連載中のARIA A SECRET LIFE AS UNDINE
ARIA A SECRET SCHOOL DAYS
の別世界線として
読切で綴っていくつもりです
本線の方は概ね毎週末の更新を目指して格闘しておりますが
こちらは不定期更新となります
遠くネオ・ヴェネチアとその対岸のメストレ市街を望むペントハウス、そのプールサイドで四人の男たちがテーブルを囲んでグラスを傾けていた。
白いクロスの上にはキャビアや鮑、フォワグラやトリュフなどをふんだんに使ってアレンジを施した料理の数々、カラフルな皿やグラスがいくつも並んでいるが、誰も関心がないのかほとんど手がつけられた様子はみられない。
男の一人は三十代の半ばでスーツを着こなし、ホストらしくテーブルの一方の側にある椅子に腰掛けて、上座に座るゲストの三人と向き合っている。
招かれていたのはいずれも四、五十代、みな真夏ということもあってアロハシャツにサングラスというラフな格好である。
燦々と降り注ぐ日射しのつくるくっきりとした影の下、男たちの間には時に好色で思わせぶりな笑いと意味深な視線とが交錯しているのだった。
それというのも、いつもであればここは全裸の美女たちが何人も居て、あるものは豊満な肉体を見せつけるようにしてプールサイドに侍り、あるいは水遊びに興じたりをしていて指名を受けるのを待っているという、いわゆる特別な客をもてなすための特別な社交場だったからだ。
だが今日はそうした艶いた光景もなく、また男性客もテーブルに座るたった三名だけなのだった。
広々とした中空の楼閣には下界の生活音も届かず、渡る風に乗って時に水鳥の声が届くばかり。
いつもと違うのには理由があった。
なぜならこの日、ホストの愛澤彪樹が迎えた三人は、地元の起業家や地方議員、官僚などといった雑魚、小物ではなく、いずれ劣らぬ大物たちだったからだ。
法の下に厚く保護され、そして法の外にあることを許された者たち。
あるいは法を顧みない者たちというべきか。
合法、非合法、手段によらず、かき集めた莫大な富を背景に、一国の行政府に対してもその舵取りに影響を行使しうる立場にあるVIPだった。
ここで彼らはそれぞれ自慢のお宝を持ち寄って、背徳のゲームをしようとしているのだ。
一人の秘書もボディーガードさえも伴ってはいないことから、それがどれほどプライベートな集いであるかが窺える。
「……しかし愛澤くん、いくらなんでも一晩に三百億っていうのは……さすがにふっかけすぎじゃないかね、ねぇ木乃子さん?」
「いやいや劉会頭、まだ三百億と決まったわけじゃないですよ、そこからスタートするというだけで、誰がゲームの勝者となるかはわからないですから」
新興企業群であるパシフィックグループのCEOでイーストナショナルバンク頭取でもある木乃子光人はホストの愛澤彪樹を代弁するかたちで、傍らの崑崙企業団ユーラシアンゼネラルプロダクツ会頭の劉國輝に答えるのだった。
劉は五十五歳と、この会の中では最年長、太り肉で小柄だが、覇気では他を圧していた。
太巻きのシガーに火を点じると、
「しかし処女ならばともかく、聞けば既に愛澤くんのお手つきだそうじゃないか、そんな中古を一晩だけ借りるのに、果たしてそこまでの価値はあるものかね……」
木乃子からの同意を得られず、少し気がそがれたのか椅子の背に傲然と身をあずけると長く白い息を吐き出しながら言う。
「何をおっしゃります、劉さんにとっては三百億も三億も大して変わらないじゃないですか。金なんて好きなだけご自身で刷れるんですから」
ホストの愛澤が取りなしていた。
「そうそう、私はハンブルグ製薬の経営権を賭けていますが、劉さんは何を賭けるおつもりですか?」
淀みかけた空気を払おうというつもりか、左隣にいた
