不用意に先生に近づいたがために酷い目に合わされるヤクモの話 作:roborobo
原作:ブルーアーカイブ
タグ:R-18 R‐18 R-18G リョナ 肛門破壊 ブルーアーカイブ 顔面崩壊 荒槇ヤクモ
※pixivにも投稿
『いえいえ……それではこの辺で。良いお返事、期待していますよ……』
「……っと。さて、あとは日を跨ぐことになりますが……どうですかねぇ」
日も落ちて暗くなり始めたころ。煌びやかなビルの光が乱立する町中を歩く少女が一人。
彼女は先ほど、自身の部活のためにシャーレの方へと足を運んでいた。キヴォトス各地において多くの活躍と実績を残し、多数の者たちから知られている彼は広く認識されている。
そんな彼という存在が、自分が携わっている雑誌にどのような影響を残してくれるのか。一人の少女――荒槇ヤクモは、その笑みを深めながら「むふふ」と口の端から漏らした。
(ふぅ~~む……とは言った物の、話を進めてみたところであまり気乗りではないご様子。まぁ、仕方ありませんね。なにせ、これだけ名の知れた人物。やはり私のような者は警戒されます、か)
手に持ったペンで口元をくりくりと押し当てながら、自分に心を開かない相手に「どうしたものか」と思案。例の青年は、ヤクモを持って手ごわい相手だと思わせた。
自分が関わっている週刊誌『レッドベア』。ちょっとしたニュースやら目を引くような内容を取り入れるこの雑誌は、身も蓋もなく言ってしまえば数字を得るためならば手段を択ばぬゴシップ誌といったものだ。
彼女の関わっているこの雑誌においては、多くの有名人、著名人による話題が載られている。その内容ゆえか、彼女がその身を置いているレッドウィンターのみならず、最近では他校の生徒からも知られる機会もあるんだとか。
ゆえに、チャンスだと思った。キヴォトス内でもっとも有名である話題の彼を、シャーレの青年である『先生』にどうにか取材にこぎつければ……
「……むふふ。とはいえ、こちらも諦めたわけじゃありませんから。と、なったら本人ではなく周囲に――」
「あ、いたいた! おねえさーーーん! ちょっといいかなぁ!」
「……ん? はて、私のことですかね」
「そうそう! いやぁ、よかった止まってくれて……ええと、記者さん? だよね。よかった~~! ここで会えて!」
帰宅途中だったヤクモに不意打ち気味に話しかけてきた大柄の少年。自分よりも背丈の高い相手で、最初はギョッとした物の人柄の良い笑顔にヤクモは警戒を解いた。
「ええと、どちらかでお会いしましたかねぇ?」
「あぁ、そっか。そっちは知らなくて当然だっけ。えと、ほら。あんたアレでしょ? レッドウィンターの……出版部の部長さん!」
「? おやおや、なんでこちらのことを……」
かりかりと頭を掻きながらはにかむ少年。大柄の割には人懐っこい雰囲気を纏っており、敵意を全く感じさせない。
それなのに、自分の事を知っている。レッドウィンターから遠く離れたこの地にて、他所の自治区でなぜ自分の事を知っているのか不思議でしょうがなかった。
ジッと青年から目を逸らさず、視線を交える。そうしているうちに、彼の方から懐の方から何かを取り出した――自分の所の雑誌だ。
「いやぁ~~~、ね? ほら、お姉さんがレッドベアの人だって知ってちょっとお話がしたいなぁって。こうして話しかけたんだよ。これ、ちょっと見てもらえる?」
「…………おや、これは……」
ちらりと見せられた茶封筒。そこらのスーパーやデパートなんかでも売ってそうな物の中身は、一枚の写真がちらり。
「……『別件』の物、ですね。あなた、どこでこれを?」
「へへっ、俺はちょっとした情報通でね。これ、あんたに特別価格でお売りしたいわけ」
少年が提示した情報。その写真の人物は、先生とはまた別の注目の人物。シャーレとは別件に調べていた有名人。
「……なるほど。情報の見返りに、報酬をというわけですか。いいでしょう、では取引を……」
「へへっ、そうこなくっちゃ! あ、じゃあちょっと近くのファミレスにいかないかい? そこでさぁ、じーっくりお話しようぜ!」
※
