原作:SPY×FAMILY
タグ:R-18 残酷な描写 クロスオーバー リョナ ヒロピン ヒロインピンチ 拷問 フィオナ・フロスト ヨル・フォージャー アーニャ・フォージャー ロイド・フォージャー SPY×FAMILY ミザリィ アウターゾーン
フィオナには幸せになってもらいたいですね。当て馬のようにフランキーとくっつけないで欲しいです。フランキーもいい男ですが。結ばれるなら良いストーリーを期待しております。
すぅ――――――きぃ――――――――♡
あら、夜帷が下りるにしては少々騒がしい下り方ですね。
こんにちは。はじめましての人には初めまして。アウターゾーンの案内人(ストーカー)ミザリィと申します。
今回の主役はこの方、フィオナ・フロストさん。優れた能力を持ちながら恋愛に関しては不器用という彼女。少しからかいたいですね。という事で、ちょっと後押しをしてみたら、あらあらまぁまぁ。
さて彼女は永遠にアウターゾーンに囚われてしまうのか?それとも抜け出す事ができるのか?ご覧下さい。
夜のバーで飲んだくれていた。
もちろん先輩の妻になれないという歯痒さからだ。
・・・ヨル。あの女は何なのか。
貞淑そうな顔をしておいて、なんだそのいやらしい体つきは。・・・人の事は言えないが。
どうせ夜に先輩をベッドに誘っているんだろう。想像しただけで殺意が噴き出して止まらない。まぁあの先輩が抱く事はあり得ないのだが、誘っているだけで罪だ。
なんだ、あの馬鹿げた身体能力は。私が負ける?ありえない。
お前に裏の顔があるのは感づいているよ。どうせ血に濡れた裏家業でもしているんだろう。証拠は無いが。
あぁ腹が立つ。すみません、ウィスキーをもう一杯。飲み過ぎ?放っておいて。
「身体に良くないわよ、お嬢さん。」
・・・女がいた。おかしい。先ほどまでこの店には私と店主しかいなかった筈だ。
人間離れした美貌を持った女だ。人種すらわからない。
「私はミザリィと申します。フィオナ・フロストさん。それとも――――――さん。」
「・・・何故その名前を知っている・・・。何者だ!」
「フラフラして身構えても何の意味もありませんよ。私はある意味ボランティア。あなたは今の現状に満足できなくて仕方が無い。では、あなたが現状を打破するきっかけを与えましょう。」
女は小瓶を出してきた。中に液体が入っている。
「毒?」
「いいえ、勇気が出るお薬。」
「信用できない。飲んでみせろ。」
「では遠慮無く。」
ミザリィという女は躊躇無く液体を飲んだ。半分だけ。何の変化もない。
「これで毒ではないという事は証明されたかしら?」
「で?幾らふんだくろうって言うの?」
「無料よ。先ほど言ったとおり私はボランティア。」
私は飲みかけを飲んだ。毒でないならどうでもいい。どうせ効果なんて無い筈・・・。
あははははははは!!!!なんだこの高揚感は!今の私なら何でも出来そうだ!不可能すら無さそうだ!あぁこんなに気持ちがいいのは何年ぶりだろう。全てを思い通りにしてみたい!
