※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第37話

 

僕の名前はアルト。

 

王立クラウディア魔剣士学園の一年生。

 

一切のスキルを持っていない無能。

 

七剣姫のような活躍がしたかったけど到底無理。

 

普通の青春時代を送ることさえも難しい……かのように思われたけど。

 

 

何と……僕は他人のスキルを奪う能力……を得ることができた。

 

 

その力を使って僕はモモア、リア、ユノア、メルキアと……七剣姫のうちの四人を僕に屈服させた。

 

最近、僕の入れ知恵でメルキアが大人気になって、何か三人は羨ましがってるみたいだけど。

 

 

さて、僕を馬鹿にした剣姫はまだ三人も残っている。

 

次のターゲットとのやり取りの前に、少し昔話を……。

 

これはまだ僕が学園に入る前、王都に来たばかりの頃の話だ。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

僕は王都のメインストリートを歩いていた。

 

王都ってすげぇ……。

 

いや、歩くっていうか、ほとんどキョロキョロしっぱなしだった。

 

 

人が多い。めちゃくちゃ多い。

 

肩がぶつかりそうなほど人がぎっしり詰まってるのに、みんな何か楽しそうに歩いてる。

 

特別な祭りの日なのかと思ったけど、どうやら違う。

 

ただの平日らしい。

 

 

「王都って、普段からこんなに賑やかなのか……」

 

 

地方の田舎町から出てきたばかりの僕には、何もかもが新鮮だった。

 

商店の軒先には色とりどりの果物が並び、露店では焼き菓子の甘い匂いが漂ってくる。

 

綺麗なドレスを着た貴族らしき女性が馬車に乗り、広場では大道芸人が火を吹いていた。

 

すげぇ。

 

こんな世界があるんだな。

 

完全におのぼりさん状態で、キョロキョロしながら歩いていた、その時だった。

 

 

「光の神姫レティシア様が出陣なさる! 道を開けよ!」

 

 

いきなり大声が響いた。

 

通りを埋め尽くしていた人混みが、ワラワラと左右に避けていく。

 

 

「なんだ……?」

 

 

戸惑いつつも、周りに合わせて僕も道の端へと下がった。

 

そして、声のした方を見ると……。

 

 

銀色の鎧を着た騎士が馬に乗り、高々と旗を掲げていた。

 

旗には王国の紋章……鷹のマークが描かれている。

 

その後ろから、槍を持った騎士たちがズラリと並んで進んでくる。

 

銀色の鎧が太陽の光を反射してキラキラ光っていた。

 

みんなデカい槍を持って、無駄のない動きで歩いてくる。

 

正直、めちゃくちゃカッコよかった。

 

 

「すげぇ……」

 

 

ただ歩いてるだけなのに、迫力がヤバい。

 

周りの人たちも、じっと息をのんで見つめている。

 

続いて、弓を持った騎士たちが現れた。

 

彼女たちは全員女性で、しなやかな体つきの騎士ばかりだった。

 

軽く弓を持ってるけど、その指先はいつでも弦を引けるような感じで、ピリッとした雰囲気をまとっている。

 

 

正直、めっちゃ綺麗な人が多い。

 

 

「女騎士……いいな……」

 

 

ぼそっとつぶやいたら、隣の知らないおっさんが「だろう?」ってうなずいてきた。

 

 

―――だろう? じゃねぇよ……。

 

 

心の中でツッコんだ。

 

でも、実際カッコよかったし、美しかった。

 

なんかもう、遠くから見てるだけで満足できそうな感じ。

 

……いや、できればもうちょっと近くで見てみたいな。

 

 

弓騎士隊の後ろからは、騎馬隊がやってきた。

 

馬に乗った騎士たちが銀色の甲冑をまとい、剣を持って堂々と進んでくる。

 

馬の蹄が石畳を打つ音が通りに響いた。

 

これが王国の軍の実力か……って、圧倒される。

 

 

「すげぇ……」

 

 

さっきから「すげぇ」しか言ってない気がするけど、本当にすごいんだから仕方ない。

 

 

こんな騎士団に目をつけられたら、ひとたまりもないだろうな。

 

田舎のチンピラがどれだけ粋がっても、一瞬で吹き飛ばされそうだ。

 

いや、僕も魔剣士としてやっていくつもりだけど、今の僕があの騎士たちに勝てる気はまったくしない。

 

マジで、これが本物の実力者ってやつなんだろうな。

 

 

……と、そんなことを考えていたら、突然楽隊の音が鳴り響いた。

 

トランペットが高らかに響き、太鼓の音がズシンと響く。

 

 

そして……

 

 

彼女が現れた。

 

 

一番輝く白銀の甲冑を纏い、白馬にまたがる銀髪の少女。

 

 

光の神姫――レティシア・ルーメンシュタイン。

 

 

馬に乗る姿が、もうすでに完璧だった。

 

ポニーテールにまとめられた髪が太陽の光を受けて輝いている。

 

威厳があるのに、偉そうな感じはせず、それでいて美しい。

 

 

「レティシア様ああああ!!」

 

「おおおおおお!!」

 

「王国の光よ! どうかご無事で!」

 

 

沿道の人々の歓声が凄まじい。

 

まるで王国全体が彼女を崇拝しているようだった。

 

 

そんな中、レティシアは静かに沿道の民衆へと視線を向ける。

 

王国の希望を背負う者としての眼差し。

 

 

「皆の者、どうか安心する。私は王国の剣として敵を滅ぼし、帰って来る」

 

 

彼女が語り掛けると、あれだけざわざわしていたのに、辺りが一瞬で静かになる。

 

彼女の言葉が終わると、群衆が一気に歓声を上げ、さらに大騒ぎとなった。

 

 

僕はというと

 

 

「……レティシア様と付き合いてぇ」

 

 

そんなことを考えていた。

 

 

もちろん、そんなの無理に決まってる。

 

雲の上どころか、天空の神殿にいるような人だ。

 

 

でも、もしワンチャン、奇跡が起こったら……?

 

……いやいや、考えるだけ無駄だな。

 

 

「せめて、女騎士の誰か一人と付き合えたらな……」

 

 

弓騎士隊の綺麗なお姉さんとかだったら、もしかしたら仲良くなれる可能性が……?

 

 

……ないか。

 

 

そんなことを考えながら、僕は去りゆく光の神姫の背中をぼんやりと見送っていた。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

この数日後、僕はクラウディア魔剣士学園のスキル判定会場にて『無能』の烙印を押された。

 

そして七剣姫全員から馬鹿にされる。

 

レティシアからも冷たい言葉を放たれた。

 

 

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