「――んん~~~……唐突だけどさぁ、獣道ってあるじゃん。なんの変哲もない森や山の中で、獣の道があるからソレを辿っていきなさいってやつ」
「お、知ってる知ってる。この前のサバイバル番組で見たもん。あれめっちゃお得だぁ~って思った!」
市街地にある某工業地帯。そこにある、使われていない廃工場にて複数人の少年たちがぼやっと上を見上げていた。
室内はどこまでも無機質で簡素で色気がなかった。どれもこれも使われていない機械と機材の集まりで、それらの知識がない少年たちからしたらアジトのちょっとしたインテリアや家具程度の扱いでしかない。
それでも、雰囲気は出るのだからと各々が持ち出してきた物を設置して自分なりにコーディネートしていた。これがまた、面白かったのか、今となってはかなり賑やかで、カオスな空気感を醸し出していた。
そんな無秩序な空間に、グループ内にいる二人の少年がだるそうに上を見上げていた。ほかの少年たちも、それぞれが思い思いの話を進めている。
「でもさ、あれダメらしいぜ? 実際は獣の後を追うことになるんだから鉢合わせになるだけなんだし、そもそもそれが獣が作った道だったとして人間が歩けるかわからないんだと」
「え~~~……じゃああれって参考にならねぇじゃん」
「ま、参考だ参考。これを念頭に入れて、行動しておけばいいかもね? って事よ」
「いい加減だなぁ……」
二人の少年による、なんら実りのない会話。
ただ、それでいい。実りを付けるために話をしているのではなく、話をしたいから話をする。そこにロジカルだとか合理なんてものは不純でしかない。
話すだけ話し終えて、退屈そうに話を切り上げて。グループ内の一人の少年が、部屋の中央に『ある』それを見つめながらぶっきらぼうに言葉を投げた。
――ぐぢゃっ゛…………っ゛
空気を切る音と共に、水の詰まった硬いモノが割れる破裂音が木霊する。無機質な部屋の中で、唯一有機質な音が空間に混じった。
「こォ゛っ゛……!! こ、ォォっ゛……!!」
「ふぅ~~~~~~……いやぁ、結構大人しかったね? もうちょっと抵抗でもしてくれんのかな~~って思ってたんだけどさ」
機材か、道具か、何等かの台だったのか。少年たちはこれっぽっちもわからなかったが、今となっては電気も何も通っていない機械の上に乗せられたモノをジッと見下ろす。
その上に、力の籠った拳を振り下ろすように叩き込む。殴り入れる個所は鼻の上、鼻骨の箇所。乙女の柔らかな顔立ち、その上に遠慮なしに突き入れたソレは――先ほどまで不敵な笑みを浮かべていたはずの鼻筋を、一瞬にして割り砕いた。
鼻の骨を一瞬にして突き割られ、言葉を吐くことも出来ずにもがもがと口をぱくぱくと開かせていく。割れた鼻の痛みが、瞬時に脳を支配し、はやく呼吸を整えなければと肺の中にある空気の入れ替えが急ピッチで進められていた。
「……ん、そろそろ痛みに慣れたころかな。じゃ、もう一回いくね?」
「っっ゛……!!!??? ごっ゛、ごぉぉっ゛!!?? ん、っごぉぉぉ゛っ゛!?」
「あー、やめないやめない。ま、不運だったねってことで諦めてよ。はい、いっくよー」
びゅんっ……風を切る音の後に、振り下ろされる拳。
抵抗を示すみたいに口元をパクパクとさせる。溢れかえる激痛に鼻血をどばどばと流しながら、剥き出しの歯茎に血と唾液を交わらせながら訴えるも聞いてくれるはずもなく。
そんな彼女に対する理不尽な暴力、その次。二回目は、口元だった。
「ぽ、ォォォお゛っ!? ぎゅっ、ッぎゅぅぅ゛~~~~~~~っ゛……!!??」
ぱりんっ、ぱりんっ、ぱりんっ……
割れる音が、再び鳴る。並び積まれた瓦を手刀で叩き割ったみたいに軽快な音が出たかと思うと、その次には細やかなブロック状の石がぱりぱりと潰れていく。
めりめり、めりめりめりっ……
落とし込んだ拳が、沈んでいく。ぴったりと口元を閉ざす唇なんて意に介さず、無理やりねじ込むみたいに強引に割り込んでいく。それが、ほんの少し、申し訳程度の抵抗を示せばどうなるか。割り砕かれた少女の口元は、陰惨な形になるのは必然だった。
にぢゃぁぁ゛……