私は代金を払って店を出た。威風堂々。意気高揚。今の私に怖いものなんて何もない。
「行ってらっしゃい、フィオナさん。羽目を外しすぎないように注意してね。」
数日後、フォージャー家に来た。遊びに来たという体で。
先輩はアーニャに勉強を教えている。まぁそれはいい。問題はヨルだ。
・・・掃除しかしてないじゃないか、あの女。『家事が出来ない』と聞いていたが、本当にそうだった。後は、紅茶を入れるだけ。美味くも不味くも無い紅茶を。
ヨルは掃除が終わり、アーニャと一緒に勉強をしている。イーデン校の問題は確かに同年代の子供には難問だ。大人でも不正解を出すかもしれない。
「2人とも不正解。」
「がーん。」「そうですか・・・。」
ほとんどのパターンがこれだ。要は、知能の面でもヨルは母親として劣っている。そう思っていた。
「ヨルさん正解。アーニャは間違い。」
「わーい。」「ううう・・・。」
次に多いのがこのパターン。そして、その直後必ずヨルはフォローを出す。
「アーニャさん、惜しいですよ。この問題はですね、こう考えると答えが出てくるんです。」
「・・・おお。わかりやすい。・・・ちちはきびしすぎ。」
「黙れ。」
ヨルは常にアーニャの目線に立つのだ。決して上に立たない。友人同士の勉強会でもこうはならないだろう。必ず教える方は上に立つ。自分が優位なのだから当然だ。
ヨルにはそれが無い。こいつは優位性を発揮したいという本能を、ほぼ持っていないのだろう。何だよこいつは。ロボットかよ。
「アーニャ正解。ヨルさん不正解。」
「やったー。」「凄いです、アーニャさん。」
「いや、ヨルさん間違えちゃいけませんよ。」
「はい・・・。」
「はは。アーニャがおしえてあげる。ここはこうするのだよ。」
「あぁ!そういう考え方なんですね!凄いです!」
「ふっふっふ。ははよ、いつでもアーニャをたよりたまえ。」
アーニャとはわずかにしか過ごしていないが、彼女の本質は『自分に自信が無い』。
自信満々な姿勢を見せたとしても、ほぼ虚勢だ。孤児という者は必然的にそうなる。
アーニャのわずかな自己正当性を伸ばしてきたのは、ヨルなのだろう。もちろん先輩の功績が一番なのは間違い無いが。だが先輩は優れすぎている。アーニャのような未熟な子供を本質的には理解できない。それをフォローするのが同じレベルのヨルだ。だからこそ、この家族は成立する。
・・・待って。それだと私の入れる余地が無いじゃないか。認めない。認められない。
「2人とも正解。」
「やったー!」「わーい!わーい!」
ヨルは、典型的な母としての部分がかなり欠落している。家事は出来ない。人生経験も少なそうだ。子供の今後の成長の悩みについても導く事は出来ないだろう。
だが、壁役は出来るだろう。強いから。共に考える事は出来るだろう。同レベルだから。
未熟な母、未熟な友人、未熟な姉、未熟な妹。それらを全て集合させて出来たのが、ヨル・フォージャーだ。
・・・ねぇ、私では出来ないの?私なら、総評価でヨルを上回れるよ?
先輩のいない隙に、アーニャに話を聞いた。
「ねぇアーニャちゃん。ヨルさんは、立派なお母さんかな?」
「ははが、ははとしていいか?だめだめ。なによりりょうりがまずい。
でもね、ははつよい。やさしい。アーニャがほんとうにだめなときに、ささえてくれるのは、はは。ちちじゃない。」
「・・・ねぇ、私がお母さんじゃ駄目なのかな?」
「・・・だめ。ふぃおなはね?じぶんのことをさいしょにかんがえている。はは、じぶんのことはいつもあとまわし。だからたよりになって、だからアーニャがたすけなきゃいけない。はは、いつまでもこのまま。けど、アーニャはりっぱなれでぃになって、ははをささえられる。アーニャに、ははがひつようじゃなくて、ははに、アーニャがひつよう。
・・・ふぃおなはじぶんでなんでもできるから。」
「出来ないよ・・・。私、そんな立派な人間では無いよ・・・。」
「それうそ。ふぃおなはちちがすき。でも、ふぃおなはちちがいなくてもりっぱ。はは、ちちがいないとだめ。・・・ふぃおなは、ははのかわりはできない。りっぱだから。」
・・・子供に先輩を諦めろと言われた。立派とか母とか、そう言うんじゃ無いんだよ?女として好きかどうかなんだよ?私、初恋だったんだよ?家族より優先したい恋とか愛ってあるんだよ?
・・・それは浮気をする女の常套句だ。そこまで堕ちているのか私は。
自分の事を最初に考えている?その通りだよ。でも、初恋ってそうなんだよ。それに、私は自分より先輩を優先しているはず。先輩が死ねと言えばすぐに死に、喜んで先輩の盾になって死ぬ。
・・・あぁそれが自己満足か。相手の為に死んで悦に浸っている奴の心理か。
ははは。はは・・・。
いやだ。嫌だ。いやだ!嫌だ!先輩を諦められない!
