女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
「Mさんですね。Sちゃんから聞いてます。中にどうぞ」
歓楽街とオフィス街の間のあたりにある雑居ビルに入ると三十代くらいの年にしては若々しい可愛らしい感じの女性が応対してくだた。
「今は私以外居ない時間なんで緊張しなくてもいいですよ。まず、自己紹介しますね」
そう言うと女性はあたしに名刺を差し出した。
このレズビアン向けのデリヘルの店名とともに副店長という肩書が書いている。
「私、Tと申します。副店長をやってます。こちらで仕事をしている方の対応は基本的に私がしますのでよろしくおねがいします」
「はい、よろしくお願いします」
普通の飲食店やコンビニの店長とあまり変わらない感じで拍子抜けしたが普通の女性という感じだった。
「じゃあ、あそこのテーブルで面接しましょうか」
全体的に白い内装でまとめられたカフェのような空間でそこに何セットかテーブルと椅子が並んでいる。
壁には作り付けのソファーが有り、テーブルと椅子で向かい合わせいなる形。
おそらくカフェの居抜きか何かでここに入居したのだろう。
テーブルに案内されるとTさんと名乗った人は何やら書類を取りに行った。
その間、あたしは店内を見渡した。
デリヘルという事はここにお客が来ることはない。
なのでここで働く人しかいない詰め所なのだろう。棚がいくつか置いてあってそこには書類などが並んでいる。
待機時間用なのかオフィスなどで導入されているようなコーヒーや紅茶を飲めるティーサーバーがある。
あたしがさっき入ってきたドアを見ると警備会社のステッカーと「警察官立ち寄り所」の札がドアに取り付けられている。
違法な商売というイメージを持っていたけど、警察の許可の元にしかできない商売だからこういう札を出して監視下に置かれているんだろう。
これは安心材料と考えていいんだろうか。
「お待たせしました。それじゃあ、始めましょう」
そう言うとTさんはカップに入ったコーヒーをあたしと自分の方に置いてそれから書類も置いた。
「コーヒーで大丈夫でした?」
「はい。好きです」
「よかった。結構、際どい事まで聞かないといけないんですけど、大丈夫ですか?」
「はい。お店の性質から色々聞かれるかなとは思ってたので」
「よかった。身体に関することとか性癖とかすり合わせないと色々不幸な事になりますから」
「大丈夫です」
「それじゃあ、最初に聞きたいんですけどMさんは女性経験はありますか?」
「はい。しばらく彼女はいないですけどこれまで何人かと付き合ってきました」
「セックスも?」
「してました」
「どっちかも聞いていいですか?」
「リバです。ただ結構ネコ寄りで恋人とは攻められる方が好きです」
「攻める方は抵抗無い?」
「ないです」
「なるほど。先にこれも確認したいんですけど、Mさんはセパレイティストじゃないですか?」
セパレイティスト、あたしはあまり聞き慣れない言葉なので少し意味を考えたがレズビアンのコミュニティを探してた時に知った言葉だと思い出した。
男性との関わりを一切持たない主義の人だ。
「いえ。違います。男性の友人もいますし」
「よかった。うち、セパレイティストの人はお断りしてるんです。経営者が男性なのもありまして」
「そうなんですか」
意外。レズビアン風俗なので関係者は全員女性だと思っていた。ここはどういった経緯で始まった店なんだろうとふと気になった。
「抵抗はないですか?」
「特には」
「よかった。それ以外にもドアのステッカー見てもらえればお分かりかと思うんですけど警備会社や警察の方も来るのと他にも業者の出入りがあるので男性の出入りがあるんですよ」
「そうなんですね」
「なのでここでセパレイティストの方は仕事できないかなと思ってまして。でも、男性との関わりもあるんですね。それなら大丈夫そう」
「あたし、彼氏が居たこともあるので男性と関わるのは抵抗ないです」
「あら、そうだったんですね。もしよかったら詳しくその事を聞いていいですか? これはそれを理由にお断りするとかじゃないので安心してください」
「はい。どんな事ですか?」
「その彼氏はカモフラージュのため? それともバイだとか」
「バイなんでしょうか。過去二人の男性とお付き合いしましたけど、好きで付き合ってました。ただ――」
「――ただ?」
「恋愛感情はあるけど男性の身体に性欲を持てなくて。それで女性が好きだと気づいたんですけど」
「なるほど、ロマンティックな面ではバイだけどセクシャルな面ではビアンっていう事で合ってるかしら?」
