女の子の鼠径部フェチのレズ風俗嬢が理想のあそこを持つ恋人と出会うまで 作:喋家月餅太
朝は早起きした。
昨日寝たのが23時前だったのもあって会社に行ってた時より早く目が覚めた。
頭がスッキリしてたので自然と落ち着いた気持ちでいることができている。
スーパーでまとめ買いしておいたドリップバッグのコーヒーを淹れて冷凍食品のパンケーキを温めて軽い朝食にした。
豆を勝手挽いて飲んだりすると気分的にもいいんだろうけど大学時代から時間もあまりなかったしこのくらいがちょうどよかった。
昨日のSの股間を見た興奮はすっかり落ち着いていて性欲もあまり湧いてこないので冷静に考えることができそうだ。
今日は大切な決断をするための考え事、調べ物をしなければいけない。
朝食を摂り終わるとあたしは大学時代の卒論、研究室で学んだことに関する資料や本や論文、先輩から誘われた会社に関する情報をカテゴリごとに紙の資料は机の上、デジタルのものは画面に並べた。
まずはあたしが大学院に進んで研究をしたいのは本心だけど、ソフトウェア開発の経験や世間で受け入れられない仕事をしてまでその為のお金を稼ぎたいのかいう事を考えた。
先輩に誘われてすぐに作った職務経歴書と案件に応募する為の副業の職務経歴書を見ながらそこでした仕事と大学院の進学のための計画書と比較した。
難しい決断だと思う。
ソフトウェア開発は楽しい。はっきり言えば好きだ。
大学院で研究したいものはもっと、それとは比べようがないほど好きだ。
チャンスがあるならどんなリスクでも取りたいーー陳腐な言葉だがそれは本心。
だけど、それが自分の置かれた立場に対して過剰な望みじゃないかは考えた方が良さそうだ。
いや、もしかしたらそうなのかもしれない。
今の、いや、先輩に誘われた会社だったりそこが駄目だったとしてSの会社を通じて探した会社だったりでエンジニアとして働いていくのでも十分に幸せに生きていけるだろう。
経済的、社会的自由は実力主義の職種なら十分に勝ち取っていける。
あたしが就いていたのは一応、そういう仕事だ。
先輩の行った会社のサイトや求人情報を見ていると待遇は先日潰れたあたしの勤め先より恵まれていそうだ。
これを不意にしてしまうのはあまりにもったいないように見える。
新しい会社で仕切り直してそれで落ち着いたらまたバーやその他のコミュニティで出会いを探してもいいかもしれない。
その方がよっぽど健全だ。
確実に楽しい生活を送っていける。大変なことはあるかもしれないけどそれでも充実してるだろう。
だけど、卒論や学部時代の研究の資料を改めてみているとそれじゃ後悔すると分かった。
どれだけ楽しい仕事だとしても、恋人のいる充実した生活を目指しやすいとしてもそれじゃああたしには足りないはずだ。
あたしが大学院の進学を断念した時の悔しさはそれで収まるようなものじゃない。
徹夜もしたし気の休まらない日を何日も過ごして卒論を書いたあの日々、そこで見つけた沢山の理論や概念。
そういうものを追い求める人生をあたしは求めていた。
エンジニアとしてすでに存在する技術を活用して役立てる事は楽しい。
でも、新しい技術を生み出す仕事、それもITじゃない学部で専攻した分野でそれをやりたかった。
大学時代であれば一限目が始まる前の時間にその仮定に至った。
あとは今、家の中にない情報を探しに行こう。
あたしの卒業した大学はこのアパートからは徒歩圏内だ。
それもそのはず、このアパートは元々、あたしが大学に通うために両親が借りてくれたものだ。
学生用ではないが一人暮らし用で今も複数、あたしの後輩たちが住んでいる。
だから時々、大学に行くことがある。
主な用事は図書館での調べ物だ。
今日も図書館に行って自分が大学院に行って研究したかった事について改めて調べて本当に身体を売ってまでやりたい事かを考えようと思う。
あたしは家を出て昼食は混んでる時間をずらして学食を利用する事も前提で夕方まで大学で過ごす事にした。
図書館はWiFiを使えるので論文とかはそちらで閲覧するようにすればいい。
この所、忙しくて来ていなかったけど大学の図書館は来ると落ち着く場所だ。
慌ただしい社会人の生活に急ぐように入った頃とは違う、無邪気な気持ちでいられた大学時代に戻れるのはとても救われた気持ちになる。
