※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第20話

ユノアがスキルを失って、一人で悩み、毎日必死にスキルを取り戻す方法を調べている頃……。

 

 

とある休日、僕はモモアとデートすることにした。

 

僕からスキルを返してもらう代わりに、僕の恋人になったモモア。

 

モモアには、僕に反抗的な態度さえ取らなければ、恋人として扱うと言っていた。

 

半ば無理やり恋人にしたとは言え、恋人は恋人。

 

恋人ならデートくらいするだろう。

 

今まで、女の子とデートなんてしたことなかったけど……。

 

 

さて……モモアは王族だ。

 

高級なレストランとか連れて行ってもきっと喜ばないだろう。

 

逆に、下町とか連れて行ってやろう。

 

ゴミゴミした感じとか、汚さとか、その中にわずかに光る "良さ" を見せて、驚かせてやろう。

 

 

そうだ、チャビーメルトを食べさせてやろう。

 

チャビーメルト……それは「太っちょさんのとろけるホットサンド」といったところ。

 

超ガッツリ系ホットサンド。

 

トーストした食パンの間にハムやソーセージ、牛ステーキなんかをこれでもかってくらい挟んで、その上からチーズをどっさり乗せる。

 

そして、そのままオーブンで焼いてチーズをとろっとなるまで溶かす。

 

仕上げにトマトとビールをベースにしたピリ辛の特製ソースをかける。

 

サンドイッチだけど、ソースがたっぷりかかっているので、 ナイフとフォークがないと食べられない。

 

そんな王族が絶対に食べたことがないだろうB級グルメだ。

 

どこで食べてもおいしいんだけど、一番人気があるお店に連れて行くことにしよう。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「……本当に、行くの?」

 

 

目の前で少し不機嫌そうな顔をしているモモアは、今日も相変わらず炎の王女としての気位の高さを崩していない。

 

僕と恋人になってから、ちょっとデレ始めたかな……と思う瞬間があったものの、彼女の反発心は消えていない。

 

毎朝、登校する時に繰り広げられる攻防戦――

 

 

「手をつなぐの? ………えっと、今日はほら私、手袋してなくて……。」

 

「昨日もしてなかったでしょ?それに、素肌で触れ合えた方がいいに決まってるじゃん。」

 

「~~っ!! な、何言ってるのよ!」

 

「恋人同士なんだから、これくらい普通でしょ?」

 

「だって……! そ、それはそうかもしれないけど……!いや、そんなことはないけど!」

 

 

結局、僕が根負けしないと分かると、ため息混じりに小さな手を差し出してくる。

 

その度に僕は笑いながら、わざと耳元で甘い言葉をささやくのだ。

 

 

「モモアの手、温かいね。」

 

「~~~~っ!! そ、そんなこと言わなくていいから!」

 

「モモア、今日もいい匂いがする」

 

「何を言ってるの……!?私の匂いを嗅ぐな!」

 

 

耳まで赤く染めて、そっぽを向くモモア。

 

こういう反応が面白くて、ついついからかってしまう。

 

そんな僕らの奇妙な関係が続いている中で迎えた、当日――

 

 

今日は、ついにモモアとのデートだ。

 

 

「……で? どこに連れて行くつもり?」

 

 

モモアは腕を組み、ジト目で僕を見てくる。

 

王族である彼女は、きっと高級なレストランや、華やかなショッピングエリアでのデートを想像しているのだろう。

 

だけど、僕の目的は――そんなモモアを驚かせること。

 

 

「まあまあ、ついてくれば分かるって。」

 

「……なんか嫌な予感しかしない。」

 

 

僕はニヤリと笑い、モモアを連れて学園の敷地の門を出た。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「……ここ、どこ?」

 

 

モモアが辺りを見回しながら、不思議そうに眉をひそめる。

 

 

僕が連れてきたのは、クラウディア王国の王都・クラウディアシュタットの下町――

 

華やかな王城や高級住宅街とは違い、活気ある市場や、地元の人たちが行き交う賑やかな通り。

 

露店が並び、香ばしい匂いや甘い匂いが入り混じっていて、どこか懐かしさを感じさせる場所だ。

 

 

「な、なんでこんな場所に……。」

 

 

モモアは少し困惑した顔をしていた。

 

そりゃそうだ。

 

高貴な王族が、庶民の生活が溢れる下町に来るなんて、普通はありえない。

 

 

でも、だからこそ――

 

 

「王族のモモア様には、きっと初めての体験でしょ?」

 

「そ、そんなことわないわ……! それに、別に私、こんな場所に興味なんてないし……」

 

「ま、せっかく来たんだから、少し歩こうよ。」

 

「……仕方ないわね。」

 

 

ぶつぶつと文句を言いながらも、僕の後をついてくるモモア。

 

その様子を見て、思わず笑ってしまう。

 

なんだかんだで、少しは興味を持ってくれているらしい。

 

 

「な、何よ……!」

 

「いや、なんでも。」

 

「ムカつく……!」

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「ねえ、本当にどこに行くつもりなの?」

 

 

市場を歩きながら、モモアが問いかける。

 

 

「ちゃんと目的があるんだよ。王族のモモアが絶対に食べたことのない、最高のB級グルメを食べさせてあげる。」

 

「B級……? グルメ……?」

 

「そう。『チャビーメルト』って言ってね……」

 

 

僕は少し得意げに説明を始める。

 

 

「分かりやすく言うなら『太っちょさんのとろけるホットサンド』って感じになるかな」

 

「……ホットサンド? そんなものを食べるために、私をここに連れてきたの?」

 

 

呆れたような目で見てくるモモア。

 

 

「バカにしてるでしょ? でも、食べたら考えが変わるから。」

 

「……ふーん? どうせ普通のパンに何か挟んでるだけでしょ?」

 

「いやいや、そんなレベルじゃないって。トーストした食パンの間に、ハムやソーセージ、さらにステーキまで挟んで……。」

 

「ステーキ……?」

 

「その上から、たっぷりのチーズをどっさり乗せて、オーブンで焼いて、とろっとろに溶かすんだ。」

 

「チーズを……?」

 

 

モモアの表情が少しだけ変わる。

 

 

「さらに仕上げに、トマトとビールをベースにしたピリ辛の特製ソースをたっぷりかけるんだよ。」

 

「……な、なんか……すごくカロリー高そう……。」

 

「まあね。でも、その分美味しさも保証付き。」

 

「……そんなに美味しいの?」

 

「どこで食べても美味しいけど、今日行くお店は特に人気なんだ。」

 

「……。」

 

 

結構興味を持ち始めた様子のモモアを見て、僕は心の中でガッツポーズを決めた。

 

 

――さて、王女様をどれだけ驚かせられるか。

 

 

僕たちは、少し足早に『チャビーメルト』の人気店へと向かった。

 

 

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