女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
あたしはあれから先輩の誘いに断りを入れ、教授の所に何度か足を運んで大学院進学の計画の相談をしたりSの会社の転職支援サービスに登録し大学院進学の目標を達成できなかった時の計画を別途立てる準備をしていた。
正直、先輩はあたしに色々気をかけてくれていた人だしその人の誘いを断るのも一つのキャリアの選択肢を捨てるのもとても勇気が必要だった。
だけど、フリーとして受ける案件でこちらに回してもらえるものが無いかは探してくれるという話はできた。
色んな人に助けてもらって本当にありがたい。
先輩や教授には風俗で働くことはとても言えない。
同性愛者であることも隠したいのもあるし、それ以前にやっぱり大学院の学費を身体を売って稼ぐのにいいイメージを持たれないのははっきり分かるからだ。
今日は初仕事の日だ。
先日、契約書を交わして予約サイトに載せる写真を撮ったりプロフィールを書いて予約可能日を決めてその日になった。
レズビアン風俗ではプロフィールにタチ、ネコ、リバのいずれかを書くことになっている。
これは同性愛者じゃない人には男役、女役、両方できるの意味だと説明されることが多い。
最も男役女役と言うのは好まない人が多い。あくまで女同士でありその役割は男女の模倣じゃないしそう言われる事に嫌悪感を人によっては持ったりする。
特に実際にセックスの仕方については男女のそれの代替のように言われる事に拒否感を示す人は多い。
あたしも概ねその考えには賛成してる。
つまりタチはセックスにおいて能動的な立場をとる人、ネコは受動的な立場をとる人だ。
あたしは自分のセクシャリティとしてはネコ寄りのリバ——どちらも出来るが受動的な、攻められる側になる事を好むタイプだ。
人によっては身体を触られる事に耐えられない人、触る側に違和感を覚える人もいる。
だからレズビアン向けの風俗ではセラピストがどちらを可能で自分の希望するサービスを受けられるかを確認する必要がある。その為の情報だ。
特に同性愛者は双方が同じ身体を持つのでそこを自己申告する必要がある。
あたしはどちらも抵抗はないしその方が仕事のチャンスも多いのでリバで登録した。
正直、触る方にはあまり自信がなかったんだけどTさんから慣れてないセラピストには慣れてないなりの需要があるらしく、当面は新人として予約サイトでは紹介されるので問題ないそうだ。
当のあたしとしてはその慣れてないなりの需要というものに不安を感じるわけだが。
プロフィールにはスリーサイズと身長、陰毛の有無、感じやすい性感帯なども書かれている。
その他にはNGな行為もだ。
風俗には店としてNGとしている事、セラピスト本人がNGとしてる事がある。
店側のNGは禁止事項として予約時の規約にそれをしない事を同意する事になっているとのことだ。
「まず、初仕事をしてもらうにあたって禁止事項のおさらいね」
出勤してすぐにあたしはTさんに面談室に呼び出されて先日説明された禁止事項についての講義を再度受ける事になった。
「粘膜の接触が禁止なんですよね」
「そう。こちらから粘膜に触れるのも、お客さんに触らせるのもね。備品としてかならずセーファーセックス道具の一式を持っていってもらうからね」
そう言うとTさんは駅ビルの雑貨屋で売っているものと思われるポーチを取り出した。
「まずはフィンガードム、これは男の人がちんちんにコンドームを付けるように指に付けるの。使ったことはある?」
「ないです。でも、一回だけ風俗を使ったことがあってその時のセラピストの人に使ってもらいました」
「それなら分かりそうね。これを人差し指や中指に付けてクリトリスや膣を触ってね」
「はい。両方の指に付けても大丈夫ですか?」
「うん。そうした方がやりやすいかもね。それから、これ」
Tさんは薄手のゴム手袋を取り出した。
「これはこの間、あたしに使ってくれてたやつですよね」
「そう。手術用の手袋なんだけど手全体を覆うフィンガードムだと考えてもらえばいいわ。プレイによっては他の指や手のひらにお客さんの愛液が付いたりしちゃう事もあるからうまく使い分けてね。最初はこっちを使うのがおすすめ」
