最悪の異界に囚われてしまったロリ体型女子高生が最悪の末路を迎えるお話。

某邪神の方々のような抜ける活字を目指した成れの果て。
原作同様に凌辱のオンパレードです。救いもない上に特殊性癖ももりもりなのでご注意ください。
ネタバレもそこそこなので原作をプレイしてから閲覧することをおすすめします。

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第1話

 人並外れて丈夫な身体が、ボク、神蔵(かむくら) マツリのひそかな自慢でした。

 

 ただしその丈夫さには、霊的に(・・・)という修飾語が付いています。

 実際のボクは、肉体的にはちんちくりんのお子様体型です。

 華の女子高生だというのに外を歩けば小学生に間違えられることもあるくらいの背格好で、おっぱいもなければお尻も薄い、貧相な体つき。免疫力も体力も体格相応で、特筆すべきところは何もない――そんな、クラスでも女児扱いされている、非力で小さな女の子であるのです。

 

 でもしかし、ことオカルトの領分でなら、ボクは確かに人並外れて頑丈です。

 呪詛や霊障、精神汚染のようなこの世ならざる者たちの穢れ(・・)に対する許容量が大きい、といいますか。ゲーム的に言うならばHP(ヒットポイント)が膨大で、彼らの悪意の影響を受けにくいのです。

 

 それこそ、そういうオカルトの専門家である退魔師――伊早瀬 アラカちゃんすら全く及びもつかないほどに、ボクの身体は丈夫でした。

 

 ボクの一つ下でありながら一線級の退魔師として活躍する彼女曰く、規格外の耐久性。神霊クラスの強力な悪霊でもボクをどうこうするには年単位の時間がかかるだろうというくらい、それはとんでもない資質だったのです。

 ……まあそれほど頑丈な一方、肝心の退魔の術の才能はマイナス方向に振り切れており、退魔師になるという将来図は描きようがなかったのですが。

 しかしともかく、この『オカルトに対して丈夫な身体』という資質は特別なものでした。

 退魔師になってバシバシオカルト事件を解決したりとか、そういう漫画やアニメの主人公のようなことはできずとも。

 それは、誰よりも劣った肉体を持って生まれたボクにとって、唯一人に勝る“特別”で――大切な誇りだったのです。

 

 ――大切な誇り、だった(・・・)のです。自慢でも、ありました(・・・・・)。

 

 はい。それらは全て、過去形です。今のボクにはもう、この身体を誇らしく思う気持ちも、自慢に思う気持ちもありません。

 今となっては憎いくらいでした。

 

 なぜなら、かつては誇らしかった霊的に丈夫なこの身体は――今やボクを地獄に縛り付ける鎖と化してしまっているから。

 

 もしこの呪い(誇り)がなかったならば、きっとボクは、とっくに正気を失えて(楽になれて)いたでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――どちゅっ♡ ぶちゅっ♡ ばちゅんっ♡

 

 という、肉が肉を激しく打ち据える水音。

 

「――んぐっ♡ じゅぷっ……♡ むお゛っ♡ お゛おぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

 という、身体の底からかきだされたような女の嬌声。

 

「………」

 

 そして無言のままに、暗く冷たい無数の視線と――欲望の白濁が、ボクの裸身に降り注いでいました。

 女性器(おまんこ)はもちろんのこと、口腔とお尻の穴までいくつもの男性器(おちんぽ)に貪られ、挙句、髪に胸にお腹に至るまで精液(ザーメン)を浴びせられています。

 

 つまり――ボクは、強姦(レイプ)されているのです。

 それも、人間ですらない悪霊に。

 

「んお゛っ♡ お゛うっ♡ い゛……う゛ううぅぅぅぅぅっ♡♡」

 

 ばちゅん♡ ばちゅん♡ どちゅん♡

 

 女の子(ボク)のことなどまるで考えていない、身勝手な腰ふりでボクの肉を打つ、鼻が曲がりそうな雄の臭いと腐臭を纏った悪霊男性器(おちんぽ)。

 ニタニタと不気味な笑みを浮かべてボクを取り囲む数多の影は、その全てが“淫界”より滲み出た人型の化け物です。

 

 淫界――アラカちゃん曰く世界の隙間に生じる異界の一つであるそれは、囚われた女の子を徹底的に凌辱し、心と身体を貶めて、挙句に尊厳すらをも踏みにじる、女の子への悪意と憎悪に満ち満ちた場所です。

 故にそこから生じた悪霊たちも、当然女の子(ボク)に地獄を味わわせるためのもの。輪姦凌辱に手心なんてものはありません。

 

「ッ――むお゛おおおぉぉぉぉぉぉっっ♡♡」

 

 ボクの女性器(おまんこ)で、悪霊が射精しました。

 腕と拳ほどもある肉竿と睾丸から放たれる精液(ザーメン)は、その大きさに比例して大量です。それを無理矢理詰め込まれた子宮も、その大きく張ったカリ首と竿に散々引っ掻き回された膣内も、性快楽の絶頂に震えながらもうとっくに音を上げています。

 ぎちぎちに押し広げられていた陰唇は、男性器(おちんぽ)が膣肉をひっかけながら出ていってもぽっかり口を開けたまま、閉じる元気もないくらい。もう許してくださいと、懇願の涙を零すように愛液と精液(ザーメン)が混ざった雫を零し――

 

「ほお゛っ――♡♡」

 

 そして、それが滴るほどの間もなく、新たな悪霊男性器(おちんぽ)がまたボクの女性器(おまんこ)をずぷりと埋めてしまいました。

 

 こんなふうに、休息がボクに与えられることはありません。女性器(おまんこ)だけでなく、口腔とお尻の穴も片時も休まず悪霊たちに犯され続けています。

 挙句――そうしてボクの身体に詰め込まれ、あるいは穴からあぶれた悪霊たちにマーキングでもされるようにぶっかけられる悪霊精液(ザーメン)。本来ならば卵子に芽吹く種であるはずのそれですが、しかし悪霊のそれは普通のものではありません。

 

「――んう゛う゛うううぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 例えばたった今、どぽっ♡ どびゅ♡ ぼびゅびゅびゅっ♡ と、ボクの咽喉に悪霊精液(ザーメン)が吐き出されました。

 胃と食道と、そして仰向けに転がされているために鼻にまで逆流してくる生臭い白濁は、普通であればただただボクを窒息させるだけのものです。女性器(おまんこ)とは違い性感帯でもない咽喉を犯されて、もちろん気持ちよくなるはずがありません。

