親にも愛されない空っぽの心は、『女王様』の仮面でしか守れなかったから。
地味でつまらない染木 栞は、苛立ちをぶつける安全な玩具のはずだった。
――あの日、本性を知るまでは。
唇を奪われ、肌を暴かれ、脳を焼かれた。屈辱と、抗えない快感の波に。
「貴女の本当の姿は、私だけの宝物」
教室では女王、放課後は玩具。
ねじれた日常が、問いかける。
“本当のワタシ”は、どんな顔をしているの?”
答えは、今、あの憎い女だけが知っている。
ワタシ、
ブランド物の小物をさりげなく身につけ、モデルのように長い脚を組む。髪だって、キューティクルが煌いてるの。
ワタシが笑えば、みんなは追従して笑うし。眉をひそめれば、空気は凍りつく。そうよ、ぜんぶ、ワタシを中心にして回る。みんな衛星みたいなものね。
教室のワタシは、言ってしまえば女王様だった。
だから、何をしても許されるべきだ……と思ってた。そうじゃなきゃ意味がないって。
「ねえ、染木さん。このプリント、先生に渡しといてくれる? あ、ごめん、落としちゃった。拾って」
女友達に、書類の束を床にぶちまけさせた。
這いつくばって、無言で拾い集める野暮ったい女。
分厚いレンズの眼鏡。顔半分を覆い隠す、鬱陶しいほど長い前髪。
いつも少し大きいサイズの制服を着て。猫背で隅を歩く姿は、まるで失敗作の人形みたい。
ああ、どうして。――なんでこんなに、ムカつくんだろ?
「ねー、何か言ったら? お口利けないの?」
取り巻きたちがクスクスと笑う。
あまりにも従順で、無抵抗な姿が、さらに何かを苛立たせた。
もっと、反応しろ。泣け。喚け。ワタシを見ろ。
空っぽの心を満たすために、もっとわかりやすい感情を差し出せと。
「ねえ、エリカちゃん。この後さ、駅前のカフェ行かない?」
「んー、ああ。別にいいけど。……もう、ちょっと遊んどこっか」
気怠げに、這いつくばる染木に近寄る。手に取るのは、机にあった読みかけの文庫本。
マルキ・ド・サド、美徳の不幸? なによこれ、意味わかんない?
「ねえ、染木さん。アンタ、またこんな変な本読んでんの? だから、性格まで暗くなるんじゃない?」
染木は、びくりと肩を震わせた。けど、何も言わずに俯いているだけ。
……つまんない。
「てか、アンタの前髪うざくない? あ、ちょっと切ってあげよっか?」
「あはは! エリカ、ウケるー!」
取り巻きの一人が、面白半分に工作用のハサミを取り出した。
「ほらほら、邪魔でしょ? やってあげるよ?」
ハサミを突き付ければ、染木は硬直する。でも、まだ抵抗しない。唇を固く結び、耐えるだけ。嵐が過ぎるのを待つみたいに。
前髪の隙間から、ワタシたちの足元を見つめるだけ。
(ああ、本当になんて気持ち悪いんだろ。嫌なら、もっと泣いたり、喚いたりすればいいのに)
終わるまで、ひたすらなにもしないで這いつくばる。
コイツのこういうところが、本当に嫌いだ。行動もなにもしないで、時間さえ過ぎればいいと思ってる。
「もういい、飽きた。行こ」
しばらくからかったけど、なにも満たされない。コイツの意味不明な文庫本を、床に放り投げた。そのまま教室から出て行く。
「え、ちょっと待ってよ。エリカってばー!」
何もかも。ああ、なにもかもが気に入らなかった。
どうせ家に帰っても、誰も「おかえり」なんて言わない。テーブルに、家政婦が作った食事がラップをかけて置いてあるだけ。
(ストレス発散すらままならない玩具なら、もう壊してしまおうかな)
ふと、こんなすら考えた。
そんなある日の放課後。スマホのメッセージを見て、思わず顔をしかめた。
『三条さんへ。貴女の大事な彼氏が、他の女の子と歩いてる写真、持ってます。一人で旧理科準備室まで来てください。 染木 栞』
あり得ないメッセージ。
苛立ちと、プライドを傷つけられて怒りがこみ上げる。
「……あの根暗女が、調子に乗りやがって」
カレが浮気なんてするはずない。
(でも、万が一、本当だったら?)
