君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん 作:鳥稲のね
「よし、よし。偉いね、リア」
「……う、うるさいですっ……!」
僕はリアの頭を撫でた。
リアは弱々しく僕の手を払いのける。
「だって、君が頑張ってるからさ。せめて、少しでも励ましてあげないとね」
そう言いながら、さらに魔力を指先に集める。
今度は連続でいってみようか。
パチッ――パチッ――パチッ――
「……あっ!……あぁっ……!……いやっ!!」
連続で浴びせた雷に、リアの体が震え、唇から断続的に声が漏れた。
握っていた手が開き、指先が震え、体重を支える足も揺れているのが分かる。
「すごいよ、リア! これも耐えられるなんて」
「……くっ、こんな、ことで……!」
悔しさに滲んだその声を聞きながら、さらに魔力を込める。
指先に集まる稲光が、再び彼女の体を打つ。
パチッ――
「っ……あっ……!」
体が反応するたびに、金色の髪が揺れる。
「ほら、もう少しで終わるから。頑張ってね」
「……だ、誰が……こんなことで……音を上げるものですか!」
その強がりを聞きながら、指先を再び動かす。
パチッ――
「っ……きゃあっ……!」
可愛い悲鳴を上げるリア。
どこまで強がり続けられるのか――。
次の雷を放とうとしたとき、リアの体がふらりと揺れた。
「あ……」
思わず前のめりになった体を、僕はそっと支えた。
背後から腕を回し、そっと抱きしめる。
「大丈夫かい? 無理しなくていいんだよ」
「は、離してっ……!」
「いいじゃないか。こうして支えてあげた方が楽だろ?」
耳元で優しく囁くと、リアの肩がわずかに震えた。
「こんな、ことくらい……っ、いくらでも耐えられます……!」
「でも、立っているのも辛そうだよ?」
「……っ!」
再び小さく体が震えたのを感じながら、僕は笑みを浮かべた。
「でも、あと少しだから……ね?」
そして、抱きしめたまま、再び指先に魔力を灯した。
リアの背中から腕を回したまま、指先に再び魔力を集める。
青白い光が小さな稲光となり、教室の薄暗い空間に瞬いた。
パチッ――
「っ、あぁっ!」
雷が放たれた瞬間、リアの体がびくりと震えた。
後ろから抱きしめている僕の腕に、その衝撃が直接伝わってくる。
細い体が跳ねる感触。
早くなった呼吸のリズムが、背中越しに伝わってくる。
「大丈夫、大丈夫。もう少しで終わるからね。いい子だよ、リア」
耳元で優しく囁くと、リアは息を乱しながらも必死に答えた。
「だ、誰が……あなたなんかに……っ、そんな言葉かけて欲しいと……!」
「ただ、君の頑張りを褒めてあげてるだけさ……恋人として」
そう言いながら、再び指先を軽く動かす。
パチッ――
「っ……あっ……!」
体がさらに跳ね、喉の奥から短い声が漏れる。
背中越しに感じる心臓の鼓動は早く、息遣いも荒くなってきていた。
耐性を失った彼女にとって、この微弱な雷魔法ですら、何度も受ければ負担になるはずだ。
「本当に辛かったら休んでもいいんだよ?」
「い、いりません……っ!」
「でも、そんなに震えてるじゃないか」
「い、いいと言っているんですっ……! 早く、続きを……!」
その声には、悔しさと屈辱が滲んでいた。
強がる彼女の様子がますます愛おしく感じられて、僕は口元に笑みを浮かべる。
「わかったよ。じゃあ、もう少しペースを上げるね」
パチッ――パチッ――
「っ、あぁっ……! んっ……!」
連続で放たれた雷に、リアの体が小さく跳ねた。
肩が震え、背中越しに伝わる体温がわずかに上がっているのを感じる。
「信じられないくらい、よく頑張ってる。さすがだね、リア」
「……っ、あ、あなたに……そんな偉そうなこと……言われたく……ありません……!」
声が途切れ途切れになっているのは、耐えるのに必死だからだろう。
「もう少しだけだから。ほら、あと少しでリアのスキルが元に戻るよ」
指先に再び雷を灯し、再び三連続で放つ。
パチッ――パチッ――パチッ――
「っ、あぁっ! くっ……あっ……!……はうっ!」
リアの体がさらに震え、喉の奥から抑えきれない声が漏れる。
背中越しに伝わる鼓動がさらに速くなり、息遣いは荒く、かすかな汗が肌に滲んでいるのが感じ取れた。
「もう少しだよ、リア。ほら、頑張って」
「もう少しもう少しって……!それ……何回……言ってると思ってるんですか!」
その言葉を無視して、さらに指先に魔力を集める。
今度は少しだけ間隔を狭めて――。
パチッ――パチッ――パチッ――パチッ――
「っ……あぁっ! んっ……くっ……!……あ……はっ……!」
連続で放たれた雷に、リアの体は完全に震え、息を呑む音と短い声が混ざり合った。
後ろから抱きしめている僕の腕に、彼女の細い体が小さく震える感触が伝わってくる。
「……はぁ……はぁ……。い、一体……いつまで……続けるんですか!?」
悔しさに滲んだ声。
でも、もう立っているのも限界に近いだろう。
僕は彼女を優しく支えながら、最後の一撃を放つために指先に魔力を集めた。
「さあ、最後の一回だよ。これで終わるからね」
「っ……!」
バチバチッ――
「っ、あぁっ……!」
最後の一撃に、リアの体が大きく跳ねた。
ガクッと力が抜けたようにへたり込んでしまう。
彼女は最後まで耐え抜いた。
しばらくの沈黙の後、僕は優しく耳元で囁いた。
「これで、終わりだよ」
「……っ……はぁ、はぁ……」
荒い息を整えながら、リアは何も答えなかった。
ただ、悔しさと屈辱を滲ませた瞳で、じっと僕を睨んでいる。
その表情がたまらなく愛おしくて、僕は思わず微笑んだ。
「どう? スキルはもとに戻ったかな?」
彼女はよろめきながらも立ち上がった。
リアは指先に魔力を込める。
しかし……
稲光は起きない。
「……え?……どうして」
リアが愕然とした表情をしている。
「あ、そうだ。……リアは今も僕のことをまだ馬鹿にしているよね」
「……っ! そんなことは……」
明らかにうろたえている彼女。
疲弊していて取り繕うこともできない。
「最初に言ったことだけど、無能のことを馬鹿にし思っているならスキルは戻らないよ。せっかく頑張ったのに残念だったね」
「……さ、 詐欺です!あんなに辛い思いをして耐えてきたのというのに」
「詐欺はどっちかな? 僕のことを馬鹿にしていないと証明するために恋人になると誓ったのに、全然僕のことを何とも思っていないよね?」
「それは仕方ないでしょう! 誰が無能のことを、はい尊敬します、はい従います、はい喜んで、なんて心の底から思えるはずがありません!」
「じゃあ……リアは無能のままだね。しばらく頑張ってよ」
「そ……そんな……」
僕はリアに絶望を突き付けた。