女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
「お股の何もないところを揉まれるのが気持ちいいなんて知らなかった」
お客さんがオーガズムに達して、それが思ったよりも早かったのもありあたしは追加サービスのつもりで大陰唇マッサージを力を弱めてすることにした。
「ここ、実は強い感覚はないけど結構、気持ちいい所なの」
「そうなんだね」
「知らない人は多いよ」
大陰唇へのマッサージはクリトリスや膣への刺激に比べて弱いが確実な気持ちよさがある。
それにしても、「何もないところ」という表現が気にかかる。
このお客さんがこの県の人なのか遠くから来たのか分からないが、多分、「ちょんちょん」という言葉を知らないのだろう。
知っていたらその言葉を使わないにしても何かしら別の表現をするだろう。
「付き合った人はやってくれなかったの?」
「そうだね。してもらったことないかな?」
「してる人は意外に多くて、ここを揉むのが人生初のオナニーって人もいるよ」
「そうなんだ。ひとりエッチでもするんだね」
お客さんは天井を眺めながら何かを考えてるようだった。
「前に付き合ってた女の子なんだけどね」
「元カノ?」
「セックスの相性は良かったんだけど、あんまりいい別れ方じゃなかったの」
「そうなの」
「ある時期から『エッチは全部してあげてるんだからこれくらいして』って言ってなんでもわたし任せにしてね」
「それは……あまりいい気分にはなれないね」
あたしの元カノだった女の子とは別の人だろう。
あの子じゃなくその話をするということは人違いだったのだろうか。
「まるで家事や食事を奢る対価にエッチしてるみたいで嫌になってね」
あたしはちょんちょんを揉む手を緩めながらも止めずに聞いていた。
「わたしは触るのがダメで彼女は触りたいのに酷いなって思ってわたしから逃げたの」
その人がどんな人かわからないけど、恋人とも風俗嬢であるあたしとのセックスのようにしていたのならそう思うのもおかしくないと思った。
かなりネコ寄りでもリバであるあたしには「触るのがダメ」という感覚は分からない。
この人が今してるお金を払ってのセックスでネコをしてるのが普段のセックスなら恋人は辛いだろう。
感じたり相手をノセたり、ネコにもすべき行為はある。
それがないのなら他で埋め合わせを求めたくなるのはあり得る話だ。
ビアンの痴情のもつれは与える側と与えられる側のバランスの偏りが多い。
「相性が悪いのなら、しょうがないよ」
あたしは言った。本心じゃなくサービスで。
無防備な姿で密室の中で相手を簡単に否定するのは危険だ。
「それでね、元カノと付き合ってた頃から辛くなってその前に付き合ってた子と寝るようになったの。その子も彼女はいたんだけど」
悲しそうにお客さんは言う。
しかしその言葉にあたしは反応を必死に抑えた。
「その子、付き合い始めた頃も別の彼女がいたんだけどエスコートもエッチも上手だから。その子はわたしとエッチが好きで前の彼女と別れてくれて」
多分、あたしの元カノだ。
気づいてて挑発してるのか。
「でも、今はその子は他人のもの。よくないなって思って会うのやめたの。でも、誰かの体温が欲しくてね」
「それで来てくれたんだ」
「うん。こうして大事なところを揉まれてるとなんか安心する。一人じゃ気持ちよくなれないもんね」
あたしはその言葉にこれまで担当したネコのお客さんの事を色々考えた。
あたしはどこまで行ってもリバなので触りたいと言う気持ちは持ってしまう。
でも、触るという行為ができない人はいる。
理解はできないがそういう人がいる事は知っている。
この人はオナニーもしないし出来ないんだろう。
「あそこがね疼くのに触ってくれる相手がいなかったの。辛かった」
性欲も強い方なのかもしれない。
彼女がいるのにあたしのいや、あたし達共通の元カノに会って抱かれている。
ポリアモニーじゃない、浮気だ。
元カノもあたしと付き合いながらこの人とエッチしてたし、彼女がいながら他の女と寝られる人にあたしはついていけない。
風俗嬢に言われたくないとは思うが。
「気持ちよくなりたいだけならうちのお店をまた利用してよ。快感だけは用意できるから。……さて、そろそろ時間だね。お風呂の準備をしてくる」
お客さんの鼠蹊部から手を離してあたしは立ち上がった。
ここまで話して向こうはこっちが誰なのかを気づいてるのか、それとも知ってて言ってるのかは分からない。
でも、間違いない。あたしの元カノを取った女で間違いなかった。
それは分かったけど不思議と恨みとか暗い気持ちは湧かなかった。
恋愛、しづらそうな性癖に心配を覚えたというのが正直なところだった。