嘘だったらただじゃ置かない。ワタシは、徹底的に叩きのめしてやろうと、一人で旧理科準備室へ向かった。
埃と薬品の匂いが混じる、薄暗い部屋。窓の外は、すでに赤く染まり始めている。
染木は、そこにポツンと立っていた。
差し込む西日が、無数の埃をキラキラと照らし出す。
「アンタねえ、わざわざワタシを呼びつけやがって。……写真って何よ、さっさと見せなさい」
苛立ちは、どうしても隠せない。
瞳は髪に覆われて見えないが、今日はちゃんと口を開いた。
「……実は。大声じゃ話せないんですけど」
「なによ? 誰もいないわよ」
「でも、ちょっと。……耳を貸してもらえませんか?」
はあ、とため息を吐く。
なんで、こんなにタラタラしてるのか。仕方なく、近寄って片耳を貸す。
「ほら、これでいい――」
前髪の隙間から覗く、染木の口元が、微かに歪んだ。
今まで見たこともない俊敏さで身体がしなり、バチッという青い火花。首筋に鋭い痛みが走る。
「――うぎゃっ!? ……ぁ……っ」
スタンガン。
カラダから力が抜け、無防備に崩れ落ちる。
「……ぁ……がっ、な……にを?」
床に倒れたワタシを、染木は見下ろしていた。
すると、ゆっくりと鬱陶しい前髪をかき上げる。現れたのは、怜悧で、底光りのする眼光。
「ああ。写真なら、ありませんよ。アレは、貴女をここに呼ぶための、嘘です」
カラダが思うように動かない。
か細く弱かったはずの声は、今はぞっとするほど落ち着いて響き渡る。
「貴女が一人で来てくれるなら、何でも良かったんです。……三条エリカさん」
固く結ばれていた口が、こんなに流暢に動くのなんて、ワタシは知らなかった。
「私は、ずっと見てましたよ。エリカさん」
近付くと、染木は制服のポケットから、生徒手帳やスマホを抜き取る。
「綺麗で、強くて、みんなの中心にいる。貴女は、いつもキラキラしていて。……本当にずっと、見ていました」
痺れて思うように動かない舌で、必死に声を絞り出す。
「……なに、す、るの」
決まってる、復讐だ。この女は、ワタシに復讐をする機会を狙ってたんだ。
今までやられたこと全部、いや、それ以上のことをするつもりなんだ。
「ふふ、なにって。貴女がいじめてくれたこと、私、実は感謝してるんですよ。おかげで、毎日、近くで見ることが出来たし……エリカさんも私を見てくれましたよね?」
言うが早いか、染木は自身の制服のリボンを解く。それで、ワタシの両手首を後ろ手に固く縛り上げた。
抵抗しようにも、身体に力が入らない。
なされるがままに、ワタシはうつ伏せにされ、スカートが乱暴に捲り上げられる。
「え……? や……やめ……っ」
「でも、最近、飽きていたでしょう? だから、やめませんよ。だって、今度は私からの……エリカさんへの、新しい『愛情表現』なんですから」
ひんやりとした染木の細い指が、太腿の内側を、するすると這い上がってくる。
獲物の急所を探る、手つき。
「貴女の綺麗な身体も、可愛い声も、ぜんぶ、私だけのものにしてあげる。誰も見たことない、本当の貴女を。私が、ぐちゃぐちゃになるまで、見て、聴いて、味わってあげる」
スカートの下、薄いクロッチ部分に触れていく。
柔らかな丘を確かめるように、なぞられる。
「ひぅ……ッ! へ、ん、たい……っ!」
恐怖と屈辱に、ワタシの瞳から涙が溢れた。
だが、その涙を見て、染木は、恍惚とした表情で、うっとりと囁くのだった。
「ああ、きれい……。私の可愛い、可愛い、女王様……」
恍惚とした染木の囁きは、耳から呪詛のように伝わってくる。ありえない。こんなこと、あってはならない。
