磔刑台を取り巻く人々の数は、広場を埋め尽くすほどだった。
石畳の上にひしめき合う群衆は、聖女と呼ばれた女の最期を、狂気と興奮と嫌悪とで見届けようとしていた。
彼らの視線は、信仰の名を借りた好奇心の焔でぎらつき、ただ一点――柱に縛られたジャンヌ・ダルクに注がれていた。
司教は広場の中央、薪を抱える兵士たちの先頭に立ち、その様子を冷ややかに眺めていた。
彼の心に去来するのは哀れみではない。慈悲でもない。
あるのは冷徹な願い。
(この裁きは強引に進めたゆえに、身内からも反発は多い……だが、あの女が人前で取り乱し、聖女の仮面を自ら剥がしてくれれば――すべては帳消しになる)
そう、彼はジャンヌの失態を待ち望んでいた。
ジャンヌは震える身体を縄に縛られながら、必死に祈りを繰り返していた。
「……主よ……どうか……」
声は掠れ、涙に濡れていた。
火刑を目前にした恐怖は、魂を揺さぶるほど大きかった。
だが聖女として、最後まで神の名を掲げて死を受け入れねばならない。そう言い聞かせるたびに、しかし身体の奥底から別の熱が立ち昇る。
――怖い。けれど……なぜ、こんなに濡れているの……?
縄の下、布で覆われた股座はすでに湿りを帯びていた。押し寄せる死の恐怖が、なぜか抗いがたい欲望へと変換されている。
数年前の夜。まだ少女であった頃。
硬い寝台に横たわりながら、眠りにつけず、ふと己の身体に触れてしまった。
衣の下、指先が辿ったのは柔らかな丘と、その奥の小さな突起。
ほんの少し撫でただけで、胸の奥が震え、足先まで痺れるような衝撃が走った。
「……あっ……」
漏れた声に、自らが何をしているのかを思い出す。戒律、純潔。
慌てて手を離し、胸を押さえて祈りを唱えた。
快楽の波は途中で断ち切られ、絶頂には至らなかった。
だが身体に刻み込まれた感触は消えることなく、甘い疼きとして残った。
その記憶が、死を目前にした今、再び鮮烈に甦ったのだった。
あの時はただの誘惑だった。
けれど今は違う。炎が迫る死の刹那、肉体の奥から噴き上がる本能は止めようもなかった。
観衆に顔を向けると、誰もが石を投げつけるような視線を送っていた。蔑み、恐怖、憐憫。それらすべてが、羞恥と同時にさらに肉体を熱くさせる。
「……主よ……どうして……」
唇を震わせ祈りを紡ぐが、祈るたびに股間はうずき、縄に擦れる胸先は硬さを増してしまう。理性と肉体が乖離し、意識がちぎれそうだった。
やがて、薪を抱えた兵士が足音を響かせ近づいてくる。火刑の時刻。
その現実に心臓は締め上げられ、同時に下腹部には激しい収縮が走った。
――死ぬ前に……あの先を……知りたい……!
幼き頃に聞いた村娘の囁きが脳裏をよぎる。
「絶頂ってね、世界が溶けるみたいに気持ちいいんだよ」
その記憶が鮮やかに蘇り、体が勝手に震える。
兵士たちが薪を運び、柱の足元に積み上げていく。
死の気配が形を取り、炎の幻が視界にちらついた瞬間、欲望は理性を押し流した。
(いや……怖い……でも……死ぬなら……一度だけでも……!)
心の叫びは、祈りを超えて熱を求めていた。
その時、司教の声が広場に響き渡った。
「処刑を執行する前に、最後の望みを聞こう。何か言い残すことはあるか」
群衆がざわめき、静まり返る。
すべての視線が、ジャンヌの唇に注がれた。
涙を流しながら、彼女は口を開いた。
広場の空気は乾き切っていて、舌に乗る砂の味がした。磔の柱に背を押しつけられたジャンヌの喉から、掠れた声が零れた。
「……いや……死にたくない……」
涙が頬を伝い、喉を震わせながら、ジャンヌは顔を上げた。
声は掠れていたが、そこに混じる切実さは隠せなかった。
「戒律に縛られたまま、何ひとつ知らないまま、火にくべられるなんて……いやです。私は……私は、あの——絶頂を……知らない。どうか、どうか最後に……自分を慰める時間をください。主よ、お許しを……」
その言葉は、聖女を名乗った女の口から放たれるにはあまりに淫らで生々しく、堰を切った叫びは、聖女の像を打ち砕くものだった。
広場にざわめきが広がり、群衆は震えた。
聖女の口から放たれるにはあまりに淫らで生々しい叫び。
人々の顔には驚愕と興奮、嫌悪と好奇心が入り混じる。
◇
司教は人々のざわめきを冷ややかに受け止めた。
――来た。
彼の胸中に静かな確信が灯る。
(聖女と呼ばれた女が、死の間際に己の欲を告白した。これ以上の失態はない。人々の記憶には「聖女は淫を乞いながら処刑された」と刻まれる。どれほど祈りを捧げた日々があろうと、この一言がすべてを塗り潰す)
その像を瞼の裏に描き、司教は口を開いた。
「ならば――この場で行え」
声は低く、残酷な響きを持っていた。
「衆人環視の中、己を堕とすがよい。三十刻だけ許す。それができぬなら、潔く火に焼かれよ」
「な……そんな……! どうか……部屋を……! 誰にも見られずに……!」
ジャンヌの必死の懇願は、司教の冷酷な拒絶に遮られた。
「許さぬ。ここでだ。聖女が欲に敗れる様をこそ、人々に示す証だ」
群衆のざわめきが再び膨れ上がる。期待、嫌悪、興奮、残酷な好奇心が混ざり合い、無数の視線がジャンヌの身体を突き刺した。
羞恥で胸が裂けそうだった。
だが下腹部の熱はそれ以上に彼女を追い詰めていた。
濡れそぼる布地がまとわりつき、腰が疼き、理性が軋む。
(いや……こんなところで……できるわけが……! でも……炎に焼かれて死ぬ……? 怖い……!)
