、かゆいところはありませんか?」
「なんだ、それ」
さすがに長い事水で流すだけだったのですぐに泡は消え、何度か流しながら洗ううちにようやく綺麗になった手ごたえがあった。
最後に魔法でお湯を手の平からシャワーのように出しながら洗い流すと、アベルがうっとりと言う。
「やばいな……気持ちよくて、眠っちまいそうだ……」
「満足してもらえたみたいでよかった」
湯船から出て身体を洗うアベルの為に、僕は大岩に上がった。
「アベル、石鹸で身体を洗ったら声を掛けてください」
「え? ……ああ、分かった」
少しして洗い終わったと言うアベルに向けて、降り注ぐ雨のようにシャワーを浴びせる。
全身ピカピカになったアベルは満足の溜め息を吐きながら、腰に布を巻いて出てきた。
「はい、お水。お風呂から上がったら、水分補給は大切ですよ」
「ありがとう」
風呂に入ろうとローブを脱ぐ僕を見ながら一息に水を飲み干したアベルが、なぜか服を着ようとしない。
「服、着ないんですか? 湯冷めしてしまいますよ?」
「いや、次は俺がリョウを洗う番だろ? どうせ濡れるんだから、着なくていいだろ」
「はい!? 僕の事はいいんですよ! 僕はただ、アベルを労いたかっただけで……!」
「俺も同じだ。ここまでの旅がこんなに安全で楽しかったのは、強くて頼もしいリョウのおかげだったんだからな。リョウが一緒でどんなに心強かったか、言い表せないくらいだ」
ほら早く、と腕を取られて湯船岩に連れていかれ、服を脱がされると、手桶代わりの革袋でお湯をすくい、漏れ切る前に掛けられる。
――まあこれも裸の付き合いってやつですかね……
大人しく掛かり湯をされ、湯船に浸かった。
「ああぁぁ~…」
思わず声を出すと、うんうん、とアベルが頷く。
「分かるぞ。湯に浸かるなんて贅沢、旅の途中では難しいからな」
少し冷めてきていたので、アベルに背中を洗ってもらいながら熱い湯を足して調整していると、その様子を見たアベルが感心して呟いた。
「本当に凄いな、リョウの魔法は」
「そうですか?」
「こんなに自在に温度や強さや形状を変えられるなんて、凄いとしか言いようがない」
「まあ、日々の鍛錬の賜物ですかね……アベルの剣と一緒です」
「俺?」
「アベルが毎朝、型の稽古をしているのは知っています。そういう真面目なところはとても好ましいですし、剣を振るアベルは男の僕が見てもかっこいいです」
「そ、そうか。かっこいい、か……」
照れくさそうに呟いたアベルがふいっと顔を逸らした。
「あれ~? もしかしてアベル、照れちゃってます?」
「べ、別に」
耳の赤くなったアベルが口を尖らせた瞬間、大きなくしゃみをする。
「ほら、やっぱり。風呂上がりにそんな恰好で長い事いたら当然湯冷めしますよ。二人で入るには少し狭いですが、風邪を引くよりはマシです。さ、入ってください」
「いや、俺は――」
そう言いかけて、再びくしゃみをしたアベルは鼻をすすって苦笑すると、素直に湯船に入った。
「…………」
熱めの湯を更に足したが、深さがそこまでない為に肩まで浸かれず、膝を抱えてアベルと向かい合って思案する。
もっと効率よくしっかり温まるには、向き合って入るよりも同じ方を向くように重なって入った方がいいのでは?
