※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第41話

レティシアが膝をついたまま、荒い息をしている。

 

顔には汗が滲み、目には戸惑いと悔しさが浮かんでいた。

 

 

レティシアは手を開いたり、握ったりする動作を繰り返していた。

 

その指先が微かに震えている。

 

 

――力が入らない。

 

 

そんなふうに戸惑っているのが、彼女の表情からも見て取れた。

 

今までこんなことは一度もなかったのだろう。

 

 

さて……

 

 

「ねえ、レティシア様。何かおかしいと思いませんか?」

 

 

僕は何気ない調子で問いかけた。

 

 

「……何が言いたい?」

 

 

レティシアの目が鋭く細められる。だが、その中には不安の色があった。

 

 

「剣技を発動してみてくださいよ。得意の光属性の奥義を打ってみてください。調整が効かないとか別に気にしなくていいです。僕を巻き込むつもりでいいですよ」

 

 

僕がそう言うと、レティシアはふっと鼻を鳴らした。

 

 

「……お前たち、死んでも知らんからな。覚悟しろよ」

 

 

レティシアは剣を握りしめ、魔力を練り始める。

 

彼女は魔剣士……魔法と剣技の集大成たる存在だ。

 

魔力を剣に込め、奥義を放とうとする。

 

 

……だが。

 

 

何も起こらなかった。

 

 

レティシアの剣に、光は宿らない。

 

魔力を練ることができない。

 

何も生み出されない。

 

 

「……なぜ」

 

 

レティシアの表情は、明らかな愕然としたものになった。

 

 

「僕がレティシア様のスキルを奪ったんですよ」

 

 

静かに告げると、レティシアの目が大きく見開かれる。

 

 

「何だと……!? そんなことが……」

 

 

彼女は一瞬前の記憶をたどるように、宙を見つめた。

 

 

「……そう言えば、先ほどの違和感は」

 

「ああ、そうです。レティシア様と握手した瞬間……僕のものにしました」

 

 

僕は軽く手を上げ、指を鳴らした。

 

すると、僕の身体が淡く光り始める。

 

レティシアの持つ、光の剣技の魔力が、今は僕のものになっている。

 

 

「私のスキルを奪っただと……返せ!」

 

 

レティシアは怒りに燃え、僕に掴みかかる。

 

 

だが……

 

 

僕は軽く身を翻し、その手をひょいっと躱した。

 

 

「じゃあ、剣の訓練の続きをしてくださいよ」

 

「……は?」

 

 

レティシアが困惑したように眉を寄せる。

 

 

「いつもの訓練の三倍するんですよね?」

 

 

僕は肩をすくめてみせる。

 

 

「モモアも、リアも、ユノアも、待っていますよ?」

 

「いや……待て。お前が私のスキルを奪ったんだろう? じゃあ訓練なんて何の意味が……」

 

「戦場に立つ者に言い訳は不要……って言っているんでしたっけ?」

 

 

レティシアの顔が、はっきりと引きつる。

 

 

「お前……!」

 

「スキルがなかったら光の神姫様は何もできませんか?」

 

「くっ……!」

 

 

そのやり取りを見ていたモモア、リア、ユノアが、ニヤリと笑いながら剣を構えた。

 

 

「レティシア様、行きますよ?」

 

 

そして……

 

3人の木剣が、レティシアへと襲いかかる。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

レティシアは防戦一方だった。

 

 

「うわぁ、反応遅っ! いつものレティシア様だったら避けてたのに?」

 

「痛かったら痛いって言っていいんですよ? それでも、私たち遠慮なんてしませんから」

 

「うわ~……こんなにレティシア様に攻撃を当てられるなんて超気持ちいい」

 

「……くっ……!」

 

 

レティシアは、苦しそうに歯を食いしばった。

 

だが、明らかに先ほどまでの気迫はなかった。

 

スキルが無くなったせいか、彼女の精神的な強さまでが失われたかのようだ。

 

あれだけ気高く、誇り高かったレティシアが……。

 

 

「悪かった……」

 

 

今は、弱々しく謝罪していた。

 

 

「私が謝る……もう、許してくれ……」

 

 

木剣を何度も打ち込まれ、膝をつきながらレティシアは呟く。

 

 

「私たちだけじゃないでしょ?」

 

 

モモアが冷たく言う。

 

レティシアは苦しげに顔を上げた。

 

 

「……無能だと、馬鹿にして悪かった……許して欲しい……」

 

 

そして、僕を見つめる。

 

 

「スキルを返してほしい……」

 

 

僕はその言葉を聞いて、軽く首を傾げた。

 

 

うーん……圧倒的に優位なままレティシアをただ屈服させるのも、面白くない。

 

 

僕は彼女をじっくりと眺めた。

 

 

気高く、美しく、それでいてプライドが高く、誰にも屈しない……

 

そんなレティシアを、自分のものにしたい。

 

 

「……分かりました。スキルを返します」

 

「……!」

 

 

レティシアが驚いたように僕を見る。

 

 

「ただし、条件があります」

 

「……何だ?」

 

「光の神姫の武装して、僕の前に出てきてください。」

 

 

レティシアの表情が曇る。

 

 

「それで僕に謝罪し、忠誠を誓い、僕の言うことは何でも聞くと宣言してください」

 

 

レティシアはギリッと歯を食いしばりながらも、頷いた。

 

 

「……分かった」

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