羞恥と恐怖、そしてどうしようもない性欲。三つ巴となった感情がジャンヌを責め立てる。
祈りは意味を失い、息は荒く、全身は震えた。
司教の声が、冷たく鋭く突き刺さった。
「選べ。快楽か、死か」
司教の声は鋼の刃のように広場の空気を切り裂いた。
群衆のざわめきが一瞬止まり、やがて笑いと囁きが押し寄せる。
「どうするんだ、聖女さま……」
「裸で弄る姿を見せるのか……?」
「いや、きっと拒むだろう。だが、それはそれで見ものだ」
無数の眼差しが杭に縛られたジャンヌに降り注ぐ。
そのひとつひとつが棘となって肌を刺す。
羞恥で胃が捻れ、吐き気すら込み上げる。
(見られる……人々の前で……あんな……恥ずかしいこと……! できるはずがない……!)
そう思った瞬間、杭に括りつけられた手首の下、下着に貼りついた湿り気がずぶりと自己を裏切った。
布越しにわずかに擦れる突起が、さきほどの恐怖の震えに
乗じてびくんと跳ねる。
「んっ……!」
堪えきれずに短い声が喉から零れ、慌てて唇を噛んだ。
群衆の誰かがその小さな反応に気づいたのか、にやりと笑い声を上げる。
羞恥は熱に変わる。
否定すればするほど、下腹部の疼きは強くなり、呼吸を乱す。
理性は「できない」と叫ぶのに、肉体は「もっと」と渇望していた。
(死ぬのは怖い……! でも……このまま……こんなふうに火に呑まれるより……)
(せめて、一度でいい……あの時やめた続きを……知りたい……!)
幼き日の夜に、己の指で触れ、途中で断ち切ったあの記憶。
絶頂を知らずに止めた未完の快楽が、今になって彼女の中で叫んでいた。
胸先は石のように硬く、衣に擦れるたび背筋を反らせる。
下腹部の疼きは広がり、足の付け根を震わせる。
涙に濡れた頬を晒しながら、彼女は必死に理性を繋ぎ止めようとした。
「……いや……いやです……! 私は……聖女……」
声を張り上げるたび、群衆の視線は強まり、羞恥はさらに身体を熱くする。
その熱が理性を削り落とす。
司教は冷徹な眼差しで見下ろしたまま、低く言い放った。
「聖女ならば死を選べばよい。だが女ならば、欲を選ぶだろう」
その一言は、彼女の心を突き崩す刃だった。
自ら「聖女」と叫んだ直後に、身体はいやらしく疼いている。
その矛盾を突かれることが、何よりも耐え難い。
(私は……女……? こんな……人前で……触れたいなんて……女……?)