「……アベル」
「どうした、改まって」
「僕は普通に女性が好きです」
「本当に急にどうした!?」
「男性に興味はありませんし、今から提案する事に他意はない事を了承してください」
「……なんだかさっぱり分からないが、分かった」
「では、僕が立ち上がったら、身体をずらして肩まで浸かってください」
提案通り肩まで湯に浸かったアベルに背中を向けて、もう一度僕も湯船に身体を沈める。
「お、おい……」
「不本意なのは僕も同じです。ですが、今は温まる事の方が大切ですので、我慢してください」
「いや……気を遣わせてすまない」
しばしの沈黙の後、アベルが囁いた。
「リョウ、こっちに寄りかかってくれ。その体勢、つらいだろ?」
変にアベルにくっつかないよう、正直少し苦しい体勢だったのでお言葉に甘える事にする。
「重かったらすみません」
アベルに背中を預けるとかなり楽になった――が、ひとつ気になる事があった。
「アベル、何か、お尻に当たるのですが……」
「気のせいだ」
――いや、気のせいじゃない……!
なぜアベルは勃っているのか、自分はもしかして貞操の危機なのではないか、とぐるぐる考えていると、アベルが微かに身じろぎする。
変に緊張していた僕は過敏に反応してしまい、バランスを崩して岩で手を滑らせた。
「わ、わっ……!?」
「リョウ!」
気付けば僕はアベルの腕に抱きとめられ、彼の胸に顔を押し付けて鼓動を感じていた。
トク、トク、と温かい胸の音を聞いているうちに、自分の心臓がどうしようもなく高鳴っていく。
なんだ、これ――男相手にこんな――そ、そう、これはきっと、転生してからずっと人と触れ合っていなかった後遺症のようなもので――…
そう自分に言い聞かせているのに、間近に聞こえるアベルの軽く乱れた息遣いと触れ合う肌の感触を気持ちいいと感じている事に気付いてしまった。
「リョウ、大丈夫か?」
「ええ、ありがとう、アベル」
身体を離さなければと思うのに、離れる事ができない。
「あの……アベルは、その――男性が好きなのですか?」
はっきりと聞かれて怯んだようにアベルが息を飲む。
「……そんな事はない――はずだ。今まで男相手に劣情を催した事なんてなかった。でもなんでかリョウの肌を感じた瞬間、反応してしまっていたんだ」
「それは、僕の事を抱きたい、という事ですか?」
「え、いや……」
答えに迷って視線を泳がせたアベルは、観念したように頷いた。
「……はい」
アベルも年頃の青年である。発散できない性欲を持て余し、手近な存在である僕に向けてしまっても仕方がないのかもしれない。
おそらくこれは長く危険な旅の間、自慰もできなかった事による、一時の気の迷い。
一度出してしまえばすっきりして、またいつものアベルに戻ってくれるはずだ。
それにルンの街に着けばアベルは仲間たちの元へ戻る。僕たちは赤の他人――もしくはただの友人になり、この旅であった事もきっと笑い話になるだろう。
「……仕方がないですね。今夜だけですよ?」
「いいのか? 本当に?」
「嫌ならいいです。この話はなかった事に」
「いや、嫌じゃない! ただ、絶対に拒絶されると思っていたから……」
「しませんよ。僕はアベルに感謝しているんです。森でのスローライフも楽しかったですが、こうして人と関わるのも楽しい事だと思い出させてくれましたから」
「じゃあ……触るぞ」
後ろから抱き締められた体勢のまま、アベルがクニクニと乳首を弄る。
「っ……」
男相手は初めてのはずなのに、アベルの愛撫はとても上手い。
――乳首って――こんなに感じるものだったっけ?
あっという間に余裕のなくなった僕に、アベルが囁きかけた。
「ああ、可愛い……可愛いな、リョウの乳首。初めて見た時から弄り回してやりたいって思ってたんだ……だって上半身裸でこんな可愛いのを無防備に晒して、誘っているとしか思えないだろ」
「服の事はちゃんと説明したではないですか、“布や糸が手に入らない”って。それに今のセリフ、アベルは出会った時から狙っていたって事ですよね?」
「だって可愛い顔をしているから、リョウの事、最初は女の子だと思ったんだよ。けど身体は男だったからあの時は本当に混乱した」
素直に告白しながらアベルは片手で乳首をピンピンと弾き、もう片方の手でキュッ、キュッと摘まむ。
「っ――ア、アベル……上手過ぎ……ませんか?」
硬くなった乳首に走る刺激が背筋を伝って、下半身にまで響いた。
「それはリョウが感じてくれているって事でいいか?」
なら、こんなのはどうだ、とアベルはカリカリと指先で引っ掻く。
「んんんぅ♡」
思わず仰け反ると、アベルが嬉しそうに笑った。
「リョウ、気付いているか? お前も、もう待ちきれないって言っているみたいに勃ってる」
「えっ?」
見下した下半身は隠しようもなく昂り、脈打っていた。
――アベルは僕の乳首しか触っていないのに……?
