イベントを重ねるごとに、幼馴染たちの“NG”はどんどん消えていく。

──そして今日も、俺は幼馴染たちに囲まれ、
「王様れーじ君♡♡♡」の声を浴びながらイチャイチャを重ねるのである。

甘々・ドタバタ・そしてドスケベ奉仕の数々!
幼馴染ハーレム・ラブコメディ!

※本作はカクヨムで連載中の同タイトルのR18バージョンです。
※まず全年齢版→次にR18シーンとなります。

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①主人公の呼び方一覧
ヒロイン①杏奈 (呼び方)れー君
ヒロイン②ふわり (呼び方)れーじくん
ヒロイン③鈴音 (呼び方)れーじ君

②※本作は同タイトルで連載している「絶対俺だけ王様ゲーム」のR18版です。


③「★★★」の部分から下が追加したエッチシーンになります。
それぞれのシーンは時系列が繋がっているところと繋がっていないところがあります。
深く考えずにその場のシチュエーションをお楽しみください。



第1話

「ゴクリ……さ、触るぞ杏奈(あんな)……」

「うん♪ 優しくね。男の子に触らせるの初めてだから」

 

 目の前に大きな大きなメロンがある。幼馴染みの清楚系美少女の夢袋だ。

 

 ハーフテールに結んだ髪に結わえられた真っ白な大きめのリボンがトレードマークの彼女は、クラスを越えて学園で知らぬ者はいないほどのアイドル的存在である。

 

 芸能界からのスカウトも頻繁にくるらしい幼馴染みのドリームバルーンを、いま正に揉みしだこうとしていた。

 

「ひぁん♡」

 

 や、柔らかい……なんて柔らかいんだ。暴力的な柔らかさに理性が飛びそうになる。

 

 固めのブラジャーの奥にあるたわわメロンの柔らかさに、全俺が歓喜の声を上げる。

 

「い、痛いのか?」

「ううん。ちょっとくすぐったいだけ。いいよ、もっとシテ♡」

 

 そんなカワイイ反応をされたら童貞はどうしたらいいか分からない。

 

「ひゅーひゅー♪ 杏奈ちゃん良い反応!」

「もっと王様喜ばせないとだよ~」

 

 そんな俺達を冷やかすように賑やかな声を送ってくるのは、同級生の女の子達。

 

 詳しい紹介は後でするが、このエッチな状況は恋人同士が照れ笑いを浮かべながら初めてのベッドを経験しているわけではない。

 

 正直あまりにも特殊すぎて、この状況をひと言で表す言葉が見つからなかった。

 

 

「王様へのご奉仕は絶対だからね~」

「いいよー、もっとモミモミして♡」

 

 俺を取り囲んでいるのは複数人の美少女達。

 

 目の前の杏奈(あんな)を始めとして、全員が誰もが振り返る美少女ばかり。

 

 俺はそんな彼女達と、奇妙なルールのゲームをしていた。

 

 その名も、「絶対俺だけ王様ゲーム!」

 

 こんなの完全にご褒美でしかない。

 

 何気ない日常で突如紡がれた幼馴染みのひと言から、この奇妙な王様ゲームは幕を開けたのだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 それはほんの30分前に遡(さかのぼ)る。

 

 ここは俺の部屋。特段代わり映えのしない簡素なベッドと勉強机。

 二つ並んだ本棚にはほんの少しの参考書と、大量の漫画が並んでいる。

 

 棚の上には趣味のフィギュアが並んでおり、学生の小遣いでは少々値が張るレベルのそれらは、ちょっとした俺のコレクションだ。

 

 俺が座っているのは勉強机備え付けの椅子であるが、洗濯したばかりの清潔なシーツには1人の女の子が座り、俺の本棚から勝手にとってきた漫画を読みふけっている。

 

 程良い大きさのお尻がスプリングを軋ませて形を変えている。

 

 いつも自分が寝ているベッドの上で美少女が乗っかっているというのは、男にすれば中々青春の高鳴りを覚えるシチュエーションだ。

 

 更に床の絨毯は普段からここに出入りする来客のために、ふわふわもこもこのファーを使用したちょっと値段の高いやつである。

 

 そこに座る2人の女の子。

 

 1人は制服姿のまま清楚なお姉さん座りで詩集を読んでいる。

 

 その存在感は一際すごい。何しろ彼女は身長195センチの超タッパ。

 しかし本人はフワフワ甘々なスイーツ女子。クラスの誰よりも乙女でふわふわしてて誰よりも女の子女の子してて包容力の塊だ。

 

 

 もう一人は同じく制服姿であるが、膝を立てて漫画を読むので、無防備なリボン付きのライトグリーンが顔を覗かせているではないか。

 

 俺にとってはいつもの見慣れた光景だけど、それを当たり前だと乾いた事を言うつもりはない。

 

 いつだってドキドキしているんだ。

 

 幼馴染みが俺の部屋に四人集まって無為な時間を過ごす。それが俺達の日常だった。

 

 そんな俺のドキドキの原因、目の前の女の子の発言から、俺の非日常が幕を開けた。

 

 

 

「れー君、王様ゲームしない?」

 

 

 

 

 れー君とは俺のことである。

 

 土峰(つちみね) 零士(れいじ)。特段代わり映えしない普通の男だ、と自分で思っているが外側の評価は分からない。

 

 幼馴染みの女の子、喜多川杏奈のひと言を聞いた時、この後に起こる奇妙な出来事の始まりを予感すらしていなかった。

 

 

「また妙なことを言い出すな杏奈は。王様ゲームだって?」

 

 ベッドの上に壁を背にしてもたれかかる杏奈は、悪戯っぽい笑顔で漫画本をたたんだ。

 

 同じように膝を立てるもんだから、こちらはピンクのレースがチラ見えしていた。

 

「うん。知らないの? 王様ゲーム」

 

 膝を抱えてこちらをのぞき込むように笑顔を見せる杏奈のドリームスポットに目が行かないように気を張るこちらも大変である。

 

「いやそりゃ概要くらいは知ってるけど、アレだろ? パリピな大学生とかが合コンとかでやるって伝説のゲームだろ?」

 

「妙な偏りがあるいい方だけど~、まったく外れてはいないかなぁ」

 

 

「しょうがないよ~。れ~じくんは思考が偏ってるからぁ」

 

 茶々を入れてくるのは甘蔵(あまくら)ふわり(これで本名である)。ここに集まっている二人目の幼馴染みで、どうしても目が行ってしまう暴力的な特徴を持つ女の子だ。

 

「ふわふわした喋り方で絶妙にディスるのやめてもらえませんかフワリさん?」

 

「え~、だってぇ」

 

 あざとすぎる仕草で口元に指を当てるふわりの性格は、計算されているのか天然なのかよくわからん。

 

 何をするにしても胸元にある暴力的な何かがばるんばるんと揺れるので目のやり場に困る。

 

 三人が三人とも無防備なんだって。

 

「いつもながらぁ~、遠慮の無い視線だねれーじくんはぁ♪」

 

 だってどうしても視線はそっちに行ってしまうのだから俺は悪くねぇ。

 

 

「そういうの女の子は嫌がるのが普通ですからね。ふわわんが特別優しいから許されるんですからねっ!」

 

 そう発言するのはこれまた幼馴染みの桜岡鈴音(りおん)。

 

 陸上部のエースで走る姿が美しい事からフェアリースプリンターと呼ばれた美少女アスリートである。

 

 とはいえそれは先日までの話。俺達全員夏をもって部活は引退している。

 

 幸運な事に美少女3人に囲まれ、自分の部屋で過ごす放課後の時間が毎日の楽しみだったりする。

 

 

 誰もがモテモテなのに、彼氏も作らずこうして俺の部屋に遊びにきてくれている環境を当たり前だと自惚れるつもりはない。

 

 きっとそのうち彼氏でもできて自然解散となる未来が、いつかはくるのだろう。

 

 その時が来るまではせいぜいこの有り得ない幸福を堪能させてもらおう。

 

 なんて思っていた今日この頃。

 

 突然杏奈の口から飛び出したのが「王様ゲーム」という単語だった。

 

「まあやってみてもいいんじゃないか」

 

「やったー。そう言うと思って色々準備してきたんだよねー」

 

「そりゃまた準備の良いこって」

 

 なんか今日はやけにデカい鞄で来たと思っていたが、ゲームの小道具だったのか。

 

 俺が嫌とは言わないだろう事は見越していたんだろう。

 まあ別段断る理由もないし、美少女達と王様ゲームなんてワクワクしかない。

 

 故に断らないっ!(二回目)

 

「それで、何を準備したの?」

 

「じゃじゃーん。王様ゲームに必須のアイテム。わりばしーっ」

 

 ある意味でとてもスタンダードなアイテムである。

 どこから取り出したのか複数本の割り箸が手に握られている。

 

 その中の一本には赤いマジックで先端が塗られており、それが王様を示す者だと言うことが分かる。

 

「本当に準備してるのかよ。ヤル気満々じゃないか」

「満々だよー。だってれー君と遊ぶんだから、楽しいのにしなくちゃ」

 

「うん?」

 

 妙に引っ掛かるいい方だったが、考えてみれば別段変なことじゃないか。

 

 遊ぶなら楽しくしたいのは至極当然。

 うん、別に変じゃないな。

 

「それじゃ、早速やってみるか」

 

「うん。みんな準備はいい?」

「いいよ~」

「おっけーっ。ドンとこいっ!」

 

「ん?」

 

 皆やけに気合いが入っているな。鈴音なんて気合いが入り過ぎて顔が赤いじゃないか。

 

 

「鈴音、そんな気合い入れてどうしたんだ?」

「ほへっ⁉ な、なんでですか?」

 

「あ、いや……なんか顔が赤いから」

「そ、そそ、そんにゃことないにょっ」

 

 如何にもそんなことはありますといった狼狽ぶりだ。

 

「なあ。なんか企んでない?」

 

「そ、そげんこつなかとですよっ」

「何故に唐突な博多弁を……」

 

 鈴音は嘘が下手すぎる。

 

「まあまあ、とりあえずやってみようよ。はい、割り箸持って。1人一本ね」

 

 何か含みがあるのは気になるけど、まあとりあえず楽しくなりそうなのは間違いない。

 

 杏奈が握り絞めた割り箸をそれぞれが一本ずつ掴み、ゲームは始まった。

 

「じゃあまずはかけ声からいってみよー」

「は~い。いつでもいいよ~」

「ゴクリ。そ、それじゃいきましょう」

 

「せーのっ」

 

「「「「王様れーじ(だーれ、え?)君♪」」」」

 

「え?」

 

 のっけから俺以外の三人が違う事を言い出してコケそうになる。

 

 なんだって?

 

「あ、言い忘れてた。ローカルルールがあるんだった」

 

「ローカルルール?」

 

「王様はれー君で固定ね♡ 名付けて【絶対俺だけ王様ゲーム】~~♪」

 

 天然の笑顔でそんな事をいう幼馴染みに、心臓が高鳴る俺をどうか許してほしい。

 

 王様が絶対に俺になるだって?

 

 そんなのご褒美しかないじゃんかっ!

 

「ぜ、絶対俺だけ王様ゲーム……? なんだそりゃ?」

 

 なんだそのワクワクしかしない素敵ワードの羅列は。

 

 奇妙な興奮が俺を支配していた。なんだ俺だけ王様ゲームって?

 AVか? 薄い本か? 

 

 素敵過ぎるワードにリビドーが高まりそうになる。

 

 

「ルールは単純。基本は王様ゲームと同じでぇ。赤い印の割り箸を持った人が命令できるの。ここまではおk?」

 

「おお、おk」

 

 杏奈はおっとりしているように見えてわりかし乗りが良かったりする。

 

 クラスのみんなから慕われるマドンナだけあって、コミュ力の高さは感心のひと言だ。

 

「それでぇ。メジャールールとの違いだけど、れー君が赤をとった場合は普通の王様ゲームと同じ。私達三人に【どんな命令でも】言って良いよ」

 

(天然笑顔でどえらいこと言うなコイツ……)

 

 心臓が早鐘を打ち始めた。どんな命令でも、なんて思春期男子に簡単に言うものじゃないということを、コイツは理解しているのだろうか。

 

 エッチな命令しちゃうぞ? いやしないけどね……。

 

 しないぞ(決意)。

 

「それで、私達三人の誰かが赤をとった場合は、その人は王様じゃなくて、王様にご奉仕する【正室】になるわけね」

 

「ほ、ほほう……正室。つまり奥さんと」

 

「そそ。旦那さまを献身的に支える第一夫人ね。まあ、あくまで役割の話だからね。勘違いしちゃ駄目だよ~?」

 

「わ、分かってるよ」

 

 こういう事をシレッと言うのが杏奈の恐ろしい所だ。

 俺のこと何とも思ってないから言えちゃうんだろうなぁ。

 

 ちょびっと悲ぴい……。

 

「それで正室にならなかった人は【側室】。つまり第二、第三夫人になって、正室のサポートをするの」

 

「な、なるほど……。しかし、俺に奉仕するって……なんのために」

 

「ゲームだから、そんな深い理由はないけどねぇ。普通の王様ゲームより面白くなりそうだし」

 

 うーむ、杏奈の思惑はよく分からんが、とりあえず俺をハメようとか思ってるわけじゃなさそうだ。

 

 どう考えても俺にお得しかない。

 

「あ、そうそう。エッチな命令は無しね。したら明日から口聞かないからね」

 

「わ、分かってるよ」

 

 危ない危ない。俺の決意は間違ってなかったぜ。

 

 とりあえず命令の種類には気を付けないと。

 

「それじゃ早速始めよっか。まずは私が正室だね。一人の持ち時間は三分間で、タイマーの音が鳴るまで。簡単でしょ?」

 

 スマホのタイマーアプリを見せながらウインクしてみせる杏奈にドキドキは強くなる。

 

 果たしてどんなご奉仕が始まるのだろうか。

 

「それじゃ、手始めに軽いやつから行こっかな。王様にハンドマッサージでご奉仕する~。はい、れー君そこに座って」

 

「お、おう」

 

 始めるとなると行動派な杏奈は、普段はわりとおっとりしているとは思えないくらいキビキビしている。

 

 なんだかワクワクしているように見えるのは俺の自惚れだろうか。

 

 まあ楽しい事しようとしているわけだし、ワクワクもするのかな。

 

 自分の方に手招きし、ベッドに座るように促してくるので素直に従う事にする。

 

「んっしょ……王様ぁ、杏奈のマッサージはいかがですか?」

 

 杏奈の柔らかい指先が手の平に触れ、優しいタッチでクニクニと押し込んでくる。

 

 こそばゆくて物足りないけど、女の子特有の良い匂いが漂ってきて気持ち良い。

 

 あ、シャンプーの香り……。

 スベスベしてて柔らかい指先の感触が心地良い。 

 

 ハッキリ言って至福だ……。

 

「ん、っしょ……ふふ、れー君の手、ゴツゴツしてて男の子って感じだね」

 

「ん、まあ、一応元バスケ男子だからな」

 

 ついこの間まで全国優勝目指してバリバリやっていた身だ。

 

 夏をもって部活は引退したが、まだまだ体の強さには自信がある。ただまあ、俺の場合はタッパがあんまりなくて大した活躍ができなかったんだけどな。

 

 本人には絶対に言わないが、ふわりのように身長が195センチもあったらどんなにいいかと何度も考えたものである。

 

 ちなみに俺はバスケ選手としては相当に低い164センチだ(泣いてないぞ)。

 

 日本男児の平均よりも低いので、レギュラー入りできたのはフットワーク、ドリブル、パスの練習をひたすらやったおかげだろう。

 

「ああ、良い気持ちだ……」

 

「ふふふ~♪」

 

 目の前では杏奈のたわわメロンがゆさゆさと揺れている。

 

(おいおい、制服のボタン外れてるじゃないか……)

 

 俺の膝の前にしゃがみ込んでいるもんだから、制服の隙間からピンクのブラが覗いていた。

 

「ゴクリ……」

 

(で、デカい……杏奈の奴。カップ数いくつなんだろ……聞けないけど)

 