こんな悲しい気持ちで一生いるならいっその事・・・。
・・・私はフォージャー家を出て行った。泣きそうになりながら。本当は泣きたいのに。
私は決心した。強制的にフォージャー家の母になる方法。・・・ヨルの殺害。
決行はヨルの帰宅時間。事前に調べた。そして重要なのは殺害場所。ヨルはある薄暗い小道を必ず通って帰る。人目に付く事はまず無い。そこで殺す。正攻法では、あの超人は殺せないだろう。小道から角に曲がる。曲がり角で、鳩尾を一気に刺し、小道まで押し戻し、急所を全部刺して殺す。
決行日、そろそろヨルが通る頃だ。私は事前に用意した男物のコートを身につけた。返り血が付いても脱ぎ捨てられるように。フードを被った。身元が割れないように。
ヨルが通る小道の角を通り過ぎた。一瞥しながら。・・・ヨルが歩いている。セーターを着て、コートを羽織って。私は曲がり角で待ち伏せる。あと5秒で、ヨルが曲がる。
5,4,3,2,1,死ね!
私は標的を見ないで刃渡り30センチのナイフで、相手の鳩尾を根元まで刺した。一気に小道の奥まで押し戻し、小道の中頃の壁に押しつけた。ナイフで腹を何度も抉る。これで刺された相手は確実に死ぬ。顔を見た。・・・ヨルだった。
「・・・フィオナ・・・さん?どうして・・・。」
私はナイフを引き抜き、ヨルから離れた。ヨルは私に反撃もせず、鳩尾を押さえてよろよろと歩き始めた。血が溢れている。もう助からない。・・・どこへ行く?お前はここで死ぬんだよ。私はヨルの頭を掴んで押し倒した。ヨルの両脚に跨がった。
次に腎臓部分を刺した。2カ所。これですぐに死ぬはず・・・。
「う!はぁ・・・。はぁ・・・。私が悪いんですよね?フィオナさん・・・。ぐぅ!私を恨んでいたんですね・・・。」
黙れよヨル。ヨルのコートを広げる。セーターを盛り上げている豊満な胸。腹が立つ。胸を何度も刺した。
ザシュ!ドシュ!ズブゥ!ズボ!
「おぐぅ!は・・・う・・・。フィオナさん・・・。私はあなたを恨んでいませんよ・・・。かはっ!私は、こんな最後を迎えて当然の人間です・・・。ぐぶ・・・。地獄に堕ちるべき人間です・・・。」
何を言っているんだ?何故死なない?こんなに刺したのに。こんなに血を吐いているのに。
・・・私はヨルの腹を滅茶苦茶に刺した。
ズブッ!ドシュゥ!ズボォ!ズシュウ!
「おぅぅ・・・。くう・・・。フィオナさん・・・、お願いがあります・・・。ごぶっ!アーニャさんを幸せにしてください・・・。ごは!
・・・私達の世代って酷い世の中でしたよね・・・。アーニャさん達の世代には絶対にその悲惨さを味あわせてはいけない・・・!こぽ・・・。お願いです!どうか・・・。これだけは・・・。」
ヨルは涙を流していた。私も何故か泣いていた。
「泣かないで・・・。フィオナさん・・・。くぷ・・・。どうか・・・。アーニャを・・・。おねが・・・い・・・。」
ヨルは最後に微笑んで、その顔で動かなくなった。
私はすぐにその場を立ち去った。
コートを指定の場所に脱ぎ捨て、ナイフを別の場所に捨てて、一目散に逃げ出した。
・・・私は自室のベットで泣いていた。凄まじい敗北感だった。私は結局ヨルに勝てなかった。人として遙かに劣っていた。でも、もう引き返せない。私はヨルの代わりになるしか無い。
「ははぁぁぁぁぁ!!!!めをあけてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
警察の霊安室で、目を瞑っているヨルの遺体に被さるようにアーニャが泣いていた。
当然の事ながら、当初アーニャは霊安室には入れなかった。子供には見せられないから。
しかし、ユーリというヨルの弟が来て、ヨルを見た直後拳銃自殺しようとした為、先輩が羽交い締めにして、何処かへ連れて行った。その隙にアーニャが入ってきて、こうなっている。
悲しいよね、アーニャ。私が一生かけて癒やしてあげるから。私があなたの母親代わりになるから。ヨルの最後で、そう頼まれたから。
「・・・・・・・・・・・・・・・・おまえか。」
背筋が凍る声が聞こえた。この私が一気に冷や汗をかいた。その位の迫力で。アーニャの声だった。まさかこの子が?まさか。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!ははぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