頭を振って否定しようとするのに、身体は答えを示していた。
下着の内側、しっとりとした湿りが広がる。
動けば擦れて、さらに甘い刺激が走る。
羞恥と快楽と恐怖が渦巻く中、彼女はとうとう堪えきれず嗚咽を漏らした。
「……助けて……どうしたら……」
だが返ってくるのは冷酷な選択肢だけ。
「快楽か、死か。選べ」
無慈悲な言葉が幾度も叩きつけられる。
そのたびに、死の炎が想像され、同時に甘い快楽の記憶が蘇る。
理性は何度も「死を選べ」と命じた。
だが肉体は逆に「生きたい」「絶頂を」と叫び続ける。
その声は次第に理性を覆い尽くし、最後の一線を押し流した。
唇が震え、声にならぬ声が零れ落ちる。
「……わ……私……」
広場が静まり返る。
万人の眼差しを浴びながら、彼女は涙と共に言葉を絞り出した。
「……します……私……ここで……」
その瞬間、群衆が一斉にざわめき、歓声と嘲笑が渦となって広場を包んだ。
ジャンヌの心臓は耳を裂くほどに鳴り、羞恥と恐怖と快楽の予感が押し寄せてきた。
司教の合図とともに、杭に縛られていた手足の縄が解かれる。荒々しい手が腕を解き放つと、皮膚に食い込んでいた痕が赤く浮き、血の巡りを取り戻した指先が小刻みに震えた。
「さあ……やれ。己で選んだ道をな」
冷徹な声が背後から突きつけられる。
手足が杭から解放されたといっても、逃げ場はない。
腰は変わらず杭に縛り付けられ、群衆に囲まれた広場の中央、晒し台に立つようなものだった。
数百の視線が突き刺さる。ざわめき、笑い、嘲り──それらが渦のように押し寄せて、胸を締めつける。
(……ここで……服の上から……私が……)
羞恥で胃が捻れる。吐き気が喉に込み上げる。
だが、下腹部の疼きはもう誤魔化しようがなかった。
恐怖と羞恥と欲望。三つ巴の渦の中、彼女は躊躇いのまま両手を腹の前に下ろした。
群衆が息を呑む。
「まさか……やるのか……?」
「聖女が……自分で……?」
嘲り混じりの興奮が耳に突き刺さり、頬を赤く焼く。
指先が震えながらも、布地をなぞるように下腹部へ向かう。修道服の厚い布。その下に張り付いた下着の感触。何重もの隔たりがあるはずなのに、そこに自分の熱が溜まりすぎて、外気と布越しにすら湿り気を感じる。
(だめ……なのに……触れたら……)
躊躇ののち、指先で布越しに突起を探り当てた。
「んっ……!」
瞬間、腰がびくりと跳ね、思わず声が洩れた。
観衆のざわめきが一層大きくなる。
「見たか! 本当に……!」
「顔が真っ赤だぞ……」
羞恥が波のように押し寄せる。しかし、それ以上に──突起を捉えたときの電撃のような快感が全身を駆け抜けていた。
(あぁ……っ、これ……これが……!)
幼い日に、一度だけ触れてしまった場所。戒律を守ろうと慌てて手を引いた、あの夜。続きを知らないまま閉ざした感覚。今、その記憶が一気に蘇り、火がついたように疼きを増す。
彼女は震える手で布の上から突起を擦り、押し、わずかに円を描くように動かした。
「はぁっ……んっ……んぅ……!」
喉から漏れる声を抑えきれない。
観衆の反応が波となって押し寄せる。笑い、囁き、興奮──。
「聖女が……腰を……!」
「擦ってる、服の上から……っ」
羞恥が胸を締めつけ、吐き気すら伴う。それでも、指先の感触を止められなかった。擦るたび、布の摩擦が突起を直撃し、熱が一点に集中する。
(気持ちいい……! でも……みんなが……見て……! いや、いやなのに……止まらない……!)
胸先は衣に擦れて硬さを増し、下腹部は疼きに震える。腿の内側が熱を帯び、思わず足を擦り合わせてしまう。羞恥と快感がぐちゃぐちゃに溶け合い、頭が真っ白になっていく。
指先は次第に力を増し、布越しに突起を強く押し込む。
「んんっ……! はぁっ……! だめ……っ、もう……っ」
脳裏が真っ白になり、身体が勝手に痙攣する。足が震え、腰が引き攣り、背筋が反り返る。
「ぁぁぁっ……! んんんっ……!」
布越しに突起を擦り続け、ついに奔流のような感覚が全身を突き抜けた。
それは初めての絶頂。
視界が揺らぎ、群衆の声が遠く霞む。全身の力が抜け、膝が崩れそうになる。
(これが……絶頂……? こんなに……すごい……! 主よ……どうして……)
涙と涎が混じり合う口元を晒しながら、彼女は愕然とした。戒律で禁じられていた理由を理解できなかった。これほど甘美で、魂を溶かすような快感を、なぜ禁じたのか。
群衆の笑いも嘲りも、今は遠い。
ただ、自分の身体を貪る快楽の余韻に支配されていた。
絶頂の余韻がまだ身体を支配しているのに、下腹部はなおも火照り、疼きが収まらない。むしろ、一度味わったことで、さらに強い刺激を欲してしまっていた。
(もっと……もっと……確かめたい……。これだけじゃ足りない……)
視界の端で、群衆がざわめいているのが見えた。笑い声、囁き声、罵声。
「聖女が……本当に……」
「顔が赤い……腰を震わせて……」
その声が恥辱となって胸を焼く。だが、不思議と──羞恥の痛みさえも甘い刺激となって下腹部の疼きを強めていく。
気がつけば、彼女の指は服の裾を掴んでいた。震える手で布をたくし上げる。
ざわっ、と群衆が一斉にどよめいた。
厚い修道服がめくられ、白い脚が露わになる。膝、腿、その奥へと視線が集まり、女の肌に突き刺さる。
「うわ……!」
「下着が……!」
純白の下着が晒される。その布地には、ほんのりと色が滲んでいた。外から見えるかどうかは微妙な程度。だが、本人にははっきり分かる。下着の奥がじっとりと湿り、布越しに自身の熱と濡れを感じていた。
(あぁ……見られてる……全部……! 恥ずかしい……でも……やめられない……!)
