※この作品はR-18です。

このはの地獄   作:20251116


オリジナル:現代/日常
タグ:R-18 残酷な描写 ロリ 近親相姦 鬱勃起 AI挿絵
「わたしはわるいこです。なぜならおかあさんがそう言うからです」

母親から“めすいぬ”と呼ばれる なかやま このは。彼女の願いはただ一つ、昔のように家族三人で仲良く暮らすこと。しかし母親はこのはに冷たく、ごはんを用意してくれない日もある。一方父親は夜、母親が寝静まった後にこのはの部屋を訪れ、そして──

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しょうじょのじごく

 はじめまして。私は なかやま このは と言います。

 

 ●才です。きょうは私のお父さんとお母さんのことをかきます。

 

 私は悪い子です。なぜならお母さんがそう言うからです。

 

 “めすいぬ”とよばれたこともあります。わんこはかわいいから、さいしょは怒られてるとわかりませんでした。

 

 でもお母さんの顔がこわかったから、おこられてるとわかりました。

 

 私が悪いんです。お父さんと仲良くしすぎたから。だから私はお父さんにあまり近寄らないで、と言いました。

 

 そうしたらほっぺたをぶたれました。それからお父さんは私に怖くなりました。

 

 でも、お父さんはさいしょは、さいしょはやさしかったんです。

 

 それからもう一つ、いやなことがあります。さいきん、夜おそくに私のへやに来ることがあるんです。

 

 お母さんがねたあとだと思います。

 

「このは、おきてるか」

 

 小さな声で私をよびます。私はねたふりをしています。

 

 お父さんは私のベッドのそばにすわります。

 

 そういうとき、お父さんからはすこしおさけのにおいがします。

 

 私はお酒のにおいが余り好きじゃないです。だからいきをとめています。

 

 お父さんのゆびが私のほっぺにふれて、ざらざらした、大きな手でわたしを撫でました。

 

「大きくなったな」

 

 お父さんはそう言いながら今度は私の頭をゆっくりなでます。

 

 とてもやさしいなでかたです。

 

 私は昔、お父さんにかたぐるまをしてもらったのを思い出しました。

 

 あのときはお母さんもわらっていました。

 

 私たちはとてもなかよしのかぞくでした。

 

 いつから、お母さんはあんなこわい顔で私を見るようになったんでしょうか。

 

 お父さんが私の頭をなでているとき、私はすこしだけうれしいです。

 

 ◆

 

 ある日、わたしはお母さんに「めすいぬ」とよばれました。この時が最初です。

 

 お風呂でお父さんをさそってるんでしょう、といわれました。何のことかわかりません。

 

 あの時を思い出してみます。

 

 おふろから上がったとき、私はタオルで体をふいていました。

 

 そうしたらだつ衣じょのドアがゆっくりあきました。

 

 お父さんでした。

 

「ああ、このは。まだ入ってたのか」

 

 お父さんはすこしおどろいた顔をしました。

 

 私はいそいでタオルで前をかくしました。

 

「ご、ごめんなさい」

 

 私はあやまりました。

 

「いや、お父さんが悪かった。ごめんごめん」

 

 お父さんはそう言いました。

 

 でもすぐには出ていきませんでした。

 

 私のことをじっと見ていました。

 

 私はどうしていいかわからなくなりました。

 

 お父さんの目がすこしこわかったです。

 

 いつもやさしいお父さんの目とちがうきがしました。

 

「風邪、ひくなよ」

 

 お父さんはそう言って、やっとドアをしめてくれました。

 

 私はそのばにすわりこんでしまいました。

 

 むねがどきどきしていました。

 

 お父さんは悪くないです。

 

 私が悪い子だから、お父さんをこまらせたんだと思います。

 

 ◆

 

 次の日の朝、お母さんの顔がいつもよりこわかったです。

 

 ごはんのとき、私のおちゃわんだけありませんでした。

 

「お母さん、私のは……」

 

「このはのぶん、ないよ」

 

 お母さんは私の顔を見ないで言いました。

 

「どうして……?」

 

「じぶんでかんがえたらどうだい」

 

 お母さんの声がとても怖くて。私は何も食べないで、学校に行きました。

 

 その日はずっとお腹がすいてました。

 