 

 しかし。咽喉を犯され、悪霊精液(ザーメン)を胃と食道と口腔と、さらに勢い余って顔にまで塗り込められたボクは――その熱に、絶頂(イ)きました。

 

「ぶお゛っ♡ お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡ お、なか゛ぁっっ♡ きもち、い゛いぃっっっ♡♡ 悪霊精液(ザーメン)っ♡♡ いいぃぃぃっっ♡♡」

 

 身体が壊れた玩具みたいにガクガク跳ねて、ぷしゃあっと潮まで吹いてしまうくらいの深い絶頂。あまりに強いその快楽は、もはや悦楽ではなく苦痛です。

 だから、それは明らかに呪い。悪霊たちからボクを苦しめるための、呪詛でした。

 

 ただボクを凌辱するという、それだけのために淫界が紡いだ冒涜的な呪いのインク。性感帯なんて概念を全く無視して快楽信号を焼き付ける白濁(呪い)で、ボクの全身はとっくの昔にドロドロです。

 

 まさに全身が女性器(おまんこ)になったかのような法悦を浴びせられながら――しかし、淫界はどこまでもボクという女の子を追い詰めることをやめません。

 もういっそ、悪霊精液(ザーメン)にボクを漬け込むかのように。悪霊の輪姦と射精は続いていました。

 

「んお゛ぉぉぉっっ♡♡ お、おっ……♡ うッ、ぎゃあああぁぁぁぁぁっ、むおぉぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

 お前はただ犯され続けるだけのものなのだと、そんな事を言うように。

 お尻を犯していた悪霊が射精して、大腸から小腸まで、腸内全てを快楽の呪いに焼き潰されて。同時に嬌声の悲鳴を上げる口腔が、新たな悪霊男性器(おちんぽ)に塞がれます。

 すると次は女性器(おまんこ)に出され、お尻に新たな男性器(おちんぽ)を咥えさせられると、さらに咽喉への射精。精液(ザーメン)と快楽に首を締め上げられながら、息もまとまらないうちに今度はまた女性器(おまんこ)に、と。

 そしてボクを犯す悪霊は途切れることなく、満足そうに萎れた男性器(おちんぽ)が向かうのはボクの穴の順番待ちをする最後尾。痴態を眺めてしこしこと呪いを育んで、ぐつぐつ煮える睾丸で精液(ザーメン)を製造し――そうして再び硬く反り返った悪霊男性器(おちんぽ)で、またボクを犯すのです。

 穴にあぶれて我慢が利かず、ボクの平らな胸やポッコリお腹に暴発する悪霊もいるくらいに。

 ボクを犯し続けるための無限のサイクルは機能していました。

 

 これまでボクは、ずっとそれに囚われていました。そしてそれは、これからもずっと続くのでしょう。

 アラカちゃんの言うように、ボクが壊れて、悲惨な末路を迎えるまで。

 

 ――でも、それはいったいいつなのです?

 

 いつになったら、ボクはこの地獄の“終わり”を迎えることができるのでしょう。

 きっと普通の人ならば、とっくに壊れているはずです。淫界の呪いと快楽に気が遠くなるほどの時間漬け込まれ、正気でいられるわけがありません。

 

 けれど、ボクの身体はオカルトに対して規格外に頑丈です。

 故に、ボクはまだ全く正気でした。正気のまま、この淫靡で悲惨な地獄を味わわされ続けています。

 

 だから、まだこの地獄は続きます。

 何年後か、何十年後か――あるいは何百年後か。心と身体が壊れ果て、快楽も絶望も感じない廃人という“終わり”の時まで。丈夫なボクの身体は、狂えず、壊れず、正気のままに、ボクを犯し続けるのです。

 

 ――そう、ずっと絶望していました。

 

 けれど、その時でした。

 とめどない快楽による絶頂で白痴のように呆けていたボクの頭は、ふとそれに気が付きました。

 

「ぃ、へぁ……♡ ひ、ひぃっ♡ うぅっ♡ う……?」

 

 それまでずっと、ひと時の休みもなくボクを犯していた悪霊たち。射精が終わればすぐさまボクの穴を貫く新たな悪霊男性器(おちんぽ)が、いつまでたっても来ないのです。

 しかも、でした。最後に女性器(おまんこ)に精液(ザーメン)を排泄した巨体の悪霊が、その大きな手に包み込むようにボクの小さな足を無造作に掴み取り、屠殺場の豚みたいにぶら下げて――そのままポイっと投げ捨てたのです。

 

「っあ――ふぎゅいいいぃぃぃっっ♡♡♡♡♡♡」

 

 受け身なんてもちろん取れません。赤黒い肉と粘液で覆われた淫界の床に叩きつけられることになりました。

 衝撃が呪いのせいで快楽に変化して、堪えきれずに絶頂(イ)ってしまいます。拍子に女性器(おまんこ)とお尻から詰め込まれた呪いの白濁も噴き出して、上乗せされる快楽は、たぶん三つ穴に同時に射精された時に匹敵するほどだったでしょう。

 

 おかげで一瞬意識までもが飛びました。けれど、そのおかげかもしれません。

 白く弾けた視界が戻り、再起動したボクは床の精液(ザーメン)池の中。鼻が曲がりそうな生臭さと、閉じることを忘れてひくひくわななく穴の余韻を感じつつ――ヒタリと聞こえた物音に、至極当然の衝動を取り戻すことができたのです。

 

「――っひ……♡ あっ……逃げ、逃げないと、おぉ……っ♡」

 

 悪霊の足音。それだけで、ボクの心は恐怖で満たされてしまいました。

 

 そうです、逃げないと。初めて穴が悪霊男性器(おちんぽ)から解放されたのに、あの大きな手に捕まってしまったら、また終わりのない凌辱に逆戻りです。淫肉を穿たれ、詰め込まれ、苦悶の汗を精液(ザーメン)で流されるような汚辱は、もう嫌です。

 

 疲弊してまともに動かない脚をなんとか動かし、果てしなく続くはずだった絶望から、ボクは這いずり逃げました。

 どこに逃げていいのかはわかりません。けれどもヒタリ、ヒタリと聞こえる足音から、ボクを貪る悍ましい悪意から少しでも遠ざかるため、必死の思いでずり、ずりと。

 

「んお゛っ♡ お゛っ……♡ ん゛……ふ、い゛ぃぃぃっ……♡」

 

