好きな人がいたら、その人に生きてもらいたいと考えるはずなので、原作ねじ曲げました。
男は戦地に向かう前に女を抱きたくなると言う。子を残したい本能なのだろう。古今東西言われていることだ。
柱稽古で隊士達は疲弊しているにもかかわらず、女を求める者が多かった。
男と女の隊士が意を決したように小屋に入っていくのを見かけた。
鬼殺隊士は女が圧倒的に少ないので、集団で変装して外出する者達がいた。
皆気がついていたことだった。次の戦いは最後になると。
鬼殺隊と鬼、どちらかが滅ぶまで戦うと。
だから誰も咎めなかった。
俺、伊黒小芭内は、そんなこととは無縁だと思っていた。
俺は女が嫌いだから。女が苦手だから。理由は割愛する。
しかし、俺にもそういう本能があることを、最近感じるようになった。
そして、すぐに思い浮かべた女は甘露寺だった。
甘露寺蜜璃は太陽のような女だった。
惚気ではない。
常に明るく振る舞っていた。常に元気だった。
ふとしたきっかけで、俺達は文通を始めた。
すぐに話せるのに何故か?俺は口が悪いからだ。
太陽を曇らせるのが怖かった。生物は太陽無くては生きていけないから。
甘露寺は俺にとってあまりに眩しすぎた。
あいつが太陽なら、俺は月でもない闇だ。
眩しくて、眩しくて、とても直視していられない。そんな存在だ。
断じて惚気てはいない。
俺は甘露寺を抱きたいと思った。
この感覚は正常だろうか?
第三者に聞いてみたくなった。
そんなことが聞ける相手は1人しか思いつかなかった。
「甘露寺を抱くぅ!?正気か?」
不死川の第一声がそれだった。
「何故いけない?」
「チンコがもげる。」
不死川は話を続けた。
「正直な、俺はお前から女を抱きたいと聞いて嬉しく思ったよ。でも甘露寺は無い。たしかに、あの女は見た目は極上だ。しかし怪力女だ。
いいか、女を抱くと言うことは、女の中に自分のチンコを入れるということだ。そして女は絶頂に近くなってくるとマンコが締め付けてくるんだ。普通の女の締め付けなら、男はそれを快感に感じる。しかし、甘露寺はおそらくマンコの力も強い。男のチンコは潰されるだろう。
悪いことは言わん。街へ行って女郎屋に行って、美人で優しくしてくれる女を捜すんだ。」
何だか不愉快になったので俺は帰った。
他の女を抱く?論外だ。俺は女が嫌いだ。
やはり甘露寺を抱くことにした。断られて嫌われたら、そこで終わりだ。
俺は最後の戦いで生きて帰れないだろう。俺は強くないから。
だから嫌われたら、女に縁の無かった一生を終えるだけだ。
嘘だ。俺は怖かった。甘露寺に嫌われるのが怖かった。
だから甘露寺の家まで行くのに右往左往しながら行った。
たどり着いてしまった。
甘露寺は笑顔で出迎えた。口下手な俺は単刀直入に言った。
「お前を抱きたい。」と。
「だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だだ。」
顔を真っ赤にした甘露寺の反応がそれだった。
「・・・駄目か?」
甘露寺は首を横にブンブン振って答えた。
「・・・お願いします・・・。今夜、伊黒さんの家に行きます・・・。」
俺は甘露寺の家を出た。
自分の家まで帰るのに右往左往した。
その夜、甘露寺が来た。
来た当初から甘露寺の顔は真っ赤だった。
真っ赤な顔で甘露寺は服を脱ぎ始めた。美しい女の身体を晒した。
俺も服を脱いだ。隊士としては貧相な細い身体を晒した。
甘露寺は俺の前で正座をした。俺もつられて正座をしてしまった。
「あ、あの・・・、せっ・・・性交とは、ど・・・どういうことをすればいいんでしょうか?」
「・・・男の陰茎を女の膣に入れることだ。」
「えーと、膣って、私のおマタ・・・ですよね?いきなりそこに入れて気持ちいいのでしょうか?」
「・・・多分いきなり膣には入らない。恐らくまず初めに口吻をする。」
何だこれは。初心な10代前半の男女でも、もう少しましな会話をするぞ。
「わかりました。」
甘露寺が目を瞑り、顔を突き出してきた。
俺は目を開けたまま、顔を突き出し甘露寺と唇を重ねた。
何かが違う。これでは子供の接吻と同じだ。
俺は甘露寺の側まで近づき、甘露寺を抱いた。背中に手を回した。温かい身体だった。
甘露寺も俺の背中に手を回した。俺の身体は冷たいだろう?
