女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
「ありがとう。とっても満たされたわ」
セーファーセックスの為の手術用手袋を脱ぎながらお客さんは幸せそうな顔で言った。
あたしはオーガズムの強い感覚にノックアウトされてグッタリしている。
「起き上がれる?」
「大丈夫です」
あたしは全身の脱力に抗いながら起き上がる。
これまではイった後は抱き合ったりしながら相手とどうでもいい話をしたりしてた。
けれどそれは相手が恋人や友達だから。
今のあたしはお客さんの性欲を満たすために身体を触らせるサービスをお金の対価として行なっている立場。
残った時間も相手の望むサービスを提供しなければならない。
身体に力が入らない感覚と闘いながらお客さんと対峙するとその様子がとても不思議に思えた。
お客さんの方がオーガズムを迎えたのではないかというくらいに上気した穏やかな顔をしている。
彼女はセックスの最中、性感を一切、感じていなかったはずだ。
「ねぇ、抱きしめてもいいかしら?」
潤んだ目でお客さんはあたしをじっと見る。
まるで大事なところを触られて感じてるような表情だ。
「どうぞ」
お客さんはあたしが承諾するとうっとりした顔でそっと抱きしめた。
「とっても気持ちよかったわ」
鋭く真っ直ぐに耳元で囁くお客さんの声が響いた。
少し弱そうに聞こえる。
それにしても気持ちいいとはどういうことなのだろう。
気持ちよかったのはあたしの方だ。お客さんは性感帯を刺激されたりしてない。
「変かしら? タチはね、タチみんなかは分からないけど、抱いた相手がよがってくれてるのを見てると心が気持ち良くなるの。あなたはフィンガードムをつけたままにしてるんだし、私のを触ってみたらわかるわ。ちょっとなら構わないから」
あたしもお客さんが手術用手袋をつけた際にフィンガードムを付けていた。
そういえばつけたままなのを忘れていた。
「良いんですか?」
「感じるようなことしなきゃね」
「それじゃあ、遠慮なく」
あたしはお客さんの割れ目の膣のあたりをなぞった。
「すごい……」
あたしもかなり濡れてるだろうけど、お客さんはそれ以上に愛液があそこから溢れていた。
こんなに濡れてるなら挿れて感じさせてあげたい。
でも、お客さんはそれを望まないんだろう。
他人に感じさせられるのが嫌だと言っていた。
あそこが濡れるイコール感じたいじゃないんだろう。
挿れて感じさせたいのはあたしのリバとしての感覚の押し付けになるんじゃないか。
「興奮しちゃうわ。私ね、女の子を感じさせるのも好きだけど、セックスした相手に自分が興奮するのを見せつけるのが大好きなの」
気持ちは分かる。
自分の濡れたあそこで相手を興奮させるのは確かにとてもエッチだ。
それにお客さんが濡れてるだけじゃない。お客さんの割れ目周辺のもちもちした感触にもあたしは興奮している。
特にイッたばかりの興奮と相まって頭がおかしくなりそうだ。
「今日はありがとう。初仕事を私にくれたのと、私が触るのに上手に感じてくれた事」
「あれで大丈夫でしたか?」
「あなたのプライベートでの経験が活きてたのかもね。Mちゃんは上手なネコよ」
「よかったです」
「それに、私のパイパンに興奮してるのが初々しくて可愛かったわ」
「あたしも毛のないあそこに興奮するのは自分でも知らなかったです」
「興奮してる相手をイカせるのは楽しいし気持ちいいわ」
あたしはスマートウォッチの時刻を見た。
まだ余裕はあるがそろそろ帰りのお風呂にした方がいいだろう。
「そろそろお風呂準備しますね」
「そう。もう終わりなのね」
お客さんは弱々しさのあるうっとりした表情からここにきた時の凛々しい表情に戻っていた。