「これは――だって久しぶりだから……」
恥ずかしさで口を尖らせながら振り返ると、すかさずアベルが唇を重ねてくる。
「んッ……んぅっ……ふぁ……は♡」
差し込まれた舌が絡まり、優しく吸いながら舐め回し合っていると、身体の力がどんどん抜けていった。
――キスってこんなに気持ちよかったっけ……?
「は♡ 可愛いな、リョウのとろけた顔♡」
「ふぇ?」
愛おしそうに微笑むアベルに、嬉しいと悔しいを混ぜたような複雑な感情が湧いてくる。
「……アベルはズルいです」
「ん、何がだ?」
「アベルばっかりズルいので、僕にもさせてください」
アベルを湯船のふちに強引に座らせると、まだ何も触れていないのにビンビンに勃起した陰茎が目の前にきた。
「デカ……」
――僕相手に、こんなに勃たせて――…
男同士でなんて考えた事もなかったのに、欲望を露わに反り返る逞しい陰茎に、嫌悪どころか愛おしいと感じてしまう。
「リョウ……」
期待するように名前を呼ばれ、そっと根元を握って支えながら舌を這わせて舐め上げる。
「うあぁっ♡」
ブルルッと震えて喘ぐアベルの姿にゾクゾクし、興奮のままにカリ高の肉棒をたっぷりと舐め回した。
「ああ、イイ――♡ リョウの方こそ、上手過ぎるだろ」
「そうですか? 悦んでもらえて何よりです」
おもむろに裏筋を舌先でつつく。
「ひっ!? ううぅぅッ♡――そこっ……そこは――っ♡」
「ここが好きなんですね、アベル?」
グニグニと舌で裏筋を擦り立てると、アベルが膝をガクガクと震わせた。
――あ、昇ってきた……
陰茎の根元を握る指に力を籠めて射精を止め、達せずに苦しそうに悶えるアベルに囁く。
「我慢した方が、気持ちがいいですよ♡」
「ッ――ここまで、充分我慢しただろ……」
「まあ、それもそうですが」
「頼むリョウ、今度は咥えて――口に咥えてくれないか――」
「仕方がないですね、アベルは」
あーん、と口を開くと、陰茎が期待でビクつく。
カリに唇を引っかけるようにグラインドし、ブプッ、ブプッと音を立てて吸い絞った。
「ろうれふは、アウェル?」
「凄、い――リョウの口の中、ぬるぬるで温かっ――♡」
今度は止めないでくれ、と涙目でねだるアベルが可愛くて、強く吸いながら亀頭を舐め回し、尿道に舌を差し込むようにつつく。
「リョ、リョウっ! それイイ! ああぁ、出る! 出るッ!! ぐッううッ!!」
ビュルルルッと勢いよく口に噴き出された精液は濃くて、舌の上でぷるぷると揺れる白濁液を手の平に出して、見せる。
「ほら、見てくださいアベル♡ すっごい濃い♡」
ドロドロと濃い精液が塊になって指に絡まり、手を返しても落ちないくらいだ。
「アベルったらこんなに濃いのを溜め込んでいたのですね。やらしいです♡」
ハー、ハー、と真っ赤な顔で息を吐くアベルは、それを見て更に顔を赤くする。
「そんな事言ったって、ずっとリョウと二人、自分で慰める時間もなかっただろ」
「夜、こっそり抜け出せば、できたのでは?」
「あんな危険な場所で、そんな気になれるか!」
一回抜いたおかげでいつもの調子に戻ったアベルにホッとしていると、手の平の精液を見て「それ、もらえるか」と聞いてきた。
「どうするんですか」
「いや、だって――まだ全然治まらないし――」
長い禁欲生活のせいか、それともアベルが絶倫なのか、一度出したくらいでは萎えない陰茎を二人で見下す。
「リョウ、こっちに尻を向けて、腰を上げてもらえるか……?」
道案内の依頼主であり、旅の相棒であり、この世界で初めての友人は、本気で僕を抱く気だった。
自分の精液を受け取ったアベルは、僕のアナルに塗り付けた。