 ゴクリと喉がなるのを必死に音を立てないように気を付けた。

 

 学園三大巨乳という言葉がある。一人は絨毯の上でニコニコと微笑んでいる身長195センチの女子、ふわりだ。

 

 サイズは知らないが、下手をすると本人の頭より大きいものが二つもぶら下がっている超乳サイズ。普通にバスケットボール大の大きさだ。いや言い過ぎか。バレーボールくらいかな? どっちにしてもめちゃくちゃデカい。

 

 それと比べると相対的に普通に見えるが、見事な谷間が出来上がる杏奈のおっぱいも相当なものだろう。

 

 つまり学園三大巨乳の美少女が、二人もこの場にいるということだ。

 

 ちなみにもう一人は同学年にいる同じクラスの女子だ。

 

 

「ん~、ふふ♪ な~んかエッチな視線を感じるぞ-」

「ほ、ほほう。気のせいじゃないか?」

 

「そういうことにしておいてあげる。はい、次は反対の手だよ」

 

 俺に谷間を見せても何とも思わないって事か。ラッキーだけどちょっと悲しい。

 

 思春期男子がこの光景をガン見するのは体に毒だ。

 

 血流が集まっていくのを阻止するのも一苦労だった。

 

 ピピピピピッ

 

「はーい、三分経ちましたよ。次のターンに入りましょう」

 

 杏奈の谷間をじっくりと堪能した三分間であった。

 眼福である。

 

「それじゃー次いくよー♪」

 

「「「王様れーじ君♪」」」

 

 自分でいうのは恥ずかしいので無言で割り箸を握る事にする。

 そんな俺を悪戯っぽい笑みで見つめる杏奈と、ニシシと笑う鈴音の視線がむず痒いのである。

 

「次はぁ~、私の番だよ~」

 

 赤をとったふわりが嬉しそうに頬に手を当てている。

 

 本人はこの通りふわふわした性格で、おっとりを通り超してスローモーションでも掛かっているかのようにのんびりしている癒やし系だ。

 

「ふふふ~。れーじくん何してほしいですか~?」

 

「いやそれ聞いたらゲームの意味なくなっちゃわない?」

「あ~、そっかぁ。そうだったぁ。うっかり」

 

「ふわわんは本当にのんびりしてますねぇ」

「逆に鈴音はセカセカしすぎだから、足して二で割ったら丁度良いんじゃないか? あと別のところも」

 

「それ以上言ったら潰しますよ……」

 

「あ、うん。なんでもない」

 

 危ない危ない。杏奈のアルプス山脈、ふわりのダブル富士山ときて、鈴音のそれは大平原も大平原。

 

 果てなき荒野の真ん中に、恐らくあるであろう小梅の実が非常に趣(おもむき)がある(想像)。

 

 なんてことを口に出そうものなら確実に拳が飛んでくるので決して言わない(体験済みである)。

 

 

「それじゃふわりちゃん、ご奉仕は何にする?」

 

「それじゃ~ね~。王様はぁ、ズボンを脱いで~」

「ちょちょちょっ、ストップストップッ!」

 

 何を言ったかよく聞こえなかったが、ズボンがどうのと言われたような……?

 

 何やら慌てて二人が止めに入ったのだが、何をそんなに慌ててるんだ?

 

「どうしたの?」

 

「あれれ~?」

(ちょっとふわりちゃんっ。いきなりアクセル踏み込みすぎっ)

(そういうのは手順を踏んで少しずつって言ったじゃないですかっ!)

 

「あ、そっかぁ、うっかりしてたよぉ。ごめんごめん、うふふふ。それじゃぁねぇ~。王様はぁ、正室の膝の上に頭をのせてくださーい♪」

 

「お、おう……膝枕的な奴だな」

 

「そうそう~♪ ほら早くぅ」

 

 何か三人で色々と相談しているが、まだよく分からない。

 

 女の子座りをしているふわりの太ももに近づくたびに、杏奈とは違った意味で良い匂いがしてくる。

 

 

「し、失礼します」

「うふふ~、どうぞぉ♡」

 

 おっふ……やっぱり良い匂いがする。香水の甘い匂いが鼻腔をくすぐり、男の子が目覚めそうになる目の前の光景に釘付けになる。

 

(て、天井が全部隠れてる……)

 

 空が半分見えないどころの騒ぎじゃなかった。ある意味絶景である。

 

 

 制服の裾が胸の大きさで浮き上がって中が見えそうだ……。

 

 もう少し……。

 

 

「はーい、じゃあ正室のふわりちゃんが、頭ナデナデしながら子守歌うたっちゃいまーす。ねーんねん、ころーりよぉ~、ころぉ……すやぁ」

 

 

 ――――ぼっふっみょん♪

 

「おっふっ⁉」

 

 開始二秒で寝落ちしたふわりの巨大マシュマロが顔面に振ってきた。

 

「ふわりちゃん自分で歌って自分で寝ちゃってる⁉」

 

 甘々な雰囲気を漂わせるふわりのマシュマロスライムの感触を堪能しつつ、始まりを告げた奇妙な王様ゲームに興奮を募らせていた。

 

「すやぁ……♪」

 

「おっふっ……い、息ぐぁ、できぼふぁい」

 

 これはなんというヘブンスゲートッ。

 

 しかし密閉された空間に隙間が生じている。思い切り鼻呼吸で吸い込んでみると、ほんのりとした汗の匂いが肺の中に入り込んできた。

 

 

(こ、これは……体が熱くなるようだ)

 

 制服の上から感じるブラジャーレースの感触。その奥に潜む香水の香りと、汗のにおいとが融合して極妙(ごくみょう)の媚薬を作り出している。

 

 ちなみにふわりのお母さんは高級下着メーカーの社長さんであり、恐らくふわりの身につけているのもオーダーメイドの高級品だ。

 

 制服越しの肌触りもバツグンである。

 

 

(い、いかん……。鎮まれマイブラザーッ!)

 

 とはいえ女の子のおっぱいにボディプレスされたのではリビドー不可避だった。

 

「はいはーい。時間ですよーふわりちゃん。起きてくださーい」

 

「んぁ……。あらやだぁ。私ったら寝ちゃったみたい」

 

「なにっ、もう三分経ったのか?」

 

 酸欠で意識が飛んでいたのだろうか。まだ一分も経っていないような気がする。

 

「経ったよぉ。エッチなのは禁止って言ったのにぃ」

「い、今のは不可抗力だろうがっ!」

 

 断固抗議するぞ俺は。

 青春リビドーがバレると弁解ができなくなるので膝を立てて誤魔化す。

 

 

「うーん、セーフかな。次いってみよー」

 

「今度は鈴音が正室狙いますよー」

 

「「「王様れーじ君♪」」」

 

「やったーっ! 鈴音が正室ですよーっ!」

 

 今度の正室は鈴音だった。さてどんな要求をしてくるのかな?

 

「手始めに、定番のボッキーゲームからいってみましょう」

 

「はいはーい。ちゃんと準備してあるよー。えっとー」

 

 杏奈の鞄には色々とゲームのアイテムが入っているらしい。

 もう最初から王様ゲームやる気満々だったらしい。

 

「えっと、うーん。あれ? ごめーん。ボッキーのお菓子忘れちゃったみたい。さきイカしかなかった」

 

「なんでそんな渋いチョイスなんだ」

 

 杏奈は何を想定してそんなものを用意したんだか。まあ美味しいけど。

 

 俺はどっちかっていうと甘いお菓子よりそっちの方が好みだから問題ない。

 

「しょうがないですねぇ。細長いことには変わりないので、それで代用しましょう」

 

 細長くて弾力のあるさきイカを取り出し、鈴音が先に先端を咥えた。

 

「さ、さあ、反対側を咥えてください。言っとくけどゆっくりですからね。先に千切って顔を背けた方が負けです」

 

「よし分かった。罰ゲームとかどうする?」

 

「そうだねー。罰ゲームあった方が面白いかも。王様が負けた場合は正室の言うこと聞いちゃうってことで」

 

「おう、それでいいぞ」

 

 お互いに端っこを咥えると、鈴音の細い眉とかプルプルの唇が間近に見える。

 

(マジで綺麗な顔してるよな。睫毛長いなぁ……唇とか吸い付きたくなる)

 

(うひぃ~、顔が近いですよー。やっべっ、イケメン過ぎて鼻血でそう)

 

「それじゃ、スタートしてくださーい」

 

 お互いの顔が至近距離に近づき、否が応でも心臓は高鳴ってしまう。

 

 平原だなんだとからかっていても、鈴音はとんでもない美少女だ。

 

 

 健康的に日焼けした軽い小麦色の肌に健康的な色艶の唇が眩しい。

 

「はむはむはむはむっ」

 

「んっ~~っ!んっ、も、もうひょっとゆっくり進んでくらはいっ、早いれすよぉ」

 

「ふまんふまん」

 

 いかんな。やっぱり反応が可愛くてついついからかいたくなってしまう。

 

 好きでもない男にからかわれたって不快になるだけだしな。

 いくら幼馴染みでも調子に乗り過ぎちゃ駄目だ。

 

「んっ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

 

(うひぃ~近い近いっ。まだ諦めないんですかぁ。このままだとキスしちゃいますよぉ)

 

 このまま進んでいくと俺のファーストキスが疑似ボッキーゲームで奪われてしまう。

 

 それはそれでいいかも、なんて思ってみたりするが、流石に俺が相手じゃ鈴音が可哀想だ。

 

 もしかしたら杏奈のノリに付き合わされているだけかもしれんしな。

 

 

「んんんむぅ、限界れしゅぅううっ」

 

 ブツッと千切れたさきイカが俺の口元に垂れ下がる。

 

 先に顔を逸らしたのは鈴音だったので、俺の勝ちってことかな?

 

「はーい、王様の勝ち。せっかくだから罰ゲームもしよっか」

 

「うえっ⁉ り、鈴音も罰ゲーム受けるんですか?」

 

「その方が盛り上がるし、面白いじゃない」

 

「あ、あんまり厳しいのは勘弁してくださいね」

「分かってるって。ソフトな奴にするからさ。そうだな、とりあえず肩もみとかどう?」

 

「ほっ……それなら大丈夫ですよ」

 

「俺が鈴音に」

「ほぇっ⁉ え、えっちなのは禁止ですってば」

 

「肩もみってえっちなのか?」

 

「そ、それはぁ……そのぉ……あ、杏奈ちゃんっ」

 

「うーむ、よし、有りで☆」

 

 

「よし、ゲームマスターのゴーサインが出たぞ。さあ鈴音、大人しく肩を差し出せ」

 

「ひぃーんっ、なんか理不尽だぁ」

「心配するな。肩もみマスターの俺に任せなさ~い」

 

 ワキワキと手を動かしてみせると本気で怯えた表情を見せる鈴音。

 後ずさりするもんだからスカートがまくれ上がっちゃってるぞ。

 

「ほらほらぁ、観念しちゃおうよ鈴音ちゃん」

 

「うう、わ、分かりましたよぉ。痛いことしないでくださいね」

 

「分かってるって。ほらいくぞ」

 

 細くて華奢な肩だ。ポニーテールに結んだ絹糸のような髪がゆらゆら揺れてシャンプーの良い匂いがする。

 

 今日は学園からそのままここに来た。1日経っても抜けない女の子の良い匂いに胸の高鳴りを抑えることができそうもない。

 

 それに鈴音くらいの美少女なら汗のにおいだって香しきフローラルだ。

 

「綺麗だな、鈴音のうなじ」

「え、エッチなの禁止ですぅうっ、セクハラですよぉ~っ! ふにゃぁんっ、なんか肩もみの手つきもエッチですぅう」

 

 おっと、つい本音が漏れた。誤魔化すためにそっと肩もみを始めるが、刺激が強すぎたらしい。

 

 

「大丈夫大丈夫。それより華奢なのに少し凝ってるな。肩に力が入りすぎなんじゃないか?」

 

「ふみぃ、んんっ、はぅ♡ な、にゃにこれぇ、き、きもちいい……はぅん♡」

 

 なんだか色っぽい声を上げ始めるが、俺がやっているのは健全なマッサージである。

 

「ふわぁ、れーじ君って肩もみ上手なんだねぇ。私もやってほしいなぁ」

 

「ふわりの肩は確かに大変そうだなぁ」

「そうなのよぉ。重たくって肩こっちゃう」

 

「それわたしもー。ねえれー君、次わたしもやってぇ」

 

 確かにふわりのボリュームが凄まじいので忘れそうになるが、杏奈のおっぱいも十分に重量級だ。

 

 あれだけのものをぶら下げていたら肩も凝るだろう。

 

「しょうがないな。ふわりと順番にな」

 

 王様ゲームは一時中断。俺による肩もみタイムが始まるのだった。

 

「はひぃ、はひぃ……んもうぅ、れー君ってば張り切り過ぎだよぉ」

 

「ふぅ~♡ ふぅ~♡ こんなに気持ち良い肩もみ初めてぇ♡」

 

 ベッドに倒れ込む杏奈とふわり。色っぽい吐息を漏らしながら肩を上下させている。

 

 それは5分前のことであった。

 

 

◇◇◇

 

 

 ~5分前~

 

「それじゃ次はふわりの肩もみだ。ベッドの下に座ってくれるか」

「はーい。カチカチだから少し強めでいいよぉ」

 

「ふむ、かなり血流が悪くなってるな。やっぱり抱えているものが大きいから大変だろう」

 

「誰かさんがいっつも見てくるから大きくなっちゃった」

「それは、大分濡れ衣だな」

 

 背中越しに見える大巨峰の膨らみは眼福なんてもんじゃない。

 

 

「んっ……♡」

「どうだ? もう少し強い方がいいか?」

 

「うん、もっと、きて♡」

 

「な、なんか色っぽい声出してませんかふわわんったら」

 

 固くて血流の悪い肩には俺のテクニックが光る。

 

 万年肩こり持ちの母ちゃんの肩を長年攻略してきた俺のテクニックは、同い年の肩こりなど問題にならない。

 

「ひぁ♡ ぁ、ああんっ、んはぁ♡ これぇ、これ気持ち良いぃ♡」

 

 なんかスゲぇ色っぽい声を出し始めたけどやっている事は肩もみである。

 

「ぁ、あ、あ、あんぁ、れーじくん♡ それぇ、それもっとぉ♡ れーじくんの逞しい指が、私の弱いところ突いてるのぉ♡」

※肩もみです※

 

 

 肩甲骨の辺りも人体にとってはツボが集中している場所だ。

 

 ここを適度に刺激することで肩こりをほぐしながら気持ち良くできる。

 

 っていうかふわりのセリフがエロい。これは多分わざとだ。こういうので俺をからかうのが好きなんだよコイツ。

 

「はぁ、んぁあ、ぁ、あぁあ、んぁああん♡ ぁ、すごいのぉ♡ こんなの、自分じゃできないぃ♡ 他の人じゃ無理ぃ♡ れーじくんのじゃなきゃ、私の気持ち良いところに届かないのぉ♡」

※もう一度言いますが肩もみです※

 

 

 マッサージにおいて相手の芯を捉えるってのは、割とセンスが問われるテクニックだと思われる。

 

 

 親戚の集まりで肩もみを要求される従姉妹達の中で、俺が一番評判が良い。

 

 それは俺のテクニックが相手のツボを的確に刺激できるセンスに長けているからだと思われるからだ。

 

 

「ぁあ、あぁああ、らめぇ♡ 気持ち良くなっちゃうっ、わたし、どこかへいっちゃうぅう♡」

※くどいようですが肩もみです※

 

 

◇◇◇

 

「んぅ、あぁ♡ あぁ、あひぃん♡ こ、これぇ、れー君のテクニック、絶えられないよぉ♡ こんなのらめぇええ♡」

 

 ふわりに続いて杏奈も俺のテクに墜ちた。

 

 完全に脱力してしまったのでふわりの体をベッドに横たえ、今度は杏奈のマッサージに移ったわけだが、ある意味で俺の人生で一番付き合いの深い幼馴染みの体は、どこに喜びを感じるのか手に取るように分かる。

 

「はうぅ♡ れー君♡ れー君♡ れーくぅん♡」

※何度でも言いますが肩もみの結果です※

 

 本当にくどいようだが俺達がやっているのは肩もみという超健全な行為なのだ。

 

 杏奈はまるでエロ同人の完堕ちヒロインのように恍惚の表情を浮かべて顔を赤らめているが、エロいことは一切していないので悪しからずって奴だ。

 

 ◇◇◇

 

 そして現在。ようやく三人の息も整ってきたので王様ゲームを再開させることにした。

 

 

「「「王様れーじ君♡♡♡」」」

 

 なんだか三人の声に艶と色気が混じっているのは気のせいだろうか?