大学時代も大変なことも沢山あったけど今よりはずっと平和だった。
そんな空間で色々な文献を読んでいって改めて自分が研究していた事がどれだけ好きなのかが分かった。
3年間に渡って離れてしまったが故にないものねだりをしてしまっているのかもしれない。
その可能性は否定できない。
だけど、やっぱり研究職になる事に挑戦する機会を奪われた事への悔しさ、同窓生たちが今は研究職として羽ばたいていった事に対する羨望はどこまで行っても素直な気持ちだ。
調べれば調べるほど研究への覚悟が決まっていくように思えた。
Sには色々釘を差されたけど、副業で稼いだ貯金もあるからゼロベースじゃない。
ただ、しっかり線引をしてどこまで挑戦してどこで諦めるかは明確に決めなければいけない。
挑戦はする。でも結果をマストにしない。諦めるべきなら諦める覚悟も必要だ。
それを決めるとあたしはパソコンを閉じて本を返して家に帰ることにした。
気がついたら外も暗くなり始めていた。お昼の時間を逃してしまっていた。
講義も終わる時間なのか部活の練習をしている学生も見える。
放課後の空気になっているのを見ていると学生時代を思い出す。
ここで研究の続きをしたかったんだ。
この空気感や気持ちを体感できたのは今日最大の収穫だったかもしれない。
「M君じゃないか、久しぶりだね」
学食でサークルや講座までの間の腹ごしらえに来た学生たちに混じって無骨な定食を注文していると懐かしい声がした。
「W先生。お久しぶりです」
「調べ物かい? たしか、君はソフトウェアの仕事をしていたんだったね」
「ええ。古い資料が必要になったもので」
「そうか。嫌じゃなければ一緒にどうだい。卒業生の近況は指導担当としては聞きたいんだ」
「ご一緒させていただきたいです」
「それはよかった」
W先生はあたしがいたゼミの教授だ。
そういえば二つあるこの大学の学食の中でいつもここでお昼を食べていた。
先生もこの時間に食事をしているという事は忙しかったのだろう。
「どうだい。ソフトウェア業界は畑違いだろうけど、慣れたかな?」
「はい。学部の頃にプログラミングとかサーバーを立てたりとかはしてたので無事慣れることができました」
「そうか。そちらの道に進んだ経済学部の卒業生なんかは最初苦労してるようで、学部の経験が役に立ってよかった」
先生はあたしがこの大学に居た頃からあまり変わらないようだ。
この先生の元で修士課程に進んで研究したいことがあったのを思い出す。
その事を話してみても大丈夫だろうか。もちろん、風俗で学費を稼ぐ事を除いて。
「今日は休みだったのかな?」
「いえ。実は勤め先が倒産しまして」
「そうだったのか。大変だったね。就職課に相談だったのかな?」
「いえ、実はここで時間が出来たことをチャンスと考えて院に進学が出来ないかと考えていて、それの調べ物を」
「そうだったのか。なるほどね。君はご家庭の事情で院進を諦めたんだったね。勤め先で学費を貯めたとかかな?」
「そうです。会社の他にフリーとして案件を受けてそのお金を貯めていたんですが、今回の失業でもう一度、挑戦できないかと思って調べていました」
「君の研究計画は面白かったしもったいないと思ってたんだ。それが可能な状況になったんなら試してみるのもいいかもしれないね」
「はい」
「具体的な計画は出来ているのかな?」
「まだ、ついこの間会社が倒産したばかりで転職活動をどうするかどうかを考えてた際に昨日思い立ったばかりです」
「この後は時間はあるかな? よかったら相談に乗るよ」
「いんですか!?」
「ああ、あまり長い時間じゃないけどたまたま予定がキャンセルになってね。その合間でよければ」
「ありがとうございます!」
「食べ終わったら僕の研究室に行こうか」
思わぬチャンスだと思った。
卒論を指導してくれたW先生なら先生の研究室に進むんじゃないとしても相談しやすい。
あたしはこの機会に乗ることにした。
家に帰ってきてからあたしは先生に頂いた資料を机の上に並べた。
まだ確定じゃない事を話した上で色々と相談に乗ってもらった。
今ある蓄えと合わせてお金を貯めるまでに1年以内と考えてその間に並行して必要な勉強と研究計画を立てる事で現実的に準備は出来そうだった。