「力、抜いて……」
ぬるぬると精液を纏った指が、排泄の為の穴に入ってくる感触に背筋が震えたが、自分でも不思議な事に嫌ではない。
「ん……♡」
「はは……ヒクヒクさせて、“早く欲しい”って言ってるみたいだ」
勝手にアナルがアベルの指を締め付け、迎え入れようとヒクついてしまう。
「そろそろよさそうだな――いくぞ、リョウ」
「う、うん……」
精液のおかげか、ぬるんと入り込んだ亀頭がゆっくりと挿入された。
「んあぁっ♡ ……んんッ♡」
――熱っ――硬ぁっ――♡
「はは♡ 締め付け、凄い――」
アベルの陰茎は太くて長くて、押し込めば奥まで届いてゴリゴリと中を擦り、引き抜く時はカリが抉る。
腰を打ち付けられる度に水面がリズミカルに揺れ、音を立てて縁から溢れた。
「可愛い――好き――好きだ、リョウ―― 初めて会った時から可愛いって思っていた――俺が何かを教えるたび無邪気に喜んでくれるのも、華奢に見えて意外と鍛えられているところも、強いくせに世間知らずなところも、何もかもが可愛くて好きだ――夜、無防備に眠る姿を見て何度滅茶苦茶にしたいと思ったか分からない――ずっと俺の愛撫でどんな風に鳴くんだろうって妄想していた――…♡」
気持ちが溢れてしまったように“可愛い”と“好きだ”を繰り返しながら、アベルの抽送はだんだんと激しさを増し、肌の当たる音にグポッ、ブポッ、と卑猥な音が混じる。
同性で肌を重ねるなんて考えた事もなかったのに、アナルで男根を受け止める自分にどうしようもないほど興奮していた。
――こんな気持ちいいの、知らない……!
後ろから囁かれ、腰を打ち付けられ、身体中にぶつけられるアベルの気持ちを受け止めていると、友人として育んできた気持ちが愛情へと塗り替えられていく。
「リョウ――リョウ♡ このまま――いいか?」
熱っぽい囁きが耳から流し込まれ、頭の芯が痺れた。
――アベルが、僕を孕ませようとしている――…
ゾクゾクッと背中に痺れが走り、気が付けば口が勝手にねだっていた。
「い、いいよ、アベル。奥に出して♡」
「好きだ――好きだ、リョウ―― !」
「はい、僕も――僕もアベルが好きです♡ だから――アベルの精液、一滴残らず僕に――僕の奥に注いでっ」
「ッ――そんな可愛くねだるの、反則――ッ」
結腸に突き抜けてしまいそうなほど奥に捻じ込まれる激しいピストンに、一気にオーガズムに向けて昇り詰めていく。
「あー♡ イク、イク、イクぅ♡ アベルに女の子にされて、イッちゃうぅッ♡♡♡」
ガクン、と仰け反って、痙攣するアナルの奥に噴き出される熱い精液を感じながら同時に射精してしまった。
「はは♡ 本当に可愛いな、リョウは――俺と一緒に絶頂したりして♡」
長く溜め込んだ精液が、陰茎がビクつく度に漏れ出て撒き散らされる。
これまで生きていく事にただ必死で、射精がこんなに気持ちがいいというのも長く忘れていた。時折自分で慰めた事もあったが、ここまで良くはなかった。
口の端から唾液をこぼしてよがっていた事に気付き、口元を拭う。
アベルは奥深くまで挿入したまま、痙攣するアナルを楽しんでいた。
「やばいな――リョウの中、良過ぎて全然治まらない――」
「もう、アベルってば……」
そう言いながらも、抱き締められ密着する肌の心地よさに、自分から離れる事ができない。
「なあ、このままもう一回、いいか?」
「絶倫過ぎませんか、アベル?」
「リョウが可愛いのがいけない」
再び突き上げ始めたアベルは、今度は抽送しながら僕のモノを扱き出す。
手つきも力加減も絶妙で、簡単に勃起させられてしまった。
――剣だけでなく、こっちも天才か……!