 

「王様だれぇ?」

 

「えーと……。あ、俺だ」

 

 ついに来た。絶対俺だけ王様ゲームにおいて、開始30分経過でようやく出番が回ってきた。

 

 っていうかまだ30分しか経ってないのか。

 もう何時間も興じているような気さえしてくるぜ。

 

 

「さて、俺が赤の場合は普通の王様ゲームみたいに命令するんだったっけな。えっと、人の指定は名前でいいのか?」

 

「えっとねぇ。お箸に番号が振ってあるでしょ? 赤以外は1,2,3番が振ってあるから、番号で指定してね」

 

「なるほど……ふーむ」

 

 いざ出番が回ってくると何を言おうか非常に悩ましいところだ。

 

  

「それじゃあ……」

 

 三人の顔を順番にチラ見しながら、何を命令しようか必死に思案する。

 

「一番の……」

 

 ピクンッ

 

 一人の女の子の肩が動く。

 

 目と目が合い、吐息が漏れる彼女の唇が艶めかしく開いた。

 

 何かを期待しているのか。あるいは何かが許される前兆なのか。

 

「一番が……王様に……」

 

 女の子の瞳は訴える。

 

 色気を含んだ期待に籠もった瞳で見つめ、ゆっくりと唇が開いて静かに紡いだ。

 

 言葉にならない言葉で、俺に期待している何か。

 

 きっと俺は無自覚で、何も分かっていないのだけど、本能的に許されている事が分かっていた気がする。

 

(いいよ♡)

 

 本能が、その言葉を捕えていた。

 

 

「王様に…おっぱい揉ませる……あ、しまった」

 

 思わず本音が出た。ちょっとエロいことしちゃおうぜ的な本能が口を勝手に動かしたのだ。

 

 つまり俺は悪くない。

 

 そして、俺の指定を受けた一番の箸を持った女の子が、悪戯っぽい笑みを浮かべて唇を舐めている。

 

「しょーがないなぁれー君は。一回だけだよぉ♡」

 

 なし崩し的に許されたおっぱいタッチ。

 

 そうして、俺達の奇妙な王様ゲームのお話しは、冒頭に戻るのである。

 

 

「はい、流石に服の上からだよ」

「お、おう」

 

 両腕をギュッと引き寄せて、おっぱいがとんでもなく強調される。

 

 こ、これが杏奈の、幼馴染み美少女のおっぱいか……。

 

 やばい、とんでもなく興奮している。緊張してきた……。

 

 

★★★

★★★

 

 

「よ、よし、触るぞ杏奈」

「うん、優しくね。男の子の触らせるのは、初めてだから……」

 

自室のベッドの上で午後の陽が細く差し込む。

 

黄金色の光線が白いシーツに斜めに伸び、埃が光の中でゆっくり舞い、まるで時間そのものが緩やかに流れているかのようだった。

 

その光の粒子は彼女の汗ばんだ肌にきらめき、真珠のような輝きを放っていた。

 

杏奈のセーラー服の襟元は少し乱れ、白い襟が彼女の首筋を不規則に覆い、頬に残る紅潮が夕焼けのように広がっている。

 

その赤みは彼女の耳まで伝わり、まるで熟した果実のように艶やかだった。

 

俺の手のひらにはまだ、彼女の体温がじんわりと残っていた。その温もりは心地よく、まるで小さな命を握りしめているかのようだった。

 

「んっ……れー君の手、すごく熱いね……」

 

杏奈が甘く嗄れた声で囁くと、その声は教室の静寂を破り、窓の外から聞こえる蝉の声が一瞬、かき消されるほどだった。

 

彼女の吐息は僕の耳に直接触れ、背筋に電流が走るような感覚を与えた。

 

彼女の指先が震えながらセーラー服の裾をさらに高く掲げる。その動きはためらいを含みながらも、確かな意志に導かれているようだ。

 

白い指が紺色のスカートを少しずつ持ち上げていく様子は、儀式的な厳粛さすら感じさせた。

 

「見て……杏奈の、とっておきの下着……れー君だけに見せるんだから♡」

 

「お、おお……」

 

ピンクのレースが陽の光を柔らかく反射する。繊細な花模様が施されたそのレースは、彼女の肌の色と美しく調和していた。

 

彼女の胸元の鼓動が布地に伝わって、微かに揺れる。その震えは彼女の興奮と緊張を物語っていた。

 

教室の黒板には昨日の数式が半分消えたまま残り、白い粉が床に散らばっている。彼女の背中にもたれかかる部屋の壁は冷たく、彼女の柔らかな体と対照的に思える。

 

そのコントラストが逆に二人の間に流れる熱気を際立たせていた。教室の空気は二人の呼吸で少しずつ温められ、閉ざされた空間に独特の親密さを生み出していた。

 

「杏奈……本当にいいのか?」

 

俺の声は思った以上に渇いていた。喉の奥がカラカラに乾き、言葉を発するのも困難に感じられた。

 

自室の窓は完全に閉まっているが、時折外を歩く誰かの喧騒が、はっきりと聞こえる。

 

靴音のリズムが心臓の鼓動と重なり、緊張感を高めていた。

 

杏奈の瞳には迷いはなく、ただ深い信頼と愛情だけが映っていた。

 

「うん……れー君なら、何してもいいよ♡」

 

彼女の言葉には微かな震えが混じっている。それは不安ではなく、期待に近いものだ。

 

その声には決意と覚悟が含まれており、初めての経験に対する好奇心と恐れが入り混じっていた。

 

俺は再び手を伸ばし、ブラジャーの上からその柔らかな隆起を包み込んだ。感触は想像以上に温かく、そして重たかった。

 

「んっ♡」

「うおお……や、やわらけぇ……」

 

なんちゅう柔らかさだ……。ブラジャーのレースの形が指に神経に伝わってくるようだ。

甘い呻きを出す杏奈の吐息が聞こえてくる。

 

まるで太陽の一片を掌に収めたような感覚だ。指先から伝わる彼女の体温は、僕の全身に広がっていった。

 

「おお……や、柔らけぇ」

 

「あぁ……んっ……どう? 杏奈のおっぱい、気持ちいい?」

 

彼女の目尻が少し下がり、唇がゆるむ。その表情は恥じらいと幸福感が入り混じっている。

 

頬の紅潮はさらに深まり、まるで夕焼け空のような色彩を放っていた。僕は彼女の呼吸のリズムを感じながら、そっと掌を動かした。彼女の胸の形に合わせるように、優しく包み込む。

 

「もちろんだよ……世界一だ」

 

言葉とともに、ゆっくりと形を確かめる。たっぷりとした乳房を優しく包み込み、根元からふわりと持ち上げる。

 

その重みと弾力は、言葉では表現できないほど完璧だった。彼女の息遣いが少し速くなるのを感じた。その呼吸は熱く、甘い香りを含んでいた。

 

「ひゃあっ♡ そこ、すごく……感じちゃう……れー君の指先が、じんわり沁みるよぉ♡」

 

彼女の甘い吐息が僕の耳元で弾ける。その声は蜜のように甘く、僕の全身を震わせた。教室の隅っこに置かれた花瓶の花がわずかに揺れる。

 

窓から入る風が花びらを優しく撫でていた。遠くから俺達の母校であろう中学校の吹奏楽部の練習の音がかすかに聞こえてくるが、それはむしろこの瞬間の密やかさを強調するBGMのようだった。

 

トランペットの音色が遠くから聞こえ、二人の行為に不思議な高揚感を与えていた。

 

「杏奈ちゃん、すごい喘ぎ声〜」「王様、もっと激しくしていいよ!」

 

どこからか冷やかしの声が飛ぶ。それは僕らの想像の中の声かもしれないし、実際に廊下から聞こえてきた声かもしれない。もはやそれらは雑音でしかない。

 

彼女の鼓動が僕の手のひらを通して伝わってくる。そのリズムは早く、そして力強い。まるで小鳥の心臓のように、生命力に溢れていた。

 

僕はブラジャーのホックに指をかけ、彼女の目を真っ直ぐに見つめた。

 

「外しても……いいか?」

 

一瞬、時間が止まったような間が流れる。教室の空気が凝固したかのように感じられた。彼女のまつげが微かに震え、視線が揺れる。その瞳には不安と期待、そして深い愛情が映っていた。そして――

 

「うん……いいよ♡」

 

彼女の声はかすかな息遣いのように、しかしはっきりと響いた。その言葉には迷いはなく、純粋な信頼だけがあった。ホックが外れる音が部屋に響く。

 

カチッという小さな音は、この静寂の中ではあまりに大きな音に感じられた。ブラジャーがゆるみ、ゆっくりと取り外されていく。

 

布地が肌から離れる感触は、新たな親密さの始まりを告げていた。現れたのは桜色の蕾のように可憐な尖端で、少し緊張して硬くなっている。

 

「お、おお……。こ、これが」

 

その色合いは淡いピンク色で、まるで春の桜の花びらのように繊細だった。

 

「き、綺麗だ……」

 

思わず漏れた言葉に、彼女は顔をさらに赤らめた。

その赤みは首筋まで広がり、彼女の全身が熱を帯びているようだった。

 

「恥ずかしいよ……れー君、そんなじっと見ないで……あんっ♡」

 

俺が自然にその一片を口に含んだとき、彼女の全身が波打った。まるで電流が走ったかのように、彼女の背中が弓なりに反る。

「ああっ!? そこ、すごい……ちゅぅ、れー君、吸わないで……んぁっ♡ でも、気持ちいい……もっと、もっとしてぇ♡」

 

彼女の腕が僕の頭を抱き寄せる。その動きは必死で、そして優しかった。

 

髪を撫でる彼女の指先は震え、その触感が僕の頭皮から全身に広がっていく。顔を埋めた谷間からは甘い香りがした。

 

それは彼女特有の体臭と石鹸の香りが混ざり合った、この世のものとは思えない芳香だった。

 

もう一方の手で優しく揉みながら、口ではしつこく愛撫を続ける。舌先で乳首を転がし、時に軽く歯で挟んでみる。

 

「んはぁっ! だめ、れー君、そうされてると杏奈、おかしくなっちゃう……あぁん♡ 熱いのが、じわーって広がる……腰が砕けちゃいそう……♡♡」

 

彼女の声音はますます甘く蕩け、まるで蜜のように粘り気を帯びてきた。その声は教室の空気を振動させ、僕の耳に直接響いてくる。

 

全身で感じる彼女の震えは、喜びの表現であり、また限界の近さを示しているようだった。彼女の指が僕の背中に食い込み、その痛みさえも快感に変わっていく。

 

壁の時計の針がゆっくりと動く。カチカチという音が静かに響き、時間の経過を告げている。

 

陽の位置が少しずつ変わり、影の形が変わる。カーテン隙間から差し込む光は徐々に赤みを帯び、夕暮れの訪れを予感させていた。

 

彼女の汗で濡れた鎖骨に光が当たり、きらめく一滴がゆっくりと胸の谷間を伝っていく。その光景は芸術作品のように美しく、時間が止まったかのように感じられた。

 

「杏奈……すごくエロいよ」

 

俺の言葉に、彼女は目を閉じてうなずいた。長いまつげが頬に影を落とし、その表情は天使のように清らかで、同時に悪魔のように官能的だった。

 

「れー君のせいだよ……んっ♡ 全部、れー君が杏奈をこんな気持ちよくさせるんだから……あぁ! また、強く吸われた……イク、イっちゃいそう……♡♡♡」

 

彼女の瞳は潤み、もはや焦点が合わない。その目には深い快楽と幸福感が溢れ、まるで別の世界を見ているかのようだった。無防備に差し出された胸は、唾液で艶やかに光り、色づいていた。乳首は硬く尖り、触れるたびに彼女の全身が反応する。

 

この瞬間、彼女はすべてを委ね、すべてを捧げている――そう感じると、胸の奥が熱くなった。この信頼に応えなければという思いが、僕の中で強くなっていく。

 

僕はそっとキスをしながら、彼女の耳元で囁いた。

 

「マジで興奮する」

 

彼女の震えが少し収まり、その代わりに深い安堵の吐息が漏れた。

 

彼女の体が僕の腕の中でゆるみ、全身の緊張が解けていくのを感じた。二人の鼓動が重なり、一つのリズムを刻み始める。

 

まるで二つの心臓が同調するかのように、同じテンポで脈打っていた。遠くで時報の鐘が鳴り、放課後の時間の経過を告げている。

 

その音色は澄んでいて、二人の世界に現実の時間を思い出させた。

 

彼女の指が僕の髪を梳く。その動きは優しく、そして少し依存的だった。指先が頭皮を撫で、心地よい震えが背筋を伝う。

 

「れー君……もっと近くにいて」

 

その言葉には切実な願いが込められていた。僕は彼女をしっかりと抱きしめた。二人の体温が混ざり合い、境界線が曖昧になっていく。彼女の柔らかな体が僕の腕の中で形を変え、ぴったりと寄り添ってくる。

 

窓の外では、雲がゆっくりと流れている。白い綿のような雲が青空を横切り、その動きは二人の時間の流れよりもさらに緩やかだった。

 

部屋の照明が彼女の汗で濡れた肌をきらめかせる。光の粒子が彼女の肌の上で踊り、まるで星屑のように輝いていた。

 

この瞬間、世界はこの教室の中だけに収縮し、すべての感覚が二人の間に集中している。外の世界の音や光、すべてが遠ざかり、ただ彼女の存在だけが鮮明に感じられた。

 

彼女の息遣いがまた荒くなり、体の震えが強くなる。その震えは波のように彼女の体を伝い、僕の腕の中で増幅されていく。

 

「あぁ……だめ、もう……れー君、わたし……」

 

その言葉はほとんど泣き声に近かった。快感の頂点に達しようとする彼女の声は切なく、そして美しかった。僕はそっと手を握りながら、彼女の額にキスをした。

 

彼女の目から涙が一粒、零れた。それは悲しみではなく、幸福感のあふれるしずくだった。

 

その透明な一滴が頬を伝い、唇の端に触れる。僕はその涙をそっと拭いながら、彼女を抱き続けた。

 

彼女の体が大きく震え、そして徐々に静まっていく。部屋の中には二人の呼吸の音だけが響き、時がゆっくりと流れていく。

 

窓の外の世界は変わらず動いているのに、この教室の中だけは別の時間が流れているようだった。

 

陽が少しずつ傾き、影が長くなっていく。教室の床に伸びる影は以前よりも長く、夕暮れの訪れを告げていた。

 

彼女の体温はまだ熱く、鼓動はゆっくりと落ち着き始めていた。その温もりは僕の体にも伝わり、心地よい疲労感をもたらしていた。

 

そっと服を直し、髪を整える。シャツのしわを伸ばし、スカートを元の位置に戻す。彼女の顔には、深い満足感と少しの疲労が浮かんでいる。頬の紅潮はまだ残り、唇は少し腫れたように見えた。

 

「えへへ、れー君♡ 次のゲームで、もっと凄いことさせてあげる♡」

 

彼女のささやきは、ほぼ息のようにかすかだった。その言葉には深い感謝と愛情が込められており、単なる礼儀以上のものを感じさせた。

 

彼女の手の温もりがまだ手のひらに残っている。その感触は長く続き、まるで彼女の存在が刻印されたかのようだった。

 

 

~ゲーム1回目 終了~

 

 

 

 

◇◇◇

 

 あまりにも非現実的な王様ゲームから開けて次の日。

 

 昨日の出来事がまるで夢だったかのように意識が浮き上がっている。

 

「はぁ……昨日は凄かったな」

 

 三年生のこの時期からは、少しずつ学園でやることも少なくなっていく。

 