 進む度に肉絨毯に乳首や陰核、悪霊精液(ザーメン)の呪いで性感帯と化した肌を擦られてヘコヘコと情けなく絶頂(イ)きながら――それでも、言うことを聞かないメスの身体に鞭を入れ、進みました。

 

 そして、とうとうボクは見つけます。大きな内臓のような肉で作られた空間の中、他の肉壁とは明らかに違う肉のすぼまり(・・・・)。

 ……きっと通路です。僅かに見える内部は触手に溢れてにちゃり、ぬちゃりと、磯のよどみのように生臭い粘液を食むようにかき混ぜていましたが――

 

「ここよりは、マシ、です……っ」

 

 背後に迫る足音を前に、もはや止まれるわけもありません。走る怖気は漂う臭気と共に振り払い、ボクはそのまま触手の肉通路へと身体をねじ込みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 触手で溢れた肉の隘路は、やはりというか淫界らしい(・・・)場所でした。

 

「ひぁっ♡ ひ、いぃ、んぅ……っ♡」

 

 入ってきたのがボクというメスだと気付くや否や、その触手たちはいっせいに肉の壁から飛び出して、ボクの身体に群がってきました。

 ぬちっ♡ ぬちゃぬちゃ♡ と。太さも長さも形すらもが様々な肉の鞭に、全身が呑み込まれて。

 そうしてくまなく撫でさすられる感覚は、全身にこびりついた悪霊精液(ザーメン)と共に肌を滑る粘液と相俟って、まるで無数の舌に舐めしゃぶられているかのようです。

 あるいは、咀嚼されているかのよう、でしょうか。身じろぎも難しい、熱く湿った肉の隘路による女体弄りは、何か巨大な生物の口の中で味見でもされているような、そんな心地でもあったのです。

 

「ん、ふうぅ……♡ ぬ、ぬるぬる、ぺろぺろってぇ♡ 舐めるの、やめる、ですっ♡ き、きもち、わるいのに……きもちよく、なっちゃう、からぁっ……♡」

 

 性感帯へ変えられた肌はもちろん、肉絨毯に研磨され、すっかりその刺激を覚えてしまった勃起乳首と陰核と、未だに閉じない淫裂にお尻の内壁まで。

 舐めるように撫で上げられる快楽は、男性器(おちんぽ)でメス肉を打ち付ける悪霊たちの暴力的な凌辱とは全く違う、愛撫のように優しく――そして悍ましいものでした。

 

「や、あぁっ♡ ですっ……♡」

 

 ……得体のしれない粘液に濡れた、気色の悪い造形の、思考能力すらなさそうな肉の塊に、ボクは気持ちよくされているのです。

 そんなものに優しさすら感じてしまった、その事実。ボクは、今度はその惨めさから逃げ出すために、快楽にわななく手足をまた前に出しました。

 

「ふっ♡ ふぅっ♡ んじゅ……♡ はぁ、はあぁっ……♡」

 

 逃げないと。それ(・・)に食べられてしまう前に。

 ぬるぬる滑る繊毛の中を必死に這い進みます。

 

 ――その歩みは触手たちに絡みつかれて緩慢で、且つ道のりも長いものでした。

 這っても這っても隘路に満ちる触手は終わらず、舐めあげられる身体は粘液と精液(ザーメン)と、そして絶頂をボクの全身へと塗り広げました。

 髪の先から足の先まで、むらなくコーティングを施され、挙句さらに念入りに二度塗り、三度塗りとされてしまうほどの、長い時間。

 絶頂し続け、そして疲労と合わさり、手足の感覚と意識が霞み始めた頃でした。

 

「――ぷあっ。……う、ひぃっ……♡」

 

 ボクはとうとう、肉の道の出口にたどり着きました。

 

 手がようやく触手でない地面を掴みました。胸元まで這い出せば、後は粘液の滑りと穴の収縮に押し出されるようにしてぶりゅんっ、と。

 悪霊精液(ザーメン)混じりの淫汁を塗り込められて、挙句に密閉空間での連続絶頂に茹で上げらた身体から雄と雌の卑猥なかおりを混ぜ込んだ湯気をホカホカと漂わせながら――そうしてボクの身体は、触手の肉道からひり出されることになったのです。

 

「ひ……♡ あ、へぁ……っ♡」

 

 まるで――ボクの穴を散々に貪り尽くした、あの悪霊たちの男性器(おちんぽ)になったみたい。そんなふうに思いました。

 幾度もボクの中で気持ちよさそうに射精していった男性器(おちんぽ)は、きっとこんな感じだったのでしょう。疲れて、でも気持ちよくて解放感に満たされて、同時に甘い快楽の余韻が残る――この感覚。

 あるいはそうでないのなら、この汚れた肉の排出は、淫界にとって排泄だったのかもしれないですが。

 

 でもしかし、あの凌辱から逃げることができたのなら、ボクにとってはそれで十分でした。もしくは本当の意味での外(・)に出ることができたのなら、万々歳だったのですが――

 

「っ、あ……」

 

 蕩ける頭を一振りし、強引に快楽から引き戻して見やった周囲は――やはり、淫界のままでした。

 それどころか、たぶんより深い(・・)所に来てしまったんだと思います。辺りはより薄暗く、壁も天井もあるのかないのか、辺りはまっくらで見通すことが叶いません。

 おまけに頭上からは、ぐちゃり、ぐちゃりと規則正しい重低音。暗闇の奥からいくつも重なり響いてくるそれは、耳慣れてしまった淫界の粘液の音であることを除いたら、まるで何かの工場のようにも聞こえます。

 

 つまり、ひどく寒々しい場所でした。

 だからこそ、彼女(・・)がいるはずがないのです。

 

「え……?」

 

 いてくれればこの上なく心強く、頼もしくても、しかしいてはならないのだと理性が否定するような――そんな光景を、その時ボクは、見やった暗闇の先に見つけてしまいました。

 はっきりと顔は見えずとも、その雰囲気で理解してしまったのです。

 

「……アラカ、ちゃん……?」

 

 以前、ボクにオカルトのことを教えてくれた年下の女の子、伊早瀬 アラカちゃん。退魔師である彼女が、淫界に。それも服を剝かれ、気を失っているのかぐったりと、そこにへたり込んでいたのです。

 

 なんで。どうして。それらの疑問には全く答えを見出せません。あるいは見出したくなかったのかもしれませんが――ともかく、気付いたボクの手は、考える間もなく動いていました。

 

「た――助け(・・)、てぇ(・・)……っ♡」

 

 身勝手に、アラカちゃんの状態なんて気にもせず。

 