羞恥で胃が捻れる。それなのに、腰は勝手に前へとせり出し、指先が下着越しに突起を押し当てる。
「んっ……あぁっ……!」
布一枚を隔てた感触は、服の上からとは比べものにならないほど鮮烈だった。突起の形を指が明確に捉え、圧迫するごとに波のような熱が全身へ駆け抜ける。
観衆のざわめきが一層高まる。
「腰を……擦りつけてる……!」
「下着越しに……!」
「なんて淫らな……聖女が……!」
その声が、羞恥と興奮を混ぜ合わせ、さらに強烈な熱を与える。
指先は止まらない。下着越しに円を描き、上下に擦り、突起を押し潰すように刺激する。
「はぁっ……! んぅ……んっ……だめ……もっと……!」
腰が勝手に前へ突き出され、布と指の間で突起が擦り潰されていく。腿が小刻みに震え、膝が内側へすり寄る。布地が濡れを吸い、さらにしっとりとした摩擦が生まれ、快感を増幅させる。
(あぁ……これ……! 服の上からより……もっと……強い……! 身体が……勝手に……!)
羞恥と快感に翻弄されながら、彼女はついに二度目の絶頂を迎えた。
「んぁぁぁぁぁっ……!」
背が反り、髪が揺れ、喉が悲鳴を上げる。下着越しに突起を強く押し込み、震える腰を止められない。
群衆の視線の中、少女の身体は痙攣を繰り返し、甘い悲鳴を響かせた。
足元が崩れそうになる。だが、まだ終わらない。快楽は一度では収まらず、彼女の身体を容赦なく求めさせる。
(もっと……もっと欲しい……! 止まらない……! いや……主よ……どうして……!)
涙を滲ませながらも、彼女は再び突起を擦り続けた。今度は早く、激しく。腰を突き出し、腿を震わせ、指先を止めることができなかった。
「んんんっ……! あぁぁっ……! まだ……っ……くる……っ!」
絶頂。さらに絶頂。何度も何度も。
休む間すら惜しいとばかりに、彼女は自分の突起を布越しに擦り続け、幾度となく頂点に達し続けた。
群衆は罵声を浴びせ、司教は叫んだ。
「見よ! この女こそ魔女だ! 淫欲に溺れる堕落者だ!」
だが、その声すら耳には届かなかった。
彼女の世界は、布越しの突起を擦る指先と、果てしない快楽だけに満たされていた。
「ひぅっ……くぅ……っ、んんっ……あぁぁっ……!」
広場に響く声は、苦悶にも似た嬌声だった。縄に吊られた両腕が震え、全身は汗で濡れ、乱れた髪が頬に張り付いている。
観衆はただ押し黙り、ある者は眉を顰め、ある者は息を呑み、またある者は視線を逸らせずに釘付けになっていた。
しかし彼女は止まらない。いや、自ら止められない。
布越しに触れるだけでは耐えられなくなっていた。
熱く膨らみ、存在を主張する突起が、指先を求めるように脈打っている。
羞恥に燃える頬を紅潮させながら、彼女はついに布を押し広げ震える指先を布の奥へと滑り込ませる。
下着の内側に触れたとき、彼女は息を詰めた。湿り気を帯びた熱が指に絡みつき、すでに潤いを孕んでいることを悟らされる。
指腹がそこを擦れば、ぬるりと滑って音を立てた。
「ひゃっ……! あぁ……っ、ちがっ……こんな……っ!」
指腹が陰核の皮を押し上げる。まだ直接触れぬのに、布を介した数倍の強さで反応が走る。下着の縁を震える手で押し広げ、羞恥の壁を破った瞬間、冷たい外気が肌を撫で、彼女の全身を小さく震わせた。
観衆がざわつく。
「見ろ……! なんてことを……!」
「……魔女だ……」
「いや……あれは……」
罵声も混じるが、視線は逸らされない。
ジャンヌは両腿を震わせながら、それでも中途半端に終えることを許さなかった。
陰裂を掻き分け、指腹を滑らせ、突起を露わにする。小さな芯のような硬さが、触れられる瞬間を待ち望んでいるかのように熱を孕んで脈打っていた。
「ひぃっ……んぁぁぁっ……! や……やっぱり……っ、つよ……いっ……!」
わずかに指が触れただけで腰が勝手に跳ねる。彼女は恐怖と羞恥に涙を零しながらも、その反応の強さに抗えず、指先を再びそこへ。
突起を軽く撫で、次には押し潰すようにじわじわと圧をかける。硬さと柔らかさが混ざり合う感触が、指先に確かに伝わる。
「んんっ……っ、やっ……ぁぁっ……! あぁぁぁぁ……っ!」
声が裏返る。
観衆のざわめきが一段高まった。