甘露寺の胸の鼓動が伝わった。大きい鼓動だった。俺の身体が震えるかと思った。
甘露寺が目を開けた。俺と目が合った。甘露寺の目は微笑んだ目だった。いつも俺に見せてくれている優しい目だ。温かい。落ち着く。
甘露寺が唇を離した。
「・・・あの・・・、多分、これ違うと思います・・・。」
「・・・そうだな。」
俺達は抱き合うのを止めた。先が思いやられると思った。
これが最初で最後なのに。
甘露寺は正座を止めて、床に正面に寝転がった。
「あの・・・多分ですね。私が寝て、伊黒さんは私の身体を揉むんです。・・・その、私の・・・胸や・・・お尻とか・・・。伊黒さんは、好きなように私の身体を揉んで下さい。それで・・・多分私も気持ち良くなれると思います・・・。」
「・・・わかった。」
俺はまず甘露寺の両胸を両手で掴んだ。柔らかかった。俺の指が甘露寺の肉に沈んでいく。
「ん・・・。」
甘露寺が声を出した。甘い声というのだろう。多分。今まで聞いたことの無い声。
俺は甘露寺の胸を揉んだ。力強く。
「あふ・・・、んん!くぅ・・・、はぁ・・・。」
これは嬌声というのだろうか?わからない。甘露寺は気持ち良いのだろうか?わからない。
わからないから、俺は甘露寺が言ったとおり次は尻を揉んだ。もし俺達が夫婦になったら、こうやって俺は尻に敷かれるのだろうな。そう思った。
絶対なれはしないのだが。
「んは!うう・・・。あう・・・。」
先ほどとは違う声を甘露寺は出した。間違えたのだろうか?
「すまない。気持ち悪かったか?」
「違うの・・・。気持ち良い。でも、伊黒さんが気持ち良く無さそうで、私が伊黒さんを縛ったみたいで切なくなって・・・。
お願いです。伊黒さんの思うようにしてください。私が従うから。私に要求してください。それで、私も気持ち良くなるはずだから。」
俺は考えた。すぐに考えるのを止めた。俺に知識は無い。だから本能に従うことにした。
俺は甘露寺の乳首を舐めた。吸った。これが俺の本能か?まるで赤子じゃないか。でも俺は本能に従い続けた。
「あはぁ!んふぅ!・・・あ・・・。はう!」
甘露寺の嬌声は続いた。当然母乳など出ない。でも俺は吸い続けた。
やがて俺は吸うのを止めた。そして俺は甘露寺に要求した。
「俺の身体を吸ったり舐めたりしてくれ。」
「はい・・・。」
甘露寺は簡単に俺を押し倒した。上下が逆になった。甘露寺は俺の上半身を吸った。舐めた。
甘露寺と目が合った。俺は正直恐怖した。俺を喰おうとした女鬼の目、俺を蔑んだ女達の目、それに似た目をしていたから。
俺はかぶりを振った。甘露寺がそんな目をするか?あり得ない。よく見ろ。確かに甘露寺は今までと違う目つきをしている。だがそれは、俺を慈しむ目だ。俺を愛して・・・いるかはわからないが、俺のことを想ってくれている目だ。恐れるな。このまま快感に身を委ねよう。
甘露寺の愛撫は心地よかった。俺を興奮させた。俺の陰茎を勃起させた。
甘露寺は俺を舐めるのを止め、立ち上がった。そして自分の膣の部分を見せた。
「私、毛深いんですよ・・・。下品ですよね・・・。剃ろうと思ったんですけど、これ以上毛深くなるんじゃないかと思うと怖くって・・・。」
「下品じゃない。それがお前なら・・・そのままでいい。少なくとも俺には綺麗に見える。」
「・・・あ。ん・・・く・・・。」
甘露寺は自分の膣と下腹部を押さえてもじもじしだした。床にポタポタと液体が落ちてきた。
「何・・・これ・・・。ごめんなさい!伊黒さん!私こんな、はしたないこと・・・。」
「いや、それは多分お前が興奮してきた証拠だ。男も同じような液が出る。これで、俺の陰茎をお前の膣に入れる。」
俺は立ち上がって、甘露寺を押し倒した。いや、甘露寺は俺の力では倒れないから、俺に身を任せて倒れた、と言うべきか。
俺は甘露寺の膣を手で広げた。甘露寺は顔を隠して恥ずかしがった。
「嫌ぁ。伊黒さん・・・。そんなに見ないで・・・。」
「見ないと入れられないだろう。」