そして、そういったところにあたしがビアンの界隈から距離を置いた理由を思い出された。
とても複雑な気分だ。
お客さんを見送ってあたしはお店へ徒歩で戻る事にした。
お店には二駅あるが少しTさんのフィードバックまでは時間が欲しかった。
今日のお客さんがあたしのかつての恋敵というか彼女が浮気した相手だったかどうかはそうだと思ったが確証は持てなかった。
お客さんはエッチが終わり冷静になっていく過程でだんだん落ち込んできていた。
ただ、口にしてたのは愚痴だ。
今は誰もあそこを触ってくれない事、直近の彼女への恨み言。
とても可愛い雰囲気の女の子なのに台無しだ。
だけど、モテてしまったがために、それもネコだった為に道を踏み外したように思えて気の毒にも思えた。
帰り際の挨拶の中で「あなたみたいな人が彼女だったら良かったのに」と言われた。
その意味は分からないが、もしかしたら恋敵だったのは当たっててあたしたちの元カノよりあたしの方が彼女として良かったと今日のセックスで思ったのだろうか。
正直言ってそんなのはごめん被る。
あそこを触る事に抵抗があるバリネコなのは仕事ならいいけど触って欲しいあたしには合わない。
それに他責を感じる言動が多かった。
ネコに時々いる彼女に男の役割を要求するタイプなんだろうと思う。
男の、というのは正しい言い方なのかは分からないが元異性愛者として、同性愛者なのを隠して異性愛者に混じって暮らしてる者として見てきた責任やお金などの諸々の負担を男性に求める女は多い。
正直言ってあたしが嫌だと思う異性愛者のメンタリティだ。
もちろんそんなばかりじゃないし女には妊娠によるダウンタイムや生理によるデバフがあるから男女のパートナーシップには役割分担が必要だ。だから男女は違う体を持っている。
そういった女の立場での負担の要求を同じ女であるパートナーに要求するビアンは少なくない。
あたしも過去の彼女にそう言うタイプがいて嫌気がさした。
今日のお客さんは嫌な女の言動をしていた。
恋敵でなくてもビジネスじゃなければごめん被る相手だ。
あたしの考えからしたら女同士ではいくらセックスしても妊娠しないんだから役割は本人の能力や特性を別にしたら対等であるべきだと思う。
一方的なエスコートの要求をするのは如何なものかと思う。
ビアン界隈のネコによるそういう要求と一部のタチの甘やかしの悪循環があたしは嫌になって距離を置いた。
そんな事を思い出した。
正直、ネコ寄りのあたしでも完全なネコにはあまりいいイメージを持っていない。
セックスや性欲には偏見があるが、テイカー気質の人が多いのも事実だ。
逆にタチにも何もかもの受け身を求める人がいる。
そういう人かどうかは付き合わないと分からない。
付き合ってからタチが無理、ネコが無理と言い出す人も。
理系だからという言い訳をしたくないがそこは自分の身体の仕組みを軸に考える癖のあるあたしに感情で言ってる事を変えるのが当たり前と化した女社会は苦手意識を持たずにはいられなかった。
女と付き合うのにこのメンタリティでは多分、恋愛は無理だろうなと思う。
あたしも過去の恋愛の失敗で疲れたのもある。
この仕事をしてると恋愛に疲れたお客さんも多い。
負担を一方的に押し付ける恋人との関係に疲れた人も多そうだ。
あたしは夜の街を歩きながらかつて性欲とトキメキを求めてこう言う場所にあるお店に通った事を思い出す。
その感覚を忘れてしまっているんだろうなと思う。
今日のお客さんみたいに人任せに出来ればいろいろスムーズに渡り歩けそうなのにそれが出来ない。
あたしみたいに擦れた考え方をしてない女ならお客さんのような人は可愛く見えるからだ。
ただ、そんな関係はあたしには向かない。
もし彼女があたしの恋敵なら元カノもセックスフレンドとしての関係を望むが恋人にはしたくないと思うのかもしれない。
あたしはそんな恋愛は無理だ。
ただ、この仕事をしていて良かったと思うことはある。
好みの相手とじゃないしビジネスとしてだが、性欲を仕事の中である程度は満たせるからだ。
今日はあまりいい気分のする仕事じゃなかったがそれでもいいことはあった。
今日のお客さんのちょんちょんはあたし好みの形と感触をしていたからだ。
ふわふわした大陰唇、下付き特有の短い割れ目。
可愛らしい股間だった。
ただ、好みのちょんちょんの持ち主が正確に難ありなのは少し悲しい。
それでもオナニーのオカズには十分だ。
家に帰ったらちょんちょんの見た目と感触だけを考えて気持ちよくなろう。
そうすれば今日のお客さんに感じた緊張感を快楽で塗り替えられる。
あたしはそう考えながらお店までの歩みを早めた。