大きな段ボール箱に納められていたのは、『美少女高校生の皮』だった……。
今回はダーク路線な皮モノに挑戦してみました。
◆
時刻は夜の10時、場所は繁華街から少し離れた人気の無い路地裏。そこに居たのは一人の女子高生、
「何……この感覚?」
首元を
手足の震えが止まらない。
心臓の鼓動も、顔から噴き出る汗も収まらなかった。
今まで感じたことのない感覚だ。身体の自由が効かず、恐怖に身を包まれている筈なのに、それとは相反する
突如、芽愛梨の足から完全に力が抜けた。
目の前にアスファルトの地面が接近する。
「きゃあっ!?」
芽愛梨は咄嗟に手をつこうとするが、彼女の両腕にも力が入らなかった。
それはそうだろう。
何故なら、
「あ……ああ……」
自分の身体が萎んでいく。
それを自覚しながらも、芽愛梨にはどうする事も出来なかった。自分の顔もどんどん中身を失っていき、視界が地面へと近づいていくのを自覚した。女子高生は誰も居ない路地裏で、密かに『皮』となったのだ。
◆
「うわあああああ!?」
黒髪の女子高生は、自分の部屋で飛び起きた。
「はぁ……はぁ……」
心臓の鼓動が収まらない。今までの人生で見た、どんなホラー映画よりも恐ろしい悪夢だった。
(いや、違うな……コレは、悪夢なんかじゃない。多分、実際に起きた出来事だ……)
何故、そう考えるのか?
その理由は、何を隠そう、
◆
『彼女』が自宅に届けられたのは、数ヶ月前。
鍵をかけた筈の玄関に、巨大な段ボールが置かれていたのだ。
差し出し人は不明、だが宛先にはしっかりとこのアパートの住所と自分の名前が書かれていた。
家主の男はこの奇妙な贈り物を見た時、真っ先に自宅を調べた。何者かが部屋に侵入したのだ。何か盗まれている可能性は高い。だが、財布も通帳も、スマホもゲーム機も、何一つ盗まれてはいなかった。
彼は一先ず安心したが、次に気になるのがこの段ボール箱だ。タチの悪い悪戯か、新手の悪徳業者による犯罪紛いのビジネスだろう。この箱の中にはロクな物が入っていない。中身は何だ? 違法な薬物か、それとも銃火器の類か? どの道、自分の様な小市民が関わるべき物ではない。
そう、関わるべきではない。
頭では分かっている筈なのに、この中身が気になって仕方がない。
「…………」
彼は遂に、箱を開けてしまった。
元々自分宛てに届いた荷物だ。なら、開ける権利ぐらいはある。そう、危険な物が入っていないか、調べる必要があるのだ! 彼は自分にそう言い聞かせて、荷物の封を開けたのだった。
しかし、中に入っていたのは薬物でも銃でもダイナマイトでもなかった。だが、ある意味それら以上に危険で、尚且つ奇妙奇怪な代物だった。
一言で言えば、『皮』だ。
だが、ワニ皮でも牛皮でも、ましてやヘビの皮でもない。
胴体はアパレルショップの服の様に折り畳まれており、その上には黒髪の美少女の頭部が鎮座していた。
(何だ、コレ……? 着ぐるみか何かか? それとも、スパイ映画とかに出てくる変装アイテム?)
家主の男は荷物の中身に対して、大いに混乱し困惑した。だがそれ以外に、そしてそれ以上に、彼は別の感情を奇妙な贈り物へ向けていた。
(何て綺麗な子なんだろう…………!?)
そう、箱に仕舞われた女子高生は、途轍もない美少女だった。彼は、彼女に目を奪われてしまったのだ。
………………………………
………………
彼は十数分の時間を費やし、箱の中身を調べた。
『彼女』の他にあった物は、セーラー服に女性用の下着数セット、学生カバン、そして文字の書かれていない、イラストだけの説明書だった。
そこには服を脱いだ人間が、この女子高生を
「………………」
彼はゴクリ、と唾を飲み込む。
(俺がこんな、若くて綺麗な美少女に……!?)
三十路を目前に控えてた、何と取り柄もない自分が。
この年でもフリーター業で日銭を稼いで生きている自分が。
こんな安いアパートに住んで、彼女も作れず、大した甲斐性も無いくせに、ネット上で同年代の結婚話や幸せな家庭を育んでいる様を見て醜い嫉妬心を抱いている様な自分が。
(こんなにも可憐な女子高生になれるというのか!?)