・・・気のせいだろう。アーニャは泣き崩れている。あんな声をこんな傷心の子供が出せるわけが無い。あんなに恐ろしい声を。
オペレーション〈梟〉はヨルの死により、しばらく停止している。犯人・・・私だが、は身元が全く判明せず、先輩は憔悴しきっていた。当然、スパイの仕事も精神科医の仕事も休んでいる。アーニャも学校を休んでいる。
私は毎日フォージャー家に通った。全ての家事は私が行った。最低限の会話しか無い家になった。私のせいだ。だから、私がこの家に明るさを取り戻すんだ。
ある日、先輩はいなかった。
アーニャが紅茶を入れてくれた。
優しいね、あなたは。私は飲んだ。
約1分で私は倒れた。何?何を飲ませ・・・。
気が付いたとき、私は浴槽にいた。裸で。
身体が動かない。首から上だけが動く。
「あ・・・。あ!」
声は出せる。この薬は・・・。
「ちちがいってた。このくすり、くびからしたが、まったくうごかなくなると。」
「待って!アーニャちゃん!こんな事止めて!お父さんが怒るよ!」
「もういい。アーニャ、ちちにすてられても、ころされてもいい。おまえは、ははをころした。ゆるせない。だから、ころす。はは、たくさんくるしんでしんだ。けいさつから、ごじゅっかいいじょう、ははがさされたというこえがきこえた。だから、それいじょうくるしんで、おまえはしね。」
アーニャが持ってきたのは、大量の小さなナイフとトンカチだった。
「ちちが、こっそりかくしていた。アーニャのちからだと、おまえをさせないかもしれない。だからとんかちをつかって、がんがんうちこんでさす。」
「待って・・・。お願い止めて・・・。」
・・・アーニャはまず、私の右脚、すねの部分にナイフをあて、トンカチを振り上げた。
ガン!ガン!ガングジュウ!ガン!ガン!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「いたいか。くるしいか。・・・ははのいたみは、こんなものじゃなかったはず。」
次にアーニャは左脚のすねもトンカチでナイフを打ち込んでいく。
ガン!ガン!ガゴキィ!ガン!
「がは!あ・・・。お願い!お願い止めて!が!」
「このていどで、ねをあげるのか?おまえ、すぱいだろ?このていどもたえられないのか?」
何で・・・。何で私がスパイだって知っているの、この子・・・。
「つぎは、ふとももをさす。はは、たくましいふとももだった。おまえもそうだな。でも、ははのふとももはおまえがだいなしにした。だから、アーニャが、おまえのふとももをこわす。」
ガン!ブシュゥ!ガン!ズブゥ!ガン!ブシャア!
「か・・・あ・・・。」
「もう、こえもだせないのか?なさけない。みぎのふとももに、あとにほんさす。」
・・・私は右脚太ももを合計3本。左脚太ももも合計3本刺された。
「かは・・・!あ・・・!かひゅ・・・!」
「かえるみたいなこえだすなおまえ。いや、おまえはかえるいかだ。ははをころしたから。」
次にアーニャは私の左肩にナイフを当てた。
「ここ、すごくいたいと、ちちのこころからきこえた。ちちがいうからには、ほんとうにいたいんだろうな。・・・でも、はは、もっとくるしんだ。だから、くるしめ。」
ガキュ!グチャ!ズドォ!
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ナイフが私の左肩を貫通した。出血が凄まじい。
「つぎ、みぎ。」
「ご・・・お・・・。ぐぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
・・・両肩ともナイフが貫通している。私は苦痛に耐える訓練も受けていた。拷問にだって耐えられると思っていた。・・・こんなにも苦しいだなんて・・・。
「おまえは、かえるいかだから、かいぼうしてやる。アーニャ、かいぼうはきらい。いつかやるらしいけど、そんなじゅぎょううけたくない。・・・でもおまえかえるいか。かいぼうしても、なんともおもわない。」
アーニャは私の腹部を触り始めた。何をしているの・・・?