 でもそれよりも、むねがいたかったです。

 

 私はどうしたら、お母さんに好きになってもらえるんでしょうか。

 

 どうしたら、昔みたいに三人でわらえるんでしょうか。

 

 私はただお母さんにも、お父さんにも、やさしくしてほしいだけです。

 

 なかよく、くらしたいだけです。

 

 ある日、お父さんがまた私のへやに来ました。

 

 こんどは前よりも、おさけのにおいが強いです。

 

 私はやっぱりねたふりをしました。

 

 そうしたらお父さんは私のふとんに入ってきました。

 

「このは」

 

 私の耳もとで、ささやきました。

 

 お父さんの体はとてもあつかったです。

 

 私はふるえが止まりません。

 

 でもこわくても、声は出せません。

 

 私がおこらせたら、お母さんにもっときらわれてしまうから。

 

 私は悪い子です。

 

 だから、がまんしなくちゃいけません。

 

 お父さんの手が私のパジャマの中に入ってきました。

 

 ざらざらした、大きな手です。

 

 私はびくっ、としました。

 

 体がかってにふるえます。

 

「だいじょうぶだ、このは」

 

 お父さんの声はしめっていました。

 

 おさけのにおいと汗のにおいがします。

 

「お父さんはこのはが好きだ」

 

 そう言いながら、私のむねをさわりました。

 

 くすぐったくていやなのに、お父さんの手は何度もそこをなでます。

 

(やめて)

 

 心の中で言ったけれど、お父さんはやめてくれません。

 

 お父さんの手がだんだん下におりてきました。

 

 おなかをやさしくなでました。それはすこしだけ、気持ちがよかったです。

 

 昔、おなかがいたいときにお母さんがなでてくれたのを思い出しました。

 

 でもお母さんの手はもっとあったかくて、やわらかかったです。

 

 お父さんの手はごつごつしていて、強いです。

 

 お父さんの手は私のパンツの中に入ろうとしました。

 

 私はとっさに足をとじました。

 

「だめ」

 

 小さな声がもれました。

 

「ん? どうしたこのは」

 

 お父さんのうごきが止まりました。

 

 私はこわくて、こわくて、何も言えません。

 

「……だいじょうぶだ」

 

 お父さんはまた言いました。

 

「こわくない。気持ちいいことだから」

 

 何が気持ちいいのか、私にはわかりません。

 

 お父さんは私の足をむりやりひらきました。

 

 すごい力です。

 

 私はどうすることもできません。

 

 お父さんが私のパンツをぬがせました。

 

 夜の空気がすうすうして、さむいです。

 

 お父さんは私の上に乗ってきました。

 

 重いです。

 

 いきがくるしい。

 

「お父さん、重い……」

 

「ははそうか」

 

 お父さんはすこしわらいました。

 

 でもどいてはくれません。

 

 何か大きくてかたいものが私の足の間にあります。

 

 それが私の、たいせつなところにあてられました。

 

「ちょっとだけ、いたいぞ。でもすぐ気持ちよくなるからな」

 

 お父さんがささやきました。

 

 何をされるのか、わかりませんでした。

 

 でもすごく、いやなかんじがしたのを覚えています。

 

 怖くて動けないでいたら、お父さんがいきなり動きました。

 

(いたっ!)

 

 さけびそうになりました。何かがおまたから入ってきました。

 

 すごく、すごく、いたいです。

 

「いっ……! いた、い! お父さん、いたい!」

 

 私はおもわず、大きな声を出しました。

 

「しーっ、このは。お母さんがおきるだろ」

 

 お父さんは私の口を手でおさえました。

 

「や、やめ……やめて、お父さん……!」

 

 くぐもった声が出ます。

 

 なみだがいっぱい、あふれてきました。

 

 いたくて、いたくて、でもお父さんはやめてくれなくて。

 

「だいじょうぶだ。すぐ、気持ちよくなる」

 

 お父さんはそう言いました。

 

 でもいつまでたっても、気持ちよくなんてなりません。

 

 いたいです。

 

 ただいたいです。

 

 お父さんは私の中で、はげしくうごいています。

 

 ベッドがぎしぎしと大きな音をたてました。

 

 私はお父さんの手をはなしてもらおうともがきました。

 