愛液は指を滑らせるのに十分な潤いを生み、動きが増すごとにきらりと糸を引いた。彼女は膣口からそれを掬い取り、突起へと塗り広げる。ぬちゅり、と湿った音がはっきりと響く。
「やだ……聞こえちゃ……っ、んんっ……でも……もっと……っ!」
羞恥と興奮がないまぜになり、声は震えながらも次第に熱を帯びていく。突起を上下に擦り、円を描き、二本の指で摘んで捻る。動きは粗雑だが、その無秩序さがむしろ快感を増幅させていた。
「んぁぁっ……だめぇ……っ、これ……おかしい……っ! 強すぎる……っ!」
彼女の腰は小刻みに痙攣し、呼吸は乱れ、背は大きく反り返る。観衆の中には顔を赤らめる者さえいた。
だが、ジャンヌは次の変化を求める。突起を刺激する合間に、指先で膣口を撫でる。
入口の襞をなぞり、その柔らかい感触を掬い取っては再び突起に塗り付ける。
「ひゃぁっ……! そこ……だめ……だめぇぇ……っ!」
膣口がひくりと痙攣し、愛液がわずかに指先に絡みつく。指を這わせるだけでくちゅりと湿った音を生む。
ーーくちゅ……っ、ぬちゅ……っ
その淫靡な音に観衆がざわめき、誰かが叫んだ。
「やめろ……! これ以上は……!」
だが、止まることを選べる者は誰一人としてそこにいなかった。
ジャンヌは逃れない羞恥と恐怖に涙を溢しながら、震える指先を突起に押し当て――ついには、指先の繊細な動きでは満たされぬと悟ったかのように、腕全体を大きく振り動かし始めた。
「ひぃぃっ……くぅっ……! あっ、あぁぁっ……つよ……すぎぃ……っ!」
突起に直接、肉厚な指腹を擦り押し付け、そのまま腕ごと前後へ揺さぶる。皮膚ごと押し潰される強烈な刺激に、ジャンヌの腰は勝手に弾み、杭に縛り付けている縄がぎしぎしと軋む音を立てる。
観衆が息を呑んだ。
「見ろ……あんな激しく……!」
「魔女め……っ、なんという……!」
声は罵りのはずなのに、震えが混じり、目を逸らすことができない。
「んっ……っ、ひあぁぁっ……っ、やっ……! あぁぁぁぁぁっ!」
ジャンヌの声は裏返り、涙で濡れた睫毛が震えながら宙を仰ぐ。
突起をこするたびに、腰が勝手に跳ね上がり、全身が痙攣する。愛液が指に絡みつき、動かす腕をより滑らかに導く。ぬちゅり、くちゅりと湿った音が彼女自身の動きと共に広場へ響く。
羞恥で真っ赤に染まった頬を震わせ、唇を噛み切りそうなほど食いしばっても、声は抑えられない。
「だめぇ……っ! こんなの……っ、やめたいのにぃ……っ、やめられない……っ!」
彼女は嗚咽混じりに叫びながらも、手の動きは止まらない。むしろ速さを増し、指腹で突起を掴み取るようにして揉み潰し、腕ごと引き下ろして擦り潰す。荒々しい刺激が脳を焼き、目の奥が白く霞む。
「ひゃ、ぁっ……! んんんっ……あぁぁっ、そこっ……っ、もっと……っ!」
羞恥と欲望の言葉が絡まり、もはや拒絶と懇願の境界は曖昧だった。
観衆は呆然としながらもその場に釘付けになる。中には息を荒くし、拳を握り締める者さえいた。
愛液が膣口から溢れ、その潤いを指で掬い上げて再び突起へ塗り広げるたび、ぬるぬると滑る感触が音を生み、彼女をさらに追い詰める。
「ひぃぃっ……くちゅ……っ、ぬちゅ……っ! あぁぁっ、やぁぁぁぁっ!」
突起を撫でるのではなく、指と手のひら全体で押し揉む。肩から伝わる力をそのまま陰核へぶつけるたび、彼女は大きく身体を仰け反らせ、胸を突き出して絶叫する。
「っ……きちゃ……うっ、あぁぁぁっ……もぉ、だめぇぇぇぇぇっ!」
最後の一撃のように、全力で擦り潰す。
腰が震え、膝が折れ、身体が痙攣しながら宙で跳ねる。喉を裂くような悲鳴が広場を貫き、観衆は一斉にざわめいた。
身体が大きな痙攣を終えたあと、ジャンヌは乱れた呼吸を繰り返しながらぐったりと頭を垂れた。
額から滴る汗が顎を伝い、胸元に落ちて小さな点を作る。しかし、震える指先は決して止まらなかった。
「……っ、はぁ……はぁぁ……んんっ……」
一度は全身を打ち抜くほどの絶頂を味わったはずなのに、彼女はなおも指を陰核に添えたまま離そうとしない。
いや、むしろそこからが始まりのように、今度は指先をそっと押し当て、わざとらしく緩慢な動きを刻み始める。
「んっ……ふ、ぁぁ……っ、あ……ぁぁ……」