(このワタシ――三条エリカが、あの陰気で、無価値な染木栞に、組み敷かれているなんて……)
何度も、こすられる感覚は気持ち悪い。それでも、もがいているうちに指の感覚が戻って来た。
「おっと、いけない」
ふと、思い出したように、再度、スタンガンを腰に押し付けられた。バチバチッと数秒間も衝撃が走る。
「んがぁッ!?」
鈍くて醜い悲鳴。ふふふ、と笑われた。
「ねえ、こうやって定期的にやっておかないと。暴れられたら、困ってしまいますから、ね? 綺麗な身体を、出来れば傷つけたくはないのですから」
遠回しに暴れたら、傷つけることも辞さないと言われた気がした。
ブラウスのボタンも、一つ一つ外されていく。指先が冷たくて、触れられた場所から、ゾワゾワと怖気が広がっていく。もう、心が、折れそうだ。
「声を上げても、無駄ですからね。この時間は、もう誰も来ません。ふふ、貴女のその怯えた顔、最高にそそりますね」
染木の唇が、首筋に触れてくる。囁き声が、恍惚としていた。
「エリカさんは、いつも私を見下していましたね? 私より、ずっとずっと上にいると思っていたでしょう? ……ほら。だから、いいんですよ。だから、こうして、ぐちゃぐちゃに壊した時に……私を忘れられなくなりますよね?」
何を、言っているの、この女は。
(――狂ってる。完全に)
恐怖で思考が麻痺する。でも、縛られて動けないカラダじゃ、抵抗も無理だ。
怖くて、歯がガチガチとなった。涙が溢れて来る。
唇が、首筋から、耳朶へ。ねっとりと舐め上げられる感触に、ゾワリと肌が粟立つ。
囁きは、もうすぐ耳元。蜜のように甘く、毒のように心を蝕んでくる。
「こんな綺麗な肌も……透き通るみたいに白い首も……全部、私が汚してあげる」
言うが早いか、染木は首筋に、強く、吸い付いてきた。
ちくり、と鋭い痛み。貪るような吸引力に、皮膚が引き攣れる。
「んん……ッ!」
染木が、満足そうに唇を離せば、赤黒い鬱血の痕が、所有の印のように、くっきりと刻まれていく。
何度も何度も繰り返される、刻印。ボタンを外され、ブラウスがはだけさせられ、レースのブラごと、幼さの残る胸が揉みしだかれる。
「や…っ、ぁ…やめ……」
「やめない。エリカさんは、これから私の玩具になるんだから。私が、いろんな遊びを、教えてあげますね」
「わ、わた、し、が……わる、かっ…‥」
「謝らないで? ――もっと興奮しちゃうの」
ブラジャーのホックが外されば、まだ誰にも見せたことのなかった、白い双丘が無防備に晒される。
染木は、まるで芸術品を鑑賞するかのように、うっとりとそれを見つめた。
「もう、彼氏さんには触らせた? どこまでさせているのかしら? ……うーん、まあ、どっちでもいっか。あとから、聞きますね。エリカさん」
散々弄んでから、ピンク色の先端へと、舌を這わせてきた。
「ひゃぅっ……!?!?」
美味しい飴玉を味わい尽くすように、執拗に実を舐め、吸い……時折、軽く歯を立てる。ガリ、と。
その度に、口からは、くぐもった悲鳴が漏れ出した。
もう片方の乳房も、指で捏ねられ逃げ道がない。抗いがえない屈辱と刺激の連続で、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「ああ、いい顔……エリカさん、本当に、かわいい……」
さっきまで弄られていたクロッチ部分に、再び指が触れた。
一度快感を知ってしまった身体は、もう馬鹿正直に反応してしまう。さっきまでの湿り気が、嘘のように熱を帯び、蜜を溢れさせていた。