 俺達幼馴染み四人は既に行く大学の指定校推薦を決めているので、残る学園生活は消化試合みたいなものだ。

 

 既に部活も引退しているし、放課後にやることといったら小遣い稼ぎのアルバイトか、昨日のように皆で集まってまったり過ごすくらいだしな。

 

「おはようれー君」

「おはよう杏奈」

 

「昨日は眠れた?」

「まあそうだね。ちょっと興奮冷めやらぬって感じだ」

 

「えへへ、またやろうね」

「え、またやるの?」

 

「え、ダメ?」

「いや、むしろウェルカムだ」

「よかった。私も昨日はスッゴく楽しかった。あ、でもおっぱいはちゃんとご褒美タイムじゃないとダメだからね」

 

「お、おう」

 

 むしろご褒美タイム、またあるのか……。

 思わずそこに目が行ってしまうではないか。

 

「ふふ、熱い視線を感じるぞー。頑張ってね。新しい趣向考えてあるから」

 

「それは楽しみ過ぎるな」

 

 学園への通学路を二人で談話しながら歩いていると、一際目立つライトブラウンの髪色をした女の子が見える。

 

「あ、ふわりちゃんおはよう♪」

「おはよ~二人とも~。昨日は楽しかったね~。またやろうねぇ」

 

 ふわりもヤル気満々であった。体を揺らすだけでぶるんと揺れる暴力的な何かは相変わらず凶悪だ。

 

「ふふふ~。視線が熱いよー。今度は私のも触れるかもねぇ」

「それはもう頑張るしかないじゃないか」

「なにが~とは言わなかったけど、何を触りたかったのかなぁ」

 

 今日のふわりはめっちゃからかってくるな。昨日は大盛り上がりのうちに幕を閉じただけあって、ふわりもかなり自分を解放した事だろう。

 

 なんて事を話しながら進む事しばらく。

 学園近くの路地を曲がったところで見知った顔が走ってきた。

 

 

「おはようございま~す」

「あ、おはようリンちゃん。王様ゲームまたやろうねって話してたんだ」

「ほへっ、ま、またやるんですか?」

 

「え、ダメ?」

 

「だ、だめではないですけど……」

「今度はもっと面白い趣向凝らすからね」

 

「お、お手柔らかにお願いしますね」

 

 これが俺達の日常である。幼馴染み達四人で談話をしながら学園に通学するのであった。

 

 

◇◇◇

 

「羨ましいぞ零士ぃいいっ!」

「うわっ、な、なんだよ。ビックリしたなぁ」

 

 教室に入るといきなり後ろからデカい声を掛けられてひっくり返りそうになった。

 

「なんだよじゃねぇぞコラッ。我が校きっての美少女達を侍らせるハーレム野郎めが。貴様はどこのラノベ世界の転生者だ」

 

「濡れ衣もいいところだ。あいつらは幼馴染みだから一緒にいるんだって何回言わせれば気が済むんだ」

 

 悔しそうに歯ぎしりするクラスメイトは、遺憾ながら友人の1人だ。

 

 こういうやり取りはわりと日常なので既に慣れっこである。

 

 コイツが言うように俺の周りには有り得ないほどの美少女が勢揃いしている。

 

 ラノベ世界からの転生者と言われても否定しきれないところがあるのが辛いところだ。

 

 いや、普通だよ? 俺普通の人間だからね。ただ単に生まれた環境が幸運過ぎるだけなのだ。

 

 周りを美少女に囲まれているというのはいい事ばかりではない。

 いらぬやっかみも受けるし、嫌がらせもされる。

 

 杏奈の事が好きなちょい悪ヤンキー達の一団に囲まれてボコられそうになった事もある。

 

 教室の反対側では当の杏奈がクラスメイト達と楽しそうに会話している。

 

 あいつは周りの視線にはかなり敏感な体質なので、俺が少し視線を送るだけですぐに気が付いてくれる。

 

「あ、おい、喜多川さんが手を振ってるぜ。お前らアレで付き合ってねぇんだよな?」

 

 杏奈に手を振り返しながらいつも通りの質問に辟易する。

 

 このやり取りも既に数え切れない。

 

「付き合ってねぇって。何度も言わせるな」

 

 あいつが誰と付き合うかなんてアイツ自身が決めることだ。俺がどうこう言う問題じゃないが……。

 

 杏奈が男と付き合うってな事になったら、ちょっと寂しいし嫌な気持ちになるのも事実。

 

 ハッキリいって自意識過剰だと分かりきっているが、考えずにはいられない。

 

 俺は心のどこかで今の環境を壊したくないと考えているのだ。

 

 あの中の誰かと付き合えば、他の誰かとの関係性がきっと変わる。

 

 3人が3人とも俺と仲良くしてくれる今の環境が気に入っているから、このバランスに甘えてしまっている。

 

 相手の幸せのために喜ぶ事ができない自分の浅ましさに嫌気がさすけど、俺にとってあいつら3人は、同じくらい大切な……。

 

 

 いや、綺麗な言い方はよくない。手放したくない相手なんだ。

 

「いやぁ……カワイイよな喜多川さんに甘蔵さんに桜岡さん。あれで全員彼氏いないって本当かよ。誰に告白されても全部断ってるって話だぜ」

 

 実は杏奈って、アレでかなり排他的な性格をしているからな。

 

 いや、杏奈だけじゃない。ふわりも鈴音も、程度の違いはあれど人見知りで他人を寄せ付けない排他的な性格をしているのだ。

 

 日常で支障をきたさないのは仮面をかぶっているからで、俺の家に集まるのもそいつを脱ぎ捨てられる空間が自宅とあそこしかないからだ。

 

 

「おーい、ホームルーム始めるぞー。席に着け」

 

 教員の声で我に返り、席に着いた。既に進路が決まっているだけあって授業は退屈そのものだ。

 

 しかし卒業まで成績を落とすのは本意ではないので授業は真面目に受けるのが俺の心情である。

 

『おっぱいはちゃんとご褒美タイムじゃないとダメだからね♡』

 

 杏奈のおっぱい、すっげぇ柔らかかった……。あれが女の子の感触なのか。

 

 吸い付くような感触と、手の平にズッシリと乗っかる重量感。

 

 そして女の子特有の甘い匂い。

 

 どれもこれも本能を刺激するパワフルな体験であった。思い出したら体が熱くなってきたぞ。

 

 またあんなことできるとか考えるだけで興奮が募ってくる。

 

「土峰ッ、おい土峰ッ! 土峰零士ッ!」

「え?」

 

「授業中に何をニヤついているんだ?」

 

「あ、いやその……顔に出てました?」

 

 教室中が爆笑に包まれ、大恥をかいてしまった。

 杏奈の方を見ると懸命に笑いを堪えて口元を押さえている。

 

 あれは絶対後でからかわれる奴だ。

 

◇◇◇

 

「授業中に何を思いだしてたの~?」

「きっと昨日のことだよねぇ♪ 特に最後の方のあれとかぁ」

「れーじ君ってば不潔ですね。顔がスケベ丸出しでしたよ」

 

「不可抗力だ……」

 

 放課後の帰り支度をしながら、俺は幼馴染み達の総攻撃を受けていた。

 

 俺の妄想ニヤニヤ事件で教室は爆笑に包まれ、杏奈は笑いを堪えすぎて引き付けを起こしていた。

 

 ふわりも俺の二つ隣の席なので顔はよく見えていたようで、口元を押さえながら体を震わせていたのだ。

 

 前の席にいた鈴音に至っては教師に吊し上げを喰らっていた最中に大爆笑していたからな。

 

「それじゃ、今日は俺バイトだから」

「うん。また明日ね」

「ばいば~い」

「バイト頑張ってくださいねー」

 

 

 幼馴染みの集まりは頻度は高いけど毎日というわけではない。

 

 特に学園生活も残り少なくなり、段々と時間が空くようになると家の中で無為に過ごすのももったいない。

 

 充実した学生生活を贈るためには、ある程度資金が必要なる。

 

 というわけで、週に二~四回ほどはアルバイトに入っているのだ。

 扶養制限があるので派手に稼ぐことはできないが、謙虚に生活していれば月に数万円の収入で十分に充実できる。

 

「あ、れー君」

「どうした?」

「明後日はバイトないよね? また皆で行って良い?」

 

「ああ、いいよ」

 

「れーじくん、何か作っていくけど、リクエストあるぅ?」

「そうだな。イチゴタルト頼めるか。クリームチーズの奴」

 

「また難易度の高いリクエストだね~。いいよ~。頑張って作るね~」

「ああ、ふわりのタルトは絶品だからな。頼んだぜ」

 

 

 3人に別れを告げ、俺はアルバイト先に急いで向かうのだった。

 そして2日後の夕方、再び王様ゲームをやることになったのである。

 

◇◇◇

 

 今日はアルバイトもないのでいつものように4人集まる日だ。

 

「ただいまー、って誰もいないか」

 

 親は今日も仕事に出かけて留守だ。まあこれは我が家の日常だから問題ない。

 

 むしろいない方が色々と都合が良いってもんだ。

 

「お邪魔しまーす」

「おじゃましまぁ~す♪ あたっ」

 

「お、おい大丈夫かふわり」

 

 背丈の高いふわりは我が家の玄関で頭をぶつけてしまうことがある。

 

 この頃はなかったのに久しぶりに見たな。もしかして浮かれてるんだろうか。

 

「えへへ~。楽しみ過ぎてボンヤリしちゃった」

 

「気を付けてくださいよふわわんったら。イチゴタルトが崩れちゃったら悲しいですからね」

 

「私の心配してよリンちゃーん」

 

「とりあえずお茶煎れるから部屋で待っててくれよ」

 

「「「はーい♪」」」

 

 いつもの慣れた光景。しかし今日は心なしか皆ウキウキしているように見える。

 

 階段を上る足取りも軽やかだ。

 

(あれ?)

 

「ふんふーん♪」

 

 トントントン、と軽やかに階段を上っていく3人の姿……下から覗くと軽蔑されるので決してしないが、全員のスカートが心なしか短いような……?

 

 パンツ見えちゃうぞあれじゃ。制服のスカートは今時の女の子らしく短く履く人は多いけど、普段はロングスカートで通しているふわりまでいつもより若干短かくて太ももの裏側が見えてしまった。

 

 

 え? 女子のスカート丈を把握してるのはキモい?

 

 誤解だ。いつも一緒にいるからこそ今日の違いに気が付いたってことだ。

 

 常にスカートに注目していたわけではない。

 

 

 ないからな?

 

 

 

「お待たせ―」

 

 お盆に乗せたお茶を持って2階の部屋に入ると、杏奈が部屋の中をゴソゴソと這い回っていた。

 

 ベッドの下に顔を突っ込んで何をやっているのか。

 お尻を高く上げてるせいでパンツ丸見えになっている。

 

(今日はパールホワイトのレースか。なんかエロいな。勝負下着みたいだ)

 

 淡々と事実を確認するが、少しでも心乱すと青春のホワイトドラゴンが滅びのバーストストリームしてしまいそうになるので必死だ。

 

 そうなれば杏奈の思うつぼな気がするのでここはガマンである。

 

「何してるんだ杏奈。パンツ見えてるぞ」

「えっと~、エロ本の大捜索をね」

 

「お前らがしょっちゅう来るのにそんなもん隠すかよ」

 

 そんな分かりやすい所に隠すわけないだろ。今時紙媒体でエロを求める奴なんているのだろうか。

 

 ちなみに秘蔵のブルーレイなら本棚にカムフラージュして隠してあるので見つかる心配はない。

 

 こいつらあの手この手で探しだそうとするからな。こっちも知恵がつくってもんだ。

 

 一本だけだし、そうそうバレることはあるまい。

 

「多分あの辺じゃないかな~」

 

 本棚を指さして鋭い指摘をするふわり。何故バレるんだ。

 

「そ、そんな事より今日もやるんだろ?」

「誤魔化した~。当たりかなぁ」

 

 人のシークレットファクターを暴かないでほしいな。

 

 

 

「今日は前より色々持ってきたよー。趣向を変えてお題箱も準備してみましたー」

 

「お題箱?」

 

 そういえば前回は小道具ほとんど使わなかったからな。

 

 今日もゲームをやる気満々のようである。

 

 俺? 楽しみにしてなかったと言えば嘘になる。

 

 すみません、めっちゃ期待してました。

 

「それじゃあ張り切って始めよっか」

 

「その前にタルト食おうぜ。俺楽しみにしてたんだからさ」

「それは作り手冥利につきるな~」

 

「あ、じゃあタルト食べるのもお題に含めちゃおうか」

「どうやって?」

 

「それは後のお楽しみ。早速始めよっか。はい、割り箸持って」

 

「「「王様れーじ君♪」」」

 

「最初の赤は~、今回も私だね。お題箱は用意してあるけど、タルトは早いうちに食べちゃおうか。先に私が考えてたご奉仕始めるね」

 

 何をするつもりなんだろうか。

 食べ物で遊ぶようなことはしないでほしいけど。

 

「それじゃあ正室と側室全員で、順番に一切れずつ。王様に食べさせてあげてくださーい」

 

「「はーい」」

 

 なるほど。確かに普通に食べるより美味しくなりそうだ。

 

「じゃあ一通り食べたら王様から食べさせるってことでいい?」

 

「いいよー♪ はい、あーんして♡」

 

 天国であった。今日は以前よりも戸惑いも少なく、平和に始まっている。

 

 フォークに刺したタルトの粉が零れないように手を添えながら小さな一切れを運んでくれる。

 

「んぐ……んんぅ、やっぱりふわりのタルトは美味いな」

 

「えへへぇ。今回はちょっと良いチーズ使ってるんだぁ」

「最高に美味いよ。いくらでも食べられる。よし、じゃあ俺から杏奈に」

 

「うん、あーん♡ あむっ♪ んんん~~♡ 美味しいぃ♡」

 

「美味いよなこのタルト。でもなんで四つん這いになって食べるの?」

 

 何故だか杏奈はエサをねだるワンコのように四つん這いになって口を開いている。

 

 端的に言って、なんかエロい。

 

「ワンワン♪ ご主人様、ケーキ食べたいわん♡」

 

「よーしよし。そんじゃあ美味しいケーキ食べような杏奈ちゃん」

 

「わんわん♡ ご主人様優しいわん♡」

 

 急激に奇妙なテンションで犬真似をし始める杏奈に面食らうが、その心情に思い当たってノリに付き合う事にした。

 

「ほら杏奈ちゃん、もう一口食べようね」

「わぅん♡ はむはむ♡ 美味しいぃ♡ 心が癒やされるぅ」

 

「杏奈、今日なんかイヤな事あっただろ」

「くぅん……。やっぱり分かる?」

 

「お前が奇行に走る時は大抵ストレス抱えてる時だからな。今日は何があった?」

 

「変な人に声かけられて意味分かんないこと言われた」

 

「それじゃよく分からんけど、鈴音、なんか知ってる?」

 

「あ~、サッカー部の保杉(もてすぎ)君に告られてましたね」

 

「モテスギって、あ~、あいつか。確か隣のクラスだったな。告られたってマジかよ」

 

 モテスギ コマルってな冗談みたいな名前だが、顔は良いし爽やかイケメンで女の子にめちゃくちゃモテてる奴だ。

 

 去年のバレンタインデーには1人1人受け取って長蛇の列が出来てたし、マジで学園内にファンクラブがある。

 

 名は体を表すっていうけど、その名の通り女の子にモテる要素はちゃんとある、が、杏奈は記憶すらしていないって事か。

 

「モテスギって去年同じクラスだったぞ」

 

「覚えてないもん。アンタ誰って聞いただけなのにキレられたんだもん」

 

 そりゃモテスギも可哀想に。アイツ二年の時に同じクラスだったし、確かしょっちゅう話しかけてた記憶がある。

 

 杏奈の記憶には名前も姿も全く残ってなかったって事か。

 

 男としてはプライドズタズタだろう。ちょっと哀れだ。

 

「そりゃしょうがないな。ほら機嫌直してケーキ食べような」

「わんわん♡ たべるぅ♪」

 