 でもお父さんはやめてくれません。

 

(いたい、いたい、いたい、いたい)

 

 心の中で、何度もさけびました。

 

 どうしてお父さんはこんなひどいことをするんだろう。

 

 私は悪い子だから、こうされてもしかたないんでしょうか。

 

 お母さんに「めすいぬ」とよばれる、私だからですか。

 

 お父さんのいきがだんだんあらくなっていきます。

 

 おさけとあせのにおいがもっと強くなりました。

 

「このは……このは……」

 

 私をよぶ声がふるえています。

 

 私はただ目をつよくとじて、なみだをながしていました。

 

 いたいのとこわいのとかなしいので、むねがはちきれそうでした。

 

 お父さんがいきなり、大きな声で、「ううっ」と言いました。

 

 私の体がびくっとはねました。

 

 お父さんは私の上で、うごきを止めました。

 

 そして、私のおなかの中にあたたかいものがどくどく、と入ってくるかんじがしました。

 

 おしっこみたいなかんじです。

 

 でもおしっこじゃありません。

 

 お父さんははあ、はあ、とくるしそうないきをしていました。

 

 私の口をおさえていた手がやっとはなれました。

 

 私はくるしくて、せきこみました。

 

 お父さんがゆっくりと私の体から、はなれました。

 

 ◆

 

 私はまだいきがくるしかったです。

 

 おなかの中がまだどくどくしています。

 

 お父さんは私のよこにねそべりました。

 

「このはよかったぞ」

 

 お父さんは私の頭をなでました。

 

 何がよかったのか、私にはわかりません。

 

 私はまだ、いたいのがとれません。

 

 お父さんはすこし休んでいました。

 

 でもまた、もぞもぞとうごきだしました。

 

 お父さんの手がこんどは私のおしりにふれました。

 

 私はびくっとして、体を小さくしました。

 

「こわがるな、このは」

 

 お父さんの声はまたすこししめっています。

 

「このはこんどはお尻でしてみようか」

 

 お父さんがそう言いました。

 

 私はおしり、ということばの意味がよくわかりませんでした。

 

「おしり……?」

 

「そうだ。こっちのあなだ」

 

 お父さんは私の体をよこむきにさせました。

 

 そして私の、後ろにあるあなをゆびでなぞりました。

 

 そこはうんちが出るところです。

 

 そんなところ、だめです。

 

「いや……そこ、きたない」

 

 私は小さな声で、言いました。

 

「だいじょうぶだ。お父さんがきれいにしてやる」

 

 お父さんはベッドのよこにおいてあった、何かをとりました。

 

 ペットボトルみたいな、とうめいのいれものです。

 

「これを使えばいたくないんだぞ」

 

 お父さんはそう言って、そのいれものから、ぬるぬるしたものを出しました。

 

 お父さんはそれを私のおしりのあなにぬりました。

 

 つめたくて、ぬるっとして、すごくへんなかんじがしました。

 

(気持ち悪い)

 

 私は体をよじりました。

 

「やだぁ! 気持ち悪いよ、お父さん!」

 

 私はさけびました。

 

 でもお父さんはやめてくれません。

 

「すぐなれる。気持ちいいことだからな」

 

 お父さんは私の声を聞いてくれません。

 

 私の頭をおさえつけました。

 

 そして、私のおしりにまたかたいものをあてました。

 

 さっきの、いたいやつです。

 

「やだ、お父さん、やめて!」

 

「だいじょうぶだ」

 

 お父さんは私の声をむししました。

 

 おしりのあながぬるぬるしたもので、すべるかんじがします。

 

 それがすごく、すごく、気持ち悪いです。

 

 お父さんがまたおしりをうごかしました。

 

「んぐっ……!」

 

 こんどはさっきよりもっといたいです。

 

 体の後ろがさけるみたいです。

 

「いたい! いたい、いたい、いたいっ!」

 

 私はなみだをぼろぼろ出して、さけびました。

 

 でもお父さんは私の声がきこえないみたいです。

 

「このは……いい子にしろ……」

 

 お父さんはくるしそうないきをしながら、私の中でうごきました。

 

 いたいです。

 

 ぬるぬるして、気持ち悪くて、いたいです。

 