沈めた拳を引き抜く。血にまみれ、歯がほんのわずかめり込んで――少女の歯ぐきから引き抜かれていく。
「ふぅ~~~~……ま、とりあえず顔はこんなもんかぁ」
人仕事をやり終えたみたいに、少年は額を拭った。先ほど、外の方で一人の生徒に話しかけていた、人柄の良い大柄な少年だった。
目の前の『もの』を見て、少年は苦笑いを浮かべる。中々、酷い物だなぁと。
鼻は砕かれて鼻血まみれになって台無しな顔立ち。唇は引き裂かれ、、口元は上も下もいくつかの歯が勢いのままに引き千切れたと言わんばかりに抜けてしまっている。
これが、女の顔なのだと思うと苦笑いが出るのも当然だろう。まったく難儀なモノだと、少女の事を想って笑った。
「そうだよね、ヤクモお姉ちゃん」
「っっ゛……ど、じでっ゛……」
「いやぁ~~~~……どうしてってねぇ……むしろ自分がこんな目に合わないと思ってたわけ?」
たはは、と言いたげに少年は頭をかいた。
思ったよりも、そんなに頭が良くないのかな? と、そう言いたげだった。
「ァ゛……も、もひかひて……ど、どこかでっ゛……」
「うん、まぁね。キミさ、悪目立ちしすぎ。おかげさまでどっかしらで目をつけられたんだろうね。だからこ~~して俺たちがやってきたってワケ」
苦笑いを浮かべたままの少年が、ほかの仲間たちに合図を送る。次に何かをしようというのだろうが、今のヤクモに逃げる手段はない。
「まぁ、あんだけ大っぴらに出版している雑誌のためにあくどいことしときゃだーれかしらに恨まれますって。因果応報ってことで諦めた方がいいんじゃない?」
「ァ゛……ぅ、ぁぁぁあっ゛……」
「んじゃ、そういうことで……ほれ、股ひらこっか」
ほがらかな笑顔を浮かべたまま、少年の指先がヤクモの股の方に向けられる。
ごつごつとした硬い指、男の指先。それが、すりすりと股の方をさする。無理やり開こうとするソレに、さすがのヤクモも顔をこわばらせながら抵抗を示した。
「……あれあれ? 嫌がるの? あっそぉ~~~なのぉ~~~~?」
「む゛っ……!! むっ゛、っぅぅぅ~~~~~~~っ゛!!」
「ん……ちょっと、手をどけて」
鼻っ柱向けて、拳が叩き込まれた。くぐもった悲鳴が、口から溢れた。
「っごぉぉぉっ゛っ゛!?」
「どーけーてっ」
足元に向けられた指先が、反射的に顔に戻ったのだろう。今度は、無防備な腹に拳が沈んだ。
「オ゛、ぎ、んぎぃぃぃっ゛!!」
「ど、け、て」
ばちん、と平手打ち。白い頬が赤く染められていく。
「う゛っ、う゛ぅ、うぅぅっ゛……!!」
「……じゃ、今度は――」
ちらりと、少年の視線が下に向かう。
その先は、股間。少女が、女であることを示す場所。
そこに視線を向けられた途端、ヤクモの脳内でぱちりとパズルがハマる。その瞬間、察しが良いからこそ、最悪な暴力を想起させられて――彼女は、無抵抗になった。
「っっ゛……!!! や、やめ、でぐだざいっ゛……て、ていこう、じないがらっ゛……」
「ん、いい子だね……おーい? 準備は~~~?」
「あー、終わってる終わってる。ほれ、どーぞ」
どすんっ……
「………………ぁ、ぁあ……?? な、それ……なに゛……???」
目の前に、何かがどすんと。重くそびえる筒状の黒い何か。それを目にした途端、ヤクモは呆気にとられたように口を開いた。
「あぁ、これ? ディルドだよ。肛門開発用のね。これをね、今からヤクモちゃんのお尻にいれちゃいまーーーす!」
正体不明の道具について、話を聞かされる。その使用用途を聞かされた途端――それでもまだ、ヤクモの脳内には『意味不明』の文字しか浮かばなかった。
お尻? 入れる? こんなデッカイものを? え、だって、こんな――
「――っっっ゛~~~~~~~~っ゛!!!! ぅ゛、ぅぅぅううぅ゛~~~~~~~~っ゛!!!!」
「あー、はいはい。泣かないの泣かないの。これもお仕置きみたいなもんだからさ。ま、ゆっくりしてってよ」
規格外の物体が、目の前に屹立しているだけで圧倒される。あまりの異様感に気おされているそれは、人の目に触れるには猛毒でしかない。
しかも、それを、人体に。自分の中に入れようとしているのだ。その異常さ、もはや関わりたくない、逃げ出したいの一心だった。
