暴虐の魔法少女~倒すべき敵がいないのなら魔法少女襲います~ 作:ハヤ0313
☆吾妻月
妖精さんとの再会からしばらく経った。
魔法少女センサーにまだ反応は無くて、いつも通りの日々を送っている。
いつも通りに起きて。
いつも通りに晶ちゃんと一緒に朝食を食べて。
いつも通り白ちゃん舞ちゃんと一緒の電車に乗って。
いつも通りに働いて。
いつも通りに帰宅して。
いつも通りに晶ちゃんと一緒に晩御飯を食べる。
でも時折、晶ちゃんと一緒に遊びに行ったり。
でも時折、晶ちゃんと一緒に外で食べてみたり。
でも時折、晶ちゃんと一緒に夜の空を駆けてみたり。
「いやー今日も美味しかったー! ごちそうさま、晶ちゃん」
「はい、お粗末様でした」
今日の晩御飯は煮魚。はー何でも作れちゃう晶ちゃんマジ凄い。マジでお嫁に……。
…………はぁ。
「……? どうしましたお姉様?」
「い、いや何でもない」
……いやだって、ねぇ。
最初はただのお隣さんだったのに、魔法少女になって、遭遇して、殴り倒して、その後えっちな事をする関係になっちゃって、いつの間にか胃袋掴まれてて、合鍵なんかも渡しちゃってて、なんかもう通い妻みたいなポジションになってて。
……通い妻、か。
なんかもう自分が情けない。最後の一線が、どうしても越えられない。
そりゃ色々考えるわけですよ。将来とか、世間様の目とか、親御さんとか、うちの親も……。
何も気にしなくて良いのなら、とっくに切り出している。
だって、晶ちゃんは私の事を、その、好きって、愛してるって、言ってくれているし。
私だって、晶ちゃんの事、ずっと大事にしたいと思っているし、それに、私だって……。
「何でもなくありません。そんな思い詰めたようなお顔で……」
そう言って近付いてくる晶ちゃん。
綺麗な顔。
心配そうに、少し怒ったような顔を見せている。
その表情が豊かである事を知っている。
笑う時は上品にくすくす笑って、
楽しい時はすごくウキウキして、
悲しい時はしょんぼりして、
怒った時はちょっと怖いけど、
私が話しかけるととっても嬉しそうで、
私を強く求めてくれて、
「お姉様? 聞いてます?」
それ以上近付いちゃダメ。
ダメなんだって。
これ以上は。
本当に。
ダメ。
あーうん、もうダメだ。
「ちゅ……ん……」
「!?!?!?!?!?」
目前まで迫った晶ちゃんを抱き寄せ、その唇を奪う。
……うん。お醤油の味。
「っぷぁ! お姉様⁉ 急になに、んむぅっ!」
何か言おうとしてたけど、何を言おうとしてたか知らないけれど、再度唇を覆う。
最初は何事かと抵抗を見せていた晶ちゃんだったけれど、何度もその桜唇を啄んでいると、次第にこちらに身体を預けるようになっていった。
それを良い事に舌を僅かばかり晶ちゃんの唇に触れさせると、その入口は綻び、互いのものが絡み合っていく。
「……は、ふ……お姉、様?」
二つの唇の間に銀橋がかかる。
紅潮した表情で、いつもの睦事とは違う何かを感じ取っている。
「好き」
「…………え?」
すごい呆然としてる。
「好きだよ、晶ちゃん」
「え……? ……っ⁉ お姉さ、ま」
私の声が届いていないのかな。
「晶ちゃん」
「は、はいっ!」
「大好きだよ」
「あのっ、それはっ! 私もっ、えと……」
まだ届いていない。
「晶ちゃん」
「…………はい」
届け。
「私と、一緒に、なってくれませんか」
「…………良かったぁ」
へにゃへにゃと、腰が抜ける。
晶ちゃんに支えられていてなお、床に尻餅をついてしまった。
「お、お姉様⁉」
「あはは……断られたらどうしようかなって」
「断るわけないじゃないですかっ!」
そう言って少し怒りながら苦笑する晶ちゃん。