腕全体を乱暴に揺らしていたさきほどとは違い、焦らすような微細な動き。爪の先端で突起の縁をなぞり、指の腹で軽く押してはすぐに離す。そのたびに痺れるような快感が小さな波となって押し寄せ、呼吸を細かく乱す。
観衆が息を呑む。
「まだ……続けるのか……?」
「魔女……いや、あれは……」
視線には嫌悪よりも、理解しがたい惹きつけられた熱が混じっていた。
「や……ぁっ……そんな……っ、んんっ……っ」
彼女の声は恥じらいと熱を孕んで震える。突起を直接擦り潰す荒々しさではなく、わずかに触れては離すその繰り返しが、むしろ耐え難い焦燥を煽った。
腰が空中でくねり、足先が小刻みに震える。擦りたい、潰したい――だがそうせず、ほんのわずかに先端を転がすように刺激することで、絶頂後の敏感さが鋭さを増し、焼けつくような快楽へと変わっていく。
「ひっ……ぁ……! ふぁぁ……っ、やだ……やだぁ……でも……っ、きもち……っ、いい……」
涙で濡れた目尻から、快感に蕩けた瞳が観衆を一瞬映す。羞恥と混じるその表情に、男たちが喉を鳴らし、女たちすら目を逸らせずに見入る。
突起を上下に軽く撫でては止め、左右に揺らしては寸前で抜く。
動きは途切れ途切れで、不完全なまま快感を残す。それがかえって欲望を煽り、腰は自ら指を追うように揺れてしまう。
「やぁぁっ……っ、あ……っ、もっと……! もっとぉ……って……っ、あぁ……だめ……っ、くる……っ、くるぅぅ……っ」
自ら求める声を漏らしながらも、指は焦らす動きをやめない。突起に爪先を軽く引っかけ、皮をめくるようにして敏感な芯をあらわにした瞬間、ジャンヌは痙攣しながら悲鳴を上げる。
「ひぃぃっ……! んんんっ……そこ……っ、だめぇぇ……っ、でも……もっとぉぉ……っ!」
観衆がざわめき、誰かが声を張り上げる。
「見ろ……あの反応を……! 理性を失って……!」
しかし誰も目を逸らせない。羞恥に紅潮した頬、汗で濡れた髪、涙で潤んだ瞳――そのすべてが熱に灼かれ、抗えぬ欲望を曝け出していた。
彼女は指を円を描くように突起の周囲へ滑らせ、あえて中心を外す。触れそうで触れない、その寸止めが腰を狂わせる。
腰を縛り付ける縄がぎしぎしと音を立て、背は反り返り、喉から抑えきれぬ喘鳴が漏れる。
「っ……はぁっ、あぁぁ……あああぁっ……く、苦しい……っ、でも……もっと……っ!」
焦らしの責めは甘美な地獄だ。直に潰したときの鋭い絶頂とは違い、じわじわと全身を熱で満たし、逃げ場をなくしていく。
観衆の中で、一人が息を呑んだ。
「……これ以上は……壊れるぞ……」
だが壊れることを恐れるのは外野だけだ。ジャンヌ自身はすでに羞恥の壁を越え、震える唇で熱い声を零し続けていた。
指先はなおも突起の周囲を弄び続けていた。触れては離し、撫でては止め、芯そのものに届かないまま焦らしを繰り返す。
「んぁぁっ……っ、だめ……っ、もう……もうっ……! さわってぇ……っ、そこ……そこぉ……っ!」
体が必死にくねり、空中で陰部を突き出す。
観衆の視線を受ける羞恥すら快感の熱に溶け、言葉は乞うような叫びに変わっていた。
だが指は容赦なく、陰核をなぞる直前で寸止めし、わずかに皮を押し広げては離す。ときに膣口へと滑らせ、じゅるりと愛液を掬って突起の周りに塗り広げる。濡れた音が強調されるたび、群衆がざわめき、ジャンヌは首を振り乱して喘ぐ。
「いやぁぁ……聞こえちゃう……っ、くちゅ……って……あぁっ……でも……んんっ、きもち……っ……!」
声はもう羞恥と快感の狭間で崩れ、涙と涎が混ざる。呼吸は浅く速く、胸は大きく上下し、乳房が空気を切るたびに揺れる。その動きすら刺激となり、突起への期待を募らせていく。
「んっ……ひぃっ……! あっ……くる……っ、くるのに……っ、ぜんぜんっ……たりない……! もっと……もっとぉ……!」
腰を跳ねても、指先はわずかに外してなぞるだけ。快感の渦が膨れ上がりながらも絶頂に届かない。欲望が焦燥を越えて痛みに変わり、彼女は縄に縋るように全身を震わせた。
観衆の誰かが低く呟く。
「……拷問だ……だが……どうして目を逸らせない……」
張り詰めた沈黙を破ったのは、彼女自身の絶叫だった。
「いやぁぁっ……っ、もう……だめぇ……っ、イかせてぇぇ……っ! お願い……! もぉっ……っ!」