「そうですけど・・・。」
甘露寺はしばらく恥ずかしがっていたが、突然上半身を起き上がらせて俺の腕を掴んだ。
「待って!伊黒さん!私、力強いから伊黒さんのオチンチン潰しちゃう!・・・やっぱり駄目ですよ、私なんか・・・。」
俺は甘露寺の顔を見た。目に涙を浮かべていた。
「私、散々お見合い振られたこと、正解でした。私は男の人を抱けない。止めましょうよ、伊黒さん・・・。」
「大丈夫だ、甘露寺。俺は潰れない。俺を信じろ。」
甘露寺の膣から再び液が垂れてきた。俺の言葉で興奮したのか?・・・有り難い。
甘露寺は再び横になった。今度は顔を隠していない。まっすぐ俺を見つめている。
俺は甘露寺の膣に陰茎を入れた。ゆっくりと。
「く・・・う・・・。」
甘露寺の膣は、いや女の膣に入れたこと自体初めてなのだが、まるで蛇に咥えられた様な感覚だった。戯れに鏑丸の口に手を入れたことがあるが、その時の感覚に似ていた。そのまま甘露寺の中を進んですぐ壁があった。処女膜という奴か?俺に破れるか不安があったが、もし破れなければ甘露寺を泣かせることになる。俺は力を込めた。
「ん、くぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
甘露寺の膣から血が出てきた。甘露寺は全身を震わせて涙を流していた。結局甘露寺を泣かせてしまった。かまわない。その分お前に快感を与えてやる。恐らく、後は獣の交尾と同じだ。俺は陰茎をそのまま甘露寺の中へ進めた。全部入った。
「あ・・・、あふっ!はぁっ!」
甘露寺が喘ぎ声を出している。甘露寺の中は蛇の体内のようだった。絡みついて俺を飲み込もうとしているようだった。潰そうとしているようだった。
でも駄目だ。俺が潰れれば甘露寺は絶望する。俺は潰れないように必死で力を込めた。
そして、甘露寺を喜ばせないといけない。俺は獣の交尾を思い出して腰を動かし陰茎を出し入れした。
「はぁう!あ・・・あう・・・。んふぅ!はぅ!あ・・・はぁ・・・。」
甘露寺の締め付けが更に強くなった。俺は甘露寺に聞いた。
「お前は力加減しているか?」
「・・・してません・・・。そんな余裕なんてありません・・・。」
「ならお前は普通の女性だ。腕力は強いが、女の部分は普通の、素晴らしい女性だ。」
「えっ・・・・・。」
甘露寺は真顔になって俺を見つめた。そして、また涙を流し始めた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!良かった・・・!良かったです・・・!」
「何回泣けば気が済むんだ、お前は。」
甘露寺は再び真顔になった。
「すみません。伊黒さん。・・・私を気持ち良くしてください。」
「ああ。」
そして俺は再び腰を動かした。甘露寺は喘ぎ声を出した。
「・・・すまない。俺のが出そうだ。・・・出して良いか?」
俺は聞いた。甘露寺は再び真顔になった。
「・・・すみません。外で出してください。」
俺は浮かれていた。甘露寺がこう答えることはわかっていたのに。
「私は痣が出現しています。今度の戦いで死ぬか、生き残っても数年で死にます。子供を妊娠したら、産んだら、悔いが残ります。・・・ごめんなさい・・・。本当に、ごめんなさい・・・。」
甘露寺は、また泣いた。
俺は、甘露寺の身体から陰茎を抜き、泣いている甘露寺の身体に精を放った。
「あ・・・あ・・・、はぁ・・・。温かい・・・。ごめんなさい・・・。産まれたがっている子供達の種を・・・無駄にしてしまいました・・・。ごめんなさい。」
甘露寺は泣き崩れていた。俺は何も言葉をかけてやれなかった。
その後、俺達は身体を拭き、服を着て、甘露寺が帰るのを見送った。
俺も、甘露寺も、終始無言だった。
俺は結局、甘露寺を悲しませてしまった。傷つけてしまった。
太陽を曇らせてしまった。
どう償えばいい?どうすれば甘露寺を死なせずに済む?
どうすれば、太陽が輝き続けられるように出来る?