 しかし、キレたモテスギには悪いが杏奈はこうなのだ。興味の無い人間は記憶に一切留めない。

 

 俺にはどっちが悪いかってジャッジはできないが、巡り合わせが悪かったとしか言えないな。

 

「わうーん♪ タルト美味しいぃ♡」

 

 そうして小さく一切れずつフォークに刺してタルトを食べさせ、杏奈のストレスがなくなるまで付き合った。

 

 他の2人もそのことが分かっているので、自分の番が回っても杏奈には文句を言わないし、逆に気遣って邪魔しないようにしている。

 

「はぁ~、美味しかった。れー君ありがとね。ふわりちゃんも、とっても美味しかったよ。リンちゃんも覚えててくれてありがと」

 

「どういたしましてぇ~」

「気にしないでいいですよ~」

 

「それじゃ次はふわりちゃんが食べさせる番だよ」

 

「はーい♪ それじゃれーじくん、私が食べさせてあげるね~」

 

 杏奈のストレスが消え、俺達は引き続き王様ゲームを楽しむのだった。

 

「じゃあ次はふわりちゃんの番ですよー。王様はこちらに来てくださいね~」

「え、お、おいちょっと」

 

 急激に体が浮遊感に襲われ、何かと持ったらふわりに持ち上げられていた。

 

 いわゆるお姫様抱っこという奴だ。

 

 突然の事で戸惑う俺にニッコリと微笑み掛けるふわり。まるで息の合うコンビプレイのように鈴音がタルトを差し出してくる。

 

「ふわわん、はいどーぞ」

「はーい。それじゃふわりちゃんが食べさせてあげるね~。はい、あーんして」

 

 まるで赤ちゃんに離乳食を与えるような格好で食わされそうになる。

 

「お、おおいふわり、流石にこれは恥ずかしいんだけど」

「いいじゃない。ほら、お口あーけて♪」

 

 ふわりもふわりで結構融通が利かないところがあるからな。

 

 こうなったらテコでも諦めないだろう。しょーがないので付き合うことにした。

 

「あ、あーん」

 

 甘いイチゴタルトの味わいを口の中で感じながら、頭上のふわりの満足気な顔に顔が熱くなる。

 

 これは想像以上に恥ずかしい……。

 

 あれだ。赤ちゃんプレイって奴だ。

 

「うふふ~。哺乳瓶とか持ってくればよかったかな」

「それはマジで勘弁してくれ」

 

 まだ自分の性癖もよく分からん童貞のうちに特殊な扉なんて開きたくないってばよ……。

 

 美少女ふわりの眩しい眉建ちを間近で感じてしまったら、妙なドキドキと共に性癖が完成してしまいそうで怖い。

 

「はい、もう一度あーんして♡」

 

「あ、あーん」

 

 疑似離乳食プレイがよほど気に入ったのか、上機嫌にタルトを運んでくる。

 

 その表情がめちゃくちゃ色っぽい。

 

 くっ、ダメだ。その扉は開いてはいけないっ!

 

 ばぶーっなんて言ってはいけないのだっ! 耐えろ俺っ、その領域は思春期童貞には早すぎるッ!

 

「フォークだと崩れちゃうね。手で食べさせてあげる。ほら、お口あーけて♪」

 

 ふわりのイチゴタルトは小さく切り分けるよりもデッカい塊を頬張った方が美味しい。

 

 上に乗った甘いソースに絡めたイチゴを、たっぷりのクリームチーズに絡めて食べるタルトはふわりの絶品お菓子の中でも群を抜いて俺の好物だ。

 

「ああ~んもうっ、れーじくんカワイイ♡ 食べちゃいたい」

 

 むしろこのまま食べられたいっ! いやいや違うぞバカもの。しっかりしろ土峰零士。

 

「ママって言ってみて」

「頼むから勘弁してくれ」

 

「ちぇー。じゃあ今度は私に食べさせて」

「お、おう。え、このまま?」

 

「うん、お願い」

「わ、分かった分かった」

 

 あれ……もしかして。

 

「ふわり、お前もストレス抱えてる?」

 

「えへへ、やっぱり分かってくれるんだぁ♡ 嬉しいなぁ」

 

「おわっぷっ⁉ 頬ずりするなって。むしろ気付くのが遅れてすまん」

「ううん、いいの。気付いてくれただけで嬉しいもん」

 

「ほら、ゆっくり食え。食い終わったらイヤな事吐き出せよ」

 

「あむっ、んむんむっ、うん、我ながら最高の出来だよ。あのね、昨日またスカウトの人がウチに来たの」

 

「スカウト、ああ。アイドル事務所の」

「そう。お母さんに渡りを付けてうちまでやってきてさ。何度も断ってるのにしつこくて」

 

 ふわりはこの長身と美貌、なによりバツグンのプロポーションを見込まれて何度もグラビアアイドルのスカウトを受けている。

 

 きっかけは母親が社長をしている会社のモデルのバイトをしたことだ。

 

 大分前のことだが小遣いほしさにジュニア下着のモデルをした時、そのあまりに美貌に目を付けた芸能界から何度もスカウトを受け始めたらしい。

 

 芸能界に毛ほども興味の無いふわりにとってそれは多大なストレスなのだ。

 

 というよりそのせいでふわりは極度の人見知りになってしまい、一時期そうとう人間関係に苦労している。

 

 この頃はかなり改善を見せていたのに、またぞろスカウトを受けてストレスが復活してしまったという事なのだろう。

 

「ほらふわり、お前のタルトは最高だぞ」

「うん、美味しいね。れーじ君のお手々で食べるともっと美味しい」

 

 恋人の甘いやり取りのように食べさせてもらって喜ぶふわり。

 ただし腕に抱えられているのは男の俺である。

 

 実にシュールな光景だ。

 

 

「ふわぁ、美味しかったぁ」

 

「はむはむ。鈴音もごちそうさまでした」

 

「ありゃ、鈴音は自分の分全部食っちまったのか」

 

「すみません、あんまり美味しくてつい」

 

「俺の分まで平らげやがって。後で食べようと思ってた分まで……」

 

 ホールの半分食っちまいやがった。

 

 

「まあまあ。また作ってくるからね」

「しゃーないな」

 

 

「それじゃ、次のターンいってみようっ!」

 

◇◇◇

 

 

「「「王様れーじ君♪」」」

 

 

「あ、今度は鈴音ですね~。皆さん、今回からルール追加しませんか?」

 

「いいよー。どんなの追加したい?」

 

「普通の王様ゲームと同じように、何番と何番が何々してくださーいみたいな、王様に何かする以外を出すのOKって奴で」

 

「なるほど。ゲームに幅が広がるね。どうかな、王様」

「ああ、いいと思うぞ」

 

 

「それじゃ決定ですね。えーと、それじゃあまず~。杏奈ちゃん、小道具の鞄、開けていいですか?」

 

「いいよー」

 

 杏奈の持ってきた大きめの鞄に手を突っ込み、なにやらゴソゴソと探り始める。

 

「じゃじゃーん、コイツを使いましょう」

 

「なんだそりゃ」

 

 なにやら取り出したと思ったが、それはいわゆる女の子がメイクで使う化粧ブラシだ。

 

「それじゃ今回は、王様と正室で、側室一番をこのブラシでこちょこちょしちゃいましょう」

 

「おお、なるほど。王様ゲームっぽいな」

 

「一番はどっちですか?」

 

「あ、私だ」

 

「ふへへへ、それじゃあ始めましょう。杏奈ちゃん、両手を上げて頭の後ろで組んでください。ホールドアップっ、みたいな感じ」

 

「えっと、こ、こうかな?」

 

「そうそうそんな感じです。それから膝立ちの方がセクシーでいいですね」

 

「うひぃ、ちょっと恥ずかしいね。なんかエッチだよぉ」

 

 杏奈の格好はアレだ。グラビアアイドルのセクシーポーズみたいだ。

 

 胸をグンッと張っているので大きな果実が「ゆさっ」と大きく揺れる。

 

「それじゃあハケを持って、まずは優しく撫でるように~」

「よし、こうだな」

 

「ひゃいんっ♡ はぅ、や、やぁ、くすぐったいよぉ」

 

「動かないでくださいねぇ。あ、ふわりちゃんタイマー動かしてください」

 

「はいはーい♪ 今から3分ねぇ」

 

「はうぅ、んっ、ひぅんっ、あひっ……んぁあっ、きゃははぁ、ぁ、らめぇ、くすぐったいよぉ」

 

 

 ゆっくりゆっくりと撫でるもんだから、かなり焦れているみたいだ。

 

 笑っているというより喘ぎ声を出しているみたいである。

 

 なんというか……エッチだ。

 

「はひぃ、はひぃ……もうらめぇ、くすぐったいよぉ」

 

 ジワリと汗が滲んで毛先がしとしとと湿り気を帯び始めたのが分かる。

 

「残り1分~」

「ま、まだ1分もあるの~?」

 

「それじゃラストスパートいってみましょう。ほられーじ君、セーラー服の袖から直接差し込んで脇の下をこちょこちょしてください」

 

「えっ、ちょ、ちょっとっ、リンちゃん、わたし脇弱いからっ」

「ぐへへへっ、正室の命令は絶対なのです。大人しくしてくださいね」

 

 季節は夏が終わったばかり。残暑が厳しい季節に来ているのは夏の制服である。

 

 半袖セーラー服は腕を上げると白い素肌がバッチリ覗けてしまう。

 

 お肌真っさらな脇の下が裾の中から覗き、しっとりと汗で濡れている。

 

「よ、よし……そお~と」

 

「ひゃいんっ♡ はひっ、くすぐったい……ぁひゅ、んぅう、きゃはははっ、さ、流石にそれはくすぐったすぎるぅ、あひぃい、んぁあ、あぁ、きゃは、きゃはははははっ、だめぇ、お腹痛くなってきたよぉ、もう堪忍してぇ、あひぃ、らめぇええ」

 

 

 ピピピピピッ

 

「はーい、3分経ちましたよー」

 

「はぁ~、はぁ~♡ はぁ~♡ く、苦しかったぁ♡」

 

 桃色の吐息を苦しげに吐き出す姿はひと言でいえば扇情的である。

 

 やっべぇ、エロいな杏奈の奴。初っ端からこんなドエロいシチュをぶっ込んでくるとは。

 

 鈴音の奴も中々やるじゃないか。

 

「それじゃあ次いってみましょー」

 

「ちょ、ちょっとまっれぇ……お腹苦しひくて……休憩させてぇ」

 

「あ、ごめんごめん。大丈夫ですか杏奈ちゃん」

 

「もうらめぇ……」

 

 桃色吐息の杏奈の復活までしばしの休憩となり、俺達の王様ゲームは静かな盛り上がりを見せていた。

 

 

「ふぅ~、やっと収まってきたぁ。それじゃ続き始めよっか」

 

「「「王様れーじ君♪」」」

 

「お、次は俺だな。そうだなぁ。うーむ」

 

 なるべくエロくならない奴がいいな。この王様ゲームはどうにもエロ方面に偏っている気がするので、ここで一度クールダウンが必要だろう。

 

 

「それじゃスタンダードに、王様へ順番に肩たたきでもしてもらおっかな」

 

「あ、それじゃ良い方法があるよー」

 

「良い方法?」

 

 

「うん、まず王様は目隠しをしてくださーい」

 

「え、目隠し?」

 

 なんで肩たたきに目隠しが必要なのだろうか。

 

「じゃあ目隠しするから目を閉じてて。目隠しの布準備するから」

 

「え、タオルもってくるけど」

 

 目隠しを準備するために目隠しってなんだ? 哲学か?

 

「いいのいいの。とにかく目を閉じてて。開けちゃダメだからね」

 

「お、おう」

 

 こうやって意見をゴリ押しするってことは、また何か企んでるな。

 

 ここは素直に従っておくとするか。

 

 言われた通り目を閉じて杏奈に身を任せる事にする。

 

 エロくしないようにすると言っても、向こうから積極的に何かするってなら止める理由はない。

 

 まあそれがエロくなるとは限らないし、頭を切り替えようぜ俺。

 思考がエロに染まっちゃダメだ。律しろ。

 

「はいはーい。ズルができないように鈴音が目隠ししちゃいますよ」

 

 温かくて柔らかい手の平の感触が目蓋周りに吸い付いてくる。

 

 あ、シャンプーと香水の良い匂いがする。なんだかんだ言って鈴音も女の子だよなぁ。ドキドキするぜ。

 

 なんだか前回と比べてスキンシップに積極性があるような……。

 

 

「じゃあ目隠し準備するねー」

 

 たかが目隠しの布一つで何を準備する必要があるんだろうか?

 

 ――シュル……シュル……。

 

「な、なんだ……? 何の音だ?」

 

 何かが擦れるような音……やがてギシッとベッドが軋む音がして、背後に誰かの気配が回ってきた。

 

「しっかり目を閉じててよ~」

「お、おう」

 

 こういう時にこっそり開けると杏奈の機嫌が悪くなるからな。

 

 ここは素直に従っておこう。

 

「はい、じゃあ目隠ししまーす」

 

 そうして目の周りに何かを巻き付けられた。声の位置からしてやったのは杏奈か?

 

「なんだろう、変わった感触の布だな。タオルでも無さそうだし、なんだこれ」

 

「あ、触っちゃダメだよ」

 

「え、なんで?」

 

「なんでもいいからっ。恥ずかしいじゃない」

 

 恥ずかしいものを人の顔に巻き付けたのか? 一体何を使ったんだろうか。

 

 なんだかフワッと香ってくる良い匂いには嗅ぎ覚えがあるぞ……。

 

(あ、これ柔軟剤の香りだ。しかし、それに混じって何か違うにおいが混じっているような……なんだろう、答えを知っている筈だけど、それに辿り着いてはいけないような)

 

 まあタオルでも柔軟剤の香りはするだろうから、あんまりヒントにならないな。

 

 マジで何で目隠しされてるんだこれは?

 

 

「それじゃ順番に肩を叩いていくから、王様は何番目が誰の叩きか当ててみて」

 

「なるほど。気配や感触で当てるゲームか。幼馴染み力(りょく)が試されるな」

 

「そうだよー。間違えたら罰ゲームだからね」

 

「え~、でも間違えたかどうかって俺の方じゃ判断できないから不公平じゃないか?」

 

 流石に叩かれている感触だけだと判断は難しそうだ。

 

「オッケー、それなら叩き終わった人はベッドから降りて、れー君の手を握っていればいいよね。両手で握っていれば動けないし、れー君は手の感触で誰が終わったのかのヒントにもなるしね」

 

「なるほど。手の大きさとかはかなりのヒントになるな」

 

「それじゃまずは順番シャッフルしよっか。全員ベッドに上がって」

 

「はーい♪」

「いきますよー♪」

 

 シングルのベッドに4人が乗ると、流石に凄い勢いで軋んでいく。

 

 しかも女の子が3人も。なんかドキドキする……。

 

「それじゃ始めるよ。しっかり当ててね」

 

 トントントントンッ

 

「お、気持ち良いぞ」

 

 軽快なリズムを刻みながら首の根元を叩き始める誰か。

 まさしくリズミカルといった感じで心地良い振動が心を癒やしてくれる。

 

 俺は肩こりを経験したことはないから分からないが、優しいリズムで叩かれるというのは何とも言えず心地良いものだ。

 

 

「はい、一人目終了~。ベッドの下に移動してくださーい」

 

 司会進行の杏奈の声が右側からしてくる。最初は杏奈ではない……と見せかけてフェイクを入れているかもしれない。

 

 ベッドの上を移動する3人の体重移動の気配も大きなヒントになるはずだ。

 

 直接言ったらぶっ飛ばされるので言わないが、やはり体格差があるのでベッドにかかる体重もかなり違う。

 

 集中しろ。最初に移動したのは比較的軽い音がした。

 

 やがて俺の指先がそっと握られる。これは恐らく鈴音だな。

 

 3人の中でもっとも体重が軽いであろう鈴音を基準にすると、残り2人の気配も分かりやすくなる。

 

 手をしっかり握らないのは、手の大きさもヒントになってしまうからだろう。

 

 指先だけ摘ままれる程度じゃ流石に大きさまでは分からないし。

 

 トトトトトトトッ

 

 次の人が始まった。今度は素早く強めの力で叩いてくれる。

 

 ゆったりとしたリズムもいいが、より軽快に強い力で叩かれるリズムも中々だ。

 

 やがて叩き終わった二人目が移動し始め、反対の手の指がそっと握られた。

 

 次が三人目だな。

 

 

 ――シュル……シュル……。

 

「な、なんだ? また布が擦れる音がする。何をしてるの?」

 

 ――――シュル……。ファサ……ゴソゴソ、パチンッ……シュル……ファサ

 

 今聞いた音を擬音で表するならこんな感じだった。

 

 これはなんだ? もしかして服を脱いでるのか?