アベルは腰を動かしながらタイミングを合わせるように強弱をつけて扱き、亀頭を弄る。
「ひんっ――うぅっ♡ アベル――やっぱり上手過ぎですよ――」
「ああ、可愛い――可愛いよ、リョウ♡」
求められる悦びで身体は簡単にオーガズムへと導かれていく。
「もう、キちゃうっ! アベル、僕、もう――♡」
「俺もだ――リョウ、一緒に♡ 一緒に――ッ」
――その夜は二人とも出なくなるまでシた。
そこから数日、北へ移動していくと、東西に走る街道に行き当たった。
アベルによれば、その街道を西に向かうとカイラディという街に行けるそうだ。
「カイラディの街に着いたら、宿屋で部屋を取ろう」
「久しぶりにベッドで眠れますね」
「まあ、寝かせてやれないかもしれないけどな」
「! ………」
それはどういう意味か、なんて聞くのは野暮というものだ。
初めて抱かれたあの夜以来、毎晩のようにアベルは僕を求めてきた。
初めは一時の気の迷いだろうと思っていたが、アベルの囁く言葉も愛撫からも本当に僕を愛しているのだと伝わってきて、今では素直に彼の熱を受け入れて、受け止めている。
街に着くと、僕たちは真っ直ぐに宿屋へ向かった。
ベッドに身体を投げ出し、満足の溜め息を吐く。
「星の下で焚火を囲む野宿も悪くはないですが――やっぱりいいですね、こうして文化的な生活というものに思いを馳せながら安心して眠る事ができるのは」
「リョウは大げさだな」
そう言って笑うアベルも、人心地が付いたようにベッドに仰向けになった。
「これからどうしますか?」
「ん? ああ……そうだな、とりあえず腹ごしらえにするか」
「アベルの言っていたおすすめの食べ物ですね! 楽しみです」
「その後は軽く街を見て回ってから早めに公衆浴場で旅の汚れを落として、夜はゆっくりしよう」
夜、と聞いただけでお尻の奥がキュッと疼く。
「……そうですね」
「カレー……本当に、素晴らしかったです」
宿への帰り道で何度も言ったセリフを部屋に戻ってからも繰り返すと、アベルは苦笑した。
「喜んでもらえて俺も嬉しいが――まさかリョウがあんなに食うとは思わなかったよ」
「カレーは飲み物ですからね」
「なんだそれ」
ベッドに腰かけると、当然のようにアベルが隣に座って腰を抱き寄せ、唇を重ねる。
「……ん、まだカレーの味が残ってる」
「もう……街に入ったというのに、アベルはいつも通りケダモノですね」
「ケダモノとはなんだ、ケダモノとは」
「だって、今から僕にいやらしい事をするつもりでしょ?」
「それは――まあ、そうなんだが」
アベルはキスしながら僕の服を脱がすと、手早く自分も脱いだ。
男の僕が見ても惚れ惚れしてしまう、引き締まったいい身体だ。
――アベルって実は、かなりスペック高いですよね
顔立ちも整っているし、背も高くて細マッチョで、性格もいい。
これは女性が放っておく訳がない、と突然気付いた。
「……ルンの街にいるアベルの仲間には女性もいるのですよね?」
「それはまあ、いるけれど……なんだ? もしかしてヤキモチか? 俺はもうリョウしかいらないから気にしなくて大丈夫だぞ」
さらりと嬉しい事を言われ、それでも自分はもっと努力しておいてもいいのかもしれないと心に決めた。
「その言葉が信じられない訳ではありませんが、僕の事を忘れられなくする為に、身体に刻み付けてあげますね♡」
部屋のサイドテーブルに立っていき、水差しに手をかざして中の水に集中する。