俺は考えた。考えた末に、可能性があることに気がついた。
それは、俺よりも深い闇と契約することだった。
「・・・痣による寿命の減少を元に戻す薬ですか。」
俺は、珠世という女鬼の元を訪れていた。
この女が話す度に血の臭いがし、俺は鬼に対する殺意をかき立てられた。
胡蝶は、この女鬼と無惨を倒す為の薬を研究しているらしい。あの女は、俺より鬼に対する憎しみが強いはずだ。よくこの女鬼と長い間共にいられるな。俺は、改めて女という生き物の執念の強さを感じた。
「わかりました。人を鬼にする薬を応用すれば可能かもしれません。・・・可能性は低いですが。」
「・・・。すまない。頼む。」
俺は頭を下げた。鬼になど頭を下げたくなかったが。
「・・・あなたは鬼を深く恨んでいますね。」
俺は黙っていた。
「それでも、私に頭を下げるほど、助けたいのですね。甘露寺さんのことを。」
俺は頭を上げた。
「・・・何故、甘露寺の名前が出る?」
「彼女は、あちこちであなたのことを吹聴しています。私の元にも来ました。」
あいつ・・・。
「伊黒さん。薬を作る代わりに条件があります。彼女を、甘露寺さんを守り通してください。傷が残らないようにしてください。傷が身体に残ることは、女にとって辛いことです。必ず甘露寺さんを守ってください。お願いします。」
「・・・わかった。約束する。」
俺は女鬼と契約した。
その後、俺は柱稽古を続けた。甘露寺にも会った。甘露寺は以前と変わらず俺に話しかけてくれた。以前と変わらず太陽の微笑みで。
だが、俺の罪の意識は消えなかった。太陽を曇らせた罪の意識は消えなかった。
ある朝、俺は女鬼に呼ばれた。
箱を渡された。中に入っていたのは小さな注射器だった。
「痣を出なくさせ、寿命を元に戻す薬です。1つだけしか作れませんでした。それを投与すると一時的に昏睡状態になります。だから、全ての戦いが終わった後か、もう甘露寺さんを戦わせられないと判断したときに使ってください。そして、約束通り甘露寺さんを・・・」
「必ず守る。俺の命に代えても。」
女鬼は悲しげな顔になった。
「感謝する。」
俺は頭を下げ、女鬼の元を去った。
女鬼は悲しげな顔のままだった。
その夜だった。
鬼舞辻無惨が襲来したのは。
俺と甘露寺は共に行動した。
俺は甘露寺を守り続けた。そして案の定大して役に立てなかった。
そして、無惨との対決が始まった。
無惨と戦い始めて数分で、俺は甘露寺を守り切れないと悟った。だから甘露寺に「作戦を立てる」と告げて2人で退避した。他の鬼殺隊士が隠れている場所に。
「早く戻らないと!皆が殺される!作戦があるなら早く言って!」
甘露寺は焦っていた。当然だ。そして、俺はこれから皆を裏切る独善的な行動をする。
済まない。その代償は俺の命で償うから。
「・・・甘露寺、腕を出してくれ。」
「・・・?何ですか?」
俺は鏑丸に飲み込ませていた注射器を吐き出させて、甘露寺の腕に投与した。
「・・・・・・・・・・え?」
「痣を出なくさせて寿命を元に戻す薬だそうだ。珠世という女鬼に頼んだ。鬼の言うことなど信用できないが・・・。これがあれば、お前が数年で死ぬことはない。」
「・・・何で。なんでこんなことをするんですか!痣がなければ私なんて役に立たない!これから無惨と戦うのに何で!」
「俺がお前の分まで戦う。お前は、戦わない。・・・戦えない。」
甘露寺が昏睡状態になってきたのか、フラフラしだした。
「・・・駄目。私は戦うんだ・・・。皆を守らなくちゃ・・・。」
「それは俺の役目だ。俺も恐らく痣を発現する。その力を使い切る。・・・間違いなく俺は死ぬ。甘露寺、お前は生きてくれ。」
甘露寺は、意識を失わないように必死で腕を噛んだ。無駄だ。痣が強力なように、その薬も強力に違いない。案の定、甘露寺は倒れた。
「・・・お願い・・・、伊黒さん・・・、私を置いて逝かないで・・・。何で・・・大好きなのに・・・、愛し合ったのに・・・。」
「・・・すまない。」
「嫌・・・い・・・や・・・。・・・・・・・・・。」
甘露寺は動かなくなった。俺は他の隊士達に告げた。
「俺の最後の指示・・・いや、お願いだ。1つ目は、お前達は絶対に生き残ること。2つ目は、甘露寺を守ってくれ。・・・頼む。」
隊士達は「了解しました!」と言った。俺は、戦場に戻った。