 

「……(クスッ)」

 

 誰かが笑う声がした。そして最後に残った体重が重心を変え、動き始めたのが分かる。

 

 ――ばるんっ、ベチッ!

 

「うおっ⁉ な、なんだ今の感触はっ⁉」

 

 大きくて弾力のある何かが首根っこから肩にかけて叩き付けられる。

 

 大きいのに痛くはない。むしろ感触としては柔らかい。

 

 ――ばるるんっ! ベチチンッ! ばるるんっ! ベチチンッ!

 

 

「こ、今度は両側ッ⁉ なんだっ⁉ 何で叩いてるのッ⁉ 目隠しッ、目隠しの取り外しを要求するっ!」

 

 俺はこの事実を探求する義務があるっ!

 

 この弾力っ、この衝撃っ、素肌のような感触っ! その奥にある柔らかさっ!

 

 ――――べちっべちっ、ぶるんっ、べちんっ!

 

「くぅう、何かがっ、冒涜的な何かが叩き付けられているっ!」

 

 断固として視覚的確認が必要だっ! これは正義だっ! 人類の進化のためには必要な探求なのだっ!

 

 俺が正義の行いを実行しようと目隠しに手を掛けるが、すぐに両側から取り押さえられてしまった。

 

 

「ぬぅうっ、離せ二人ともっ。俺は後ろの光景を確認する義務があるのだっ! なんとしても――もぎゅうっ⁉」

 

 抗議の声を上げると【黙れっ】と言わんばかりに両耳が塞がれる。

 

 俺の頭部を丸ごと包み込んでしまう柔らかい大質量なんて一つしかない。

 

 しかしその単語を口に出すと、何かが変わってしまいそうで言えない。

 

「はーい、時間でーす」

 

「では目隠しをっ」

 

「いま取ったら一生軽蔑するよ~♪」

 

「それはイヤだぁあっ!」

 

 失うものが大きいっ! でも見たいっ! なんという理不尽っ!

 

 くそっ、答えは分かっているのに口に出せないっ!

 

 男には、失うと分かっていても突き進む事を試される時があるっ!

 

 

 

 それから再び布地が擦れる音が収まるまで、目隠しを取ることは許されなかったのだった。

 

 ちなみに目隠しの布をとる時も目を開けることは許されなかった。

 

 

 答え合わせをするために目を開けた時、杏奈のニーソックスが妙にヨレヨレだったような気がするが、俺がそれを指摘することはなかった。

 

「肩たたきの順番は、鈴音、杏奈、ふわりの順だな」

 

「正解~。ちなみにそれぞれ答えが分かった理由は?」

 

 ここで俺の幼馴染み力(りょく)が試される。

 

 明確に体重の軽さとか冒涜的な感触が~とか言うと軽蔑まっしぐらだ。

 

 

 考えろ俺。幼馴染みらしく、何か女の子の地雷を回避しながら明確な答えに辿り着く回答を導きだすのだ。

 

 

 くっ、答えを考えるよりこっちの方が難易度が高いじゃないか。

 

「え~、まず最初が鈴音だと思った理由だが~、これはシンプルだ。叩いてる時に息遣いが聞こえてな。声の感じから鈴音だと分かった」

 

「なるほど~」

 

 よし、無難な答えだ。見る限り感情に変化はなさそうなので無事にクリア。

 

「次に二番目が杏奈だった理由だが、これは杏奈が新体操部だったからだな。叩いている時の体重移動の軸がぶれなかった。不安定なベッドの上で膝立ちになってても体が非常に安定していたんだ」

 

「えへへ~、凄いねれー君。そんな事で分かっちゃうんだ」

 

「俺も曲がりなりにスポーツ選手だったからな。最後の一人は消去法だ」

 

「おお~、ぱちぱちぱち~。見事にNGワードを回避しながら説得力のある答えを出したね」

 

「口八丁もここまでいくと見事ですね。将来は営業職かペテン師に就けますよ」

 

「なんでそんな極端なジョブなんだよ」

 

 なんだか絶妙に褒められている気がしないけど、気にしない方がいいな。

 

「ちなみに~、私が使った肩たたきの道具はおっp」

 

「俺の気遣い無駄にしないでっ!」

 

「じゃなくてビーズクッションですよ~♪」

 

 絶対嘘だ。そもそもそんなしゃれたものはこの部屋には置いていない。

 

 いや、ある意味クッションだけどさ……。

 

 

「それじゃ次のターンいってみよーっ」

 

◇◇◇

 

 

 

 

「「「王様れーじ君♪♪♪」」」

 

「よっしゃーっ! また鈴音ですよーっ!」

 

「引きがいいな鈴音は。次はどうするんだ?」

 

「そうですね~。今度は王様に体を張ってもらいましょうか。腕立て伏せ10回から」

 

「え、そんなんでいいの?」

 

「ただし、腕立て伏せは逆立ちした状態で」

「逆立ち腕立て伏せか。バランス取るのは難しそうだけど、10回くらいならなんとかなるか」

 

「倒れてもいいようにふわりちゃんに補助をお願いしましょう」

「はーい♪」

 

「ああ、それなら安心だな。この部屋狭いし、倒れたら色々大変だ」

 

 逆立ち状態とはいえ、腕立て10回くらいなら軽いもんだ。

 

「よっこら、っせ……と。っととと、ふわり、補助頼むぞ」

 

「大丈夫だよー。倒れたらおっぱいに当たるからセクハラで訴えるからねぇ」

 

「理不尽ッ!」

 

 ふわりの両手が足首を支えてくれているのでバランスは安定している。

 

 大丈夫。10回くらいならなんとかなるぜ……。

 

「それじゃ、準備の仕上げですよー。よっこらせっと」

 

「お、おい鈴音、なにやってるんだお前」

 

 あろうことか鈴音が逆立ちしている俺の真下に入り込んで来やがった。

 

「お、おいおい、そんな所にいたらキスしちまうぞ」

 

「ふ、へへ……。鈴音の顔に触れるギリギリまで寄せてくださいね。肌が触れたら罰ゲームですからね。息遣いを感じたらカウントしますから、それまで体を上げたらダメですよ」

 

「ぬぅう。一気に難易度が上がったぞ」

 

 俺がバランスを崩すと鈴音に頭がごっつんこして大変な事になるし、触れたらセクハラで訴えられる。

 

 これは条件が厳しそうだ。ゆっくりやると勢いが利用できないので相当キツくなるし。

 

「ちなみにこの位置からだとふわわんのおパンティがハッキリ見えますよ」

「いやーん♪ リンちゃんエッチ~」

 

 足を開いたふわりの間から顔を出したと思ったらそれが目的だったのか。

 

「くっ、心理作戦とは卑怯な。俺の心はそんな事では揺さぶられないぞ。ちなみに何色?」

 

「うーん、回答を拒否しまーす。ふわわんの人権優先ですねぇ」

 

「じゃあ私も反対側から参加しよっかな~。こっち側に倒れても危ないからね。両方から支えてあげるね、れー君」

「お、おう、サンキュー。ち、ちなみに鈴音、その位置から何色が見える?」

 

「え~、ノーコメントで」

「れー君のエッチ~」

 

 くそっ。二回目なら行けると思ったがダメだったか。まあさっき見たんだけどね。

 

 少し顔を動かせば頭上にはパラダイスが広がっているというのに、倫理観がそれを許さない。

 

 目の前の鈴音がそれを許してくれないだろう。

 

 ニヤニヤしやがって。俺が欲望で葛藤しているのを楽しんでやがるな。

 

 

「ふぅ~♡」

「うひぃんっ、こ、こらっ、どっちか知らんけど足の裏に息を吹きかけるな。くすぐったいじゃないかっ!」

 

 

 危うくバランス崩す所だった。ファーストキスで歯同士ごっちんこじゃあんまりだからな。

 

「ふぅ、ふぅ……。ほらほら、早く始めないと筋肉が疲労していきますよ。その格好してるだけで消耗するでしょ」

 

「よ、よし、始めるぞ」

 

 確かに逆立ちしてジッとしているだけでもかなりの乳酸が溜まる。

 

 早いところ始めないと無条件で罰ゲームになってしまうじゃないか。

 

「まずは、一回目~、い~ちっ」

 

 ゆっくりとゆっくりと腕を曲げ、鈴音の顔に近づいていく。

 

「~、~、ふぅ~、ふぅ~」

 

 心なしか鈴音の瞳が潤んで息遣いが荒くなってきてる気がする。

 目が血走って鼻息が荒い。まさか興奮してるのか?

 

「お、おい、早くカウント数えてくれ。一回一回がキツい~」

「もう少し、もう少し近づいてください。はい、そこで一回」

 

 あわや唇同士が触れ合おうという至近距離になって、ようやくカウントが許された。

 

「ふぬぅ~、二回目~、そ~れ~ぇ」

 

「が~んばれ♪ が~んばれ♪」

 

 いくら足を支えてもらってると言っても逆立ち腕立てはキッツいな。

 

 しかもこの厳しい条件で10回も。

 

「にーかいめ、さーんかいめ♪」

 

 よーし、順調だ。四回目、五回目、六回目と成功。

 

 ようやく通過点を超えたところで、更なる厳しい妨害工作が始まる。

 

「ふ~、こちょこちょこちょ~」

 

「ふひゃひゃひゃひゃっ⁉ こ、こら杏奈ッ、ふわりかっ⁉ どっちか分からんけど足の裏をくすぐるのは反則だろっ! 危ないじゃないかっ!」

 

「ぶほっ、れーじ君の顔が福笑いみたいでクッソおもれぇですよ」

 

 好き勝手言いやがって。完全に俺で遊んでやがるな。

 

 

「うわっ、ヨダレ垂らさないでくださいよっ、きったいないなぁ」

「そんにゃこと言われても、あひゃひゃひゃっ、ぐぬぬぬっ、気合いだぁあ」

 

 くおおっ、と、とにかく後4回だけだ。気合いでなんとか乗り切るしかない。

 

 

「ぬぁああ、七回目~~」

 

「はーい七回~。頑張れれーじ君~。やり切ったらふわわんのおパンティの色を教えてあげますよ~」

 

「ぐぬぬぬっ、それも気になるけど、それのタメに頑張るのは何か違う気がする~~~っ」

 

「八回目~。ほらほら後二回ですよっ! 気合いだ気合いッ。もうちょっと近づいて、はい八回目~。杏奈ちゃんのパンツの色知りたくないですか~」

 

「ぬううぁあ、それはさっき見たから知ってる~、イテッ、つねるなよ杏奈ッ」

 

「セクハラする人にはお仕置きでーすっ」

 

「不可抗力だ~~」

 

 見たくて見たんじゃないやいっ! いや嬉しくないわけじゃないが……。

 

「ぐぬぁああっ、あと少し~~~」

 

 ぐおおおっ、あと少しっ、ゴールが見えてきたぞっ。

 

 

「ほらぁ、もっと近づいて。キスしたらセクハラですからね」

 

 そう言いながら舌先をレロレロと突き出してからかって来やがる。

 

 くそっ、このままマジでベロチューしてやろうか。

 

「ぐぬぬぬっ、あと、もう、少し~」

 

「おおお、凄い凄いっ。九回目ですよ~。ところで~杏奈ちゃ~ん」

 

「なーにー?♪」

 

 何か猛烈に嫌な予感がするぞ。何を始める気だ。

 

「今何時ですか? この位置からだと時計が見えなくて~」

「えっとねぇ、今は~」

 

「おいこらっ! ”時そば”はやめろっ! マジでシャレにならんぞっ!」

 

 この上数を追加されたらマジで崩れ落ちる。

 

「ぐぬううう、10回目~~っ」

「もう少し近づいてぇ。ちゃんと腕を曲げないとカウントしませんからねぇ」

 

 あと少しで鈴音の唇に触れてしまう。

 

 あと3㎝……2㎝……1㎝……。ま、まだかっ、まだお許しはでないのか……。

 

 腕が悲鳴を上げている。このままでは落ちる。

 

『チュッ♡』

「えっ⁉ おわっ、しまっt――――」

 

 ――――何かが、触れた。唇に、何かが、柔らかい何かが自分から向かってきた。

 

 

「おとっととっ、危ないよ~」

 

 バランスを崩してヒジで体重を支えるが、疲労した筋肉では支えきれなかった。

 

 あわや倒れ込む寸前でふわりと杏奈が支えてくれる。

 

 

 足の裏に巨大なスライムがダブル密着している感触を知覚するが、それよりも……。

 

「り、鈴音……」

「えへへ……触れたから反則負けでーす……♡」

 

 顔を真っ赤にして唇に指を当てる鈴音の色っぽい表情が、俺の思考を停止させたのだった。

 

「ぜぇ~、ぜぇ~、ぜぇ~……。り、鈴音、今のは……自分から」

 

「えへへへ、何のことですか~? 触れたかられーじ君の反則負けですよ。罰ゲームを執行しまーす♪」

 

「ぐ、ぬぬぅ……は、反論する体力が、残ってない。とりあえずちょっと休憩……」

 

 明らかに鈴音は自分から唇を近づけてきた。

 

 ほんの一瞬だけだったが、柔らかい唇の感触を確かに感じた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……ま、マジで腕がプルプルする」

 

 普通にやるだけなら余裕でできるが、如何せん条件が厳しすぎた。

 

「大丈夫、れー君?」

「はぁ、はぁ、え?」

 

 仰向けに倒れ込んで大の字に寝転がっていると、頭上から杏奈の声がする。

 

 反射的に上を向こうとしたら両手で視界を塞がれてしまった。

 

「うわ、おい何するんだ」

 

「こらぁ、上を向いたらダメです~。パンツ見えちゃうでしょ」

 

「さっき見たから同じこと、イテテッ、爪を立てるなってっ。分かったから。見ないからっ」

 

「んもう。ホントにエッチなんだから」

「誰のせいだ誰の」

 

「ところで、ファーストキスの味はどうだった?」

「どうだったも何も、一瞬過ぎてよく分からなかったよ」

 

 

「へ~。そっか。鈴音ちゃんはどうだった?」

 

「そうですねぇ。正直鈴音も一瞬だったからよく分かりませんでした。なのでノーカンですかねぇ」

 

 本当はあの感触を覚えている。確かに一瞬だったが、柔らかくてフワフワしてて、女の子との感触は感動的だった。

 

 でもここでそれをハッキリ言うのはちょっと怖いのでやめておこう。

 

「ん~。それじゃ、罰ゲームはれー君が動かなくて済むやつにしよっか。お題箱はまた今度だね」

 

 そういえばお題箱使わなかったな。

 

 時間的にもそろそろお開きにしないといけないし、またやることは確定しているようだ。

 

 ◇◇◇

 

 

「あ、あの~、杏奈さん?」

「ん~? なぁにれー君」

 

 あろうことか俺は再び目隠しをされ、更に勉強机の回転椅子のパイプに手を後ろに回した状態で縛り付けられていた。

 

 

「なぜ僕は再び目隠しをされて、更には椅子に拘束されているのでしょうか?」

 

 

「え~、だって罰ゲームだもん。屈辱的な格好じゃないと意味ないでしょ?」

 

 それにしたってマジで動けなくする必要あるんだろうか?