 私は悪い子だから、こんなことをされるんですか。

 

 お母さんにめすいぬ、とよばれるからですか。

 

 私はもう、どうしていいかわかりません。

 

 ただはやくおわってほしかったです。

 

 お父さんはさっきよりも、はげしくうごいています。

 

 ベッドがまたぎしぎしとないています。

 

 私は私も、ないています。

 

 お父さんのいきがまたあらくなりました。

 

「う……! このは……!」

 

 お父さんが私の後ろで、大きくうごきました。

 

 そして、私のおしりの中にあたたかいものがまた、どくどくと入ってきました。

 

 おなかの中じゃなくて、おしりの中があつくなりました。

 

 すごく、へんなかんじです。

 

 おなかがいたいような、むずむずするような、ふしぎなかんじです。

 

 お父さんは私の上にたおれこんできました。

 

 重くて、あつくて、くさいです。

 

 私はもうなみだも出ませんでした。

 

 ただはやく、お父さんにどいてほしい。

 

 お父さんはしばらく、私の上で、はあはあ、といきをしていました。

 

 やっとお父さんが私から、はなれました。

 

 私はすぐにうつぶせになろうとしました。

 

 おしりから、ぬるぬるしたものが出てきて、気持ち悪いです。

 

 でもお父さんは私のかたをつかみました。

 

「このは」

 

 こわい声でした。

 

「このはきれいにしてくれるよな?」

 

 お父さんはそう言いました。

 

 何をきれいにするんだろう。

 

 私はこわくて、かたまりました。

 

 お父さんは私の頭をつかんで、むりやりじぶんのほうをむかせました。

 

 お父さんのおまたにまだ、かたくてへんなものがありました。

 

 さっき私の中に入ってきた、あれです。

 

 それは白いねばねばしたもので、よごれていました。

 

「ほら、口をあけろ」

 

 お父さんはめいれいしました。

 

(いやだ)

 

 私は口をぎゅっととじました。

 

「あけろ、このは」

 

 お父さんの力が強いです。

 

 私のほっぺたをつよくつかみました。

 

 むりやり、私の口をひらかせました。

 

 そこへ、お父さんの、あのへんなものをおしこんできました。

 

「んぐ……! ぶっ!」

 

 口の中がいっぱいです。

 

 しょっぱいような、にがいような、へんな味がしました。

 

 いきができません。

 

「おえっ……」

 

 私ははきそうになりました。

 

 でもお父さんは私の頭をおさえて、はなしてくれません。

 

「ごくごく、のめ。全部、のめ」

 

 お父さんは私の頭を上と下にうごかしました。

 

 口の中で、お父さんのあれが大きくなったり、小さくなったりします。

 

 くるしいです。

 

 気持ち悪いです。

 

 でも私は悪い子だから。

 

 お父さんの言うことをきかないといけません。

 

 私はなみだをながしながら、お父さんの言うとおりにしました。

 

 ◆

 

 少したったあとお父さんは「……よかったろ、このは」と言いました。

 

 ぜんぜん、よくなんかなかったです。

 

 まだ、下の方がずきずきといたいです。

 

 お父さんがふとんから出ていきました。

 

 私はふとんの中で、体を丸くしました。

 

 私のふとももに何か、ぬるっとしたものがついていました。

 

 見てみるとそれは白い色をしていました。

 

 べとべとして、いやなにおいがしました。

 

 私はそれが何なのか、わかりません。

 

 でもとても、きたないものだというきがしました。

 

 私は悪い子です。

 

 お父さんにこんなことをされても、がまんしなくちゃいけません。

 

 私がいい子だったら。

 

 お母さんに好かれるような、いい子だったら。

 

 こんなことにはならなかったのかもしれません。

 

 私はいたいのをがまんしながら、また、ねたふりをつづけました。

 

 お父さんがへやから出ていく足音がきこえました。

 

 私はひとりぼっちになりました。

 

 夜はまだ、暗かったです。

 

 ・

 ・

 ・

 

 ◆

 

 あれから十年が経ちました。時間がすべてを解決してくれるなんて、あれは嘘です。

 

 今でも夢に見ます。

 

 あの男の、酒と汗が混じった甘ったるい匂い。

 