権はゴールドスター財閥の二代目で四十二歳、副総裁とは言うものの依然、実権は実父である権昇錫が握っていて、社内での立ち位置はお飾りに近いのかもしれなかった。
「やっぱりアレですか? そちらの調査団が最近、太陽系外縁のカイパーベルトで発見したとかいう例の小惑星……なんていいましたっけ……」
「たしか……発表時は2302WK11とかと言っていたような……」
「2302WK11?!……さすがは木乃子CEO、よくご存知で――」
「……なんでもたかだか直径が十キロにも満たないという石ころだと思っていたら、金やプラチナ、パラジウムなどの貴金属の含有量がとんでもなく高濃度だったとか……」
「巷では太陽系最大の宝石とも言われてるそうですな、フッフッフ」
劉は今度は満足げに身を反らすと太鼓腹をなでつけている。
「まったくもって、うらやましいかぎりです。推定埋蔵量からすると、時価数兆クレジットは下らないとかいう話だそうで……ウチでも探査チームを飛ばしてみるかなぁ……ただなにぶん遠過ぎますから……行って帰ってくるのに半年もかかるってんじゃ採算がとれるかどうかも怪しいですし……まぁ黒貴集団さんほどの財力があれば採掘にのりだすのも吝かではないのでしょうが、ねぇ愛澤さん?」
権からふられた愛澤は曖昧に微笑だけを返した。
「クエラードライブでしたかな? 愛澤さんのところの上海重工が開発したとかいう新型エンジン、あれを使えば船の加速度をこれまでの三倍にできるとか?」
「さすがに木乃子CEOはお耳がお早いですね、もうご存知だとは……」
「実は、うちでも似たようなアイデアのエンジン開発を行っている部門があるもので、敵の手の内を知らずして商売はできませんから」
「敵、ですか――」
「いや、これは失言、今のは取り消させてください。エーデルシュヴァルツグループはウチの長年にわたるライバルというか、我々はあなた方の背中を追ってここまで辿り着いたともいえるから、むしろ恩があると言わねばなりませんね」
「恩だなんてご冗談を……それで木乃子CEOのところは何を賭けるのですか?」
「いま、テーブルの上に乗っている
木乃子がソレを口にしたとたん、劉と権から抗議の声があがった。
愛澤はそれを手で制して木乃子に発言を続けるように促している。
「……ウチはわかりやすいですよ。サン・アントニア軌道の利用権ですから。公国の衛星圏コロニー国家のトガルマと四年がかりの交渉の末にようやく勝ち得た権利で、あそこを使えれば内惑星圏と外惑星圏との連絡が格段に有利になる。運用次第では年間、数十億の利益が見込めるはずで、数年もあれば三百億ぐらい容易に稼ぎ出せるでしょう。ここでの賭物としては文句はないと思いますが」
「なるほど……」
愛澤は頷き、劉と権は視線を交えて互いの顔色を確かめつつ同意の意思を示していた。
「愛澤くん、今の木乃子さんの発言にはこちらとしても言いたいことがある」
宝島の地図――と、やられて、揶揄されたと感じた劉が隣の木乃子に
「きみは私がいい加減なことを言っているとでもいいたいのかね?」
詰問していた。
「滅相もない、ただ、2302WK11の情報は御社の系列からもたらされたものばかりで、第三者の評価が行われていないことを言っているのです。埋蔵量にしても見積りに問題がないか我々には知る術がない。包みを開けてみるまでは中に何が入っているかわからない贈り物のようなものです。仮に全て問題なく事実であったとしても、今度は距離の問題がある。こっちから取りに行くにしても、あるいは小惑星ごと持ってくるにしても、時間と金がどれだけかかるか、果たして採算がとれるかどうかもわからないですから価値を見積りようもないのです」
「だからこうして調査報告書を持ってきたのだよ――」
劉はシャツの胸ポケットからチップを取り出すとテーブルの上に置いた。
