※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第15.5話

SIDE:モモア

 

 

 

その夜、私はベッドの上で大きなクッションを抱きしめながら、じっと天井を見つめていた。

 

カーテンの隙間から差し込む月明かりが、ぼんやりと部屋を照らしている。

 

けれど、その静かな光は、少しも私の心を落ち着かせてはくれなかった。

 

 

胸の奥がざわつく。

 

じんじんと焼けるような感覚が広がっていく。

 

 

……理由は分かっている。

 

何度も、あのことを思い出してしまうからだ。

 

 

 

アルト……

 

 

 

同じクラスになった、あの無能の男子。

 

私からスキルを奪い、それを返す条件として、キスをしろと要求してきた。

 

 

「……っ!」

 

 

また、顔が熱くなるのを感じる。

 

……ありえない。許せない。

 

スキルを奪われただけでも腹が立つというのに、それを返す代わりにキスを求めるなんて、ふざけるにもほどがある。

 

私はクッションを蹴り飛ばし、布団に顔を埋めた。

 

 

「……なんで、なんであんなことを……!」

 

 

心臓がバクバクとうるさい。

 

あの時の光景が頭から離れない。

 

アルトのまっすぐな視線。

 

からかっているのか、本気なのか分からない口調。

 

しどろもどろになりながら、私は言い訳を重ねた。

 

 

……そして結局、私は彼の手の甲にキスをしてしまったのだ。

 

 

「……っ!」

 

 

悔しい。屈辱的だ。

 

炎の王女であるこの私が、あんな男に翻弄されるなんて。

 

なのに……

 

 

「……あいつの手、意外と大きかったな……」

 

 

ふと、そんなことを考えてしまった自分に気づき、慌てて頭を振る。

 

違う、違う! これは憎しみを忘れないため!

 

 

アルトの髪の色、背の高さ、骨格、顔立ち、鼻筋、声、仕草――

 

私はそれらを鮮明に思い出そうとする。

 

 

 

 

……違う!

 

 

 

これじゃまるで、あいつに恋しているみたいじゃないか!

 

 

 

 

私はアルトを絶対に許さない。

 

何度もそう自分に言い聞かせ、拳を握りしめた。

 

 

 

 

今朝の件……あれだってそうだ。

 

許せない。

 

恋人同士であれば一緒に学園へ行くものだと言われた。

 

 

「さあ、手をつないで行こうか。」

 

 

差し出された手。

 

ためらった自分。

 

意地でも拒否しようとしたのに、結局つないでしまった瞬間。

 

 

あの感触が、まだ手のひらに残っている気がする。

 

周りの好奇な目線に晒されながら、歩く通学路。

 

あまりの恥ずかしさに手を離そうとすると、アルトは強く握ってくる。

 

 

それだけでなく……

 

 

『モモア……綺麗だ。大好きだよ。』

 

「っ……!!」

 

 

顔が熱くなる。

 

体が熱くなる。

 

 

布団を頭まで被り、荒ぶる心臓を無理やり押さえつける。

 

 

(違う……こんなの、私らしくない!)

 

 

だけど、いくら否定しても、心の奥底では――

 

今日、手を繋いだ時のぬくもりが消えなくて、どうしようもなくなっている。

 

 

じっと手を見つめる。

 

自分の手のひらを、指を、ゆっくりと動かしてみる。

 

 

(私は……アルトと手を繋いだ……)

 

 

たったそれだけのことで、私は今こうして、まるで高熱を出したかのように体が火照っている。

 

 

(……違う、これは、ただ苛立って興奮しているせい)

 

 

そう自分に言い聞かせる。

 

 

でも……

 

 

『モモア……綺麗だ。大好きだよ。』

 

 

耳元で囁かれた言葉が、何度も頭の中をリフレインする。

 

くすぐるような低い声、近すぎる吐息、速くなる鼓動。

 

 

(んんんんん……っ!!!)

 

 

両手で頭を抱えてベッドの上をゴロゴロ転がる。

 

ダメだ、思い出してはいけないのに。

 

忘れなきゃいけないのに。

 

 

こんなにも憎くて仕方がないはずなのに……

 

 

(……もう一度言って欲しい……なんだったら、頭を撫でて欲しい……)

 

 

何を考えているんだ、私は!!

 

 

私は近くにあったクッションを全力で投げつける。

 

壁にぶつかると同時に、炎の魔法を放った。

 

 

―――ボンッ!

 

 

「あっ」

 

 

床に落ちたクッションは、一瞬だけ赤く染まり、じりじりと焦げていた。

 

だが、燃え上がることはない。

 

 

部屋の中には防炎の加護が付与されている。

 

壁も床も、布団も枕も、すべてが耐火処理済みだ。

 

……私が、時々、衝動的に炎を出してしまうせいで。

 

 

昔は酷かった。

 

 

寝ている間に無意識に炎を放って、部屋を黒焦げにしかけたこともある。

 

それに比べたら、今は成長したはず……なのだが。

 

久しぶりに部屋の中で火魔法を放ってしまった。

 

 

勢いよく布団を被り直し、深く潜り込む。

 

暗闇の中で、ひとつ、ふたつと深呼吸をする。

 

落ち着け。私は何もおかしくない。私は冷静だ。

 

 

私は、アルトと手をつないだ右手を、自らの脚の間に挟んだ。

 

太ももにキュッと力を入れて、手を股間に密着させる。

 

 

子供っぽい仕草かもしれない。

 

でも一人で部屋にいる時は、よくこの体勢でいる。

 

寝る前などは必ずやっている。

 

 

内股を閉めて、手が股間を圧迫するようにすると、何だか安心する。

 

指を動かす。

 

偶然を装ってアソコに触れる。

 

ピクっと体が反応してしまう。

 

自分の指をゆっくりと動かす。

 

ショーツの上から割れ目をなぞる。

 

くにくにと指を動かすと、少しずつ湿ってくるのを感じた。

 

 

「はぁ……ん……」

 

 

息が荒くなる。

 

もっと触りたいと思ってしまう。

 

 

「あ……ん……」

 

 

これまでも触ったことはあるけれど、今日ほど興奮したことはない。

 

体の奥底から快感が湧き上がってくる。

 

 

「はぁ……んん……」

 

 

徐々に動きが大胆になり、より強く押し当てる。

 

もっと触りたい。

 

ぎゅっと抑えつけ、ぐりぐりと押し込むように弄びたくなる。

 

 

「あ……はぅん……」

 

 

もどかしい快感に耐えかねて、枕から顔を上げ、ショーツの中に手を滑り込ませる。

 

今度は直接、割れ目を指でなぞる。

 

ぬちゃっとした感触。

 

思わず声が出そうになるのを、唇を結んで我慢する。

 

 

そして……

 

 

指先が小さな突起に触れた瞬間、全身が大きく跳ね上がった。

 

 

「はぁんっ……!」

 

自分の意思とは裏腹に、体がビクビクと痙攣する。

 

 

「あっ……あ……あっ……」

 

 

頭が真っ白になり、何も考えられない。

 

気持ちいい……。

 

 

「アルト……」

 

 

また口から出てきてしまったアイツの名前。

 

 

「違う……違うのにぃ……」

 

 

誰にも届かない言い訳をする。

 

 

「ああ、もう……!……アルトのバカ」

 

 

 

 

私は夜更けまで一人遊びを続けたのだった。

 

 

 

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