女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
変化はいきなり訪れるというのは大学の時に学んだ。
今こうしてどうやって生活をするかの選択を突きつけられるとは思わなかった。
会社が倒産した。
従業員であるあたしたちに兆候は知らされずある日いきなりだ。
あたしたちエンジニアは顧客のもとに出向いて仕事をしている。
だから知らないのはあたしたち外に出ている人間だけで内勤の人たちは知っていたのかもしれない。
ある日いきなりあたしは無職になってしまった。
ここからどうするかを考えなければいけない。
先輩たちは同じプロジェクトに関わっている他の会社に誘われて次の仕事を見つけている。
あたしは関わったプロジェクトでそういう繋がりを持つ機会を得られなかったのでこれからどうにかして当面の食い扶持を探さなければならない。
一応、先輩の一人から転職先に誘われている。
その会社は少々遠くなるが、客先に出向く仕事をする以上関係ないし、条件も悪くない。
すぐに手を上げるのがよさそうだった。
だけどそこで頭をかすめたのはこれが大学院に行く機会にならないかという事だ。
お金を貯めることばかり考えたが大学院にも入学試験がある。
まず大学時代の担当の教授に話を通したりしなければならない。
その為にブランクを埋めるための勉強が必要だ。
だからお金をため次第、一年ほど勉強に専念するつもりでいた。
だけどこうして仕事を強制的に辞める事態になった。
だからこの機会に院進にむけた行動をしてみてもいいのではないか。
ただそうなると学費だけではなく当面の生活費をどうするか。
副業のお金には手を付けていないのでしばらく働かなくても暮らすことはできる。
会社が倒産したのだからすぐに失業保険も下りる。
ただ失業保険で生活しては学費が貯まらない。
だからそこをどうにかできないかを考えた。
副業と生活を切り詰めた事で貯めたお金は大学院の学費には奨学金を得られればあと一歩のところだ。
そこを含めてそのあと一歩と当面の生活費をどうするか、当然、大学院生として過ごす二年間の生活費も必要になる。
挑戦したいがそれが可能かどうかを考えたいと思った。
大学院に挑戦する戦略を取るか、先輩の誘いにのってプログラマーとしてのキャリアを築いていくか。
あたしにとって究極の選択だ。
先輩には一週間の猶予をもらった。
この一週間の間に倒産して会社から放り出された帰り道で考えたプランが現実に可能かどうかの調査をする事にした。
調査と言っても大学院の準備の機関にお金を稼ぐための職業として目星を付けた仕事の経験者に話を聞くというものだ。
以前、レズビアンバーに通っていた頃に仲良くなった友人に連絡を取った。
どんな事を聞きたいかはあらかじめ話してあり人に聞かれたくないので安いけれど半個室の居酒屋を予約してくれた。
失業二日目、あたしは友人に会いに居酒屋に向かった。
「久しぶりだね。仕事の件、大変だったね」
先に居酒屋の席で待ってた友人のSはあたしの顔を見ると笑顔でそう言った。
バーに行かなくなってからも会わないまでも連絡は取り合ってた。
久しぶりに会う友人の顔に急な変化の戸惑いと不安が和らぐように感じた。
「ごめんね、時間とってもらって」
「いいよ。あんたがいた会社、結構大変な状態だったみたいだね」
「知ってるの?」
「今、転職エージェントで働いててね。そう言う情報は入ってくるわけ」
「なるほどね。一社員は倒産したその日まで何も知らなかったんだけどね」
「外勤ならそうなるよね。それで、あんたが聞きたいのはあたしの前職のことでしょ?」
Sは単刀直入に言う。あらかじめ電話で彼女が働いていた風俗について聞きたいと話していたのだ。
「どうしてまた? 会社都合だし失業保険もあるし、あんたならすぐに次の仕事もすぐに見つかると思うけど」
「実際に先輩から他の会社に誘われてる」
「それならどうして?」
「これを機に大学院に進学ってできるかなと思ってその可能性を知りたいの」
「あんたって理系だったよね。専攻って情報系?」
「違う、全く別分野。院に行くはずだったけど親の失業で合格してたのに行けなくなって就職してITをやってるの」
「なるほど」
あたしは今の状況を話した。
大学院に行きたいと思って在宅の開発案件をフリーで受注して二足の草鞋を履いて学費を稼いでいた事。
ある程度のところまで学費は稼げてるけど在学中の生活費も含めてまだ稼ぐ必要がある事。
過去に夜職関連のシステム開発案件を受けた時に風俗の給与テーブルと勤務形態を見て可能性として考えた事。
あくまで一つの可能性として有り得るかどうかを知りたいという旨も伝えた。