彼の人生、思い立ってからここまで早くに行動を移す事は今まで無かった。男は服を脱ぎ、折り畳まれた女子高生の身体を広げた。彼女の首元から背中にかけて大きな切れ込みが存在しており、ここから自分の身体を入れるらしい。
彼は両手で少女の切れ込みを掴み、そして自分の脚を少女の脚の中に仕舞い込む。華奢な女子高生の脚はその太さを変える事なく、成人男性の脚を収納した。無駄な毛の一切ない、程よい肉付きと艶を帯びた御御足が出来上がる。
次に、腕だ。
少女の腕に自分の腕を入れ、手のひらを握ったり開いたりする。指の感触には何の違和感もない。まるで本来の身体がこちらの方だと錯覚してしまう。
そして身体と、最後に顔だ。
自分の頭部を収納すると、一瞬視界が暗転した。だが次の瞬間、全身鏡にはとても素晴らしい光景が映っていた。
一糸纏わぬ、全裸の女子高生だ。
「おお……これは…………」
彼は思わず呟き、そしてハッとして口元を抑えた。
(
そう、彼は身体だけではなく、年頃の少女の声色まで手に入れてしまったのだ。彼、否、
は口元から手を離し、自分の胸部へと手をスライドさせる。
『お着替え』を終えてからゆっさゆっさと震えて止まらない、実りに実った豊満な乳房へと、だ。女体には詳しくない家主だが、目算でバスト90cm以上は余裕であると思しき程のサイズだ。
もにゅん。
「…………!!」
たったの一揉みで、全身に快感が駆け巡る。手のひらには至福の柔らかさが伝わり、胸部からは『揉まれる感覚』が伝わってくる。どちらも今までの人生では味わえなかった感触だ。最も後者に至っては、男性として生きている限り絶対に味わえなかった感覚だが。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
気がつくと、鏡の中の美少女は蕩けきった表情で自分の胸を揉んでいた。全身を襲う快感により乳首が勃起して、何も付けていない秘部がどんどん濡れ始めていく。
「んッ……くぅ……」
再び感じたことのない快感が、彼女の身体を支配する。黒髪の女子高生は快楽を求める切実な表情で、もう片方の手を自らの秘部へと移動させた。
声にならない叫びを上げ、少女は大きくのけ反った。
ぐちょ、ぐちょ、ぐちょ、ぐちょ。
部屋中に粘度の高い水音を響かせながら、少女は自分の身体から発せられる快感を貪った。口からは涎がとめど無く零れ落ち、視界は涙でぼやけ始めた。
「はぁ、はぁ……」
少女は乳首を弄っていた手を止め、自らの乳房を持ち上げた。そして口元に現れた乳首に、女子高生はしゃぶりついた。
「ん……んむっ……んむっっ!?」
胸を揉んだ時と同じだ。
乳首を吸う感覚と、吸われる感覚。
『これ以上はマズい』と理性が告げているにも関わらず、彼女は自分の乳首をしゃぶるのを、舐める事を、そしてもう片方の手で膣内を弄るのを止めなかった。
やがて少女は絶頂し、膣内から盛大に蜜を噴出した。
彼女は快楽の中で微睡み、床に膝をつく。彼女は少々の痛みを抱えながらベッドへ移動し、再び快楽を貪りはじめた。
◆
「ふんふんふ〜ん♪」
自分の身体を点検し終えた家主は、下着を身につけ、セーラー服へと着替え、財布を持ってスーパーへ出向いた。普段あまり自炊をしない家主だが、今日は別だ。何故なら、今の自分なら『女子高生の手料理』を味わえるのだから。
スマホでレシピを表示して、少女は野菜の皮を剥き始めた。にんじん、ジャガイモ、そしてタマネギだ。それらを包丁で手頃な大きさへ切り分け、鍋に入れて火にかける。その後肉を追加し、醤油、みりん、砂糖で味を整える。
こうして完成したのが、『女子高生の愛情たっぷり特製肉じゃが』である。
家主は箸でニンジンを掴み、口の中に入れる。
すると、甘辛の味とニンジンの食感、更には美少女の真心の味が口いっぱいに広がった。
こんなにも美味い食べ物がこの世に存在したというのか……!? 味付けは多少雑ではあるが、『美少女高校生の手料理』という何にも勝る至高のブランドがそれを補って余りある。
女子高生は感動に咽びながら、自らの手料理を頬張った。
◆
(翌日)
「みんな、おはよー!」
「有栖川さん、おはよう!」
彼女はセーラー服へ着替え、高校へ通うことにした。
段ボールの中に入っていた学生カバンには、生徒手帳や保険証なども入っていた。ネットで調べると自宅から十分通える距離だったため、試しに行ってみる事にしたのだ。
家主が着ている女子高生は『有栖川 芽愛梨』と言い、何と女子校に通う生徒らしい。そして今、セーラー服に生徒手帳を手にした彼は、華の女子校への