俺は予想通り痣を発現した。俺は、今まで役立てなかった分まで、甘露寺の分まで戦った。無惨の毒を含んだ攻撃を、俺はいくつも受けた。全身傷だらけになった。無惨の触手が俺の左腕を切断した。もし甘露寺が腕を失っていたらと考えると、これくらいなんて事は無い。
仲間がいたため、俺は最後まで戦うことが出来た。朝日が昇り、無惨の身体が焼けていった。
俺はこれで終わったんだと思った。俺は倒れた。
死の眠気が来た。
甘露寺、すまない。お前を置いて逝って。
俺は生まれ変わることなんて信じていない。もう、お前に出逢うこともない。
嫌だ、俺はお前に逢いたい。いつかもう一度人に生まれ変わってお前に逢いたい。
叶うならば。俺は神も仏も信じていないが。叶うならば。
そう思いながら俺は死の眠りについた。
注射をされる感覚がした。2本くらい。
俺は覚めないはずの目を開けた。上を見上げた。
そこには鬼殺隊士がいた。大きな札を目に付けていた。
お前は・・・。
俺の意識は再び途絶えた。
再び覚めないはずの目を開けた。
目が合った。甘露寺だった。
「良かった・・・。伊黒さん・・・。目を覚ましてくれなかったら、どうしようかと・・・。」
甘露寺の涙が俺にかかった。
「・・・痛い。」
「あっ、ご、ごめんなさい!伊黒さん!顔拭きますから!」
甘露寺に顔を拭かれた。物凄く痛かった。
・・・しかし、何故俺は生きている?痣は?毒は?
「珠世様の薬の力だ。」
今まで気がつかなかったが、鬼の臭いがした。愈史郎という珠世の従僕だった。
「珠世様は、お前に痣を消す薬を渡した後、必死で同じ薬を作られた。1つだけ完成し、お前に投与した。同じく無惨の毒を打ち消す薬を作られた。あの化け物の考えなど珠世様はお見通しだった。薬はお前と炭治郎達にも投与した。悲鳴嶼行冥は死んだが・・・。」
俺は命の礼を言わなかった。
「・・・何故、俺を助けた?」
「珠世様のご意志だ。そして伝言だ。「比翼の鳥は一羽では生きてはいけない。」だそうだ。その女を一生守り続けろ。珠世様のご命令だ。」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
甘露寺は頭を下げた。しかし、
「勘違いするな。俺はお前達を身勝手な存在だと思っている。痣から助かったのはお前達2人だけだ。他の者は助からない。その重みを一生背負って生きろ。」
そう言って愈史郎は姿を消した。
その言葉は俺達に深く突き刺さった。
事後処理を終えて鬼殺隊は解散した。
それぞれが、それぞれの人生を歩み始めた。
俺達はまだ結婚していない。性交もしていない。愈史郎の言葉が深く突き刺さって。
ある日、結婚する者がいた。痣を発現した者だった。挙式で甘露寺は笑顔で祝福した。俺は無愛想に式に参加した。
その式の帰り、甘露寺が言った。
「私達、結婚しませんか?」
「結婚したいのか?」
「愈史郎さんの言葉が気になってますか?」
「・・・ああ。」
「・・・私、あの人、嫌いです。」
俺は驚いて甘露寺の方を向いた。
「炭治郎くんに聞きました。あの人、珠世さんに頼んで鬼にしてもらったそうじゃないですか。それって私達と同じじゃないですか。なのに自分のこと差し置いて私達を身勝手だって。何様のつもりですか、プンスカ!」
「お前、図太いな。」
「そうですよ。私は図太くて身勝手なんです。私は、あなたに命を与えられてそう生きるって決めました。そう決めるまで長い時間がかかったけど、今決めました。
他の人たちが痣で亡くなるとき、私は間違いなく泣きます。身勝手だと言われるかもしれないけど、そう言われる覚悟も出来ました。だってそうじゃないと生き延びた意味がないから。」
「・・・俺は、そんな風には生きられない。俺は幼少の時、鬼の生贄にされて、逃げて、そのせいで大勢の人間が死んだ。今でもその怨念が俺の心を掴んで離さない。・・・それは文通で書いたな。」
「はい、知っています。その時、私はなんと返事を書きましたか?」
「「あなたは、優しい人ですね。私にもその重荷を背負わせてください。あなたは繊細な人だけど、私は図太いから平気です。」」
「覚えてるじゃないですか。」
「どう背負うつもりだった?」
俺は悪い癖が出た。ネチネチと。止めろと思っているのに止められなかった。