鳩尾の部分で止まった。
「ここからうえ、ほねがかたくてかいぼうできない。ここからしたを、ひらく。」
ズブゥ!
「はう!」
鳩尾を刺された。ヨルと同じだ。何て皮肉なんだ。
・・・そのまま一気に下腹部までナイフで斬られた。
「あぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!ごふぅ!がは!あうぅぅぅぅ!!!」
・・・アーニャは私の返り血を浴びて真っ赤だ。でも、アーニャの表情は変わらない。最初からアーニャは、私に対して無表情だった。・・・私は、この子を殺人機械にしてしまった。
「てで、ゆっくりひらく。くるしめ!くるしめ!くるしめ!それでもまだたりない!」
ブチブチビチビチビチブチィ!
「あ゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!!あ゙お゙!!」
私の腹部が開かれた。自分の内臓が動いているのが見える。
「ないぞう、でてこないな。・・・ひっぱる。」
「やめ!」
ブチブチズルズルリュリュル!
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ!!!ごぶふぅぅぅぅぅ!!!!」
小腸などが一気に出てきた。私は泣き叫んだ。大量に血を吐いた。何て無様な姿なんだ。・・・いや、お似合いなんだろうな。
・・・アーニャが出ていった?何を?
戻ってきた。小瓶を持って。
「これも、ちちがかくしていた。さんとかいうえきたい。とけてとてもきけんらしい。・・・おまえのおなかに、ぜんぶいれる。」
「や・・・め・・・。おねが・・・い・・・。やめ・・・て・・・。」
ドジュジュジュジュジュジュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!
「ごはあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!ごひゅ!がひゅぅ!ごぼぼぼぼぼぼ!!!!!」
腹部を内側から濃硫酸で焼かれる苦痛は想像を絶した。狂いたかったが、狂えなかった。
「くさいな。おまえ、くさい。おまえのこころとおなじ。」
・・・そうだよ、私は性根が腐った女だよ。こんな末路がお似合い。・・・でもね、あなたには殺されたくなかったよ?あなたの手を血に染めたくはなかったよ?・・・私は何て罪深いんだ。
「おまえのむね、ははとおなじくらいおおきいな。・・・ははのむね、なんかいもさされたとけいさつがいっていた。だからおまえのむねもさす。」
アーニャは再びナイフとトンカチを持ち、私の右胸に狙いを定めた。
「ん?やわらかいな。アーニャでもさせそうだ。」
アーニャはトンカチを捨て、両手持ちでナイフを突き刺した。
ズブゥ!ドズゥ!ボジュゥ!ズボォ!
「うぐ!おふぅ!くぅ!あぐぅ!」
「じゅっかいさした。はは、むねをにじゅうにかいさされたと、けいさつがいっていた。・・・あと、じゅうにかいいじょう。ははのきろくをこえろ。」
アーニャは私の左胸に狙いを定めた。
ズチュゥ!ドジュ!ズボ!ブシュゥゥゥ!!!!
「あ・・・ふ・・・。ああ・・・ん。くぅ・・・。あう・・・・ん。」
「これで、にじゅうごかいさした。きろくこうしん。・・・おまえ、きもちよさそうなこえをだしたな?きもちよさなんかあたえない。くるしんで、くるしんで、もっとくるしめ。」
アーニャは私の右胸の乳首を抓み、ナイフを右乳房の上に当てた。
ギリギリブチブチブチビチィィィィィ!!!!
「ごぉぉぉぉぉぉ!!!!あぐぅぅぅぅぅ!!!!」
私の右乳房が元から切り取られた。肺だろうか。大きな穴の中から激しく伸縮しているものが見える。
「つぎ、ひだりのむね。」
ギリギリビジュジュジュブチブチュゥゥゥゥ!!!!