芽愛梨となった家主は、しばし女子高生ライフを満喫する事にした。芽愛梨はクラスの中心人物らしく、彼女の周囲には自然と人が集まってきた。まるで、『誰とでも仲良くする超能力』でも身につけているかの様に、芽愛梨は周囲の女子高生達から慕われていた。
それ故に、芽愛梨がクラスメイトと一緒に体操着へ着替えても、それどころか彼女らへ自然とボディタッチをしても、周囲の少女達は何も言わなかった。
寧ろ、
「メアリーちゃん♪」
「ひゃあっ!?」
芽愛梨の友人から、自分のおっぱいを揉まれる事もあった。
「ねえねえ、私達、メアリーちゃんと久しぶりに遊びたいなー! 放課後、何処かへ寄って行こうよ!」
そんな風に遊びへ誘われる事も珍しく無かった。
芽愛梨の身体を得た
だが、女子高生の遊びにはお金が掛かる。
少ない貯金がみるみる内に減って来た為、芽愛梨はお金を稼ぐ事にした。発育良好な美少女高校生である芽愛梨には、手っ取り早くお金を稼ぐ方法が存在するのだから。
◆
「はぁ、はぁッ……!」
服を盛大にはだけさせた女子高生が、ベッドの上で跳ね回る。正確には、ベッドに横たわった男性の上で、だ。
「メアリーちゃん、俺、もう……」
「うん、良いよ! あたしの
芽愛梨が甘い声で誘うと、彼女の膣内へ侵入した肉棒が限界まで膨らんだ。
「ひゃああああん!!」
薄いゴム越しでも伝わる、膣内へ注がれた液体の熱さに、芽愛梨は何とも言い難い至福を感じていた。
無論、最初は抵抗があった。
確かに、芽愛梨の美貌を用いれば、あっという間に大金を稼げるだろう。だが、芽愛梨を着ている者に取って、男性と寝て男性と性行為をするなど考えられない。
とは言え背に腹はかえられない。
『これはお金の為だ』と自分に言い聞かせて、ラブホテルへと重くなる自分の足を運んだ。
そのつもりだった。
自慰行為では得られる事が出来なかった快感に、自分の指では届かなかった膣内の敏感な箇所に、滾った男の性欲と共に熱い液体をぶち撒けられる感覚に病みつきになってしまったのだ。
昨日は、芽愛梨の豊満な胸で奉仕した。
男性は股間の肉棒を、少女の豊満な乳房で挟まれて擦られるのが、そして舌を這わされるのが大好きなのだ。
一昨日は、脚で奉仕した。
真っ黒なストッキングを履いて、足の指使いで男のペニスを扱くのだ。ビクン、ビクンと震えながらペニスが膨張するのを見るのは、一種の征服感すら感じられた。
五日前は、自分が攻められる側だった。
ベッドの上に組み敷かれ、強引に抱かれた。欲望のままに、膣内へ肉棒を出し入れされた。
だが、決して嫌な気分ではなかった。
寧ろ、『自分が求められている』事への嬉しさや、『自分の身体に溺れさせる』事に対する背徳的な快楽すら感じていた。
そしてこの前の日曜日には、クラスメイトの女子高生と身体を重ね合わせた。少女同士の性行為には、見た目の華やかさとインモラルな雰囲気が詰め込まれていた。
(そう、
その筈だったのだ。
◆
「んッ…………んくぅッ…………!」
身体から湧き上がる衝動に駆られ、芽愛梨は懸命に自分を慰めていた。しかし、どれだけ身体を弄っても、内側から湧き上がる熱を収める事が出来なかった。
芽愛梨が自宅に届いてから、美少女の皮が贈られて来てから、プレゼントの受け取り手は
アルバイト先には自身の姪と偽り、学生証を見せつつ『叔父からの伝言』を伝えた。見目麗しい美少女の見た目の所為か、簡単に騙す事が出来た。それ以来、この身体を使ってお金を稼ぎ、女子校のお友達と遊んだ。
もう、以前の人生など存在しなかったかの様に。
いつの日からかは忘れてしまったが、芽愛梨の身体で寝ると夢を見る様になった。この身体の持ち主が、『皮』になる夢を。あれはただ夢ではなく、ほぼ間違いなく芽愛梨の記憶だ。それが事実なら、彼女は何の罪もない可哀想な被害者なのだ。そして自分が結果として、この女子高生の身体を乗っ取り人生を横取りしている。
自分の行動が、悪い事なのは分かっている。
「でも……でもっ!」
指使いが激しさを増す。膣内を弄る指が、乳首をコリコリと刺激する指が、どんどん激しくなる。
「もう戻りたく……ない! この身体を、手放したくない!」
少女はベッドの上で絶頂を迎え、激しい快感により身体を痙攣させる。
『じゃあ、お兄さんの身体をくださいな』
「……!?」
突如として少女の声が聞こえた。芽愛梨は飛び起き、周囲を見渡す。だが、自分以外には誰もこの部屋に居ない。
(誰だ……今の声は?)