だけど、逃げられるはずもなく。気づけば周囲には自分の手足を抑え込み、両足に力を籠めないようにとぎゅっと台に押し付けている。
「おーい、そのままにしてくれよ~?」
「あぁ、わかってるわかってる……それじゃ、ヤクモちゃん? これから君には日常生活を送れないように肛門を破壊しとくね? これからは人工肛門になっちゃうだろうけど……ま、今までレッドベアで荒稼ぎしたお金で十分治療できるんじゃない?」
「ンんんんん゛うぅぅぅうう゛~~~~~~~~~っ゛!!!!!」
もがもがと口を開こうにも、血まみれで歯抜けになった口では何も伝えられない。伝わったところで、止めないだろうが。
もう、止められない。すでにディルドはヤクモのアナルに押し当てられた。つぷりと触れられたソレが一気に――
「ンンォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛゛ーーーーーーーーーーーーっ゛っっ゛っ゛!!! オ゛っ、オオおぉぉ゛ーーーーーーーーっ゛!!???」
入る、わけがない。
本来、人体における尻の穴とはかなり窮屈な形となっている。排泄行為と言った物は排泄物を行う際に特殊な体の仕組みによって排泄できるのであって、異物を挿入する際には指で解す、道具を使うなどしなければ、繊細な尻穴は途端に消えることのない傷を残してしまうのだ。
それを、なんら前準備もなく、そのまま入れようとしている。
それも、破壊のためだけに行われる挿入である。痛みなんて、想像を絶するものなのは間違いない。
「ごォォォォォ゛ーーーーーーーーーっ゛っ゛!?!? オ゛っ゛おおおおおおおおおおおお゛ーーーーーーーーー!!!!」
「うわっ、すっげぇ絶叫(笑) ちょっと~~女の子が出していい声じゃないよ~~~w」
身を焼くような痛みが少女の内側から燃え上がっていく。ばきばきばきっ……と腹の中から、何かが押し広げるように尻穴の腸壁が破壊されていく。
押し進んでいくソレは、ヤクモに対して決して情を見せようとはしない。無理に、強引に、絶対的に。ただ破壊することだけを目的とした物体は、彼女のケツ穴をばきばきに押し広げ、中の肉どころか骨の形すらも潰しかねない勢いで掘り進んでいった。
みぢみぢっ゛……! ぱりぱりと薄い皮を割るような音と、膨らんだ肉のこぶを潰すようなぷちぷち音がヤクモの尻から鳴り続けた。
ケツ穴から膨大な血があふれ出ていく。鮮やかな鮮血が台の上に垂れ流され、喉を擦り切れん勢いで声を張り続けた。
「……ん、これくらいでいいか。よーし、引き抜け~~」
――ず、ずりゅりゅりゅりゅっ゛……ずぼっ゛……
「あ゛ォ゛っ……!! オ゛っ、おおおおお゛ーーーーー……!!」
ディルドが引き抜かれていく。ケツ穴の中にある肉壁を巻き込むようにひり出して、黒々とした人糞をひり出すように。
血と腸液にまみれた物が、ぼどんっ゛……と落ちる。自身の中にあるものぬったりと塗りたくられた物が、生々しく転がり落ち、その異様さが無機質な床の上で際立っていた。
尻の穴に関しては……今更触れることもなかった。思いっきり押し広げながら掘り進んだ後、それを思いっきり引き抜く。中の腸壁が引っ張り出されて、まるでフジツボのように鮮やかなものが生えているかのようだった。
これで、元の生活に戻れるかはわからないが……少なくとも、体も心も破壊で来たことに違いはないだろう。少年たちは、満足そうだった。
「……う~~~わ、見てみろよこれ……血でべっとべと。うわ、くっさっw きったねぇ~~~~~~w」
「ははっ、見てよコレ。お尻の穴がバラの蕾みたいw」
「おーおー、無理やり引っこ抜いたから本当にすっげぇことになってんのな」
「さて、最後に仕上げっと……」
ぱしゃり、ぱしゃり。
念のために、そう言いたげに。手元に合ったスマホを彼女に向けながら、写真音を鳴らしていく。
もしもの時のために、彼女が下手なことをしないようにと用意しておいたものだ。ケツ穴を無惨なことにさせられても、それでも何かしてくるならこれを武器にすればいい。
