君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん 作:鳥稲のね
僕の名前はアルト。
王立クラウディア魔剣士学園の一年生。
一切のスキルを持っていない無能。
七剣姫のような活躍がしたかったけど到底無理。
普通の青春時代を送ることさえも難しい……かのように思われたけど。
何と……僕は他人のスキルを奪う能力……を得ることができた。
その力を使って僕はモモア、リア、ユノア、メルキアと……七剣姫のうちの四人を僕に屈服させた。
最近、僕の入れ知恵でメルキアが大人気になって、何か三人は羨ましがってるみたいだけど。
さて、僕を馬鹿にした剣姫はまだ三人も残っている。
次のターゲットとのやり取りの前に、少し昔話を……。
これはまだ僕が学園に入る前、王都に来たばかりの頃の話だ。
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僕は王都のメインストリートを歩いていた。
王都ってすげぇ……。
いや、歩くっていうか、ほとんどキョロキョロしっぱなしだった。
人が多い。めちゃくちゃ多い。
肩がぶつかりそうなほど人がぎっしり詰まってるのに、みんな何か楽しそうに歩いてる。
特別な祭りの日なのかと思ったけど、どうやら違う。
ただの平日らしい。
「王都って、普段からこんなに賑やかなのか……」
地方の田舎町から出てきたばかりの僕には、何もかもが新鮮だった。
商店の軒先には色とりどりの果物が並び、露店では焼き菓子の甘い匂いが漂ってくる。
綺麗なドレスを着た貴族らしき女性が馬車に乗り、広場では大道芸人が火を吹いていた。
すげぇ。
こんな世界があるんだな。
完全におのぼりさん状態で、キョロキョロしながら歩いていた、その時だった。
「光の神姫レティシア様が出陣なさる! 道を開けよ!」
いきなり大声が響いた。
通りを埋め尽くしていた人混みが、ワラワラと左右に避けていく。
「なんだ……?」
戸惑いつつも、周りに合わせて僕も道の端へと下がった。
そして、声のした方を見ると……。
銀色の鎧を着た騎士が馬に乗り、高々と旗を掲げていた。
旗には王国の紋章……鷹のマークが描かれている。
その後ろから、槍を持った騎士たちがズラリと並んで進んでくる。
銀色の鎧が太陽の光を反射してキラキラ光っていた。
みんなデカい槍を持って、無駄のない動きで歩いてくる。
正直、めちゃくちゃカッコよかった。
「すげぇ……」
ただ歩いてるだけなのに、迫力がヤバい。
周りの人たちも、じっと息をのんで見つめている。
続いて、弓を持った騎士たちが現れた。
彼女たちは全員女性で、しなやかな体つきの騎士ばかりだった。
軽く弓を持ってるけど、その指先はいつでも弦を引けるような感じで、ピリッとした雰囲気をまとっている。
正直、めっちゃ綺麗な人が多い。
「女騎士……いいな……」
ぼそっとつぶやいたら、隣の知らないおっさんが「だろう?」ってうなずいてきた。
―――だろう? じゃねぇよ……。
心の中でツッコんだ。
でも、実際カッコよかったし、美しかった。
なんかもう、遠くから見てるだけで満足できそうな感じ。
……いや、できればもうちょっと近くで見てみたいな。
弓騎士隊の後ろからは、騎馬隊がやってきた。
馬に乗った騎士たちが銀色の甲冑をまとい、剣を持って堂々と進んでくる。
馬の蹄が石畳を打つ音が通りに響いた。
これが王国の軍の実力か……って、圧倒される。
「すげぇ……」
さっきから「すげぇ」しか言ってない気がするけど、本当にすごいんだから仕方ない。
こんな騎士団に目をつけられたら、ひとたまりもないだろうな。
田舎のチンピラがどれだけ粋がっても、一瞬で吹き飛ばされそうだ。
いや、僕も魔剣士としてやっていくつもりだけど、今の僕があの騎士たちに勝てる気はまったくしない。
マジで、これが本物の実力者ってやつなんだろうな。
……と、そんなことを考えていたら、突然楽隊の音が鳴り響いた。
トランペットが高らかに響き、太鼓の音がズシンと響く。
そして……
彼女が現れた。
一番輝く白銀の甲冑を纏い、白馬にまたがる銀髪の少女。
光の神姫――レティシア・ルーメンシュタイン。
馬に乗る姿が、もうすでに完璧だった。
ポニーテールにまとめられた髪が太陽の光を受けて輝いている。
威厳があるのに、偉そうな感じはせず、それでいて美しい。
「レティシア様ああああ!!」
「おおおおおお!!」
「王国の光よ! どうかご無事で!」
沿道の人々の歓声が凄まじい。
まるで王国全体が彼女を崇拝しているようだった。
そんな中、レティシアは静かに沿道の民衆へと視線を向ける。
王国の希望を背負う者としての眼差し。
「皆の者、どうか安心する。私は王国の剣として敵を滅ぼし、帰って来る」
彼女が語り掛けると、あれだけざわざわしていたのに、辺りが一瞬で静かになる。
彼女の言葉が終わると、群衆が一気に歓声を上げ、さらに大騒ぎとなった。
僕はというと
「……レティシア様と付き合いてぇ」
そんなことを考えていた。
もちろん、そんなの無理に決まってる。
雲の上どころか、天空の神殿にいるような人だ。
でも、もしワンチャン、奇跡が起こったら……?
……いやいや、考えるだけ無駄だな。
「せめて、女騎士の誰か一人と付き合えたらな……」
弓騎士隊の綺麗なお姉さんとかだったら、もしかしたら仲良くなれる可能性が……?
……ないか。
そんなことを考えながら、僕は去りゆく光の神姫の背中をぼんやりと見送っていた。
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この数日後、僕はクラウディア魔剣士学園のスキル判定会場にて『無能』の烙印を押された。
そして七剣姫全員から馬鹿にされる。
レティシアからも冷たい言葉を放たれた。