「わたしとしてはね、人材系の仕事をしてる事もあってITの仕事を続ける事を進めたいんだけど。大学院はそうしてでも行きたいものなの? ITの仕事は辛い? つまらない?」
「そんな事ないよ。楽しい。じゃなかったらフリーでも案件受けたりしない」
「それならどうして?」
「楽しいけど、大学の専攻ほどには好きになれない」
「そうか。正直、風俗なんてやるもんじゃないってのが経験者としての本音なんだよね」
「辛かった?」
「好きでもない人とエッチするのはね、楽しいこともあるけど辛いこともある。それにサービスとしてセックスを提供するわけだから彼女やバーでナンパした女の子とするのとは違うよ」
「そうか」
「多分、想像ついてないよね?」
「考えてみたけど不十分だと思う」
「そうだよ。あとね、一番辛いし困るのが金銭感覚が狂うこと」
真剣な顔でSは言っていたがこの言葉はそれ以上に真剣な目になった。
「仮にMが大学院に行って研究職に就いたとしてベテランとまではいかないけど中堅と呼ばれるくらいまで稼げないようなお金を稼ぐ事が出来るの。でも、それは若い間の少しだけ。その収入に慣れて上げすぎた生活を戻せなくて人生を駄目にしちゃう人が沢山いる。そうなる恐れがある事は考えられる?」
「それは……」
「大学院の学費を稼ぐため、でも、そのお金を遊びや贅沢に使ったら多分、あんたは戻ってこれない。そうならない備えは出来る?」
「どうだろう……」
あたしは大丈夫と言いたかったが口をつぐんだ。
ストレスでお酒とオナニーに短期間とはいえ依存したあたしだ。
風俗で好みじゃない女の子を抱いたストレスがどの程度なのか分からない。自身があるかと言われれば分からない。
「だから、よく考えたほうがいい。わたしが働いてたお店は紹介できる。でも、きちんと真っ当な世界に、あんたの場合は大学院への進学という目標に戻ってこれるかそれは考えて」
「そうね……」
「対策はきちんと手伝う。紹介するならね。でも、わたしはあんたにとって最善なのは先輩の誘いに乗って新しい会社に転職する事だと思う。それは前提に考えてほしい」
正直、あたしは風俗で働く事について軽く考えてたんだと思う。
仕事としてするセックスのストレスばかり考えてた。
だけど会社勤めで稼ぐよりも遥かに多い金額を稼げてしまう事の恐ろしさに考えが足りなかった。
「ところで新しい会社に誘ってくれてるっていう先輩に返事をする期限とかあるの?」
「一週間待ってもらってる」
「いつから?」
「一昨日から」
「残り5日か。それならわたしも2日待つからそれまでに本当に大丈夫か考えてみて。今すぐなら聞かない」
妥当だと思う。紹介するということはSも自分の築いた信用を使うという事だ。
だから生半可な気持ちで紹介してもらってはいけない。そして、Sは大丈夫だったんだろうが生活が荒れたり深刻な身の持ち崩し方をした人も見てきたんだろう。
Sは心配してくれてる。
あたしも真剣に考えなければいけない。
「判断材料は一通りアドバイスしておくけどいい?」
「ありがとう。助かる」
「まず、一年、長くても1年半。それ以上は絶対にやらない。それで目標を達成できるか。出来ないなら絶対やっちゃ駄目」
「わかった」
「いつでも辞めれる状態にする。そしてあんたの先輩やわたしの勤め先に相談していつでも転職活動出来るようにする。それから、アルバイトでも何でもいい、昼の仕事と両立する。それを必ずする事。希望的観測じゃなく、それが確実にできるかを判断して」
「考える」
「あんたは理系だからわたしよりロジカルに考えるのは得意だと思うからできる限り気持ちは排除して考えて。希望的観測が一番怖いから」
転職エージェントというのは利用したことがないけど、転職をサポートするプロだと思える口調だった。
人生を狂わせる事への予防線をしっかり張らないといけないのははっきり分かる。
これはあたしの方でもしっかり判断材料を揃えて考えなければいけないと思った。
「あとね、もう一度、本当に大学院で研究をするのとITの仕事をするの、どっちが自分が幸せな人生かは考えてみて。まずはそこからだから」
「うん。それもきちんと考える」
Sはあたしが答えると無言でしばらくあたしの事を見た。
「あともう一つあるんだけど、これから言う事、する事は全部誰にも言わないって約束できる?」
「できる。というか、風俗で働くって事自体、人に言いたくない。あ、ごめん。そこで働いてたのに申し訳ないけど」
「いいよ。気持ちは分かる」
「それなら今から場所を変えよう」
「どこに行くの?」
「内緒。あと、ここはわたしの奢りね」
「いいよ、頼み事したのあたしだし」
「失業中でしょ。そのお金はこれからのために取っておいて」
「ありがとう」
「それじゃあ、行こう」
そう言ってSは立ち上がり、あたしはそれに続いた。