「ん、お疲れ様ヤクモちゃん! これ以上余計なことしないならさ、この写真ばらまかないで置くからね! じゃ、あとはそこらへんに放り投げておくからちゃんと自分の足で帰るんだよ~~~w」
※
「はいっ、みなさんお疲れ様でしたー」
「「「「「お疲れっしたぁ~~~~~~~~~~!!!」」」」」
数日後、深夜の時間たち。キヴォトスの某ファミレスにて大勢の男子生徒たちが先生を中心に盛り上がっていた。
テーブルの上には多くの料理が運ばれてきていた。食べ盛りの男子高校生たちは目の前の料理に抗う事も出来ず、次から次へと手を伸ばし続ける。
楽し気な空気に先生の目元も自然と柔らかくなる。彼らの子を眺めながら、近くにいるリーダー格の大柄の少年に声をかけた。
「いやぁ~、この間はごめんね。急な仕事を頼んじゃってさ」
「いや、ぜんぜんッスよ! こんくらいいつでも頼んでくれればちょっぱやで駆け付けますんで!」
がははと笑いながら手元にあったピザをすぐさま飲み込んでいく。
さすがは食べ盛り。食うのも早いし、許容量もすさまじい。するすると手に持った料理がそのまま胃に落ちていくようなスピード感には、今の自分にはないような胃の強さに羨ましさを感じてしまう。
彼らの事を眺めながら、数日前の事を振り返る。今にして思うと、彼らに助けられたな、と。
「にしても、本当によかったよ。ああいうのに絡まれてさ。うんざりしてたんだよね」
長いため息と同時に、彼自身も注文していたコーヒーに手を伸ばす。
疲れ切った目元と長いため息が、彼の大人としての苦労を感じさせる。普段はがさつさで行動する男子生徒たちですらも、「大変だなぁこの人……」と目元が細くなるのだからよっぽどだった。
「にっしてもまぁ、悪質ッスよね。あのバカ出版女。よくもまぁ、こんなところに手を出せたもんスよ」
「だーよねぇ。そもそもからして先生に変に邪な気持ちで取り入ろうとすればそこらの生徒に報復されちまうよ。それこそ七囚人とかさ」
「そー考えりゃ俺たちみたいなのに手を出された時点で僥倖だよな」
うんうんと周囲が同調するように首を振る。
ヤクモは、先生という存在をにわかに信じられないという考えで接触していた。それもそうだろう、各校の重鎮や幹部クラスの生徒たちが、一人の青年に対して心を寄せているほどに信頼しているなんて信じられるはずがない。
彼女が下手に深入りすれば、どうなっていたか。おそらくは、少年たちによる報復以上の何かをされていた可能性だってあるはずだ。
「それによ、マジな話なんだけどさ。先生に対して変なことされたら困るのはマジで俺たちを含めて学園中が……な」
「なんせ中立地帯であり、募集した生徒の情報とかいろいろあるわけだしなぁ……それでゴシップ記事書きますってなったらとんでもねぇよ。数字目的で狂ったならふざけんな馬鹿野郎だよな。見逃されるワケねーだろっていうね」
「下手すれば各学園での抗争レベルな話になりかねないもんね……」
少年たちが口々に話す言葉に、いまさら例の女子生徒に関して背筋を凍らせていく。あの女、ほんと厄介だったな……と。
「ま、聞いた話じゃレッドウィンターも自主退学してほかの生徒が部長になったって聞くし……これで当分は大丈夫なんじゃないッスかね」
「なんか聞いた話じゃ蝙蝠野郎上等ってくらいにはいろんな所に手を貸してたっつーし……」
「巡り巡った因果が自分に帰ってきたってことね……ほーんと」
呆れたようにして目の前のハンバーグに手を出していく一人の男子生徒。こうして口にできる食べ物だって、平和あればこそのものだと噛みしめていた。
「……よーし! 今日は頑張ってくれたみんなのためにもっと驕っちゃおう!! はいっ、山盛りポテトフライ追加! 全員分!!」
「っひょぉぉぉ~~~~~~! やっぱ話がわっかる~~~~~!」
「愛してるぜせんせ~~~~~~~~~い!!」
「よっ! キヴォトス一の男!!」
楽し気な話題がレストラン内に木霊する。少し前の問題を解決したら、きっと次に襲い来るのはまた別の問題だろう。
そんな事件が起こるまでは、ただただ、今は楽しく騒いでいたかった。