――水の分子が立体的に結合して流動性を失うイメージで……
やがて手応えを感じて水差しを持ち上げ、傾けてみる。
こぼれた液体は、とろりと手の平に広がり、揺れた。
「リョウ、それは?」
いつの間にか傍にいたアベルが興味津々で覗き込む。
「これは潤滑剤です。詳しい説明は省きますが、魔法で水をゲル状にしました」
「げる……?」
「では、アベル。ベッドに仰向けに寝て、脚を開いてください」
「そんな恥ずかしい恰好できるか!」
「毎晩のように僕にその恥ずかしい恰好をさせて突きまくる人に言われたくありませんね」
アベルは目を逸らして苦笑すると、仕方がないかと溜め息を吐いて、言われた通りのポーズを取った。
「アナルに触りますから、力抜いてくださいね」
「あ、ああ……」
気が乗らない様子のアベルのアナルに、たっぷりと潤滑剤を纏わせた指をゆっくりと差し込んでいく。
僕の指でも硬いその穴を優しくほぐしていると、いつしか力が抜けて指を立てる度に迎えにくるように締め付け始めた。
少しずつ指を増やしてヌチヌチと抽送していると、軽く息を乱したアベルが聞く。
「な、なあ、リョウはもしかして、俺を女にしたいのか? それとも俺に抱かれるのが本当は嫌だったのか?」
「いいえ、そういう訳では。確かに、アベルに抱かれるまでは同性でこういった行為に及ぶなんて考えた事もありませんでしたが、今は愛されるのも悪くないのだと知れて、新しい扉が開きました。ですから僕も、持てる知識の全てを使ってアベルを気持ちよくしてあげたいのですよ」
「そう……なのか?」
「疑ってます? ではこんなのはどうですか?」
フェラはいつもシてあげているので、今夜はもっと踏み込むつもりだった。
アベルの腰の下に枕を入れると、まる見えになったアナルに舌を這わせる。
「!? 駄目だ、リョウ! そんなところ――汚い――っ」
「そんな事言って、舐められた途端にこんなに勃たせているではないですか」
陰茎を扱きながらアナルの入り口にぬるぬると舌を擦り付け、舌先でつつき、舌を差し入れる。
「あ♡ ……は♡ ……ああ♡ ……んんっ♡」
甘い声を上げ始めたアベルのきつかったアナルがしっかりとほぐれる頃には、バキバキに勃起した陰茎が先走りを漏らしていた。
「アベルってば、可愛い♡」
「可愛いとか言うな……」
「もっと可愛くしてあげますからね♡」
おもむろにアナルに指を入れ、ググッと腹側に押しながら目当ての場所を探る。
「――ひッ!?」
「あ♡ ここですね♡」
「な、なんだこれ……? そこを押されると変な感じが―――ああぁっ♡」
「前立腺――男性の気持ちいいところですよ♡ たくさん弄ってあげますね♡」
グリグリと前立腺を刺激してやると、アベルは舌を突き出して喘いだ。
「ひぐっ♡ ――んおッ♡ ―――グウぅ♡ ――ッ♡」
「はい、気持ちいいですね♡ もっといい子いい子してあげますよ♡」
弄れば弄るほど感度が良くなっていくように、アベルの陰茎はビクンビクンしながら先走りを垂らしている。
「どうですか、アベル♡ 気持ちいいですか?」
「気持ちいいっ――リョウ、これ――俺こんな――こんなの初めてで――っ♡」
「あ、凄い♡ アベルってばトコロテンしちゃってる♡」
腰の下の枕のせいで身体を逃がせないアベルは、トロトロと精液を垂らしながら腰をガクガクと揺らしてシーツを掴んだ。
