※この作品はR-18です。

【問題】「勘違い系主人公が……(ピンポン!)自虐的クソザコ糸目女子の敗北CG回収物語! 異能闇組織の美少女ボスを添えて! 「正解!!」 ~何故だ! 何故分かる、バックショット!!~   作:信頼できる語り手

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バックショットちゃんの行く末がどうなるかは、読者投票で決まったり決まらなかったりします。
(第1回アンケートの結果)

皆様の☆9(高評価)と応援のおかげで、評価13人越え!


初弾
闇組織の下っ端ですが、上司からの過大評価が怖いので実家に帰ります。


 自覚してもどうしようもない事って、この世には沢山あると思うんだ。

 

 例えば、日頃食べてるお菓子に含まれる糖質や脂質の多さとか。例えば、交通事故による年間死亡者数がそこそこ高い事とか。例えば、『印芽』の性質が遺伝する事とか。

 

 自分がどれだけ恵まれてるかを知ったところで、現状に感謝するよりも先に最悪の未来を想像してしまう。少なくとも、私はそういうネガティブ人間だ。

 

 だから、何も自覚したくなんてなかった。

 

「素晴らしい仕事だな、バックショット。合格だ。君を最高幹部に任命する」

 

 亜麻布のキトンを着た、黒髪ウェーブの女性。闇組織『僭賞濫刑』のボス──ラウンドノーズが、死体の山の上から有無を言わせぬ口調で宣言する。

 

 異能による蘇生技術が発達した現代でも、これだけ景気良く人が死ぬ職場は珍しい。犯罪集団なので職場に含まれないという説もある。

 

「身に余る光栄です。……しかしながら、陛下。私のような若輩者を重用しては、他の方々が反発するのではないでしょうか?」

 

 意訳:これ以上出世すると命が幾つあっても足りないので、勘弁してください。

 

「ふふ、ワッドカッター様もそう思いません?」

 

 私は僭賞濫刑のナンバー2に対して、自慢の営業スマイルで媚びてみた。

 

 ワッドカッターは無言の幽霊じみた暗殺者だが、『是』と『非』だけは言ってくれる。最古参の彼であれば、新人の分不相応な出世に思うところがあるだろう。

 

 さあ、ビシッと反対しちゃってください! 一生のお願いです! その綺麗な白髪とか陛下に負けない耽美な御尊顔とか、マジリスペクトしてますから!!

 

「……」

 

 あれ、何で動かないんですか? ちょっとー、寝てますー?

 

「ハッハッハッ! ワッドの刃を突き付けられても、平気で煽りやがるゥ! 相変わらず、大したタマだぜ、バックの嬢チャンはよォ!!」

 

 え、ちょっ……! 待って、待って! 私、殺されかけてたの!? 全く気付かなかったんですけど!? 異能者としての資質、ゴミなので!!

 

 というか、サブソニック様! 貴方、確か幹部陣で唯一のシグネット(固有能力)無しでしたよね!? どうして私よりも先に不可視の刃を見抜いてるんですか!! 

 

「お気になさらず。反応しなかったのは、ただ見えていなかっただけですので」

 

「ハッハッハッ! この程度の牽制は眼中になかったってかァ!? 最高だねェ!!」

 

「……」

 

 おい、やめろ、赤ポニテ脳筋野郎。喧嘩を売るなら私を挟むな。根に持たれて暗殺されたらどうする。

 

「そこまでだ、ソニック。ワッドもこれ以上は控えろ。ホローはどう思う?」

 

「ま、順当ですわね。実績は充分。何より、わたくし好みの顔でしてよ。寝室に連れ込んで、あんあん喘がせたーい。そんなわけで、わたくしは大賛成ですわー。いえーい」

 

 瞳孔がガン開きした金髪の女──ホローポイントが、謎の薬液を腕に注入しながらケタケタと笑った。

 

 ネイルを弄るような感覚で薬キメるの、やめて貰えます……? あと、彼女の体液には媚薬のような成分が含まれているらしいので、私に近寄らないで欲しい。

 

「それでは、改めて。バックショットが僭賞濫刑の最高幹部となった。僕達と共にこの世界の秩序を破壊しよう」

 

 私は決意した。

 

「謹んで、拝領いたします」

 

 ──実家に帰ろう。

 

 

 

「はぁ、疲れた……」

 

 私は顔を隠す為のフェイスベールを外し、懐かしい実家の玄関前で手鏡を確認する。そこには、目の細い茶髪の女が映っていた。

 

 ……私だって、好きで糸目キャラをやってるわけじゃない。幼少期に瞳の色を揶揄われてから、目を細めるのが癖になってしまっただけだ。

 

「あら、お帰り。連絡よりも早かったのね」

 

「母様……!」

 

 やっぱり、実家は安心する。

 

 思えば、3級異能者の認定試験に落ちた時から、私の人生は大きく狂ってしまった。

 

 単なる不合格ではない。試験当日に会場が崩壊した事件の容疑者として取り調べられ、何故か合格が取り消されたのだ。

 

 途方に暮れていた私はネット上の詐欺師の甘言に騙され、あれよあれよと闇バイトの片棒を担ぐ事になる。

 

 そして、知らぬ間に重要な取引きが潰され、知らぬ間に詐欺グループが壊滅し、知らぬ間に僭賞濫刑へとスカウトされた。

 

 それら全てが私の仕業だと誤解されている事を自覚したのは、ここ最近である。

 

 おかげで、生きた心地のしない日々を送っている。最後まで無自覚でいた方が、気が楽だったかもしれないね……。

 

 誰からも信じて貰えないけど、本当に全てが偶然なんです!

 

 幸いなのは、素顔がバレていない事だ。私のシグネット(固有能力)は精神系。他者の精神に干渉して、外見の印象を微妙に変えられる。出力は弱いが、だからこそ気付かれにくい。

 

「おお、もう帰ってきたのか、ヒトミ」

 

 忌々しい過去を振り返っていると、サングラスをかけた強面男性も駆け寄ってくる。

 

「父様! お元気そうで何よりです」

 

「そっちこそ、たまには生存報告くらいしないか。心配してたんだぞ」

 

「ごめんなさい。……あれ? 今、家の奥から物音が聴こえたような……」

 

 不本意ながら死線を潜ってきた私は、ただの物音にも敏感に反応してしまった。帰還兵かな?

 

「……ああ、そう言えば、少し前から親戚の子を預かってるんだ。お前も挨拶しておきなさい」

 

 とんとんと小走りな足音が響き、エプロン姿の黒髪ウェーブの女性が現れる。

 

「ラノちゃんだ。心配要らないとは思うが、お互い仲良くするように」

 

「居候のラノだ。よろしく頼む」

 

「ふふ、父様。ちょっとタイム」

 

 私は心の中で叫んだ。

 

(陛下じゃん! 僭賞濫刑のボス『ラウンドノーズ』様じゃん! 指名手配額ランキングで上位安定の、最低の脱獄犯じゃーん!!)

 

 ──【悲報】私、サービス終了確定【助けて】




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