「なるほど。感覚とかはどうなんですか? クリトリスって小さいから指先の感覚を掴むのにコツがいりそうですけど」
「その辺は心配ないわ。元々は医者が手術をするための物だから指先の感覚は損なわれない。フィンガードムもこの手袋の指部分だけにしたものだからその辺は一緒」
「コンドームに近いんですね」
「そうね。Mちゃんは男の人とも付き合ってたもんね。コンドームと同じように感覚が損なわれないように作られてる。もっとも、私はコンドームを着ける場所がないからその感じは話に聞いただけだけどね」
「それはあたしも一緒です」
「着けれたら雇ってないもの」
そう言ってTさんは笑った。
Tさんは男性に対して嫌悪感のないタイプなんだろう。もしかしたらあたしと同じ様な経験のある人なのかもしれない。
「あとは、話に出たコンドームとローションね」
「コンドームはどうしてですか?」
「親指に着けるにはフィンガードムは小さいのでその為とあとは大人のおもちゃを使うためにね。ディルドとかローターとかお客さんのリクエストで使うことがあるけどこれも衛生管理の為にコンドームで包んで使ってもらうから」
「なるほど。その辺もなんですね。あと大人のおもちゃはお客さんの持ち込みとかですか?」
「使っていいのはうちが用意したものだけ。それを持っていってもらう。お客さんの持ち込みはすべて禁止ね」
「わかりました。じゃあ、持ってきた場合は断るでいいですか?」
「もちろん。きちんと断ってね。デリケートな部分に接触する物だから何か細工されてたら大変だから。うちではないけどそう言う事件は無いわけじゃないから。事故もあるし」
あたしはTさんの言葉に引きつった。
事件や事故。裸になって見ず知らずの人に身体で一番デリケートなところを触らせる。その行為は相手に悪意があると恐ろしいという事への考えていなかった事が恐ろしくなった。
「そんなに悪意のある人はいないだろうけど、メンテナンスが雑なローターで感電という危険性もあるからね」
「結構怖いですね」
「相手が女だと安心と考えがちだけど、危ない人やいい加減な人に男女は関係ないから。むしろ、女は危険を軽く見積もる所があるのは知っておくといいかもね」
「そういうもんですか」
「ビアンは女を買いかぶるというか男を悪く思いすぎるけど、結局、女に性欲を向けて傷つける人間の割合は変わらないのかもね。絶対数が少ないから件数もわずかってだけで」
聞くのが怖いが実際にお客に傷つけられたセラピストが居たんだろう。この店か同業のどこかかは分からないけど。
「そのリスクがある事は知っておいて。こちらとしても備えは万全にするから」
「はい」
「でも、あんまり怖がらないでね。こちらも対策はしているから」
「はい」
「それと、ローションは毎回新品を渡すから使うようにして。緊張してると濡れないし、それはMちゃんもお客さんも一緒」
「そうですね」
あたしも初めての彼氏も彼女もなかなか濡れなくて相手を困らせたのでよく分かってる。
営利目的のセックスは今日、生まれて初めてする。
だから思うように濡れなくて困るかもしれない。
「愛液であってもローションであってもあそこがしっかり濡れる事は衛生上重要だからそこは手を抜かないでね」
「わかりました」
「あとは、店長呼ぶけどいいかな?」
「はい」
初出勤の時に店長からの説明があるのは前もって聞いている。
本来は面接は店長とTさんの二人でするそうだけど、あたしが面接で来た日は店長はどうしても外せない用事があって来れなかったんだそうだ。
Tさんは一旦、面談室を出て店長を呼びに行った。
あたしが面談室に入る前は入口に入った所のラウンジと呼んでいるスペースにはいなかったようだが、店長用の部屋があるのだろうか。
戻ってきたTさんと一緒に中年の鍛えられた身体を持った男性が入ってきた。
「いやぁ、この間はすいませんでした。今日から初仕事ですね。よろしくお願いします」
面接でセパレイティストの入店を断ってるという理由が分かった。
この人が店長だ。店長は男性。これ以上に男性と接することに抵抗のある人がここに向かない理由がない。