 余裕なんてない心の中で、ただ助かりたいという思いだけが先行していました。

 彼女なら――ボクなんかよりもよっぽど強く、オカルトに詳しい彼女なら、この淫界から逃げる手段を知っているんじゃないか、という。そんな浅ましく、愚かな衝動。

 身体に刻まれた恐怖と快楽に突き動かされ、ボクは彼女の下へと愚鈍な歩みを進めました。

 

 ずり、ずりと、せっかく冷え始めた性快楽を、またじっくりと摩擦して温めながら。

 

「あっ……♡ アラカ、ちゃんっ……♡」

 

 否応なしに甘く蕩けてしまう声で呼び、あと少し、もう少しで、伸ばした手が彼女に届く――という、そんな時でした。

 

 ぐちゃり、ぐちゃりと。ずっと変わりのなかった機構の音のたったの一つが、ぎぃ、と小さく軋む音。

 恐らくはその時に、それ(・・)のレバーが引かれたのです。

 

 愚かにも『助かる』なんて希望を見出したボクの、その愚かさを嘲笑うように。

 

「――ぴぎゅぃっ♡♡♡!!???」

 

 ボクは、潰されました。

 

「げ、ぷえっ……♡♡♡?????」

 

 何が起きたのかは全く分かりませんでした。ただ、上から降ってきた巨大で柔らかな何かと肉絨毯の床にプレスされてしまったという、それだけを理解して、ボクは潰された蛙みたいな嬌声を圧搾されながら深い絶頂をキめてしまいます。

 

 ぐりぐりと、靴で煙草をもみ消すように。押し付けられる執拗な悪意は、それこそボクの“メス”を圧搾されているかのようです。

 押し潰され、身じろぎもできない肉の中、絶頂(イ)け、絶頂(イ)け、無様に潰され絶頂(イ)き果てろ、と。降参など許さない。逃げることも許さないと、ただただ押し付けられる呪詛を介した重たい快楽は、ボクの意思を全く無視して正気を奪っていきました。

 

 ――ねっとりと白く濁った糸を引き、上の何かが退いても尚、ボクは潰された体勢のまま、死にかけの蛙を演じる他ないほどに。

 

「……あら? あなた……へぇ、ふぅん……。ああ、そういうこと……♡」

 

 アラカちゃんが、意識を取り戻していました。踏み潰されたボクの耳を、なぜかそんな享楽の響きを帯びた声が撫ぜ――ボクは蹂躙された正気の中で、疑問の言葉を浮かべます。

 訳知り顔なその声色。いったい何が『そういうこと』なのでしょう。

 それとも、それはボクを助けてくれるものなのでしょうか。ぐちゃぐちゃに踏みつぶされた思考はまともな解を結んでくれません。

 

 故に理論もないままに、ボクはその声の存在に顎を引かれていました。甘く引き攣る腕を立て、肉絨毯からぬちゃりと身体を引き剥がします。

 そうして、確かめるように再び彼女の方へと眼をやって――また、ボクは視界に見つけたのです。

 

「アラカ、ちゃ――っひぃ……っ!!?」

 

 にたりと笑って地を這うボクに眼を向けるアラカちゃんの、さらにその背後。

 薄闇の中から、大きな仏像が滲み出るようにゆっくりと、その姿を現したのです。

 

 それは、素人のボクでもわかるくらいに邪悪な気配で満ちていました。仏様の形をしているのに、それとは真逆の荘厳なる悍ましさ。ボクが今まで見てきた悪霊たちとは、文字通り格が違います。

 アラカちゃんがいかに優れた退魔師であろうとも、少なくとも悪霊のテリトリー(淫界)では勝ち目なんてないに違いないと、そう確信してしまうほどでした。

 

「う、後ろ……っ!」

 

 震える声で咄嗟に叫び――しかし。

 

「へぇ、あなたあの子のお知り合い? あのよわよわおまんこ退魔師に、こんなに小さくて大きな(・・・)お友達がいたなんてね♡」

 

 アラカちゃんは背後に迫る偽仏のことなど気にも留めずに、どこか他人事のような調子でした。

 そして、それどころか悪霊みたいにニヤニヤと、邪悪な笑みで言ったのです。

 

「私達のこと心配してくれるなんて、いい子ねあなた♡ でも……それより自分の心配をした方がいいんじゃない?」

 

 と、さらにその人差し指がいやに艶めかしく、上を指し示します。そんな場合じゃないはずでしたが、しかしその動きが妙に蠱惑的で、ボクの首はそれに誘われるようにそれを追い、見上げてしまいました。

 

 結果三度、ボクは淫界の暗闇に見つけました。

 彼女の言わんとするもの。艶めかしさの――その正体。

 

「っひ――」

 

 理性よりも、まず真っ先に身体がそれを悟りました。

 さっきボクを押し潰した、巨大で柔らかな何か。それは一言で言うなら、様々な肉塊を溶接して作られた、巨大で醜悪な槌(・)でした。

 

 ぐちゃぐちゃに腐ったような肉塊。真っ黒に焦げた肉塊。巨大な蛆のように蠢く肉塊に、さらに――男性器(おちんぽ)の形に作り変えられた肉塊等々が重なって、一個の槌を形作っていたのです。

 

 だから――ボクは、怯えてしまいました。

 

 これまでの悪霊や触手による責め苦も、恐ろしかったことは確かです。確かなのですが――しかし、気持ちよかったことも同じく確か。

 体質で悪い影響を受けにくいこともあり、ほんの一抹、気の迷い程度のものではあれど、そこに快楽への期待があったことは否定することができません。

 

 でも、です。頭上でぐちゃり、ぐちゃりと。駆動音にゆっくりと引き上げられていくそれ(・・)には、恐怖以外の感情を感じることはなかったのです。

 なぜならば。

 

「み……みん、な……これ、に、にんげん、の――」

 

 女の子。つまり槌を形作る肉塊は、この淫界の犠牲者たちの、哀れな成れの果てでした。

 

 まるでプレス機か、鍛造機械のように。ボクの“女の子”を潰し、歪め、絞り出した巨大な肉のハンマーは、悪霊妖魔、怪異の類ではなく、人の呪いでできています。

 淫界に使い潰され、徹底的に“女の子”を貪り尽くされて、形がなくなるまで犯されて――そうして後に残ったものの、煮凝りのようなものでしょうか。濃縮されて、だからこそ、絶望すらをも啜られた彼女たちは皆一様に憎悪を叫んでいるのです。

 