「ふふ、もうこんなに濡れてますね。本当は、私が触るのを待ってたんでしょう?」
「……ち、が」
「違わない」
薄い布ごと、一番敏感な場所を、ぐり、と指の腹で押し潰すように圧迫される。
「ほら、正直になって。もう、こんなに蜜が滲んでる。ほーら、気持ちいい、は?」
……もう、ダメだった。
無理やり快感の回路が、たったそれだけの刺激で、あっさりとこじ開けられてしまう。
「あ、あっ……んっ、あぁあああッ!」
思考が、白く染まる。
びくびくと、腰が勝手に痙攣し、恥ずかしいほどの熱い奔流が、下着をじっとりと濡らしていく。
たった、布の上から、なぞられただけで。
「ふふっ。可愛い声ですねえ、もっと聞かせてください、エリカさん」
もう、自分が恐怖を感じているのか、なんなのかよくわからなくなってきた。
全身から力が抜けきって、されるがままに脱力していると、濡れてぐっしょりとした下着に、染木の指が掛けられた。
びり、とレースが裂ける音。乱暴に剥ぎ取られて――汁に塗れた秘部が、とうとう晒された。
「ひぃっ……」
息を呑む。
今までは、まだ布一枚の隔たりがあった。でも、もう何もない。
ひんやりとした理科準備室の空気が、熱を持った粘膜に直接触れた。
「ああ、やっと見れました。エリカさんの、一番綺麗な場所」
染木のほっそりとした指が、濡れそぼった花弁を、慈しむようにゆっくりと開いていく。
彼女は己の髪をかき分けて、鋭い目で観察し始めた。
「へえ? ……思ったより、毛深いですね? てっきり、もっと整えてらっしゃるのかと」
恥ずかしい。見ないで。
そう叫びたいのに、喉から出るのは「ぁ……ぅ……」という、情けない声だけ。
「大丈夫ですよ。誰も見ていません。私だけ、です。……貴女を見ていいのは、私だけ」
丘を優しく……上下になぞるように、こすり始めた。湿り始めた粘膜がニチャニチャと淫靡に擦れる。
「ほ、ほんとに、ムリなの。……なんでも、言うこと聞く、から!」
「あら。ずいぶんとおしゃべりできるようになったのですね? スタンガンが必要かしら?」
「いやぁぁああっ、痛いのはもう、嫌なのぉっ!」
「うふふ、そうですね。……じゃ、いい子にしていましょうね。エリカさん」
ふぅ、という吐息。それから柔らかくなった花唇へと、染木は顔を近づけ。……熱く滴る舌で直接触れた。
「―――ッ!?!?!?」
布越しとは比べ物にならない、あまりにも直接的で、暴力的な快感。ぼんやり眠っていた神経が、一本残らず叩き起こされるような脈動。
頭が真っ白になって、手足をばたつかせる。でも、その動きすら、染木には心地よい刺激だったのかもしれない。
舌は、肉芽を転がし、吸い上げ、ついには小さな孔の中にまで、先端をねじ込もうとしてくる。
「いやっ、あ、やめ、そこ、へん、だからぁっ……!」
ワタシはもう、めちゃくちゃだった。
何を言っているのかもわからない。ただ、快感から逃れたくて、意味のない言葉を繰り返すだけ。
クスクスと笑う気配。今度は、指が二本、ためらいなく秘裂の奥へと突き立てられた。
「あぐッ! んぐぅうううっ……!! やめっ、なさい、よぉっ!」
「どうして? ヒクヒクして、洪水みたいになってますよ? 無理やりこんなことをされて、感じてるなんて。そんな人だったんですね、エリカさん」
内側を抉られる、未知の感触。痛みも快感が波となって、ワタシを翻弄する。芯に火が点けられたみたいに灼けつく。
この指は、ワタシがどうすれば一番感じてしまうのか、知り尽くしているみたい。やらしい角度で、膣壁をこすられた。クリトリスも同時に刺激されて、もうっ!?