しかも男性という要素が強い格闘技か何かをしていたであろうタイプの男性だ。
物腰の柔らかい口調だが男性の嫌いな人なら怖くてたまらないだろう。
「私、Oと申します。こちらの店長をしております」
そう言うと店長は名刺を出す。
そこにはこの店ともう二つの店の名前が並んでいて代表という肩書が書かれた名刺を差し出した。
あたしは「頂戴します」と言って受け取る。
ここの他にも経営している風俗店、なのか他の業態なのかは分からないが何かしらの事業があるらしい。
店の名刺には警備会社の契約店であることや民間のプライバシー保護の認定団体のロゴがある。
最初、風俗店という事もありどうしても社会的に問題のある団体との関わりを想像してしまったがこの認定を受けられるという事はそうでは無いらしい。
「はい、よろしくお願いいたします」
「どうぞ、お座りください」
「はい」
「緊張してますね」
「はい。その、失礼かもしれませんが経営者の方が意外なタイプだったので」
「男が経営してるってところで驚いたり抵抗を持たれたりする事はありますから。普段はTさんにこのお店を任せていますので、安心してください。もちろん、相談があればいつでもお受けするのでご安心ください」
「助かります」
店長はかなり丁寧な方だ。強面だから意識してそうしているのかもしれない。
「私の方からも説明事項がありますので、お話していいでしょうか?」
「はい。お願いいたします」
「私から話すのは勤務中のセキュリティについてです」
そう言うと店長はスマートフォンとスマートウォッチをテーブルに置いた。
「Tさんから必ずここに来てからお客様の所に行き、終わったら立ち寄って報告書を書いてからお帰りいただく決まりだという話はあったかと思います」
面接の時に契約書を書く段階で直行直帰は出来なくて必ずこの店から向かう決まりだと確かに聞いた。
さっき教えてもらった道具を取りに来るのと報告書を書く以外にこの二つのデバイスに関する決まりがあるのだろう。
「こちらを必ず持って仕事に行ってもらいます」
そうして店長はこのデバイスたちに緊急時の通報機能や行動の補足の機能があるという説明をしてくれた。
正直、お客さんとセックスしてる最中の事が少なくとも店長とTさんに筒抜けだという事だ。
これだと濡れるものも濡れないだろうなと思った。
ローションが必須なのは確かそうだ。
できればインターネット経由で監視された状態でお客さんとセックスをして濡れたり感じたり出来るようになるのは避けたい所だ。
だけど、ある程度は安心して仕事が出来るかもしれない。
「プライバシーについては私とTさん意外が見られないように暗号化された状態で保存されていますので安心してください。私たちが契約している警備会社のクラウドストレージに保存される形です」
あたしは店長の名刺にある警備会社のロゴを見た。
ここは知ってる。安全性の高い企業向けのクラウドストレージのサービスをITサービス部門がやっている。
「ここの会社は知っています。とりあえず、抵抗がないかと言われるとあるとしか言えないですが安心はできそうです」
「よかった。緊急時以外は聞いたりしませんので安心していいですよ。私たちも簡単に聞けないようにはなっていますから」
説明を受けてあたしはこの店がどういう形で設立されたのかが気になってきた。風俗店のイメージには無いほどシステム化されているようだ。
その背景を知ったらもしかしたらIT業界に戻ることになった際の知見になるかもしれない。
「あとはTさんから続きの説明があるので、これで僕は失礼しますね」
そう言うと店長は立ち上がって面談室から出ていった。
出ていく時の一言で一人称が「私」から「僕」になっていた。仲間として受け入れたというポーズなのか単に素をうっかり出したのか。
男性経営者のレズビアン風俗というのは世の中にどれだけあるか分からないがとても意外だった。しかも結構気を使ってくれている。
ただ、簡単に信じてしまってはいけないかもしれない。
とりあえず、店長には悪いが仕事中の音声がエロコンテンツとして販売されるリスクは頭に置いておいてもいいだろう。
「それでね、Mちゃん」
店長を見送るとTさんが口を開いた。