うん、そんな気はしていたんだけど、なんか勢いでやっちゃった感があるけれど、それなりに一世一代の告白で、受け入れてもらえて……安心しちゃったらなんか、腰が、抜けてしまった……。
……あぁうん。
勢いだけじゃなく、ちゃんと言わないと。
「晶ちゃん」
「はい」
「女同士って事は分かってる」
「はい」
「だから、晶ちゃんの未来を全て奪うって事も分かってる」
「はい」
「正直、君の両親に何て挨拶すれば良いか分からない」
「は、はい」
「でも、晶ちゃんが好き、大好き」
「はい」
「愛しています」
「はい」
「改めて……一緒に、なってくれませんか?」
「はいっ!」
そういう、ことになった。
「ちゅ……ん、む……っは、ん……」
「んぅ……は、ん……っん、ん……」
いつかを思い出すように、お互い裸を晒し合って重なり合う。
……なんだけど、
「……ねぇ、晶ちゃん」
「なん、ですか……?」
「……なんでそんなに緊張してんの」
晶ちゃんが、なんかやたら強張っている。
「だ、だって、その、ぷぷ、プロポーズ的な、その」
「うん」
「ど、どうしてお姉様はそう平然としていられるんですか!」
「さっきの緊張に比べたら……」
「うぅぅ」
理不尽なモノを見るように唸る晶ちゃん。うん、そんな晶ちゃんも可愛い。
あ、そうだ。
「ね……晶」
「っ⁉ ……⁉ は、はいっ!」
……急過ぎたかな。
「えと、晶って、呼んでいい?」
「ももももも勿論ですお姉様!」
良かった。拒否されたらどうしようかと……いや、もうそんな事心配しなくていいのか。
「だから、私の事も、月って」
「おおおおおおお姉様をっ⁉」
おーパニクってる。可愛い。
うーむ晶ってこんなに可愛かったかな、可愛かったわ。
「ほら……」
「そそそそそそんな……」
「ダメ……?」
至近距離で目を合わせるとめっちゃ目が泳いでいた。むぅ。
「ね、晶……」
「つ……」
「うん?」
「月……………………さん」
絶妙な間の後に敬称を付けられてしまった。
「だ、だってお姉様の方が」
「月」
「つ、月さんの方が年上ですし……」
なるほどなるほど。
でもヤダ。
「それだと他の人、舞ちゃんとかと被るでしょ」
「うぐ、そ、そうかもしれませんけど」
「……私は、晶の特別になりたいの」
「じ、充分特別ですけど……!」
むぅ。
「ね、ダメ? 晶」
「ううううううううううう」
くっそ。何しても可愛いな晶は!
「つ、き……」
「うん?」
「つき……月……!」
「晶……ちゅ……ん……」
愛しい人に名前を呼ばれて、これ以上ない程の多幸感が溢れる。
キスの合間に名前を呼び合って、これから改めて特別な関係になるんだって互いに刻み込んでいく。
両手を絡ませ合って、愛しているとぎゅっと握ると、愛していますとぎゅっと握り返される。
幸せ過ぎて、涙が零れる。
手を握り合ってキスしているだけなのに、幸せ過ぎて死んでしまいそう。
私だけそうなのか、なんて不安は無かった。晶だって、幸せの極致みたいな顔をしている。誰にも見せられない、誰にも見せたくない、私だけの晶。
好き。
大好き。
ずっと、ずっと一緒。
嫌だと言っても、もう離してなんかあげない。
何があったって、絶対に離れてなんかあげない。
「晶ぁ……は、んっ……」
「ぁ、んぅ……月ぃ……」
互いの手が離れても、髪を撫であったり、抱き締めあったり、本当に愛しい人にしかしない愛撫だけが繰り返される。
唇を貪り合い、舌を絡ませ合い、唾液も、交換しちゃったりして。
互いの唇が、重なり合う。
互いの手が、足が、絡み合う。
互いの胸が、重なり合う。
晶の大きい胸、私の程々の胸。求め合って、それがぐにゅりと潰し合って、頂のところが擦れ合う。
