女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
いつも通りあたしは面談室で裸になってTさんに写真を撮られていた。
裸になってお客さんの相手をするので暴力や不可抗力なダメージを負うリスクは常にある。
仕事の前後の身体の状態をこうして記録することでもしもの時に警察や病院に提出する証拠を作ることができるためにこうする決まりだ。
もっともあたしはここで働いて十ヶ月になろうとしてるがこの写真が悪用されないかは常に疑っている。
写真を撮られてしまっているので何かできるというわけではないけど、完全に信用して「大丈夫」だと思わない事と危険な兆候に目を光らせるのは大切な事だ。
とはいえ感情に任せてしまうと問題のないものまで問題視するからそれはそれで匙加減が難しいのだけど。
全身を、割れ目を開いて性器まで写真に取られる事も慣れてくると退屈な時間なのでついこういう考え事をしてしまう。
ルーチンワークはこういうもの、だけども。
「今日のお客さんね」
Tさんは写真を撮りながら話を始める。
彼女自身もここで働く女の子みんなをこうして写真に撮るので慣れっこなのだろう。
「処女なんだけど、Mちゃん、そういうお客さんの相手が上手だから助かるな」
割れ目を開いてクリトリスと小陰唇を見せながらあたしはその話を聞いていた。
「そのお客さんって」
「指名。経験のない一見さんの指名はMちゃんかなり多いもんね」
Tさんの言う通り、女性経験のない初めて来るお客さんの指名は多い。
地味な見た目が安心させるのか分からないけどそこから上手くやればリピーターになってくれるからやりがいを感じるお客さんたちではある。
あたしが割れ目から手を離すとTさんはカメラをパソコンに繋ぎ始める。
全身から各部分の撮影をして割れ目の中が最後に撮る写真だ。
あたしは服を手に取り着始める。
「初めてのお客さんって緊張する? 真剣な顔してるけど」
「初めてってのは」
「エッチがって事」
「しますね。それぞれいろんな事情のある人たちだし、トラウマや悩みの結果ここに来る人たちですから。責任重大です」
「責任感あって助かるわ。相手が何も知らないから適当なエッチしちゃうセラピストもいるからね。そう考えてくれるのはお店としても助かる」
Tさんは感心したように言う。
実際、処女や今まで嫌々男性と関係を持ってきた人は重い人が少なくない。
そう言う人たちに女性との関係を築く為の勇気やきっかけになるのは対応するセラピストの役目だと思ってる。
適当に済ませるセラピストの気持ちも分かるけど、あたしだってかつて悩んだ事だ。
簡単に扱ったり出来ない。
服を着終わったあたしはお店の備品のスマホの画面の予約内容を見る。
歳は24歳。あたしより年下だ。
これまで恋愛の経験もない。これは片思いもだろうか。
恋愛感情の経験すらないお客さんは確かにいる。
その場合アセクシャルの可能性もあるから慎重に会ってからのヒアリングが必要そうだ。
正直、まだ会ってないが気が重いタイプのお客さんだと思う。
仕事だからきちんとこなさないといけないが気持ちはあまり乗り気になれない。
「楽しんでって無責任には言えないけど、Mちゃんなら大丈夫だから」
顔に考えが出てたのだろうか。
Tさんはかなり優しい口調で言う。
いや、この人もアセクシャルの可能性あるお客さんの大変さは知ってくれてるだろう。
過去にした会話から以前セラピストだった事は推測される事は言ってたから。
Tさんは「頑張って」と言ってウインクをする。
こういう時、この人はずるいと思う。
あたしより年上だろうが可愛いのだ。
気が重い時に抱くのがTさんだったらと考えてしまう。
無駄なことを考えてる暇はない。
約束の時間に向かう為、あたしは自分を奮い立たせて待ち合わせ場所に向かうことにした。
待ち合わせはホテルの部屋でということだった。
お店が案内してる低価格帯のラブホテルの一室で今日のお客さんは待っている。
ラブホテルは後から入ることのできないところが多いがそこはいくつかの風俗店のセラピストに対して所定の手続きをすれば待ち合わせをさせてもらえる。
ビジネスホテルは扱いづらいし外での待ち合わせは知り合いとの鉢合わせのリスクがあるのでセラピスト、お客の両方から助かるサービスだ。
最も、それは社長がしっかり信用を築いてあたしもそこへの所属があるから出来るので有り難い限りだ。
あたしは受付で予約とお店の所属を確認するとホテルの人に案内されて部屋まで案内される。
