※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第17話

 

 

隣に立っているモモアに視線を移す。

 

 

「じゃあ、次はモモアだね」

 

「……」

 

 

リアにキスをしてもらったんだから、モモアにもしてもらわないとね。

 

 

モモアは無言のまま僕を見つめていた。

 

その瞳には迷いの色はなく、むしろ挑戦的な光が宿っているように見えた。

 

剣術の試合で相手が一歩踏み込んだとき、迷わず応じる――そんな戦士としての本能が、今この場でも働いているようだった。

 

 

「モモア?」

 

 

僕が名前を呼んだ次の瞬間、彼女は一歩、そしてもう一歩と僕に向かって踏み込んできた。

 

 

「んっ……!」

 

 

気づいたときには、モモアの唇が僕の唇を塞いでいた。

 

 

リアのときとは違う。

 

これは決して触れるだけのものではなかった。

 

唇がしっかりと重なり、その熱が直に伝わってくる。

 

やがてモモアは唇を離し、静かに一歩後ろに下がった。

 

 

「これでいい?」

 

 

彼女の頬は赤く染まっていたが……。

 

 

「え、えっと……あの……」

 

 

言葉が出ない。

 

躊躇せずに僕にキスをした!?

 

いや、これはどうせしろと言われるなら、勢いでやってしまった方がいいと言う感覚か?

 

モモアは剣士としても達人レベル。

 

剣術の試合としての駆け引きも相当なモノ。

 

何て言うか、ここでこれだけ押されたら……。

 

僕が照れてしまうじゃないか!?

 

それを狙っていたなら相当なモノ。

 

 

……でも、まあいいじゃないか。

 

 

モモアも僕の恋人なんだから。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

とにかく、学園へ向かおう。

 

僕は二人の手を取る。

 

右手にモモア、左手にリア。

 

 

「ちょっ、なに勝手に――」

 

「……っ!!」

 

 

二人とも一瞬驚いたような反応を見せるが、強く振り払うことはしなかった。

 

 

何かモモアもリアも不思議だな。

 

覚悟を決めて、僕にキスをしたかと思えば、こういうのはまだ恥ずかしがるんだよな。

 

 

「今日は三人で仲良く登校しよう」

 

 

そう言って、僕は二人の手を握ったまま歩き出す。

 

モモアは顔を赤くしつつも、視線を下げて何も言わない。

 

リアは悔しそうに口を噛みしめているが、手を振り払うことはしなかった。

 

 

 

――そして、学校へと続く通学路。

 

 

 

「……ちょっと待って。何かおかしな景色が見える」

 

「えっ……モモア様とリア様が?」

 

「なんか、誰か、男と、手を繋いでるんだけど!!」

 

 

僕たちが一緒に歩いているだけで、すれ違う生徒たちはざわめきを隠せない。

 

普段なら近寄ることすら許されない二人が、僕の隣に並び、しかも手を繋いでいるのだから当然だ。

 

 

「はぁ!? モモア様とリア様が?一体どういうこと!?」

 

「いやいやいや……あの男誰よ?」

 

「たしか無能のアルトだよ。昨日はモモア様と手を繋いでいたって聞いたが……」

 

「モモア様……モモア様ぁ……!! 目を覚ましてください!!」

 

「リア様……いや、ありえねぇ……何かの冗談だろ……」

 

「……いや、あの表情を見ろ。モモア様、ちょっと照れてる……」

 

「うそだろ……!!」

 

 

騒ぎはどんどん広がっていく。

 

面白い。

 

これが、"無能"が"英雄"の隣を歩いたときの反応か。

 

僕は微笑みながら、二人に囁く。

 

 

「みんな、僕たちのことを驚いてるみたいだね。モモアとリアみたいな美少女を連れて歩いてるから、うらやましいみたい」

 

「……あんた、そのうち袋叩きにされるんじゃない?」

 

 

……そうかもしれない。

 

 

 

 

 

――学園の門を抜け、校舎の廊下を歩く。

 

 

「あれ……? モモア様……?」

 

「リア様も……!? なんであんな奴と!?」

 

「……無能のアルトが、モモア様とリア様と一緒に登校してる……?」

 

 

男子生徒だけでなく、女子生徒たちの視線も痛いほど集まる。

 

 

「ありえない……こんなの、ありえない……」

 

「何かの取引が行われたの……? 無能って有力貴族でもない、平民だったよね」

 

「いや、でもあの距離感……完全にそういう"関係だよね……」

 

 

混乱と動揺が渦巻く中、僕たちはそのまま教室へと向かう。

 

 

――そして、教室に入る。

 

 

僕とモモアとリアが仲良く手を繋いで入ると、そこにいたクラスメイト全員が息を呑んだ。

 

 

「……え?」

 

「えっ……!? 何で……!?」

 

「マジかよ……」

 

「昨日はモモア様だけだったのに、今日はリア様まで……」

 

 

教室は一瞬静まり返った後、ざわめきが爆発する。

 

僕は二人の手を離し、それぞれ僕の隣に座らせる。

 

座ったのはララの席の近く。

 

ララは戸惑いながら僕を見た。

 

 

「おはよう、ララ」

 

「あ……おはようアルト君」

 

 

彼女は僕の隣に座るモモアとリアを見て、やはり驚いていた。

 

 

「あの……どうしてリアさんも……?」

 

「リアも、僕やララと仲良くしたいんだって? ねえ、リア」

 

「……はい、よろしくお願いします。ララ」

 

 

リアは少しぎこちなくも、ララに向かって挨拶をする。

 

僕にはツンツンしているけど、ララにまで邪険な対応をするわけではないらしい。

 

 

「え……あ、こちらこそよろしくお願いします」

 

 

少し戸惑いながらも、ララは挨拶を返した。

 

僕は微笑みながら言う。

 

 

「すごいね、僕たち、クラスカーストの上位グループみたいになったよ。ララが女子の頂点だね」

 

「そ……そんなことないよ。私なんて強くないし、お二人みたいに綺麗じゃないし……」

 

「人間の魅力って強さだけじゃないよ。それにララはかわいいと思うし」

 

「な……なに言ってるのアルト君……」

 

 

ララは顔を赤くしながら俯く。

 

 

「……でも、アルト君、どうやってリアさんとモモアさんと仲良くなったの?」

 

「僕は困っている人を放っておけない性格でね。二人の悩み事を聞いてあげたんだ」

 

「へえ、そうなんだ……」

 

 

クラスの生徒たちは、息を呑みながらこのやり取りを見つめている。

 

すでに、クラス全体が僕たちを中心として回り始めている。

 

クラス内での立場が劇的に変化していた。

 

 

ユノアも、僕たちのことを注意深く見ていた。

 

彼女はリアと違って、休憩時間になっても、僕たちに直接話しかけてくることはなかった。

 

モモアとリア、二人が僕の手に落ちているとあっては、うかつに動けないと思っているのかもしれない。

 

その判断は間違いではないけど、正解でもないよ。

 

ユノアは、すでに詰んでいる。

 

 

――さて、次の授業……魔術訓練での最中に、ユノアのスキルを奪おう。

 

 

リアとモモアが華麗に魔法を披露する中……。

 

ユノアだけが魔法を使えずに慌てふためく姿を、想像するだけで楽しくなってくる。

 

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