 ――自分たちは使われた。壊れ果てるまで使い潰された。その原因は、いったい何だ。

 ――悪霊だ。悪霊(オス)に使われるために生まれてしまった、女の子の肉体そのものだ。

 

 残りカスと成り果てて、彼女たちは憎んでいました。呪っていました。自分たちを苦しめた女性性を。おっぱいを、お尻を、女性器(おまんこ)を――ヘコヘコ媚びるように震わせている、このボクという女の子を。

 

 直下のそれを幾度叩き潰しても、決して消えることがないほど深く。

 

「ひ……あ、や、嫌(や)です……っ。それっ、それ、は……っ」

 

 悪霊の呪いは耐えられました。人の呪いでも、耐えられます。ボクの身体は丈夫なのです。

 でも心は、気持ちは全く別でした。

 同じ境遇であるはずの、淫界の犠牲者。そうあれと生まれた淫界の悪霊たちのそれとは違う、生々しい呪詛。

 悪霊ならばともかく、そんなものに立ち向かう覚悟なんてできていませんでした。

 故により悍ましく見えた彼女たちの憎悪は、ボクが狂乱をきたすには十分だったのです。

 

「や、め――」

 

 ぎぃ、と。軋む音にも身体は恐怖で凍ったまま、逃げることもままならず、

 

「――ぺぎゅっ♡♡♡♡♡」

 

 彼女たち(肉の槌)もまた、躊躇もなくボクを踏みにじりました。

 

 どちゃっ♡ 

 

 ボクの“女の子”がプレスされ、ぷしゃあっと絞り出される絶頂の汁。次いでぬちゃりと上昇していったその下のボクは、きっと実に無様な姿だったでしょう。

 それを、もっともっと貶めるように。ボクが女の子である限り、彼女たちの憎悪が尽きることはありません。

 どちゃっ♡ ばちゅっ♡ ぐちゃっ♡ 薄闇に潜む肉の機構に組み込まれた肉槌が、機械的に、無慈悲に、ボクを潰し続けます。

 鉄で鉄を打つように。女の子(犠牲者)の肉で女の子(ボク)を打ち据える、悪霊の悪意で熱された鍛練(・・)工程。その一撃ごとに、ボクの身体は、心は、着実に悪霊たちの思惑通りに加工されていきました。

 

「ひぎゅっ――♡♡♡ ひ……あ、アラカ、ちゃんっ……♡ ボク……ボク、ムリですっ♡ だから、お、おねがいぃっ♡ もう、ムリ、だからっ♡ たしゅ……助け、てぇっ……♡」

 

「アハっ♡ 私達に助けてほしいんだ♡ でもあなたの身体はもっともっと~♡ って言ってるわよ? もっと犯して、もっと潰して~って。甘ったるいメス声出しちゃって、すっごく気持ちよさそうじゃない♡」

 

「ち、ちが――ぎゅぶぇっ……♡♡♡」

 

「へぇ、違うの? うーん、本当かしら? だったら、助けてあげようかなぁ~♡ どうしよっかなぁ~♡」

 

 耐えがたい恐怖と汚辱感に圧し潰されながら、ボクは気付けばまた、アラカちゃんへ手を伸ばしていました。

 でも、彼女は思わせぶりにするばかりでぜんぜん助けてくれません。――どうして、なんで、退魔師なのに。打ち据えられた憎悪が、竦んだ心に徐々に染み込んでくるようでした。

 けれどやはり、まだ怖れの方が勝っています。故にボクは情けないと思いながらも、ひたすらアラカちゃんへと助けを求めるしかありません。

 どこまでも愚かに、救いを信じて手を伸ばし、そして――

 

「――なんて。ごめんね? それも面白そうだけど、やっぱりダメ♡ 助けてあげなーい♡」

 

「へ、ぇ……」

 

 案の定。淫界は、それを嘲笑交じりに払い除けたのです。

 

 傍にしゃがんでボクを見下ろすアラカちゃん。その、愉悦に歪んだ間近の顔を見上げ――ボクはようやく気が付きました。

 

「だって私達……アラカちゃんじゃないし。助ける義理もないでしょ?」

 

 彼女は、明らかにアラカちゃんではありませんでした。

 

 顔も髪も体つきも、目に映る何もかもがアラカちゃんとは異なって、どうして今まで勘違いをしていたのか、我がことながら不思議になってしまうほどです。

 おまけに、どうやら彼女は人ですらないようでした。霊魂か、それとも悪霊か、そんな雰囲気を身に纏い、にいぃと歪に口角を持ち上げて言いました。

 

「私達は……カーラ。お察しの通り、この仏像様に首輪を付けられちゃった哀れな集合霊。だからそもそも助けたくても助けてあげられないのだけど……でも、ほら……♡ そこから出たいなら、彼が手を貸してくれるみたいよ? 文字通り♡」

 

「――ぎゅむ……っあ……!」

 

 と、その笑みが指し示す通り。その時、じっと佇んでいた偽仏の手が、女肉プレス機の中に伸びてきました。肉槌が落ちる直前、ボクの頭を抓むようにしてその中から引き出して、その底なしの闇で満たされた眼でボクをじいっと見つめてきます。

 

 ……何を、されるんでしょう。アラカちゃん、もといカーラはそれを救いのように言っていますが、悪霊が、しかも淫界の大悪霊が、女の子(ボク)を救うことなどないことは、言うまでもなく明らかです。

 そして――けれど、何をされようと、ボクはそれに甘んじるしかありません。肉槌の女の子たちのように、あるいはカーラのように、彼らの思惑通りに。

 

「――なに、です、それ……っ」

 

 果たして――それは、白い雫でした。

 

 精液(ザーメン)……では、ないと思います。だってそれはボクに向けられた偽仏の人差し指の先から滲み出てたもの。

 頭上、頭の上で滲む雫が徐々に膨れ、震え、そして拳ほどの大きさになった時、ぽたりとボクの頭のてっぺんに落ちてきたのです。

 

 ――途端、でした。

 

「ッ――――ぎゃあああぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡♡♡♡」

 

 熱と悦。激痛と、それ以上の快楽が全身で爆発しました。

 

 正しく言うなら滴った白濁が伝った肌が。

 悪霊輪姦と触手愛撫で全身に塗り込められた呪詛精液(ザーメン)と、肉槌に叩きつけられた愛液のような粘液、それらが偽仏の白い粘液と混ざり合い、反応し、しゅーしゅーと煙を吹いて焼けています。