キスだけでも充分満足しているのに、身体はどうしても求めてしまって、互いの動きがだんだん突起同士を絡ませ合うような動きに変わっていく。
幸せという気持ちでいっぱいだけど、気持ちいいという感覚も襲ってきて、二人とも乳首なんかとっくに起き上がっていて、それがくにゅくにゅこりこりって擦れ合って、唇の端から吐息が溢れ落ちていく。
「ん……ふ、ん、ちゅ……」
「は……ぁ、ん、んっ……」
お互いを確かめあっていた手の動きが、だんだんといやらしくなっていく。心を撫でていたものが、身体を撫でていくものに変わっていく。
髪を、肩を、腕を、腋を、胸を、腰を、お尻を。どこを触られてもぞくぞくする。どこを触られても、何をされても気持ちいい。晶なんてそれだけでぴくんぴくんって、でもそれは私も同じで、お互いを愛撫しているだけで、どこかにいってしまいそう。
だけど、ここにいる、ここから何処へも行かないと、お互いを繋ぎ止めて離さない。
好きが止まらない。
愛しているが止まらない。
永遠に、ずっといたいって想いが止まらない。
何をしたって足りない。何をすれば満たされるのか分からない。
だから私達は、唇が腫れ上がるほどに求め合う。
でも、どうしても足りなくて、やっぱり、そこに、辿り着いてしまう。
「んぁっ! 晶……ぁっ!」
「んぅっ! 月ぃ……ん!」
お互いの大切な場所に、お互いの手が同時に触れる。
身体はぴったりと寄せ合ったまま、動かし辛いけれど、一時も離れたくなくて、そこを、愛し合う。
表面を探るようにして、もうとろとろにほぐれている場所をもっとほぐして、一番敏感な所ごとかき混ぜて、お互いの愛液、そう、愛液を混ぜ合わせて、時折ぬるぬるになった指を絡み合わせたりして。
そして、ゆっくり、中に埋める。
そこはどろどろに溶けてしまっているようで、熱い。
挿れられた瞬間、軽くイってしまって、挿れた瞬間きゅうきゅうと締め付けられて、同じタイミングで同じように感じてくれている事が嬉しい。
まずは、動かさない。
中で指が、膣内と同化するまで。
溶け合うまで動かない。
その間を埋めるように、その間を待てないかのように、また何度も口付ける。
何度したって、何度されたって足りない。まだ満たされない。いや、満たされている。これ以上ないくらいに満たされているから、もっと、もっと満たされたいと、互いに欲しがって、もう一緒なのに、まだ欲しがって、求め合う。
「っあぁぁあああっ!」
「っんぅぅぅああっ!」
見つめ合っているだけで、意思が通じ合う。
挿れていた指が同じタイミングで動いて、耐えきれずに唇が離れてしまう。
寂しい。寂しさで切なくなる。
だからそれを埋め合うように、優しく、乱暴に、動いてしまう。
次はゆっくり抜き差しする。
なんてもう無理だった。
一番気持ちいい場所を、もう熟知しきっているそこを、ただひたすらにかき回す。
頭が常にパチパチする。視界が常にチカチカする。腰から、お腹から上がってくる快楽に耐えられない。
だからまた求めあってしまって、お互いの嬌声を交換し合う。くぐもった声が漏れるけれど、そんなものよりこの人が欲しい、愛する人に私というものを刻みつけたい。
ぴくん、ぴくん、と身体が波打つ。
溶け合うように一緒になりたいのに、それが邪魔をして、だからもっと身体を絡み合わせる。
全身が晶に包まれる。晶を全身で包む。
もうかき回す手は止まっていた。だけど、一番感じるところを逃すものかと押さえつけている。私のも押さえつけられていて、少し身動ぎするだけで、じんじんと気持ちいいのが流れてくる。
中の収縮が止まらない。ずっとイってしまっている。
身体も気持ちいいけれど、頭が、心が気持ち良過ぎて、戻ってこれない。
「あきら……!」
「つき……!」