その瞬間、焦らし続けた指先がついに芯を直撃した。
「ひぃぃぃっっ……! あぁぁぁぁぁ……っっ!!」
突起の先端を潰すように押し込む。敏感さの極みに達したそこは、電流のような快感を一気に全身へ爆発させ、背筋を弓なりに反らせた。
「んんんっ……ぁぁぁぁっっ! だめぇぇ……っ、つよいっ……っ! やぁぁぁぁ……っ!」
指は止まらない。上下に擦り、円を描き、強く摘んで捻る。
積み上げられた焦燥のすべてが解き放たれ、絶頂は長く深く続く。膣口が勝手に痙攣し、愛液が溢れる。
「ぁぁぁぁっ……っ、くるっ……っ、また……っ、ぁぁっ、イッ……てる……っ、イッてるのに……まだぁぁ……っ!」
身体が小刻みに震え、腹筋が痙攣を繰り返す。涙で濡れた顔は快楽に蕩け、羞恥すらもはや自覚できない。観衆のざわめきは最高潮に達し、誰もがその光景から目を逸らせなかった。
「んぁぁぁぁぁぁっっ……! あああああっっ……!!」
絶叫とともに突き落とされるような深淵の絶頂。意識が白く塗り潰され、視界が震え、耳鳴りが広場を覆う歓声を飲み込んでいく。
やがて力尽きたように指が止まり、体は縄にぶら下がって小刻みに痙攣するばかりとなった。胸は荒く上下し、全身は汗と涙と愛液に濡れて光っている。
しかし、その震える指先が再び動こうとする気配を、群衆の誰もが息を呑んで見つめていた。
どうしようもない昂ぶりに身体を支配されていたジャンヌは陰核を、もはや優しく撫でることはしない。
「んっ……んぅぅっ……はぁ、あぁぁっ……っ!」
腕ごと上下に激しく擦りつけ、指先の節まで使って圧をかける。硬くなった突起が皮の下でぐりぐりと潰され、押し込まれ、擦られるたびに全身が痙攣する。
「ひぃぃっ……やっ……! だめっ……そんな……ぁぁああっ!」
声が張り裂け、体がのけぞる。観衆の間から息を呑む声が広がった。誰もが目を逸らしたいと願いながらも、その生々しい光景から逃れられなかった。
ジャンヌの動きは粗雑で、理性を欠いた獣のそれだった。指先が滑り、陰核から大陰唇へ、そして再び芯へと戻るたびに、ぬめった音が高らかに響く。
汗と涙と唾液に濡れた顔を仰け反らせ、紅潮した頬に張り付いた髪がぶるぶると震える。
「んんんっ……っ! あぁぁぁ……壊れちゃう……っ、やぁぁぁっ!」
突起を摘み上げて捻り、次には掌で押し潰すように擦りつける。硬さは限界まで張り詰め、触れるたびに電流が奔り、全身が跳ね上がる。
膝はがくがくと震え、太腿が互いに擦れ合っては淫らな音を立てた。
ついに耐え切れず、彼女の体は大きく痙攣した。
「ひゃああぁぁぁぁぁぁっ……っっ!!」
腰が跳ね上がり、突き刺さるような絶頂の波に、体は勝手にのたうった。
その瞬間、下腹部から熱とともに勢いよく液体が噴き出す。
床を濡らし、太腿を伝い、観衆の目の前で失禁するさまは、羞恥を越えた凄惨なほどの快楽の証だった。
観衆の中から悲鳴が上がる。
「……っ、なんという……!」「魔女だ!」
だが目を逸らす者よりも、口を押さえ固まる者の方が多かった。誰もが、縛られた少女の体が見せる激しい痙攣と、失禁と愛液が混ざり合って滴り落ちる様を、恐怖と欲望の狭間で見つめ続けた。
ジャンヌの意識は白く塗り潰されていた。脚の付け根から背骨の奥まで震えが止まらず、腰は勝手に前後に揺さぶられる。何度も波が押し寄せ、絶頂が終わったはずなのに、次の絶頂へと押し流されていく。
「んんっ……んぁぁっ……やぁ……とまんない……っ、あぁぁぁあっ!」
彼女は腰を縛られたまま、なおも手を止められなかった。
「ひっ……あ、ぁぁぁぁっ……っ! んぁぁぁぁぁぁあああっ!」
体をのけぞらせたまま、再び痙攣が走る。擦りつけられる指の動きに敏感すぎる突起は、触れるたびに火花を散らすような衝撃を全身に送り込み、腰が跳ね、腿が痙攣し、背中が弓なりに反った。
絶頂が収まる間もなく次の絶頂が重なり、もはや絶頂と絶頂の区切りすら失われていた。
観衆は息を飲み、ある者は呻き声を漏らす。
恐怖か、それとも目の前の淫靡な光景への興奮か判別もつかない。
「なんという……」「神が……裁きを……」
ざわめきが広がる一方で、目を逸らせない者の頬には赤みすら差していた。
