※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第69話

最初は、本当になんでもなかった。

 

『無能』とさげすまれる、ただの冴えない生徒だった僕。

 

それが今ではどうだろう。

 

 

七剣姫 ――― 王国に名を轟かす、美しき七人の魔剣士たち。

 

その全員を、僕は従えることに成功してしまった。

 

 

剣姫たちは元々、僕のことなど意にも介していなかった。

 

いや、それどころか……僕のことを馬鹿にしていた。

 

トアにいたっては、命を狙ってきた。

 

 

だけど、トアと体を重ねて話し合ってみると、魅力的な年頃の女の子でしかなかった。

 

最終的にはトアにも忠誠を誓わせた。

 

彼女が献上してきた魔石は、王国の秘宝に匹敵する価値があるほどだった。

 

……そして、僕は彼女が僕を殺そうとしたことを、不問にした。

 

 

だって、今となっては、彼女も僕のものだから。

 

 

七剣姫全員

 

モモア、リア、ユノア、メルキア、レティシア、ロザリア、そしてトア

 

彼女たちが僕に従い、僕のそばに寄り添っている。

 

 

日々はまさに、我が世の春。

 

学園の門をくぐるたびに、うっとりと見つめてくる生徒たちの視線。

 

誰もが振り返る美少女たちを従え、僕は廊下を歩く。

 

 

教室では隣の席に剣姫が控え、授業中も僕にしなだれかかってくる。

 

放課後は毎日、違う誰かとデートをする。

 

時には一緒に買い物を、時には剣術の手ほどきを受けたりもする。

 

かつての『無能のアルト』は、もうどこにもいなかった。

 

 

僕は変わった。

 

変われたんだ。

 

 

確かに『七剣姫の威光を借りているだけ』という噂もあった。

 

だが、次第に学園内の空気は変わっていった。

 

 

『アルトは、七剣姫を従える実力者』

 

 

そういう評価が、当たり前になっていった。

 

 

……だけど。

 

その中で、僕の変化に笑顔を向けてくれなかった女の子がいた。

 

 

ララだ。

 

 

誰にでも優しく、無垢な笑顔で接してくれる学園の人気者。

 

僕が無能だった頃から、対等に接してくれた、数少ない「普通の女の子」。

 

剣姫たちのような圧倒的な強さや美貌はないけれど、ララは……

 

ララだけは、僕のスキル奪取や七剣姫の威光を用いずに接していたかった。

 

 

聖花の日、僕はララに花を贈った。

 

でも……彼女からの返事は、彼女からのデートのお誘いはなかった。

 

 

いつしか、ララは僕から距離を置くようになっていた。

 

 

剣姫たちと僕が仲良くするのを、遠くから見ているだけ。

 

話しかけても、以前のように明るく返してくれない。

 

 

僕はずっと待っていた。

 

ララが、僕にアプローチしてくれる日を。

 

でも、いつまでたってもその兆候はなかった。

 

 

……だから、僕は決心した。

 

 

―――僕から告白しよう。

 

 

放課後、夕暮れに染まる校舎の裏庭。

 

ララを呼び出し、僕は素直に、まっすぐに、気持ちを伝えた。

 

 

 

 

 

「好きです。僕と……付き合ってください。」

 

 

 

 

 

――その返事は。

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。」

 

 

 

 

 

たった一言だった。

 

 

ナイフみたいに鋭く、僕の胸に突き刺さった。

 

 

彼女は僕の顔を見ようともせず、駆け足でその場を去って行った。

 

 

その背中をただただ呆然と見つめていた。

 

 

……振られた。

 

 

七剣姫を従える僕が。

 

 

誰もが羨む僕が。

 

 

……なぜ?

 

 

どうして……?

 

 

ショックで、体の芯が冷えるようだった。

 

 

だけど……ここで終わらせるわけにはいかない。

 

 

僕は七剣姫を見返してやりたいと必死になって『人のスキルを奪う能力』を授かった。

 

 

そうだ……

 

七剣姫のスキルを順番に奪って、それぞれを一時的にでも使っていれば……

 

僕が『すべての属性を使いこなす万能の英雄』だと錯覚させることができる。

 

 

モモアの紅蓮の炎。

 

リアの轟く雷撃。

 

ユノアの大地を操る力。

 

メルキアの水の魔術。

 

レティシアの聖なる光。

 

ロザリアの闇の支配。

 

そしてトアの、癒しの奇跡。

 

 

それらすべてを使いこなす男。

 

僕自身が英雄になれば、ララも見直してくれるはずだ。

 

 

……そう信じていた。

 

 

でも。

 

 

その日、僕は恐ろしい事実に気づいた。

 

 

スキル奪取を発動しても

 

スキルを奪えない。

 

 

いや、発動はできる。

 

……できているはずだ。

 

 

でも、七剣姫にも、それ以外の生徒にも、まったく効果がない。

 

 

「……なぜ?」

 

 

頭が真っ白になる。

 

焦りが、額に汗をにじませる。

 

 

『能力が消えた』わけじゃない。

 

 

でも『効かない』。

 

 

まるで、何かがブロックしているように。

 

 

僕の能力そのものが『スキルを奪う』ことを拒んでいるかのように。

 

 

 

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