このホテルはかなりビジネスホテルに近い作りになっている。
「失礼します」
あたしは落ち着いた調子を意識して声をかけると中に入る。
処女だと分かってるお客さんの時はこの瞬間が緊張する。
風俗嬢なんて職業の人に縁がなかっただろうから相手も緊張してるだろうし、怖がらせてその後のサービスに支障を出さないかが心配になるからだ。
中に入るとそこに待っていたのは中学生ちくらいの大人しそうな男の子——そう思ってしまうくらいにボーイッシュで小柄な童顔の女の子だった。
「今日、お約束いただいたMです。——さんで合ってますよね?」
「はい。——です。今日はよろしくお願いします」
お客さんは立ち上がってお辞儀をした。
あたしはその仕草や声のトーンに引っ掛かりを覚えた。
女性経験のない同性愛者の女性、そう想定していたがあたしが対応するお客さんにはそのうちの属性が他のお客さんと違う人たちがいる。
もしかして身体の処置を一切してないトランス男性ではないのだろうか。
とりあえずいきなり尋ねるのは地雷のケースがあるし隠してボーイッシュな女性としてここでの時間を過ごしたい人もいる。
身体を変えてないトランスの人には要らぬ軋轢を防ぐためにある段階までは同性愛者として生活したい人もいるし、そうするのが正解の場合もあるだろう。
自分の彼女がそうなら嫌だけど、ビジネスの相手なら許容範囲だし、そう言う人にセックスの経験の機会を提供するのもあたしたちの役割ではある。
とりあえず探り探り、セクシャリティを少しずつ聞き出していこう。
違ってもそこはお客さんにとって生まれて初めてのセックスだから慎重にならなければ。
「——ちゃんって呼んでもいいかな?」
「はい」
「二十代半ばなんだよね。高校生くらいかと思ったよ」
本当は中学生くらいかと思ったが大人にそれを正直に言うのはそれはそれで失礼なのでそこは印象をサバ読む。
「あの。身分証とか確認しますか?」
「それは大丈夫。ここを予約できたんでしょ? 未成年は入れないし、他人に予約してもらうのもダメだから大人だって分かってるよ」
お客さんはホッとした表情をする。
よく未成年に間違われるんだろう。
ラブホテルは初めてにしても居酒屋でそう言う場面を見かけたことがある。
「初めてなんだよね? 男性とも経験がないのは本当?」
「はい、僕、つい最近までオナニーもしたことなくて。全くそういうのは経験ないんです」
「お付き合いは? 10代の頃にエッチはしてないけど手を繋ぐだけとかそういう清いお付き合いも?」
「はい」
「もったいないな。周りの男の子たち、見る目がなかったか度胸がなかったんだね。こんなに——ちゃんかわいいのに」
実際、お客さんは美少女と言っても差し支えがない程度には可愛い。
誘いに乗るかは別として男子が放っておかないだろう。
それにしてもこのお客さんの一人称は「僕」だ。
女でも一人称が僕の人は今日日珍しくないがそうじゃない可能性はある。
ここまで話してても女っぽさを感じない仕草特徴だ。
あたしは下半身が無加工ならトランスのお客さんはOKにしてるから身体に何もしていないであろうこのお客さんは問題ない。
でもあたしが提供するサービスはセックスだ。
お客さんを傷つけないように行為の仕方を選ぶ必要がある。
まずは慎重に進めていかなければ。
「今日はあたしがリードするから任せて」
トランスである事を隠して利用するお客さんは隠し通した人がいたとかでなければこれまではいない。
隠す意図がなければ最初に言うだろうからとりあえず様子を見ながら他の女の子でしているのと同じ対応をしよう。
あたしはお客さんの服に手をかける。
するとお客さんは怖がる表情をしてその後すぐに誤魔化すように笑った。
処女なら身体を見られる事、特に温泉やプールと違う性的な意図を持ってのものなら怖いだろう。
あたしも最初の彼氏とも最初の彼女ともセックスをした時は怖かった。
でも、それとは違うように思える。
服を脱がしていくと下着はスポーツブラに女性用ボクサーパンツ。
恋人じゃないとしても始めてのセックスをするから可愛い下着を着けてくる人は多いが飾り気のない下着だ。
ボクサーパンツは女性用だがこれは元々、男性向けのものだった下着だ。
トランス男性でも腰回りの形や生理の時のことを考えて女性用ボクサーパンツを履いている人は多い。
ただ、ボーイッシュな格好を好んでいるだけかもしれない。まだ判断には早い。