「お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ!!!ごぶ!・・・ごぼ!」
・・・今の私は両乳房を切り取られて、肺が丸見えで、腹が解剖された蛙のように開かれた無様な肉の塊だ。全身をヒクヒクと痙攣させている。目を見開いて涎や吐瀉物や血が口から流れるに任せている。痛みには慣れているはずなのに、頭がチカチカする。それほどの激痛だった。
「つぎ、ひだりのふうせんみたいなの、ぱーん。」
ボジュル!・・・左肺が潰された。
「か・・・くひゅ・・・う。」
「つぎ、みぎのふうせんみたいなのも、ぼん。」
ズブリュブ!・・・右肺が潰された。
「あ・・・・・・。」
・・・もう、呼吸が出来ない。・・・死ぬのか・・・。
私は涙を流し続けていた。この子を幸せにしたかった。・・・悪魔にしてしまった。私は確実に地獄行き。・・・でも、アーニャ。あなたは幸せになって・・・。私の事はカエルの解剖だと思って忘れて・・・。先輩も、ヨルを殺したのが私と分かれば、あなたを変わらず愛してくれるから。
「アーニャが、いきていることがねがいか。」
そうよ・・・。
「じゃあ、アーニャもしぬ。」
え・・・?
・・・アーニャは自分の首元にナイフを当てた。
「や・・・めて・・・。それだけ・・・は・・・。ごふ!やめて・・・。」
「いやだ。おまえののぞみはすべてかなわない。アーニャが、しあわせになることがのぞみならしんでやる。・・・どうせ、おまえもアーニャもじごくいき。
・・・アーニャだって、しにたくないよ。でも、つらいから。つらすぎるから。しぬんだよ。
すべて、おまえのせいだ。おまえのつみだ。・・・いっしょにじごくへおちろ。」
・・・アーニャは自分の首を掻き切った。プシュゥゥゥゥ!と言う音がして、アーニャは倒れ、動かなくなった。
「いや・・・。いやぁ・・・!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「・・・落ち着きなさい。フィオナさん。」
「はっ!・・・はぁ!はぁ!はぁ!・・・ここは?」
「あなたは、私の薬を飲んで、そのまま眠ってしまったの。ここはまだ、バーの中。
どうだったかしら?あなたが体験した夢は。」
「・・・なんであんな夢を見せた。」
「あなたが、自分の願望のままに行動してしまうと、あのような結末になるの。」
「・・・確かに私は愚かな行動をしたよ。でも、他にどうしろって言うのよ・・・。時間が経てば経つほど、先輩の心はヨルのものになっていく・・・。それを、指をくわえて見ていろって言うの?」
「・・・私からはなんとも言えません。」
「じゃあ私はどうすればいいの!先輩を諦めるしかないの?・・・そんなの耐えられない・・・。本当に、本当に、初めて人を好きになったのに・・・。」
「・・・辛いわね。」
「他人なんだから同情するな!『男なら他にもいくらでもいる。』とか言うつもりか?そんな安っぽい恋じゃないんだよ!過去の別れ話を笑い話に出来るような心の持ち主じゃないんだよ私は!」
「あなたは何にでも真剣になり過ぎているのよ。」
「そういうものだろ人生は!ふざけられる余裕なんて無い!手を抜いていられる時間なんて1秒たりとも無い!私はいつだって真剣だよ!全力だよ!だから仕事だって一切手を抜いた事がなかった。周りが私の陰口を叩いているのは知ってるよ。冷酷な女だって。そういう風にしなきゃいけない仕事だろうが!そういう使命を持っているんだろうが!別に見返り求めているわけじゃないよ。でも、この思いだけはどうしても捨てられないんだよ・・・。
何でこんなに苦しいんだよ!何でこんなに運命は、私の嫌な方向にばかり進んでいくんだよ!