 

 目隠しをされる直前に杏奈が裸足になっているのが一瞬見えた。

 これで何で目隠しされているのかは確定してしまい、柔軟剤と一緒に香ってきた別のにおいの正体にも気が付いてしまったのである。

 

 

 まあ、あえてなんの”におい”かは言うまい。別に臭(くさ)いわけでもないし。

 

 ちなみに手首を縛っているのはふわりのニーソックスと思われる。

 

 あいつも裸足になっていた。

 

「これって王様ゲームだよね。絶対俺だけ王様ゲームだよね? 趣旨がズレてない?」

 

「そんなことないよー。王様だってちゃんと政治をしないとクーデター起こされるでしょ?」

 

 なんて理不尽な国民だろうか。

 

 これから何をされるのか予想がつかないだけにちょっとドキドキしてしまう。

 

 俺は多分Mッ気はないと思うので、虐められて興奮する趣味はない……はずだ。

 

 しかし相手は三人だ。数に押し切られると戦力としては不十分である。

 

 しかも俺は拘束されているし。

 

「ふぅ~♡」

「はぅうううんっ⁉ な、なにをするっ! びっくりするじゃないかっ」

 

 いきなり耳に息を吹きかけられた。体の奥にゾクゾクとした感覚が駆け抜けて思わず身をよじってしまった。

 

「罰ゲームが決定しましたー。名付けて、『五感で感じろ! 感覚当てゲーム』!」

 

「カンカク当てゲーム? また肩たたきでもするのか?」

 

「今度はそれだけじゃないよー」

 

「杏奈ちゃん、準備してきましたよー」

 

「おかえりー」

 

「な、なにを準備してきたんだ? 台所に行ってたみたいだけど」

 

 何やらうちの台所で色々と準備していたみたいだが、何をしに行ったんだろうか。

 

 ちなみにふわりは俺の晩飯を作ってくれる事もあるので、勝手知ったる他人の家ってやつだ。

 

 何がどこにあるかは食器の位置まで正確に把握している。

 

 

 

 

 

「二人とも準備はいい?」

 

「「はーい♪」」

 

 それにしても実に楽しそうだ。俺の質問には答えず罰ゲームが始まってしまった。

 

「まずは~嗅覚から~。今から、あるものを鼻に近づけます。何を近づけているのか当ててみましょう」

 

「むぅ、よし、ドンとこいっ」

 

 変なものじゃなきゃいいけど……。一体なにを。

 

「はい、これはなんでしょーか」

「くんくん……ん? これは、消しゴムか?」

 

「せいかーい。次いってみよー」

 

 よかった。変なものじゃないみたいだ。

 

「ん~、次は……シャープペンシルの芯だな」

 

「おお、すごい。こんな小さいものなのによく分かったね」

 

 消しゴムもシャー芯も独特のにおいがするからある意味で分かりやすい。

 

「いいぞ、ドンドン来い」

 

「じゃあ次は私から出題するよ~」

「ふわりか。何を出すのかな」

 

 ゴソゴソ……プチン、シュル……

 

 またぞろ何か布が擦れるような音がする。

 

「んっしょ……。じゃあ出題しまーす。これはなんでしょーか」

 

 確実に今なにかを脱いだよな? 布の擦れる音に、無機質の何かを外した音。

 

 そこから滑らせるようにして脱いだ何か。ふわりの息遣い。

 

「くんくん……ふわふわとした甘い香水の匂いに、ほんのりとした汗と、皮脂のような……ま、まさかこれは……」

 

「わかんないかなぁ? じゃあ触覚テストいってみようか」

 

 ふわっとした甘い香りの後に、頬に触れる柔らかい感触。

 

 鼻の奥から入り込んで、男の本能を刺激するようなゾクゾクする匂い。

 

 そしてこの布地の感触は、レースの刺繍のような……。

 

「ブ、ブラジャー」

「せいかーい♪ ついでに~、はいっ」

 

「おぼっふっっ、なにをひゅるっ⁉ んぼっ」

 

 何かサラサラした生地が顔全体を覆い尽くす。

 

「このブラジャーは何カップでしょーか」

 

「んももっ、ん、こ、この大きさは……」

 

 俺の顔を覆い尽くす大きさ。並のカップ数ではないぞこれは。

 

「え、Hカップくらいかな?」

 

「ぶぶー。もっと上でーす」

 

「じゃあ、じぇ、Jカップとか」

「ん~、もう一声~」

 

「な、なにぃ? よ、よーし、思い切ってPカップだっ……。いや、流石にそこまでじゃないか」

 

「せーかいでーす。120㎝のPカップ♡ ちなみにウエストは60㎝だよー」

 

「マ、マジかよ。じゃ、じゃあアンダーとのサイズ差が60センチ近くもあるってこと……」

 

 現実にそんなサイズがありうるのだろうか。エロゲの世界から出てきた女の子と言われても俺は信じるぞ?

 

「店売りじゃ売ってないから大変だよホント。外すと重力に逆らえないから形が綺麗にならないのが難点かなぁ」

 

 確かにそれだけの大きさとなると柔らかい脂肪では重量を支えきれなくて下向いていくだろう。

 

「でもちゃんとバストトレーニングで支えてるんだよー。気を抜くとすぐに垂れちゃうからね~」

 

 聞けば聞くほど下半身に変な熱量が溜まっていく気がする。

 

 しかもさっきからずっとブラジャーを顔に押し付けられて汗と香水の混じった媚薬のような香りが肺の中に入ってくる。

 

 

「ほらほらふわわん、次に行かないとれーじ君が野獣になっちゃいますよ」

 

「はーい」

 

 くっ。もう終わりか。もっと嗅いでいたかったが……。

 

「そんじゃ次は鈴音から出題しますね。このまま触覚の問題にしましょう」

 

 そうして次に出題するのは鈴音となった。

 

…………

……

…

 

 

「これは、ゆで卵だっ」

「正解~。それじゃ次は最後の出題でーす」

 

 触覚問題は続いていた。

 

 氷、バナナ、ゆで卵と続いた。

 

 一巡したあと、最後に出題をしてきたのは杏奈らしい。

 

 だけど、そこからの行動はハッキリ言って想定外だった。

 

 ――――ドスンッ

 

「おぐっ⁉」

 

 いきなり腰の上に柔らかい感触と共に体重が掛かってくる。

 確実に人間の女の子が乗った感触のそれは、手を縛られて動けない俺の腰に太ももを絡みつけて完全に密着していた。

 

 胸板には弾力のある柔らかいものが押し付けられ、思い切り密着した誰かが押し付けてきた。

 

 

「あ、杏奈? んぐっ!」

 

 唇に何かが覆い被さってきた。柔らかくて、温かくて、奥からヌメッとしたものが溢れ出してくる。

 

「お、おい、んみゅ、おもふっ」

 

「―――――っ♡ ―――――っ♡♡」

 

 ぐちゅぅう~、ヌロヌロッ

 

 頭を搔き抱いて強く強く密着させ、唇を強引に割り開いてくるヌルヌルした何か。

 

「お、おっふっ、あ、杏奈、落ち着い、んむっ」

 

「これはぁ、むちゅっ、誰の、ファーストキス、で、しょう、かぁ」

 

「あ、杏奈っ、だろ? んおっ、落ち着けって」

 

「ぷはぁ……はぁ、はぁ、はぁ」

 

 目隠しの向こう側で、杏奈はどんな顔をしているのだろうか?

 

 なんだろうか。怒り? 苛立ち? 悲しみ? そこに混じった確かな興奮と、喜び……。

 

 このゲームを楽しんでいる中で、俺は無意識に杏奈を傷つけたのだろうか?

 

「えへへへ~、正解だよー。れー君の勝ち~。でもまだ終わりじゃないよ~」

 

「え?」

 

 かと思ったら突然空気が変わり、いつもの杏奈の反応に戻った。

 

――――ガシッ

 

「んえっ⁉」

 

 と思ったら今度は別方向から頭を掴まれて、強制的に右を向かされた。

 

「――――ッ♡ じゅるっ――――っ!!」

「んおっ⁉ な、なんら? さっきとは違う感触、んむっ」

 

「次はぁ、誰の唇、れ、ひょーかぁ♡ ――――っ♡」

 

「ふ、ふわり……」

「せいかーい♪」

 

「今度はこっちですっ」

 

「ごぼっふっ」

 

 勢いよく掴まれるから首が変な音を鳴らしてしまう。

 今度は反対側を向かされ、直ぐに同じような、しかしまったく違う感触が覆い被さってくる。

 

「――――――――――――――――――――――※擬音が卑猥過ぎるので自主規制」

 

 ヌメヌメでレロレロの舌の感触。小さな舌が蹂躙するように口内に侵入してくる。

 

「り、りお、ん?」

 

「正解でーす」

 

「はひぃ、はふぅ……。み、みんな……ど、どうしたんだよ」

 

「うふふふ~。今日のボーナスタイムでしたー。私達の、ファーストキス、あげちゃった♡」

 

 

★★★

 

 

 自室の窓から差し込む夕焼けの光が、埃の舞う空気を黄金色に染めていた。

 

 三人のファーストキスで口の中を唾液でぐちゅぐちゅにされた後、俺はいまだに椅子に縛り付けられた状態で再び目隠しをされていた。

 

 視界が奪われている分、聴覚と触覚が研ぎ澄まされていく。

 遠くから時折聞こえる遠い町の音、窓の外から漂ってくる学校帰りの誰かの声、そして目の前にいる三人の女の子の息遣い—それらが全て鮮明に感じられた。

 

 手首に巻かれた布(恐らくふわりのニーソックス)の締め付けが、この状況の非日常性をより強く意識させる。

 

「れー君、ちゃんとルールを守ってね」

「お、おう……」

 

 ルールもなにも、俺は縛られて動けないので逆らいようがない。

 

 杏奈の甘い声が耳元で息のように触れた。彼女特有の桜の香りが鼻腔をくすぐる。

 

「感触だけで誰が何をしているか当てるゲームだよ。声を出しちゃダメだよ?」

 

 彼女の指がそっと俺の頬を撫でる。

 

「ふほっ」

 

 その指先は意外と冷たく、触れられた場所から電流が走るような感覚が広がった。杏奈の指は細くしなやかで、ピアノを弾くときのように繊細な動きで俺の肌の上を踊るように移動していく。

 

 その直後、金属のチャックが下ろされる音が鋭く響き、ズボンのファスナーが開かれた。

 下半身が急に冷たい空気に晒されて、思わず身震いが走った。

 

 自室の空調の冷気が直接肌に触れ、全身の毛穴が一斉に引き締まる感覚。

 

「な、なにをする!?」

 

 思わず声が漏れる。心臓が早鐘を打ち始め、額に汗が浮かぶ。

 

「しーっ」

 

 杏奈の指が俺の唇に軽く触れる。彼女の指先からはほのかに甘いハンドクリームの香りがした。

 

「答えちゃダメだって言ったでしょ?これから始める官能テストなんだから」

「か、カンノウっ⁉」

 

 官能なのか、あるいは感応なのか。俺には分からなかった。

 

 布地が擦れる音と共に、下着まで下ろされる。

 完全に露出した身体の一部を、三人の女子の視線が灼きつけるように感じた(見えないけど)

 

 彼女たちの息遣いが一瞬止まり、緊張した空気が張り詰める。

 自室の静寂がより深まり、自分の鼓動が耳に響くほどだった。

 

 窓の外から聞こえる風の音さえも、この瞬間の緊張感を高めているようだった。

 

「こ、これがれー君の…」

 

 杏奈の声が微かに震えている。彼女の指先が恐る恐る触れてくる。

 

「おふっ……」

「ふふ、れー君の声、変なの」

 

 その冷たい感触に、思わず腰が跳ねそうになるのを必死にこらえた。

 杏奈の指は少し震えていて、その緊張が伝わってくる。

 彼女も初めての経験なのだろうか、と思うと妙に安心感を覚えた。

 

「すっご~い♡」

 

 ふわりの甲高い声が響く。彼女特有の明るく弾むような声色が自室に広がる。

 

「思ってたより立派だね…見てるだけでドキドキしちゃう」

 

 ふわりの声には好奇心と興奮が混ざり合っていて、それが俺の緊張をさらに高める。

 

「ほわわわっ…」

 

 鈴音の驚いた声が続く。彼女の声は小さく控えめで、その声音だけで彼女の表情が目に浮かぶようだった。

 

「グロテスクなのに、なんだか目が離せないよ」

 

 鈴音らしい素直な感想に、少し恥ずかしさを覚える。

 

 彼女たちの会話が聞こえる中、突然、柔らかい感触が先端に触れた。

 

「ちゅ♡」

「ほうっ⁉」

 

 杏奈の唇だろうか、それとも…?

 ためらいがちなキスのような感触が、神経を逆なでするように敏感な部分を刺激する。

 

 その触感は湿り気を帯びていて、俺の全身に電流が走るような感覚をもたらした。

 

「ん…」

 

 誰かの温かい吐息が太ももにかかる。その距離の近さに、全身の毛穴が開くような感覚が走った。

 吐息は甘く湿っていて、肌に触れるたびに小さな波紋のように広がっていく。

 

「はみゅ♡ ん、……ちゅぷ」

 

 次に、別の唇が幹の部分に触れる。より積極的なキスで、形を確かめるようにじっくりと舐め回すような動き。

 

「ちゅ♡ ん……ふ、ちゅ、ちゅぷ♡ ちゅ♡ クチュ♡」

 

 ふわりだな、彼女はいつもこんなに大胆だった。

 ふわりの唇は肉厚で柔らかく、彼女の体温が高いせいか、触れる場所がじんわりと熱くなっていく。

 彼女の髪の毛が時折太ももに触れ、それがまた別の刺激となる。

 

「ふぁ…んむ……くむくむ、ふぅ、んむぅ♡」

 

 三人目の鈴音だろう、根本にひときわ繊細な唇の感触が伝わってくる。

 彼女らしく控えめなアプローチだが、それがかえってたまらない。

 

 鈴音の唇は小さくて薄く、まるで蝶が羽を休めるような軽さで触れてくる。

 彼女の呼吸は浅く速く、緊張していることが伝わってくる。

 

「れー君、誰だかわかる?」

 

 杏奈が囁くように問いかける。彼女の声は少し掠れていて、普段より低い。

 しかし答えを言う間もなく、突然、口の中にすっぽりと包み込まれる感覚が襲った。

 

「はぁむっ♡ んぢゅぅ♡」

「ふほっ⁉ こ、これはっ」

 

 思わず声が漏れる。予想外の刺激に、全身の筋肉が一瞬で緊張した。

 

(こ、この小さな感触は、鈴音か?)