「申し訳ないんだけど、服を脱いでもらえるかな?」
「はい。それは?」
Tさんは店長を呼びに行った際に持ってきたようで手にカメラを持っている。
「裸の写真を撮らせてもらいたいの。今と帰ってきた時とで写真を撮って怪我や感染症がないかを確認できるようにね」
「はい。わかりました。ここで脱いでしまっていいですか?」
「うん。服はテーブルに置いてね」
この店は土足厳禁だ。だから靴下も脱いで裸足になったほうがいいだろう。
恋人以外に裸を見られるのは抵抗があるのは今もだが、これからお客さんに裸で身体を触られる。
このくらいはなんとも無いと思わなければ。
あたしは裸になりTさんの前に立った。
「それじゃあ、全身から撮っていくね」
そしてTさんの指示にしたがって全身と上半身、下半身を前後撮影した。
それから乳房、顔。順番も決まっているようでカメラと一緒に持参したタブレットに表示されたチェックリストを確認しながら撮影していく。
「脚を開いてもらえるかな?」
「はい」
そう言うと今度はあそこを撮影した。ここもなのか。
「あと、ごめんね。手で割れ目を開いてもらえるかな?」
「こうですか?」
あたしはTさんの言われたとおりに指で大陰唇を左右に引っ張り割れ目の中にある大事な部分を見せる。
「うん。大丈夫。恥ずかしいでしょ。でも、大事なことだから我慢してね」
Tさんは角度を替えて大事な物を撮影する。
やっぱりこの部分は見られるのは恥ずかしい。
性的な興奮抜きにあそこを見られているからだろう。
面接の際の身体検査でもそうだった。
ましてこんな場所を写真に撮られるなんて生まれて初めての経験だ。
これで濡れていたらそれが記録に残る。
濡れるようなエッチな事はなかったしあたしも考えていない。
とはいえ、ここはセックスとおしっこと生理。その為の場所なのにそれ以外で誰かに見られるのは複雑な心境だ。
「ありがとう。恥ずかしかったよね。でも、これは安全のためなの。帰りも撮らせてもらうからそこは我慢してもらえるかな?」
「わかりました」
「これも適切に管理するから安心してね」
「個人情報の誓約書の文面を信用します」
「それは助かるわ」
面接の終わりの入店手続きであたしは個人情報保護の店側からの誓約書にサインをした。
きちんとした文面でIT業界で使われるものだった。
その書類を交わす以上は信用する約束をしたし、それをお店が反故にしたら出るところに出る事ができる。
裸の写真やセックスをしている最中のライフログを取られるんだからその辺の対策は今日までには考えておいた。
「これで準備は完了。あとはお客さんの情報はお店のスマホに届いてるからね。待ち合わせ場所のルートは指定された道を通ってね」
「移動する道のりも指定なんですね」
「可能な限り未知の監視カメラに映るようにしてるから」
よく考えられてると思った。
事件や事故は防ごうとしても起こる時には起こる。だからあたしがいつどこに居たかを公的機関が追えるようにしてるのだ。もちろん抑止力という意味もあるだろうが。
その必要のある事態は絶対に起こってほしくないけども。
「それじゃあ、初仕事だね」
「そろそろ出た方がいい時間ですね」
「これから会うお客さんは常連さんでとても優しい人だから安心していいよ。初めてなのはプロフィールに書いててお客さんも知ってるし落ち着いてできる事をしてきて」
「わかりました」
「あと、もう一度言うけど粘膜の接触は禁止。触る時はフィンガードムか手袋必須ね。もちろんキスや貝合わせなんてもっての外。いいかしら?」
「わかってます」
「それじゃあ行ってきて。Mちゃんのおっぱいの感触もあそこの形も魅力的だから喜んでもらえるから」
Tさんはウィンクして言った。
あたしは苦笑した。
恋人でもない人にそんな場所を褒められるなんて居心地が悪かったからだ。
でも、これからそれがあたしの日常になったんだろう。
Tさんから受け取った「仕事道具」を確認するとあたしは面談室を出た。
あたしは緊張を収めようとぐっと息を飲み込む。
「それじゃあ行ってらっしゃい」
「行ってきます」
これからあたしの風俗嬢としての日々が始まる。
緊張は収められず心臓の鼓動を感じながらあたしはお店を後にした。