君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん 作:鳥稲のね
僕のクラスには、七剣姫のうちの三人がいる。
―――炎の王女 モモア・フレイム・アルトドルフ
―――雷の皇女 リア・ヴォルデンベルク
―――大地の公女 ユノア・グランツバッハ
かつては、彼女たちも僕のことを「無能」と馬鹿にしていた。
魔法もスキルも持たない、剣の才能もない、戦う力すら持たない。
そんな僕のことを「そこにいても意味のない存在」 であるかのように扱った。
……だが、今は違う。
僕が一度、彼女たちのスキルを奪い、無能になる恐怖を味あわせた後に、忠誠を誓うことを条件にスキルを返した。
今や、彼女たちは僕のモノだ。
ある日の放課後。
「ねえ、アルト。ちょっといい?」
モモアが話しかけてきた。
その後ろには、リアとユノアもいる。
「いいけど、何?」
『ついてきて』 というジェスチャーをするモモア。
彼女に続き、リアとユノアも黙って歩き出す。
三人とも、今日はあまりしゃべらないなと思っていた。
……何かあったのだろうか。
ケンカでもしているのかな……なんて思っていたんだけど。
僕たちは校舎から離れ、人気のない場所に差し掛かった。
その瞬間……。
「んっ……♡」
モモアが、突然僕に抱き着き、唇を重ねた。
「……っ」
驚く間もなく、続いてリアが僕の唇を奪う。
モモアは少し恥ずかしそうにしていたが、リアは表情ひとつ変えない。
無言で、淡々としたキスをする。
「……あ、アルト様♡」
そしてユノアまでも。
ユノア……一番口付けしている時間が長い。
舌を絡めるような深いキスをしながら、僕の服を軽く引っ張るような仕草を見せる。
三人の剣姫たちが、次々と僕にキスをしてきた。
何なんだ、一体。
いつも大体は僕が無理やり僕がさせるような流れじゃないと、キスなんてしてこなかったのに。
驚いていると、三人の表情がどこか不安げなのに気づいた。
「実は……私たち、この後、先輩の剣姫から剣術の訓練を受けることになったの」
モモアが重い口を開く。
「先輩の剣姫……?」
「二年生の……光の神姫 レティシア・ルーメンシュタイン です。」
リアが、険しい顔で名前を告げた。
―――レティシア・ルーメンシュタイン。
学園最強の剣士。
七剣姫はそれぞれ七属性の最高峰であるのだが、魔物討伐戦での活躍度は属性相性によって左右される。
しかし、純粋な剣技のみで比べるなら、彼女が間違いなく最強と称される存在。
「……しごかれるの?」
「間違いなく……そうですね」
ユノアが肩をすくめる。
レティシア。
彼女もまた、僕を馬鹿にしていた者の一人。
そう……彼女も屈服させなければならない。
「……僕も見ておかないと。ついていってもいい?」
「そう言うと思ったの」
モモアが少し安心したように微笑む。
そして、僕たちは剣姫専用の訓練場へと向かった。