ジャンヌは呻きながら、なおも指を動かしてしまう。
体が勝手に求め、抑えられない。
腕全体で突き上げるようにこすりつけ、陰核は擦り潰されるかのように腫れ上がり、粘膜は熱を帯びて明滅していた。
「だめ……っ、もう……むり……っ! いやっ……また、きちゃう……あぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴とともに下腹部が震え、第三波、第四波と快楽の奔流が押し寄せる。
尿と愛液が再び混じり合い、足元に滴り落ち、縄に吊られた体を濡らしていく。
観衆の足元まで届きかねないほどに滴りが広がると、最前列から後退する者も現れた。だが誰一人、声をかける者はいなかった。
数えきれぬほどの絶頂に蹂躙され、やがてジャンヌの指の動きは次第に鈍っていった。
荒い呼吸の合間に「ひっ……はぁっ……んっ……」と漏れる声。肩が激しく上下し、胸は汗で濡れて艶めく。
膝から下は力が抜け、腰が縄に吊られていなければその場に崩れ落ちていただろう。
ついに彼女は手を離し、項垂れた。赤らんだ顔は乱れた髪に覆われ、口元からは熱い吐息が滴るように漏れる。
「はぁ……っ……はぁぁっ……」
荒い呼吸の音が静まり返った広場に響き渡る。
そのとき、重い足音が響き、司教が一歩前に進み出た。
「……楽しめたか、魔女」
低い声が広場を渡る。
観衆のざわめきがぴたりと止まり、全ての視線がジャンヌに注がれる。
彼女は答えられなかった。羞恥と疲労、そして未だ残る快楽の余韻に震えながら、顔を真っ赤にしてうつむき、唇を噛んで小さく震えている。声を発することすらできない。
司教は冷ややかに鼻を鳴らし、背を向ける。
「……もはや用はない。刑を執行せよ」
その言葉が合図となり、広場の空気が一変する。
松明が運ばれ、薪の山に火が点けられる。乾いた薪はぱちぱちと音を立て、やがて炎は舌を伸ばすように大きく広がり、足元からじりじりと熱が伝わってきた。
ジャンヌの肌はまだ汗と愛液に濡れており、炎の熱がそれに触れるたび、蒸気が立ちのぼる。
観衆は後ずさり、誰もが息を詰めて見守る。
「……はぁ……っ……はぁぁっ……」
乱れた呼吸は止まらない。さきほどまで幾度も重なった絶頂の余韻がなおも全身を支配しており、体の震え、胸の高鳴り、下腹部の火照りは消えていなかった。
炎の熱と快楽の熱が区別できなくなり、ジャンヌの意識は霞んでいく。
「燃えろ……魔女を清めよ……」
司教の声が響き渡る。
炎が裾を舐め、衣服が焦げる匂いが立ち上る。
だが、ジャンヌの表情は苦悶ではなく、恍惚に近い赤みを帯びていた。
「ん……ぁ……」
小さく声を洩らし、目を閉じる。
観衆は驚きに息を呑む。火刑の苦痛に叫び声をあげるはずの女が、まるで甘美な夢に身を任せるように首を垂れ、赤らんだ頬で炎に包まれていく。
炎が腰まで広がった頃、彼女の意識は朦朧としていた。
「はぁ……っ……ふぅ……」
声は苦しみではなく、どこか余韻の吐息。
焼かれる痛みよりも、直前まで身体を蹂躙した連続絶頂の余波が大きすぎて、ジャンヌは感覚が麻痺していた。
全身を走る痺れは痛覚を塗りつぶし、甘い陶酔感だけを残す。
彼女の胸は上下を繰り返し、次第にゆっくりとなっていく。
観衆の一人が思わず「夢を……見ているようだ」と呟き、別の者は「神の奇跡だ」と膝を折った。
だが、司教の顔には一片の慈悲もなく、ただ冷ややかに炎を見下ろしていた。
炎がさらに広がり、髪を焦がす匂いが漂う。視界は赤一色に染まり、音も、熱も、次第に遠ざかる。
その瞬間、ジャンヌの意識にふと、鮮烈な理解が走った。
――あぁ、この苦しみを感じないようにするために、私は戒律を厳しく守らされていたのだ。
主が私に課した禁欲は、ただの罰ではなかった。
そして今、どうしようもないほど自慰をしたくなったのは、苦痛を覆い隠すための慈悲だったのだ。
罪悪感は、炎とともに消えた。胸の奥にあった重しが解け、彼女の顔にはわずかな安堵が広がる。
「……ありがとう……」
誰に向けた言葉とも知れぬ呟きを最後に、彼女は静かに瞳を閉じる。
炎に包まれながらも、苦痛ではなく、甘美な余韻に抱かれたまま、まるで眠るようにその命を手放していった。