「我々は少なくとも二つの独立した政府機関に調査を依頼して、見積りには大きな齟齬、瑕疵がなかったことを確認している。確かに事業化に向けていくつかハードルがあることは認める。しかしそれを見越しても、なお莫大な価値があると私は信じている――」
「信じている――ですか……」
愛澤はムッとした顔をする劉をやんわりと制して
「劉会頭、私はあなたの提案を少しも疑ってはおりません」
二人の関係がはっきりと緊張する前に割って入った。
「まぁ、あまり派手にやると市場価格の暴落を招きかねんし、当面は小出しにするしかないからすぐに莫大な利益が出るとまでは言わんよ。ただ、それを含んでもWK11には価値がある」
「木乃子CEOも、ただ経営者としての当然の懸念をお伝えしただけで、誰も劉会頭が我々を騙そうとしているなどとは思っていませんから、そうですよね木乃子CEO」
木乃子は無言で頷いて、それを見た劉も矛を収めたかたちになるのだった。
「あの、うちは不老不死の妙薬を作ったなんて一言も――」
権昇植も発言するが、
「わかってますよ権副総裁、あれは木乃子CEOが喩えとして使っただけで、私もハンブルグ製薬が先ごろ発表したリヴァイアシンのデータは確認していますから。高齢者の寿命を10%ほど伸ばす……生理年齢を八年から十年程度巻き戻しができるという画期的な新薬については、今後十年で少なくとも数百億から千億の市場規模となることが見込めるという……ハンブルグの経営権という副総裁の提案は十分に魅力のあるものだと受け止めていますから、どなたにも異存はないでしょう」
愛澤はここで一拍おいてから、
「……となると、残るのは私の賭けの種になりますか……まぁ、なによりも実物をご覧いただくのがいちばん早いかと……」
彼がそうが言うと、ゲストの三人は一様に色めき立った。
「彼女、今ここに来ているのかっ!?」
「ええ、もちろん――」
「それは凄い……生のアリシア・フローレンスをこの目で間近に見られるとは……」
男たちの誰もが悖戻な興味と関心を隠さずにいる。
「午前中、ウンディーネとしての仕事があるとかで、あの子がこっちに来られるのが午後になるというので……それに合わせてこの時間をセットしていたんですよ……もしもみなさまにご納得いただけなければ、わたしはゲームから降りるのも吝かではありません」
愛澤は手元にあったインタホンに囁きかけると、数分後、ひとりのメイドに伴われてブロンドの美しい女がペントハウスに現れたのだった。
「おお……これは……」
アリシアの姿を認めて、テーブルの男たちから
「こっちにおいでアリシア、お客さまにご挨拶をなさい」
愛澤に呼ばれてアリシアは心許なげな足取りでプールサイドにまでやってくる。
今の彼女はアリアカンパニーの制服ではなく、クリーム色のスーツの上下というフォーマルな中にも上品な女らしさを感じさせる佇まい。
ただ、トレードマークともいうべき笑顔は消えて、表情には憂いと怯えとが覗いていた。ただそれは彼女をいっそう清艶に見せているようなのだった。
アリシアは愛澤の座る椅子の隣まで来ると、伏目がちに首を垂れてゲストの三名の男たちに挨拶をする。
「……アリシア・フローレンスです……この度は……お招きにあずかり……」
「驚いた……本当に居るんだな……これはまちがいなくホンモノだ……」
「……たとえホログラムでも、やっぱり盗撮映像と実物とでは比較にならんなぁ……彼女がこうして息をしているのを間近にすると、かえって非現実的な気分になってくる……」
男たちはアリシアの全身に値踏みするような目をやって、改めて納得した様子になると、
「これがAQUAのヴィーナスか……まさかこれほどのものとは思っていなかった……愛澤さん、今日ほどあんたのことを憎いと思ったことはないな……」
「ご冗談でしょう木乃子CEO――」
「まったく腹立たしい限りだ……」