「エリカさん。貴女の彼氏も、こんなこと、してくれるんですか?」
「――ッ! そんなのっ!」
「してくれてないでしょうね。今が一番、気持ちいいんでしょう? だって、貴女のことなんて、誰もわかってない。……私以外は」
「うあぁあ゙っ、アンタなんかッ――」
なにかに唇を塞がれた。
「んっ!? んんンンン゙ッ!?」
視界いっぱいに広がる、染木の顔。怜悧な眼に……ワタシが映っていた。口内を、歯の裏を、歯茎を蹂躙されて。ダメだ、また、キてしまう。
内側と外側から、同時に責められて。あんなに嫌っていたはずの染木に、一心に求められ、快楽を与えられ、ぐずぐずに蕩けている――雌が、ワタシの顔だった。
その、どうしようもない事実を突きつけられた瞬間。
もう、ワタシのなにかが、ぷつり、と切れた。
「んあッ! あ、あぁあああぁッ!!」
ぐ、と指先に力が込められ、ゴリッと抉られ。脳天を突き抜けるような、鋭い快感。
今まで知らなかった、奥深くにあったスイッチが、無理やり押されて。腰が、大きく弓なりにしなる。
絶叫と共に、二度目の奔流が溢れ出す。
そこからは理性の堰が、決壊した。
口からは、自分のものではないような、甘ったるい嬌声が次々と溢れ出す。
その声を、恍惚とした表情で聞きながら、染木はいつのまにかスマートフォンを構えていた。
もう、日が落ちかけている。薄暗い。
ぐったりと動けないワタシの耳元で、染木は、満足そう笑った。
「ねえ、見てくださいよ。これ」
「な……に、して……」
「記録ですよ。私だけの宝物にしますね。貴女の、誰にも見せたことのない、本当の姿の。……見てください、エリカさん」
そこに映っていたのは、涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら、焦点の合わない目で喘いでいる、自分の姿。
教室で女王として君臨する『三条エリカ』とは似ても似つかない。白目を剥き、口を半開きにして痙攣する醜態まで。
「ひど……い……よ。こん、なの……」
「ひどい? 私は、最高に美しいと思いますけどね」
ゆっくりと身体を起こされ、乱れた制服を、まるで侍女のように丁寧に整えられる。
その手つきは、どこまでも優しくて。だからこそ、何より恐ろしい。
「教室では今まで通り、私のことをいじめて欲しいなあ。完璧な女王様のままで、いてくださいね?」
染木は、手首の拘束を解きながら、悪魔のように微笑んだ。
「もし、いい子にしてなかったら……この動画、クラスのグループLINEに、プレゼントしちゃおうかな?」
立ち上がったワタシの足は、まだ生まれたての子鹿のように震えていた。支えられながら、実感する。もう、ワタシはこの女に逆らうことなんて、できない。
この日から、歪な関係が始まってしまった。
教室では、変わらず女王様として君臨するエリカ。
そして、放課後、誰もいない場所で、貪り遊び尽くされるエリカ。
「ああ、次は何をして遊ぼうかなあ。ねえ――エリカさん?」
もう、どっちが本当のワタシかなんかわかんない。
でも、無様で弱い、ぐちゃぐちゃにされたワタシに。
家族が決して見出さなかった、価値というやつを……最初に見出したのは、コイツになってしまったのだ。
『ジュスティーヌあるいは美徳の不幸(美徳の不幸)』 著:マルキ・ド・サド
美しく信心深い娘ジュスティーヌ。彼女は、美徳を、固く信じれば、信じるほど、社会から、裏切られ、陵辱され、絶望の淵へと、突き落とされていく。
「善人が、善性のゆえに、罰せられ、苦しみを与え続けられる」という、徹底的に、不条理で、救いのない物語。『悪徳の栄え』と対を成す作品である。
ド・サドの小説に登場する、悪漢たちは異口同音に、こう語る。
「自然界の、唯一の掟は、弱肉強食である」
「道徳や、美徳などというものは、弱者が、自らを慰めるために作り出した、欺瞞に過ぎない」と。
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つづ……かない。
背景設定も一応、練り込んでますし。書けなくはないですが。
楽しんでくださったなら何よりです。