「それに近いかもしれません」
「うち、経営者が系列で男性向けの風俗もやってるんですけど、そちらのヘルプは無い方がいいですね」
「そんなのもあるんですか?」
「希望者にそちらの仕事も紹介する程度ですけどね。男性向けの方の人がこちらで仕事をするケースもありますよ。Mさんは女性向けで専念してもらうので安心してください。でも一つだけ」
「といいますと?」
「うち、FTMやMTFのお客さんも受け入れてるんです。そこに抵抗はないかなって」
「それは、ちょっと想像つかないです」
「ですよね。これもお店が分かれてるので希望すればそちらにも所属なので興味があればで考えてもらえれば」
「はい」
トランスジェンダーのお客さんもいるのは意外だった。
そういう人とエッチをするというのは想像が付かない。
興味があれば、か。稼ぎはどうなんだろう。
「女性相手に仕事で考えてもらっていいですよ。まずはそちらでも仕事を覚えてもらわないといけないですから」
「はい」
「仕事の流れとしてはウェブサイトにプロフィールを載せて、そちらに届いた予約に対してお客さんの用意したホテルの部屋に行くって形です。こちらで予約前に待機しつつ身支度を整えて、終わったら戻ってきて報告書を出してもらう形ですね」
「営業職の人がするような形ですね」
「そうです。会社員の経験がある方は話が早くて助かります。流れとしてはこんな感じですね」
Tさんは一通り説明を終えるとウェブサイトを見せてくれた。
あたしが以前、利用した風俗のウェブサイトよりも専念された感じだった。
他にはセラピスト用のノートパソコンやタブレットが備え付けてあってそちらで自分の予約確認や報告書の作成が出来るらしい。
他の風俗店がどうなのかはわからないがかなりシステム化されている。
「という形なんですけど、いかがでしょうか?」
「流れは理解できました。こちらのお店のシステムも」
「私どもとしてはMさんに働いていただきたいなと思っていますけど、いかがですか?」
「あたしもこちらで働かせていただければと思います」
「よかった。それじゃあ、入店してくださるって形でいいかしら?」
「はい。よろしくお願いします」
無事、ここで仕事をできるという事だ。
あたしは頭の中でTさんの言葉を繰り返して聞き間違いじゃないかを確認する。
確かに入店だと言った。
助かった。とりあえずお金を稼ぐ手段は確保した。
「それじゃあ、一旦、裸を見せてもらってもいいかしら?」
「えっ?」
「最終確認というか、あなたが本当に女性か契約書を交わす前に確認したいの。あと、人前で裸になる耐性も」
なるほど。あたしがトランスジェンダーや男性のなりすましじゃないかを確認したいのか。
レズビアンのコミュニティでもトランス女性や所謂男の娘のなりすましが入ってくることがある。
構わないという人もいるがこの世には彼らが存在することすら許せない人もいる。
そうした人もお客さんにいるわけだからきちんとセラピストが生まれながらの女性である事を確認しないといけないんだろう。
「はい。大丈夫です。ここでいいですか?」
あたしにやましい事はない。あたしの身体は完全な女だ。
それにこれからどこの誰かも分からない女性たちの前で裸になるし、それどころか大事なところを触られるのだ。
この位は何でもない。
「別室に行こうか。ここはドリンクサーバーのクリーニングの人とか警備会社の人とか外の人の出入りがあるから」
Tさんはそう言ってカフェだった頃にはバックヤードだったと思われるドアを指差した。
ここはそれなりに外の人の出入りがあるらしい。
入り口の札を見る限り警察もだろう。
確かに不特定の誰かに見られるのはあまり気持ちのいいものじゃない。
「分かりました」
「携帯は持ってきてね。私たちはきちんとこの商売をやってるつもりだけど、いざという時を想像してるなら逃げる手段はないとね。ここは圏外になる場所は主要キャリアではない事は確認してるから安心して」
そう言うとTさんは天井と壁の間を見た。
そこには業務で使うパソコンなどで使うであろうWiFiルーターと一緒に店舗などに設置する為に各携帯キャリアが出している簡易基地局が設置されていた。
これを誘致したという事はそれなりに経営が安定しているのかもしれない。
「なにか危ない目に合わせたりは絶対無いけど自分を守るポーズは必ず取ってね」
そう言うとTさんはウィンクをする。
その仕草は大人の女性だがとても可愛かった。
「わかりました」
どう返事するか迷ったがシンプルに答えるのが一番だと思ったので一言告げた。