愛澤は三人からの嫉妬の眼差しを心地よく受け止めて笑顔になりながら、アリシアに向けては事務的な声色と顔つきのままで
「左から、イーストナショナルバンク頭取、パシフィックグループCEOの木乃子光人氏、真ん中が崑崙企業団ユーラシアンゼネラルの劉國輝会頭、そしてその右隣がゴールドスター財閥副総裁、権昇植さんだよ。みなさん、とても立派な方たちだから、くれぐれも失礼のないようにね」
「………」
「アリシア、テーブルに手をついて」
言われたアリシアは意図がわからずに、不安の色を滲ませた碧い瞳で傍の愛澤の顔を一瞥する。
「テーブルに両手をついて、きちんとご挨拶するんだよ」
アリシアが一歩前に踏み出そうとすると、
「そのままでいいから――」
指示された通りにすると、アリシアは上体を前に傾けることになり、スーツの下の白いブラウスの中で肌着をつけていない胸の膨らみがゆっさりとなって見事なまでに官能的な曲線が男たちの目に映るようになるのだった。
薄い布地を透けて広めの乳量も窺えるようになる。愛くるしい小さな乳首の作る影もくっきりと。
清潔感あふれる美貌が一瞬のうちに強烈なセックスを感じさせる艶やかな魅力を放って、たちまち居合わせた男たちを恋の虜へと変えていた。
「この子はね、こんなに綺麗で可愛い顔をしていて、セックスのことなんて何も知らないような清楚な容子でいながら、それでいてカラダは実に官能的でしてね……まったく、クソいまいましいことに、この私が手をつける前にガキに随分と手懐けられていたらしくて、そいつにつけられた悪いクセを治してやろうと思ってしっかり教育しなおしたつもりだったんですがね、相変わらず前の男に操立てしているような具合で……正直、そのガキを嬲りものにしてやりたいと何度思ったことか……」
言いながら愛澤は当たり前のようにして、アリシアのスカートの中へと手を忍ばせる。
突然の辱めをうけた女の顔には驚きと恐慌とがあらわれて、目の前に居る男たちの顔を実にすばやく盗み見るのだった。そして碧く澄んだ瞳が愁いに沈み、悩ましげに長い睫毛が伏せられていく。
「……ですが、そうした一途なところもこの子の魅力のうちだと気づいてからは好きにさせることにしたんですよ……どんなプレイをしても今もこうして、そこはかとなく処女性を留めていて輝きを失わないのは彼女の心の強さでもあって、また可愛さでもある……アリシア、そのままじっとしていなさい――」
愛澤に命じられるとアリシアは大人しく項垂れたが、クロスに置かれた両手にはっきりと力が込められているのが窺えるようになるのだった。
彼女のスカートの中で、いったいどのようなドラマが演じられているのかゲストの三人にはわからない。
しかしアリシアがはっきりと女の反応を示し始めているのは見て取れるのだった。
彼女の息遣いは刻々と切羽詰まったものとなり、熱のこもったものになっていたのだ。逃れようとしているのか腰を捩り、時に「あっ――」と、呻いて乱れる。
「いい子だ……アリシア、キミはとてもいい子だ……」
「……あ、愛澤さんっ……やっ、やめてくださいっ……おねがいっ……おねがいですからっ……イヤっ……」
「ね、こうやって最初のうち、今もカラダは私の指を拒もうとしているんですよ……もっと脚をひらきなさい、私の指を受け入れるんだよ」
「いっ、イヤっ……イヤですっ……それはっ……」
「キミは優しくされるのと、ひどくされるのとどっちがいいのかな?」
「ああ、愛澤さん……どうか……どうか……それだけはっ……堪忍っ……イヤっ、イヤですっ……ああっ」
高貴い美貌が肉の仕置きの前に屈していく被虐美の極み。腰がキュッと縮み上がったかと思うと、固く結んでいた唇が堪えかねたように開かれて吐息が溢れた。
刺戟に慄く腰、ふるえる薄い肩、ブラウスの下で乳首がさらにくっきりとなっているのは明らかに発情しているサインだった。