その瞬間さえ、私達は目を閉じなかった。
互いを抱きしめ、背中に爪を立て、中を捉え、心を捕らえ、私というものが、晶というものが刻み込まれる。
涙が溢れる。
好き過ぎて、泣いてしまう。
そんな泣き虫な私達は互いを見つめ合って、くすり、と笑い合う。
最後にもう一度だけキスをして、ずっと抱きしめあっていた。
「さて、反応はあそこだね」
「……ATM、でしょうか」
夜の空。ビルの屋上で眼下を見下ろす。
「どうせなら銀行襲うとかすればいいのに」
「それはそれでどうなんでしょう……」
銀色の髪、黒衣のゴシックドレス、黒の四枚羽を纏ったジルコン。
いつものスーツ姿、顔だけを認識阻害した私、魔人ネロ。
「……なんか周りをウロついてるだけで、何もしないねぇ」
視線の先では、どこにでもいるような格好の少女が誰の目にも不審に映る動きをしていた。
「怖気付いた、という感じですか」
「でもセンサービンビンなんだよねー」
けれど特に何をするでもなく、ある一点を中心にしてあっちに行ったりこっちに行ったりを繰り返している。
「……ん? 何か人通り少ない?」
「……人払いの術か何かを使用したのかもしれませんね」
気付けばその少女だけを残し、ATMの周りだけ人が極端にいなくなっていた。
フラフラしてたの、前準備か何かだったのかな。
「お、変身した」
「……そして即座に破壊、と」
電撃が舞い、施設ごと焼き払われる。
……あんなんしておいて、ちゃんとお金回収できるんだろうか。
「よし、行こうか晶」
「えぇ、月」
まぁ、そんな心配こっちがする事じゃないけど。未遂ならともかくこれは見過ごせない、見過ごしてはいけない。
互いに声をかけ合って、屋上を蹴り、空から地へ落ちていく。
「っ⁉ な、な、な、何アンタら⁉」
ズドン、と豪快な音を立てて新たな魔法少女の前に降り立つ。
……あ、着地の衝撃でアスファルトを砕いてしまった。土建屋さんごめんなさい。
「あ、アンタらも魔法少女⁉」
「そうだ」
埃を払い、悠々と不届き者に近付いていく。
晶曰く、姿勢良くゆっくりと、それでいて圧をかけるのがカッコいいらしい。圧かけれてんのかなコレ。
「べ、別にいいでしょ! こんな力があるんだから好き放題したって!」
何も聞いていないのにペラペラ喋り出す少女。
うん、まぁ、焦ってるのは分かる。分かるけど、
「そちらの事情などどうでもいい」
悪い子にお仕置きの時間。
具体的にはお尻ぺんぺんします。でも抵抗したら殴ります。だから抵抗しても良いんだよ?
ふっ、最近自制というものを少しは覚えました。問答無用で殴り飛ばしたりしません。死闘成分はちょくちょくジルコンとヒスイちゃんとルビーちゃんで補給してるしね。でもマジでヒスイちゃんに勝てない。本気のヒスイちゃん強過ぎる。なんなんあれ、チート使ってんのってくらい強い。超負け越して、ええい今はそんな話どうでもいい!
という訳で、正々堂々宣戦布告の時間なんだけど、ジルコンは控えたまま。
……えぇぇ、私が言うのぉ? ……今でもだいぶ恥ずかしいんだけどぉ。
あーうー、仕方ないなぁ。ちょっとだけ、ちょおーっとだけこの歳にもなってそういう感じのってどうなのかなーって思わなくもなかったりなんだけど、いやだから歳ネタはもういい! でもその台詞を言うには本当に無理があるんでなかろうか疑惑が尽きないんだけど。はー、もう少し若ければなぁ……いやだから歳ネタはいいんだってば。
……まぁ、私がこういうのをするの、晶が喜ぶから良いんだけどさ。
よし、やるか。
覚悟しろ悪の魔法少女。
正義の名を盾に、更なる悪を以って、お前を叩き潰す。
「我は暴虐の魔法少女。魔法少女を狩る者」
ここまでお読みいただきありがとうございました。