 かつての凌辱に与えられた快楽の痕を、なぞるように。しかしあれよりももっと深く、身体の芯までを刺し貫かれるような痛みと快楽。悲鳴と嬌声がごちゃ混ぜになって、涙と絶頂(イキ)潮の水たまりができました。

 

 全身が焼け溶けて、爛れた皮膚に快楽が癒着して――とうとう致命的なレベルに、ボクの身体が変質していくようでした。

 

「ぎ、うあ゛ッ……♡♡♡ な、なん、でぇっ……♡♡♡」

 

「あら、まだ喋る元気があるの? 本当に頑丈ね。……まあ、さすがにずいぶん参っちゃってるみたいだけど♡」

 

「ッッッ―――――♡♡♡」

 

 ふと、カーラが悶えるボクに近付いて、その真白い指でボクの身体をなぞるように撫でました。白煙を上げる肌は当然激しい刺激を産み出して、ボクはまた声もなく悶えることしかできません。

 挙句、その強烈な呪いの汚濁は、当人でないカーラまでもを焼くほどでした。

 

「ひゃんっ♡ ああ、ほんとにすっごい……♡ こんな濃ゆぅい呪詛を刻まれちゃって。アラカちゃんでも一発でダメになっちゃってるわよ♡」

 

「きざ、ま、れ……っ♡♡♡」

 

「そうよ? ほら、もう全身びっしり♡」

 

 と、焼けた指を恍惚の表情で咥えながら、カーラはボクの全身に舐めるような眼を向けて、嗤いました。さらには偽仏も、それに同調するようにボクの頭を下に向け、見せつけてきたのです。

 

 その成果を誇るように。視界に映された、ボクの身体。

 

「へ、ぁ……♡」

 

「精液(ザーメン)を墨に、絶頂(呪い)を針に。こんなにも丁寧に彫り込まれて(・・・・・・)……ふふっ、ちょっと妬けちゃうわ♡」

 

 粘液に濡れた白い肌に、黒々とした呪詛の羅列が絡みついていました。

 

 下腹部に始まり、手足はもちろん脇腹にみぞおちに胸に、さらに首からたぶん頬まで。きっと背中やお尻もそうでしょう。それまでは感覚だけであった精液(ザーメン)呪詛の焼け跡が、はっきりと目に見える形に色付いていたのです。

 それこそカーラの言う通り、それは刺青でした。

 

「これは……ふむふむ、『永久絶頂メス肉達磨』。こっちは『悪霊専用精液肥溜め』、かしら? あなた、これまでもいっぱい犯され(呪われ)てきたのね♡ こっちのりっぱな男性器(おちんぽ)の絵は、あなたを犯した悪霊たちの?」

 

 卑猥な異界の文字や謎の陣、そしてカーラの言う通り、ボクのお腹で勝ち誇るように反り返っている三本の男性器(おちんぽ)は、あの悪霊たちのもの。ボクを犯し尽くした証明書か何かのように、おたまじゃくしのような精子の絵がおへそやおっぱいを囲っている、それはあまりに屈辱的な焼き印でした。

 

 ……頭がおかしくなりそうです。これは――この卑猥の烙印を押された肉体は、本当にボクのものなのでしょうか。

 

 これではもう、まるで変態の淫売です。

 ボクは悪霊に強姦(レイプ)されるのが大好きな、変態の女の子。犯され、貪られ、踏みにじられるためにここにいます。

 だからほら、犯してください。貪ってください、踏みにじってください。永久絶頂メス肉達磨で悪霊専用精液肥溜めな、変態マゾブタ女なのだから――と。そんな下品な主張を、この身体はしていました。

 

 外身も中身も、すっかり形を変えられてしまった身体。――その肉には、果たして“ボク”が残っているのでしょうか。

 

「……っ、ぁ……」

 

 涙が、零れて。その結果。

 

 どちゃっ。と、その時、音がしました。

 

 何か重たいものが肉絨毯の床に落ちた音でした。同時、偽仏から降り注ぐ白濁が、もう十分とばかりにピタリと止んでしまいます。

 

 ゆっくりと治まっていく刺激の中で、ボクはそれに眼を向けました。

 なぜか、ひどく悪寒がしていたのです。見てはいけないような、それでも見ずにはいられないような、そんな感覚。それでも眼は、ボクの意思はそれへと向いて、そして――

 

「―――――」

 

 絶句、してしまったのです。だってそれは、人の腕でした。

 

 ボクの、腕でした。

 

 肩口からごっそりと。しかし傷口らしきものはなく、元からそういうものであったかのようにつるりとした皮が張っています。痛みもやはり全く感じず――だというのに、視界に映る自分の身体からは確かに右腕が消えていました。

 

 そして現実を受けいれられずにいる中で、今度は続いて左脚が。じゅう、と、溶け落ちるようにして取れました。さらに続いて左腕、右脚と、立て続けにあっけなく。

 ぽろぽろと髪の毛が抜け落ちるように、四肢は奪われて(・・・・)しまったのです。

 

「ぇ……なん、で……? ボクの、手、足……」

 

「許容量を超えたってことじゃない? いくらあなたの身体でも、決して無敵じゃないんだし。……どんな人間でも、いつかは淫界に堕ちるのよ。必ずね――っと♡」

 

 カーラが、落ちたボクの四肢をそれぞれ拾い、抱えながら言いました。その時に、ようやくボクの正気が衝撃から戻ります。

 

「ぁっ、か、返してっ!! ぼ、ボクのッ! ボクの手足、返すですっ!!」

 

「ダ~メ♡ だってさっきも言ったけど、私達もう淫界に逆らえないし♡」

 

 と、カーラはボクの必死の悲鳴など無視をして、ゆっくり肉絨毯を歩いていきます。止めようにも伸ばす手足は彼女の腕の中、ボクは偽仏に頭を抓まれたまま、残った胴体をヘコヘコ振って抗議する他ありません。

 

 ……無様で滑稽なばかりです。カーラはそれに、嘲笑うような一瞥をくれるだけ。ボクの手足を抱えたまま、やがてその足を止めたのは、停止した女肉プレス機の前でした。

 ぐちゃ、と何かを期待するように軋んだ肉槌を前に、向けた一瞥を横目に変えて戻しつつ、

 

「それに――手足(コレ)、あなたにはもういらないでしょ♡」

 

 投げ入れ、直後、ばちゅんっ♡ と。ボクの手足は女肉プレス機に食べられてしまいました。

 

「あ……あ、ぁぁ……っ」

 

 ――ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ……と。

 