「お前に俺がどれだけ過去で苦しんでたかわかるか?わからないだろう?それはお前の自己満足なんだ。お前に俺の過去は背負えないんだ。
お前が痣を発現させて、それで数年しか生きられないと知ったとき、俺がどれだけ悩んだかわかるか?俺は、お前に「死にたくない」と言って欲しかった。生まれ変われたら?そんな保証が何処にある?俺達にはこの生しかないんだぞ。
俺も、戦いで死のうと思っていた。そうすれば、過去から解放されると思っていた。・・・それしか解放されないと思っていた。最後にお前と共に死ねれば幸せだと思っていた。
でも、お前を抱いて考えが変わった。お前だけは生きてて欲しいと思った。だから俺は狡いやり方をした。他にも生きたかった者達がいるはずなのに、それを見捨てて、お前だけ生き残らせる方法をとった。
・・・俺も生き残ってしまった。俺は望んでいなかったのに。俺は更に重いモノを背負って生きなければならなくなった。
苦しいよ。とても苦しい。どうすればいい?助けてくれ・・・。」
俺は甘露寺に抱きしめられていた。
甘露寺は俺の顔を自分の胸に当てた。・・・温かい。甘露寺の鼓動を感じる。
「・・・ありがとう。あなたの心を聞かせてくれて。
そしてごめんなさい。今の私には、それしか言えない。
・・・私が、あなたの重荷をどう背負うつもりだったか教えてあげます。
一緒に戦いで死ぬつもりでした。あなたが死ぬつもりなのは感じていたから。来世ではあなたと添い遂げられたらって思ってました。私は馬鹿だから。そんな根拠もないことに縋っていました。
でも、私はあなたに命を与えられました。私はその命をあなたの重荷を減らすのに費やします。無くすことに費やします。・・・自信も保証もないですけどね?でも、一生かけてでもやりきって見せます。
あなたが何故生き残ったか?私に嫌みを言うためです。ネチネチと。私はそれを聞いて「負けるもんか!」と発憤します。やる気が出ます。一生それを続けてください。
でも・・・、これは私の贅沢ですけど、時々私に優しい目を向けてください。これまでみたいに。そして、稀で良いから笑顔を見せてください。
それがなければ、私は生きられません。それがあるから、私は生きていけます。
これからも私に助けてくれと言ってください。必ず助けます。自信はないけど。
私もあなたに助けを求めます。嫌みを言いながら助けてください。
それだけで、私は幸せです。」
俺は泣いていた。甘露寺の胸の中で。
甘露寺は抱きしめてくれていた。いつまでも。
その1~2ヶ月後、俺と蜜璃は挙式をあげた。
式には大勢の人が集まった。蜜璃の人望だと思った。違った。俺にも祝いの言葉をかけてくれた。俺はそんなことに慣れてないから戸惑った。蜜璃は、それを察して支えてくれた。
俺は燕尾服を着させられた。蜜璃はウエディングドレスとやらを着ていた。確かに蜜璃の白無垢姿は想像できない。
でも、その姿の蜜璃は美しかった。惚気ている?その通りだよ。
蜜璃は式の中でもバクバク食べていた。皆と集まってはしゃいでいた。
俺は蜜璃を別室に連れて行き「自分の挙式ではしたない」云々と嫌みを言った。10分間くらい。蜜璃は正座をして聞いていた。それが俺の妻に対する最初の嫌みだった。
これから一生妻に対して続ける嫌みの最初だった。
式の夜、俺達は式を開いたホテルの一室にいた。
完全なる洋式の部屋。ベッドというものは寝づらかった。眠れなかった。
俺のベッドに誰かが蛇のように潜り込んできた。わかっている。蜜璃だった。
「・・・起こしてしまいました?」
「いや、眠れなかったから、いい。」
「じゃあ、これからいやらしいことをしましょうか・・・。」
蜜璃は舌舐めずりをした。蜜璃の目を見た。淫靡な目だった。こんな蜜璃は見たことがない。
「私、性交の本を読んで勉強しました。大丈夫です。必ずあなたを満足させてみせます。」
「俺も読んだ。・・・恥ずかしくなって途中で止めた。」
「では、あなたはそのまま寝ていてください。私が気持ち良くしてあげますから。」
俺の掛け布団は投げ捨てられた。そして蜜璃は裸になった。性交の本とは段違いの豊満な女の身体。この身体に欲情しない男はいないはずだ。
俺は、寝間着をあっという間に脱がされた。裸にされた。華奢で傷だらけで左腕がない。こんな身体に欲情する女がいるのか?