あたしはそれに動揺したり感情移入してはいけないと思いながら翌日に向かった。
ホテルを出てお客さんを見送る。
お客さんは駅までの短い散歩を望んでいたので最寄りの駅ではなくそこから少し歩いたターミナル駅まで歩くことにした。
「私があなたに触れた事、どうだったかしら?」
「ビックリしました。あんなふうに気持ちがいいなんて初めてです」
「気持ちじゃなく欲だけでしたからだと思うの。今の私のセックスは本当にそれだけ」
「——さんは楽しめましたか?」
「もちろん。週に一人は女の子を抱いてるけど、今日は上手な人に当たって運が良かったわ」
「ネコとしてどうしていいか分からなかったですけど」
「それならあなたは素でセックスが上手なのね」
「そうなんでしょうか」
「タチは明確なテクニックがあるけどネコの上手ってタチ側の主観もあるし分かりづらいわよね。でも、あなたはきちんとタチを満足させてくれる気持ちのいい女の子よ。自信持っていいわ」
ネコとしての上手い下手、そういうものがどうなのかはあたしは分からない。
正直、タチとしてもネコとしても相手のセックスの上手さはあまりよく分かっていないのも大きいだろう。
「ここでいいわ」
駅の入口の前まで来るとお客さんは立ち止まった。
「今日はありがとう」
「こちらこそ、ご利用いただいてありがとうございます」
あたしはお辞儀する。
とても丁寧にこのお客さんはあたしを利用してくれた。
風俗の世界ははっきり言って分からないがこんな丁寧なお客さんはめったにいないだろう。
研究室が忙しくなる前にバイトしていた時もマナーがちゃんとしていたりこちらを気遣ったりしてくれるお客さんはめったに居ない。嫌な思いをさせられる事だって少なくなかった。
「これは社交辞令じゃなくてね、またお願いしてもいいかしら?」
「えっ……? はい、もちろんです!」
「いろんな女の子を楽しみたいからすぐにじゃないけどね」
「とても嬉しいです」
「今日は一人でするのが捗りそう」
「あ、それは」
オナニーの事だろう。それ以外には考えられない。
気持ちよくされるのが嫌という人でもするんだと思った。
「一人でしたりしないと思った?」
「すいません、そういうのというか感じるのが嫌なのかと」
「一人でするのは好きよ。誰かに気持ちよくされるのが嫌なだけ。だけど、私も女だからあそこが求めるの。だから、抱いたことを思い出して一人でいじるのよ」
タチにとっての性欲や性感はそういうものなのだろうか。
リバだし、ネコに近い性癖なので気持ちよくなる前提で考えていたから分からない。
「心配しないで。私にとってはそれが性的な満足なの。覚えておいて、気持ちよくさせる事だけが気持ちいい人もいるのよ」
「そうなんですね」
「だから――」
お客さんはあたしの耳元に口を近づけた。
「しばらくの間、あなたの膣の感触、思い出させてね」
お客さんはあたしに柔らかい声で耳打ちする。
とても色っぽかった。お客さんのあそこに、あのもっちりとした割れ目の中に触りたい衝動に駆られるほどに。
「は、はい……!」
あたしは上ずった声で返事をする。
「それじゃあ、またね」
そう言うとお客さんは元通り凛々しい笑顔を見せて駅の中に消えていった。
あたしは最後に聞かされた声の色っぽさに圧倒されて雑踏の中に立ちすくんでいた。
あそこだって濡れている。さっきイッたばかりなのに。
頭の中にはお客さんの毛のない鼠径部がちらつく。
このまま立ち止まっていては邪魔になる。
あたしは駅とは反対側。ここから少し歩いた所にある地下鉄に向かって歩き出した。
まずはお店に戻って今日の事を報告しなければいけない。
すでにセックスし終わった相手に興奮してる場合ではなかったのだ。
どこか寂しい気分の中、夜の街の中をあたしは満足と戸惑いを抱えて歩いていった。