君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん 作:鳥稲のね
夜、僕とメルキアがどんな遊びをしているかと言えば……。
正直、健全な遊びしかしていない。
「ご主人様、本日はこのゲームはいかがでしょう?」
テーブルの上は木製ブロックが綺麗に積み上がっている。
順番にブロックを抜いて、一番上に乗せていくゲーム。
タワーを崩してしまった人が負け。
メルキアが用意していたのは『○ェンガ』だった。
ちなみに『○ェンガ』って登録商標なんだって。
だからバランスタワーと呼ぶことにするよ。
「……いいね。シンプルだけど、手に汗握るゲームだ」
「はい。私も先日、貴族の方々と遊んだことがあります」
「え? もう経験済み?」
「ええ。とても盛り上がる遊びですね」
……嫌な予感がする。
メルキアのことだから、一度遊んでみた後、プロレベルの勢いで練習してそうだ。
バランスタワーのプロなんてあるのか知らないけど。
「では、ご主人様からどうぞ」
「よし……」
僕は慎重に指先をブロックの隙間に滑り込ませる。
最初の一手は比較的簡単だ。
――スッ……
僕は中央付近のブロックを軽く押し、ブロックを抜き取る。
そして一番上に積み上げた。
「ふふ、ご主人様、なかなかスムーズな手さばきですね」
「まあね。でもまだ序盤だし」
「では、次は私の番ですね」
メルキアは静かに手を伸ばし――
スッ……
まるで風が通り抜けるかのように、一瞬でブロックを抜いた。
「……は?」
「ふふ、このゲームは力加減が大切です。少しの摩擦と重心の移動を考えれば……」
「いや、待て待て! それ、なんか技術的におかしくない!?」
「ふふ……そんなことありませんよ。さ、ご主人様の番です」
くそ……やはり、メルキアが相手だと油断ならない。
とはいえ、ここで動揺していては負けだ。
「よし……いくぞ……」
――スッ……
問題なく次のブロックも抜くことに成功した。
「ふぅ……なんとか……」
「さすがですね、ご主人様。では、次は私の番ですね」
スッ……
メルキアはまたしても一瞬でブロックを華麗に抜き取った。
「ところでメルキア、もしかして……これ、本気で勝ちにきてる?」
「はい」
メルキアはにっこりと微笑んだ。
「ご主人様、ゲームは勝負です。勝負である以上、手は抜けません」
「いや、メイドがご主人様に勝つ気満々ってどうなんだ?」
「ふふ……これは知恵と技術の勝負です。手加減は失礼に当たりますよ?」
なるほど……では真剣勝負といきますか!
そして、ゲームは続いた。
慎重なブロックの抜き合いが続くうちに、タワーはどんどん不安定になっていく。
グラ……
「……っ!」
一瞬、タワーが揺れた。
僕の心臓が跳ね上がる。
「ふふ……そろそろ終盤ですね」
メルキアは楽しそうだった。
僕はじっとタワーを見つめ、次に抜くべきブロックを探す。
しかし、どこを見ても微妙だ。どれも少しでも力をかけたら崩れそうなバランスになっている。
……くそ、どれを抜けばいい!?
僕は慎重にブロックの隙間に指を当て、少しずつ力をかけてみる。
……これなら、いけるか?
スッ……
「よし……!」
「素晴らしいです、ご主人様」
メルキアは拍手をしてくれた。
だが、これでタワーのバランスが極端に不安定になってしまった。
これは、次の一手で崩れるような状態に見える。
そして、メルキアの番。
彼女はタワーをじっと見つめ、静かに手を伸ばした。
――スッ……
え!?
……まさかの成功。
「ほっ……なんとかなりましたね」
「いや、今の状態から抜くの成功するの……?」
「さ、ご主人様の番ですよ?」
僕は絶望的な気持ちでタワーを見つめた。
どう考えても、もう無理だろう……。
でも、もう逃げられない。
……くそ、やるしかない!!
僕は腹をくくり、手を伸ばす。
指先がブロックに触れ――
グラッ……ガシャァァァン!!
「っ!!!」
……終わった。
タワーは豪快に崩れ、木片が床に散らばった。
2度目、3度目の勝負も……やはり僕はメルキア勝てなかった。
悔しい。
4度目となると、もう僕も意地になってきた。
またしてもゲームの終盤。
今回もメルキアの正確無比な指さばきを見ていたら、どう考えても勝ち目がなさそう。
このままでは、確実に負ける。
……となれば。
奥の手を使うしかない!