いつもの凛々しさからは想像もできないほど唾液と涙と快楽でぐちゃぐちゃになった顔を見て、ゾクゾクしてしまう。
「このままメスイキしちゃいましょうね♡」
攻めるのってこんなに楽しいのか、と別の扉が開く音がした。
「リョウ――リョウ! 一旦止めて――何かクる! 凄いのがクる――クッ、グウぅうゥッ!」
アベルはビクッと大きく身体を震わせてイったが、さっきまで溢れていた精液は一滴も噴き出さなかった。
「嘘……なんで――?」
ヒクヒクヒクッと壊れた玩具のように陰茎を痙攣させ、全速力で走った後のように息を切らせたアベルは、射精のないオーガズムに戸惑っている。
「これがメスイキ――ドライオーガズムですよ♡」
「ドライ……?」
「ええ。これのいいところは、続けて何度もイケるところです♡ さあ、アベル。次はしゃぶりながらお尻を弄ってあげますね♡」
「ま、待てリョウ! 敏感になっているから、今舐められたら――」
屈んで半勃ちの陰茎を口に含み、亀頭を舌で擦りながら前立腺を弄ってあげると、アベルが仰け反った。
「あぐッ♡ あー♡ 今、ヤバイっ! 敏感過ぎて本当にヤバいのに! リョウの意地悪――♡」
アベルは口では意地悪と言いながらも、もっと根元までして欲しそうに腰を浮かせて口の奥へ押し付けてくるので、頑張って喉奥で咥える。
――苦しい、けど――喉、気持ちいい……!
同時にお尻の奥もグリグリしてあげると、耐え切れないように大きく喘いだアベルは僕の頭を掴んだ。
「ああぁ♡ イイッ♡ 凄い――♡」
喉奥の狭さに興奮したアベルの陰茎はすぐにパンパンに膨れ上がっていく。
射精の近そうな気配に一旦喉から抜いて、唾液まみれの陰茎を指を輪にして扱いてあげる。
「イキそうですか、アベル? イッちゃいそう?」
「ああ、イク! 頼むリョウ! そのまま! そのまま――――ック! グウぅッ!!」
さっきのドライの分も含めた大量の精液が噴き出し、辺りに撒き散らされた。
「あは♡ 凄い量♡」
アベルの身体に飛んだ精液を舐めて綺麗にしてあげると、もう我慢ができなくなっていた僕は、彼のアナルに潤滑剤をたっぷりと纏わせた亀頭をあてがう。
「今夜は僕がアベルを女の子にしてあげますね♡」
「え? ―――んぐッ!? おあぁぁぁっ♡」
強烈なオーガズムで放心していたアベルは、アナルに突っ込まれた陰茎の感触で我に返って喘いだ。
「アベル、受けるのは初めて?」
「あ、ああ」
「では、頑張りますね♡」
ググッと根元まで捻じ込み、奥まで挿入してじっくりと形を覚えさせながら乳首を弄る。
「ふふ……可愛い乳首♡ アベルはいつも僕を可愛いって言いますけど――アベルの方こそ可愛過ぎです♡」
ピン、と尖った乳首にも潤滑剤をかけてぬるぬると弾くと、開いた膝がガクガクと揺れた。
「はあ♡ あぁ♡ ……嘘だろっ……乳首でこんなに感じるなんて――んあぁ♡」
「乳首、弱いんですね♡ アベルの意外な弱点を発見しちゃいました♡」
じんわりとアナルが僕のモノを包み込むようになったのを感じ、ゆっくりと引き抜いてから勢いよく奥へと押し込んだ。
「んおぉっ!?」
聞いた事のない声を上げるアベルに、ゾクゾクが止まらない。
いつもアベルが僕にするように激しく腰を打ち付ける。
「ああ、可愛い♡ アベル、可愛いです♡ アベルの中、狭くて、きつくて、熱くて――最高に気持ちいいですよっ!」
タン、タン、タン、とアベルに腰を打ち付け、奥を求めて捻じ込む。