辛すぎるよ・・・。こんな・・・こんな思いをするくらいなら、本当に冷酷になって、心なんて無く」
「それ以上言うな。」
・・・入口の方を見た。先輩だった。
「・・・何で、こんな所にいるんですか?」
「それは秘密だ。・・・それより、外に出るぞ。・・・すみません、お会計はこれで。お釣りはいいから。」
先輩は私を背負って店の外に出た。
「あの!すみません!お勘定は既に女性の方から」
「マスター?そんな出来事は『起きなかった』じゃない?」
「え?あれ?」
外の空気は寒かったけれど、先輩はアイスクリームを買ってくれた。
酔い覚ましだそうだ。
「・・・先輩。どこから聞いていましたか?」
「『そういうものだろ人生は』から。まったく、いつから人生を分かったような立場になっているんだ、お前は。俺にだって全く分からないのに。」
「・・・すみません。」
「で?何を悩んでいるんだ、お前は。」
「・・・言えません。」
「やれやれ。本当に頑固だよ、お前は。」
「・・・先輩。ヨル・・・ヨル・フォージャーを本当に好きになっていますか?」
「・・・分からない。俺はな?人生で一度も人に恋したという感情を抱いた事が無いんだ。」
「・・・え?」
「職業柄、恋愛関係を偽装した事は何度もある。それは全て『好きになった振り』だ。心から相手を好きになった事は一度も無い。
それは、ヨルさん・・・、ヨル・フォージャーも同じだと思っている。」
「あの人も?」
「ヨルは感情豊かに見えて『欠けている』。心があってもガラスのように脆いと思っているよ。あの人は、遠からず精神的に限界が来る。それを支えられるのは俺とアーニャと、後ボンドもか。俺達しかいない。
だから、俺達は心を作ろうとしている。欠けた者達だからだ。沢山経験をし、多くの所へ行き、心を強く、大きくする。今はその為の準備期間だと思っている。
そうしないと、デズモンド家と向き合う時に対抗できない。」
「対抗?」
「これはオペレーション〈梟〉の最終段階という意味じゃない。あの家族を一目見て思ったよ。『これは人間の姿をした何か』だと。異常心理の塊だ。・・・だからこの任務はお前に向いていない。お前は誰よりも人間らしい感情を持っているから、すぐにデズモンドの闇に飲み込まれるだろう。そんな目には遭わせられない。」
「私、人間らしいですかね?周囲から冷酷だ何だ言われているのに。」
「言いたい奴らには言わせろ。気にする必要は無いし、俺が盾になる。お前ほど人間らしいスパイはいない。管理官も同意見だ。人間らしさ。それはスパイに最も重要な素質だ。だから、お前はいつか俺を超える逸材になるだろうな。」
なんか今、先輩が重要な事を言った気がするが。
・・・そして私は、さらにとんでもない事を言った。
「私は先輩より優れたスパイになりたくない。・・・お嫁さんになりたい。」
「はぁ?」
「下らないですかね?笑っちゃいますよね。」
「・・・下らなくないし笑わない。お前が、そういう道を進むなら結構だ。
だが、それはこの任務を成功させなければならない。戦争になればお嫁さんも何も出来なくなるからな。」
「そうですね。・・・ねぇ先輩。任務が終わっても、偽装家族続けますか?」
「分からない。ただ、アーニャは一生育てなければならない。他に身寄りが無いからな。」
「ヨルと結婚しますか?」
「分からない。」
「・・・私では駄目ですか?」
「分からない。・・・何だと?」
「冗談ですよ、冗談。」
「そうか。・・・ちなみに、お前は魅力的な女性だぞ、フィオナ。自信を持て。」
「・・・照れますね。・・・というか夜帷って呼ばないんですね。」
「プライベートな話で暗号名は無粋だろう。」
「・・・私達は互いの本名も知らないのに?」
「いつか必ず教えるよ。約束する。」
「絶対ですよ。私も必ず教えます。」
こうして、私は先輩と別れた。
何だかスッキリしたなぁ。凄まじい悪夢を体験した後なのに。
でも、私にもチャンスはあるんだ。
私は帰路についた。あの薬を飲んだ時のような高揚感はないが、晴れ晴れとした気持ちで。
さて、フィオナさんのアウターゾーンでの出来事はこれでお終いです。
彼女が体験したのは悪夢だったのか?
・・・真実ですよ。フィオナさんがヨルさんに殺意を抱いていたのは事実です。
アーニャちゃんは、あんな事をしない?それはどうでしょうね。あの子は精神的には大人ですよ。そんな彼女が大切な人を殺され復讐心を抱いたら・・・。まぁああなるでしょうね。
よって無かった事にしました。
まぁ、フィオナさんがあまりに可哀想だったので、運命をちょいと弄ってロイドさんと話させました。これをきっかけに、彼女が心にゆとりを持てる人になれば良いのですが。
ちなみに、今後の彼らの運命を、私は知っていますが、介入はしません。フォージャー家、フィオナさん、その他の人々が、自分自身が納得できる未来を選択してくれる事を期待していますよ。
さて、次にアウターゾーンに迷い込むのはあなたかも?
またお会いしましょうね。