 それまでお預けを食らった分、肉槌はがっつくようにボクの手足を咀嚼しました。何度も潰され、ボクの手足だった肉がその形を変えられていきます。

 まるで――そう。その肉は、もはや肉ではなく粘土のようにまとまって、白地に黒の文様が入った肉団子のようでした。こねられて、好きに形を変えられていくその様子は、ボクがさっき抱いた感想を強く補強するものに他なりません。

 

 つまり――ボクの身体は、やはりもうボクではなくなってしまったんだと。ボクではない肉に、加工されてしまったのだと。

 ボクの奥底、魂が、そう屈服させられてしまったのです。

 

 ――ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ。

 

 元気よく淫界の女肉を打つ槌に、ボク自身もまた運ばれて行きました。

 肉仏につままれたまま、抵抗という選択肢をもなくした身体が、そのまま、動作するプレス機の中に、また放り込まれました。

 

 ――ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ。

 

 潰れていきます。ボクが、ボクの身体だったものが。そして、ボクの心だったものが。

 肉槌を形作る犠牲者たちの憎悪が、乳首を、陰核を、女性器(おまんこ)をお尻を。女の子の快楽を、すり潰していきました。

 

 でも、もう恐怖はありません。

 だって、カーラの言う通りこの呪詛がボクの身体の許容量を超えたのならば、それはつまり“終わり”です。

 ボクはとうとう、苦しみから解放されるのです。

 そう思いながら、ボクはゆっくり目を閉じて――

 

「――ねぇ、護符の作り方って知ってる?」

 

 ふと、粘液が泡立つ音の中でも不思議と通る、カーラの声が聞こえてきました。

 

「邪悪退ける力を宿した……そうお守り♡ アラカちゃんが作っているのを近くで見たことがあるんだけど……あれって能力があれば、簡単な触媒とそこに込めるチカラ(・・・)だけで作れちゃうのよ♡ ……知ってた?」

 

 ……何の話なのでしょう。理解できないまま、ボクの意識は闇に沈んでいきました。

 

 ――ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気付けばそれは聞こえていました。

 低く、厳かで、それでいて悍ましい、魔を称える闇の言の葉。お経のように絶えず耳朶に響くそれに、ボクの意識は表層へと浮上していったのです。

 

「っ、あ……」

 

 眼を開けると、そこは闇。薄闇よりもさらに深い暗黒の中にまっすぐのびる肉の道に、鳥居と灯火がずらりと連なり続いているのが見えました。

 

 けれどそれ以外は何もありません。ボクを圧砕したプレス機も、犠牲者たちの悲鳴も、あるいは悪霊たちがボクを犯す、肉が肉を打つ音も。

 見知らぬそこは、ただこの上なく深い(・・)場所でした。

 

「……あら、目が覚めたの? おはよう♡」

 

「……カーラ……?」

 

 ボクのお尻とお腹に手を回し、抱えていたのはカーラでした。変わらぬ声音でボクの耳に口を寄せた彼女は呑気に挨拶の言葉を口にしましたが、しかし当然、ボクはそんなに安穏としてはいられません。

 

 ――どうして、ボクはまだ生きているんでしょう。

 

「……ここは、どこ、です……?」

 

「淫界の最奥。邪で淫靡な社に続く……そう、参道ね♡ 今まさに産道(・・)にもなってるわけだし。……うまいこと言えてると思わない?」

 

「なに……言ってる、です……? そんな冗談じゃなくて、ボクはプレス加工(アレ)からどうなったのかが、知りたくって――」

 

 と、まともに答える気がないらしいカーラへと、ボクは身を捩じって振り向きます。

 手も足も存在しない、胴体だけのこの身体は、あの“終わり”が夢なんかでは無い証明です。まさか、カーラがボクを助け出してくれたんじゃ、なんて一瞬思うも――だがしかし。

 

「どうなったも何も……気付いてないの?」

 

 カーラは怪訝に、首をかしげて言いました。何が不思議なのか、さっぱりわからずボクも思わず眉を寄せてしまいます。

 けれどその反応を目にした途端、カーラの顔はまた悪霊らしい歪んだそれへと戻ってしまいました。ニタリと愉悦に嗤い、そしてボクのみぞおち当たりに巻き付いていた手がするりと下へと降りて行き、下腹部を、とん、と突っついて、

 

「まあ、そっか♡ 女の子の身体にこんな立派なのが生えてるなんて、中々信じられないものよね♡」

 

 刺激にびくんっと、屹立する肉の柱が跳ねたのです。

 

「んぅ――え……?」

 

 じゅん、と。胎内が勝手に甘い痺れを抱いたそれは、そこにあるはずのないものでした。

 

 ごつごつと、コブのように太くねじくれた血管が走った幹。はち切れんばかりに膨らみ、えぐい段差を付けた笠。そしてその下でぐつぐつと煮えたぎる、精を蓄えた――大きな睾丸。

 それはもう幾度となく見せつけられた、男性器(おちんぽ)でした。

 

 ボクの股座から、醜悪な肉棒が天を突いていたのです。

 

「え……? なに、この……なんで、誰の……?」

 

「あなたのに決まってるじゃない。……あの時潰された手足の肉が、まさかそのまま捨てられちゃうわけないでしょう? ほら……♡」

 

「ひンっ――♡♡♡」

 

 下腹部に降りたカーラの指が、今度はその男性器(おちんぽ)に伸びて撫でさすりました。途端に見知らぬ感覚に、ボクの下腹部は刺し貫かれてしまいます。

 男性器(おちんぽ)を触られて、その感覚は確かにあって、ぴゅるりとその先端から透明な我慢汁までが噴き出して。それはもう、見て見ぬ振りなんてできません。

 

 ボクの身体はもう女の子ではなく、女の子を犯すための――淫界のもの(・・)でした。

 

「へ、ひっ……♡」

 

 ああ……そっか。

 

 今更、気付きました。

 淫界とは、女の子からあらゆるものを簒奪し、使い潰し、屈服させる悪意そのものです。女の子に何かを与えることはありません。

 だから、ボクのものでなくなったボクの身体は淫界のものであり、ボクが求めた“終わり”には、端から通じてなどいないのです。

 

 例えボクが壊れても、それは安息足り得ません。目を逸らし続けた末路の数々も、今思えばそうでした。肉槌に変えられた彼女たちや、あるいはカーラ。そして――彼女(・・)のように。それは“終わりの始まり”でしかありません。

 そんな至極当たり前のことに、ボクは今更気が付いて、

 

「……アラカちゃんはね、淫界にたてついたのよ」

 