 

 鈴音?の小さな口が精一杯に広がり、熱い湿気が全体を包み込む。

 彼女の舌が震えながら先端を刺激し、ときどき歯が軽く当たる感触が快感と痛覚の境界を曖昧にする。

 

「んじゅ♡ ふぅ、ふぅ……んんふ、ちゅぷ、ぢゅぷりゅるる……♡ ふぅ、んんっ、くぢゅ♡」

 

 鈴音の口内は驚くほど熱く、彼女の緊張が伝わってくるようだった。初めての行為に戸惑いながらも、一生懸命に奉仕しようとする彼女の気持ちが伝わってくる。

 

(くおおおっ⁉ き、気持ちいい……っ)

 

「じゅぽ…じゅそ…」という音が静かな自室に響き渡る。

 その音は思いのほか大きく、廊下まで聞こえるのではないかという不安が頭をよぎる。

 

「んじゅるるる……ふぅ、ん、ちゅ、くちゅるる、じゅ、じゅぽっ、れろろろっ」

 

 彼女の唾液が滴り落ち、太ももを伝う熱い感触がまた新たな刺激となる。鈴音の唾液は透明で粘り気があり、肌の上をゆっくりと流れていく様子が想像できた。

 

 杏奈が代わる合図のように軽く肩を叩く。その指先の感触から、彼女も興奮していることが伝わってくる。

 

「ふはぁ♡ ……はぁ、はぁ」

 

 鈴音の口が離れると同時に、今度は別のくちびるが迫ってくる。

 

「はぁ~むっ♡ んんじゅるるるるるるっ、るれろろろろろっ」

「あっふぅおおぃいおいいうううっ」

 

 とんでもなくマヌケな声が出てしまうが止められそうもない。

 

(大きくて広くて、大胆に強く吸ってくる……これは、ふわり)

 

 彼女のアプローチはより積極的で、深くまで受け入れるようにして、喉の奥で細かく震えながら締め付けてくる。

 

「んぐぅ……♡ ぐりゅ♡ るれりょろろろっ♡」

「はぁ、んのおおっっ」

 

 や、ヤバい……気持ちいい。気持ち良すぎる。オナニーなんかとは比較にならない気持ち良さだ。

 

 ふわりの口内はより湿潤で、彼女の舌使いには経験を感じさせるものがあった。彼女の髪の香りがほのかに漂い、視覚以外の感覚がより鋭敏になっていく。

 

「ふぅ、ふぅ、んんっ……んんううう」

 

 いや、これは経験というより、練習という感じがする。息遣いの中に恥じらいと歓喜を感じるような気がする。

 

 やはりふわりも未経験だ。

 

「んちゅ…れー君の味、濃いね…」

 

 杏奈が耳元で囁く。彼女の吐息が耳を撫で、全身に震えが走る。

 彼女たちの唾液が混じり合ったのか、ふわりの口の中がさらに熱く感じられる。杏奈の声は蜜のように甘く、その言葉一つ一つが新たな刺激となって全身に広がっていく。

 

「もっとしゃぶらせて…」

 

 ふわりが一度口を離して甘く誘う。彼女の声は普段より低く、色気を帯びている。

 彼女の指が根本を優しく揉みながら、再び深く含み込んでいく。ふわりの指は柔らかく温かく、絶妙な力加減で刺激を与えてくる。

 

 彼女の技術の高さに、思わず息が詰まるような感覚を覚える。

 

「はぁ…はぁ…大きすぎて…」

 

 鈴音の喘ぎ声が聞こえる。

 彼女の声は上ずっていて、普段の落ち着いた様子からは想像できないほど色っぽい。

 彼女たち三人の呼吸が次第に速くなり、リズムが一体となっていくような感覚に襲われる。

 

 自室の空気がより熱く、より濃密になっていくのを感じる。

 

「んはぁ……はむ♡ んんぢゅ♡」

 

 ふわりの口に変わり、その包み込み方が他とは明らかに違うことに気づく。彼女は途中で止まることなく、完全に受け入れ、喉の奥で締め付ける独特の技術を持っている。

 

 その感触は言葉では表現できないほど強烈で、意識が遠のきそうになるほどの快感が全身を駆け巡る。

 

「ふわり…だな?」

 

 俺が息も絶え絶えに推測すると、彼女は激しく動きを速めた。その返答が正解だったのか、彼女の喉の奥で感じる収縮がより強くなる。ふわりの熱意が伝わってくるようで、彼女の奉仕にはある種の誇りのようなものを感じた。

 

「んぐっ!んちゅぷっ!」という音と共に、彼女の口の中がさらに熱くなっていく。

 舌先で敏感な部分を集中的に刺激され、もう限界が近いことを感じる。全身の筋肉が緊張し、腰が自然と浮き上がりそうになるのを必死に抑える。

 

「んんじゅるるるっ♡ んんふぅ、んぎゅっ♡ ぐぷりゅるるるっりゅりゅむりゅるる、ずぞぞぞぞぞ~~~~~♡」

「うおおっ、おっ、おっ、おおおっ、はぁ、あ、も、もうダメだっ、い、イクッ、んうおおおおっ」

 

 警告した声は彼女たちの熱心な動作にかき消される。激しい快感が爆発し、熱いものが彼女の口の中に解放される。その瞬間、視界が真っ白になり、全身から力が抜けていくような感覚に襲われる。

 

「くおおおっ」

 

 ドピュルルルッ!! ドピュッ! ドピュッ! ビュルルルルルッ! ドピュッ!

 

(こ、これはたまらんっ……)

 

「んぐっぅ……ゴクンッ……ゴク、ゴクッ……んぐっ♡ ふぅ、んふぅ♡」

 

 ふわりの喉が動き、ごくんと飲み込む音がした。

 その音が自室に響き、さらなる興奮を呼び起こす。しかしあまりの量に、彼女の口元から溢れ出してしまう。その温かい感触が太ももを伝い落ちていくのを感じる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……す、すげかった……言葉にならない」

「ん……ちゅぱ……はぁ♡ はぁ♡」

 

 しばらくして、ゆっくりと彼女の口が離れる。最後にチュッと音を立てて完全に解放された時、全身の力が抜けていくのを感じた。心臓の鼓動がまだ早く、呼吸も荒い。汗が背中を伝い落ちていく感覚がある。

 

「んっしょ……っと」

 

 目隠しが外され、眩しい光の中に三人の顔が浮かび上がる。夕焼けの光が彼女たちの顔を赤く照らし、その表情をより艶やかに見せていた。

 

 杏奈は悪戯っぽく笑い、鈴音は顔を赤らめ、ふわりは口元を手で覆っている。彼女たちの頬も汗で艶やかに輝いていた。三人とも普段より色気があり、この特別な瞬間を共有した連帯感のようなものが漂っていた。

 

「じゃあ、れー君」

 

 杏奈がわざとらしく首をかしげる。彼女の黒髪が夕日に照らされて美しく輝いている。

 

「誰のお口の中に射精したでしょうか?」

 

 彼女の目は好奇心と興奮で輝いていて、その視線に見つめられるだけで再び熱が込み上げてくる。

 

 ふわりがゆっくりと手を下ろし、口の端から白い筋が垂れているのを見せた。彼女の唇は少し腫れて赤く、まつ毛の端に涙が光っている。その姿は妙に色気があり、思わず目が離せなくなる。

 

「えへへ…全部飲めなかったみたい」

 

 彼女が恥ずかしそうに舌でそれを舐め取る仕草に、また熱が身体を駆け巡る。ふわりの舌は小さく赤く、その動きには無意識の色気が漂っていた。

 

「ふわりのか…」

 

 俺が答えると、三人は同時に笑い出した。彼女たちの笑顔が夕焼けに照らされて、どこか神々しくも見えた。その笑い声は自室に響き渡り、先ほどまでの緊張感が少しずつ和らいでいく。

 

「大正解~!ご褒美は…また今度ね」

 

 杏奈がウインクして、そっと俺の頬にキスをした。その唇が先程まで別の場所にあったことを思うと、複雑な感情が湧き上がる。彼女の唇は柔らかく温かく、その感触が頬に残る。

 

 縛られていた手が解放され、ようやく自由の身になる。

 手首には赤いあとが残っていて、それを見た鈴音が心配そうに眉をひそめる。

 

 三人はそれぞれに俺の腕や肩に触れながら、満足気な笑みを浮かべていた。

 彼女たちの指先の感触がそれぞれに異なり、その違いを敏感に感じ取れることに驚く。

 鈴音がそっとタオルで拭いてくれ、ふわりはお茶を差し出してくれた。彼女たちの優しさに、胸が温かくなる。

 

「れー君、すごく敏感だったね」

 

 杏奈が俺の耳元にささやく。

 彼女の息が耳を撫で、再び全身に震えが走る。

 

「またやりたい?」

 

 その言葉には誘惑と期待が込められていて、断る選択肢など最初から存在しないことを暗示していた。

 

 その言葉に、俺は思わず目を丸くした。彼女たちはいたずらっぽく笑い合い、夕暮れの自室に響く彼女たちの笑い声は、これから始まる新たな関係の始まりを告げているようだった。窓の外では夕日がさらに傾き、自室の中の影が長く伸びていく。

 

 杏奈の指が再び俺の膝に触れる。「次はもっと面白いことしようか?」彼女の目がきらきらと輝いている。その瞳には好奇心と欲望が混ざり合い、俺を引き込むような魅力があった。

 

 ふわりが俺の反応を見つめながら、唇を舐める仕草をする。

 彼女の舌先が唇を撫でる様子は、先ほどの行為を思い起こさせ、再び熱が込み上げてくる。

 

 鈴音は恥ずかしそうに下を向いているが、耳の先が真っ赤になっている。彼女の控えめな反応がかえって可愛らしく、愛しいという気持ちが湧いてくる。

 

「ゆっくりでいいよ」

 

 杏奈が俺の手を握りながらささやく。彼女の手は小さく温かく、その温もりが全身に広がっていく。

 

「私たち、れー君の全部を知りたいんだから」

 

 その言葉には純粋な好奇心と、もっと深い感情が混ざり合っていた。

 

 彼女たちの温もりが伝わってくる。この瞬間、何かが大きく変わろうとしていることを感じずにはいられなかった。

 

 自室の外では夕焼けが徐々に暮れていき、彼女たちの息遣いだけが唯一の現実のように感じられた。

 時間が止まったかのような感覚の中で、彼女たちの存在だけが鮮明に感じられる。

 

 杏奈が俺の胸に手を当てる。鼓動が速くなっているのを感じ取って、彼女の口元に笑みが浮かぶ。その笑顔には優しさと悪戯心が混ざり合っていて、見つめられるだけで心が高鳴る。

 

「ドキドキしてる?可愛いね」

「いや、可愛いってお前な」

 

(お前らの方がよっぽど可愛いっての)

 

 彼女の指がシャツの上から撫で回る。その指先が胸の上を踊るように移動し、ボタンに触れる度に小さな電流が走るような感覚を覚える。

 

 ふわりが反対側に寄り添い、俺の腕に顔を寄せる。彼女の髪の香りが漂ってくる。シャンプーの甘い香りと、彼女自身の体温が混ざり合った独特の匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「次はもっと…いろいろしてみたいな」

 

 ふわりがぼそりと呟く。彼女の声は小さいが、その言葉に込められた期待と欲望は強く伝わってくる。

 

 鈴音はまだ少し距離を置いているが、その目には好奇心が輝いている。彼女は俺の様子を伺いながら、少しずつ近づいてくる。彼女の慎重な態度が、かえって彼女の真摯さを感じさせる。

 

「れーじくん、気持ちよかった?」

「ああ、マジで……」

 

 ふわりが小声で尋ねる。彼女の声にしては小さいが、その問いかけには純粋な関心と、もっと上手くなりたいという願望が込められていた。

 

 うなずくしかできない俺を見て、三人はまた笑い合う。彼女たちの笑顔に囲まれて、どこか幸せな気分に包まれていく。この特別な瞬間を共有できることの喜びが、胸いっぱいに広がっていく。

 

 杏奈が立ち上がり、俺の手を引く。

 

「今日はここまでにしようか。でも…」

 

 彼女の動作には優雅さがあり、その一挙手一投足に目が離せなくなる。

 

「これからもっと、深い関係になろうね」

 

 その言葉には約束と期待が込められていて、未来への扉が開かれたような感覚を覚える。

 

 三人の視線が同時に俺を包み込む。その熱い眼差しに、これからの日々がどんなものになるか、想像するだけで胸が高鳴るのだった。彼女たちの視線には愛情と欲望が混ざり合い、その複雑な感情が俺の心を強く揺さぶる。

 

 三人が玄関を出るとき、杏奈が最後にもう一度振り返り、ウインクして見せた。彼女の後ろで、ふわりと鈴音が恥ずかしそうに手を振っている。三人の姿が夕暮れの光に照らされ、まるで絵画のように美しく見える。

 

 彼女たちの温もりと香りがまだ肌に残っているのを感じた。この特別な関係が、これからどう発展していくのか、期待と不安が入り混じった感情が胸を締め付ける。足音が廊下に響き、その音が今日の出来事の余韻をさらに深めているようだった。

 

 杏奈の声がまだ耳元に残っている。

 

「感じただけで当ててね」というあの言葉が、これからもっと深い意味を持っていくような予感がした。彼女の言葉一つ一つが、これからの関係の可能性を示唆しているようで、その未来に胸が高鳴る。

 

 彼女たちの笑い声が遠くから聞こえてくる。もう一度あの自室に戻りたい、あの熱い空気の中に浸りたいという衝動が湧き上がる。しかし今日はもう終わり。

 

 次に会うときまで、この高揚感を胸にしまっておくしかない。明日また彼女たちと顔を合わせることを考えると、どんな表情で接すればいいのか、少し不安になる。

 

 道路の向こうから彼女たちが手を振っている。三人のシルエットが夕焼けに浮かび、まるで夢の中の光景のようだ。俺も手を振り返すと、杏奈が口をとがらせて何か叫んでいる。声は聞こえないが、きっとまたすぐに会おうと言っているに違いない。その姿が夕日に照らされて、一瞬輝いて見えた。

 

 歩きながら、彼女たち一人一人の感触を思い返す。杏奈の大胆さ、ふわりの積極性、鈴音の繊細さ。

 それぞれが違った刺激を与えてくれたことが、鮮明に蘇ってくる。

 

 彼女たちの個性がそのまま反映されたような、それぞれの接し方の違いが興味深く、もっと彼女たちを知りたいという気持ちが強くなる。

 

 この関係がどこに向かうのかはわからない。でも少なくとも今この瞬間は、この特別な絆を大切にしていきたいと思える。彼女たちの笑顔を思い浮かべながら、俺は彼女達を見送った。

 

 次の「官能テスト」が楽しみで仕方なかった。その期待感と高揚感を胸に、俺は先ほどの椅子に座る。

 明日また彼女たちに会えることを考えると、再びあの感触が蘇って勃起が止められそうもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三人の顔は見えないけれど、そこには確かな喜びがあった。

 

 俺は嬉しいとか興奮するとか感じるよりも、なんでこんな事をしたのかが気になって戸惑っていた。

 

 

 

 

 

 

 だけどすぐに意識を切り替える。

 

 奇妙なルールの王様ゲームを始めた時から、俺はこういう事態を予想していたのかもしれない。

 

「それは最高のご褒美だな。だけど、流石に今日は終わりにしないか? 色んなものが限界だわ……」

 

「そうだねー。もうそろそろ帰らないといけない時間だから。今日はお暇(いとま)しよっか」

 

 太ももとおっぱいの感触が離れていき、興奮が沈静化して落ち着いた空気が戻ってくる。

 

「そうだねぇ。今日もいっぱい遊んだし、新しいルール追加してまたやろうよ~」

 

「あ、そうだ。今度の休みにお泊まり会しようよ。広いスペースがほしいな。ふわりちゃんの家借りられない?」

 

「いいよー。今週末はママが社員旅行でいないから、土日たっぷり使えるよー♪」

 

「それは楽しみですねー。お菓子いっぱい用意してもっていきましょー」

 

 楽しげな会話をしながらゴソゴソと音がする。

 明らかに帰り支度をしている音だ。

 

「お、おい、まさかこの状態の俺を放置して帰るつもりじゃないだろうなっ!」

 

 ――――バタンッ

 

 三人の声が遠ざかっていく。

 

「おいっ、おーーーいっ! 杏奈さんっ、ちょっとっ! ふわりっ、りおーーんっ! え? マジで帰ったの? うっそだろっおいっ! ちょっとーーーっ!!」

 

 ガチのマジで帰りやがった……。

 

 必死に自力で拘束を抜け出そうとしたものの、如何せんソックスの生地というものは固結びになると中々ゆるまない。

 

 

 

『ただいまーっ。おーい零士~、帰ってる~?』

 

「げげっ! 母ちゃんが帰ってきたっ! ぬおおおおおっ、いそげぇええっ」

 

 火事場の馬鹿力だろうか。

 

 確実に階段を上ってくる母親の気配に焦りを覚えて必死に藻掻き動く。

 

 

 

 ――――ガチャ

 

「あんた何やってるの?」

「い、いや、勉強中に居眠りしたら椅子からコケちゃって」

 

「バカね~。御飯今から作るからお風呂入っちゃいなさい」

「は、はーい」

 

 扉を閉めて階段を降りていく母親の気配に安堵の溜め息が漏れる。

 

 お~危ねぇ危ねぇ……生きた心地がしなかったぜ。

 

 俺の決死の足掻きにより、『独りSM野郎』の汚名を着せられるという黒歴史はギリギリで回避することができたのだった。

 

 

~ゲーム2回目 終了~

 

 

 




※後書き※
いかがでしたでしょうか? ご好評であれば連載版をやろうと思います。
是非ともご意見ご感想、いただけると幸いです。

※全年齢版はカクヨム、小説家になろうで連載中です

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