長い睫毛から大粒の涙が溢れて頬をつたって落ちていき、白いテーブルクロスの上に染みをつくっていく。
たとえ心は拒んでもカラダは拒みきることができない。それが性の仕組みであり女体の
「ああっ……イヤぁっ……」
抗いながらも美しい女の体が
「キミはここを……こうされるのが好きだったね……」
「………」
「……この子はジュースの量がとても多いんですよ……オシッコじゃない正味の愛液量がたっぷりで……そろそろかな……ここに来るときには、いつでもわたしを受け入れられるように肌着をつけないように言ってあるので……このままだとたっぷりお漏らししちゃうんだよね、キミは」
「………」
愛澤はようやくアリシアを淫らな責苦から解放すると、スカートの中から手を引き出した。彼の左手は傍目にもわかるほど、指先ばかりではなく手首の方までしとどに濡れそぼっている。
愛澤はそれを丁寧にナプキンで拭うとにおいを嗅いで
「なんていいニオイがするんだろうね、キミは――」
感想をあけすけな言葉にして伝えて、辱められたアリシアは頬をいっそう薔薇色に染めるのだった。
端整な美貌が性に屈したことで生まれる、よりいっそうの艶やかさ、愛くるしさ。
一度でも目のあたりにした男たちが、これを忘れられる筈がなかった。男たちの興味の目線は、愛澤が無造作に放り投げた、彼が濡れた手を拭ったナプキンにも向けられている。
「この子はセックスのニオイは強いし体臭だって濃い、抱きがいがありますよ……どうですか? 一晩、三百億クレジット、高いと思われますか?……劉会頭?」
問われた劉國輝はアリシアを凝視して固まったままで首だけを横に小刻みに振るのだった。
「わたしだって、この子が他の男に抱かれるのは辛いんです。身を切る思いで差し出すのですから……他の方はご異存は?」
もう異議を唱えるものは誰もいなかった。
「それでは、私の方もゲームに参加する資格を得たと受け止めてもよろしいですね……では固の杯といきましょう……みなさまにも喜んでいただけるとっておきのデザートワインがありますので……ぜひ、ご賞味ください」
愛澤はテーブルの上に白いクロスを被せられて置かれたままになっていたものの布をめくると、中に隠してあったものを示すのだった。
ワインボトルでも伏せ置きしていたのかと思った男たちだったが、目に飛び込んできたのは銀色の金属製の奇妙な食器――のようなものだったのだ。
一見すると、かなり大ぶりなカレーソースポットに似ているが、ただひと目でその奇怪さに気づき、悖戻な目的で誂えられたとわかるのは、容器の中央から大きく迫り出した八インチほどの長くて太い男根があることだった。
「これ、なにかご存知ですか?」
「……まさか……へいこのいんぽ……?」
「お、さすがは物知りの木乃子氏、そのとおりです。ちなみにこの男根はお恥ずかしながらわたしのものを象ったものです」
「なかなかご立派なものをお持ちのようで」
「おそれいります――」
「まさか……それを今、使うのか?」
「ええ、そのつもりですが……嘘偽りなく、至高の甘露、女神の樹液であることを皆さまにご納得いただけるように……」
愛澤が告げると男たちの間に、期待に溢れた好色な笑顔が弾けた。
ただ一人、その恐ろしい意味を知らないアリシアが、やがて待ち受ける哀しい運命に気がついた時、彼女は声にならない悲鳴を発して泣き崩れたのだった。
この上なく美しい肉人形として、弄ばれて辱められるだけの存在に堕とされたのだと判って。
「どうか皆様には席をお立ちになりませんように。この子のセックスをご覧いただけるのは、ゲームの勝者お一人に限られますので」
愛澤がアリシアの背後に回り込むと、スカートを雑に捲り上げて白く肉の輝く豊麗な尻を剥き出しにする。
幾分、乱暴に尻の谷間を分けると、有無を言わせぬ強引さで自身の道具を模した性具を差し入れようとするのだった。