 そんなボクを抱えて歩きながら、カーラが訥々言いました。

 

「色々な目に遭ってたわ♡ ある時は精液(ザーメン)便所、ある時は男性器(おちんぽ)洗いの洗濯機、ある時は……蟲をあっためる女性器(おまんこ)レンジだったりもしたかしら♡」

 

 参道を行くごとに、そこ(・・)に近付いていることを示すように、空気に満ちる瘴気が濃くなっていきます。

 そして、そこに混じるひどく淫らで甘い呪詛もまた、近づくにつれその疼きを増していきました。音も、においも、もはやたまらなく甘露で。思考が、理性が、どんどん溶かされていくようで、カーラの言葉も、もうあまりよく理解できません。

 

「でも、身体はとっくに淫界に屈服した負けメスだったのに、それでもアラカちゃんは淫界に抗ったの。一度はちゃんと壊されたのに、大事な男の子のためにって、必死の思いで何度も何度も立ち上がって。……ねぇ、そんな、とびきり分をわきまえない生意気な女の子(メス)を――淫界は、どうすると思う?」

 

 耳元でささやいた、その意味が理解できずとも――全く問題はありませんでした。

 ずぐん、と一際激しく脈動する、全身に刻み込まれた呪いの入れ墨。

 彼女(それ)は、もうボクの目の前にあったのです。

 

「――アラカ、ちゃん……♡」

 

 触手の大輪がありました。花開いた肉厚の花弁の中で、大小さまざまの触手がうじゅるうじゅると蠢いています。

 そして、その真ん中。普通の花であれば花芯があるべき場所に。

 

 甘いうめきを零す女体が、アラカちゃんが、ありました。

 

 触手の花――もとい、きっとそれはこの淫界の神様なのでしょう。悍ましい闇の気を発するその上に座するように拘束されているその姿は、ボクが知るアラカちゃんとは全く別人のようでした。

 彼女の強さも、優しさも、彼女を形作っていたものが一切存在しない、淫界に屈服した敗者の様相。

 大きく『孕』という、一目でわかる呪詛を刻まれたお腹は丸く膨れ、仰け反るように持ち上げられたおとがいからは、ボクたちの腕より太い肉の柱が暗い天まで伸びているのが見えていました。

 ……きっとそれは、アラカちゃんの中身を貫き、そびえています。『人柱』と、思い浮かんだ単語がピッタリと当てはまるような姿で、アラカちゃんは淫界に征服されていたのです。

 

「酷い有様でしょ? あれがアラカちゃんの末路。終わらない終わり。淫界に囚われた女の子たちの悲鳴を流し込まれながら、窒息して、絶望して、内臓を滅茶苦茶にかき回されながら……絶頂(イ)き死ぬの♡ 死んで、そして絶頂(イ)きながらまた生き返って、また死ぬ♡ 永遠に続く臨死絶頂が、あの娘に与えられた罰♡」

 

 悲惨、としか言いようのない末路です。そして同時に、ひどく淫靡でもありました。

 

 アラカちゃんがまたくぐもった悲鳴を上げて、快楽に身をよじっています。文字通り死ぬほど惨く弄られながら、同時に死んだ心臓が跳ね起きるほどの悦楽を注ぎ込まれた、終わり続けるその身体。

 その絶望は、きっとボク以上のものなのでしょう。これ以上の苦痛などこの世界には存在しないと、そう思えるほどに。

 

 でも、しかし。悲劇的なことに淫界の悪意は底なしで、アラカちゃんへのさらなる責め苦を、作り出してしまいました。

 

 つまり――ボク、です。

 

「ッ――――♡♡♡」

 

 ぶぴっ♡ ぶりゅ♡ ぼりゅりゅりゅりゅっ♡

 

 アラカちゃんのお腹がぐにゃりと歪み、直後に潰れた女陰とお臍から間欠泉のように勢いよく、触手の赤子が噴き出しました。

 膨らんだお腹の中身が一斉に飛び出して、妊娠腹に隠れていた女性器(おまんこ)が灯火の下に現れます。ぽっかりと口を開けたそこからむわぁっ♡ と、ボクの下腹部を直接貫く濃いにおい――甘ったるいメス臭が広がって。刺青呪詛が脈動するボクの身体と男性器(おちんぽ)は、飢えた獣のようでした。

 

 ぐらりとめまいを感じるほどに、形を変えられた肉塊が衝動に震えています。刻みつけられた呪詛。悪霊と、淫界と、犠牲者たちの悪意と憎悪と欲望が、ボクの中で渦を巻き、蟲毒のように濃くなって。

 女を犯せ。目の前のオスを誘う恥知らずなアラカ(メス肉)の胎を、この身の呪詛ではち切れさせろと、おぞましく叫んでいました。

 

「あなたの器は膨大だから。……プール(マツリ)にいっぱいの水(呪詛)を無理矢理水風船(アラカ)に詰めようとしたら、どうなると思う? どうしたって破れない(死なない)から、どんどん膨れて、どこまでも気持ちよくなって(呪われて)……あはぁっ♡」

 

 どこまでも、アラカちゃんは絶頂(イ)くでしょう。どこまでも深くに堕ちながら。

 ボクは、アラカちゃんを奈落と天上へ叩き落とすために作られた道具でした。

 

 闇の神、触手の腕が伸びて来て、カーラの腕からボクを取る、その手つきのぞんざいさ。それを感じながら、持ち上げられた拍子にすり潰されたアラカちゃんの顔を見て、ボクはそれを確信します。

 

「……ふひっ♡」

 

 濁った瞳に映り込んだ、ボクの顔。

 ああ、まさにそのもの(・・・・)でした。

 

 そう――これが、ボクの形。長い加工の末に出来上がった、ボクという肉の使い道。

 アラカちゃんを永劫に凌辱し続ける、呪われた肉バイブ。強くて優秀で、ボクなんかよりもずっと才能に恵まれたアラカちゃんは――もう永遠に、淫界(ボク)に使われ続ける非力で小さなメスなのです。

 

 その醜さにはもはや気付けないまま。破裂しそうなほどに張り詰めた男性器(おちんぽ)が、とろりと泣いたアラカちゃんの女性器(おまんこ)へと添えられて。

 

「―――っ♡」

 

 そうしてボクとアラカちゃんは、最初の“終わり”を迎えました。

 ずっと、ずっと。ボクたちは淫界の底で、甘い絶望(歓喜)を吐き出し続けたのでした。




抜ける文章って難しい。
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