仮にそのお金に届かなかったとしても貯金に余裕を持ってIT業界で転職が可能だろう。
学部時代の復習と合わせて一年間でしっかり準備をすれば行けそうだ。
だが、一点、Sにも相談しておいた方が良いことがある。
返事ではなく、中間の相談ということでSに電話をかけた。
相談したのは風俗の仕事がどの程度の拘束時間、日数なのかという事。
進学の準備の為に使える時間がなくなるようなスケジュールなら諦めるべきだ。
そこに関してはお店にきちんと仕事に入れる日、入れない日を主張し交渉すればいいとアドバイスをもらった。
それが出来なければ辞めるべきであるとも。
Sからのアドバイスを聞いて気持ちは決まった。
そして明くる日。朝一番にSに電話をかけた。
するとSは職場の近くのカフェにあたしを呼び出した。
「気持ちは決まったんだね?」
「うん。昨日一日、これまでしてきた会社の仕事と大学の研究を比べていっぱい考えた。あたしにとって何が一番かとリスクヘッジも色々考えた」
そう言うと、あたしは昨日書いた風俗で働くための計画書を差し出す。
「風俗で働くのにこんなの書く人、初めて見た」
Sは笑いながら言うが目は真剣だった。
「見せてもらったけど、やばくなったら逃げる、お金が溜まらないなら諦める所まできちんと考えてるのは感心した。その上、諦めた際のお金の使い道まで」
「一昨日あんたがリスクを話してくれたから」
「将来、あんたの彼女になる人が羨ましいわ」
「どういう事?」
「こんな風に先のことを考えられるし自分のいく末に対する責任をきちんと背負える女は貴重だよ。そういう『社会的にいい女』だから本音はなおさら風俗なんてやって身体を汚してほしくないんだけどね」
「それは。あたしも考えた」
「それでも大学院に行きたいんだね?」
「そうね。行きたい」
「じゃあ、約束して」
「何を」
「タイムリミットは1年半。一年経ったらその時点のお金を見て半年継続するかを決める。その時点で同じペースで仕事をして半年後に貯められなければ即、わたしの勤め先に登録して転職活動をする」
「そのつもり」
「本当に?」
「もちろん」
「それじゃあ、わたしもこれを作ってきたの。ここにサインをして」
そう言うとSは誓約書を出した。
お互いに用意周到だった。
そのくらい感情で物事を決めることが危険なんだと思った。
あたしはその誓約書をしっかりと読み込み、風俗で働く1年半という年限、期限が来たら転職活動を始めることがしっかりと書かれていた。
Sの言うことは信用しても大丈夫そうだ。
あたしは書類にサインをする。
「あと、これは提案。会社の近くに来たんだしうちに登録もしていってよ。風俗に行くから先輩の誘いは断るんでしょ? それなら定期的にうちに来てIT業界の相場感を把握したほうがいい」
「Sってさ、うまくやるよね」
「わたしからしてもいくら友達とはいえリスクを背負ってるから登録者を増やすくらいの利益は欲しいわ」
「それもそうよね。わかった。あたしもネットで色々見て金銭感覚がおかしくなっていく人の話を聞いて怖さは分かったつもり。だから、定期的に通わせてもらう」
「状況はそこで聞かせてよ」
「ありがとう」
そしてあたしはお茶を飲み終わるとSの勤め先の大手転職エージェントに行って登録を行った。
そして現時点でのあたしのしていた業務系システム開発、ウェブ開発の求人の相場を見せてもらった。
そこで分かったのは先輩から紹介された会社がかなり待遇がいいという事だ。
昨日、大学院への腹を決めなければ本当に惜しい申し出だったと思う。
それからSは連絡を取ってくれて風俗店の面接の段取りを付けてくれた。
Sの紹介なのもあるし、あたしの受け答えなどから落ちることはないとは言われたけどあたしとしてはそれで落ちた場合の事を考えて先輩への返事は風俗の仕事が決まるまでしないつもりでいた。
これまでSは何度か言ってくれたけど、「冷静になれ」と言っていた。
風俗の面接も翌日にしたのは思い直す事もあるからだと。
一日、頭を落ち着かせて明日は風俗の面接に行く。
改めて自分がどれだけリスクと覚悟の中にいるのかを痛感した。
今日一日、あたしは緊張から解放されそうにはなかった。