メルキアが指先をブロックにかけた、その瞬間……。
―――チョンッ
「きゃんっ!?」
僕はメルキアの脇腹を軽くつついた。
彼女の体が一瞬びくんと跳ね、思わず息を呑む。
タワーも、かすかにグラついた……が、倒れない。
「ご、ご主人様!? 今のは……」
「……ん? どうしたの?」
僕はとぼけながらも、心の中でガッツポーズを決める。
これなら……ワンチャンある!
メルキアは少し頬を赤らめ、僕をじっと睨む。
「ご主人様、それは卑怯では……?」
「ご主人様の辞書に卑怯という文字はないのだよ」
メルキアは不満そうに唇を尖らせるが、ゲームは続行するしかない。
仕方なく、彼女は慎重にブロックを抜き取り、無事に成功させた。
「……ふぅ」
「それでも成功するのか……」
「ですが、先ほどの妨害行為は……」
「細かいことは気にしないで。ほら、次は僕の番だね」
僕は余裕の表情を作りながら、慎重にブロックを抜き取る。
よし、何とかクリア。
次はメルキアの番……。
メルキアがブロックを抜こうとしたその瞬間、再び……。
―――ツンッ
僕は彼女の脇腹をそっとつついた。
「……っ♡」
一瞬、メルキアの体がぴくんと震える。
タワーもかすかに揺れた……が、倒れない。
「ご主人様……?」
「何?」
メルキアは静かに僕を見つめた。
しかし、その表情には怒りはなく、どこか……色っぽい表情が浮かんでいた。
「あの……私、もう少し前の方が……その……弱いです」
「……え、そうなの?」
なぜ自分のウイークポイントを教えてくる?
僕が勝つまでやめなさそうだから、手加減を加えて来たのか?
もっと「ずるいです!」とか言って怒ってもいいのに。
逆に僕の方が動揺しつつも、なんとか次の自分のターンを無事に終えた。
そして、メルキアの番。
彼女が静かにブロックを抜こうとした瞬間――
―――ツンッ!ツンッ!
二連続で突いてみた。
メルキアが言った通り、先ほどより少し前の脇部分を。
「あっ……んっ……♡」
もう僕が突いてくると分かっているのの、メルキアは少しも抵抗せず、ただ受け入れた。
次のターンでも……。
―――チョンッ
「んぅ……♡」
さらにもう一回……。
―――チョンッ
「ふぁっ……♡」
―――ツンッ!
「あふっ……♡」
……これは楽しい!!
メルキアは何度も耐えようとするが、そのたびに小さく震え、顔を赤らめる。
そして……
ついに運命の瞬間が訪れた。
メルキアが意を決してブロックを抜こうとしたその時。
タイミングを見計らい……
――――こちょこちょこちょ!!!
僕はメルキアの両脇をくすぐった。
「ひゃぁうっ……♡」
ガタガタガタ……ガシャアアアアアン!!
タワーは派手な音を立てて崩壊した。
「……やった! 僕の勝ちだ!」
メルキアは呆然と崩れたブロックを見つめていたが、やがてふっと微笑んだ。
「……ご主人様、卑怯です」
「勝負は勝負だ!」
「そうですね……でも……」
メルキアは小さく息をつきながら、僕をじっと見つめる。
「バランスタワーをしている時じゃなくても、私にイタズラしてくれてもいいんですよ?」
「……っ」
メルキアは少し俯き、頬を赤らめる。
…………なんだ、この雰囲気!?
僕のささやかな妨害作戦は成功し、僕はついにメルキアに勝つことができた。
だが、それと引き換えに、何か変な空気が生まれてしまった。
「ご主人様……」
「何?」
「この後ですが……」
「うん」
「……次は『服の上から乳首がどこにあるか当てるゲーム』しませんか♡」
……一体何を言い出すんだ。
僕はメルキアにはメイドを求めているんだ。
そう僕はメルキアに基本的なクラッシックなメイドさんが好きなのだ。
遊び相手をするのは多少本筋とはずれているものの、メイド道の気高い精神こそ萌える要素なのだ。
卑猥な遊びを始めてしまったら、それはもう気高いなんてものはなくただの性風俗ではないか。
「うん、やろう」
実はバランスタワーゲームでメルキアを妨害している時……
すでに僕はメルキアの脇だけではなくて、おっぱいも突っついていた。
こうして、夜は更けていった。