「『誰』だなんて、随分酷い言い草ね。
(…………え?)
気がつくと、身体が動かなかった。否、自分の意思で動かせなかった。芽愛梨の身体は意に反して動いている。裸体の女子高生はベッドから起き上がり、全身鏡の前へ移動した。
「私よ、『有栖川 芽愛梨』よ、お兄さん♪」
先程の声も、今聞こえた少女の声も、全ては自分が着ている筈の芽愛梨の身体から発せられていたのだ。
「ほら、私の身体って、皮だけでペラペラじゃない? だからね、丁度いい『中身』が欲しかったの。だってお兄さん、私の身体を気に入ったんでしょ? なら、このままずっと『私の中』に居てよ」
(な、何を勝手に……! うっ……!?)
身体の締め付けが急に強くなり、芽愛梨の脳内で呻き声が聞こえた。まるで、手に入れた獲物を逃がさない様に、自身の葉を閉じる食虫植物みたいだ。
「もー、それを言うならお兄さんの方が勝手じゃない! 『皮』にされた可哀想な女の子、その子の身体を使って楽しい事や気持ちいい事、いっぱいしたじゃない?」
(そ……それは……)
「でも、あたし的には兄さんが、欲望に負けちゃう悪い人間で良かったわ! だって、何の罪悪感も無く身体を貰えるんだから。それに、あたしも散々いい思いをさせてあげたんだから、これぐらい当然でしょ?
それじゃ、さようなら、お兄さん♪」
芽愛梨が自分の身体を抱きしめると、脳内に響いた声は完全に消え失せた。
◆
有栖川 芽愛梨は普通の人間では無かった。
彼女の家は魔術師の家系で、所謂オカルト的な力を持っていた。そして彼女は、『不老不死』の研究材料として、無理矢理身体に『悪魔』を憑依させられたのだ。彼女の両親は魔術よりも強力な悪魔の力を持って、先祖代々が夢見ていた不老不死の願望を成就させようとしていた。
だが、誰もが予想しなかった事が起こった。
芽愛梨は、
芽愛梨は自分をモルモットにした両親を殺害し、一人で家を出た。彼女は自由を謳歌した。15年間、不自由な思いをした分、遅れてやって来た青春を思う存分楽しみたかった。
だが、自由の身になってから1年後、彼女はある事に気がついた。やがて自分の青春が終わりを迎える事を、そして自分もいずれ死ぬ事を。魔術師は普通の人間よりも寿命が長い。が、悪魔を宿した自分とて、決して不老不死などでは無いのだ。
そして、芽愛梨は研究を重ね、僅か1年である魔術を編み出した。自分の身体を『皮』にする事で、自身の美貌を永遠のものにする魔術だ。初めてこの術を使った時は、恥ずかしながら恐怖心に襲われた。だが、それ以上に自分が永遠の時を生きられるという高揚感に包まれていたのだ。
最初に自分を着てくれる人間や、自分に協力してくれる人間はすぐに見繕う事が出来た。芽愛梨の人を惹きつける天性の美貌と、悪魔の力を用いた魅了の魔術を使えば、そうした人材は簡単に手に入る。後は『中身』を継続的に入手する必要があったのだが……それも問題はなかった。
先程取り込んだ者の様に、うだつの上がらない人生を送る人間にとって、『自分以外の何者かになれる機会』はとても魅力的な代物だ。それが見目麗しい美少女であるなら、尚の事だ。
かれこれ30年以上、芽愛梨は『17歳の美少女高校生』として過ごしている。女子校に通うのも、周囲の人間関係を構築するのも、彼女の美貌と魔術があれば容易い事だった。
こうして、再び身体の中身を得た芽愛梨は、財布を持って帰宅する事にした。安いアパート暮らしも悪くは無いが、やはり広い部屋が恋しい。都内にある高級マンション、管理を依頼した人間も退屈しているだろう。芽愛梨は数ヶ月過ごしたアパートに別れを告げ、歌を口ずさみながら駅へと向かった。