君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん 作:鳥稲のね
「ここにいるトアは……七剣姫のリーダーでありながら、学園を混乱に巻き込んで、何の罪もないアルト様を亡き者にしようと企んでいました」
メルキアの澄んだ声が、廃校舎の静寂を切り裂くように響き渡った。
……トアは本気で僕を殺そうとしていたんだ。
「そうだったんだ……」
でも、心の奥底には確かに、ひんやりとした冷たいものが流れていた。
背筋に走る悪寒。
同時に、心のどこかでくすぶる怒り。
「多分、ご主人様が……六人も剣姫を従えていたのが気に入らなかったのでしょうね」
メルキアの瞳が細められ、笑みを浮かべながらも、その声の中には怒気が滲んでいた。
そして、当のトアは……魂が抜けたように呆然としていた。
唇をパクパクと動かし、何かを言おうとしているのに言葉が出てこない。
彼女は、誰よりも自分のスキルに絶対的な信頼を置いていた。
その力を武器に、七剣姫の頂点に立ち、誰よりも冷静で、誰よりも計算高く、そして誰よりも誇り高くあろうとしていた。
だがそのスキルを失ってしまった。
彼女の最大の武器を失ったその姿は滑稽だった。
戸惑い、怯え、思考を止めたまま、全てを諦めかけている。
「さて、ご主人様」
ふわり、とメルキアが僕の隣に歩み寄ってくる。
青い長いの髪が揺れ、優雅に微笑みながらも、声は鋭さがある。
「このトアは、どのような処遇をなさいますか?」
「……え?」
僕が振り返ると、メルキアは微笑を崩さず、言葉を続ける。
「ご命令をいただければ、私が手を下しますし、もちろんご主人様ご自身がなさっても構いません。私はお手伝いをいたします」
まるで、おもちゃをどうするか聞かれているようだった。
周囲を見る。
レティシアは剣を抜いたまま、静かにトアを睨みつけている。
リアは無言で怖い顔をしているし、モモアは腕を組みながら「ざまぁ」と呟いている。
ユノアは戸惑っている表情だが、やはり怒っているように見える。
ロザリアだけはそんなに表情は変わっていない。
「そうだな……」
僕はゆっくりと、トアに近づいた。
その顔には、もはやプライドも威厳も残っていなかった。
ただ、負けた者の顔……それだけ。
僕は、七剣姫全員を……自分のハーレムにするつもりだった。
それは、僕を無能だと馬鹿にしてきたことに対しての報復みたいなもの。
でも……殺そうとしてきた相手をハーレムに加えるなんて、ちょっと……ね。
巨乳は魅力的だけど、トアがもし従順になったとしても、全てを許すのは違うと思うし。
そういや、メルキアは『巨乳はお好きですか?』と聞いてきたけど、あれトアのことだったのか?
トアが僕を殺そうとしてるけど、それでもハーレムに加えるつもりですか?って意味だったの?
先に言っておいてよ。
「……学園に報告する。トアが関与した計画の全てを明らかにして、そして王国からの正式な沙汰を受けてもらう」
その言葉に、メルキアが小さくうなずいた。
「承知しました。では、報告するための準備を整え、私達でトアを連行していきます」
「……あ、でも」
僕は少しだけ口元を緩めて、続けた。
「その前に、一度僕の部屋に連れて帰るよ」
「……はいっ、承知しましたっ!」
メルキアはパアっと顔を明るくし、満面の笑みで返事をした。
まるで、好きな玩具を買ってもらった子供のように。
一方、トアは……
依然として何もかもが信じられないという表情を浮かべたままだった。