蜜璃には関係無かった。蜜璃の呼吸が荒くなった。
「小芭内さん、私と初めに口吻をしましたね?あれ、間違いじゃなかったんですよ。やり方が違うだけで。」
そう言うと蜜璃は俺と唇を重ねた。だけじゃなかった。舌を入れてきた。
驚いた俺は思わず口を開けた。蜜璃は顔の角度を変えて俺の口を咥えだした。まるで蛇が獲物を丸呑みするように。そのまま舌を絡められた。歯を舐められた。しばらくそれは続いた。蜜璃は口を離した。口に俺の唾液がついていた。蜜璃はそれを舌で舐めながら「うふふ。」と笑った。
蜜璃は、這いながら俺の下半身に移動した。そして、俺の陰茎に顔を合わせて、そのまま咥えた。根元まで。本当に蛇のようだった。蜜璃の口の中で俺の陰茎が舐められた。吸われた。今まで感じたことのない感覚だった。それが快感だったのかわからないが俺は精を放った。蜜璃は、それを吐き出さずに飲んだ。むしろ、俺の陰茎の中の精まで吸い出した。
「・・・お前、赤ん坊の種が無駄になるって言ってなかったか?」
俺は皮肉を言った。それしか出来なかった。俺の陰茎から口を離した蜜璃は笑みを浮かべて、
「私は身勝手になったんですよ、小芭内さん。種は無数にありますが、一度に産まれてくる子は2人か3人が限界です。むしろ、私が飲み込んだ種は私の栄養となって、一生私の中で生き続けます。私はそれを幸せに感じます。そして、あなたが私の行為で快感を感じて、精を放ってくれたことに喜びを感じているんですよ。」
俺は、女が恐ろしい生き物だと改めて感じた。
蜜璃は、俺の陰茎に触れた。
「少し、柔らかくなっていますね。私が、また元気にして見せます。」
蜜璃は、両胸で俺の陰茎を挟んできた。蜜璃の胸は俺の陰茎の先端以外が埋もれてしまうほど大きかった。それで揉み始めた。こすっていた。陰茎の先端を舐めていた。
温かくて、なまめかしくて、気持ち良くて、俺はまた精を放った。蜜璃の胸に、顔面に。
「んはぁ・・・。」
蜜璃が淫らな声を出した。そして精液まみれの顔で微笑んだ。
「頼む。顔と胸を拭いてくれ。・・・見ていられない。」
蜜璃は、少し切なそうな顔をして、ベッドから降りた。そして拭いてきたのか、ベッドに飛び込んできた。比喩ではなく、飛び込んできた。獲物に襲いかかる獣のように。
そして、俺に自分の膣を見せてきた。
「これから、あなたの上に乗ります。あなたは、私のココに指を入れて気持ち良くさせてください。私は、他の部分であなたを気持ち良くさせます。
私のココを舐めてくれても良いんですよ?でも、そうするとあなたの顔が見えなくて切ないから・・・。」
そう言って蜜璃は、俺の上半身に乗った。俺は蜜璃の指示に従い、膣に指を入れた。
「あふっ!くぅ・・・ん。はぁ・・・。あん・・・。」
いや、今指を入れたばかりだぞ。その反応はあり得ない。恐らく蜜璃は完全に発情している。俺のやること全てを快感に変換している。
そう考えていた俺の顔を、蜜璃は両胸で挟んできた。
「・・・小芭内さん。今、考え事をしていましたね?駄目ですよ。考えることなんて止めましょう?・・・指をもっと深く入れてください。根元まで。そして、力強く掻き回してください。私は壊れませんから大丈夫ですよ。」
俺は従った。今、俺は蜜璃に支配されている。でも構わなかった。それほど蜜璃の胸は温かく心地よかった。
「あぁ!もっと!・・・気持ちいいから、もっと強く掻き回して!グチャグチャに、滅茶苦茶に・・・。」
蜜璃が叫んでいる。俺は従った。蜜璃は喘ぎ続けた。
やがて、蜜璃の胸が俺から離れた。俺は温もりが消えて、寂しさを感じた。蜜璃が俺の耳元で囁いた。
「・・・小芭内さん。今、寂しいって感じましたね?大丈夫ですよ・・・。私を気持ち良くしてくれたご褒美をあげますから・・・。」