脱がしながら顔を赤くしたり居心地の悪そうな顔をしたりしている。
「まずはかわいい——ちゃんの身体を見せてね」
あたしはお客さんの耳元で囁く。
お客さんはコクコクと頷く。
「——ちゃん、初めてって言うのもあるだろうけど随分と緊張してるね。もしかして裸を見られるのに抵抗ある?」
「その、少し怖くて」
「そっか……」
怖いのは初めてなら誰でもそうだ。
ただ、その怖いがどんなものなのかは知っておいた方がよさそうだ。
単にデリケートな部分を触られるのが怖いと言うのもある。
経験のない女の子は女同士のセックスを膣に指を入れるとしか知らないケースが多い。
身体の中に誰かを入れるのは初めてなら誰だって怖い。
ただ、その感情が自分が異性である証拠を身体的に突きつけられる恐怖ならそれには配慮が必要だ。
今日、この人が捨てに来たのは処女なのか童貞なのかであたしのすべきことは変わる。
表情や仕草からは男の子のように思える。だけど、そんな中で時々覗かせる女の子らしさに判断を迷わせられる。
これは自分の経験や感覚がアテになると思わない方がいいだろう。
「——ちゃん、もしかしてトランス男子?」
あたしはなるべく優しい口調で追い詰めないように尋ねた。
お客さんはあたしの言葉に目を見開いている。
困惑しているといった感じだ。
「ちがいます、僕、女です! 証明するものはないけど……」
お客さんは慌てた様子で言う。
それは嘘をつくと言うよりも誤解を避けたいと言ったところ。
いや、誤解の不利益を恐れてる様子にも見える。
多分、女の子だと信じていいのだろう。
本人が気づいてないというケースもあるが、流石にその可能性まで疑うと何もできなくなる。
自覚してる範囲の自己申告に従おう。
「そっか。僕って言ってるからもしかしてって思ったんだけど、ボクっ娘だったんだね。余計にかわいいな」
あたしは率直な感想を言いそっとお客さんを抱きしめた。
こちらは服越し、あちらは下着一枚で感触が伝わる。
幼児体型のボーイッシュな女の子、しかも年齢的にはちゃんと大人。
そのアンバランスさに男の子の一人称の組み合わせは可愛い。
素なのかキャラ付けなのかは分からないが。
女慣れというかこういう肌の密着になれてないのか「はぁ…」という感嘆するようなため息が聞こえる。
「良かったです。断られるかと思って……」
「ああ、一応言っておくと——ちゃんが仮にトランス男子でも大丈夫なんだけどね」
「え?」
「うちの店、基本的に引き受けるキャストがいるなら条件付きでトランスの人も使えるの。下半身を手術してないトランス男性に限られるんだけどね。つまり、お股に女性器のある人は大丈夫なの。わたしはトランス男子は胸オペまでに限らせてもらってるけど」
早口な説明口調になってしまったが、仮に性別違和の萌芽のようなものを感じてても後ろめたさを感じないように話した。
お客さんは驚いた顔をする。
身体的に女性でもトランスお断りの所は多いしそちらの方が多数派だ。
風俗に縁のない人から見てもかなり意外だろう。
「僕、天然で胸がないんですけど」
「微乳と男性になる為に胸を取るのは全然違うよ。むしろ小さな胸はかわいくて大好物だから」
あたしはお客さんの胸を見る。
布の薄いスポーツブラの上からでも膨らんでないように見えるくらい小さい。
それでも男性ホルモンを打って乳房をとった人たちの胸とは違う華奢な上半身だ。
あたしは緊張を解くように優しげな口調を心がけてるがさっきの説明口調で緊張させてしまったかもしれない。
理系の悪い癖。事実を述べるときに感情表現を含めず威圧的な雰囲気を与えてしまう。
これは言葉以外でのアイスブレイクが必要だろう。
「すぐに始めてもいいんだけど、その前に私のあそこを触ってみない?」
「えっ?」
お客さんは顔を真っ赤にして驚く。
その為のあたしなんだけど、こんな直ぐにとは思わなかったんだろう。
あたしはまだ服を着ているがスカートの中にお客さんの手を誘導してパンツの上から大事は所を触らせる。
「ここ、触ってみようか」
お客さんは小さく指先を動かしながらマゴマゴする。
緊張からのとりあえずの動きだろうが結果としてあたしの大陰唇の脂肪を弄っている。
「は、はい……」
お客さんは顔を赤くしたまま頷く。
これまで処女のお客さんは相手にしてきたがその中でもかなりの緊張っぷりだ。
どんなふうに進めるかはここから手を動かしながらヒアリングしていこう。
「まず、裸になろうか」
あたしはそう言って自分の服を脱ぎ始めた。