※この作品はR-18です。

君が無能くん?魔剣士学園に入学したのに『スキル無し』?ねぇ今どんな気持ち?努力したって報われないのに希望とかあるの?普通の青春を送りたい?あはっ! 無能には無理に決まってるじゃん   作:鳥稲のね

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第71話

 

空が悲鳴を上げた。

 

 

 

まるでそのように感じた。

 

 

 

遠くから何かがやって来る。

 

 

 

学園にいた人間全てがそれを感じ取っていた。

 

 

 

魔力がほとんどない、僕でさえ……。

 

 

 

 

 

 

 

それは、まさに「災厄」だった。

 

 

 

 

 

 

 

異常が最初に観測されたのは、学園から北東、およそ十キロの地点。

 

遠くに見える山脈の影かと思われたものが……動いた。

 

 

 

巨大な黒い塊。

 

 

 

あまりにも黒く、輪郭が歪み、見る者の目に錯覚を起こさせるような不気味な存在。

 

5メートルを超える巨体が、地を揺らしながら歩いてくる。

 

全身を覆う漆黒の外殻、ねじれた角、腐肉と血と硫黄が混ざったような悪臭。

 

そして何より……その存在が放つ、圧倒的な瘴気。

 

 

「……あれは、なんだ……?」

 

 

最初にそれを見つけた行商人、次の瞬間に倒れた。

 

血を噴き出して、心臓が停止したのだ。

 

 

近隣の衛兵も異変に気付き、調べるために近づいた。

 

 

それだけで、死んだ。

 

 

その現象が分かるまで時間がかかった。

 

死なない距離が分かり、やっと自体が判明する。

 

あの存在には、即死のスキルがあると。

 

 

黒くて丸い塊のようだったものが、だんだん人の形のようになってくる。

 

人間の死を取り込んで成長しているようだった。

 

もはや巨人と呼べるような風貌になった黒い塊。

 

それを中心に、周囲には何十、何百といったデーモンの群れが従っていた。

 

獣とも人ともつかぬ異形たち。

 

地を這い、空を飛び、影に潜みながら、その先へと進軍していく。

 

 

奴らの進路には、家も森も、人も建物も、何一つとして残らなかった。

 

正確に、一直線に王立クラウディア魔剣士学園へと向かっていた。

 

 

 

王国はすぐに動いた。

 

 

最初に送られたのは、王都の精鋭騎士団。

 

選りすぐりの百人が、討伐に向かった。

 

だが、結果は……壊滅という言葉さえ生ぬるい。

 

 

 

消滅。

 

 

 

敵の前に姿を見せた瞬間、彼らは地面に痕跡すら残さず霧散した。

 

まるで存在そのものを消されたようだった。

 

 

続けて派遣された正規軍も同様だった。

 

集団での魔法攻撃も、対魔結界も、何一つ効果をなさない。

 

呪文が発動する前に、術者が倒れ、剣を構える前に腕が砕ける。

 

 

その巨体と異常な能力、そして、どこまでも真っ直ぐに、学園を目指す意志。

 

 

これは偶然ではない。

 

学園が、標的にされている。

 

 

 

 

つい数日前のこと。

 

七剣姫のひとり、トアが「闇ギルドによる暗殺未遂事件」を引き起こした。

 

学園内に混乱をもたらし、僕の命を狙われた一件だった。

 

 

だが、あれは全てトアによる自作自演だった……と思われた。

 

 

けれど……後になって分かったことだが

 

その事件の背後に、本物のスパイがいたのだ。

 

 

過激派を演じていた中の一部に、王国の敵、魔族と通じている者がいた。

 

それだけでも問題だったのに、その自分物は、今回の襲撃の起爆剤となる情報を、敵へと流していたのだった。

 

 

 

「七剣姫は、アルトという男に骨抜きにされている。

 守護者として機能していない今こそ、攻め込むべき好機だ」―――と。

 

 

 

この情報は、魔族の上層部へと伝わり

 

そして今、強大な敵が、学園へとその刃を向けている。

 

 

 

 

僕は幸運にも七剣姫を従えることができた。

 

しかし、人のスキルを奪うような能力が簡単に与えられていいものとは思えない。

 

 

7人もの美少女に好き勝手する権利を得ただけで飽き足らず、僕は英雄になろうとした。

 

そう思った途端、人のスキルを奪えなくなった。

 

 

 

これは、多分、正しい使い方しかできなくなったということではないか?

 

 

 

僕はあの強大な敵に立ち向かわないといけない。

 

 

 

幸い、七剣姫はまだ僕の味方だ。

 

彼女たちは僕を信じてくれている。

 

ララには……振られたけど、彼女も、学園も守るために動こう。

 

 

無能と言われたこの手でも。

 

奪うことしかできなかったこの力でも。

 

今こそ、守るために使いたい。

 

 

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