俺の考えは全て蜜璃に読まれていた。
蜜璃は右手で膣を広げ、左手で左乳を持ち上げて言った。
「私の乳をしゃぶりますか?それとも、もう膣に入れますか?好きな方を選んでください。」
俺は乳を選んだ。目の前に出された乳をしゃぶった。赤子のように。
蜜璃は俺に乳をしゃぶらせながら右手で俺の頭を撫でた。
「小芭内さん、こんなに傷ついて・・・。辛かったですよね。左腕を失って・・・。痛かったですよね。本来なら、私が負うべき傷だったのに・・・。
だから、私はあなたに尽くします。あなたの赤ちゃんを沢山産みますよ。5人でも6人でも。」
尽くすと言っておきながら、今お前がしているのは支配なのだが。だが、構わなかった。俺は頭を撫でられて心地が良かった。母親にこうされたかった。生贄目的の偽りの愛ではなく本心で。蜜璃の愛は本心だった。蜜璃に俺の心がわかるように、俺も蜜璃の心がわかった。
だから、俺は乳から口を離して蜜璃に「中に入れたい」と言った。
蜜璃は膣を手で広げて、
「今日はじっとしていて下さい。私の方から入れます。大丈夫ですよ、優しく包んであげますから。」
そう言って、蜜璃は腰を下ろした。俺の陰茎は蜜璃の中に簡単に入った。緩くはない。締め付けてもいない。本当に包まれている感触だった。
蜜璃は腰を振っていた。
「はぁん・・・。どうですか、小芭内さん。気持ちいいですか?んくっ・・・。痛くはありませんか?」
「大丈夫だ。お前こそ、力を抜いてないか?」
「そんな余裕ありませんよ・・・。本当ですよ?・・・私、いやらしくなりましたよね。私、戦いが終わって、あなたから「結婚したい」って言われなくて、切なくて、毎日自分を慰めるようになっていました。あなたのことを考えながら。」
「・・・すまない。」
「謝らないでください。おかげであなたの本心が知れました。より深く、あなたを愛せるようになれました。私はこれからも、あなたを愛し続けます。」
蜜璃は腰を振り続けていた。
「・・・すまない。俺のが出そうだ。・・・出して良いか?」
俺は聞いた。甘露寺は真顔になった。そして微笑んで、
「はい!中に出してください!」
と言った。
俺は遠慮なく精を放った。蜜璃は、
「はぁぁぁぁ!!!!はぁ!あぁ。はぁ・・・。」
と言いながら、上半身を痙攣させた。そして、俺の精が出なくなったのを感じると、俺の陰茎から離れて、俺の側に寄り添って俺を抱いた。
しばらくそうしていた。
行為が終わってしばらくした後、2人で風呂に入った。身体を流し合った。
そして2人で1つのベッドに入った。裸で。寝間着は要らない。蜜璃の身体が温かかったから。
2人で抱き合って寝ていた。蜜璃が話しかけた。
「小芭内さん、珠世さんが私達を比翼の鳥と例えたのを覚えていますか?」
「あぁ。」
「私はそうです。あなた無しでは生きていけません。私は、早死になんてしませんよ。私は丈夫なのが取り柄ですから。でも、小芭内さんが病気になったら、どんな手段に頼っても生きてもらいます。一緒に長い時を生きましょう。」
俺は照れたので話の方向を変えた。
「俺は鳥じゃない。」
「じゃあ蛇でも良いですよ。」
「そうだな。性交中のお前は蛇だった。獲物を狙う獣だった。」
「・・・失礼なことを言いますね。お仕置きです。」
蜜璃は、俺の頬に子供のような接吻をした。
俺は顔を赤らめた。
しばらくして、蜜璃が話しかけた。
「・・・お願いがあります。」
「何だ?」
「私、一度も小芭内さんから「愛している」って言われていません。」
「・・・そうだったか?」
「そうですよ!」
蜜璃はふくれっ面をした。
「すまない。・・・愛している、蜜璃。」
蜜璃は、再び俺の頬に子供のような接吻をした。
俺は再び顔を赤らめた。
その時の俺は、初心な少年のような表情をしていたと思う。