「イヤですっ――!」
「大丈夫だよ――」
「ああっ――!」
アリシアの性器は既に前戯によって十分に潤っていたために、さほど抵抗を示すことなくヌルッとそれを受け容れてしまう。
深く奥まで突き刺されて女の体にピンッと緊張が走り抜けた。
「……どうして……どうして……愛澤さんっ……」
「みんなキミがイケナイんだよ……いつまでも昔のエロガキに未練を残しているから……」
「………」
「言うことを聞かないと、酷いことになるって言ったろ?」
愛澤は腰を使うのと同じ要領で、金属の強張りを前後させて女に悲哀と官能の喘ぎ声をあげさせていった。
「いい子だね……キミは本当にいい子だ……可愛いよ……愛してる……」
「……ひとで、なし……」
アリシアらしからぬ恨み言が、ルージュを結んでいない清楚な口元からこぼれる。
そして男たちは稀代の美女が淫らな性具によって虚しく果てるのをその目に焼き付けていた。
事後の余韻に、まだピクピクと痙攣する尻を慰めて愛澤は性具を取り外すと、息を乱している女の口を口で塞いだ。
瞼をきつく閉ざして苦しげに寄せられている眉が、無理やり果てさせられた女の悲しみを訴えている。
男に抱きすくめられ口を吸われ続けた女の体は、やがて糸の切れたマリオネットのように力を失ってそのまま床に頽れてしまうのだった。
あまりの出来事の連続にゲストの三人は呆然として固唾を呑むばかりになっている。
奇怪な性具の受け皿には、彼女がその最中と歓びを迎えた時に溢れさせた真珠の蜜がトロリと溜まっていて、陵辱者となった男はそれを見ると満足げに笑むのだった。
中身の様子をへたりきった当の本人に見せつけるようにしながら、
「スゴい、たっぷりだ……うーん、ニオイもスゴいな……嗅いでごらん」
アリシアは顔を背けて、細い首に嫌悪の筋が浮く。
「自分のアソコのニオイは嫌いかい?」
「………」
「まぁいい、だが皆さんはきっとそうは思われないから安心するといい」
刹那、愛澤を見上げるアリシアの瞳には、辱められた哀しみと恨みの色を帯びていて、また涙が溢れて頬を伝って落ちていく。
「みなさま、お待たせいたしました――」
「本当に、彼女はキミのオンナにされてるんだな……羨ましい……」
「いくら払えば譲ってもらえるだろう、金ならいくらでも出すが」
ゲストからの要望に、
「あの子は金では買えません。私は誰にも彼女を自由にさせたくはない……だから今日の勝負、絶対に負けませんから」
「こっちも負けるつもりはないがね――」
愛澤はアリシアの膣蜜を小ぶりのテイスティンググラス三つに均等になるように注ぎ入れていく。
薄く透明なグラスの中に、僅かに白濁していたが、糸をひくような透明な粘液が溢れんばかりに満たされていった。
「やっぱり量が多くて、この小さなグラスには注ぎきれなかったな……」
「これが……アリシアちゃんの女の蜜か……なるほど美しい……」
「権さん、これこそ正真正銘、真の不老長寿の秘薬ですよ」
「かないませんなぁ、愛澤さんには」
権昇植も破顔していた。好色さのパロディのような蒙昧な笑顔になって。
男たちは振る舞われた至高の蜜に大事そうに鼻先を寄せるとニオイを楽しみ、グラスを回して香りを立ててはさらに満足げに大きく頷いている。
「良い香りだ……実にすばらしい……すばらしいよアリシアくん……」
そして口に含んでは舌の上でねんごろに回して味を楽しむのだった。
「うん、味もみごとだ……こんなに美味しい蜜には出会ったことがないよ、感謝しますぞ、愛澤氏っ」
彼女が女神であることを疑うものは、もう誰もいなかったのだった。
地獄の鬼たちの饗宴のような男たちの喝采の声音は、低く残響がかかっているようにアリシアの耳には聞こえていた。彼女は絶望に白い顔をいっそう白くして哀しみに肩をふるわせながら、最愛の恋人の顔を脳裏に甦らせることで必死に堪えていたのだった。