 ざらついた大きな手の感触。

 

 そのたびに夜中に目を覚まし、息を詰まらせるのです。

 

 施設にいた頃はずいぶん周りに迷惑をかけたものです。

 

 ただあの頃は地獄でした。当時はまだよくわからなかった部分もあるかもしれません。でも今考えてみると、本当の地獄というものは今(・)自(・)分(・)が(・)地(・)獄(・)に(・)い(・)る(・)の(・)だ(・)と(・)気(・)付(・)か(・)な(・)い(・)事(・)

 

 ◆

 

 地獄の終わりは学校の先生のおかげで訪れました。

 

 五年生の冬、些細なきっかけで私は人前で泣き崩れてしまったのです。

 

 担任の先生が根気強く話を聞いてくれました。

 

「助けて」と絞り出した声は自分でも驚くほどかすれていました。

 

 先生はすぐに警察と児童相談所に通報してくれたのです。

 

 その日のうちに私は保護されました。荷物を取りに戻った時、母は私を「泥棒猫」と罵りました。警察官に制止されながら、鬼のような形相で私を睨みつけていた──あれが母を見た最後です。

 

 父はその後に逮捕されたと聞きました。

 

 そうして私は一時保護所を経て、私は児童養護施設に移りました。

 

 高校を卒業するまでの約七年間をそこで過ごしたことになります。

 

 施設での生活が天国だったとは言いません。集団生活は息苦しいものでした。様々な事情を抱えた子供たちが狭い空間で共同生活を送る。プライバシーなどほとんどありません。

 

 人間関係のトラブルも絶えず、綺麗事では済まないことも多かった。

 

 それでも夜中に怯える必要はありませんでした。

 

 温かい食事と清潔なベッドがある。

 

 それだけで十分でした。

 

 頼れる大人がいることも知りましたし、同じ境遇の友人もできました。

 

 その存在が私を支えてくれたのは事実です。

 

 しかし過去のトラウマとの戦いは容易ではありませんでした。

 

 男性が近づくだけで体がこわばる。

 

 大きな物音に恐怖で動けなくなる。

 

 フラッシュバックは突然襲ってきます。

 

 心の傷が完全に癒えることはありませんでした。

 

 だから私は必死に勉強しました。

 

 将来、自分の力で生きていくためにはそれしか道がなかったからです。

 

 でも勉強している間だけは嫌なことを忘れられました。

 

 高校生になってからはアルバイトも始め、稼いだお金はすべて貯金しました。

 

 ◆

 

 そして高校三年生の冬、私は第一志望の国立大学に合格しました。

 

 心理学を学びたいと思ったからです。

 

 なぜ人は他者を傷つけるのか、その答えを知りたかった。

 

 学費は給付型の奨学金をもらえることになりました。

 

 運が良かったのだと思います。

 

 生活費はアルバイトで稼ぎます。一応施設の人が探すのを手伝ってくれました。高校時代の貯金もあるので、贅沢をしなければ何とかなるでしょう。

 

 そうして十八歳になり、私は施設を出て一人暮らしを始めました。

 

 六畳に満たない狭い部屋ですが私だけの城です。それに家賃もかなり安く、生活費的にも大分助かっています。

 

 自由を手に入れた喜びは大きい。

 

 でも夜、一人で部屋にいると時々どうしようもない孤独感に襲われます。

 

 私はまだ過去に囚われている。

 

 恋愛など考えられません。

 

 汚れた自分が誰かを好きになるなんて、許されない気がして。

 

 男性と親密になることへの恐怖心は今も根強く残っています。

 

 え? 

 

 今、幸せかって? 

 

 ……わかりません。

 

 正直なところ、幸せというものが何なのか、私にはまだよくわからないのです。

 

 でも確かなことが一つだけあります。

 

 あの頃よりはずっとマシだということです。

 

 毎日怯えながら生きる必要はない。

 

 私のことを大切に思ってくれる人たちがいる。

 

 それはとてもありがたいことだと思います。

 

 そして、幸せというものがもしあるのだとしたら。

 

 この先、「私は幸せだ」と心から胸を張って言えるような人生を歩んでいけるように精一杯努力していきたい。

 

 それが今の私の偽らざる気持ちです。

 

(了)


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