アベルのアナルは狭い入り口を越えると中でギュッと抱き締めるように締め付けて、奥に誘うように痙攣している。
「気持ちいいですか? ちゃんと僕、アベルを気持ちよくしてあげられてますか?」
「ああ、リョウに女にされるの、気持ちいい♡ 知らなかった、アナルがこんなにイイなんて――腹側を突き上げられる度にイッてる♡ もっと奥、滅茶苦茶にシてほしい――♡」
「ええ、アベルがそう望むなら」
「リョウ♡ リョウ♡ もっと犯して♡ いっぱい俺でイって!」
潤滑剤のおかげで滑らかに動け、薄い膜がクッションとなって刺激も緩和してくれたが、それでもまだ射精していない僕はそろそろ我慢の限界だった。
ピストンの度に前立腺をこねくり、奥を結腸近くまで突くと、アベルは涙と唾液をこぼしてよがる。
「いい! リョウ♡ 凄いぃッ! 奥で出して! 一番奥で出してッ!!!」
アベルが腰に脚を巻き付けて、引き寄せた。
「ちょっ、アベル!?」
ガッチリと固定されて、そのままアナルの奥へと精液を吐き出す。
「あぁ♡ 凄い……♡ リョウの熱いの、奥に出てるのが分かる――…♡」
同時にドライでイッたらしく射精していないのにビクビクッと陰茎を震わせながら、アベルは気を失った。
身体を離してそっと狭穴から陰茎を抜き取ると、ぽっかりと口を開けたアナルからドロドロと白濁液が溢れ落ちてくる。
さすがに少し飛ばし過ぎた、と反省しながら、アベルの髪を撫でた。
「まったく――大好きホールドなんて反則ですよ、アベル……こんなの、離れられなくなるじゃないですか……」
翌朝、人の気配で目が覚めると、アベルが部屋に入ってきたところだった。
いつもの日課で、外で剣を振ってきたようだ。
「……悪い。起こしてしまったか?」
「いえ、ちょうど起きたところです」
ベッドに起き上がると、自分が裸のままだと気付く。
身支度を整え、朝食を取りに階下の食堂のテーブルに着くと、照れくさそうに鼻の頭を掻きながらアベルが言った。
「あのさ、リョウ……ルンの街に着いたら、揃いの指輪をプレゼントさせてくれないか」
「指輪?」
「誓いの指輪だ――結婚の証の」
「アベル……」
――結婚の、誓い――…
胸に温かなものが満たされていくのを感じた。
「……本当に僕でいいんですか?」
「俺はリョウがいい。リョウが欲しい。リョウしかいらない」
真っ直ぐに僕を見つめる真剣なその目に、迷いはない。
「愛している。この旅が終わっても、ずっと俺の傍にいて欲しい」
アベルはテーブルの上の僕の手を握り、指を絡めて繋いだ。
その温もりが、どこか感じていた不安を拭い去ってくれる。
「……はい、僕もずっとアベルと一緒にいたいです。愛していますよ、アベル」
数日後、なんとかルンの街に着いた僕たちは、冒険者ギルドへ向かった。
ギルドの入り口に姿を見せた途端に、その人となりを証明するようにアベルの周囲には冒険者だけでなく受付嬢まで集まってきて、無事の帰還を喜ぶ。
アベルは僕の肩を抱き寄せ、集まる冒険者に声を張り上げた。
「こいつはリョウ。俺の命の恩人で――生涯の伴侶だ。みんなも仲良くしてやってくれ」
――それからしばらく冒険者たちの間では、『行方不明だったアベルが、男の伴侶を連れて戻ってきた』という噂で持ち切りになったのだった。
アニメ4話で、アベルが朝稽古で剣を振るのを見守るリョウの眼差しが完全に事後だったので、魔が差してしまいました(´艸`*)
何気に今期はこの二人が一番の推しです♡